JPH08157487A - シクロテトラシロキサンの製造方法 - Google Patents

シクロテトラシロキサンの製造方法

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JPH08157487A
JPH08157487A JP6329308A JP32930894A JPH08157487A JP H08157487 A JPH08157487 A JP H08157487A JP 6329308 A JP6329308 A JP 6329308A JP 32930894 A JP32930894 A JP 32930894A JP H08157487 A JPH08157487 A JP H08157487A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 シロキサンユニットが交互に配列したシクロ
テトラシロキサンを高い選択性で得ることができる新規
な製造方法を提供する。 【構成】 一般式(1) (式中、R1、R2は、それぞれ水素原子もしくは炭素原
子数1から10までの置換又は非置換の一価炭化水素基
を表し、Xはハロゲン原子を表す。)で表されるジハロ
シランと、一般式(2) (式中、R3、R4は、それぞれ炭素原子数1から10ま
での置換又は非置換の一価炭化水素基を表す。)で表さ
れるジオルガノシランジオールとを、反応させることを
特徴とする、一般式(3)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ジハロシランとジオル
ガノシランジオールとの反応によりシクロテトラシロキ
サンを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般式(3)
【化4】 で表されるシクロテトラシロキサンは、シリコーン工業
において非常に重要な基礎原料である。たとえば、オク
タメチルシクロテトラシロキサンや1,3,5,7−テ
トラメチルシクロテトラシロキサンはシリコーンオイル
の原料として、またペンタメチルシクロテトラシロキサ
ンやヘキサメチルシクロテトラシロキサンはシリコーン
ゴム用架橋剤の原料として有用である。
【0003】シクロテトラシロキサンの製造方法として
は、ジクロロシランの加水分解法やジオルガノポリシロ
キサンの熱クラッキング法等が公知である。また、一般
式(3)において、(R12SiO)ユニットと(R3
4SiO)ユニットが異なる場合、下記反応式のよう
な共加水分解が一般的に行われる。
【0004】
【化5】
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
従来の方法によって得られるシクロテトラシロキサン
は、(R12SiO)4、(R12SiO)3(R34
iO)、(R12SiO)2(R34SiO)2、(R1
2SiO)(R34SiO)3、(R34SiO)4
5種類の混合物であり、(R12SiO)2(R34
iO)2の選択性は非常に低いという欠点がある。
【0006】しかも、(R12SiO)2(R34Si
O)2で表されるシクロテトラシロキサンは、(R12
SiO)ユニットと(R34SiO)ユニットが交互に
結合している、一般式(3)
【化6】 で表される化合物と、各ユニットが2個づつ連なった、
一般式(4)
【化7】 で表される化合物との混合物として得られ、シクロテト
ラシロキサンにおけるユニット間の結合による構造規則
性についてはまったく期待できない。
【0007】構造規則性のないシクロテトラシロキサン
を開環重合させるとランダム共重合体を与えるが、シロ
キサンユニットが交互に配列したシクロテトラシロキサ
ンからは交互共重合体が得られる。さらにこの場合、一
方のシロキサンユニットにSi−HやSi−CH=CH
2が存在する場合、ヒドロシリル化反応により種々変成
することができ、従来の変性シリコーンにはない物性が
期待される、高度に構造規制された変性シリコーンを与
える。
【0008】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、シロキサンユニットが交互に配列したシクロテトラ
シロキサンを高い選択性で得ることができる新規な製造
方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、一般式(1)
【化8】 (式中、R1、R2は、それぞれ水素原子もしくは炭素原
子数1から10までの置換又は非置換の一価炭化水素基
を表し、Xはハロゲン原子を表す。)で表されるジハロ
シランと、一般式(2)
【化9】 (式中、R3、R4は、それぞれ炭素原子数1から10ま
での置換又は非置換の一価炭化水素基を表す。)で表さ
れるジオルガノシランジオールとを、反応させることを
特徴とする、一般式(3)
【化10】 で表されるシクロテトラシロキサンの製造方法を提供す
る。
【0010】上記方法において、R1として特に水素原
子が好ましい。
【0011】また、(R12SiO)ユニットと(R3
4Si0)ユニットが異なる場合、本発明の反応にお
いては、一般式(3)で表される、シロキサンユニット
が交互に配列した構造異性体のシクロテトラシロキサン
のみが得られるという特徴を有する。
【化11】
【0012】次に、本発明の製造方法について詳細に説
明する。本発明の製造方法で使用するジハロシランは、
一般式(1)
【化12】 で表される有機ケイ素化合物である。
【0013】式(1)中、R1、R2は、それぞれ水素原
子もしくは炭素原子数1から10までの置換又は非置換
