JPH08155572A - 防蝕、防脱炭ばねの製造方法 - Google Patents
防蝕、防脱炭ばねの製造方法Info
- Publication number
- JPH08155572A JPH08155572A JP29844194A JP29844194A JPH08155572A JP H08155572 A JPH08155572 A JP H08155572A JP 29844194 A JP29844194 A JP 29844194A JP 29844194 A JP29844194 A JP 29844194A JP H08155572 A JPH08155572 A JP H08155572A
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- JP
- Japan
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- spring
- subjected
- steel
- aluminum
- heat treatment
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 加熱加工や熱処理をしても脱炭を起さず、し
たがって疲労強度が低下しない長寿命のばねの製造方法
を提供すること。 【構成】 機械的予備加工をしたばね鋼材に、溶融アル
ミニウムめっきをした後に、必要な熱処理をすることに
より脱炭を防止するばねの製造方法。めっき層であるア
ルミニウムが酸化されて生成する酸化アルミニウム層、
アルミニウムと鉄の二元化合物相が極めて緻密では母材
に密着しているので内部の母材を高温酸化から保護する
作用が大きい。
たがって疲労強度が低下しない長寿命のばねの製造方法
を提供すること。 【構成】 機械的予備加工をしたばね鋼材に、溶融アル
ミニウムめっきをした後に、必要な熱処理をすることに
より脱炭を防止するばねの製造方法。めっき層であるア
ルミニウムが酸化されて生成する酸化アルミニウム層、
アルミニウムと鉄の二元化合物相が極めて緻密では母材
に密着しているので内部の母材を高温酸化から保護する
作用が大きい。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は熱処理中に脱炭を起さ
ず、したがって疲労強度の大きいばねを製造する方法に
関する。
ず、したがって疲労強度の大きいばねを製造する方法に
関する。
【０００２】
【従来の技術】従来からばねの製造は、ばね鋼材に機械
的予備加工をした後、加熱、成型、焼入れ、焼戻し等の
熱処理する工程、ショットピーニングのような機械加工
を経て最後に仕上げ加工をして製造されていた。しか
し、焼入れ、焼戻し等の熱処理工程で、鋼材に含まれる
炭素が酸化され脱炭現象が起き、その結果、製品である
ばねの疲労強度が低下するのが問題になっていた。
的予備加工をした後、加熱、成型、焼入れ、焼戻し等の
熱処理する工程、ショットピーニングのような機械加工
を経て最後に仕上げ加工をして製造されていた。しか
し、焼入れ、焼戻し等の熱処理工程で、鋼材に含まれる
炭素が酸化され脱炭現象が起き、その結果、製品である
ばねの疲労強度が低下するのが問題になっていた。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来と同じ
加熱加工及び熱処理をしても脱炭を起こさず、したがっ
て疲労強度が低下しない長寿命のばねの製造方法を提供
しようとするものである。
加熱加工及び熱処理をしても脱炭を起こさず、したがっ
て疲労強度が低下しない長寿命のばねの製造方法を提供
しようとするものである。
【０００４】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の構成は、機械的予備加工をしたばね鋼材に、
溶融アルミニウムをめっきした後に、必要な加熱加工及
び熱処理をするばねの製造方法である。鋼材に溶融アル
ミウムをめっきして、その耐酸化性を向上させることは
従来知られていたことである。その耐酸化性は、めっき
層であるアルミニウムが酸化された酸化アルミニウム
層、またはアルミニウムと共に鉄の二元化合物相が極め
て緻密で、かつ、母材である鋼材に密着していて剥離を
起し難いので、内部の母材を高温酸化から保護する作用
が大きいためである。
の本発明の構成は、機械的予備加工をしたばね鋼材に、
溶融アルミニウムをめっきした後に、必要な加熱加工及
び熱処理をするばねの製造方法である。鋼材に溶融アル
ミウムをめっきして、その耐酸化性を向上させることは
従来知られていたことである。その耐酸化性は、めっき
層であるアルミニウムが酸化された酸化アルミニウム
層、またはアルミニウムと共に鉄の二元化合物相が極め
