JPH08166284A - 赤外線検知素子 - Google Patents

赤外線検知素子

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JPH08166284A
JPH08166284A JP6307575A JP30757594A JPH08166284A JP H08166284 A JPH08166284 A JP H08166284A JP 6307575 A JP6307575 A JP 6307575A JP 30757594 A JP30757594 A JP 30757594A JP H08166284 A JPH08166284 A JP H08166284A
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capacitor
thermopile
infrared
film
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Masaki Hirota
正樹 廣田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、高感度かつ低雑音で大規模アレー
素子を実現することを目的とする。 【構成】 半導体基板1の主平面上に形成されたメンブ
レン2と、メンブレン2下部の半導体基板1の一部を除
去して形成された熱分離領域5と、メンブレン2上に温
接点3が形成されたサーモパイルと、温接点3の上部に
形成された赤外線吸収膜6と、熱分離領域5に形成され
熱雑音低減用のフィルタを構成するキャパシタ15とを
有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、赤外線検知素子の高性
能化に関する。
【0002】
【従来の技術】赤外線検知素子には、大きく分けて量子
型素子と熱型素子がある。このうち、熱型素子には熱電
対の熱起電力を利用するサーモパイル型と抵抗体の抵抗
値の温度変化を利用するボロメータ型とがあり、共に冷
却が不要である。図6は、このようなサーモパイル型の
従来の赤外線検知素子を示している(P.M.Sarro,TRANSD
UCERS'87 pp.227-pp.230)。熱型素子では、入射赤外線
エネルギが熱に変換され、検知部の温度が変化し出力が
変化する。通常は赤外線吸収膜を付けて吸収率を高くし
感度を良くする。さらに、熱容量を小さくして感度およ
び応答速度を向上させるために温接点近傍を基板から熱
分離する方法がとられる。基板がシリコンの場合におけ
る熱分離領域の形式には、KOHやヒドラジンなどのア
ルカリ系エッチング液を用いた異方性エッチング法を用
いるのが一般的である。これらの異方性エッチング液は
(111)面のエッチング速度が(100)面のそれよ
り遅いことを利用しており、基板の面方位が(100)
面であるときに形成される側壁の角度は主平面に対して
約54°となる。
【0003】図6の赤外線検知素子は、p型の基板31
とn型のエピタキシャル成長層32の2層構造で、基板
の裏面から基板31を部分的に前述の異方性エッチング
することで熱分離領域33を形成している。さらに、表
面からドライエッチングによって熱分離領域の一部を除
去して片持ち梁構造の複数の熱電対からなるサーモパイ
ル34を形成してある。この片持ち梁の先端には、赤外
線吸収膜37がコートされている。入射した赤外線は、
この赤外線吸収膜37で吸収されて熱に変わり、各熱電
対の先端付近の温接点35の温度が上昇する。この温接
点35の部分は、熱分離領域33で基板31から熱分離
されているので基板31側の冷接点36の部分よりも温
度が高くなる。その結果、各熱電対の両端には温度差が
発生し熱起電力が生じる。この値は、入射する赤外線の
強度に比例するため熱起電力の値、即ちサーモパイル3
4の出力によって赤外線の入射強度を知ることができ
る。熱電対の形成法には、図6のように基板の一部を熱
電対に利用する方法と多結晶シリコンなどの薄膜を基板
の表面または基板の表面上に形成されたダイアフラムと
呼ばれる薄膜上に形成する方法がある。
【0004】感度の良い赤外線検知素子を作るには温、
