JPH0816748B2 - 光学素子 - Google Patents

光学素子

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JPH0816748B2
JPH0816748B2 JP2225161A JP22516190A JPH0816748B2 JP H0816748 B2 JPH0816748 B2 JP H0816748B2 JP 2225161 A JP2225161 A JP 2225161A JP 22516190 A JP22516190 A JP 22516190A JP H0816748 B2 JPH0816748 B2 JP H0816748B2
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optical element
cell
gel
light
surfactant solution
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勇一 吉野
達夫 永井
純一 次田
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Japan Steel Works Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
本発明は、光弁や表示装置、あるいは調光ウインドー
等に用いられる光学素子に関するもので、特に、外部か
らの操作によって着色状態を変化させることのできる光
学素子に関するものである。
【従来の技術】
外部からの操作によって光の透過率や屈折率あるいは
散乱率等の光学特性を変化させることができる光学素子
としては、液晶を利用するもの(例えば特開昭55−9692
2号公報参照)、エレクトロクロミック材料を利用する
もの(例えば特開昭63−236016号公報参照)、異方性粒
子の分散体を利用するもの(例えば特開昭64−57242号
公報参照)などが知られている。 液晶を用いた光学素子は、液晶分子が電界によって配
向することを利用するもので、電界が印加されていない
ときには液晶分子がランダムな方向を向いており、光が
その液晶分子によって散乱されるので不透明であるが、
電界が印加されると、液晶分子が電界の方向に配向して
光が透過するようになるので、透明となる。また、エレ
クトロクロミック材料を用いた光学素子は、エレクトロ
クロミック材料がイオンの挿入あるいは抽出によって色
変化を起こすことを利用するもので、電流を流すことに
よって着色あるいは消色する。異方性粒子を用いた光学
素子も、その異方性粒子が電界によって配向することを
利用するもので、電界が印加されていないときには、ラ
ンダムな方向を向いた粒子によって光が反射あるいは吸
収されるので、着色状態にあるが、電界が印加される
と、粒子が電界方向に配向することによって光透過率が
高くなる。 これらはいずれも電界の印加によって光学特性が変化
する光学素子である。そのほか、高分子ゲルの相転移に
伴う光散乱性の変化を利用するようにした光学素子につ
いても提案されている(例えば特開昭61−151621号公報
参照)。この光学素子は、ゲルが膨潤状態では透明にな
り、相転移によって液体を吐き出すと光を散乱して不透
明になるという性質を利用するものである。
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの光学素子には次のような問題
がある。 まず、液晶を用いる光学素子の場合には、電界を印加
したときに透明となるが、その逆にはならない。すなわ
ち、透明状態に保つためには電界の印加を継続すること
が必要となる。また、電界が印加されていないときには
不透明となるが、光の反射あるいは吸収によって不透明
となる訳ではなく、散乱によって不透明となっているだ
けであるので、透過光の光量は電界が印加されている場
合に比べてほとんど変化しない。しかも、不透明状態に
おける色調は実質的に乳白色に限られている。 一方、エレクトロクロミック素子は、記憶効果があ
り、通電によって一旦着色あるいは消色すると、通電を
止めてもその状態を維持することができるという利点を
有しているが、大形になると応答速度が著しく遅くなる
という欠点がある。しかも、色調変化はエレクトロクロ
ミック材料に固有のものであり、望みの色に変化させる
ことはできない。現状では、着色状態で実質的に青色、
消色状態で透明のものに限られている。 異方性粒子を分散させた光学素子の場合には、電界を
印加すると透明、電界の印加を止めると着色状態に変化
