JPH08159240A - 歯車およびその製造方法 - Google Patents

歯車およびその製造方法

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JPH08159240A
JPH08159240A JP29710194A JP29710194A JPH08159240A JP H08159240 A JPH08159240 A JP H08159240A JP 29710194 A JP29710194 A JP 29710194A JP 29710194 A JP29710194 A JP 29710194A JP H08159240 A JPH08159240 A JP H08159240A
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JP
Japan
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shape memory
gear
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JP29710194A
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English (en)
Inventor
Tadakatsu Maruyama
忠克 丸山
Takahiko Mio
堯彦 三尾
Yoshiaki Asai
芳明 浅井
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Awaji Sangyo KK
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Awaji Sangyo KK
Nippon Steel Corp
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H57/00General details of gearing
    • F16H57/04Features relating to lubrication or cooling or heating
    • F16H57/0406Absorption elements for lubricants, e.g. oil felts

Abstract

(57)【要約】 【目的】 固体潤滑複合材を歯先部分に用いた歯車は、
自己潤滑性を有するため無給油で使用できる特徴があ
る。しかし焼結で作られるため脆く、壊れやすい欠点が
ある。固体潤滑複合材の機能を活かし、壊れにくくキー
溝等の加工も容易な歯車を提供するのが本発明の目的で
ある。 【構成】 歯先を構成する固体潤滑材を、外側もしくは
内側から形状記憶合金で補強するように構成した。両者
は形状記憶合金の形状回復動作を利用して一体に締結
し、形状記憶合金部分はそのまま歯車の強度負担部材と
して機能するようにした。 【効果】 潤滑性の良い歯車の高強度化が実現した。キ
ー溝加工等も容易で、高価な固体潤滑複合材の使用を最
低限にとどめることができるので、コスト的にも安い歯
車となった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、機械設備や測定装置等
に広く用いられる歯車およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】歯車の噛み合い部分では摩擦を軽減する
ための潤滑性が必要とされる。この条件は一般には潤滑
油もしくはグリースの補給によって維持されるのが最も
普通である。しかし高温、真空、食品や印刷関係等の条
件下のように、油類の使用が不可能、もしくは望ましく
ない場合も存在する。そのような場合には、軸受けを構
成する固体部材自体に、自己潤滑機能を有する固体潤滑
材もしくはテフロン(商品名)等の樹脂等が使用されて
いる。
【0003】テフロン等の樹脂類は歯車にかかる負荷が
小さい場合には有効であるが、高い負荷のかかる状況で
精度の良い回転伝達に十分な性能を有するものではな
い。また固体潤滑材というのは、潤滑材成分の粉末と金
属、プラスチックまたはセラミックス成分の粉末とを混
合して一体に焼結した固体潤滑複合材料として製造され
るものである。高価な原料を使用する焼結体であるため
