JPH08157377A - 家畜等の下痢予防・治療剤 - Google Patents

家畜等の下痢予防・治療剤

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JPH08157377A
JPH08157377A JP6329466A JP32946694A JPH08157377A JP H08157377 A JPH08157377 A JP H08157377A JP 6329466 A JP6329466 A JP 6329466A JP 32946694 A JP32946694 A JP 32946694A JP H08157377 A JPH08157377 A JP H08157377A
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glucan
diarrhea
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JP6329466A
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Kimiko Watanabe
君子 渡邉
Sadao Sakayanagi
定男 阪柳
Mikihiro Takagi
幹弘 高木
Takashi Kiyota
隆 清田
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Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Oil Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 オウレオバシディウム プルランス (Aureob
asidium pullulans) IFO4466菌株の培養上清から得られ
る、β-1.3結合グルコース残基を主鎖として、これにβ
-1.6結合グルコース残基の分岐鎖を多数側鎖として有す
るβ−グルカンを有効成分とする家畜等の下痢予防・治
療剤。 【効果】 経口的に高い下痢予防・治療活性を有し、飼
料添加物等として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高分岐度のβ−グルカ
ンを有効成分とする家畜や飼育動物などの家畜等に用い
られる下痢予防・治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】家畜・家禽における下痢・軟便などの消
化器病は原虫、細菌、ウイルスやストレスなどの様々に
要因が複合して起こり、特に子豚や子牛の飼育中には下
痢が多発し、たとえば哺乳期や離乳期の豚の約40〜70%
が下痢にかかり、養豚業者が食肉の生産性の向上を推進
する上で大きい障害となっている。この疾病にかかる
と、発育不良を起こし、その後の全成育期間の成長速度
に悪影響を及ぼし、飼料効率の低下、成育期間の延長な
どを招く結果となり、家畜飼育業者の経営上の大きい課
題となっている。
【0003】この問題を解決するために従来は一般に抗
生物質、抗菌剤の投与が行われてきたが、これらの薬剤
は下痢の原因となっている有害な微生物のみならず有用
な腸内細菌も殺すという問題がある上、種々の原因で起
こる全ての下痢を予防・治療はできないという問題及び
耐性菌の出現によって、効力が低下するため、常に新た
なる薬剤を必要とするなどの問題がある。オリゴ糖や乳
酸菌などの生菌製剤がビフィズス菌を増殖させ、大腸
菌、クロステリディウム属などの有害菌を抑制し、整腸
作用を有し、ある程度の下痢の改善をすることが知られ
るようになった(たとえば特公平2-56062 、特開昭52-9
9027、特開昭55-9770 など) 。さらにβ-1,3- グルカン
もビフィズス菌を増殖させることは知られている (特開
平1-137990) が、これらビフィズス菌の増殖促進効果だ
けでは充分満足できる効果は得られていない。この他グ
リシン、塩化ナトリウム、トリプトファン、ビタミンE