するが、この場合にも、その逆の作動は不可能である。
また、着色状態における色調は粒子に固有のものとな
り、望みの色に変化させることはできない。更に、長時
間電界を印加し続けると粒子が凝集して斑点状の模様が
発生するなどの欠点もある。 また、高分子ゲルを用いた光学素子の場合には、透明
から不透明、あるいは不透明から透明へと可逆的に変化
させることはできるが、素子を着色させることはできな
い。 本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであ
って、その目的は、電界を印加しないときに透明で印加
したときに着色状態とすることができ、しかも、着色状
態における色調を自由に変えることができる光学素子を
得ることである。 また、本発明の他の目的は、大きさにかかわらず応答
速度を一定に保つことのできる光学素子を得ることであ
る。
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明では、ラメラー構
造を有する界面活性剤溶液を利用するようにしている。 その界面活性剤溶液は、ある種の高分子ゲルととも
に、少なくとも一方の壁が透明とされたセル内に配置さ
れる。その高分子ゲルは、外部から刺激を与えることに
よって相転移を起こし、界面活性剤溶液の溶媒を吸収あ
るいは排出するものである。
【作用】
特定の種類の界面活性剤は、一定濃度以上でラメラー
構造の液晶を形成する。このラメラー構造を有する溶液
に光が入射すると、結晶による光の回折現象と同じ原理
でラメラー層において回折が起き、特定波長の光が反射
する。そして、反射光と補色関係の光が透過する。ラメ
ラー層の厚さは界面活性剤溶液の濃度によって異なるの
で、その光の色は界面活性剤溶液の濃度に応じて変化す
ることになる。また、ラメラー層の厚さが可視光の回折
条件を満足する範囲を超えると透明となる。 一方、高分子ゲルのある種のものは、液体を吸って膨
潤し、これに電界を印加したり温度変化を与えたりする
と、相転移を起こして液体を排出する。この際の液体の
排出量は電界の強さや温度によって変化する。また、こ
のようなゲルには、膨潤した状態では透明であるが液体
を完全に排出した状態では不透明になるものが多い。 そこで、そのような高分子ゲルに界面活性剤溶液の溶
媒を吸収させて膨潤させた状態で、ラメラー構造を有す
る界面活性剤溶液とともにセル内に配置し、上述のよう
に光学素子を構成する。そして、ゲルに外部から刺激を
与えて界面活性剤溶液の溶媒を適度に排出させる。する
と、界面活性剤溶液の濃度が低くなってその色調が変化
する。刺激を止めると、ゲルは再び界面活性剤溶液の溶
媒を吸収して元の状態に戻る。その場合の色調変化は溶
液濃度の変化に応じたものとなる。したがって、セルに
おいて反射される光あるいは透過する光を観察すれば、
その色が変化することになる。 こうして、透明状態から着色状態へ、また、ある着色
状態から他の着色状態へと変化させることのできる光学
素子を得ることが可能となる。
【実施例】
以下、図面を用いて本発明をより詳細に説明する。 まず、本発明による光学素子の原理について説明す
る。 界面活性剤を水溶液すなわち溶媒に添加していくと、
ある濃度以上でミセルが形成される。そのミセルは、一
般には球状あるいは棒状であるが、ある種の界面活性剤
の場合には、一定濃度以上でラメラー構造を有する液晶
状態となる。第1図に示されているように、界面活性剤
の分子1は親水基2と疎水基3とを有している。親水基
2及び疎水基3の大きさがほぼ等しく、親水基2の極性
が強い界面活性剤の場合には、水溶液に溶解させると、
界面活性剤の分子1が互いに疎水基3を向け合って並ん
だ層4が形成され、その層4が重なり合い、その層4と
層4との間に水溶液の分子が入り込んだ構造となる。こ
れがラメラー構造である。このような液晶構造における
ラメラー層の厚さd、すなわち隣り合う層4と層4との
間の距離は、界面活性剤溶液の濃度によって変化する。 このようなラメラー構造を有する界面活性剤溶液に光
が入射すると、あたかも結晶のように回折現象が起き
る。その場合、ラメラー層の厚さdと光の波長λ及び入
射角θとの間には、 nλ=2d sinθ (n=1,2,…) という関係が成立する。したがって、可視光のある波長
の光が回折を起こすと、その波長の光は強く反射され
る。その結果、反射光はその波長に応じた色となり、透
過光はそれと補色関係の色となる。 そして、上述のようにラメラー層の厚さdは界面活性
剤溶液の濃度によって変化する。すなわち、ラメラー構
造を有する界面活性剤溶液は、その濃度の変化に応じて