冷接点間の熱分離を良くしなければならず、そのために
は、形状の工夫(断面積を小さくするとともに温接点
と冷接点間の物理的な距離を離す)と、材料の工夫
(熱伝導率の小さい材料を用いる)とが必要である。と
ころで形状の工夫によって熱分離を良くするとそのまま
電気抵抗の増加につながる。また、一般的に熱伝導率の
小さい物質は導電率も小さいので材料の工夫を行っても
電気抵抗の削減には限界がある。つまり、サーモパイル
の熱抵抗を大きくしようとすると電気抵抗も大きくなら
ざるを得ない。電気抵抗が大きくなると問題になるのが
次に示す式で熱雑音En である。
【0005】 En =√(4kT・R・Δf) …(1) ここでkはボルツマン定数、Rは電気抵抗、Tは温度、
Δfは周波数帯域である。赤外線検知素子の性能を向上
させるためには、信号出力を大きくさせる工夫と共に雑
音の低減も必要である。しかし上式から判るように熱雑
音は周波数帯域の平方根に比例するので、熱雑音低減の
ためには周波数帯域を制限する必要がある。周波数帯域
の制限は、ローパスフィルタやバンドパスフィルタを挿
入することで実現される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の赤外線検知素子にあっては、フィルタ用のキ
ャパシタを熱分離領域以外に形成する構成になっていた
ため、チップ内部にキャパシタを集積化した場合には、
サーモパイルとは別にキャパシタを形成する領域が必要
となるのでチップ面積が増大するほか、非常に大きなア
レーを実現すること自体が非常に困難となっていた。ま
たチップ外にフィルタを形成する場合においては、取り
出し電極の数の制約からアレー素子自体を形成すること
が困難または不可能になるという問題があった。
【0007】本発明は、このような従来の問題に着目し
てなされたもので、高感度かつ低雑音で大規模アレー素
子を実現することのできる赤外線検知素子を提供するこ
とを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載の発明は、半導体基板と、該半導体基
板の主平面上に形成されたメンブレンと、該メンブレン
下部の前記半導体基板の一部を除去して形成され当該メ
ンブレンを前記半導体基板から熱分離するための熱分離
領域と、該熱分離領域上の前記メンブレン上に温接点が
形成されたサーモパイルと、前記温接点の上部に形成さ
れ入射赤外線を吸収する赤外線吸収膜と、前記熱分離領
域に形成され熱雑音低減用のフィルタを構成するキャパ
シタとを有することを要旨とする。
【0009】請求項2記載の発明は、上記請求項1記載
の赤外線検知素子において、前記キャパシタはトレンチ
構造に形成してなることを要旨とする。
【0010】請求項3記載の発明は、半導体基板と、該
半導体基板の主平面上に形成されたメンブレンと、該メ
ンブレン下部の前記半導体基板の一部を除去して形成さ
れ当該メンブレンを前記半導体基板から熱分離するため
の熱分離領域と、該熱分離領域上の前記メンブレン上に
温接点が形成されたサーモパイルと、前記温接点の上部
に形成され入射赤外線を吸収する赤外線吸収膜と、前記
メンブレンの部分に形成され熱雑音低減用のフィルタを
構成するキャパシタとを有することを要旨とする。
【0011】請求項4記載の発明は、上記請求項3記載
の赤外線検知素子において、前記キャパシタは前記赤外
線吸収膜の直下に当該赤外線吸収膜と略同一平面積に形
成してなることを要旨とする。
【0012】請求項5記載の発明は、上記請求項1,
2,3又は4記載の赤外線検知素子において、前記サー
モパイルの両出力端子の間に前記キャパシタを接続する
ことにより熱雑音低減用のローパスフィルタを構成して
なることを要旨とする。
【0013】
【作用】請求項1記載の発明において、サーモパイルに
おける冷、温接点間の熱抵抗を大にして感度向上を図っ
たとき電気抵抗も大きくなって熱雑音の増大傾向が生じ
るが、熱雑音低減用のフィルタにより熱雑音の発生が抑
えられる。また赤外線吸収膜で吸収できなかった入射赤
外線がキャパシタを形成している各層によって反射し、
再度赤外線吸収膜を通ることになるので実効的な赤外線