て緻密で、かつ、母材である鋼材に密着していて剥離を
起し難いので、内部の母材を高温酸化から保護する作用
が大きいためである。
【０００５】この溶融アルミニウムめっき層は鋼材を酸
化から保護するだけではなく、浸炭作用からも保護する
ことが判った。本発明は、この溶融アルミニウム層が浸
炭に限らず脱炭の防止にも有効であるという発見に基づ
くものである。
化から保護するだけではなく、浸炭作用からも保護する
ことが判った。本発明は、この溶融アルミニウム層が浸
炭に限らず脱炭の防止にも有効であるという発見に基づ
くものである。
【０００６】本発明の作用を説明すると、鋼材に溶融ア
ルミニウムめっきをすると、アルミニウム層と鋼材との
界面に鉄−アルミニウム合金層が形成される。この合金
層は炭素を固溶しないために外部からの炭素がこの合金
層内に拡散する現象が起きない。したがって、この合金
層内部へ外から炭素が浸透することがない。これが浸炭
防止作用である。また、上記鉄−アルミニウム合金層の
特性は、内部の鋼材中に存在する炭素が上記合金層内部
へ拡散することも妨げることになる。更に、溶融アルミ
ニムめっき層は、すでに説明したように、高温下に酸素
が浸透するのを妨げる緻密な酸化アルミニウム層または
アルミニウム−鉄化合物相を形成する。したがって、鋼
材の表面に溶融アルミニウムめっきを施せば、内部の鋼
材中の炭素が外へ拡散するのを防止すると共に、外部の
酸素が鋼材内部に浸透してくるのも防止する。その結
果、従来脱炭の原因とされていた酸素による鋼材中の炭
素の酸化を防止でき、脱炭が防止できる。
ルミニウムめっきをすると、アルミニウム層と鋼材との
界面に鉄−アルミニウム合金層が形成される。この合金
層は炭素を固溶しないために外部からの炭素がこの合金
層内に拡散する現象が起きない。したがって、この合金
層内部へ外から炭素が浸透することがない。これが浸炭
防止作用である。また、上記鉄−アルミニウム合金層の
特性は、内部の鋼材中に存在する炭素が上記合金層内部
へ拡散することも妨げることになる。更に、溶融アルミ
ニムめっき層は、すでに説明したように、高温下に酸素
が浸透するのを妨げる緻密な酸化アルミニウム層または
アルミニウム−鉄化合物相を形成する。したがって、鋼
材の表面に溶融アルミニウムめっきを施せば、内部の鋼
材中の炭素が外へ拡散するのを防止すると共に、外部の
酸素が鋼材内部に浸透してくるのも防止する。その結
果、従来脱炭の原因とされていた酸素による鋼材中の炭
素の酸化を防止でき、脱炭が防止できる。
【０００７】以下、本発明の方法によって防蝕、防脱炭
ばねを製造する方法の概要を説明する。コイルばねの場
合、素材であるばね鋼線をピーリング等の予備加工をし
た後、溶融アルミニウムめっきをし、加熱、コイリング
によってコイルばねの形状に成形した後、焼入れ、焼戻
し等の熱処理をし、ホットセッティング、ショットピー
ニングをして所定の特性をもたせた後、セッティングし
て製品とされる。板ばねの場合は、素材を切断、ピーリ
ング加工後後、溶融アルミニウムめっきをし、テーパー
加工、目玉巻等の先端加工、孔明け等の予備加工をした
後、加熱し孔明けし、焼入れ、焼戻し等の熱処理後、シ
ョットピーニング、ストレスピーニング等の加工後、組
立して製品とされる。本発明のばねは製造時の脱炭によ
る疲労強度の低下と使用中の腐蝕による疲労強度の低下
を起さないのでばねの寿命が長い。
ばねを製造する方法の概要を説明する。コイルばねの場
合、素材であるばね鋼線をピーリング等の予備加工をし
た後、溶融アルミニウムめっきをし、加熱、コイリング
によってコイルばねの形状に成形した後、焼入れ、焼戻
し等の熱処理をし、ホットセッティング、ショットピー
ニングをして所定の特性をもたせた後、セッティングし
て製品とされる。板ばねの場合は、素材を切断、ピーリ
ング加工後後、溶融アルミニウムめっきをし、テーパー
加工、目玉巻等の先端加工、孔明け等の予備加工をした
後、加熱し孔明けし、焼入れ、焼戻し等の熱処理後、シ
ョットピーニング、ストレスピーニング等の加工後、組
立して製品とされる。本発明のばねは製造時の脱炭によ
る疲労強度の低下と使用中の腐蝕による疲労強度の低下
を起さないのでばねの寿命が長い。
【０００８】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
する。 実施例１ ＪＩＳ ＳＵＰ９材のビレットの表面を清浄化のため、
皮剥き（ピーリング）を施したものの表面に溶融アルミ
ニウムメッキを施した。０．１ｍｍの厚さにメッキされ
たビレットを１２００℃に再加熱して、ロールにて熱間
圧延を行い巾７０ｍｍ厚さ８．５ｍｍの平鋼にした。ア
ルミニウムとＳＵＰ９材との界面にＡｌ−Ｆｅ合金層が
生成され、圧延しても剥れることはない。また、アルミ
ニウムメッキ層の表面はＡｌ2Ｏ3層が出来ており、緻密