の一価炭化水素基である。具体的には、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基
等のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘ
キセニル基、イソプロペニル基等のアルケニル基;フェ
ニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジ
ル基、フェネチル基等のアラルキル基;クロロエチル
基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン
原子置換アルキル基等が例示される。原料入手の容易
さ、および経済性の観点から、R1およびR2は、それぞ
れ水素原子、メチル基あるいはフェニル基が好ましい。
【0014】また、XはF、Cl、Br、Iで示される
ハロゲン原子である。原料入手の容易さの観点から、X
はCl原子が好ましい。
【0015】このようなジハロシランは、市販のものが
使用できる。
【0016】本発明の製造方法で使用するジオルガノシ
ランジオールは、一般式(2)
【化13】 で表される有機ケイ素化合物である。
【0017】式(2)中、R3、R4は、それぞれ炭素原
子数1から10までの置換又は非置換の一価炭化水素基
である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル
基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基、
イソプロペニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリ
ル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネ
チル基等のアラルキル基;クロロエチル基、3,3,3
−トリフルオロプロピル基等のハロゲン原子置換アルキ
ル基等が例示される。合成の容易さ、原料入手の容易
さ、および取扱の容易さの観点から、R3およびR4は、
それぞれメチル基あるいはフェニル基が好ましい。
【0018】本発明の製造方法で使用するジオルガノシ
ランジオールは、公知の方法により製造することができ
る。ジオルガノシランジオールを製造する方法として
は、ジアルコキシジオルガノシランやジオルガノジハロ
シラン等の加水分解性有機ケイ素化合物を注意深く加水
分解する方法等が例示される。
【0019】前記ジハロシランと前記ジオルガノシラン
ジオールとの反応において、ジハロシランとジオルガノ
シランジオールとのモル比は、特に限定されないが、好
ましくはジオルガノシランジオールに対するジハロシラ
ンのモル比が0.9〜1.1、より好ましくは等モルで
ある。モル比が大きく異なると、未反応のジハロシラン
やジオルガノシランジオールの量が増加し、経済的に好
ましくない。
【0020】ジハロシランとジオルガノシランジオール
との反応は、室温でも行うことができるが、発生するハ
ロゲン化水素による不均化反応を防ぐため0〜20℃に
冷却することが好ましい。また、積極的にハロゲン化水
素を系中から除去するために、窒素やアルゴン等の不活
性ガスの吹き込み、もしくはハロゲン化水素捕捉剤存在
下で反応を行うことが好ましい。ハロゲン化水素捕捉剤
としては、トリエチルアミン、ピリジン、1,8−ジア
ザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等の三級アミ
ン化合物;尿素等の不活性含窒素化合物;酸化マグネシ
ウム等のIIa族金属酸化物等が例示される。なかでもト
リエチルアミンが好ましい。
【0021】この反応は、溶媒の存在下で行うことが好
ましい。好ましい溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、
ベンゼン、トルエン等の非極性溶媒;テトラヒドロフラ
ン、ジエチルエーテル、アセトン、酢酸エチル、ジメチ
ルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン
性極性溶媒;さらには、四塩化炭素、クロロホルム、ジ
クロロメタン等の塩素化炭化水素系溶媒等が例示され
る。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例に従って更に詳述する
が、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0023】[実施例1]撹拌装置付2リットル4つ口
フラスコに、ジメチルシランジオール85.6g(0.
93モル)、トリエチルアミン206.5g(2.04
モル)およびテトラヒドロフラン1225.9gを仕込
んだ。メチルジクロロシラン107.0g(0.93モ
ル)とテトラヒドロフラン124.6gの混合物を、撹
拌下、7〜15℃、3時間で滴下し、さらに室温で1時
間撹拌した。反応混合物を濾過し、生成した塩を除去
後、減圧蒸留し、70〜71℃/50mmHgの無色透
明の留分53.2gを得た。
【0024】この生成物は、質量分析(以下、「GC−
MS」と略記する。)、1H−核磁気共鳴分析(以下、
1H−NMR」と略記する。)、29Si−核磁気共鳴
分析(以下、「29Si−NMR」と略記する。)、およ
び赤外線分光分析(以下、「IR」と略記する。)によ
る分析の結果、次の構造式(5)
【化14】 で表される1,1,3,5,5,7−ヘキサメチルシク
ロテトラシロキサンであることが判明した。特に、29
i−NMRでは、図1に示すように、δ値について、−