吸収率が向上してサーモパイル出力が増大する。したが
って高感度かつ低雑音が両立して高性能化が実現され
る。また、熱雑音低減用のフィルタを構成するキャパシ
タは熱分離領域に形成され、チップ内においてサーモパ
イルとは別にキャパシタを形成する領域が不要となるこ
とから大規模アレー素子の実現が容易となる。
【0014】請求項2記載の発明においては、キャパシ
タをトレンチ構造とすることにより容量を増大させるこ
とが可能となり、熱雑音はフィルタを構成するキャパシ
タ容量の平方根に反比例することから一層の低雑音化が
可能となる。
【0015】請求項3記載の発明においては、サーモパ
イルにおける冷、温接点間の熱抵抗を大にして感度向上
を図ったときの熱雑音の増大傾向がフィルタにより抑え
られる。またメンブレンの部分に形成したキャパシタの
電極層においても入射赤外線の吸収が起るので温接点の
温度がより一層高くなり、感度が向上する。またメンブ
レンと基板との距離が大きくとれるので、温接点から雰
囲気ガスを伝導して基板に伝わる熱が少なくなりサーモ
パイル出力が増大する。したがって高感度かつ低雑音が
両立して高性能化が実現される。また、熱雑音低減用の
フィルタを構成するキャパシタはメンブレンの部分に形
成され、チップ内においてサーモパイルとは別にキャパ
シタを形成する領域が不要となることから大規模アレー
素子の実現が容易となる。
【0016】請求項4記載の発明において、メンブレン
の部分に形成したキャパシタは、赤外線吸収膜の直下に
その赤外線吸収膜と略同一平面積に形成することによ
り、キャパシタ電極層による入射赤外線の吸収、反射効
果が一層高まり、またメンブレン部分の熱分離の悪化の
おそれがなくなって一層の感度向上が実現される。
【0017】請求項5記載の発明において、サーモパイ
ルの両出力端子の間にキャパシタを接続することによ
り、サーモパイルの抵抗とキャパシタ容量で熱雑音低減
用のRCフィルタからなるローパスフィルタが構成さ
れ、フィルタ形成面積を特に増大させることなく各サー
モパイル毎にフィルタが内蔵されて効果的に熱雑音を低
減することが可能となる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1乃至図3は、本発明の第1の実施例を示す図
である。まず、図1を用いて構成を説明する。シリコン
基板1の主面にはキャパシタの下部電極となる基板とは
反対導電型のウェル14が形成され、また主平面上には
SiNによるメンブレン2が形成されている。メンブレ
ン2は、基板1と部分的に分離されており、この領域を
熱分離領域5と呼ぶ。熱分離領域5の内表面を含む基板
表面には酸素雰囲気中の熱処理によって酸化膜12が形
成され、熱分離領域5内のその酸化膜12上にはキャパ
シタの上部電極となるドープトポリシリコン13が形成
されている。ウェル14、酸化膜12およびドープトポ
リシリコン13の積層構造により、フィルタを構成する
ためのキャパシタ15が形成されている。エッチング液
からドープトポリシリコン13を保護するために第2の
保護膜17が被覆形成されている。上部電極となるドー
プトポリシリコン13は第2の保護膜17およびメンブ
レン2等に開けられたコンタクトホールを介して導線7
に接続され、ウェル14はコンタクト用の高濃度拡散層
18から第2の保護膜17およびメンブレン2等に開け
られたコンタクトホールを介して導線7に接続されてい
る。メンブレン2上には、サーモパイルを構成するポリ
シリコン10がCVD法によって堆積され、パターン化
されている。この上に層間絶縁膜8が被覆形成されてい
る。層間絶縁膜8には部分的にコンタクトホール16が
開けられ、この上に温接点3、冷接点4および導線7を
構成するアルミ薄膜が形成されていて相互に接続してい
る。さらに第1の保護膜9が被覆形成され、温接点3上
方の第1の保護膜9上には赤外線吸収膜6が形成されて
いる。図2は、サーモパイル19とキャパシタ15の相
互の接続を示している。サーモパイル19は等価回路つ
まり電圧源と抵抗Rの直列接続で表わされており、その
両端子21間にキャパシタ15が並列に接続されてい
る。
【0019】次いで、図3を用いて製造方法を説明す
る。キャパシタの下部電極となるウェル14および高濃
