JPH0815740A - 非線形光学材料用色素及びそれを含有する非線形光学材料 - Google Patents

非線形光学材料用色素及びそれを含有する非線形光学材料

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JPH0815740A
JPH0815740A JP14933994A JP14933994A JPH0815740A JP H0815740 A JPH0815740 A JP H0815740A JP 14933994 A JP14933994 A JP 14933994A JP 14933994 A JP14933994 A JP 14933994A JP H0815740 A JPH0815740 A JP H0815740A
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optical material
nonlinear optical
dyestuff
nonlinear
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Shinji Aramaki
晋司 荒牧
Yuko Okamoto
祐子 岡本
Tetsuo Murayama
徹郎 村山
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 大きな非線形感受率を有する材料を得るのに
利用できる分子超分極率βの大きな色素を提供し、これ
により非線形感受率を大幅に高め、従来の素子に比較し
て、高い性能を示す素子を作製することができる非線形
光学材料を提供する。 【構成】 下記一般式(1)で示される非線形光学材料
用色素及びこの色素を含有し、反転対称性を有しない構
造を付与した非線形光学材料。 【化1】 【効果】 一般式(1)で示される非線形光学材料用色
素は、著しく分子超分極率βが高く、このような非線形
光学材料用色素を用いた本発明の非線形光学材料によれ
ば、非線形感受率が著しく良好な非線形光学材料が提供
される。電気光学光変調素子や波長変換素子等に用い
て、光の制御を行なうための非線形光学材料として,工
業的に極めて有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非線形光学材料用色素
及びそれを含有する非線形光学材料に係り、特に、大き
な2次の非線形感受率を有する材料を提供するために好
適に使用される色素及びそれを含む非線形光学材料であ
って、電気光学光変調素子や波長変換素子等に用いる光
の制御素子として有効な非線形光学材料に関する。
【0002】
【従来の技術】非線形光学材料は、光の波長変換、屈折
率の変化による光の変調、スイッチング等、光、特にレ
ーザー光の変換や制御に広く利用されている。これは外
部より加えられる電磁場による物質の非線形な分極によ
り引き起こされる現象として理解されている。ここで、
外部より加えられる電場(光又は静電場)をE、それに
より誘起される物質の分極をPとして、PをEにより展
開すると、下記(2)式の如く表せる。
【0003】
【数1】 P=P0 +χ(1)E+χ(2)EE+χ(3)EEE+… …(2) このχ(2) は2次の非線形感受率、χ(3) は3次の非線
形感受率と呼ばれ、これらの関係する現象は、例えば、
Y.R.Shen著“Principlesof No
nlinear Optics”に記述されている。
【0004】現在、非線形光学材料として実際に用いら
れているのは、KDP(KH2 PO 4 )、LiNbO3
(ニオブ酸リチウム)、KTP(KTiOPO4 )等の
酸化物単結晶や、GaAs等の半導体材料が主である。
近年、π電子共役系の有機化合物が、この非線形光学材
料として注目を集めている。これは、その非線形感受率
が無機系材料と比較して非常に大きいことや、それが電
子分極に由来することから、全光デバイスに応用された
場合、ピコ秒以下の超高速の応答性が期待されることに
よる。また、誘電率の小さいことや、ニオブ酸リチウム
等と比較して光損傷に強いこと、高分子材料においては
製造法が単結晶成長に比較して容易なこと、多様な分子
設計により種々の機能を付加できる可能性のあること
も、有機材料が非線形光学材料として期待されている理
由として挙げられる。このような有機化合物の特長を利
用すれば、半導体レーザー等の低パワーレーザー用の第
二高調波発生等の波長変換素子や、低電圧駆動で高速応
答性の電気光学変調素子を作製することが可能である。
【0005】非線形光学材料としての実際の有機材料と
しては、種々の形態のものが検討されてきた。有機化合
