JPH08164978A - 包装用緩衝材及び緩衝材を備えたダンボール箱 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 小さな力で変形し、復元力も大きく、かつ容
易には座屈しないダンボール製の包装用緩衝材を得るこ
と及びそのような緩衝材を備えたダンボール箱の組み立
ておよび開閉作業を容易にすることである。 【構成】 この発明の包装用緩衝材は、ダンボールを折
り曲げて断面矩形の角筒を形成し、側部の対向面４に筒
軸方向の内折線３を設けたものである。内折線３を波線
ないしジグザグ線とすることができ、また、内折線３が
所定量折れ曲がったときに、内折線３の内側の稜線１２
ないし稜面が突き合わされる構造とすることもできる。
この発明のダンボール箱は、緩衝材１を備えた押え板７
が二重構造の側壁の内側のダンボール板の上方に折線２
１を介して一体に設けられているものである。またこの
発明の他の構造のダンボール箱は、緩衝材１がダンボー
ル箱の上辺の短辺側のフラップ２５の内側面に設けられ
ているものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、ダンボール製の緩衝
材及びそのような緩衝材を備えたダンボール箱に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】箱形をした電子機器たとえばパソコン本
体やその周辺装置、各種の計測器や制御器などを流通す
る際に使用する包装容器として、図１４に示すような緩
衝材１を備えたダンボール箱が広く用いられている。通
常この種のダンボール箱は被包装物と当接する部分に緩
衝材１を設けた押え板７を備えており、同様な構造の底
板をダンボール箱２３に入れた後、その底板上に被包装
物を載せ、その上に押え板７を覆着し、ダンボール箱の
上フラップ２５を閉じて、紙テープ等で封止するという
方法で包装が行われている。

【０００３】このようなダンボール箱に従来用いられて
いる緩衝材１としては、偏平角材状に成形した発泡スチ
ロールや発泡ポリエチレン成形品が用いられている。ま
た近年は樹脂製品の廃棄上の問題に鑑み、ダンボールを
積層した構造の緩衝材や、ダンボールを井桁状に組み合
わせた構造の緩衝材も使用されるようになってきてい
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】発泡樹脂製の緩衝材は
燃焼温度が高く、微生物分解しないため、廃棄上の問題
がある。一方これに代わるものとして用いられている従
来構造のダンボール製の緩衝材は、剛性が高く重量の小
さい電子機器等を包装する際の搬送材としては、緩衝作
用が充分でないという問題があった。

【０００５】また従来のように、押え板７をダンボール
箱２３と別体の落し蓋状に設けた構造は、開梱して製品
を取り出すときに、押え板７が取り外しにくく、また包
装時においても、ダンボール箱の組み立ての他に底板や
押え板の挿入作業が必要で手間がかかるという問題があ
った。

【０００６】この発明は上述のような問題を解決するた
めになされたもので、小さな力で変形してその復元力も
大きく、かつ容易には座屈しないダンボール製の緩衝材
を得ること及びそのような緩衝材を備えたダンボール箱
の組み立ておよび開閉作業を容易にすることを課題とし
ている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この発明の包装用緩衝材
は、ダンボールを折り曲げて断面矩形の角筒を形成し、
その一方の側の対向面４に筒軸方向の内折線３を設けた
ものである。角筒は、一重でも多層でも可能で、多層と
するときは、１枚のダンボールの巻構造により、多層の
角筒９、１０を形成する構造が便利である。また角筒の
内折線３を波線ないしジグザグ線とすることも有効であ
る。

【０００８】また、角筒の内折線３を設けた面の延幅Ｗ
１をこれに隣接する受面５の幅Ｗ２より広くし、内折線
３が所定量折れ曲がったときに、内折線３の内側に形成
される互いに対向する稜線１２ないし稜面１３が突き合
わされる構造とすることもできる。更にこの構造の緩衝
材の複数本を並置して、これら複数本の単位となる緩衝
材(1) を、被包装物との受面側に設けた１枚の受板１４
に貼着して連接した構造とすることもできる。

