JPH08170147A - コイル長手方向の材質の均一性と表面品位に優れた常温非時効深絞り用溶融亜鉛メッキ鋼板およびその製造方法 - Google Patents

コイル長手方向の材質の均一性と表面品位に優れた常温非時効深絞り用溶融亜鉛メッキ鋼板およびその製造方法

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JPH08170147A
JPH08170147A JP31291094A JP31291094A JPH08170147A JP H08170147 A JPH08170147 A JP H08170147A JP 31291094 A JP31291094 A JP 31291094A JP 31291094 A JP31291094 A JP 31291094A JP H08170147 A JPH08170147 A JP H08170147A
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hot
coil
longitudinal direction
hot dip
steel sheet
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JP31291094A
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Kosaku Shioda
浩作 潮田
Kenichi Miyazawa
憲一 宮沢
Makoto Tefun
誠 手墳
Hirohide Asano
裕秀 浅野
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Publication date
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  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
  • Coating With Molten Metal (AREA)
  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】単純な極低炭素鋼をベースに、常温非時効性と
深絞り性などの加工性および表面部位がコイル長手方向
で極めて均一な溶融亜鉛メッキ鋼板。 【構成】重量%で、C:0.0001〜0.0026、
Si:1.0以下、Mn:0.03〜2.0、P:0.
01〜0.10、S:0.0010〜0.020、A
l:0.005〜0.1、N:0.0001〜0.00
40、B:0.0001〜0.0030を含有し、0≦
N−14Ti/48≦0.0015を満足する極微量の
Tiを添加し、残部が、Feおよび不可避的不純物であ
って、コイル長手方向における材質変動が|ΔYP|≦
15MPa、|ΔE1|≦1.5%である、長手方向の
材質の均一性と表面品位に優れた常温非時効深絞り用溶
融亜鉛メッキ鋼板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コイルの長手方向の材
質の均一性と表面品位に優れた常温非時効深絞り用溶融
亜鉛メッキあるいは合金化溶融亜鉛メッキ鋼板とその製
造方法に関する。本発明が係わる鋼板とは、自動車、家
庭電気製品、建築物などの用途にプレス成形をして使用
されるものであり、防錆や加工性などの一層の改善のた
めに上層に表面処理をさらに施した鋼板も含むものに関
する。
【0002】
【従来の技術】溶鋼の真空脱ガス処理の最近の進歩によ
り、極低炭素鋼の溶製が容易になった現在、良好な加工
性を有する極低炭素鋼板の需要は益々増加しつつある。
このような極低炭素鋼板は、一般的にTiおよびNbの
うち少なくとも一種を添加して製造されることはよく知
られている。すなわち、TiおよびNbは、鋼中の侵入
型固溶元素(C,N)と強い引力の相互作用を持ち、炭
窒化物を容易に形成する。従って、過時効処理のないラ
イン内焼鈍式の連続溶融亜鉛メッキラインで製造しても