物では、非線形感受率は分子の超分極率で議論される。
分子に作用する電場をEとし、これにより誘起される分
子の双極子モーメントをpとすると、下記(3)式で表
せる。
【0006】
【数2】 p=μ+αE+βEE+γEEE+… …(3) ここでαは分子分極率、β、γはそれぞれ二次、三次の
分子超分極率と呼ばれており、分子集合体の非線形感受
率はこれらβ、γに由来する。二次の非線形光学材料と
しては、分子内に電子供与性の基と電子吸引性の基を含
み、それらがπ電子共役系で連結されている分子内電荷
移動性のものが、二次の分子超分極率(β)が大きくな
ることが示されており、これまでに知られている大きな
χ(2) を示す有機化合物は、メチルニトロアニリン(M
NA)に代表されるように、ほとんどがこのタイプの分
子である。
【0007】しかし、二次の非線形光学材料には、その
構造が巨視的に反転対称性を有しないという制限が存在
する。即ち、χ(2) が3階のテンソルであるために、β
が大きくても集合体が反転対称性を有する結晶構造をと
ったり、アモルファスである場合には、χ(2) は0にな
る。このため、βの大きな分子をいかにして極性構造に
配向させるかが、材料探索の大きな課題となっている。
【0008】この有機系非線形光学材料において、結晶
構造を利用することは最もよく行なわれることであり、
粉末SHG法はこのような材料を簡便にスクリーニング
する方法である。従来、分子が最適な配置をとった結晶
を得るために、光学活性な基の導入、基底状態の双極子
モーメントの小さい骨格、水素結合の利用等の分子設計
のアイデアは幾つか提案された。
【0009】しかしながら、最終的には実際に結晶を得
てみなければ、効果は明らかではない。また、有機化合
物の結晶は分子性結晶で、柔らかく加工性に乏しい。更
に、非線形光素子として実用化する際に、導波路構造に
加工することが望ましいことが多いが、これに必要な薄
膜形成法、結晶方位の制御、部分的に屈折率を変化させ
る方法が非常に難しい。このようなことから、膨大な数
の有機結晶について非線形光学材料としての可能性が調
べられているにもかかわらず、素子にまで加工された例
は少ないのが現状である。
【0010】もう一つの二次の有機系非線形光学材料と
しては、高分子材料が挙げられる。これはアクリル系の
高分子にディスパースレッド1(N−エチル−N−ヒド
ロキシルエチル−4−アミノ−4’ニトロアゾベンゼ
ン:後掲の比較例1参照)に代表される、βの大きな分
子をドープしたり、高分子の側鎖に結合させたもので代
表される。高分子材料は、コーティングによる薄膜形成
が容易で、光学的にも優れた光導波路材料となることは
知られているが、コーティングしただけの膜は一般にア
モルファスでχ(2) は0である。χ(2) を示すようにす
るための方法としては、高分子の膜に電場を印加しなが
らガラス転移温度Tg以上の温度に加熱して、βの大き
なユニットを配向させた後、室温まで冷却して配向を固
定するポーリングと呼ばれる操作が最もよく利用されて
おり、これにより、ニオブ酸リチウム程度の電気光学効
果を示す材料が得られている。しかしながら、この操作
における最も大きな欠点は、その配向が熱的に緩和して
しまい、χ(2) が次第に減衰することである。
【0011】そのほかに、βの大きなユニットを配向さ
せた構造を得る方法としては、ラングミュア・ブロジェ
ット膜等の配向性の膜を利用することも試みられてい
る。いずれの非線形光学材料においても、大きなχ(2)
を有する材料は、素子を高効率にするために多くの有利
な点を有する。例えば、電気光学効果を利用した光スイ
ッチ素子においては、大きな電気光学効果を有する材料
を用いれば、低電圧駆動のものが得られ、また素子の長
さを短くでき、集積化に有利である。また、有機材料の
誘電率は3から4程度であり、ニオブ酸リチウムの1/
10程度であるので、原理的に10倍程度の高速な動作
が可能であり、高速光通信分野への応用に有利である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上述の如く、高特性の
素子を得るためには、非線形感受率の高い非線形光学材
料を開発する必要があるが、従来において、このような
非線形光学材料が提供されていないのが現状である。本
発明は上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、大
きな非線形感受率を有する材料を得るのに利用できる分
子超分極率βの大きな色素を提供し、これにより非線形
感受率を大幅に高め、従来の素子に比較して、高い性能
を示す素子を作製することができる非線形光学材料を提
