JP3275593B2 - 赤外線検知素子およびその製造方法 - Google Patents

赤外線検知素子およびその製造方法

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JP3275593B2 JP31356894A JP31356894A JP3275593B2 JP 3275593 B2 JP3275593 B2 JP 3275593B2 JP 31356894 A JP31356894 A JP 31356894A JP 31356894 A JP31356894 A JP 31356894A JP 3275593 B2 JP3275593 B2 JP 3275593B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、赤外線検知素子および
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】赤外線検知素子には、大きく分けて量子
型素子と熱型素子がある。このうち、熱型素子には、熱
電対の熱起電力を利用するサーモパイル型と抵抗体の抵
抗値の温度変化を利用するボロメータ型とがあり、共に
冷却が不要である。図6は、このようなサーモパイル型
の従来の赤外線検知素子を示している(特開平3−27
6773号公報)。熱型素子では、入射赤外線エネルギ
が熱に変換され、検知部の温度が変化し出力が変化す
る。通常は赤外線吸収膜を付けて吸収率を高め感度を良
くする。さらに、熱容量を小さくして感度および応答速
度を向上させるために温接点近傍を基板から熱分離する
方法がとられる。基板がシリコンの場合における熱分離
領域の形成には、KOHやヒドラジンなどのアルカリ系
エッチング液を用いた異方性エッチング法を用いるのが
一般的である。これらの異方性エッチング液は(11
1)面のエッチング速度が(100)面のそれより遅い
ことを利用しており、基板の面方位が(100)面であ
るときに形成される側壁の角度は主平面に対して約54
°となる。従って、熱分離領域の大きさが100μmと
するとその熱分離領域の最大深さは約68μmとなる。
【0003】図6の赤外線検知素子は、基板31に、そ
の主面からの異方性エッチングにより熱分離領域32が
形成され、その熱分離領域32を含むように基板31の
主平面に耐エッチング材料からなるメンブレン33が形
成されている。その上にp型ポリシリコン34、n型ポ
リシリコン35およびこの両者を接続する導線36から
なるサーモパイル37が形成され、これらをエッチング
液から保護するために保護膜38が被覆形成されてい
る。さらにメンブレン33中心部には赤外線吸収膜39
が形成されている。40はれこらを貫通して基板へ到達
する熱分離領域32形成用のエッチング孔であり、図の
ようにメンブレン33が斜めに形成されている。これ
は、通常面方位が(100)の基板31のオリエンテー
ションフラットが(110)面であるためである。この
エッチング孔40からヒドラジンなどで異方性エッチン
グを行うと側壁が4つの(111)面からなる熱分離領
域32が形成される。入射した赤外線は、赤外線吸収膜
39で吸収されて熱に変わり、メンブレン33中心部の
温度が上昇する。この部分は、熱分離領域32で基板3
1から熱分離されているので他の部分よりも温度が高く
なる。その結果、サーモパイル37を構成している各熱
電対の両端には温度差が発生し熱起電力が生じる。この
値は、入射する赤外線の強度に比例するため熱起電力の
値、即ちサーモパイル37からの検知出力によって赤外
線の入射強度を知ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の赤外線検知素子にあっては、熱分離領域の側
壁が4つの(111)面からなる構成になっていたた
め、熱分離領域の深さがその開口部の大きさによって決
定されて熱分離領域を深くすることができず入射赤外線
による熱が雰囲気ガスを通じて基板に逃げていた。小型
の赤外線検知素子では、この作用が顕著に現れ、各部寸
法等を減縮してメンブレンの熱抵抗を減少させた効果以
上に感度が悪化してしまうという問題点があった。
【0005】本発明は、このような従来の問題点に着目
