JPH08170154A - 溶接性に優れたフェライト系ステンレス鋼 - Google Patents
溶接性に優れたフェライト系ステンレス鋼Info
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- JPH08170154A JPH08170154A JP31225594A JP31225594A JPH08170154A JP H08170154 A JPH08170154 A JP H08170154A JP 31225594 A JP31225594 A JP 31225594A JP 31225594 A JP31225594 A JP 31225594A JP H08170154 A JPH08170154 A JP H08170154A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は、溶接部の延性、靭性を確保すると
ともに、安定な溶込み形状が得られる優れた溶接性を有
するフェライト系ステンレス鋼を提供する。 【構成】 C:0.005〜0.02%、Si:0.0
1〜1.0%未満、Mn:0.1〜0.5%未満、S:
0.001〜0.01%未満、Cr:10.5〜24.
0%、Al:0.001〜0.03%未満、N:0.0
05〜0.04%未満、O:0.005%超〜0.01
%未満を含有し、且つ、[O]/(1.5×[Al]+
2.4×10-2×[Si]+1.7×10-3×[M
n])で表される値が0.1〜0.2であり、さらに
[S]+[O]で表される値が0.006〜0.01で
あることを特徴とするフェライト系ステンレス鋼。ある
いはさらに、Ni:0.6%超〜2.0%、V:0.0
3〜0.15%、Ti:0.005〜0.6%の1種以
上を含有する。
ともに、安定な溶込み形状が得られる優れた溶接性を有
するフェライト系ステンレス鋼を提供する。 【構成】 C:0.005〜0.02%、Si:0.0
1〜1.0%未満、Mn:0.1〜0.5%未満、S:
0.001〜0.01%未満、Cr:10.5〜24.
0%、Al:0.001〜0.03%未満、N:0.0
05〜0.04%未満、O:0.005%超〜0.01
%未満を含有し、且つ、[O]/(1.5×[Al]+
2.4×10-2×[Si]+1.7×10-3×[M
n])で表される値が0.1〜0.2であり、さらに
[S]+[O]で表される値が0.006〜0.01で
あることを特徴とするフェライト系ステンレス鋼。ある
いはさらに、Ni:0.6%超〜2.0%、V:0.0
3〜0.15%、Ti:0.005〜0.6%の1種以
上を含有する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、化学プラント、建築材
料、自動車排気系装置、温水器、家電など幅広い分野で
利用可能な、溶接性、特に溶込み特性に優れたフェライ
ト系ステンレス鋼に関わるものである。
料、自動車排気系装置、温水器、家電など幅広い分野で
利用可能な、溶接性、特に溶込み特性に優れたフェライ
ト系ステンレス鋼に関わるものである。
【0002】
【従来の技術】フェライト系ステンレス鋼は、オーステ
ナイト系ステンレス鋼に比較して安価であり、強度や塩
化物環境での耐応力腐食割れ性という面でも優れている
が、耐食性や溶接性ならびに溶接部の機械的特性という
面では逆に劣っており、その適用分野に制限を受けてい
た。しかしながら、最近のフェライト系ステンレス鋼の
需要の拡大化につれて、加工性、耐食性および溶接性に
優れたフェライト系ステンレス鋼が要望されている。
ナイト系ステンレス鋼に比較して安価であり、強度や塩
化物環境での耐応力腐食割れ性という面でも優れている
が、耐食性や溶接性ならびに溶接部の機械的特性という
面では逆に劣っており、その適用分野に制限を受けてい
た。しかしながら、最近のフェライト系ステンレス鋼の
需要の拡大化につれて、加工性、耐食性および溶接性に
優れたフェライト系ステンレス鋼が要望されている。
【0003】このようなフェライト系ステンレス鋼溶接
部の耐食性や延性、靭性の低下に対しては、例えば、特
公昭55−47102号公報、特開平2−107744
号公報に開示されているように、CおよびN量の制限、