侵入型固溶元素のない鋼(IF鋼:Interstit
ialFree Steel)が得られる。このような
IF鋼は、歪時効性や加工性を劣化させる原因となる侵
入型固溶元素を含まないので、非時効で極めて良好な加
工性を有する特徴がある。さらに、TiやNbの添加は
粗大化しやすい極低炭素鋼の熱間圧延板の結晶粒径を細
粒化し、製品板の深絞り性を改善する重要な役割も持
つ。
【0003】しかし、TiやNbを添加した極低炭素鋼
は次のような問題を有する。第一に、製造コストが高く
つく点である。すなわち、極低炭素化のための真空処理
コストに加え高価なTiやNbの添加を必要とするから
である。第二に製品板に固溶CやNが残存しないので、
二次加工脆化が発生したり塗装焼き付け硬化が消失した
りする。第三に、合金化溶融亜鉛メッキ反応で形成され
る脆いΓの生成がTiを添加した極低炭素鋼では著し
く、これを極力抑制するために溶融亜鉛メッキ系のIF
鋼にはTiとNbが添加されている。一方冷延鋼板では
主にTi添加極低炭素鋼が用いられる。従って、合理的
な低コスト製造を達成する両者の鋼種統合は困難な状態
となっている。第四にTiやNbは強い酸化物形成元素
であり、これらの酸化物が表面品質を劣化させたりす
る。
【0004】IF鋼のこのような問題を解決する目的
で、従来からTiやNbを添加しない極低炭素鋼の開発
を目的に数多くの研究開発が行われてきた。例えば、特
開昭58−141355号公報、特開昭59−8072
7号公報、特開平1−184251号公報、特開昭63
−83230号公報、特開平6−93376号公報、な
どはその例である。これらはすべて、TiやNbを含ま
ない極低炭素鋼板のプレス成形性と関わるr値や伸びな
どの特性、および塗装焼き付け硬化特性(BH特性)に
注目したものであり、上記課題の解決に取り組んでい
る。
【0005】しかし、TiやNbを添加しない極低炭素
鋼においては、加工性を害するNを熱延板で固定するた
めに、高温で熱延コイルを巻き取り、AlでNを固定す
る技術がよく知られている。しかし、高温で巻取ると、
コイラーと接触するコイル内周部および外気と接触する
外周部は、他の部分より著しく速く冷却されるために、
材質が劣化しコイル長手方向の材質に不均一性が生じる
問題がある。また、高温巻取りには、巻取り時の変形抵
抗が低い事に起因する巻ズレ疵や酸洗性の劣化などの問
題が付随する。このような問題を解決する技術が、低炭
素鋼においては特公平6−39622号公報、特開平5
−195146号公報において開示されているが、Ti
やNbを添加しない極低炭素鋼においては、公知技術は
全く無い状態である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、単純な極低炭素鋼をベースに、常温非時効
性と深絞り性などの加工性および表面品位がコイル長手
方向で極めて均一な溶融亜鉛メッキ鋼板あるいは合金化
溶融亜鉛メッキ鋼板およびその製造方法を確立すること
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】TiやNbなどの高価な
炭窒化物形成元素を使用しない単純な極低炭素鋼板にお
いて、上記した課題を解決するためには、巻ズレ疵や酸
洗性を害さない低温(700℃以下)で巻取っても、熱
延板のコイル全長にわたりNが十分固定され所望の材質
が得られることが、金属学的な必須条件である。熱延板
の固溶Nを十分低減するには、以下の基本的考え方があ
る。すなわち、(1)全N量を十分低下させる、(2)
Nを固定する元素を添加する。この中で、(1)の手段
は精錬能力に依存するが、長時間の真空脱ガス処理が必
須となる極低炭素鋼の溶製法で、Nを十分低下すること
は困難である。上記した(2)の手段として、窒化物形
成元素であるAl、B、および極微量のTi添加につい
て鋭意検討した。その結果、Alの多量添加は効果はあ
るが熱延コイルを巻取り中にAlNとしてNを十分析出
させるためには限界があり、多量のN添加が必要となり
逆に著しいコスト上昇を招くことが判明した。Bはオー