に製造コストが高く、大きな歯車を一体のものとして製
造するのは高価になる上に、キー溝等の加工で割れるこ
とも多く、特に需要の多い薄手歯車では歯車の強度自体
にも不安が付きまとう欠点があった。
【0004】強度的な問題に対しては、固体潤滑複合材
料で形成した歯車の片面もしくは両面を金属もしくは鋼
やステンレス等の合金製の当て金で補強するようにすれ
ばキー溝加工も含めて一応解決できるものの、厚みが厚
くなり重量も大きくなる上に製造コストがより一層高く
なって、実用的に有効な対策とはなっていない。両者を
総合的に解決する手段として、固体潤滑材料では歯車の
歯先部分のみを作り、その内側もしくは外側の部分を別
の金属もしくは合金で作り、焼きばめによって一体に構
成する方法も考えられる。しかしながら、歯車は各種の
機械や測定装置類を構成する基本的な部材であるため、
安価で大量生産可能なことが絶対に必要な条件とされて
いる。ところが焼きばめのためには固体潤滑複合材料と
補強用の金属外筒の両方に対して極めて高い精度の機械
加工が要求されることにより、生産コストを引き上げる
要因となる。摺動部材が小型になるほどこの傾向は大き
くなり、実用を躊躇わせる最大の原因となっている。
【0005】このような困難を打開する方法として、主
として固体潤滑複合材を軸受けとして活用する場合につ
いてであるが、金属もしくは合金製のスリーブ(もしく
は裏当て金)の内側もしくは外側に、固体潤滑複合材の
原料粉末を加圧成形した素形材を嵌め込んだ後に焼結処
理したり、あるいは裏当て金もしくはスリーブ自体も金
属もしくは合金の粉末を加圧成形した素形材として製作
し、固体潤滑複合材の原料粉末を加圧成形した素形材と
組み合わせた上で一緒に焼結して一体に形成する方法が
提案されている。特公昭57−42121号公報(特開
昭55−094403号公報)や特開昭63−2822
33号公報はその一例である。
【0006】しかし、一般に固体潤滑複合材の中には化
学的に極めて活性の高い成分が含まれているため、金属
もしくは合金製の補強材と接触する境界部分には、両者
が焼結時の高温下で反応して中間的な第三相を形成する
ことが避けられない。この反応相は潤滑性能を有するわ
けではないから、高価な固体潤滑複合材の一部が無駄に
消費されることを意味するばかりでなく、反応相自体が
脆いものとなる場合が多く、金属もしくは合金で補強さ
れるとはいうものの、境界面からの破壊に対する新たな
問題を抱えるものとなっていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】一般の用途のみでな
く、高温や真空等、油潤滑の困難な場所でも使用可能な
歯車とその製造方法を、歯車自体の強度はもちろんキー
溝等の加工も心配なく行え、かつ生産コストも安いもの
として提供することが本発明の目的である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、歯先の形成さ
れる外周部を、潤滑材成分の粉末と金属、プラスチック
またはセラミックス成分の粉末とを混合して一体に焼結
した固体潤滑複合材料によって形成し、その内側に形状
記憶合金を配したことを特徴とする歯車、ならびに歯先
の形成される内周部を、潤滑材成分の粉末と金属、プラ
スチックまたはセラミックス成分の粉末とを混合して一
体に焼結した固体潤滑複合材料によって形成し、その外
側に形状記憶合金を配したことを特徴とする歯車、およ
び、外周部もしくは内周部に歯車の歯先が加工されるリ
ング状部材は、潤滑材成分の粉末と金属、プラスチック
またはセラミックス成分の粉末とを混合して一体に焼結
した固体潤滑複合材料で形成され、前記固体潤滑複合材
料製のリングと、その内側もしくは外側に、対応する所
定形状を有し形状記憶処理とそれに続く所定の変形が加
えられていることにより、次に所定の加熱処理が行われ
た際には記憶形状に復元する能力を与えられた形状記憶
合金製部材とを組み合わせて配したまま加熱処理するこ
とによって、形状記憶合金製部材を形状回復させること
によって両者を一体に結合することを特徴とする歯車の
製造方法である。なお、前記製造方法において必要があ
れば、一体に結合した後の固体潤滑複合材の素形材と形
状記憶合金製部材のいずれか一方もしくは両部材に対し
て仕上げ加工を施すことができる。
【0009】一般に、形状記憶合金はある形状を記憶さ