供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1の非線形光学材
料用色素は、下記一般式(1)で示されることを特徴と
する。
【0014】
【化3】
【0015】請求項2の非線形光学材料は、請求項1に
記載の色素化合物を含有し、反転対称性を有しない構造
を付与したことを特徴とする。請求項3の非線形光学高
分子材料は、請求項2に記載の非線形光学材料であっ
て、高分子中に請求項1に記載の色素化合物を含有さ
せ、加熱しながら電場を印加して該色素化合物を配向さ
せて得られることを特徴とする。
【0016】以下に本発明を詳細に説明する。前記一般
式(1)で表される本発明の非線形光学材料用色素にお
いて、式中、Xは置換されていてもよい5員環もしくは
6員環からなる芳香族複素環、又はそれらと他の5員環
もしくは6員環とが縮合してなる芳香族複素環を表し、
1 及びR2 は置換されていてもよいアルキル基を表
し、R1 とR2 は結合して環を形成してもよい。また、
Qは
【0017】
【化4】
【0018】又はNC−N=を表す。このような非線形
光学材料用色素は、例えば、次の方法に従って製造する
ことができる。
【0019】
【化5】
【0020】ここで、Halはハロゲン原子を表す。ま
た、Qa はQが
【0021】
【化6】
【0022】の場合は
【0023】
【化7】
【0024】を表し、Qが、
【0025】
【化8】
【0026】の場合は
【0027】
【化9】
【0028】を表し、QがNC−N=の場合はNC−N
H−を表す。前記一般式(1)で表される化合物におい
て、Xがベンゼン環である場合の合成法についてはJ.
Chem.Soc.Perkin Trans.1 2
439項(1988)や J.Chem.Soc.Pe
rkin Trans.1 1975項(1990)に
記載されており、その他の化合物も前同様にして容易に
製造することができる。また、このような非線形光学材
料用色素を含む本発明の非線形光学材料は、例えば、後
掲の実施例1の方法に従って、容易に製造することがで
きる。
【0029】Xで表される5員環もしくは6員環もしく
はそれらの縮合した芳香族性の複素環としては、次のよ
うなものを挙げることができる。
【0030】
【化10】
【0031】化合物の安定性や、製造しやすさの点から
は、ピリジン環、ピリダジン環、チアゾール環、チアジ
アゾール環などの窒素原子を含む環が望ましい。R1
2 の具体的な例としては、炭素数が1から6までのア
ルキル基、水酸基、アルコキシ基やハロゲン原子、アミ
ノ基、カルボニル基、カルボキシル基、ベンゼン環など
の芳香環で一つ以上の水素原子が置換されたアルキル基
が挙げられる。さらに具体的には、メチル基、エチル
基、プロピル基(n、i)、ブチル基(n、i、t)、
ペンチル基、ヘキシル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロ
キシエチル基、ヒドロキシプロピル基、メトキシエチル
基、アセトキシエチル基、アクリルオキシエチル基、メ
タクリルオキシエチル基、フェノキシエチル基、トルエ
ンスルフォニルオキシ基、アミノメチル基、アミノエチ
ル基、ベンジル基、フルオロエチル基、クロロエチル
基、ブロモエチル基、ヨードエチル基などが挙げられ
る。さらに、R1 とR2 で環を形成した、例えばモリホ
リン環やピペリジン環、ピペラジン環、テトラヒドロキ
シピロール環の様なものも挙げることができる。
【0032】本発明に用いられる具体的な色素の構造を
例示すると次のようなものが挙げられる。
【0033】
【化11】
【0034】
【化12】
【0035】この構造を有する色素を高分子中に溶解す
れば、この化合物を含む高分子材料を得ることができ
る。溶解する高分子材料としては、均一に溶解するもの
であれば何でもよいが、光学材料として用いるためには
散乱のない透明なフィルムを与えるものが望ましい。例
えば、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネー
ト樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、ポ
リアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、エ
ポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリ塩化ビニルや、これら
の共重合体やブレンド物などが挙げられる。
【0036】また、長鎖のアルキル基を導入すれば、ラ
ングミュアブロジェット膜を作製する事が可能な分子を
得ることができる。このような材料は、2次の非線型光