ステナイト域でBNを形成するので低温巻取りにとって
有効であることが知られているが、Bだけでは十分にN
を固定することには限界があり、多量にBを添加しすぎ
ると逆に加工性が劣化することが判明した。
【0008】そこで、本発明においては基本思想とし
て、著しいコスト上昇を生じない範囲の極微量のTi添
加について鋭意研究を重ねた。その結果、全Nの一部を
極微量のTiで固定することにより、コイル長手方向で
の材質の均一性が著しく改善され、また巻取温度も低下
できるので、巻きズレ疵のない表面品位に優れた溶融亜
鉛メッキ鋼板および合金化溶融亜鉛メッキ鋼板を得るこ
とが可能であることが判明した。さらに、加工性のレベ
ルを向上させるためには、熱間圧延の仕上げ終了後にで
きる限り速やかに急冷し熱延板の結晶粒を微細化するこ
とおよび冷延圧下率を高い値に設定すること、また常温
非時効性を安定して確保するためには焼鈍後の調質圧延
率をC量との関係で適正範囲に制御することが望ましい
ことが判明した。
【0009】本発明は、このような思想と新知見に基づ
いて構築されたものであり、その要旨とするところは以
下のとおりである。 (1)重量%で、 C :0.0001〜0.0026% Si:1.0%以下 Mn:0.03〜2.0% P :0.01〜0.10% S :0.0010〜0.020% Al:0.005〜0.1% N :0.0001〜0.0040% B :0.0001〜0.0030% Ti:0≦N−14Ti/48≦0.0015% を満足するTiを含有し、残部がFeおよび不可避的不
純物であって、コイル長手方向における材質変動が|Δ
YP|≦15MPa、|ΔEl|≦1.5%であること
を特徴とするコイル長手方向の材質の均一性と表面品位
に優れた常温非時効深絞り用溶融亜鉛メッキ鋼板。
【0010】(2)コイル長手方向の平均r値(rm)
の変動が|Δrm|≦0.15であることを特徴とする
コイル長手方向の材質の均一性と表面品位に優れた常温
非時効深絞り用溶融亜鉛メッキ鋼板。 (3)(1)に記載の化学成分よりなるスラブを熱間圧
延してから冷間圧延し所定の板厚の鋼帯としたのち、ラ
イン内焼鈍式連続溶融亜鉛メッキ設備で焼鈍と溶融亜鉛
メッキ処理をすることを特徴としたコイル内の材質の均
一性と表面品位に優れた常温非時効深絞り用溶融亜鉛メ
ッキ鋼板の製造方法。 (4)(1)に記載の化学成分よりなるスラブを熱間圧
延してから冷間圧延し所定の板厚の鋼帯としたのち、ラ
イン内焼鈍式連続溶融亜鉛メッキ設備で焼鈍と溶融亜鉛
メッキおよびそれに続く合金化処理を施すことを特徴と
したコイル内の材質の均一性と表面品位に優れた常温非
時効深絞り用合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法。
【0011】(5)(1)に記載の化学成分よりなるス
ラブを(Ar3 −50)℃以上の仕上温度で熱間圧延を
行い、その直後1.5s以内に50℃/s以上の冷却速
度で750℃以下まで冷却し常温〜700℃で巻取り、
70%以上の圧延率で冷間圧延を行い、ライン内焼鈍方
式の連続溶融亜鉛メッキ設備を用いて焼鈍温度が600
〜900℃の連続焼鈍を行い、続いて溶融亜鉛メッキと
必要に応じて合金化処理を施し、調質圧延圧下率を20
80×(C−0.0015)%以上とすることを特徴と
するコイルの長手方向の材質の均一性と表面品位に優れ
た常温非時効深絞り用溶融亜鉛メッキ鋼板および合金化
溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法。 (6)(3)、(4)および(5)の製造方法におい
て、冷延圧下率を84%以上とすることを特徴とするコ
イル内の長手方向の材質の均一性と表面品位に優れた常
温非時効深絞り用溶融亜鉛メッキあるいは合金化溶融亜
鉛メッキ鋼板の製造方法にある。
【0012】
【作用】まず本発明の基礎となった実験結果について説
明する。図1(a)、(b)および(c)は、本発明に
おいて特に重要となる単純なP添加極低炭素鋼へのTi
の極微量添加が材質の均一性に及ぼす効果について調べ
た結果を示す。本実験においては、C:約0.0013