【０００９】この発明の請求項６のダンボール箱は、ダ
ンボール箱の一方の側壁が二重構造であり、内側に緩衝
材１を設けた押え板７が、二重構造の側壁の内側のダン
ボール板の上方に折線２１を介して一体に設けられてい
るものである。またこの発明の請求項７のダンボール箱
は、緩衝材１がダンボール箱の上辺の短辺側のフラップ
２５の内側面に設けられているものである。

【００１０】この発明の緩衝材は、上記この発明のダン
ボール箱の緩衝材として特に好適である。

【００１１】

【作用】この発明の緩衝材は、内折線３を設けた面４に
隣接する面の一方（受面）５を被包装物側に向けて、そ
の受面の対向面（貼着面）６をダンボール箱や押え板７
の内面に貼着して使用する。受面５に衝撃的な荷重がか
かったとき、内折線３が内側に屈曲することによって変
形して、その衝撃を緩和するとともに、その折れ曲がり
部分の復元力によって受面５に弾性復帰力が付与され
る。内折線３を波形ないしジグザグ状に設けたものは、
折れ曲がりに対する抵抗が大きく、従って荷重に対する
抵抗力を大きくしたいときに有効である。

【００１２】荷重に対する抵抗力は上記構造の角筒状の
緩衝材を多重に設けることによっても達成できる。この
場合の多重とした角筒体９，１０は、１枚のダンボール
の巻構造で製作するのが合理的であり、この場合の構造
としては図４に示す密着巻の構造や、図５に示すように
外筒の折面４ａと内筒の折面４ｂとの間に間隙を設けた
構造とが採用可能である。荷重に対する抵抗力は密着巻
のものが大きく、上記構造を適宜組み合わせることによ
り、被包装物の重量に合わせた荷重抵抗力を有する緩衝
材を自由に製作することができる。

【００１３】折面４の延幅Ｗ１を受面５の幅Ｗ２より広
くして、折面４がある程度の角度まで折れ曲がったとき
に、内折線３の内側の対向する稜線１２ないし稜面１３
相互が突き合わされるようにした構造は、稜線１２ない
し稜面１３が突き合わされる前と後とで荷重に対する抵
抗力が大きく変化し、荷重が加わったときに柔軟に変形
するけれども、容易には底付きしない緩衝材を得ること
ができる。すなわち折線の内側の稜線１２ないし稜面１
３が突き合わされた後では、折面のより以上の変形を反
対側の折面が阻止するから、荷重に対する抵抗力が大き
く増加し、大きな衝撃力が加わったときに緩衝材が潰れ
て緩衝効果が全く失われるのを防止する。

【００１４】このような荷重に対する抵抗力を２段に変
化させる緩衝材は、その高さ（緩衝材としての厚さ）に
比べて、受面５の幅をあまり広くすることができない。
そこで高さに比べて広い当面を必要とするときは、複数
本の緩衝材を並置して受板１４で一体化した構造や、角
筒体８を多重の巻構造として内筒と外筒の折面相互の間
に空隙を設けて内筒を請求項３の構造とした緩衝材が採
用される。

【００１５】またこの発明のダンボール箱は、上フラッ
プ２５を開くと押え板７が側壁との連接部分の折曲部２
１の復元力によって開放辺側が浮き上がるから、開梱時
の製品の取り出しがより容易になる。また請求項７の構
造では押え板７を必要とせず、搬送中の衝撃もダンボー
ル箱の上フラップ２５に設けた緩衝材１によって有効に
吸収できる。

【００１６】

【実施例】図１及び図２はこの発明の緩衝材の第１実施
例を示す部分斜視図で、図１が変形前の状態、図２が変
形したときの状態を示すものである。緩衝材１は１枚の
ダンボールを角筒状に折り曲げて、その短辺相互を重ね
合わせて貼着２し、一方の側の対向する面（折面）に内
折線３を設けることによって形成されている。内折線３
は外周をＨ状にしたローラを内折線３を設ける部分に沿
って転動させることによって形成できる。

【００１７】このような緩衝材１は折面４に隣接する面
の一方を、被包装物を支える受面５とし、これに対向す
る面（貼着面）６をダンボール箱の内面または押え板７
の内面に貼着して用いられる。搬送中の衝撃等によって
受面５に垂直方向の荷重がかかると、図２に示すように
折面４が内折線３部分で内側に折れ曲がって、緩衝材の
高さＨが低くなり、衝撃を緩和する。荷重がなくなれ
ば、内折線３部分の弾性復帰力により、折面４は最初の
状態に近い形状にまで復元する。