Ti,Nb等の安定化元素の添加、さらに、特公昭55
−47102号公報、特開昭50−109809号公報
に開示されているように、Alの添加などの技術が発明
されてきた。
部の耐食性や延性、靭性の低下に対しては、例えば、特
公昭55−47102号公報、特開平2−107744
号公報に開示されているように、CおよびN量の制限、
Ti,Nb等の安定化元素の添加、さらに、特公昭55
−47102号公報、特開昭50−109809号公報
に開示されているように、Alの添加などの技術が発明
されてきた。
【0004】一方、一般に、フェライト系ステンレス鋼
は薄板で使用され、その薄板の突合せ溶接などでは、溶
接材料を使用しない鋼材のメルトランTIG溶接となる
場合が非常に多い。このような場合、1パス溶接によっ
て安定した裏波溶接を行うこと、すなわち、安定な溶込
み形状を得ることが必須となる。
は薄板で使用され、その薄板の突合せ溶接などでは、溶
接材料を使用しない鋼材のメルトランTIG溶接となる
場合が非常に多い。このような場合、1パス溶接によっ
て安定した裏波溶接を行うこと、すなわち、安定な溶込
み形状を得ることが必須となる。
【0005】ところが、溶接の自動化の普及および高速
化に伴って、融合不良や不安定ビードなどの溶込み不足
に起因する新たな溶接性の問題が表面化している。この
ような溶込み形状に対しては、従来から鋼材に含まれる
不純物元素あるいは微量添加元素の影響が指摘されてき
た(例えば、International Materials Reviews,Vol.3
5,No.4(1990),p185-216)。しかしながら、従来知見で
は、溶込み形状に及ぼすそのような不純物元素あるいは
微量添加元素の影響について、定量的に検討したものは
なく、いまだ溶接部の溶込み不足が問題となることが多
い。
化に伴って、融合不良や不安定ビードなどの溶込み不足
に起因する新たな溶接性の問題が表面化している。この
ような溶込み形状に対しては、従来から鋼材に含まれる
不純物元素あるいは微量添加元素の影響が指摘されてき
た(例えば、International Materials Reviews,Vol.3
5,No.4(1990),p185-216)。しかしながら、従来知見で
は、溶込み形状に及ぼすそのような不純物元素あるいは
微量添加元素の影響について、定量的に検討したものは
なく、いまだ溶接部の溶込み不足が問題となることが多
い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、化学プラン
ト、建築材料、自動車排気系装置、温水器、家電などを
はじめとする幅広い分野での適用を可能とするために、
溶接部の延性、靭性を確保するとともに、安定な溶込み
形状が得られる優れた溶接性を有するフェライト系ステ
ンレス鋼を提供することを目的とする。
ト、建築材料、自動車排気系装置、温水器、家電などを
はじめとする幅広い分野での適用を可能とするために、
溶接部の延性、靭性を確保するとともに、安定な溶込み
形状が得られる優れた溶接性を有するフェライト系ステ
ンレス鋼を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の問
題を解決するために、種々の成分系のフェライト系ステ
ンレス鋼を用いて、溶接材料を使用しないメルトランT
IG溶接を行い、それらの溶込み形状および溶接部の延
性に及ぼす鋼材の成分元素の影響を検討した。その結
果、下記組成からなるフェライト系ステンレス鋼におい
て、優れた溶接性を有することを見いだした。
題を解決するために、種々の成分系のフェライト系ステ
ンレス鋼を用いて、溶接材料を使用しないメルトランT
IG溶接を行い、それらの溶込み形状および溶接部の延
性に及ぼす鋼材の成分元素の影響を検討した。その結
果、下記組成からなるフェライト系ステンレス鋼におい
て、優れた溶接性を有することを見いだした。
【0008】すなわち、本発明の要旨は、下記(1),
(2)にある。すなわち、 (1)重量%で、 C :0.005〜0.02%、 Si:0.01〜
1.0%未満、Mn:0.1〜0.5%未満、 S
:0.001〜0.01%未満、Cr:10.5〜2
4.0%、 Al:0.001〜0.03%未満、