%、Si:0.01%、Mn:0.15%、P:0.0
25%、S:0.008%、Al:0.055%、N:
0.0030%、B:0.0004%、Ti:N−14
/48Tiが0から0.0030%まで変化する範囲で
極微量添加した実験室的に溶製した真空溶解鋼を出発材
として用いた。熱間圧延条件は、熱延加熱温度:115
0℃、仕上げ温度:920℃であり、1.0s以内に7
0℃/sで急冷し、550、650、730℃で巻取っ
た。板厚5.0mmの熱延板を酸洗後0.7mmまで冷
間圧延(圧下率=86%)し、ライン内焼鈍式連続溶融
亜鉛メッキのパイロットラインを用いて焼鈍・メッキ処
理を行った。加熱速度=10℃/s、焼鈍温度=780
℃、冷却=10℃/sで470℃まで冷却し、溶融亜鉛
のポットに浸漬し、合金化処理のために10℃/sで5
20℃まで再加熱し5s保定の後常温まで空冷した。圧
下率1.0%の調質圧延を施し、引張試験に供した。
【0013】引張試験方法は、JIS2241記載の方
法に従った。材質のコイル長手方向の均一性の指標とし
て、ΔX=|X(CT=730℃の特性値)−X(CT
=550あるいは650℃の特性値)|を定義し、これ
を図1の縦軸に表した。ここで、CTは巻取り温度を示
す。実際の熱延コイルでは、例えば700℃以上の高温
で巻取ったとしても、コイル長手方向中央部の温度と比
較してマンドレルと接触する内周部(T部)および外気
と接触する外周部(B部)の温度は著しく低下すること
になる。一方、巻取り温度が600℃以下になればコイ
ル両端部での温度低下はそれほど大きくなく、コイル端
部での材質劣化は中央部と比較してそれ程なく、また巻
ズレ疵も全く生ぜず、酸洗性も良好であることが知られ
ている。従って、上述した指標ΔXは小さいほど好まし
いことになる。
【0014】図1(a),(b)(c)から明らかなよ
うに、ΔYP,ΔEl,ΔrmなるΔXはN−14/4
8Tiが0.0015%以下、特に好ましくは0.00
10%以下になると著しく改善される。CT=550℃
のように低温で巻き取っても、所望の目標とする材質範
囲内に入る。このようにN−14/48Tiの低減によ
りΔXが改善される理由について述べる。本発明におけ
るTi添加の役割は、鋼中のNを粗大なTiNとして高
温で(凝固後のδあるいはγ相で既に析出すると考え
る)固定し、無害化する点にある。従って、図1の横軸
のN−14/48Tiは、TiNとして析出したNを除
いたNに相当し、このようなNは低ければ低いほど好ま
しい。従来の技術においては、初期のNをAlNとして
固定するために、700℃超の高温で熱延コイルを巻取
ることが常套手段であった。
【0015】一方、本発明においては、極微量のTi添
加により全Nの一部をTiNとして既に無害化している
ので、実質的には全Nが著しく低減された鋼となってい
る。従って、低温巻取りをしても材質を確保できること
になる。一方、従来のIF鋼の基本思想は、CやNの全
てを完全にTi,Nbで固定することであり、本発明の
基本思想が全Nの一部を固定し、Cは固溶させて二次加
工性や疲労強度および塗装焼付け硬化性などに積極的に
活用する点とは全く異なる。さらに加えれば、極低炭素
鋼を対象とする本発明では、特開平5−195146号
公報で開示されている低炭素鋼の場合と異なり、全C量
が極微量であるので熱延板のCの存在状態は巻取り温度
によって変化することはない。従って、Cが材質の巻取
り温度依存性を支配するわけではない。
【0016】ここに本発明において鋼組成および製造条
件を上述のように限定する理由についてさらに説明す
る。 C:Cは、製品の材質特性を決定する極めて重要な元素
である。C量が上限の0.0026%超となると、調質
圧延の圧下率を制御してももはや常温非時効でなくなる
ので、上限を0.0026%とする。一方、C量が0.
0001%未満となると、二次加工脆化が発生する。ま
た、製鋼技術上極めて到達困難な領域であり、コストも
著しく上昇する。従って、下限は0.0001%とす
る。 Si:Siは安価に強度を上昇する元素であるが、1.