色が変化することになる。例えばジグリセリンのある種
のアルキルエーテルの水溶液は、濃度1重量%で反射光
が赤色となり、濃度の増加に伴って黄色から緑色、青色
と変化し、濃度2重量%で紫色となる。濃度が1重量%
以下あるいは2重量%以上では、可視光を回折する条件
とならないので、水溶液は透明となる。 このようなラメラー構造の液晶を形成する界面活性剤
は比較的多いが、可視光の回折条件を満足するために
は、ラメラー層の厚さがおよそ150nm〜350nmとなるもの
でなければならない。そのような界面活性剤としては、
イソステアリルジグリセリルエーテルやミリスチルジグ
リセリルエーテルがあるが、これに限らない。ラメラー
層が湾曲せず、層間に多量の水を含ませることができる
ものであればよい。特に、その会合体が水を多量に溶解
して、可視光の全波長範囲で回折条件を満足するように
膨潤するものが最も望ましいが、部分的な波長範囲での
み回折条件を満足するものであっても有用である。 界面活性剤の性質から、これを溶解する溶媒は、水及
び塩や有機溶媒などのうち水に溶解するものを一定限度
内で含む混合溶媒に限られる。非水溶媒ではラメラー状
の会合体が形成されない。ラメラー層の厚さは、このよ
うな溶解物質の種類や量によっても影響を受けると考え
られる。 このような液晶状の構造を有する界面活性剤溶液が発
色するために必要な条件は、ラメラー層の厚さが可視光
の回折条件を満足することであるから、界面活性剤の種
類は問われない。ラメラー層の厚さは、界面活性剤の分
子の長さや親水基の極性の強さのほかに、界面活性剤が
イオン性であるか非イオン性であるかも関係すると考え
られる。また、溶液の媒質が純粋な水であるかアルコー
ルなどを含む混合溶媒であるかによっても異なるものと
考えられる。いずれにしても、ラメラー層の厚さが可視
光の回折条件を満足する液晶状の界面活性剤溶液であれ
ば、界面活性剤の種類や溶媒との組み合わせに関係な
く、本発明の光学素子に用いることができる。 また、紫外光や赤外光を回折する界面活性剤溶液も有
用である。そのような界面活性剤溶液を用いて光学素子
を作れば、その光学素子は紫外光あるいは赤外光を遮断
する光シャッタなどに応用することができる。したがっ
て、本発明で用いられる界面活性剤溶液は、ラメラー層
の厚さが可視光の回折条件を満足するものには限らな
い。 このようなラメラー構造を有する界面活性剤溶液を、
ある種の高分子ゲルとともにセル内に収容して、本発明
の光学素子を構成する。 高分子ゲルは液体を吸収して膨潤するが、ある種のも
のは、相転移に伴って液体の吸収能が大きく変化する。
したがって、そのようなゲルは、相転移が起こると、液
体を更に吸収したり吐き出したりする。相転移は電界や
温度の変化のほか溶液のpHやアルコール濃度の変化など
によって引き起こされるが、電気的刺激あるいは熱的刺
激によって相転移を起こさせる方法が実用的に利用しや
すい。また、このようなゲルには、膨潤した状態で透明
あるいは半透明になるものが多い。ゲルは水をよく吸収
するが、水に溶解する塩や有機溶媒などが多少溶けてい
る溶液でも吸収する。このような高分子ゲルの挙動につ
いては多くの文献に記載されている(例えば奥居徳昌
著、「化学工業」第60巻第10号、1989年発行、第897〜9
03ページ参照)。 本発明の光学素子に使用し得る高分子ゲルには多種多
様なものがある。多くのゲルは膨潤した状態で無色透明
になるが、素子の目的によっては必ずしも無色である必
要はなく、着色していても構わない。特に反射型素子の
場合には透明である必要もない。したがって、例えばメ
タクリル酸、メチルアクリラート、アクリルアミド、あ
るいはメタクリルアミドなどのモノマーを、メチレンビ
スアクリルアミドなどのアクリル系モノマーやオリゴマ
ー、ジアリルフタラートなどの多官能性アリル系モノマ
ー、あるいはエチレングリコールジアクリラートなどの
多官能性アクリル系モノマーやオリゴマーで架橋したも
のなど、これまでに公知の高分子ゲルを使用することが
できる。 高分子ゲルはフィルム状であればよく、また、繊維状
あるいは粒状であってもよい。ただし、繊維状や粒状の
場合には、膨潤状態における透明度を確保するために、
100ミクロン以下のサイズのものであることが望まし
い。 更に、用途によっては、染料をゲル内部の3次元網目
構造の中に固定して外部の液体に溶出しないようにした
着色ゲルを用いることもできる。そのようなゲルにおい
ては、色素は化学的に結合されているので、液体のみが
相転移に伴って吸収あるいは吐出される。 次に、本発明による光学素子の具体的な構造について