N :0.005〜0.04%未満、O :0.005
%超0.01%未満を含有し、残りがFe及び不可避不
純物よりなり、且つ、各元素量(wt%)を[]で表示
した場合に、[O]/(1.5×[Al]+2.4×1
0-2×[Si]+1.7×10-3×[Mn])で表され
る値が0.1以上、0.2以下であり、さらに[S]+
[O]で表される値が0.006%以上、0.01%以
下であることを特徴とする溶接性に優れたフェライト系
ステンレス鋼。 (2)さらに、上記成分に加えて、重量%で、 Ni:0.6%超〜2.0%、 V :0.03〜
0.15%、Ti:0.005〜0.6% の1種以上を含有することを特徴とする前記(1)記載
の溶接性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
(2)にある。すなわち、 (1)重量%で、 C :0.005〜0.02%、 Si:0.01〜
1.0%未満、Mn:0.1〜0.5%未満、 S
:0.001〜0.01%未満、Cr:10.5〜2
4.0%、 Al:0.001〜0.03%未満、
N :0.005〜0.04%未満、O :0.005
%超0.01%未満を含有し、残りがFe及び不可避不
純物よりなり、且つ、各元素量(wt%)を[]で表示
した場合に、[O]/(1.5×[Al]+2.4×1
0-2×[Si]+1.7×10-3×[Mn])で表され
る値が0.1以上、0.2以下であり、さらに[S]+
[O]で表される値が0.006%以上、0.01%以
下であることを特徴とする溶接性に優れたフェライト系
ステンレス鋼。 (2)さらに、上記成分に加えて、重量%で、 Ni:0.6%超〜2.0%、 V :0.03〜
0.15%、Ti:0.005〜0.6% の1種以上を含有することを特徴とする前記(1)記載
の溶接性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
【0009】
【作用】以下に本発明において各成分等の範囲を限定し
た理由を述べる。 C:Cは、耐食性に有害であるが、強度の観点からある
程度以上の含有量は必要である。0.005%未満の極
低炭素量では製造コストが高くなり、さらに、強度が確
保できない。また、0.02%超では、加工性、靭性が
著しく低下するとともに、溶接のままの状態および再熱
を受けると、Crなどと結合して、粒界に炭化物として
析出し、これらの領域の耐食性を著しく劣化させる。し
たがって、0.005%以上、0.02%以下に限定し
た。
た理由を述べる。 C:Cは、耐食性に有害であるが、強度の観点からある
程度以上の含有量は必要である。0.005%未満の極
低炭素量では製造コストが高くなり、さらに、強度が確
保できない。また、0.02%超では、加工性、靭性が
著しく低下するとともに、溶接のままの状態および再熱
を受けると、Crなどと結合して、粒界に炭化物として
析出し、これらの領域の耐食性を著しく劣化させる。し
たがって、0.005%以上、0.02%以下に限定し
た。
【0010】Si:Siは脱酸剤および強化元素として
有効であるが、0.01%未満ではそれらの効果は十分
ではない。また、1.0%以上では、衝撃靭性が低下す
るとともに、深溶込みに有効な固溶酸素量を低減させ
る。したがって、0.01%以上、1.0%未満に限定
した。
有効であるが、0.01%未満ではそれらの効果は十分
ではない。また、1.0%以上では、衝撃靭性が低下す
るとともに、深溶込みに有効な固溶酸素量を低減させ
る。したがって、0.01%以上、1.0%未満に限定
した。
【0011】Mn:Mnは脱酸元素として添加するが、
0.1%未満ではその効果は十分ではない。また、0.
5%以上では、加工性が劣化する。したがって、0.1
%以上、0.5%未満に限定した。
0.1%未満ではその効果は十分ではない。また、0.
5%以上では、加工性が劣化する。したがって、0.1
%以上、0.5%未満に限定した。
【0012】S:Sは表面活性元素として、溶融金属の
表面張力対流を内向きにし、溶込み深さを深くするた
め、0.001%以上必要である。また、0.01%以
上では、熱間加工性、延性および耐食性を低下させる。
したがって、0.001%以上、0.01%未満に限定
した。
表面張力対流を内向きにし、溶込み深さを深くするた