0%超となると溶融亜鉛メッキのメッキ密着性が著しく
低下するので、その上限を1.0%とする。
【0017】Mn:MnはSiと同様に強度を上昇させ
るに有効な元素である。また、極微量のTiしか添加し
ない本発明鋼では、MnがSを固定するので、Mnは熱
間圧延時の割れを防止する役割をもつ。低Mn化は従来
からr値の向上に好ましいと言われているが、Mn量が
0.03%未満では、熱間圧延時に割れが生じる。従っ
て、Mn量の下限を0.03%とする。一方、Mnは、
本発明のようにPを添加した極低炭素鋼の熱間圧延板結
晶粒の細粒化に効果的である知見を得た。これは、両元
素が熱力学的にはAr3 温度に対して相殺する方向に働
き、かつ両元素ともγからαへの変態を速度論的に遅ら
せるためと考えられる。従って、Mn量を著しく増加さ
せると一般的にはr値が著しく劣化するが、本発明のよ
うにP量が0.01%以上で極低炭素鋼の場合には、2
%まで添加してもそれほど劣化しないという有益な知見
も得た。以上の理由から、Mn量の上限は2%とする。
【0018】P:PもSi、Mnと同様に強度を上昇す
る元素として知られており、その添加量は狙いとする強
度レベルに応じて変化する。極低炭素鋼の場合には熱間
圧延板の結晶粒径が粗大化し、冷延焼鈍後のrm、特に
45が劣化する。しかし、Pは0.01%以上の添加に
より熱延板粒径を細粒化する効果を持つので、その下限
を0.01%とする。一方、添加量が0.10%超とな
ると、冷間圧延性の劣化、製品板の二次加工脆化、亜鉛
メッキのZn−Fe合金化反応の著しい低下などが発生
するので、P添加量の上限は0.10%とする。 S:Sは、MnSを通して微妙に材質に影響する。しか
し、S量が0.001%未満になると製造コストが著し
く上昇するので、これを下限値とする。一方、0.02
0%超になるとMnSが数多く析出しすぎ加工性が劣化
するので、これを上限値とする。
【0019】Al:Alは脱酸調整に使用するが、0.
005%未満では安定して脱酸することが困難となる。
一方、0.1%超になるとコスト上昇を招く。従って、
これらの値を下限値および上限値とする。 N:Nは低い方が好ましい。しかし、0.0001%未
満にするには著しいコスト上昇を招くので、これを下限
値にする。一方、0.0080%以上になると加工性が
著しく劣化するので、0.0080%をN量の上限値と
する。
【0020】B:Bは、製品板の二次加工性の防止やス
ポット溶接部の継ぎ手強度を確保するために有効な元素
である。その効果を発揮するためには、0.0001%
以上の添加が必要である。0.0001%未満では、二
次加工性の防止やスポット溶接HAZ部の軟化防止には
不十分である。また、0.0030%超になると添加コ
ストの上昇、材質の劣化やスラブ割れの原因となるの
で、これを上限とする。さらに、Bの添加量はB/(N
−14Ti/48)>1が好ましい。これは、HAZ部
の軟化を防止する組織微細化には、BNを形成していな
い固溶状態のBが効果的であるからである。
【0021】Ti:本発明は、全Nの一部をTiNとし
て固定するために極微量のTiを添加することが特徴で
ある。Tiの添加量は、Ti:0≦N−14Ti/48
≦0.0015%、特に好ましくはN−14Ti/48
≦0.0010%を満足する量とする。Ti添加量がN
−14Ti/48<0となるまでTiを添加し過ぎる
と、微細なTiCが形成され再結晶温度の急激な上昇な
どの弊害およびTiの添加コスト上昇が生じ、本発明の
特徴とする単純な極低炭素鋼でなくなる。従って、Ti
添加量の上限は、N−14Ti/48=0とする。一
方、Ti添加量が少な過ぎ、N−14Ti/48>0.