せた後にその形状に変更を加えても、次に所定の温度に
加熱するだけで先の記憶形状を回復することが知られて
いる。この応用動作として、形状記憶合金を円筒形状に
製作して記憶処理した後、その内径を所定量だけ拡径し
ておくと、次に所定温度に加熱された時に円筒の内径を
収縮させることが可能である。あるいは記憶処理後の円
筒形状の形状記憶合金を所定量だけ縮径しておけば、次
に所定温度に加熱された時に円筒の外径が拡がるように
動作させることも可能である。本発明者らは形状記憶合
金のこのような性質を応用することによって、高温や真
空下で優れた潤滑性能を有するものの脆くて壊れやすい
固体潤滑複合材料を利用した、丈夫で取扱いの容易な歯
車を提供できるようにするための検討を行った。
【0010】その結果、適正な条件を満たすように製作
すれば、単純な円筒の場合だけでなく使用条件に叶う様
々な形状の歯車が、形状記憶合金の活用によって容易に
実現できることを見いだすに至った。具体的には固体潤
滑複合材は歯車の歯先部分のみに使用し、キー溝等の加
工が必要な部分や強度を受け持つ部分を形状記憶合金に
よって作製し、形状記憶合金の形状回復動作を利用して
両者を一体に構成して歯車とするものである。一般に歯
車は、歯先部分はいずれも類似した単純な形状のものが
多いのであるが、組み込まれる装置との関係で歯先以外
の部分はかなり複雑な形状を要求される場合が少なくな
い。本発明では一体の歯車を潤滑性の要求される歯先部
分と強度を受け持つ歯先以外の部分とを別な部材とした
ために、そのような複雑な形状に対する要求も難なく実
現させることが可能となった。両者を一体に締結するの
は形状記憶効果を有する形状記憶合金の動作によるもの
であるが、その形状記憶合金が同時に締結後の強度負担
部材としてそのまま活かせる点が大きな特徴の一つであ
る。
【0011】さらに、焼結法で作られる固体潤滑複合材
の長さには制約があるが、形状記憶合金製の円筒は長い
ものを容易に製作することができる。このため、厚みの
厚い歯車が必要となる場合には、一本の形状記憶合金製
円筒で複数の固体潤滑複合材を同時に締結することがで
きるから、固体潤滑複合材の長さ制約と無関係に厚手の
歯車を作ることもできるようになる。
【0012】次に、図1によって本発明の基本概念を説
明する。薄い円盤状の固体潤滑複合材10は粗加工状態
で、後にその外周部に歯車の歯先が形成される(既に歯
車の歯先が形成された状態のものを粗形材として用いる
こともできる)。形状記憶合金製円筒部材1は、固体潤
滑複合材10の内径より多少大きい状態で製作され、そ
の形状を記憶するような熱処理が行われた後に、外径を
固体潤滑複合材10の内径に収まるように縮径されたも
のである。なおこの時点では形状記憶合金製円筒部材1
の中央の軸穴5は開けずにおき、締結後に穴開け加工し
ても良い。また形状記憶合金製部材の外径を収縮させる
量の目安は条件によって異なるが、内径が30mm程度の
部材の場合であれば、相手方の固体潤滑複合材の内径よ
り0.05から0.3mm程度小さくなるように収縮する
のが一般的である。
【0013】このように外径に収縮を与えるように加工
した形状記憶合金製部材1を固体潤滑複合材10の内穴
中に嵌め込み、両者を150乃至300℃程度の所定の
温度に加熱すると、形状記憶合金製部材1の外径は拡が
って固体潤滑複合材10を内側からしっかりと固定する
に至る。この結合過程において、特に形状記憶合金製部
材1の内径や固体潤滑複合材10の外径、また厳密にい
えば両部材の厚みにも多少の変化が生ずる。このため、
締結前の両部材に対しては、両部材を組み合わせるため
に必要な以外の部分は粗加工状態のままとして、歯車と
して組み込む装置側の要求する最終的な寸法精度を確保
するための仕上げ加工は、この締結過程の終わった後に
行うのが一般的である。図1では締結後に歯先15とキ
ー溝6を加工した例を示している。
【0014】なお、歯先が内側に形成される内歯車の場
合についても同様の考え方が適応できるが、具体的には
後の実施例において説明する。
【0015】本発明で使用できる固体潤滑複合材料とし
ては、潤滑材成分の粉末と金属、プラスチックまたはセ
ラミックス成分とを混合して一体に焼結された材料であ
ればその種類は問わない。形状記憶合金製の部材を固体
潤滑複合材料の内側もしくは外側に配して、形状記憶合