説明する。 第2図は、本発明による光学素子の原理的な実施例を
示す概略縦断面図である。 この図から明らかなように、この光学素子10はセル11
を備えている。セル11は薄い箱形のもので、対向する壁
12,13のうち少なくとも光が入射する方の壁12は透明と
されている。そのセル11内には、上述のようなラメラー
構造を有する界面活性剤溶液14と高分子ゲル15とが収容
されている。その高分子ゲル15には、セル11の端面に設
けられた電極16,16を介して外部から通電されるように
なっている。 ゲル15は、あらかじめ界面活性剤溶液14の溶媒を吸収
させることにより膨潤状態とされている。 このように構成された光学素子10において、電極16,1
6を通して高分子ゲル15に通電すると、その電圧の大き
さに応じてゲル15は第3図に示されているように収縮
し、溶媒を吐き出す。したがって、セル11内の界面活性
剤溶液14が溶媒によって希釈され、その濃度が低下す
る。ただし、ゲル15は、収縮した状態でも完全に収縮す
る訳ではなく、膨潤の程度に変化が生ずるのみで、ゲル
15の透明度が失われない範囲で収縮する。また、通電を
止めると、ゲル15は再び溶媒を吸収して膨潤し、界面活
性剤溶液14は元の濃度に戻る。 このようにして、高分子ゲル15に電圧を印加し、ま
た、その印加を止めることによって、セル11内の界面活
性剤溶液14の濃度が変化する。しかも、その濃度は、印
加する電圧の大きさによって自由に変えることができ
る。そして、高分子ゲル15は透明状態のまま保たれる。
したがって、上述の原理により、セル11すなわち光学素
子10の着色状態が変化する。 界面活性剤溶液14の濃度をあらかじめ限界値よりも高
く設定しておいて、電圧印加によって濃度を低下させる
ようにすれば、自然状態では透明で電圧印加によって着
色する光学素子を得ることができる。また、印加する電
界強度によってゲル15の収縮量を変え、界面活性剤溶液
14の濃度がその着色範囲内で種々に変化するようにして
おけば、電界強度を変えることによって種々の着色状態
となる光学素子を得ることができる。例えば界面活性剤
として上述のジグリセリンのアルキルエーテルを用いる
場合、あらかじめセル11内の溶液14の濃度を2%以上に
しておき、高分子ゲル15に電圧を印加して、その溶液14
の濃度を2%以下で1%以上の範囲に低下させると、セ
ル11は透明から着色状態に変化する。また、あらかじめ
その溶液14の濃度を1%以上で2%以下に設定してお
き、それを希釈して濃度を1%以下に低下させるように
すれば、セル11は着色状態から透明となる。更に、その
溶液14の濃度を1%から2%の範囲で自由に変えられる
ようにしておけば、セル11は種々の色を呈するようにな
る。 その場合、着色の速度は界面活性剤溶液14の混合速度
によって左右されるが、その速度は素子10の大きさによ
らず一定である。しかも、一般にゲル15の厚さは膨潤状
態で0.3〜3mm(好適には0.5〜1mm)程度、界面活性剤溶
液14の厚さは同じく膨潤状態で0.1〜1mm(好適には0.2
〜0.5mm)程度とされるから、ゲル15の膨潤、収縮に伴
う界面活性剤溶液14の混合は、通常、数秒以内で行われ
る。 この間において、界面活性剤はゲル15の網目構造より
も大きな液晶を形成しているので、ほとんどの界面活性
剤はゲル15には吸収されない。ゲル15に吸収される一部
の界面活性剤も網目構造の中では液晶を形成することは
できないので、ゲル15は透明なまま保たれる。 このような光学素子10において、セル11の壁12,13を
ともに透明としておけば、その光学素子10は反射型ある
いは透過型のいずれともすることができる。例えばその
セル11を光の入射側から見ると、そのセル11は反射光の
色となる。また、反射側から見ると、そのセル11は、透
過光の色となる。その場合、反射光と透過光とは補色関
係にあるので、見る方向によって色が全く異なって見え
ることになる。ただし、反射光は特定波長の光のみであ
るから、その光強度は透過光に比べて弱い。いずれの場
合にも、その発色の原理は界面活性剤溶液14による回折
現象であるので、その溶液14の濃度を変化させることに
よって色変化させることができる。 光の入射側とは反対側の壁13を不透明とすると、その
光学素子10は反射型素子となる。その場合、セル11内の
溶液14及び高分子ゲル15を透過した光は壁13によって反
射されて戻る。したがって、その壁13を、特定の波長の
光のみを反射する物質で形成しておくと、溶液14からの
反射光と壁13からの反射光とを合成した光が観察される