学材料として都合の良いものである。このようなものの
例としては、例えば前記一般式(1)において、R1
2 が−Cn2n+1 で表され、nが10以上の長鎖のア
ルキル基であるものや、−Cm2mOCOCn2n+1で表
される、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベ
ヘン酸等に代表される長鎖の脂肪酸(Cn2n+ 1COO
H)のエステルを有するものが挙げられる。
【0037】
【作用】基底状態と寄与の大きい励磁状態のみ考慮する
2準位モデルでの分子超分極率βは下記(4)式のよう
に表される。
【0038】
【数3】
【0039】ここで、μ01は基底状態から励磁状態への
遷移モーメント、Δμは基底状態と励磁状態の双極子モ
ーメントの差、ω0 は基底状態と励磁状態のエネルギー
差に対応する振動数、ωは関係する光の振動数を表す。
有機非線形光学材料は、分子内に電子供与性基と吸引性
基がπ電子で共役している分子内電荷移動性を有するも
のが大部分であり、大きな遷移モーメントと双極子モー
メントが、その非線形分極の由来として理解されてい
る。
【0040】このような関係式において、更に、βを大
きくするには、式(4)の光の振動数に依存する効果を
表す分散項を大きくすることが考えられる。これは、分
子の光吸収振動数ω0 に光の振動数ωを近づけて分散項
の分母を大きくすることに対応する。これは一般に共鳴
効果として知られている現象である。しかしながら、光
の振動数が分子吸収の振動数に近付くと、吸収スペクト
ルの幅は有限であるため、光の吸収も起こるようになっ
てくる。非線形光学効果は一般に小さな効果であるた
め、これを利用するためには光をある程度の距離伝播さ
せることが必要であり、分子の吸収はこれに対して制限
を与える。従って、むやみに共鳴振動数に近付けること
はできない。光通信用の電気光学素子として用いるため
には、使用される光の波長、例えば1.3μmや1.5
μmで吸収は十分小さくなければならない。
【0041】このようなことを考慮して、本発明者らの
研究により、以下に示すような分子が非線形光学材料用
の色素ユニットとして非常に優れていることが見出され
た。
【0042】
【化13】
【0043】この構造を有する色素を高分子中に含有さ
せれば、この化合物を含む高分子材料を得ることができ
る。また、長鎖のアルキル基を導入すれば、ラングミュ
アブロジェット膜を作製することが可能な分子を得るこ
とができる。このような材料は、2次の非線形光学材料
として有効なものである。この分子は分子内にπ電子で
共役した電子供与性基と電子吸引性基を有しており、非
常に強い分子内電荷移動型化合物である。更に、吸収も
長波長領域にあり、光通信に用いられる近赤外領域の光
に対しても大きな非線形超分極率を示す。しかしなが
ら、光通信に用いられる1.3μmや1.5μmでは吸
収は十分に小さく、これらに好適な素子を作製すること
も十分可能である。
【0044】前記一般式(1)で表される本発明の色素
化合物を2次の非線形光学材料として用いるには、分子
を極性構造に配向する必要がある。このためには、この
色素を含有する高分子に、電場を印加しながらガラス転
移温度Tg付近まで加熱することにより配向する、いわ
ゆるボーリングと呼ばれる方法を利用できる。また、親
水性基と疎水性基の両方の基を持たせ、水面上で単分子
膜を作り、これを基板に移し取り配向膜を得るラングミ
ュア・ブロジェット法も利用できる。更に、本色素化合
物に、直接又は適当な置換基を導入することによって、
反転対称性を有しない結晶を得ることができれば、それ
は非常に高い非線形性を示す材料となる。本色素化合物
の大きな超分極率βを利用すれば、どのような方法で極
性構造を得るにしても、非常に優れた非線形光学材料を
得ることができる。
【0045】このようにして得られる、本発明の色素化
合物を含む非線形光学材料は、その電気光学効果を利用
して光変調素子や光スイッチ素子を作製するための材料
として用いることができる。また、適当な波長を選べ
ば、第二高調波発生を含む和、差周波発生やパラメトリ
ック増幅や発振等の、波長変換素子にも応用できる。と
ころで、分子超分極率の測定には、電場誘起第二高調波
発生法(EFISH法)がよく用いられるが、この方法
は第二高調波の光を強く吸収する色素に対しては難し
い。そこで、本発明においては、以下のような方法を用
いた。
【0046】一般に、非線形光学効果の測定から求めら
れる非線形感受率χ(2) は、分子配向の分布で分子超分
極率βを平均したものである。EFISH法では、これ
を自由に回転できる双極子の電場中での配向の分布で表
している。これまでの分極高分子化合物の研究より、ガ