金を拡げるか収縮させて固定するものであるから、特に
形状記憶合金を縮径させて使用する方法の場合には、固
体潤滑複合材の塑性的性質がほとんどないような脆い材
料に対しても応用が可能である。
【0016】歯車の歯先の加工には極めて高い精度が要
求されるのはいうまでもないことである。本発明では固
体潤滑複合材に歯先部分を形成するが、形状記憶合金と
の一体化の処理中に多少の寸法変化は起こり得ることを
想定しておく必要がある。この種の寸法変化は固体潤滑
複合材とともに形状記憶合金側にも当然起こるものであ
るが、その変化量は僅かなものであるから、歯車の大き
さや使用条件によっては問題とするに及ばない場合もあ
る。変化を無視できる場合には、締結前に固体潤滑複合
材に対して歯車として要求される最終形状までの加工を
完了させておくことも可能である。しかし条件によって
はこの僅かな変化でも無視できない場合には、締結前に
は粗形状の加工にとどめておき、締結後に改めて仕上げ
加工を行って最終形状を与えることが必要である。
【0017】さらに、形状記憶合金側の形状によって
は、一体化処理の途中段階、例えば縮径加工もしくは拡
径加工が終わった段階で、締結のための加熱に移る前に
中間的な加工を加えておくことが望ましい場合も存在す
る。このようなケースも本発明の要旨に反するものでは
なく、本発明に包含されることはいうまでもない。
【0018】次に、本発明において使用できる形状記憶
合金について説明する。形状記憶合金には記憶形状に一
度だけ形状回復動作をさせることのできる一方向性合金
と、温度の上げ下げによって二つの形状の間を往復動作
する二方向性合金とがある。本発明においては、温度を
上げて固体潤滑複合材料を固定した後は、温度が下がっ
てもその状態を維持していてくれる必要があることか
ら、当然一方向性の形状記憶合金を使用することにな
る。コスト的にも安くかつ加工の容易な合金が望ましい
のはいうまでもない。このような条件を満足する形状記
憶合金としては、Fe−Mn−Si系等の鉄を主要成分
とする形状記憶合金が最も適当である。これらの合金は
形状回復過程における形状回復ひずみとして2%から4
%程度を確保することができるから、焼きばめの場合に
比べて部材の加工精度をさほど厳しく管理する必要がな
い。また鉄系形状記憶合金の動作温度(形状回復動作を
起こさせるために必要な加熱温度)はたかだか300℃
以下程度であるから、大気中で加熱すると変質しやすい
活性成分を有する固体潤滑複合材料を一体に組み合わせ
て加熱しても、固体潤滑複合材料に対して悪影響を生じ
ることも少ない。
【0019】なお、本発明への使用が適当な前記の鉄系
形状記憶合金は、一般の鉄鋼素材に比べると耐食性はは
るかに優れているものであるが、特に厳しい腐食環境下
での使用には、ニッケル等の金属をメッキして使うこと
も可能である。
【0020】
【作用】所定温度に加熱された時に形状を回復するよう
に記憶処理された形状記憶合金で製作された部材は、歯
先を構成する固体潤滑複合材に組み合わせた状態で、所
定の温度に加熱される。この時、形状記憶合金製部材の
形状回復動作によって固体潤滑複合材は形状記憶合金製
部材に固定され、壊れにくく取扱いの容易な歯車として
一体化される。
【0021】
【実施例】
実施例1 本発明による歯車を図1の工程に従って製作した例につ
いて説明する。外径45mm、内径33mm、厚み30mmの
円筒形状の固体潤滑複合材10は、潤滑成分としての二
硫化タングステン粉末と二硫化モリブデン粉末に加え結
合相として銅と錫を主体とする合金成分を混合して焼結
したものである。一方の形状記憶合金(図1の1)側
は、28%Mn−6%Si−5%Crを主成分とする鉄
系合金製の丸棒を長さ32mmに切断して軸穴用の10mm
φの中心穴5をあけ、次いで950℃で加熱して形状記
憶処理を行ってから内径32.95mmの穴型の中を通し
て外径を7.5%だけ縮径させた。形状記憶合金の長さ
を固体潤滑複合材の長さより3mmほど長く製作したの
は、もし形状記憶合金側が固体潤滑複合材の厚みより薄
い場合には締結中に固体潤滑複合材に割れが発生しやす
くなるからである。
【0022】縮径後の形状記憶合金製部材1を固体潤滑
複合材10の穴の中に入れた後、そのままの状態で窒素
雰囲気の炉中で250℃に加熱すると形状記憶合金製部
材1の外径が拡がり、固体潤滑複合材は内側に形状記憶
