JPH08162094A - 蓄電池用安全装置及びそれを備えた密閉型蓄電池 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 コンパクトでより高い信頼性を有する蓄電池
用安全装置及びそれを備えた電池を供給する。 【構成】 一端が蓄電池の正電極側に接続され、他端が
蓄電池の正極端子３に接続される充放電用リ−ド２と、
蓄電池内部方向に凹設された圧力感応手段１と、圧力感
応手段の凹部底部の一部を蓄電池外部方向に凸出させた
圧力感応手段凸部５とを備えることを特徴とし、とりわ
け充放電用リ−ドを脆性基材と電導体とで構成すること
により、蓄電池内部圧力の上昇により、凹設された圧力
感応手段が蓄電池外部方向に反転し、圧力感応手段凸部
が充放電用リ−ドを確実に切断できる。いったん反転し
た圧力感応手段は復元することなく、かつ切断された充
放電用リ−ドは再導通しないよう構成されたているの
で、信頼性が高い。

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【産業上の利用分野】本発明は、蓄電池の内圧上昇によ
って作動する蓄電池用安全装置及びそれを備えた密閉型
蓄電池に関するものである。 【０００２】 【従来の技術】近年、家庭用ホームビデオ、携帯用ＣＤ
プレーヤーや携帯用電話等の電子機器が普及し、最近で
は、これら電子機器の小型化、高性能化に伴って電源供
給部としての密閉電池も、より小型化、高容量化が図ら
れている。このような小型密閉電池では、何らかの原因
で電池内圧が一端上昇してしまうと、電池が急速に破損
することもありうる。 【０００３】例えば、充電時に蓄電池が過充電されたと
きに生じる発熱や、放電時の誤使用によって負荷側が短
絡されたときに生じる短絡電流により、蓄電池内の電解
液が分解あるいは蒸発したり、電極活物質の分解等によ
る異常反応物質などが蓄電池内に充満したりしてしま
い、蓄電池の内圧や温度の異常上昇を引き起こすような
場合である。 【０００４】このような蓄電池の異常挙動による発熱や
破損などを防止するため、蓄電池内には前記のような現
象が生じると、蓄電池内の一定圧力を感知して負荷への
回路を遮断する構造が必要とされる。 【０００５】従来の蓄電池用安全装置を図５に示す。図
５において、４１は外装缶、４２はガスケット、４３は
弁孔、４４は蓋板、４７は弾性弁体、４５は弾性弁体４
７の凹部、４６は弾性弁体４７の薄肉部、４８はガス抜
き穴、４９は皿状端子板、５０は切断刃である。 【０００６】同図において、圧力開放用の安全装置は、
負極端子を兼用する外装缶４１の上部に設けられてい
る。この安全装置は、絶縁性のガスケット上面に取り付
けられており、中心部に弁孔４３を設けた蓋板４４と、
凹部４５が形成された円筒状の弾性弁体であって、その
底面が薄肉部４６である弾性弁体４７と、この弾性弁体
上部を覆うように取り付けられ、ガス抜き穴４８が形成
された皿状端子板４９とからなり、前記弾性弁体４７の
凹部４５には前記薄肉部４６の方向に突出する切断刃５
０が形成されたものである。蓄電池の内圧が高まると、
弾性弁体４７の薄肉部４６が切断刃方向に伸張し、薄肉
部４６が切断刃５０に突き当たる。さらに内圧が高まる
と、薄肉部が切断刃によって破断され、皿状端子板４９
に設けられたガス抜き穴４８をへて大気中にガスが放出
され、もって電池の内圧上昇による破裂が防止される。 【０００７】この安全装置では、安全弁、つまり弾性弁
体が壊裂することにより、蓄電池の内圧上昇が抑えられ
る。しかしながら、充電電流や放電電流は内圧に関係な
く流れ続けるため、さらに蓄電池内の電解液や活物質の
分解が促進されるとともに温度上昇が持続する。 【０００８】 【発明が解決しようとする課題】従来の蓄電池用安全装
置における上記のような問題を解決するため、電池内圧
が所定の値に達したとき、安全弁の変形によって電流を
遮断するよう構成された蓄電池用安全装置が特公平2-28
8063号に開示されている（図６参照）。 【０００９】図６において、６３はガスケット、６２は
内圧の上昇にともなって内圧方向に変形を生じる防爆
弁、６４は防爆弁６２の下部に接触するよう取り付けら
れたリード遮断用ストリッパー、６５は閉塞蓋体、６６
は発電要素、６７は絶縁板、６８はリード遮断用ストリ
ッパー６４の下部に取り付けられ、発電要素６６の正極
側内部端子（図示せず）と正極端子６５に接続する防爆
弁６２とに接続されたリード板、７１は、板状発電要素
を巻回するのに用いる巻芯、７５は防爆弁に設けられた
薄肉部である。リード遮断用ストリッパー６４には、リ
ード板６８と防爆弁６２とを接続するための接続孔が形