ラス転移温度付近まで加熱された高分子中でも、配向し
ている割合が小さい場合にはこの様な分布が、観測され
るχ(2) を良く説明されることが報告されている。しか
しながら、特に高分子中に色素分子を溶解しただけの系
では、室温でも配向緩和が速やかに起きてしまい、配向
を見積もることができない。
【0047】本発明においては、配向のために印加した
直流電圧はそのままにしておき、それに交流電圧を重畳
して電気光学効果を測定した。これによって配向後の緩
和は起きず、配向度はポリマーの運動性が凍結された時
のものが維持されると期待できる。但し、配向は温度を
下げていく際に徐々に凍結され、一定の配向温度を定義
するのは難しい。しかし、本発明における検討で行なっ
たように、100〜120℃で配向し、室温まで温度を
下げた場合でも、この温度は加熱温度と室温の間であ
り、この影響は300/393=0.76以内であるの
で、加熱温度を用いても色素の評価法としては十分であ
る。
【0048】本発明で用いた電気光学効果の測定法とし
ては、基本的には、C.C.TengらがAppl.P
hys.Lett.56、p1734(1990)に発
表したものを用いた。ただし、この論文にはp偏光とs
偏光の位相差の計算に不備があり、r33を計算する式
(論文では式(10))は、下記(5)式を用いた。
【0049】
【数4】
【0050】具体的な実験の配置図を図1に示す。な
お、図1中、1はレーザー、2は偏光子、3はバビネソ
レイユ補償板、4は検光子、5はフォトダイオード、6
はロックインアンプ、7は電源、8はサンプル、9はヒ
ーター、10は電極、11は温度制御器である。ここ
で、Tengらと異なるのは、サンプルがヒートブロッ
クに固定されており、温度コントローラで温度の制御が
できるようになっていることと、印加する電圧が交流に
直流のオフセットがかけられるようになっているところ
である。
【0051】求められる電気光学係数rとχ(2) 、更に
はβとの関係は下記の(6)式を用いた。
【0052】
【数5】
【0053】ここでnは屈折率、Nは色素の数密度、f
(ω)は振動数wの光又は電場の局所場補正係数、θは
分子の双極子μが電場となす角で<>は平均、Eは外部
から印加する静電場、kはボルツマン定数、Tは温度を
表す。f(ω)はSingerらがJ.Chem.Ph
ys.75巻、p3572(1981)で採用したもの
を用いた。このように、rの測定からμβ積が求められ
る。本測定法で得られる電気光学係数は、DC電場によ
るχ(3) の効果即ちKerr効果や、室温での電場によ
るポリマー中での分子配向による屈折率の変化や、ポリ
マーマトリクス自身の電場配向による電気光学効果等の
寄与はあるが、その効果は一般に大きくなく、少なくと
も相対的なμβ積を比較するのには十分利用できる。な
お、上記(6)式が利用できるためには、印加する電圧
や溶解する色素の濃度をできるだけ小さくするのが望ま
しいと考えられる。また、分子間相互作用が低濃度でも
強く、分子が反平行になる傾向が強い分子については、
求められるμβ積は実際のものよりも小さくなり、分子
が平行になる傾向が強い分子については、求められるμ
β積は実際のものよりも大きくなるが、このような相互
作用は非線形光学用色素としては重要なものであり、求
められるμβ積は現実に得られる有効値に対応してい
る。
【0054】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限
り、以下の実施例に限定されるものではない。 実施例1 (S)−(−)−N−(5−ニトロ−2−ピリジル)プ
ロリノール(東京化成社製)1gを40mlのエタノー
ルに溶解して10%パラジウム炭素触媒を0.045g
を添加した。これに水素を接触させ、50℃で理論量の
水素が吸収されるまで還元反応を行った。反応液を濾過
後濃縮して(S)−(−)−N−(5−アミノ−2−ピ
リジル)プロリノールを得た。このアミノ化合物とナフ
チルマロノニトリル(東京化成社製)0.86gをアセ
トン18ml、水17ml、アンモニア水6mlに溶解
し、氷30gを添加して5℃以下に冷却した。これに、
過硫酸アンモニウム2.05gを水20mlに溶解した
ものを5℃以下で滴下した。生じた沈澱を濾別、乾燥
後、酢酸エチルとトルエン2:1の混合溶媒で、シリカ
ゲルを用いてカラムクロマトグラフィーにより精製し
た。さらにエタノールより再結晶を行い、青色の粉末2
70mgを得た。構造は核磁気共鳴スペクトル、マスス
ペクトルを用いて下記構造式であることを確認した。ま
た、酢酸エチル中での吸収スペクトルの極大波長は65
4nm、極大波長でのモル吸光係数は2.3×104
あった。