度拡散層18を熱拡散によって基板1の主面に作り込
む。その後、熱分離領域5に相当する部分にエッチング
によって窪みを形成する。さらに、その窪みの内表面を
含む基板表面を酸化してキャパシタの絶縁膜となる酸化
膜12を形成する。酸化膜12の厚さは、加わる電圧が
低いので薄くてよく5〜10nm程度である。上部電極
となるドープトポリシリコン13をCVD法によって堆
積させ所望の形状にパターン化する。その上にCVD法
によって酸化膜である第2の保護膜17を被覆形成する
(図3(a),(b))。窪みを犠牲層22となるポリ
シリコンで埋めて表面を平坦化する。平坦化には、エッ
チバック法などを用いる。さらに、SiN膜などエッチ
ング液に耐性のある材料によってメンブレン2となる膜
を形成する(図3(c))。メンブレン2の上にサーモ
パイルになるポリシリコン10をCVD法によって堆積
し所望の形状にパターン化する。さらに、層間絶縁膜8
を被覆形成し、上部の導線7との接続箇所にコンタクト
ホール16を穿つ。導線7となるアルミ薄膜をスパッタ
法によって堆積しパターン化する。その上部に第1の保
護膜9を被覆形成する(図3(d))。赤外線吸収膜6
を真空蒸着法によって形成する。図には示されていない
が熱分離領域5に犠牲層22をエッチングするためエッ
チング孔を開ける(図3(e))。ヒドラジンによって
犠牲層22を除去し、熱分離領域5を形成する(図3
(f))。
【0020】次に、上述のように構成された赤外線検知
素子の作用を説明する。赤外線吸収膜6によって吸収さ
れた入射赤外線は熱に変換され赤外線吸収膜6の温度が
上昇する。この熱は、伝導によって温接点3に伝えられ
温接点3の温度を上昇させる。温接点3近傍の基板1は
エッチングによって除去され熱分離領域5が形成されて
いるために基板1を介しての熱伝導は殆んどなく、温接
点3と冷接点4との間の熱伝導は主にポリシリコン10
を通じて行われるので両者間の熱抵抗は大きく温接点3
の熱は、冷接点4に伝わりにくい。その結果両接点3,
4間に温度差が生じ、ゼーベック効果によってサーモパ
イル19に熱起電力が生じる。サーモパイル19の熱起
電力は個々の熱電対の和になり、一般的に次の式で表わ
される。 S=n・α・Rth・P …(2) nは熱電対の対数、αはnとPの両方足し合わせたゼー
ベック係数、Rthは熱抵抗、Pは入射エネルギである。
この式から熱起電力Sを大きくするにはゼーベック係数
αの大きい材料を用い、熱抵抗Rthを大きくする必要が
ある。ここでサーモパイル19の熱抵抗を大きくしよう
とすると、前述したように、電気抵抗も大きくならざる
を得ず、電気抵抗が大きくなると前記(1)式で示した
熱雑音が増大する。熱雑音低減のためには電気抵抗を減
らすか周波数帯域を制限する必要がある。周波数帯域の
制限はフィルタを挿入することで実現されるが、本実施
例では、これをサーモパイル19の電気抵抗と熱分離領
域5に形成したキャパシタ15によって図2に示したご
ときRCフィルタ(ローパスフィルタ)を構成すること
で実現している。このRCフィルタの出力値が入力値の
1/2になる周波数ft とすると、 ft =1/(2πC・R) …(3) になる。ここでft =Δfとして(3)式を(1)式に
代入すると En =√(2kT/(πC)) …(4)となっ
て熱雑音En は電気抵抗Rには依存せずキャパシタ15
の容量Cのみに依存する。これは、次の理由による。熱
雑音を発生させるのは電気抵抗Rであり熱雑音を減少さ
せるために電気抵抗Rを小さくすると熱雑音のスペクト
ル密度は小さくなるが、同時にRCフィルタの周波数帯
域が広がってしまうのでトータルな熱雑音は変化しない
のである。つまり、サーモパイル19の電気抵抗Rによ
る熱雑音を減少させるためには大容量Cを接続しなけれ
ばならない。例えば、酸化膜12の膜厚5nmで200
μm角のキャパシタ15を作ると容量C=270pFと
なり熱雑音は3.1μVとなりかなり低減される。
【0021】図4には、本発明の第2の実施例を示す。
本実施例はキャパシタ15をトレンチ構造とすることに
よって容量Cを一層増大させ熱雑音を低減させたもので
ある。例えば、トレンチ深さ10μm、ピッチ4μm、