な層を形成していた。この平鋼を長さ３００ｍｍに切断
しＳＵＰ９の硬化のため８８０℃に３０分間保持した
後、８０℃に保持した良く撹拌した油中で焼入し、４０
０℃で２時間焼戻処理を施した。この時の断面カタサ分
布を図１に示す。図にみるように１２００℃の大気炉で
加熱された後に圧延され、更に８８０℃の大気炉にて加
熱、焼入されたにもかかわらずアルミニウムメッキ層は
剥れることなく、かつＳＵＰ９材の基材が脱炭されてい
ないことを示すカタサ分布を示している。この試料片を
図２に示す４点の曲げ疲労試験を行った。（１０Ｈｚ，
サイン波）結果を図３に示すように比較例１に比べて脱
炭層がない分、本実施例は疲労限で優れた値を得られ
た。
する。 実施例１ ＪＩＳ ＳＵＰ９材のビレットの表面を清浄化のため、
皮剥き（ピーリング）を施したものの表面に溶融アルミ
ニウムメッキを施した。０．１ｍｍの厚さにメッキされ
たビレットを１２００℃に再加熱して、ロールにて熱間
圧延を行い巾７０ｍｍ厚さ８．５ｍｍの平鋼にした。ア
ルミニウムとＳＵＰ９材との界面にＡｌ−Ｆｅ合金層が
生成され、圧延しても剥れることはない。また、アルミ
ニウムメッキ層の表面はＡｌ2Ｏ3層が出来ており、緻密
な層を形成していた。この平鋼を長さ３００ｍｍに切断
しＳＵＰ９の硬化のため８８０℃に３０分間保持した
後、８０℃に保持した良く撹拌した油中で焼入し、４０
０℃で２時間焼戻処理を施した。この時の断面カタサ分
布を図１に示す。図にみるように１２００℃の大気炉で
加熱された後に圧延され、更に８８０℃の大気炉にて加
熱、焼入されたにもかかわらずアルミニウムメッキ層は
剥れることなく、かつＳＵＰ９材の基材が脱炭されてい
ないことを示すカタサ分布を示している。この試料片を
図２に示す４点の曲げ疲労試験を行った。（１０Ｈｚ，
サイン波）結果を図３に示すように比較例１に比べて脱
炭層がない分、本実施例は疲労限で優れた値を得られ
た。
【０００９】比較例１ 実施例１と同じくＳＵＰ９材の同一のビレットの表面を
ピーリングし、そのまま（溶融アルミニウムメッキを施
すことなく）１２００℃に加熱し、実施例と同じく圧延
し同じサイズの平鋼を得た。次にこれもまた、実施例１
と同じ熱処理を施した後の断面のカタサ分布を図４に示
す。図に見る如く、圧延及び焼入のための加熱で脱炭す
るために、表層部の炭素濃度が低下し、焼入、焼戻した
カタサが芯部より低くなっている。バネが一番腐蝕され
るのは、冬期間の踏面の凍結防止に食塩（ＮａＣｌ）等
の塩化物を散布された場合にその溶液となったものがバ
ネ表面に付着した時であるが、その再現として５％塩水
噴霧試験にて２１日間のテスト結果、実施例１の溶融ア
ルミニウムメッキを施したＴ．Ｐの腐蝕減量は０．２５
６ｇ／ｍ2であり、比較例１のＴ．Ｐでは２３．３９ｇ
／ｍ2であった。溶解アルミニウムメッキ品は耐蝕性に
優れている。
ピーリングし、そのまま（溶融アルミニウムメッキを施
すことなく）１２００℃に加熱し、実施例と同じく圧延
し同じサイズの平鋼を得た。次にこれもまた、実施例１
と同じ熱処理を施した後の断面のカタサ分布を図４に示
す。図に見る如く、圧延及び焼入のための加熱で脱炭す
るために、表層部の炭素濃度が低下し、焼入、焼戻した
カタサが芯部より低くなっている。バネが一番腐蝕され
るのは、冬期間の踏面の凍結防止に食塩（ＮａＣｌ）等
の塩化物を散布された場合にその溶液となったものがバ
ネ表面に付着した時であるが、その再現として５％塩水
噴霧試験にて２１日間のテスト結果、実施例１の溶融ア
ルミニウムメッキを施したＴ．Ｐの腐蝕減量は０．２５
６ｇ／ｍ2であり、比較例１のＴ．Ｐでは２３．３９ｇ
／ｍ2であった。溶解アルミニウムメッキ品は耐蝕性に
優れている。
【００１０】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明の方法で
製造されたばねは、溶融アルミニウムめっき層のない従
来のばねに比較して疲労強度の低下が小さい。したがっ
て、ばねとしての寿命が長い。また、耐蝕性に富むた
め、腐蝕防止の塗装を施す必要がない。
製造されたばねは、溶融アルミニウムめっき層のない従
来のばねに比較して疲労強度の低下が小さい。したがっ
て、ばねとしての寿命が長い。また、耐蝕性に富むた
め、腐蝕防止の塗装を施す必要がない。
【図１】実施例１で製造した試料の断面のカタサ分布を
示すグラフ、
示すグラフ、
【図２】実施例１で製造した試料の４点曲げ疲労試験条
件の説明図、
件の説明図、
【図３】実施例１で製造した試料の疲労試験の結果を示
すグラフ、
すグラフ、
【図４】比較例１で製造した試料の断面のカタサ分布を
示すグラフ。
示すグラフ。
Claims (1)
- 【請求項１】 機械的予備加工をしたばね鋼材に、溶融
アルミニウムめっきをした後に、必要な熱処理をするこ