0015となると、既に図1に示したように、コイル端
部の材質劣化が大きくなり、材質の均一性に問題が発生
する。従って、Ti添加量の下限はN−14Ti/48
=0.0015とする。特に、下限をN−14Ti/4
8=0.0010とするとコイル長手方向の均一性は増
す。
【0022】次に、製造条件の限定理由を述べる。 熱間圧延条件:製品板の加工性を確保するために、(A
3 −50)℃以上の温度で仕上げる。仕上げ温度が、
(Ar3 −50)℃未満となると製品板の材質や表面品
位(表面にリジング状の凹凸が発生)が劣化する。さら
に、熱間圧延の仕上げ後1.5s以内に50℃/s以上
の冷却速度で750℃以下の温度まで急冷すると熱間圧
延板の結晶粒径が細粒化し、最終製品板の深絞り性が向
上するので好ましい。特に、0.5s以内の急冷が好ま
しい。巻き取り温度は、700℃超となると、熱延コイ
ル巻取り後のコイル端部での冷却速度が著しく速くな
り、材質劣化が大きく長手方向で材質が不均一となる。
また、巻き取り中の異常粒成長や、酸洗性の劣化、巻取
り時の巻きズレ疵の発生が生じるので、これを上限値と
する。一方、本発明では巻取り温度は常温でもよく、こ
の場合には製造リードタイムの短縮や生産性の向上に一
層貢献できる。
【0023】冷間圧延条件:製品板のr値を確保する目
的から、圧下率は70%以上とする。本発明が対象とす
る極低炭素鋼板の場合には、圧下率を84%以上にする
とr 45が著しく向上し、r値の面内異方性が低減しかつ
組織が微細化する。従って、深絞り性の厳しい用途に本
発明による鋼板を適用する場合には、この条件は特に好
ましい。 ライン内焼鈍方式連続溶融亜鉛メッキ条件:再結晶およ
び粒成長のための焼鈍温度は600〜900℃の範囲と
する。焼鈍温度が600℃未満では、再結晶は不十分で
あり、製品板の加工性が問題となる。焼鈍温度の上昇と
ともに加工性は向上するが、900℃超では高温すぎて
板破断や板の平坦度が悪化する。また、逆に加工性も劣
化する。溶融亜鉛メッキ条件および合金化条件は、通常
の条件でよい。また、極微量のTiしか添加しない本発
明では、合金化反応が比較的安定的に進行するメリット
もある。
【0024】調質圧延条件:製品板の非時効性を確保す
るためには、調質圧延の圧下率を適正範囲に制御するこ
とがポイントである。人工時効(100℃−1h)後の
降伏点伸び(YP−El)におよぼすC量と調質圧延の
圧下率との関係について鋭意検討した結果、図2の結果
を得た。すなわち、人工時効後においてYP−Elを
0.2%以下に抑制するためには、圧下率とC量との関
係を、次に述べる特定の範囲に制御する必要がある。す
なわち、調質圧延の圧下率は0.3%以上と2080×
(C−0.0015)%以上の範囲で、かつC量は0.