ことになる。また、その壁13に光を吸収あるいは散乱す
る性質を持たせておくと、その壁13による反射は弱めら
れるので、ほぼ溶液14からの反射光のみが観察されるこ
とになる。いずれの場合にも、観察者の目に入る光のス
ペクトルは界面活性剤溶液14の色によって異なるので、
その溶液14からの反射光の波長が変化すれば、観察者に
はセル11の色が変化したとして認識されることになる。 膨潤した高分子ゲル15をセル11内に配置あるいは固定
する方法には、外部で製作した高分子をセル11に接着剤
で接着してから溶媒を吸わせて膨潤させる方法や、セル
11の製造過程で重合反応を起こさせてセル11内で直接高
分子を形成し、固定してから溶媒を吸わせて膨潤させる
方法のほか、セル11の内外で製作したゲル15を種々の物
理的あるいは機械的な方法で固定する方法などがある。
例えば第2図の光学素子10における電極16にゲル15固定
用のピンの役割を兼ねさせることもできる。その場合、
電極16の先端を曲げて鍵型にしておくと一層効果的であ
る。 光学素子10を日光などにさらされる環境下で使用する
場合には、紫外線による界面活性剤溶液14やゲル15の劣
化を防止するために、セル11の壁12,13の表面や内部
に、紫外線を吸収あるいは反射する酸化チタンなどの物
質を塗布したり、そのような物質を含むフィルムを張る
などの手段を講じることが望ましい。そのような物質
は、セル11の壁12,13に含有させることも可能である。
また、素子10を窓として使用する場合などにおいては、
赤外線が室内に入射するのを防止するために、セル11の
壁12,13に石英などの赤外線吸収剤や反射剤の層を設け
ることもできる。 高分子ゲル15は光学素子10の表示部、すなわちセル11
の壁12あるいは13の全面を覆うように配置されている必
要はないから、セル11の端面部に配置する構造を取るこ
ともできる。また、セル11の内部に配置されなければな
らない理由もなく、独立した室内に配置されていてパイ
プ等によってセル11内と連結される構造であってもよ
い。ただし、そのような構造では溶液14の混合に時間が
かかり、実用的な利点はあまりない。 電極16は、第2図に示されているようにセル11の端面
に配置するほか、セル11の背面など、適宜の位置に配置
することができる。そのようにすることによって、電極
16が光学素子10の表示部から隠れるようにすることがで
きる。 また、高分子ゲル15に電気的刺激を与えるための構造
としては種々のものが可能である。例えば、第2図のよ
うに高分子ゲル15に直接連結される電極16の代わりに、
第4図に示されているように、ガラス板あるいはプラス
チック板からなるセル壁12,13にITOやZnOなどの透明導
電膜17,17あるいは金属膜をスパッタコーティングし、
それらの膜17,17にピン18,18を介して外部から通電する
ようにした構造であってもよい。更に、反射型の光学素
子10とする場合には、不透明なセル壁13として金属板あ
るいは絶縁コートした金属板などを用い、それを電極と
することもできる。 ところで、このような光学素子10の場合、ゲル15が膨
張収縮する量と吸収排出される溶媒の量とは厳密には等
しくない。そこで、第5,6図の実施例においては、セル1
1の上部に貯液室20を一体的に設けるようにしている。 このような貯液室20を設けることにより、ゲル15の膨
張収縮に伴う圧力変動を吸収することができる。また、
電界の印加によって、わずかではあるが界面活性剤溶液
14の水が電気分解されてガスが発生する。そのようなガ
スが光学素子10の表示部内にとどまると、次第に気泡を
形成するようになり不具合である。貯液室20は、そのよ
うなガスを集める貯気室としての役割を果たすことにな
る。その場合、その貯液室兼貯気室20にガス抜きのため
の小孔21を設け、その小孔21を栓22によって開閉可能と
することが望ましい。 なお、第5図はゲル15が膨潤した状態を、また、第6
図はゲル15が収縮した状態を示す。符号23は、セル11内
に界面活性剤溶液14を注入するための注入口である。 電気分解によるガスの発生を防止するためには、酸素
過電圧の高い白金や過酸化鉛などを陽極とし、水素過電
圧の高い鉛や水銀などを陰極として使用するのが望まし
い。また、ひ素化合物やスズの塩を溶液14に添加して水
素過電圧を高めることもできる。 第7図は、熱的な刺激によって高分子ゲル15を収縮あ
るいは膨潤させるようにした実施例を示す概略縦断面図
である。 この光学素子10の場合には、セル11の壁13に、通電に
よって発熱する発熱体24が取り付けられている。その発