とを特徴とするばねの製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP29844194A JPH08155572A (ja) | 1994-12-01 | 1994-12-01 | 防蝕、防脱炭ばねの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP29844194A JPH08155572A (ja) | 1994-12-01 | 1994-12-01 | 防蝕、防脱炭ばねの製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH08155572A true JPH08155572A (ja) | 1996-06-18 |
Family
ID=17859754
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP29844194A Withdrawn JPH08155572A (ja) | 1994-12-01 | 1994-12-01 | 防蝕、防脱炭ばねの製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH08155572A (ja) |
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| FR2884832A1 (fr) * | 2005-04-26 | 2006-10-27 | Allevard Rejna Autosuspensions | Element elastique et procede de fabrication d'un tel element |
| CN106011431A (zh) * | 2016-07-05 | 2016-10-12 | 苏州市虎丘区浒墅关弹簧厂 | 一种防止弹簧渗碳的热处理工艺 |
| WO2020203979A1 (ja) * | 2019-03-29 | 2020-10-08 | 日本製鉄株式会社 | 被覆鋼部材、被覆鋼板およびそれらの製造方法 |
| CN115055531A (zh) * | 2022-05-31 | 2022-09-16 | 鞍钢股份有限公司 | 一种表面无缺陷型汽车悬架簧的生产方法 |
-
1994
- 1994-12-01 JP JP29844194A patent/JPH08155572A/ja not_active Withdrawn
Cited By (8)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| FR2884832A1 (fr) * | 2005-04-26 | 2006-10-27 | Allevard Rejna Autosuspensions | Element elastique et procede de fabrication d'un tel element |
| CN106011431A (zh) * | 2016-07-05 | 2016-10-12 | 苏州市虎丘区浒墅关弹簧厂 | 一种防止弹簧渗碳的热处理工艺 |
| WO2020203979A1 (ja) * | 2019-03-29 | 2020-10-08 | 日本製鉄株式会社 | 被覆鋼部材、被覆鋼板およびそれらの製造方法 |
| JPWO2020203979A1 (ja) * | 2019-03-29 | 2021-11-11 | 日本製鉄株式会社 | 被覆鋼部材、被覆鋼板およびそれらの製造方法 |
| US11572601B2 (en) | 2019-03-29 | 2023-02-07 | Nippon Steel Corporation | Coated steel member, coated steel sheet, and methods for producing same |
| US11667987B2 (en) | 2019-03-29 | 2023-06-06 | Nippon Steel Corporation | Coated steel member, coated steel sheet, and methods for producing same |
| CN115055531A (zh) * | 2022-05-31 | 2022-09-16 | 鞍钢股份有限公司 | 一种表面无缺陷型汽车悬架簧的生产方法 |
| CN115055531B (zh) * | 2022-05-31 | 2024-04-16 | 鞍钢股份有限公司 | 一种表面无缺陷型汽车悬架簧的生产方法 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20020205 |