開口部2μmとするとキャパシタ15の電極面積は約5
倍になるので容量も5倍となり1350pFという大容
量を実現することができ熱雑音を1.39μVに低減す
ることができる。
【0022】図5には、本発明の第3の実施例を示す。
本実施例は、キャパシタ15をメンブレン2の部分に形
成したものであり、実施例では、キャパシタ15の面積
が第1、第2の実施例に比べて若干小さくなるが、メン
ブレン2の形成時にキャパシタ15を形成しておけるの
でプロセスが簡略化されるという利点を有する。また、
キャパシタ15を赤外線吸収膜6の直下に略同一平面積
に限定して形成しておけばドープトポリシリコン13で
の赤外線の吸収および反射効果も期待できるとともに熱
分離の悪化の心配もない。
【0023】上述したように、各実施例によれば、その
構成をフィルタを構成するキャパシタを熱分離領域又は
メンブレンの部分に形成したため、各素子にサーモパイ
ルと大容量キャパシタを積層した構造となってチップ面
積を少しも増加させることなくフィルタを各サーモパイ
ルごとに内蔵することができ、開口率の減少を防いで高
感度の素子を形成することが可能となる。素子内蔵型キ
ャパシタによって大規模アレー素子の実現が可能とな
る。サーモパイルの電気抵抗Rとキャパシタ容量Cによ
るRCフィルタ(ローパスフィルタ)によってサーモパ
イルの電気抵抗に関係なく熱雑音の大きさを決定するこ
とができ、高感度化と低雑音化が両立して高性能化が達
成される。各サーモパイルごとにキャパシタを設けてい
るので信号出力を積分することになり、次段の増幅器の
入力インピーダンスに対する制限が緩くなる。またキャ
パシタの酸化膜は非常に薄いので熱を伝え易く、冷接点
から基板への熱の流れが従来の経路に加えて導線、ドー
プトポリシリコンを通じて基板に流れる経路ができるた
めに冷接点の温度が上昇しにくくなり感度が一層向上す
る。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発
明によれば、半導体基板と、該半導体基板の主平面上に
形成されたメンブレンと、該メンブレン下部の前記半導
体基板の一部を除去して形成され当該メンブレンを前記
半導体基板から熱分離するための熱分離領域と、該熱分
離領域上の前記メンブレン上に温接点が形成されたサー
モパイルと、前記温接点の上部に形成され入射赤外線を
吸収する赤外線吸収膜と、前記熱分離領域に形成され熱
雑音低減用のフィルタを構成するキャパシタとを具備さ
せたため、サーモパイルにおける冷、温接点間の熱抵抗
を大にして感度向上を図ったとき電気抵抗も大きくなっ
て熱雑音の増大傾向が生じても、熱雑音低減用のフィル
タにより熱雑音の発生を抑制することができる。また赤
外線吸収膜で吸収できなかった入射赤外線がキャパシタ
を形成している各層によって反射し再度赤外線吸収膜を
通ることになるので実効的な赤外線吸収率が向上してサ
ーモパイル出力を増大させることができる。したがって
高感度かつ低雑音が両立して高性能化を達成することが
できる。また、チップ内においてサーモパイルとは別に
キャパシタの形成領域を設けることが不要となるので大
規模アレー素子を容易に実現することができる。
【0025】請求項2記載の発明によれば、請求項1記
載の赤外線検知素子において、前記キャパシタはトレン
チ構造に形成したため、キャパシタ容量が増大し、熱雑
音はフィルタを構成するキャパシタ容量の平方根に反比
例することから一層の低雑音化を実現することができ
る。
【0026】請求項3記載の発明によれば、半導体基板
と、該半導体基板の主平面上に形成されたメンブレン
と、該メンブレン下部の前記半導体基板の一部を除去し
て形成され当該メンブレンを前記半導体基板から熱分離
するための熱分離領域と、該熱分離領域上の前記メンブ
レン上に温接点が形成されたサーモパイルと、前記温接
点の上部に形成され入射赤外線を吸収する赤外線吸収膜
と、前記メンブレンの部分に形成され熱雑音低減用のフ
ィルタを構成するキャパシタとを具備させたため、サー
モパイルにおける冷、温接点間の熱抵抗を大にして感度
向上を図ったときの熱雑音の増大傾向をフィルタにより
抑制することができる。またメンブレンの部分に形成し