成されており、この接続孔を通してリード板６８と防爆
弁６２とが溶接によって接続されている。 【００１０】この蓄電池安全装置では、所定の内圧に達
したとき、防爆弁の変形によって防爆弁とリード板との
接続部分の接触が断たれ、電流が遮断される。 【００１１】しかしながら、充電電流を遮断する際にリ
ード板と防爆弁との接触が、何らかの原因で断たれなか
った場合には、結局、電池の破損に至ってしまうことが
考えられ、高容量化された小型蓄電池の信頼性が著しく
向上したとは必ずしもいえない。それゆえに、より高い
信頼性を有する蓄電池用安全装置及びそれを備えた密閉
型蓄電池の出現が望まれる。 【００１２】 【課題を解決するための手段】そこで、本発明では、一
端が蓄電池の正電極に接続され、他端が蓄電池の正極端
子に接続される充放電用リ−ドと、蓄電池内部方向に凹
設された圧力感応手段と、圧力感応手段の凹部底部の一
部を蓄電池外部方向に凸出させた圧力感応手段凸部とを
備えてなり、蓄電池内部圧力の上昇により、凹設された
圧力感応手段が蓄電池外部方向に反転し、圧力感応手段
凸部が充放電用リ−ドを切断するともに、いったん反転
した圧力感応手段は復元することなく、かつ切断された
充放電用リ−ドは再導通しないよう構成された蓄電池用
安全装置、及びそれを備えた密閉型蓄電池により上記課
題を解決するものである。 【００１３】 【作用】本発明になる蓄電池用安全装置では、過充電や
外部短絡などの原因で蓄電池の内圧が上昇すれば、蓄電
池内部方向に凹設された圧力感応手段が蓄電池外部方向
へ反転変形し、圧力感応手段の凹部底部の一部を蓄電池
外部方向に凸出させた圧力感応手段凸部が充放電用リ−
ドを押圧して充放電用リ−ドを切断する。これにより過
充電や外部短絡電流を遮断するので、これ以上の蓄電池
内圧上昇を防ぐことができる。 【００１４】この圧力感応手段は、いったん変形した後
は、例え蓄電池内圧が低下しても、復元することがない
よう構成されているとともに、切断された充放電用リ−
ドも再導通しないよう構成されているので、より高い信
頼性が得られる。 【００１５】充放電用リ−ドを脆性基材と電導体とで形
成することにより、圧力感応手段凸部が充放電リ−ドを
安定して接触し押しあげ、容易に切断することができ
る。この場合、電導体を脆性基材に印刷して充放電用リ
−ドを形成すれば、より信頼性の高い蓄電池用安全装置
が得られる。脆性基材としては、セラミックス、ガラス
などの非導電性物質を用いることができる。また印刷さ
れる導体の材質は、銅、ニッケル、金、銀、アルミニウ
ム、ニッケルとアルミとの合金など、一般に電気用接続
体に使用されているものを用いることができる。この導
体には絶縁用もしくは耐蝕用の被覆を施しても良いし、
被覆せずにそのまま用いても良い。 【００１６】 【実施例】以下、本発明になる蓄電池用安全装置及びそ
れを備えた蓄電池について、図面に基づいて具体的に説
明する。 【００１７】図１は、本発明の１実施例である蓄電池用
安全装置を備えた蓄電池の要部断面図である。図２は前
記蓄電池の上面図である。図３は圧力感応手段の１実施
例を示す図である。図４は充放電用リ−ドの１実施例を
示す図である。 【００１８】これらの図において、１１は負極端子を兼
ねる外装ケ−ス、１０は外装ケ−ス蓋板、１２は電極要
素、８はリベットである。６はパッキンを兼ねた端子保
持体、９はスペ−サ−、１３は電極要素に接続される集
電ワッシャで、これらはリベット８によって外装ケ−ス
蓋板１０に固定される。３は正極端子である。４は、リ
ベット８、集電ワッシャ１３を介して、電極要素１２の
正電極（図示せず）に接続される電極側端子である。２
は、一端が正極端子３に接続され、他端が電極側端子４
に接続された、充放電用リ−ドである。６は、正極端子
３、電極側端子４を固定する、パッキンを兼ねた端子保
持体である。 【００１９】１は、電極要素１２と外装ケ−ス蓋板１０
との間に配された圧力感応手段であり、外装ケ−ス蓋板
１０にレ−ザ−溶接によって密閉取り付けされている。
圧力感応手段１は蓄電池内部方向へ凹設されている。こ
の圧力感応手段１は、蓄電池の内圧上昇により蓄電池外
部側へ反転変形するよう構成されている。７は、圧力感
応手段１を外装ケ−ス蓋板に密閉取り付けするためのレ
−ザ−溶接用押え板であり、その爪部をかしめることに
より端子保持体６を固定できる。 【００２０】圧力感応手段１は、この実施例では、図３
に示すように、蓄電池内部方向に窪ませた形とし、その
底部には電池外部方向に凸出させた圧力感応手段凸部５
が形成されている。圧力感応手段１が反転変形すること
により、圧力感応手段凸部５が、圧力感応手段よりも蓄