してなされたもので、熱分離領域の深さをその開口部の
大きさと独立に決定することができて感度を向上させる
ことができる赤外線検知素子およびその製造方法を提供
することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載の赤外線検知装置は、主平面の面方位
が(100)面である半導体基板と、該半導体基板の主
平面からのエッチングにより形成された熱分離領域と、
該熱分離領域を含むように前記半導体基板の主平面上に
形成されたメンブレンと、該メンブレン上に形成された
感温素子とを有する赤外線検知素子において、前記熱分
離領域の側壁が5以上の(111)面で構成されている
ことを要旨とする。
【0007】請求項2記載の赤外線検知素子は、主平面
の面方位が(100)面である半導体基板と、該半導体
基板の主平面からのエッチングにより形成された熱分離
領域と、該熱分離領域を含むように前記半導体基板の主
平面上に形成されたメンブレンと、該メンブレン上に形
成された感温素子とを有する赤外線検知素子において、
前記熱分離領域の側壁が(111)面と(110)面の
組み合わせで構成されていることを要旨とする。
【0008】請求項3記載の赤外線検知素子は、上記請
求項1又は2記載の赤外線検知素子において、前記感温
素子は前記熱分離領域上の前記メンブレン上に温接点が
形成されたサーモパイルであることを要旨とする。
【0009】請求項4記載の赤外線検知素子は、上記請
求項1又は2記載の赤外線検知素子において、前記感温
素子は温度変化による抵抗体の抵抗変化を検出するボロ
メータであることを要旨とする。
【0010】請求項5記載の赤外線検知素子の製造方法
は、主平面の面方位が(100)面である半導体基板の
主表面に耐エッチング材を用いたメンブレンを形成する
工程と、該メンブレン上に感温素子を形成する工程と、
該感温素子上に耐エッチング材を用いた保護膜を被覆形
成する工程と、該保護膜および前記メンブレンを貫通し
前記半導体基板に達する開口部を形成する工程と、該開
口部から前記半導体基板に垂直の溝を形成する工程と、
異方性エッチングにより前記垂直の溝の側面、底面又は
その両方の何れかを除去して熱分離領域を形成する工程
とを有することを要旨とする。
【0011】請求項6記載の赤外線検知素子の製造方法
は、上記請求項5記載の赤外線検知素子の製造方法にお
いて、前記熱分離領域の側壁が5以上の(111)面で
構成されていることを要旨とする。
【0012】請求項7記載の赤外線検知素子の製造方法
は、上記請求項5記載の赤外線検知素子の製造方法にお
いて、前記熱分離領域の側壁が(111)面と(11
0)面の組み合わせで構成されていることを要旨とす
る。
【0013】
【作用】請求項1記載の赤外線検知素子において、側壁
が5以上の(111)面で構成された熱分離領域は、そ
の深さが開口部の大きさに限定されずに独立して決定さ
れる。したがって、メンブレンと半導体基板間の熱抵抗
を大にすることが可能になって感度を向上させることが
可能となる。
【0014】請求項2記載の赤外線検知素子において、
側壁が(111)面と(110)面の組み合わせで構成
された熱分離領域は、上記と同様にその深さが開口部の
大きさに限定されずに独立して決定され、また基板内部
における横方向の広がりを小さくすることが可能とな
る。したがって、メンブレンと半導体基板間の熱抵抗を
大にすることが可能になって感度向上が可能になるとと
もに高密度集積化が可能となる。
【0015】請求項3記載の赤外線検知素子において、
感温素子は、具体的には熱分離領域上のメンブレン上に
温接点が形成されたサーモパイルとすることにより、高
感度の赤外線検知素子がより良く実現される。
【0016】請求項4記載の赤外線検知素子において、
感温素子は、具体的には温度変化による抵抗体の抵抗変
化を検出するボロメータとすることにより、高感度の赤
外線検知素子がより良く実現される。
【0017】請求項5記載の赤外線検知素子の製造方法
において、主平面の面方位が(100)面の半導体基板
に垂直の溝を形成し、異方性エッチングにより、その溝
の側面、底面又はその両面の何れかを除去することによ
り、側壁が5以上の(111)面又は(111)面と