【0055】
【化14】
【0056】このようにして得られた色素とポリメチル
メタクリレート(PMMA、アルドリッチ社製、中分子
量、固有粘度0.45)を溶解したシクロペンタノン溶
液をスピンコーティングし、膜厚2.1μmのフィルム
を300ÅのITO電極の上に作製した。フィルム中の
色素濃度は5重量%となるようにした。130℃で1時
間乾燥して溶媒を除去した後、金を1000Åの厚さに
真空蒸着した。1.31μmの半導体レーザーの光を用
いて、前述の作用の項で述べた方法でβの測定を行なっ
た。加熱条件としては、100℃10分間と、120℃
10分間との場合で比較したが、同様の結果が得られる
ことを確認した。印加した電圧は、直流電圧105Vに
交流電圧10Vrmsを重畳したものを用いた。得られ
た結果は、μβ積が1880×10-48 esuであっ
た。
【0057】比較例1
【化15】
【0058】色素を上記構造式で表されるディスパース
レッド1(Aldrich Co.)としたこと以外
は、実施例1と同様にしてμβ積の測定を行なった。そ
の際の加熱条件は110℃、10分で、印加電圧は直流
100Vに交流20Vrmsを重畳したものを用いた。
得られたμβ積は825×10-48 esuであった。 比較例2
【0059】
【化16】
【0060】色素を上記構造式で表される構造を有する
ものとしたこと以外は、実施例1と同様にしてμβ積の
測定を行なった。その際の加熱条件は110℃、10分
で、印加電圧は直流100Vに交流20Vrmsを重畳
したものを用いた。得られたμβ積は410×10-48
esuであった。
【0061】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の非線形光学
材料用色素は、著しく分子超分極率βが高く、このよう
な非線形光学材料用色素を用いた本発明の非線形光学材
料によれば、非線形感受率が著しく良好な高性能の非線
形光学材料が提供される。特に、請求項3の非線形光学
材料によれば、製造が容易で機能性、多様性に優れた非
線形光学材料が提供される。
【0062】このような本発明の非線形光学材料は、電
気光学光変調素子や波長変換素子等に用いて、光の制御
を行なうための非線形光学材料として、工業的に極めて
有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において、電気光学効果の測定に使用さ
れる装置の構成図である。
【符号の説明】
1 レーザー 2 偏光子 3 バビネソレイユ補償板 4 検光子 5 フォトダイオード 6 ロックインアンプ 7 電源 8 サンプル 9 ヒーター 10 電極(ITOおよび金) 11 温度制御器

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で示されることを特徴
    とする非線形光学材料用色素化合物。 【化1】 (式中、Xは置換されていてもよい5員環もしくは6員
    環からなる芳香族複素環、又はそれらと他の5員環もし
    くは6員環とが縮合してなる芳香族複素環を表し、R1
    及びR2 は置換されていてもよいアルキル基を表し、R
    1 とR2 は結合して環を形成してもよい。また、Qは 【化2】 又はNC−N=を表す。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の色素化合物を含有し、
    反転対称性を有しない構造を付与したことを特徴とする
    非線形光学材料。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の非線形光学材料であっ
    て、高分子中に請求項1に記載の色素化合物を含有さ
    せ、加熱しながら電場を印加して該色素化合物を配向さ
    せて得られることを特徴とする非線形光学高分子材料。
JP14933994A 1994-06-30 1994-06-30 非線形光学材料用色素及びそれを含有する非線形光学材料 Pending JPH0815740A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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DE102008038021A1 (de) 2008-08-16 2010-02-18 Lanxess Deutschland Gmbh Verfahren zur Isolierung von Di-Trimethylolpropan

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