熱体24には、電極16を通して外部から通電されるように
なっている。高分子ゲル15はその発熱体24に接触するよ
うにして配置されている。 このように構成された光学素子10においては、発熱体
24に通電すると、その発熱体24が発熱してゲル15が加熱
される。したがって、ゲル15の温度が高くなり、ゲル15
が収縮して溶媒を吐出する。その結果、界面活性剤溶液
14の濃度が低下し、着色状態が変化する。 こうして、上記実施例と同様の作用効果を得ることが
できる。 このような実施例の場合には、壁13自体が発熱体であ
る構造や壁13に発熱体が組み込まれている構造とするこ
とも可能である。また、発熱体24を発熱させるにはジュ
ール発熱を利用するのが最も簡単であるが、こられに限
られることはない。例えばシリカや硫化亜鉛のような赤
外線吸収材を発熱体として、これらに外部から赤外線を
照射して発熱させることも可能である。 ゲル15は温度上昇に伴って収縮するとは限らない。ゲ
ル15の種類によっては温度上昇に伴って膨潤するゲルも
ある。例えばイソプロピルアクリルアミドのゲルは収縮
し、イソブチルアクリレートのゲルは膨潤する。そのよ
うに膨潤するゲル15の場合には、熱電冷却素子などの吸
熱体をセル壁13に組み込んで、ゲル15を冷却して相転移
を起こさせるようにする。更に、光学素子10の使用環境
の温度が相転移温度より高い場合にも、同様にゲル15を
冷却するようにする。 このように、ゲル15の温度変化を起こさせるための手
段を講じたものであれば、発熱体あるいは吸熱体の材質
や、発熱あるいは吸熱させるためのエネルギーの供給方
法あるいは排出方法は、本発明においては何ら限定され
ない。 次に、このような光学素子を実際に試作して実験を行
った結果について説明する。 (実験例1) 第8図に示されているように、縦50mm、横50mmのガラ
ス板12,13の表面に、スパッタ法によってZnOの透明電極
16をコーティングし、端部にリード線25を銀ペースト26
により取り付けた。そして、その一方のガラス板13の上
に、メタクリル酸1重量部、メチレンビスアクリルアミ
ド0.02重量部、水6重量部からなる溶液に重合開始剤と
してペルオキソ硫酸カリウム0.03重量部を溶かしたもの
を塗布し、60℃で10時間、重合させて、高分子ゲル15を
得た。次いで、そのゲル15をガラス板13ごと水に浸して
膨潤させた。更に、そのゲル15に白金ワイヤの電極を差
し込んで6Vの直流電圧を印加し、水を吐き出させた後、
再び膨潤させた。このような操作を3回繰り返して、膨
潤したゲル15を得た。そのゲル15の厚さは約1.2mmであ
った。 次に、それらのガラス板12,13を、プラスチック板27
を介して接着剤により接着し、ゲル15を含むセルギャッ
プが1.5mmのセル11を作成した。そして、端面のプラス
チック板27に設けた穴からニッケルのピン28を挿入して
ゲル15を固定した。貯液室の作用を持たせるために、上
部のプラスチック板27はゲル15の上端から5mm離すとと
もに、テーパを持たせ、その間に隙間が形成されるよう
にした。また、そのプラスチック板27の中央部には、ガ
ス抜きを兼ねた注入口29を設けた。 次いで、その注入口29からセル11内に2.5重量%のイ
ソステアリルジグセリルエーテルの水溶液14を注入し、
その水溶液14によってセル11を満たした。 この状態では、セル11は透明であった。 ゲル15側の電極16を陽極として3Vの直流電圧を印加
し、光の入射方向から観察したところ、徐々に紫色に変
化していき、約1分後には青色を呈するようになった。
そこで、電圧を6Vに上昇させたところ、約1分後に緑色
になった。更に、10Vにしたところ、赤色になった。 電圧の印加を止めて放置しておいたところ、元の透明
状態に戻った。 次に、ニッケルのピン28にリード線を取り付けて6Vで
通電したところ、同じように緑色に変化した。 (実験例2) イソステアリルジグリセリルエーテルの水溶液の濃度
を1.6重量%とした以外は実験例1と同じにした。 自然状態では赤色であったが、10Vの電圧を透明電極1
6に印加したところ、約1分後に透明になった。また、
電圧印加を停止したところ、元の着色状態に復帰した。 (実験例3) 実験例1のガラス板13にスパッタ法で窒化タンタルを
コーティングして、抵抗発熱体を形成した。そして、そ
の抵抗発熱体の電極部に、金蒸着によりリード線を取り
付け、外部電源に接続した。また、その発熱体の上に
は、保護層としてシリカをスパッタした。 イソプロピルアクリルアミド5g、アクリル酸0.1g、メ
チレンビスアクリルアミド0.8g、過硫酸アンモニウム0.