【００１８】角筒体８を形成するダンボールのライナー
（波目）の方向は、通常折線と直交する方向に設けられ
るから、図１の矢印Ａの方向である。内折線３は図３に
示すように波線ないしジグザグ線とすることができ、折
線をこのような形状にしたときは、折面４の折れ曲がり
抵抗が大きくなるので、受面５の荷重に対する抵抗力が
増大する。図４及び図５は受面５の荷重に対する抵抗力
を増大させるために、角筒体８を多重とした構造のもの
を示したものである。図４のものでは外筒９と内筒１０
は密着状態であり、外筒９の折面の変形が内筒１０の折
面によって抵抗を受けるので、受面５の荷重に対する抵
抗力を大幅に増大させることができる。

【００１９】一方図５に示した構造は、外筒９の折面４
ａと内筒１０の折面４ｂとの間に空隙１１が存在してお
り、外筒の折面４ａ及び内筒の折面４ｂと独立して屈折
できるから、荷重に対する抵抗力はほぼ筒の数に比例し
て増大する。このような多重の角筒体は、内筒１０を成
形した後、この内筒を巻き込むようにして外筒９を折り
曲げ成形することにより、１枚のダンボールで製造でき
る。

【００２０】図６および図７に示した構造は、折面４が
ある程度内側へ折れ曲がったときに、対向する内折線３
の内側の稜線１２または稜面１３が突き合わされるよう
にしたものである。このような構造を実現するために
は、折面４の延幅（内折線３部分で折れ曲がっていない
ときの幅）Ｗ１が受面５や貼着面６の幅Ｗ２より大きい
ことが必要である。このような構造の緩衝材１は稜線１
２や稜面１３が突き合わされていないときは、対向する
折面４相互は各独立して柔軟に変形できるが、稜線１２
ないし稜面１３が突き合わされた後は、各折面のそれ以
上の変形が対向する折面によって抵抗されるから、変形
に対する抵抗力が急激に増大する。従って図６や図７に
示す構造は、小さな衝撃には柔軟に変形し、大きな衝撃
が加わったときにも潰れない構造の緩衝材としたいとき
に有効である。

【００２１】図６及び図７の構造の緩衝材は、その折面
の延幅と受面５の幅との寸法関係の制限から、高さが低
くて受面の広い緩衝材を１本の筒体で形成することがで
きない。そこで受面５を広くしたいときは、図８に示す
ように、図６、７に示す緩衝材を複数本並置して、その
受面側に貼着される受板１４で一体に連接した構造とす
るか、または図５に示すような多重構造として、その内
筒１０を図６や図７に示す構造のものとする。

【００２２】図９は上述した各構造の緩衝材の荷重に対
する変形状態を、変形量を横軸、荷重を縦軸にして模式
的に示したもので、線１５は図１、２に示す構造、線１
６は図４に示す構造、線１７は図６、７に示す構造のも
のの荷重に対する変位曲線を概念的に示したものであ
る。

【００２３】図１０はこの発明のダンボール箱の第１実
施例を示したもので、内側面に緩衝材１を貼着した押え
板７には、折線２１を介して添え板２２が一体に設けら
れている。そしてこの添え板２２を従来構造のダンボー
ル箱２３の側面板に添設してこの発明のダンボール箱を
形成する。

【００２４】図１１はこの発明のダンボール箱の第２実
施例を示したもので、側面板の一方を打ち合わせて二重
構造とし、その内側板２４の上方に折線２１を介して押
え板７を一体に成形し、この押え板７に緩衝材１を設け
たものである。図１０及び図１１には押え板７のみを示
したが、必要があれば押え板７と同様な構造の底板を添
え板２２及び内側板２４の下辺に設けてやればよい。

【００２５】このような構造のダンボール箱は、図１２
に示すように上フラップ２５を開いたとき、押え板７が
折線２１部分の弾性復元力により浮き上がるから、その
まま押え板を開いて被包装物を取り出すことができ、開
梱作業を能率良く行うことができる。