合金製の円盤を包み込んだ形に固定された。この形状記
憶合金製の円盤は、外部に何もない状態で250℃に加
熱された場合には、形状回復効果によってその内径が
1.7%だけ拡がる能力を有している。本実施例の場
合、形状記憶合金製円筒の外径と固体潤滑複合材の内径
との差が0.05mmであったから、この形状回復能力に
よって固体潤滑複合材は十分な強度で固定された。
【0023】両者が一体に締結された後に、固体潤滑複
合材の外周には歯車の歯先15を、形状記憶合金の軸穴
5の一部にはキー溝6を加工して、無給油で使用可能な
歯車が得られた。
【0024】実施例2 外径40mm、内径30mm、厚み5mmの円筒形状の固体潤
滑複合材は、潤滑成分としての二硫化タングステン粉末
と二硫化モリブデン粉末に加え結合相として銅と錫を主
体とする合金成分を混合して焼結したものである。一方
形状記憶合金側は、28%Mn−6%Si−5%Crを
主成分とする鉄系合金製の丸棒に950℃で加熱して形
状記憶処理を行い、長さ100mmに切断してから内径3
9.9mmの穴型の中を通して外径を8%だけ縮径、次に
長さ5mmに切断して円盤状にした。図1では円盤を製作
後に縮径加工しているのに対して、本実施例では棒状で
縮径加工した後に円盤状に切断しているのは、円盤の厚
みが薄いため、単独では縮径加工がしにくいからであ
る。
【0025】縮径後の形状記憶合金製部材を固体潤滑複
合材の穴の中に入れた後、そのままの状態で窒素雰囲気
の炉中で300℃に加熱すると、形状記憶合金製部材の
外径が拡がり、固体潤滑複合材は内側に形状記憶合金製
の円盤を包み込んだ形に固定された。
【0026】以上の一体化の後に、外側の固体潤滑複合
材の外周に歯車の歯先を加工し、一方の内側の形状記憶
合金製部材の中心部には軸穴とキー溝、ならびに軽量化
のための開口部加工を行った。
【0027】実施例3 実施例2において、形状記憶合金を32%Mn−6%S
iを含む鉄系形状記憶合金とした。950℃で形状記憶
処理した後に、長さ100mmの丸棒の状態でまず内径4
2.0mmの穴型の中を通して外径を7.5%絞った。続
いて600℃に加熱、さらに2回目の縮径加工として内
径39.9mmの穴型の中を通して外径を4.5%だけ収
縮させた。このように適当な温度への加熱を挟んで加工
処理を複数回(本実施例では2回)行う方法は「トレー
ニング」と呼ばれて、形状記憶合金の形状回復性能を向
上させる手段として公知のものである。次に厚み5mmの
円盤形状に切断、中央部分に軸穴とキー溝を加工し、そ
の全表面には、無電界法によって0.02mm厚のニッケ
ルメッキを施した。鉄系形状記憶合金はCrやNiの添
加によって耐食性を改善することも可能であるが、特に
厳しい腐食環境で使用される場合にはNiをはじめとす
る各種のメッキを利用することもできるものである。
【0028】このようにして製作された形状記憶合金製
の円盤を、別に用意した固体潤滑複合材の円筒の内側に
組み合わせた上で300℃に加熱した。形状記憶合金製
の円盤の外径が拡がって内側から固体潤滑複合材を固定
した状態が得られた。最後に固体潤滑複合材の外周に歯
先を加工して、歯車ができあがった。
【0029】本実施例の歯車は、形状記憶合金の表面に
ニッケルメッキを施したため、腐食性の強い条件下でも
使用可能な歯車となった。またトレーニング処理を採用
したことにより、固体潤滑複合材と形状記憶合金との締
結強度が著しく高くなった。
【0030】実施例4 次に、本発明を歯先が内側につく内歯車に応用した例に
ついて説明する。図2の11がセラミックスをベースと
して潤滑粉と一体に焼結した固体潤滑複合材で作った外
径50mm、内径45mmのリング状部材である。また、同
図の2は15%Mn−5%Si−9%Cr−5%Niを
主成分とする鉄基形状記憶合金で製作されたリング状部
材である。この形状記憶合金製リング状部材2に950
℃で形状記憶処理を行った後、内径を7.5%拡径して
50.1mmとした。次に、その内側に固体潤滑複合材製
のリング状部材11を配して300℃に加熱した。この
加熱によって形状記憶合金製のリングが収縮し、内部の
固体潤滑複合材を外側から固定して一体に構成した後
に、固体潤滑複合材11の内周部に歯先16を加工して
内歯車とした。
【0031】
【発明の効果】本発明の歯車は、潤滑性能の優れた固体
潤滑複合材を歯先とするとともに、歯先以外の潤滑性を