(110)面の組み合わせの何れかからなり、深さが開
口部の大きさと独立に決定された熱分離領域を形成する
ことが可能となる。
【0018】請求項6記載の赤外線検知素子の製造方法
においては、垂直の溝の側面および底面をエッチング除
去することにより、側壁が5以上の(111)面で構成
された熱分離領域が形成される。
【0019】請求項7記載の赤外線検知素子の製造方法
においては、垂直の溝の底面側をエッチング除去するこ
とにより、側壁が(111)面と(110)面の組み合
わせで構成された熱分離領域が形成される。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1乃至図3は、本発明の第1の実施例を示す図
である。まず、図1および図2を用いて構成を説明す
る。(100)面を主平面とするシリコン基板(以下、
単に基板という)1には、その主平面上にSiNによる
メンブレン2が形成されている。メンブレン2は、基板
1と部分的に分離されており、この領域を熱分離領域5
と呼ぶ。熱分離領域5の側面は、複数の(111)面か
ら成り立っている。13は(111)面同士の交線であ
る。メンブレン2上にサーモパイル10を構成するp型
シリコン8とn型シリコン9が形成されている。その上
に層間絶縁膜14が被覆形成されている。層間絶縁膜1
4には部分的にコンタクトホール11が開けられ、その
上に温接点3、冷接点4および導線7を構成するアルミ
薄膜が形成されていて相互に接続している。さらに第1
の保護膜15が被覆形成され、温接点3上方の第1の保
護膜15上に赤外線吸収膜6が形成されている。12は
第1の保護膜15、層間絶縁膜14およびメンブレン2
を貫通して基板1へ到達する熱分離領域5形成用のエッ
チング孔であり、各辺が(110)方向を向くように熱
分離領域5の四隅に設けられている。熱分離領域5内側
の交線13は互いにオーバーラップしている。
【0021】次いで、図3を用いて製造方法を説明す
る。基板1上に、SiN膜などエッチング液に耐性のあ
る材料によってメンブレン2となる膜を被覆形成する
(図3(a),(b))。メンブレン2の上にサーモパ
イルになるポリシリコンをCVD法によって堆積し所望
の形状にパターン化する。さらにこのポリシリコンにボ
ロンおよびリンをイオン注入法でドープしてそれぞれp
型ポリシリコン8とn型ポリシリコン9を形成する。そ
の後層間絶縁膜14を被覆形成する(図3(c))。上
部の導線7との接続箇所にコンタクトホール11を開け
る。導線7となるアルミ薄膜をスパッタ法によって堆積
しパターン化する(図3(d))。第1の保護膜15を
被覆形成したのち、この第1の保護膜15、層間絶縁膜
14およびメンブレン2を貫通するエッチング孔12と
基板1への垂直穴16とをドライエッチング法で形成す
る。垂直穴16の側面はほぼ(110)面になってい
る。垂直穴16の深さdの最低値は、交線13が互いに
接するように決定する。つまり、メンブレン2の幅をw
とするとd=(w/2)×tan 54°である(図3
(e))。ヒドラジンによって垂直穴16の側面および
底面のエッチングを行い複数の(111)面で構成され
た熱分離領域5を形成する。このとき各垂直穴16は交
線13が少なくとも接するよう配置されているのでエッ
チングを続けると基板1が上下に離れ(100)面が露
出してくると同時に凸コーナー部には(311)面など
も現れてきて温接点3の下にある基板1はエッチング液
に溶出していく(図3(f))。エッチングを続けると
最終的には、温接点3の下の基板1は除去され、まず
(100)面を底面とする六角形の縦断面を有する熱分
離領域5が出来上がる。さらにエッチングを続けていく
と底面がなくなり五角形を縦断面とする熱分離領域5が
形成される(図3(g))。最後に赤外線吸収膜6を真
空蒸着法によって形成する(図3(h))。
【0022】次に、上述のように構成された赤外線検知
素子の作用を説明する。赤外線吸収膜6によって吸収さ
れた入射赤外線は熱に変換され赤外線吸収膜6の温度が
上昇する。この熱は伝導によって温接点3に伝えられ温
接点3の温度を上昇させる。温接点3近傍の基板1はエ
ッチングによって除去され熱分離領域5が形成されてい
るために下部の基板1への直接的な熱伝導は無く、次の