またはβ−カロチン等による種々の下痢の防止策が取ら
れてきており(たとえば、特開昭50-8812 、特開昭57-1
20517 、特開昭57-154126 、特開平6-98692 など)、そ
れぞれに効果を収めているが、いまだ決定的ともいうべ
き方法は見いだされていなく、一旦下痢にかかった場合
にはやむを得ず抗生物質や抗菌剤で下痢を治療している
のが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記の
問題を解決するために、オウレオバシディウム プルラ
ンス IFO 4466 株が高分岐度のβ−グリコシド結合をも
つグルカンが経口投与で抗生物質や抗菌剤などの投与を
必要とせず、速やかに下痢を治療できることを見出して
本発明を完成するに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、次
の構造で示されるβ−グルカンを有効成分とする家畜等
の下痢の予防・治療剤に関する。
【化2】 (ただし、式中mは80〜0%、nは20〜100 %を示
す。) 本発明において、下痢の予防・治療剤とは、下痢の予防
剤として、及び/又は下痢の治療剤として用いることが
できる意味である。本発明のβ−グルカンとしては、特
に重量平均分子量が50万〜700 万、好ましくは 100万〜
600 万、最も好ましくは 200万〜500 万のものが好まし
い。以下に本発明を詳述する。本発明において用いられ
るβ−グルカンは、オウレオバシディウム プルランス
を培養して得ることができる。
【0006】オウレオバシディウム属には、森永力著
「講座/真菌の分類・同定」(J. Antibact. Antifun
g. Agents. 18 (6) 295-297(1990)によれば、14種1変
種があり、そのほとんどがオウレオバシディウム プル
ランス(Aureobasidium pullulans)である。オウレオバ
シデイウム プルランスには2つの変種がある。 これ
らの形態的特徴は、コロニーは滑面でしばしば粘性のあ
る分生子の塊りで被われ、通常、気中菌糸はまばらに存
在する。コロニーの色は明るい褐色、黄色、ピンクある
いは黒色とさまざまである。菌糸は透明、しばしば褐色
になり厚壁である。分生子形成細胞は透明で、菌糸上に
分岐して先端にあるいは中間部にそれぞれ形成される。
分生子は同調的に出芽法により、分生子形成細胞上から
密に作られる。色は透明・滑面壁で単細胞、形や大きさ
はさまざまである。本発明において用いられるオウレオ
バシディウム プルランスは、これらのオウレオバシデ
ィウム プルランスのなかで天然から分離して純化、継
代培養してその形質を保持しているものあるいは寄託機
関に寄託されている菌株のうち、本発明の高分岐度β−
グルカンを産生することができるものであれば、どのよ
うな菌株でも用いられる。しかし、財団法人 発酵研究
所に寄託されているオウレオバシディウム プルランス
IFO 4466 を使用することが高分岐度β−グルカンの収
率及び単離しやすさの点で好ましい。
【0007】培地は、炭素源、窒素源、リン、カリウ
ム、マグネシウム等の通常微生物の培養に必要な栄養成
分を含む液体培地が用いられる。炭素源としては少なく
ともキシロースおよびビタミンCを用いる。炭素源とし
て、これ以外に例えばグルコースやシュークロースを用
いることができる。使用割合は炭素源としてキシロース
5〜150g/L、好ましくは10〜100g/L、最も好ましくは20
〜60g/L 、ビタミンC 0.01 〜100g/L、好ましくは 0.1
〜60g/L 、最も好ましくは 0.5〜20g/L が用いられる。
炭素源以外の成分の使用割合はNaNO3 0.5g/L〜20g/L 、
好ましくは 1〜10g/L 、K2HPO4 0.05〜10g/L 、好まし
くは 0.1〜5g/L、KH2PO4 0〜20g/L 、好ましくは 0.5〜
5g/L、KCl 0.1〜10g/L 、 0.2〜5g/L、 MgSO4・7H2O