要求されない部分には加工性が良く強度の高い形状記憶
合金製部材が当てられているため、壊れにくく取扱いも
容易な上、キー溝やスプリング取り付け穴等の加工は脆
くて加工性の悪い固体潤滑複合材ではなく加工性の良い
形状記憶合金製部材に対して行えば良いので、複雑な形
状の加工も無理なく行うことが可能である。また、形状
記憶合金製部材と固体潤滑複合材とを一体化するに際し
ては、形状記憶合金の形状回復動作を利用するため、焼
きばめ等の場合のような精密仕上げ加工は不要である。
また焼結法で製作されるため長いものを作りにくいとい
う制約のある固体潤滑複合材の弱点も、複数の短尺もの
の固体潤滑複合材を一つの長い形状記憶合金製円筒によ
って同時に締結するようにすれば、必要な長さ(幅)を
持った一体の歯車として構成することも可能である。さ
らに、高価な固体潤滑複合材の使用を最小に抑え、強度
を支える部分は形状記憶合金で保障する形としたため
に、固体潤滑複合材のみで作る場合に比べると著しくコ
ストを低減できるのも大きな利点である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による、外周部に歯先を有する歯車を製
作する工程の一例を示す図。
【図2】同じく本発明による内歯車を製作する工程の一
例を示す図。
【符号の説明】
1,2 形状記憶合金製部材 6 キー溝 10,11 固体潤滑複合材 15,16 歯先
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅井 芳明 福岡県北九州市戸畑区大字中原46−59 新 日本製鐵株式会社機械・プラント事業部内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 歯先の形成される外周部を、潤滑材成分
    の粉末と金属、プラスチックまたはセラミックス成分の
    粉末とを混合して一体に焼結した固体潤滑複合材料によ
    って形成し、その内側に形状記憶合金を配したことを特
    徴とする歯車。
  2. 【請求項2】 歯先の形成される内周部を、潤滑材成分
    の粉末と金属、プラスチックまたはセラミックス成分の
    粉末とを混合して一体に焼結した固体潤滑複合材料によ
    って形成し、その外側に形状記憶合金を配したことを特
    徴とする歯車。
  3. 【請求項3】 外周部もしくは内周部に歯車の歯先が加
    工されるリング状部材は、潤滑材成分の粉末と金属、プ
    ラスチックまたはセラミックス成分の粉末とを混合して
    一体に焼結した固体潤滑複合材料で形成され、前記固体
    潤滑複合材料製のリングと、その内側もしくは外側に、
    対応する所定形状を有し形状記憶処理とそれに続く所定
    の変形が加えられていることにより、次に所定の加熱処
    理が行われた際には記憶形状に復元する能力を与えられ
    た形状記憶合金製部材とを組み合わせて配したまま加熱
    処理することによって、形状記憶合金製部材を形状回復
    させることによって両者を一体に結合することを特徴と
    する歯車の製造方法。
  4. 【請求項4】 外周部もしくは内周部に歯車の歯先が加
    工されるリング状部材は、潤滑材成分の粉末と金属、プ
    ラスチックまたはセラミックス成分の粉末とを混合して
    一体に焼結した固体潤滑複合材料で形成され、前記固体
    潤滑複合材料製のリングと、その内側もしくは外側に、
    対応する所定形状を有し形状記憶処理とそれに続く所定
    の変形が加えられていることにより、次に所定の加熱処
    理が行われた際には記憶形状に復元する能力を与えられ
    た形状記憶合金製部材とを組み合わせて配したまま加熱
    処理することによって、形状記憶合金製部材を形状回復
    させることによって両者を一体に結合し、しかる後に一
    体化された前記固体潤滑複合材と形状記憶合金製部材の
    いずれか一方もしくは両部材に対して仕上げ加工を施す
    ことを特徴とする歯車の製造方法。
JP29710194A 1994-11-30 1994-11-30 歯車およびその製造方法 Withdrawn JPH08159240A (ja)

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