04gを冷水40ccに溶かした後、テトラメチルエチレンジ
アミン0.2ccを加えて、減圧中で脱気し、ガラス板の上
で45分間放置して重合させ、ゲルを得た。そのゲルを水
中に浸して膨潤させてから、発熱体に通電したところ、
水を放出した。この操作を3回繰り返して、ゲルを膨潤
させた状態で実験例1と同様にしてセルを作成した。た
だし、窒化タンタルをコートしたガラス板13に対向する
ガラス板12には何も処理を施していない。 次に、2.5重量%のイソステアリルジグリセリルエー
テルの水溶液でセルを満たした。 この状態では、セルは透明であった。 電極に20Vの交流電圧を印加して光の入射方向から観
察したところ、徐々に紫色に変化していき、約1分後に
は緑色を呈するようになった。電圧の印加を止めて放置
しておいたところ、元の透明状態に戻った。
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、ラ
メラー構造を有する界面活性剤溶液を高分子ゲルととも
にセル内に収容し、その高分子ゲルに外部から電気的あ
るいは熱的などの刺激を加えることによりそのゲルに相
転移を起こさせるようにしているので、セル内の界面活
性剤溶液の濃度を変化させ、そのセルを透明あるいは任
意の色に変化させることができる。したがって、透明状
態と着色状態の間で色変化する光学素子、あるいはある
色から他の色へと着色状態が変化する光学素子とするこ
とができる。しかも、その応答速度は界面活性剤溶液の
混合速度にのみ左右され、光学素子の大きさによっては
影響を受けないので、大形の光学素子としても高い応答
速度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明による光学素子の原理を説明するため
の説明図、 第2図は、本発明による光学素子の原理的な実施例を示
す概略縦断面図、 第3図は、第2図の光学素子の作動状態を示す同様の縦
断面図、 第4図は、本発明による光学素子の異なる実施例を示す
概略縦断面図、 第5図は、本発明による光学素子の更に異なる実施例を
示す概略縦断面図、 第6図は、第5図の光学素子の作動状態を示す同様の縦
断面図、 第7図は、本発明による光学素子の他の実施例を示す概
略縦断面図、 第8図は、本発明の効果を確認するために行った実験に
用いた光学素子の概略縦断面図である。 10……光学素子、11……セル 12,13……セル壁 14……界面活性剤溶液 15……高分子ゲル、16……電極 20……貯液室兼貯気室 24……発熱体

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも一方の壁が透明とされたセル内
    に、ラメラー構造を有する界面活性剤溶液と、外部から
    の刺激により相転移を起こして前記界面活性剤溶液の溶
    媒を吸収あるいは排出する高分子ゲルとを配置してな
    る、 光学素子。
  2. 【請求項2】前記セルに、通電することによって前記高
    分子ゲルに相転移を起こさせる電極が取り付けられてい
    る、 請求項1記載の光学素子。
  3. 【請求項3】前記セル内に、酸素過電圧及び/又は水素
    過電圧を高める物質が設けられている、 請求項2記載の光学素子。
  4. 【請求項4】前記セルに、温度変化によって前記高分子
    ゲルに相転移を起こさせる発熱体あるいは吸熱体が取り
    付けられている、 請求項1記載の光学素子。
  5. 【請求項5】前記セルの内部と連通する貯液室兼貯気室
    を備えている、 請求項1ないし4のいずれか記載の光学素子。
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