2つの経路で基板1へ伝わっていく。メンブレン2と
サーモパイル10を構成するポリシリコン等を伝わる熱
伝導、メンブレン2から雰囲気ガスを伝わる熱伝導で
ある。メンブレン2部分を構成する各要素の熱伝導率
は、例えばポリシリコンでκs=40(W/m/K)、
SiO2 でκo=1.4(W/m/K)、SiNでκn
=5(W/m/K)であって、雰囲気気体の熱伝導率、
例えば窒素のκn2=0.0245(W/m/K)、酸
素のκo2=0.024(W/m/K)などよりもかな
り大きい。従って、温接点3からの熱伝導は、前述の
が支配的では無視できると考えられてきた。また、初
期の赤外線検知素子は熱分離構造を形成するエッチング
を裏面から行っていたので温接点と対向する基板との距
離が基板の厚さ即ち600μmほどありの経路で拡散
していく割合が小さかった。しかし、近年、図6に示し
た従来例のように主表面から基板をエッチングするいわ
ゆる表面マイクロマシーニングで形成するタイプが主流
となってきた。さらに、感度を向上させるためにメンブ
レン上の各要素の断面積が非常に小さくなってきての
経路の熱抵抗が非常に大きくなりの経路が無視できな
い状況になってきている。その上、アレー素子の場合に
は、画素数を多くするために各素子の寸法を小さくする
必要がでてきた。このため熱分離領域が小さくなり対向
する基板との距離が小さくなり、ますますの経路が無
視できなくなってきている。
【0023】本実施例の場合は、熱分離領域5の開口部
の大きさと深さがかなり独立に決定できるので、上記
の経路の熱伝導の問題はかなり解決できる。底面がなく
なるまで即ち縦断面が五角形になるまでエッチングした
場合には、最深部の深さは始めに形成した垂直穴16の
深さ分だけ加算される。仮に熱分離領域5の開口部が1
00μmで垂直穴16の深さが20μmの場合には最深
部の深さが88μmとなる。熱分離領域5の開口部が5
0μmでは、従来例が34μmに対して本実施例では5
4μmと素子寸法が大きくなる程効果が大きくなる。垂
直穴16の深さは現時点での技術では20μm程度であ
るが将来的にはさらに向上すると考えられるのでさらに
効果が大きくなることが期待できる。従って、本実施例
の構造では温接点3と冷接点4との間の熱伝導は主に経
路を通じて行われるので両者間の熱抵抗は大きく温接
点3の熱は冷接点4に伝わりにくい。その結果両者には
大きな温度差が生じ、ゼーベック効果によってサーモパ
イル10に熱起電力が生じる。サーモパイル10の熱起
電力は個々の熱電対の和になり、一般的に次の式で表さ
れる。
【0024】S=n・α・Rth・P nは熱電対の対数、αはn型ポリシリコンとp型ポリシ
リコンの両方足し合わせたゼーベック係数、Rthは経路
との並列接続になる熱抵抗、Pは入射エネルギであ
る。この熱起電力Sの大きさを測定することによって入
射赤外線の強度を測定することができる。
【0025】図4には、本発明の第2の実施例を示す。
本実施例は基板1に垂直穴を形成した際に、その外側の
側壁にSiO2 の第2の保護膜17を形成し、ヒドラジ
ンエッチング時に基板1の除去が外側に起らないように
して、熱分離領域5の側壁が複数の(111)面と(1
10)面の組み合わせで構成されるようにしたものであ
る。本実施例の場合には、素子間の距離が小さい場合で
も熱分離領域5が互いに結合してしまうことがなくなり
高密度化に適した赤外線検知素子となる。熱分離領域5
の最深部の深さは、第1の実施例と同じように、その開
口部の大きさと垂直穴の深さで決定される。
【0026】図5には、本発明の第3の実施例を示す。
本実施例は、感温素子としてボロメータを用いたもので
ある。熱分離領域上にサーモパイルの代りに温度によっ
て抵抗値が変化する抵抗体を形成し、その抵抗値変化を
ホイートストンブリッジなどの検出手段によって検出す
るようになっている。18は第1の抵抗体、19は第2
の抵抗体、20は第3の抵抗体であり、これらの抵抗体
18,19,20によりブリッジが構成されている。こ
のブリッジのAC間に電流を流しBD間に発生する電圧
を測定する。赤外線が入射しない場合は熱分離領域上に
ある第1の抵抗体18と基板1上の第2の抵抗体19は
同一の抵抗値を示すのでブリッジは平衡しておりBD間