め、0.001%以上必要である。また、0.01%以
上では、熱間加工性、延性および耐食性を低下させる。
したがって、0.001%以上、0.01%未満に限定
した。
【0013】Cr:Crはフェライト安定元素であり、
かつ、耐食性に非常に有効な元素である。10.5%未
満では、冷却中にオーステナイト領域を通過するため、
室温ではフェライト単相組織とはならず、マルテンサイ
ト+フェライト二相組織となり、また、十分な耐食性も
得られない。24.0%超では、良好な耐食性を示す
が、靭性、延性が低下し、加工性が劣化する。したがっ
て、10.5%以上、24.0%以下に限定した。
かつ、耐食性に非常に有効な元素である。10.5%未
満では、冷却中にオーステナイト領域を通過するため、
室温ではフェライト単相組織とはならず、マルテンサイ
ト+フェライト二相組織となり、また、十分な耐食性も
得られない。24.0%超では、良好な耐食性を示す
が、靭性、延性が低下し、加工性が劣化する。したがっ
て、10.5%以上、24.0%以下に限定した。
【0014】Al:Alは脱酸剤および良好な熱間加工
性を有するために、0.001%以上の添加が必要であ
る。一方、多量に添加すると、靭性が低下するととも
に、特に、0.03%以上添加すると、表面活性元素と
して深溶込みに有効な固溶酸素量が確保できなくなり、
溶込み深さが浅くなる。したがって、0.001%以
上、0.03%未満に限定した。
性を有するために、0.001%以上の添加が必要であ
る。一方、多量に添加すると、靭性が低下するととも
に、特に、0.03%以上添加すると、表面活性元素と
して深溶込みに有効な固溶酸素量が確保できなくなり、
溶込み深さが浅くなる。したがって、0.001%以
上、0.03%未満に限定した。
【0015】N:Nは強度確保の観点から、0.005
%以上の添加が必要である。また、0.04%以上で
は、窒化物の析出が増加し、延性、靭性が低下する。し
たがって、0.005%以上、0.04%未満に限定し
た。
%以上の添加が必要である。また、0.04%以上で
は、窒化物の析出が増加し、延性、靭性が低下する。し
たがって、0.005%以上、0.04%未満に限定し
た。
【0016】O:OはSと同じように、表面活性元素と
して、溶融金属の表面張力対流を内向きにし、溶込み深
さを深くするため、0.005%超必要である。また、
0.01%以上では、熱間加工性および靭性を著しく低
下させる。したがって、0.005%超、0.01%未
満に限定した。
して、溶融金属の表面張力対流を内向きにし、溶込み深
さを深くするため、0.005%超必要である。また、
0.01%以上では、熱間加工性および靭性を著しく低
下させる。したがって、0.005%超、0.01%未
満に限定した。
【0017】また、選択的に添加するNi,V,Tiは
以下の理由により含有量を限定した。 Ni:Niは靭性、延性の改善に有効な元素であるた
め、0.6%超の添加が必要である。また、2.0%超
では、耐酸化性を劣化させる。したがって、0.6%
超、2.0%以下に限定した。
以下の理由により含有量を限定した。 Ni:Niは靭性、延性の改善に有効な元素であるた
め、0.6%超の添加が必要である。また、2.0%超
では、耐酸化性を劣化させる。したがって、0.6%
超、2.0%以下に限定した。
【0018】V:Vは強度、耐候性に有効な元素であ
り、0.03%以上の添加が必要である。また、0.1
5%超では、延性が低下する。したがって、0.03%
以上、0.15%以下に限定した。
り、0.03%以上の添加が必要である。また、0.1
5%超では、延性が低下する。したがって、0.03%
以上、0.15%以下に限定した。
【0019】Ti:Tiは強力な炭窒化物生成元素であ
り、Cr炭窒化物の生成を抑制し、耐粒界腐食性を改善
するとともに、強度および加工性を改善するため、0.
005%以上の添加が必要である。また、0.6%超で
は、熱間加工性を低下させる。したがって、0.005
%以上、0.6%以下に限定した。また、Ni,V,T
iについては、単独添加でも複合添加でも本発明の目的
は達せられる。
り、Cr炭窒化物の生成を抑制し、耐粒界腐食性を改善
するとともに、強度および加工性を改善するため、0.