16.851ppm及び−34.975ppmに2つの
シグナルのみが観測され、それぞれ(Me2SiO)ユ
ニットおよび(MeHSiO)ユニットのSiに帰属さ
れる。
【0025】このことから,各ユニットが2個づつ連な
った構造異性体である、構造式(6)
【化15】 で表される1,1,3,3,5,7−ヘキサメチルシク
ロテトラシロキサンの存在は認められず、各ユニットが
交互に配列した構造異性体、すなわち1,1,3,5,
5,7−ヘキサメチルシクロテトラシロキサンだけが生
成していることがわかった。
【0026】なお、1,1,3,5,5,7−ヘキサメ
チルシクロテトラシロキサンの単離収率は42.6%で
あり、純度は99.3%であった。さらに、副生成物と
して、構造式(7)
【化16】 で表される1,1,3,5,5,7,9,9,11−ノ
ナメチルシクロヘキサシロキサン、および構造式(8)
【化17】 で表される1,1,3,5,5,7,9,9,11,1
3,13,15−ドデカメチルシクロオクタシロキサン
が、それぞれ12.5%、7.6%含まれており、残り
のシロキサン分は平均分子量MW1180、分散度MW
/Mn2.48の高分子であった。
【0027】[実施例2]撹拌装置付200ミリリット
ル4つ口フラスコに、ジメチルシランジオール4.6g
(50.0ミリモル)、尿素6.6g(110.7ミリ
モル)およびトルエン154.8gを仕込んだ。メチル
ジクロロシラン5.7g(49.6ミリモル)とトルエ
ン10.4gの混合物を、撹拌下、5〜8℃、20分か
けて滴下し、さらに室温で1時間撹拌した。デカンを内
部標準物質としたガスクロマトグラフィー分析(以下、
「GC」と略記する。)の結果、1,1,3,5,5,
7−ヘキサメチルシクロテトラシロキサンの収率は、3
1.3%であった。
【0028】[実施例3]撹拌装置付200ミリリット
ル4つ口フラスコに、ジメチルシランジオール4.6g
(50.0ミリモル)、酸化マグネシウム4.5g(1
11.4ミリモル)およびテトラヒドロフラン151.
3gを仕込んだ。メチルジクロロシラン5.8g(5
0.4ミリモル)とテトラヒドロフラン10.0gの混
合物を、撹拌下、5〜8℃、20分かけて滴下し、さら
に室温で1時間撹拌した。デカンを内部標準物質とした
GC分析の結果、1,1,3,5,5,7−ヘキサメチ
ルシクロテトラシロキサンの収率は、24.9%であっ
た。
【0029】[実施例4]撹拌装置付200ミリリット
ル4つ口フラスコに、ジメチルシランジオール4.7g
(51.1ミリモル)およびテトラヒドロフラン15
0.3gを仕込んだ。乾燥窒素ガスをこの混合物中に吹
き込みながら、メチルジクロロシラン5.9g(51.
3ミリモル)とテトラヒドロフラン10.9gの混合物
を、撹拌下、5〜8℃、20分かけて滴下し、さらに室
温で1時間撹拌した。デカンを内部標準物質としたGC
分析の結果、1、1、3、5、5、7−ヘキサメチルシ
クロテトラシロキサンの収率は、21.5%であった。
【0030】[実施例5]撹拌装置付200ミリリット
ル4つ口フラスコに、ジフェニルシランジオール10.
9g(50.5ミリモル)、トリエチルアミン11.1
g(110.0ミリモル)およびテトラヒドロフラン1
55.8gを仕込んだ。メチルジクロロシラン5.8g
(50.4ミリモル)とテトラヒドロフラン10.0g
の混合物を撹拌下、5〜8℃、20分かけて滴下し、さ
らに室温で1時間撹拌した。GC−MS分析およびデカ
ンを内部標準物質としたGC分析の結果、生成物は、次
の構造式(9)
【化18】 で表される1,1,5,5−テトラフェニル−3,7−
ジメチルシクロテトラシロキサンであり、その収率は、
64.8%であった。
【0031】なお、副生成物として、構造式(10)
【化19】 で表される1,1,5,5,9,9−ヘキサフェニル−
3,7,11−トリメチルシクロヘキサシロキサン、お
よび構造式(11)
【化20】 で表される1,1,5,5,9,9,13,13−オク
タフェニル−3,7,11,15−テトラメチルシクロ
オクタシロキサンが、それぞれ16.8%、8.7%含
まれており、残りのシロキサン分は高分子量体であっ
た。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の製造方法
によれば、シリコーンオイルやシリコーンゴム用架橋剤
の原料として重要な、シロキサンユニットが交互に配列
したシクロテトラシロキサンを選択的に得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた1,1,3,5,5,7−
ヘキサメチルシクロテトラシロキサンの29Si−NMR
スペクトル図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) 【化1】 (式中、R1、R2は、それぞれ水素原子もしくは炭素原
    子数1から10までの置換又は非置換の一価炭化水素基
    を表し、Xはハロゲン原子を表す。)で表されるジハロ
    シランと、一般式(2) 【化2】 (式中、R3、R4は、それぞれ炭素原子数1から10ま
    での置換又は非置換の一価炭化水素基を表す。)で表さ
    れるジオルガノシランジオールとを、反応させることを
    特徴とする、一般式(3) 【化3】 で表されるシクロテトラシロキサンの製造方法。
  2. 【請求項2】 R1が水素原子である請求項1に記載の
    シクロテトラシロキサンの製造方法。
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