には電圧が発生しない。一方、赤外線が入射している場
合には第1の抵抗体18の温度が上昇して抵抗値が変化
するのでブリッジのバランスが崩れ、BD間に電圧が発
生する。この電圧は、第1の抵抗体18の温度即ち入射
する赤外線量に依存するので、BD間の電圧を測定する
ことにより入射赤外線量が測定される。
【0027】上述したように、各実施例によれば、その
構成を、熱分離領域の側壁を5以上の(111)面又は
(111)面と(110)面の組み合わせの何れかの構
成にして熱分離領域の開口部の大きさと深さを独立に決
定できるようにしたため、半導体基板をその主表面から
エッチングするいわゆる表面マイクロマシンタイプの弱
点とされていた雰囲気ガスを介して基板に逃げていく熱
流を減らすことができ、高感度の赤外線検知素子の実現
が可能となる。特に熱分離領域の小さい赤外線検知素子
では、上述の効果が顕著に現れて特性が大きく改善さ
れ、また高密度化が可能となる。熱分離領域が基板内部
で開口部よりも広がるために相互にオーバーラップして
配置することで開口部の形状の自由度が大きくなり高感
度の素子形状を採用することが可能となる。熱分離領域
の底面を残すようにエッチングをコントロールした場合
でも十分な深さを得ることが可能であり、この場合はメ
ンブレンを通過した入射赤外線の底面からの反射も期待
できて実効的な吸収率が向上する。また、第2の実施例
では、基板内部の熱分離領域が開口部の大きさと同じな
のでサーモパイルを同じチップに多数集積化したアレー
素子においても高密度に集積化できるのでアレー素子全
体の開口率が向上し高感度の素子が実現できる。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の赤
外線検知素子によれば、熱分離領域は、その側壁が5以
上の(111)面で構成されるようにしたため、熱分離
領域の深さをその開口部の大きさと独立に決定すること
ができてメンブレンと半導体基板間の熱抵抗を大にする
ことができ、高感度の赤外線検知素子を実現することが
できる。
【0029】請求項2記載の赤外線検知素子によれば、
熱分離領域の側壁が(111)面と(110)面の組み
合わせで構成されるようにしたため、上記と同様に、熱
分離領域の深さをその開口部の大きさと独立に決定する
ことができてメンブレンと半導体基板間の熱抵抗を大に
することができ、感度を向上させることができる。また
熱分離領域は、基板内部における横方向の広がりが開口
部の大きさと同じになって感温素子を同じチップに多数
集積化したアレー素子においても高密度集積が可能とな
り、アレー素子全体の開口率が向上して高感度の赤外線
検知素子を実現することができる。
【0030】請求項3記載の赤外線検知素子によれば、
前記感温素子は前記熱分離領域上の前記メンブレン上に
温接点が形成されたサーモパイルとすることにより高感
度の赤外線検知素子をより良く実現することができる。
【0031】請求項4記載の赤外線検知素子において、
前記感温素子は温度変化による抵抗体の抵抗変化を検出
するボロメータとしても、高感度の赤外線検知素子をよ
り良く実現することができる。
【0032】請求項5記載の赤外線検知素子の製造方法
によれば、主平面の面方位が(100)面である半導体
基板の主表面に耐エッチング材を用いたメンブレンを形
成する工程と、該メンブレン上に感温素子を形成する工
程と、該感温素子上に耐エッチング材を用いた保護膜を
被覆形成する工程と、該保護膜および前記メンブレンを
貫通し前記半導体基板に達する開口部を形成する工程
と、該開口部から前記半導体基板に垂直の溝を形成する
工程と、異方性エッチングにより前記垂直の溝の側面、
底面又はその両方の何れかを除去して熱分離領域を形成
する工程とを具備させたため、側壁が5以上の(11
1)面又は(111)面と(110)面の組み合わせの
何れかからなり深さが開口部の大きさと独立に決定され
た熱分離領域を形成することができて高感度の赤外線検
知素子を製造することができる。
【0033】請求項6記載の赤外線検知素子の製造方法
によれば、上記請求項5記載の赤外線検知素子の製造方
法において垂直の溝の側面および底面をエッチング除去
した場合には側壁が5以上の(111)面で構成された