0026%以下の領域で囲まれた領域に制御する。かく
して、本発明は新思想と新知見に基づいて構築されたも
のであり、本発明によれば極微量のTiを添加した極低
炭素鋼を用いて、コイル長手方向の材質の均一性と表面
品位に優れた常温非時効深絞り用溶融亜鉛メッキ鋼板あ
るいは合金化溶融亜鉛メッキ鋼板が得られる。
【0025】
【実施例】
実施例1 表1に示す組成からなる連鋳スラブを、1150℃に加
熱し、920℃で熱間圧延を仕上げ、5.5mmの熱延
板としたのち1.0s以内に70℃/sで冷却し、68
0℃で巻取った。ついで、85%の圧下率の冷間圧延を
施し0.8mm厚とした後、ライン内焼鈍式連続溶融亜
鉛メッキのプロセスに供した。最高焼鈍温度は、750
℃である。溶融亜鉛メッキは、0.1%Alを含有する
460℃の溶融亜鉛浴に約2秒浸漬した。また、必要に
応じて520℃まで再加熱し約20秒間保定するZn−
Feの合金化処理を施した。さらに、圧下率が1.2%
の調質圧延を行った。このようにして得られた各鋼板の
引っ張り試験値とそのコイル長手方向のバラツキを表2
に示す。ここで、表2に示した引っ張り試験値は、コイ
ル長手方向中央部の値である。引っ張り試験方法は、J
IS2241記載の方法に従った。また、塗装焼き付け
硬化性(BH)は、2%引っ張り歪の後170℃−20
minの焼き付け相当処理を行い、再度引っ張り試験を
行った場合の降伏点の上昇量である。BH量が30MP
a以上であれば、BH仕様の鋼板となる。A.I.は、
時効性の指標であり、10%引っ張り予歪を与えた後、
100℃−1hの人工時効処理を行い再引っ張り試験を
行った際の応力の上昇量であり、A.I.が35MPa
以下であれば実質常温非時効となる。また、コイル長手
方向バラツキの指標である、ΔYP、ΔEl、Δrm
は、長手方向中央部の値と長手方向端部の値の差の絶対
値である。表1から明かなように、本発明によるもの
は、ΔYPが15MPa以内、ΔElが1.5%以内、
Δrmが0.15以内とコイル長手方向の引っ張り特性
値のバラツキが小さい。また、人工時効後の降伏点伸び
も0.2%以下であり、非時効特性を有する。また、C
が適量な場合には、BH量も30MPa以上となり、B
H特性も付与することができる。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】実施例2 表1の鋼A、Eの組成からなる連鋳スラブを、1150
℃に加熱し、930℃で熱間圧延を仕上げ、5.0mm
の熱延板としたのち、670℃で巻取った。ついで、8
6%の圧下率の冷間圧延を施し0.7mm厚とした後、
実施例1と全く同様のライン内焼鈍式の合金化溶融圧延
メッキ処理を施した。圧下率が1.2%の調質圧延を行
った。このようにして得られた各鋼板のコイル長手方向
の全長にわたるrmの変化を図3に示す。本発明によっ
て製造された鋼板Aのコイル長手方向でのrmのバラツ
キは比較鋼板のEより小さく、長手方向での均一性に優
れる。
【0029】実施例3 表1の鋼A、Eの組成からなる連鋳スラブを、1150
℃に加熱し、930℃で熱間圧延を仕上げ、5.0mm
の熱延板とした後、500〜750℃の範囲で巻取っ
た。ついで、86%の圧下率の冷間圧延を施し0.7m
m厚とした後、実施例2と全く同様のライン内焼鈍式合
金化溶融亜鉛メッキを施した。続いて、圧下率が1.2
%の調質圧延を行った。このようにして得られた各鋼板
のコイル長手方向中央部でのr値を表3に示す。本発明
によって製造された鋼板Aは比較鋼板のEより巻取温度
依存性が著しく小さい。従って、本発明により、低温巻
取り化が可能であり、コイルの最内、外周部での急冷が
問題とならないのでコイル全長にわたり優れた材質特性
が得られる。また、表3に示すように、端部の巻きズレ
起因の疵も著しく低減できる。
【0030】
【表3】
【0031】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によればコ
イル長手方向の材質が均一な常温非時効で深絞り用の溶
融亜鉛メッキ鋼板が、極微量のTiを添加するだけで得
られる。このような鋼板は、ユーザーでの連続ラインで
のプレス成形用途に好適であり、プレス合格率が著しく
高いのでその意義は大きい。さらに、熱延の低温巻取が
可能となるので、巻きズレ疵の防止も可能であり、全体
としてのコストの低減が達成できる効果がある。また、
本発明は、安定的かつ容易に塗装焼き付け硬化性も付与
できる特徴も有する。さらに、溶融アルミメッキを施す
表面処理鋼板、およびその製造にも適用が可能である。
このように、本発明は、従来技術と比較し安価でかつユ
ーザーでの利用特性に優れた鋼板およびその製造を提供
することになる。また、本発明によれば、高価な元素で