0.05〜5.0g/L、好ましくは 0.1〜2.0g/L、 FeSO4・7H2O
0〜5g/L、好ましくは 0.005〜2.0g/Lが用いられる。ま
た液体培地にビタミンB1 を添加することもできる。培
養は、通常、温度 5〜40℃で1 〜10日間培養する。好ま
しくは通気下で行う。こうして培養液中に本発明の高分
岐度β−グルカンが産生される。
【0008】培養終了後、培養液に遠心分離等の手段を
施して培養液から菌体を除去し、培養上清から本発明の
高分岐度β−グルカンを採取する。採取方法としては培
養上清に有機溶媒を加えて本発明の高分岐度β−グルカ
ンを沈澱させる方法を好ましく用いることができる。有
機溶媒として特に制限はないが、例えばアルコール、ケ
トン、ニトリル等が用いられる。具体的にはエタノー
ル、イソプロピルアルコール、アセトンやアセトニトリ
ルなどが挙げられるが、特にエタノールが好ましい。
【0009】また本発明の高分岐度β−グルカンを精製
する必要がある場合は、セルロースチューブなどを用い
て透析を行って低分子化合物を除去し、また、トリクロ
ロ酢酸、ピクリン酸などの酸性物質あるいは、n−ブタ
ノール、n−ブタノールのクロロホルム溶液等の有機溶
剤を除タンパク剤として用いてタンパクを沈澱除去した
後、さらに、高分岐度β−グルカンの沈澱に、0.5N程度
のアルカリ水溶液を加えてこの沈澱を溶解し、不溶性の
グルカンを沈澱除去し、水可溶性のグルカンだけを酢
酸、クエン酸、塩酸、硫酸などの酸で中和することによ
って精製された高分岐度グルカンを得ることができる。
【0010】このようにして得られた本発明の高分岐度
β−グルカンの理化学的性質を示すと次のとおりであ
る。
【0011】(1)構成単糖 前記高分岐度β−グルカン50mgに1N硫酸2mlを加えて
8時間加熱して加水分解を行い、その後常法に従って水
素化ホウ素ナトリウムにより還元した上、ピリジンと無
水酢酸とによりアセチル化し、ガスクロマトグラフィー
(カラム:3重量%ECNSS-M/クロモソルブ W温度: 190
℃ キャリアガス:窒素ガス、キャリアガス流量:3ml
/分)により分析したところ、比旋光度〔α〕D 25は+
50゜であり、D−グルコース〔文献値〔α〕D 25+52.8
゜ (広川書店発行「有機定性分析」第 276頁) 〕のそれ
とほぼ一致することから99%以上がグルコースであるこ
とが認められた。さらに、また本発明の高分岐度β−グ
ルカンを、市販のキタラーゼ(ケイ・アイ化成(株)
製)を精製して得られたエキソβ−グルカナーゼにより
酵素分解を行い、分解糖を薄層クロマトグラフィー(TL
C)で調べた。この精製酵素はグルコースのβ-1,3結合の
みからなるラミナリンに作用させ、TLC で分解糖を調べ
るとグルコースのみが検出されるが、本発明の高分岐度
β−グルカンから得られた分解糖はグルコースおよびゲ
ンチオビースと同じRf値を持っていた。しかもグルコー
ス1に対し、ゲンチオビオースが2以上であった。また
酵素による分解速度はラミナリンの分解速度の1/20で
あったことから主鎖のβ-1,3結合の切断は分岐鎖により
立体障害を受けたことが判明した。このようにして得ら
れた酵素分解物と、前記酸分解物とをHPLC分析(カ
ラム:μBondaSphere-NH2 5μ 100Å、溶媒:80%CH3C
N 、流速: 0.8ml/ml 、検出:示差屈折計による) によ
って分解糖を定量したところ酵素による分解率は酸によ
る分解率の1%以下であって、酵素により非常に分解さ
れにくいことを示した。
【0012】(2)グルコースの結合様式及び分岐度 本発明の高分岐度β−グルカンを100 ℃でジメチルスル
ホキシド(DMSO)-d6 に溶解し、100 ℃に保持したまま測
定した13C NMRスペクトルの1例を図1に示す。図
1に示すように (i)δ値 68ppm域に、化3に示されるグ
ルコース残基A中のC−6の炭素に帰属するピーク
1 、(ii)δ値 86ppm域に化3に示される前記グルコー
ス残基A及びグルコース残基C中のC−3の炭素に帰属