005%以上の添加が必要である。また、0.6%超で
は、熱間加工性を低下させる。したがって、0.005
%以上、0.6%以下に限定した。また、Ni,V,T
iについては、単独添加でも複合添加でも本発明の目的
は達せられる。
【0020】以上のような成分組成に加えて、本発明の
目的を達成させるためには、以下2つの式を規定する必
要がある。[]内は、記入された各元素の重量%を示
す。 [O]/(1.5×[Al]+2.4×10-2×[S
i]+1.7×10-3×[Mn]) Oは上述のごとく、表面活性元素として、溶込み特性に
有効である。一方、製造上、脱酸剤としてAl,Si,
Mnが必要であるが、脱酸元素が過剰に添加されると、
多量の酸素が酸化物となってしまい、溶込み特性に有効
な鋼中の固溶酸素量が確保できない。そこで、Al,S
i,Mnそれぞれの脱酸力を計算し、それらの係数をお
のおのの元素量に乗じたものの総和を総脱酸力とし、酸
素量を総脱酸力で除した値を固溶酸素量のパラメーター
とした。すなわち、上述の値が小さい場合は、固溶酸素
量が少なく、溶込み深さを確保できない、また、上述の
値が大きいと、溶込み深さは深くなるが、靭性、延性を
劣化させる。したがって、上式の右辺を0.1以上、
0.2以下に限定する。
目的を達成させるためには、以下2つの式を規定する必
要がある。[]内は、記入された各元素の重量%を示
す。 [O]/(1.5×[Al]+2.4×10-2×[S
i]+1.7×10-3×[Mn]) Oは上述のごとく、表面活性元素として、溶込み特性に
有効である。一方、製造上、脱酸剤としてAl,Si,
Mnが必要であるが、脱酸元素が過剰に添加されると、
多量の酸素が酸化物となってしまい、溶込み特性に有効
な鋼中の固溶酸素量が確保できない。そこで、Al,S
i,Mnそれぞれの脱酸力を計算し、それらの係数をお
のおのの元素量に乗じたものの総和を総脱酸力とし、酸
素量を総脱酸力で除した値を固溶酸素量のパラメーター
とした。すなわち、上述の値が小さい場合は、固溶酸素
量が少なく、溶込み深さを確保できない、また、上述の
値が大きいと、溶込み深さは深くなるが、靭性、延性を
劣化させる。したがって、上式の右辺を0.1以上、
0.2以下に限定する。
【0021】[S]+[O] SとOはともに、表面活性元素として、溶融金属の表面
張力対流を内向きにし、溶込み深さを深くする。また、
過剰のSとOの添加は熱間加工性および靭性を著しく低
下させる。したがって、上式の右辺を0.006%以
上、0.01%以下に限定する。
張力対流を内向きにし、溶込み深さを深くする。また、
過剰のSとOの添加は熱間加工性および靭性を著しく低
下させる。したがって、上式の右辺を0.006%以
上、0.01%以下に限定する。
【0022】本発明は、主に、板厚0.1mmから3.0
mmのフェライト系ステンレス鋼薄板を対象に、メルトラ
ンTIG溶接した時の溶接性改善を目的としたものであ
るが、板厚3.0mm以上のフェライト系ステンレス鋼厚
板に対しても、電子ビーム溶接、レーザー溶接、プラズ
マ溶接のような溶接材料を使用しない溶接方法において
も適用でき、溶接性は優れている。さらに、TIG溶
接、MIG溶接などで溶接材料を使用する場合でも、溶
接材料の溶着量が同一の場合は、鋼板の溶融挙動の観点
から従来鋼より溶込み深さは大きくなり、溶接パス数が
減少する。
mmのフェライト系ステンレス鋼薄板を対象に、メルトラ
ンTIG溶接した時の溶接性改善を目的としたものであ
るが、板厚3.0mm以上のフェライト系ステンレス鋼厚
板に対しても、電子ビーム溶接、レーザー溶接、プラズ
マ溶接のような溶接材料を使用しない溶接方法において
も適用でき、溶接性は優れている。さらに、TIG溶
接、MIG溶接などで溶接材料を使用する場合でも、溶
接材料の溶着量が同一の場合は、鋼板の溶融挙動の観点
から従来鋼より溶込み深さは大きくなり、溶接パス数が
減少する。
【0023】
【実施例】以下、実施例に基づき発明の効果を具体的に
述べる。表1に示す化学組成の鋼を真空溶解にて溶製し
た後、公知の条件で熱間圧延、熱延板焼鈍、酸洗、冷間
圧延、仕上焼鈍、酸洗を行って、板厚1.0mmの鋼板を
作製した。これらの鋼板を次に示す条件で、メルトラン
TIG溶接を行った後、溶接部の断面検鏡を行い、溶込
み深さを測定した。さらに、溶接部のエリクセン試験を
実施した。それらの結果を表2に示す。 溶接電流 :60A 溶接電圧 :10V 溶接速度 :70cm/min 電極径 :2.4φ 電極先端角 :40゜ シールドガス:トーチ ・・・Ar 20L/min アフター・・・Ar 35L/min バック ・・・Ar 3L/min
述べる。表1に示す化学組成の鋼を真空溶解にて溶製し
た後、公知の条件で熱間圧延、熱延板焼鈍、酸洗、冷間
圧延、仕上焼鈍、酸洗を行って、板厚1.0mmの鋼板を
作製した。これらの鋼板を次に示す条件で、メルトラン
TIG溶接を行った後、溶接部の断面検鏡を行い、溶込
み深さを測定した。さらに、溶接部のエリクセン試験を
実施した。それらの結果を表2に示す。 溶接電流 :60A 溶接電圧 :10V 溶接速度 :70cm/min 電極径 :2.4φ 電極先端角 :40゜ シールドガス:トーチ ・・・Ar 20L/min アフター・・・Ar 35L/min バック ・・・Ar 3L/min
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】表2から明らかなように、比較例の中で
も、No.9,11,14は溶接部の延性は良好である
が、溶込み深さは浅く、逆に、No.13,15は溶込
み深さは深いが、延性が低くなっており、溶込み特性と