あるNbは使用せず、Tiの使用も極微量でよいので、
本発明は、地球資源を確保したり、地球環境保全にも寄
与するものと考えられ、その効果は著しい。
【図面の簡単な説明】
【図1】材質のコイル長手方向でのバラツキに相当する
ΔYP、ΔEl、Δrmと(N−14Ti/48)との
関係を巻取温度との関係で示す図、
【図2】時効性(100℃−1h後のYP−El)に及
ぼす全C量と調質圧延の圧下率との影響を示す図、
【図3】rmの製品コイル長手方向での変化を示す図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C23C 2/28 (72)発明者 浅野 裕秀 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株式 会社君津製鐵所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C :0.0001〜0.0026% Si:1.0%以下 Mn:0.03〜2.0% P :0.01〜0.10% S :0.0010〜0.020% Al:0.005〜0.1% N :0.0001〜0.0040% B :0.0001〜0.0030% Ti:0≦N−14Ti/48≦0.0015% を満足するTiを含有し、残部がFeおよび不可避的不
    純物であって、コイル長手方向における材質変動が|Δ
    YP|≦15MPa、|ΔEl|≦1.5%であること
    を特徴とするコイル長手方向の材質の均一性と表面品位
    に優れた常温非時効深絞り用溶融亜鉛メッキ鋼板。
  2. 【請求項2】 コイル長手方向の平均r値(rm)の変
    動が|Δrm|≦0.15であることを特徴とするコイ
    ル長手方向の材質の均一性と表面品位に優れた常温非時
    効深絞り用溶融亜鉛メッキ鋼板。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の化学成分よりなるスラ
    ブを熱間圧延してから冷間圧延し所定の板厚の鋼帯とし
    た後、ライン内焼鈍式連続溶融亜鉛メッキ設備で焼鈍と
    溶融亜鉛メッキ処理をすることを特徴とするコイル内の
    材質の均一性と表面品位に優れた常温非時効深絞り用溶
    融亜鉛メッキ鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の化学成分よりなるスラ
    ブを熱間圧延してから冷間圧延し所定の板厚の鋼帯とし
    たのち、ライン内焼鈍式連続溶融亜鉛メッキ設備で焼鈍
    と溶融亜鉛メッキおよびそれに続く合金化処理を施すこ
    とを特徴としたコイル内の材質の均一性と表面品位に優
    れた常温非時効深絞り用合金化溶融亜鉛メッキ鋼板の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の化学成分よりなるスラ
    ブを(Ar3 −50)℃以上の仕上温度で熱間圧延を行
    い、その直後1.5s以内に50℃/s以上の冷却速度
    で750℃以下まで冷却し常温〜700℃で巻取り、7
    0%以上の圧延率で冷間圧延を行い、ライン内焼鈍方式
    の連続溶融亜鉛メッキ設備を用いて焼鈍温度が600〜
    900℃の連続焼鈍を行い、続いて溶融亜鉛メッキと必
    要に応じて合金化処理を施し、調質圧延圧下率を208
    0×(C−0.0015)%以上とすることを特徴とす
    るコイルの長手方向の材質の均一性と表面品位に優れた
    常温非時効深絞り用溶融亜鉛メッキ鋼板および合金化溶
    融亜鉛メッキ鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項3、4および5の製造方法におい
    て、冷延圧下率を84%以上とすることを特徴とするコ
    イル内の長手方向の材質の均一性と表面品位に優れた常
    温非時効深絞り用溶融亜鉛メッキあるいは合金化溶融亜
    鉛メッキ鋼板の製造方法。
JP31291094A 1994-12-16 1994-12-16 コイル長手方向の材質の均一性と表面品位に優れた常温非時効深絞り用溶融亜鉛メッキ鋼板およびその製造方法 Ceased JPH08170147A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104962809A (zh) * 2015-07-07 2015-10-07 武汉钢铁(集团)公司 含铌合金化热镀锌汽车外覆盖件用钢及其制造方法

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