電池外部側（図１の上方）に取り付けられた充放電用リ
−ド２を押圧して切断する。圧力感応手段１は、反転変
形後はそのたわみを維持し、もはや復元しないよう構成
されている。 【００２１】尚、圧力感応手段１は、この実施例では、
外形を矩形とし、中央部を一段に矩形状に凹設し、その
中央部に半球状の凸部５を形成しているが、これに限ら
れるものでないことは言うまでもない。 【００２２】充放電用リード１は、この実施例では、図
４に示すように、セラミック製基材１４に、銅薄膜導電
層を印刷により形成したものであるが、これに限られる
ものでないこと上記と同様である。 【００２３】本実施例にかかる密閉型蓄電池は、図１に
示すように、電極要素１２が外装ケ−ス１１中に配され
ており、圧力感応手段１の上部に充放電用リ−ド２を接
続させた電極側端子４及び正極端子３を保持した端子保
持体６をレ−ザ−溶接用押さえ板７の爪部を折り曲げる
ことにより固定させている。 【００２４】本発明になる蓄電池用安全装置を備えた密
閉型蓄電池において、過充電又は外部短絡などの原因で
蓄電池の内圧が上昇し始めると、外装ケ−ス蓋板に組み
込まれた蓄電池用安全装置の圧力感応手段が、上昇した
圧力によって反転し、この変形によって圧力感応手段底
部の凸部分が充放電用リ−ドを押圧し、もって充放電用
リ−ドを切断して電流を遮断する。また切断した後、常
圧に戻っても圧力感応手段は、バックリングすることが
ないので、切断した充放電用リ−ドを持ち上げた状態に
保ち再度電流が導通することはない。 【００２５】尚、本発明において、蓄電池内部方向と
は、図１に示すように、外装ケ−ス１１と外装ケ−ス蓋
板１０とで形成される蓄電池内部空間の内、電極要素１
２が収納された方向（図１では下方）を意味し、蓄電池
外部方向とは前記蓄電池内部空間の内、電極要素１２が
収納された方向（図１では上方）とは逆の方向を意味す
るものとする。 【００２６】 【発明の効果】本発明にかかる蓄電池用安全装置は、一
端が蓄電池の正電極側に接続され、他端が蓄電池の正極
端子に接続される充放電用リ−ドと、蓄電池内部方向に
凹設された圧力感応手段と、圧力感応手段の凹部底部の
一部を蓄電池外部方向に凸出させた圧力感応手段凸部と
を備えることを特徴とし、とりわけ充放電用リ−ドを脆
性基材と電導体とで構成することにより、蓄電池内部圧
力の上昇により、凹設された圧力感応手段が蓄電池外部
方向に反転し、圧力感応手段凸部が充放電用リ−ドを確
実に切断できる。いったん反転した圧力感応手段は復元
することなく、かつ切断された充放電用リ−ドは再導通
しないよう構成されたているので、信頼性が高い。 【００２７】また、この蓄電池用安全装置を備えた密閉
型蓄電池は、従来の蓄電池用安全装置を備えたものに比
べて、より優れている。電池としては、円筒形、角型な
どの形状を問わず、鉛蓄電池、アルカリ蓄電池、非水電
解液蓄電池等あらゆる密閉式蓄電池に用いることがで
き、本発明の工業的価値はきわめて大きい。

【図面の簡単な説明】 【図１】本発明になる蓄電池用安全装置を備えた蓄電池
の要部断面図である。 【図２】図１の蓄電池の上面図である。 【図３】圧力感応手段の１実施例を示す図である。 【図４】充放電用リ−ドの１実施例を示す図である。 【図５】従来の蓄電池用安全装置の一例を示す要部断面
図である。 【図６】従来の蓄電池用安全装置の一例を示す要部断面
図である。 【符号の説明】 １ 圧力感応手段 ２ 充放電用リ−ド ３ 正極端子 ４ 電極側端子 ５ 圧力感応手段凸部

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】一端が蓄電池の正電極側に接続され、他端
   が蓄電池の正極端子に接続される充放電用リ−ド（２）
   と、蓄電池内部方向に凹設された圧力感応手段（１）
   と、圧力感応手段の凹部底部の一部を蓄電池外部方向に
   突出させた圧力感応手段凸部（５）とを備えてなり、 蓄電池内部圧力の上昇により、凹設された圧力感応手段
   （１）が蓄電池外部方向に反転し、圧力感応手段凸部
   （５）が充放電用リ−ド（２）を切断するともに、いっ
   たん反転した圧力感応手段（１）は復元することなく、
   かつ切断された充放電用リ−ド（２）は再導通しないよ
   う構成された蓄電池用安全装置。 【請求項２】 充放電用リ−ド（２）が脆性基材（１
   ４）と電導体（１５）とで構成されている請求項１記載
   の蓄電池用安全装置。【請求項３ 電導体が脆性基材に
   印刷されたものである請求項２記載の蓄電池用安全装
   置。 【請求項４】 請求項１、２もしくは３記載の蓄電池用
   安全装置を備えた密閉型蓄電池。