するピークS2 、及び(iii) δ値 103ppm 域に化3に示
されるグルコース残基A、B及びC中のC−1の炭素に
帰属するピークS3 の3個のシグナルが認められる。こ
のことから、本発明の高分岐度β−グルカンは、β1→
3結合を介して結合した前記AあるいはCからなる主鎖
にβ1→6結合を介して結合した前記Bが分岐している
ものと判断される(Carbohydrate Polymers 2, 135-144
(1982) 参照) 。
【0013】
【化3】
【0014】また、図1を拡大すると、図2にみられる
ようにδ値60.5〜60.8ppm 域にグルコース残基C中のC
−6の炭素に帰属するシグナルSa の強度が1に対し、
δ値61.0ppm域のグルコース残基BのC−6の炭素に帰
属するシグナルSb の強度が約2であるから本発明の高
分岐度β−グルカン中には主鎖のグルコース残基3個に
対して分岐したグルコース残基が2個存在する。
【0015】さらに、β (1→3)結合のC−3炭素に
帰属するシグナルが検出される領域の拡大スペクトルを
図3に示す。図3においてδ値 85.7 ppm のシグナルS
c は、HSQC−TOCSY〔吉岡書房発行「エルンス
ト二次元NMR」第 589頁(1991 年) 及び丸善発行、日
本化学会編「実験化学講座」第5巻第 133-137頁(1991
年) 〕で、グルコース残基AのH−6水素のシグナル
(δ値 3.58 および4.08ppm)との相関が観測されること
から、グルコース残基AのC−3炭素に帰属される(Car
bohydroate Polymers 2, 135-144(1982)参照) 。残りの
δ値 86.2 ppm のシグナルSd はグルコース残基CのC
−3炭素に帰属される。さらに本発明の高分岐度β−グ
ルカンは、スクレログルカン. ラミナリンのようなグル
コース残基Cが連続するユニットを部分構造として持つ
グルカンで観測されるはずのδ値 85.9 ppm のC−3炭
素に相当するシグナルが検出されないことから、本発明
の高分岐度グルカン中のグルコース残基CはそのC−3
炭素側に必ずグルコース残基Aが結合するものである。
c とSd のシグナル強度比が2:1であることから、
この例による本発明の高分岐度β−グルカンは化4に示
す構造のユニットGIおよびGIIで構成され、GI とGI
Iの存在比は1:1であることがわかる。例えばDMS
Oを用いて室温で分別処理すると本発明の高分岐度β−
グルカンにはDMSOに溶解する成分と不溶の成分があ
り、図4に示すスペクトル中のシグナルSa とSb の面
積強度比からDMSOに溶解する成分は主鎖のグルコー
ス残基が9個に対して分岐したグルコース残基が5個か
ら成るβ−グルカンであり、DMSOに不溶な成分は主
鎖のグルコース残基が4個に対して分岐したグルコース
残基が3個から成るβ−グルカンである。すなわち、本
発明の高分岐度β−グルカンはGIIユニットを20〜100
%含有する。
【0016】
【化4】
【0017】(3)赤外吸収スペクトル(KBr法) 図5に示すように波長 880cm-1にβ−グルコシド結合配
向に特徴的な吸収(P)がある。
【0018】(4)分子量(ゲル濾過法) 重量平均分子量50万〜700 万、好ましくは 100万〜600
万、最も好ましくは 200〜500 万
【0019】(5)呈色反応: モーリッシュ反応、ア
ンスロン硫酸反応、フェノール硫酸反応;陽性 ニンヒドリン反応、ビューレット反応;陰性。
【0020】以上より理化学的性質から本発明の高分岐
度β−グルカンの化学構造は次の通りと決定された。
【0021】
【化5】 (ただし、式中mは80〜0%、好ましくは60〜10%、n
は20〜100 %、好ましくは40〜90%
【0022】本発明の高分岐度β−グルカンは、β-1,3
結合のグルコース残基を主鎖とし、このグルコース残基
にβ-1,6結合グルコース残基を分岐して多数有し、分岐
のないグルコース同志の結合は実質的に主鎖に存在しな
い点に特徴がある。