【００２６】図１３はこの発明のダンボール箱の第３実
施例を示したもので、ダンボール箱の短辺側の上フラッ
プ２５に緩衝材１が設けられたものである。このような
構造のこの発明のダンボール箱において、その緩衝材１
として図１ないし図８に示した緩衝材を用いれば、その
荷重に対する抵抗力を自由に設定することができるとと
もに、１枚のダンボール箱から押え板７と緩衝材１ある
いは押え板７とフラップと一体に折り曲げ成形すること
ができ、ダンボール箱の製造価格やダンボール箱組立時
の手数を低減することができる。

【００２７】

【発明の効果】以上説明したこの発明によれば、低い荷
重で緩衝効果を得ることができるダンボール製の緩衝材
を提供することができ、特に電子装置のような重量の小
さい被包装物の緩衝材として好適であり、また復元性が
あって繰り返し使用に耐えるダンボール製の緩衝材を提
供できるという効果がある。さらにこの発明の緩衝材
は、荷重に対する抵抗力を広い範囲で設定することがで
き、被包装物に合わせた最適な緩衝作用を有する緩衝材
が得られるという効果がある。さらにこの発明のダンボ
ール箱は、ダンボール箱の製造組立に必要な手数を軽減
し、特に開梱時の作業性に優れているという効果がある
とともに、従来別部材であった押え板および底板を外箱
と一体化して、部品点数や管理コストを低減させること
ができるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】緩衝材の第１実施例の斜視図

【図２】図１の緩衝材の変形状態を示す部分斜視図

【図３】波形の折線を設けた緩衝材を示す部分斜視図

【図４】密着多重巻の緩衝材を示す部分斜視図

【図５】非密着多重巻の緩衝材の例を示す部分斜視図

【図６】潰れを防止した緩衝材を変形状態で示す部分斜
視図

【図７】潰れを防止した緩衝材の他の例を示す部分斜視
図

【図８】角筒体を複数個並置した緩衝材の例を示す部分
斜視図

【図９】荷重に対する変位曲線を概念的に示す図

【図１０】ダンボール箱の第１実施例の分解斜視図

【図１１】ダンボール箱の第２実施例の分解斜視図

【図１２】開梱状態を示す説明図

【図１３】ダンボール箱の第３実施例を示す斜視図

【図１４】従来のダンボール箱の構造の一例を示す斜視
図

【符号の説明】

１ 緩衝材 ３ 内折線 ４ 折面 ７ 押え板 9,10 角筒 12 稜線 13 稜面 14 受板 21 折線 25 フラップ W1 延幅 W2 幅

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ダンボールを折り曲げて断面矩形の角筒
   を形成し、その一方の側の対向面(4) に筒軸方向の内折
   線(3) を設けた、包装用緩衝材。
2. 【請求項２】 １枚のダンボールの巻構造により、多層
   の角筒(9,10)を形成した、請求項１記載の包装用緩衝
   材。
3. 【請求項３】 内折線(3) を設けた面の延幅(W1)が、こ
   れに隣接する受面(5) の幅(W2)より広く、内折線(3) が
   所定量折れ曲がったときに、内折線(3) の内側に形成さ
   れる互いに対向する稜線(12)ないし稜面(13)が突き合わ
   されることを特徴とする、請求項１または２記載の包装
   用緩衝材。
4. 【請求項４】 請求項３記載の緩衝材の複数本を並置し
   て、これら複数本の単位となる緩衝材(1) を、被包装物
   との当面側に設けた１枚の受板(14)に貼着して連接し
   た、包装用緩衝材。
5. 【請求項５】 内折線(3) が波線ないしジグザグ線であ
   る、請求項１、２、３または４記載の包装用緩衝材。
6. 【請求項６】 ダンボール箱の一方の側壁が二重構造で
   あり、内側に緩衝材(1) を設けた押え板(7) が、当該側
   壁の内側のダンボール板の上方に折線(21)を介して一体
   に設けられている、ダンボール箱。
7. 【請求項７】 緩衝材(1) をダンボール箱の上辺の短辺
   側のフラップ(25)の内側面に設けた、ダンボール箱。
8. 【請求項８】 緩衝材が請求項１ないし５のいずれか１
   記載の緩衝材である、請求項６または７記載のダンボー
   ル箱。