熱分離領域が実現されてその深さを開口部の大きさと独
立に決定することができる。
【0034】請求項7記載の赤外線検知素子の製造方法
によれば、上記請求項5記載の赤外線検知素子の製造方
法において垂直の溝の底面側をエッチング除去した場合
には側壁が(111)面と(110)面の組み合わせで
構成された熱分離領域が実現されてその深さを開口部の
大きさと独立に決定することができるとともに基板内部
における横方向の広がりを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る赤外線検知素子の第1の実施例を
示す平面図である。
【図2】図1のX−X線断面図である。
【図3】上記第1の実施例の製造方法を示す工程図であ
る。
【図4】本発明の第2の実施例を示す縦断面図である。
【図5】本発明の第3の実施例を示す平面図である。
【図6】従来の赤外線検知素子の平面図および縦断面図
である。
【符号の説明】
1 シリコン基板 2 メンブレン 3 温接点 4 冷接点 5 熱分離領域 6 赤外線吸収膜 10 サーモパイル(感温素子) 12 エッチング孔(開口部) 14 層間絶縁膜 15 第1の保護膜 16 垂直穴(垂直の溝) 18 ボロメータを構成する第1の抵抗体

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主平面の面方位が(100)面である半
    導体基板と、該半導体基板の主平面からのエッチングに
    より形成された熱分離領域と、該熱分離領域を含むよう
    に前記半導体基板の主平面上に形成されたメンブレン
    と、該メンブレン上に形成された感温素子とを有する赤
    外線検知素子において、前記熱分離領域の側壁が5以上
    の(111)面で構成されていることを特徴とする赤外
    線検知素子。
  2. 【請求項2】 主平面の面方位が(100)面である半
    導体基板と、該半導体基板の主平面からのエッチングに
    より形成された熱分離領域と、該熱分離領域を含むよう
    に前記半導体基板の主平面上に形成されたメンブレン
    と、該メンブレン上に形成された感温素子とを有する赤
    外線検知素子において、前記熱分離領域の側壁が(11
    1)面と(110)面の組み合わせで構成されているこ
    とを特徴とする赤外線検知素子。
  3. 【請求項3】 前記感温素子は前記熱分離領域上の前記
    メンブレン上に温接点が形成されたサーモパイルである
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の赤外線検知素
    子。
  4. 【請求項4】 前記感温素子は温度変化による抵抗体の
    抵抗変化を検出するボロメータであることを特徴とする
    請求項1又は2記載の赤外線検知素子。
  5. 【請求項5】 主平面の面方位が(100)面である半
    導体基板の主表面に耐エッチング材を用いたメンブレン
    を形成する工程と、該メンブレン上に感温素子を形成す
    る工程と、該感温素子上に耐エッチング材を用いた保護
    膜を被覆形成する工程と、該保護膜および前記メンブレ
    ンを貫通し前記半導体基板に達する開口部を形成する工
    程と、該開口部から前記半導体基板に垂直の溝を形成す
    る工程と、異方性エッチングにより前記垂直の溝の側
    面、底面又はその両方の何れかを除去して熱分離領域を
    形成する工程とを有することを特徴とする赤外線検知素
    子の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記熱分離領域の側壁が5以上の(11
    1)面で構成されていることを特徴とする請求項5記載
    の赤外線検知素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記熱分離領域の側壁が(111)面と
    (110)面の組み合わせで構成されていることを特徴
    とする請求項5記載の赤外線検知素子の製造方法。
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