【0023】本発明の高分岐度β−グルカンの下痢治療
活性について、このグルカンをショ糖または飼料に添加
して経口で下痢にかかっている哺乳豚及び哺乳豚に投与
して試験したところ、実施例で示すように抗生物質を投
与することなく、完全に治療することができた。従っ
て、本発明の高分岐度β−グルカンは下痢の予防・治療
活性を示し、動物、特に哺乳期及び離乳期の家畜、幼雛
期の家禽等に好適であり、抗生物質、抗菌剤やワクチン
の使用のように耐性菌の出現による効力の低下も見られ
ず、無害で多用による効力の低下もない、弊害のない下
痢予防・治癒活性を示し、動物医薬としてあるいは飼料
添加剤として用いることができる。下痢予防・治療剤と
しての動物医薬として用いる場合には動物体重kg当り1
日200〜0.1mg 、好ましくは30〜50mgを投与するとよ
い。
【0024】本発明の高分岐度β−グルカンはこのまま
の状態で動物医薬になり得るが、製薬上の習慣に従って
製薬的に許容し得る希釈剤及び/または他の薬理作用を
もつ他の物質と混合物として組成された状態で用いるこ
ともできる。投与は、経口投与、静脈内投与、腹腔投
与、経腸投与等によって行うことができるが、経口投与
が特に好ましい。従って、このような投与のために好適
な適宜の剤製、例えば散剤、顆粒、錠剤、糖衣錠、カプ
セル、ピル、坐剤、懸濁剤、液剤、乳剤、注射剤、エア
ゾール剤等として用いることができる。しかし、特に経
口投与が有効である。
【0025】また、飼料添加剤として用いる場合には、
高分岐度β−グルカンをそのまま、あるいはこれらの添
加剤に常用される担体、増量剤等と混合して飼料に添加
し、飼料に下痢の予防・治癒活性を付与して下痢を予防
または治療したりすることができる。たとえば、ウシ、
ブタ、ニワトリ、魚、鳥、イヌ、ネコ等の飼料添加剤と
して好適である。特に子豚、子牛、幼雛に有効である。
【0026】次に本発明を実施例を示して具体的に説明
する。
【実施例1】 高分岐度β−グルカンの製造 1.菌体培養 オウレオバシディウム プルラン(Aureobasidium pull
ulans)財団法人発酵研究所寄託番号IFO 4466株のポテト
デキストロース寒天斜面培地に培養し、保存されていた
菌株を、次の組成を有する液体培地(pH5.0-6.0、好適に
はpH5.5)300 mlを坂口フラスコに入れたものに接種して
温度20〜30℃で2〜3日間通気攪拌培養を行った。 本発明に用いた培地の組成の例 キシロース 30g ビタミンC 6.0g NaNO3 2.5g K2HPO4 0.4g KH2PO4 2.0g KCl 0.5g MgSO4 ・7H2O 0.5g FeSO4 ・7H2O 0.01g ビタミンB1 1mg 蒸留水 1 L オウレオバシディウム プルラン IFO 4466 株は糖とし
てグルコースや庶糖を用いるとプルラン(α-1,4-1,6-
グルカン)も生成するが糖としてキシロースを用いると
プルランの生成はほとんど見られず、本発明の高分岐度
β−グルカンを生成する(表1参照)。
【0027】2.本発明の高分岐度β−グルカンの製造 上述の培養液 300mlを遠心分離機を用いて菌体を取り除
き、得られた培養上清に同量のエタノールを加えて室温
で数時間撹拌した。次に遠心分離を行い、得られた沈澱
物に 300mlの0.5N NaOH を加えて室温で撹拌して水に不
溶性のグルカンを沈澱させ、この沈澱を遠心分離により
取り除いた。この不溶物を取り除いた液を、セルロース
チューブなどによる透析を行った。なお、微量のタンパ
クを除去する必要がある場合には透析前にトリクロロ酢
酸を粗沈澱物水溶液に加えてタンパクを沈澱除去する。
高分岐度β−グルカンの生成量を表1に示した。
【0028】
【表1】
【0029】このようにして得られた高分岐度β−グル
カンの理化学的性質を検討したところ、前に示した高分
岐度β−グルカンのそれと一致した。
【0030】
【実施例2】実施例1で得られた高分岐度β−グルカン
の下痢治癒活性を測定した。水様便の糞便を排出し、下