延性の両者を同時に満足していないことが分かる。それ
に対して、本発明例であるNo.1〜7は、比較例に比
べ、溶込み深さが深く、かつ同時に、溶接部の延性も良
好であり、優れた溶接性を有していることがわかる。
も、No.9,11,14は溶接部の延性は良好である
が、溶込み深さは浅く、逆に、No.13,15は溶込
み深さは深いが、延性が低くなっており、溶込み特性と
延性の両者を同時に満足していないことが分かる。それ
に対して、本発明例であるNo.1〜7は、比較例に比
べ、溶込み深さが深く、かつ同時に、溶接部の延性も良
好であり、優れた溶接性を有していることがわかる。
【0027】
【発明の効果】以上述べたように、本発明は、溶接部の
延性を確保するとともに、安定な溶込み形状が得られる
優れた溶接性を有するフェライト系ステンレス鋼を提供
することを可能としたものであり、産業上の効果は極め
て顕著である。
延性を確保するとともに、安定な溶込み形状が得られる
優れた溶接性を有するフェライト系ステンレス鋼を提供
することを可能としたものであり、産業上の効果は極め
て顕著である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 百合岡 信孝 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%で、 C :0.005〜0.02%、 Si:0.01〜1.0%未満、 Mn:0.1〜0.5%未満、 S :0.001〜0.01%未満、 Cr:10.5〜24.0%、 Al:0.001〜0.03%未満、 N :0.005〜0.04%未満、 O :0.005%超〜0.01%未満 を含有し、残りがFe及び不可避不純物よりなり、且
つ、[O]/(1.5×[Al]+2.4×10-2×
[Si]+1.7×10-3×[Mn])で表される値が
0.1以上、0.2以下であり、さらに[S]+[O]
で表される値が0.006%以上、0.01%以下であ
ることを特徴とする溶接性に優れたフェライト系ステン
レス鋼。(上記式の[]内は各元素の重量%である。) - 【請求項2】 重量%で、請求項1の成分に加えて、さ
らに、 Ni:0.6%超〜2.0%、 V :0.03〜0.15%、 Ti:0.005〜0.6% の1種以上を含有することを特徴とする請求項1記載の
溶接性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31225594A JPH08170154A (ja) | 1994-12-15 | 1994-12-15 | 溶接性に優れたフェライト系ステンレス鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP31225594A JPH08170154A (ja) | 1994-12-15 | 1994-12-15 | 溶接性に優れたフェライト系ステンレス鋼 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JPH08170154A true JPH08170154A (ja) | 1996-07-02 |
Family
ID=18027041
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31225594A Withdrawn JPH08170154A (ja) | 1994-12-15 | 1994-12-15 | 溶接性に優れたフェライト系ステンレス鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08170154A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010018821A (ja) * | 2008-07-08 | 2010-01-28 | National Institute For Materials Science | 蒸気機関用鋼製部品 |
JP5987996B2 (ja) * | 2014-01-08 | 2016-09-07 | Jfeスチール株式会社 | フェライト系ステンレス鋼およびその製造方法 |
WO2018003521A1 (ja) | 2016-06-27 | 2018-01-04 | Jfeスチール株式会社 | フェライト系ステンレス鋼板 |
-
1994
- 1994-12-15 JP JP31225594A patent/JPH08170154A/ja not_active Withdrawn
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010018821A (ja) * | 2008-07-08 | 2010-01-28 | National Institute For Materials Science | 蒸気機関用鋼製部品 |
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KR20190006005A (ko) | 2016-06-27 | 2019-01-16 | 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 | 페라이트계 스테인리스 강판 |
US11220732B2 (en) | 2016-06-27 | 2022-01-11 | Jfe Steel Corporation | Ferritic stainless steel sheet |
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