たキャパシタの電極層においても入射赤外線の吸収が起
るので温接点の温度がより一層高くなり感度を向上させ
ることができる。したがって高感度かつ低雑音が両立し
て高性能化を達成することができる。またチップ内にお
いてサーモパイルとは別にキャパシタを形成する領域が
不要となることから大規模アレー素子を容易に実現する
ことができる。
【0027】請求項4記載の発明によれば、請求項3記
載の赤外線検知素子において、前記キャパシタは前記赤
外線吸収膜の直下に当該赤外線吸収膜と略同一平面積に
形成したため、キャパシタ電極層による入射赤外線の吸
収、反射効果を一層高めることができ、またメンブレン
部分の熱分離の悪化のおそれがなくなって感度を一層向
上させることができる。
【0028】請求項5記載の発明によれば、請求項1,
2,3又は4記載の赤外線検知素子において、前記サー
モパイルの両出力端子の間に前記キャパシタを接続する
ことにより熱雑音低減用のローパスフィルタを構成した
ため、サーモパイルの抵抗Rとキャパシタ容量CでRC
フィルタからなるローパスフィルタが構成され、フィル
タ形成面積を格別増大させることなく各サーモパイル毎
にローパスフィルタが内蔵されて熱雑音を効果的に低減
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る赤外線検知素子の第1の実施例を
示す縦断面図である。
【図2】上記第1の実施例におけるサーモパイルとキャ
パシタの接続を示す等価回路図である。
【図3】上記第1実施例の製造方法を示す工程図であ
る。
【図4】本発明の第2の実施例を示す縦断面図である。
【図5】本発明の第3の実施例を示す縦断面図である。
【図6】従来の赤外線検知素子の斜視図である。
【符号の説明】
1 シリコン基板 2 メンブレン 3 温接点 4 冷接点 5 熱分離領域 6 赤外線吸収膜 10 サーモパイルを構成するポリシリコン 12 キャパシタを構成する酸化膜 13 キャパシタの上部電極となるドープトポリシリコ
ン 14 キャパシタの下部電極となるウェル 15 キャパシタ 19 サーモパイル 21 サーモパイルの端子

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体基板と、該半導体基板の主平面上
    に形成されたメンブレンと、該メンブレン下部の前記半
    導体基板の一部を除去して形成され当該メンブレンを前
    記半導体基板から熱分離するための熱分離領域と、該熱
    分離領域上の前記メンブレン上に温接点が形成されたサ
    ーモパイルと、前記温接点の上部に形成され入射赤外線
    を吸収する赤外線吸収膜と、前記熱分離領域に形成され
    熱雑音低減用のフィルタを構成するキャパシタとを有す
    ることを特徴とする赤外線検知素子。
  2. 【請求項2】 前記キャパシタはトレンチ構造に形成し
    てなることを特徴とする請求項1記載の赤外線検知素
    子。
  3. 【請求項3】 半導体基板と、該半導体基板の主平面上
    に形成されたメンブレンと、該メンブレン下部の前記半
    導体基板の一部を除去して形成され当該メンブレンを前
    記半導体基板から熱分離するための熱分離領域と、該熱
    分離領域上の前記メンブレン上に温接点が形成されたサ
    ーモパイルと、前記温接点の上部に形成され入射赤外線
    を吸収する赤外線吸収膜と、前記メンブレンの部分に形
    成され熱雑音低減用のフィルタを構成するキャパシタと
    を有することを特徴とする赤外線検知素子。
  4. 【請求項4】 前記キャパシタは前記赤外線吸収膜の直
    下に当該赤外線吸収膜と略同一平面積に形成してなるこ
    とを特徴とする請求項3記載の赤外線検知素子。
  5. 【請求項5】 前記サーモパイルの両出力端子の間に前
    記キャパシタを接続することにより熱雑音低減用のロー
    パスフィルタを構成してなることを特徴とする請求項
    1,2,3又は4記載の赤外線検知素子。
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