痢症を呈している生後3日齢の哺乳期の子豚(雌雄各15
頭、体重約 1.8kg) 30頭に、高分岐度β−グルカンを所
定量を1回強制的に経口投与して飼育した。母乳及び水
は自由に摂取させ、高分岐度β−グルカン投与1日後に
糞便症状が改善しなかった場合には抗生物質を投与し、
下痢症状に改善見られた場合には4日間毎日糞便状態及
びその他の臨床症状を観察し、臨床スコアにより高分岐
度β−グルカンの下痢治癒効果を判定した。その結果を
表2及び3に示した。表2及び3にみられるように、本
発明の高分岐度β−グルカンを下痢症にかかっている哺
乳豚に試験したどの投与量でも1回経口投与することに
よって翌日には著しい下痢症状の改善がみられ、投与後
4日目には、全ての下痢症の哺乳豚に高い下痢症の治癒
活性が認められ、抗生物質の投与を必要としなかった。
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【実施例3】実施例1で得られた高分岐度β−グルカン
の下痢治療活性を測定した。水様便の糞便を排出し、下
痢症を呈している生後28日齢の離乳期の子豚(雌4頭、
雄6頭、体重約7.1kg) 10 頭に、高分岐度β−グルカン
の所定量を飼料に添加することにより1回経口投与して
飼育した。飼料及び水は自由に摂取させ、高分岐度β−
グルカン投与1日後に糞便症状が改善しなかった場合に
は抗生物質を投与することにより治癒させ、下痢症状に
改善が見られた場合には4日間毎日糞便状態及びその他
の臨床症状を観察し、臨床スコアにより高分岐度β−グ
ルカンの下痢治癒効果を判定した。その結果を表4及び
5に示した。表4及び5にみられるように、本発明の高
分岐度β−グルカンを下痢症にかかっている離乳豚に試
験したどの投与量でも1回経口投与することによって翌
日には下痢症の改善がみられ、投与後4日目には全ての
離乳豚において下痢症の治癒活性が認められ、抗生物質
の投与を必要としなかった。
【0034】
【表4】
【0035】
【表5】
【0036】
【実施例4】 (1)実施例1で得られた高分岐度β−グルカンの沈澱
20g を子牛の配合飼料1kgに添加して子牛の下痢を防止
・治療した。 (2)実施例1で得られた高分岐度β−グルカン粉末を
ブロイラーの幼雛に幼雛用配合飼料に混合して投与し、
下痢を防止・治療した。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、新規な高分岐度を有す
るβ−グルカンは経口投与によって高い下痢の予防・治
療活性を有するので家畜、ペット動物、家禽等の下痢の
予防・治療剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】高分岐度β−グルカンの2次元NMRスペクト
ルを示す。
【図2】図1の2次元NMRを拡大したスペクトルを示
す。
【図3】図1の2次元NMRを拡大したスペクトルを示
す。
【図4】高分岐度β−グルカンのDMSO可溶分及び不溶分
のNMRスペクトルを示す。
【図5】高分岐度β−グルカンの赤外吸収スペクトル
(KBr 法)を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:645) (72)発明者 清田 隆 神奈川県横浜市中区千鳥町8番地 日本石 油株式会社中央技術研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の構造式で示されるβ−グルカンを有
    効成分とする家畜等の下痢予防・治療剤。 【化1】 (ただし、式中mは80〜0%、nは20〜100 %を示す)
JP6329466A 1994-12-02 1994-12-02 家畜等の下痢予防・治療剤 Pending JPH08157377A (ja)

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Cited By (6)

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