JPH0815247A - マルチチャンネルクロマトグラムの解析方法及びデータ処理装置 - Google Patents

マルチチャンネルクロマトグラムの解析方法及びデータ処理装置

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JPH0815247A
JPH0815247A JP10182895A JP10182895A JPH0815247A JP H0815247 A JPH0815247 A JP H0815247A JP 10182895 A JP10182895 A JP 10182895A JP 10182895 A JP10182895 A JP 10182895A JP H0815247 A JPH0815247 A JP H0815247A
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channel chromatogram
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 マルチチャンネルクロマトグラムの重なりピ
ークを高精度に分解分析可能なマルチチャンネルクロマ
トグラムの解析方法及びデータ装置を実現する。 【構成】 工程112、113、114、115で重なりピークを指定
しデータ行列Dの始点終点を決定し固有値問題を解き成
分数を求めるため所定値以上の固有値の成分を数える。
工程116、117で装置関数を設定し行列Dをディコンボリ
ューションし工程118、119で行列dに関し固有値と固有
ベクトルを計算し行列yに変換し行列dのピークの分離
孤立を判定する。工程120、121で標準偏差を増加し再デ
ィコンボリューションし工程119の合格判定で最終的な
行列dを登録する。工程122、123、124、125、126で各固有
ベクトルを直交回転し面積を1に規格化しディコンボリ
ューションされた溶出プロファイル行列yの行ベクトル
としスペクトル行列X溶出プロファイル行列Yを計算し
行列Xから標準試料のスペクトル行列を参照し定量計算
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高速液体クロマトグラ
フィ,ガスクロマトグラフィ等のクロマトグラフィ技術
に係り、特にダイオードアレイ検出器等により得られる
マルチチャンネルクロマトグラムの解析方法及びその方
法を用いたデータ処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】マルチチャンネルクロマトグラム上の重
なりピークを分離・分解する方法としての因子分析法
は、例えば、EDMUND R. MALINOWSKI著“FACTOR ANALY
SIS IN CHEMISTRY”,JOHN WILEY & SONS, INC.(199
1)に詳しく紹介されている。
【0003】この因子分析法は、多変量解析法の一つで
あり、基本的な考え方としては、次式(1)及び(2)
に示すようにデータ行列Dをスペクトル行列Xと溶出プ
ロファイル行列Yとの積としモデル化する。ただし、式
(2)は、各成分Kについて、ピーク面積1に規格化す
るものである。しかし、数学的には一意的に分解できな
いため、種々の合理的な制約条件を設けて解決しようと
するものである。
【0004】D=XY …(1) ここで、Dij:信号強度 XiK:スペクトル強度 YKj:溶出プロファイル i :チャンネル番号 K :成分番号 j :時刻番号
【0005】
【数1】
【0006】一般的には、データ行列Dの固有値問題を
解き、主成分分析により成分数nを決定し、固有ベクト
ルを要素に持つ抽象的な溶出プロファイル行列Vを行列
Tにより変換し、物理的に意味のある溶出プロファイル
行列Yを得る。行列Yが求まれば、データ行列Dよりス
ペクトル行列Xも計算できる(次式(3)〜(1
1))。
【0007】固有値問題を解くと、次式(3)に示すよ
うに、抽象的なスペクトル行列Uと溶出プロファイル行
列Vとの積に表現される。
【0008】D=UV ・・・(3)
【0009】
【数2】
【0010】
【数3】
【0011】
【数4】
【0012】また、次式(7)に示すように、変換行列
Tにより行列Vを行列Yに変換できる。 Y=TV …(7) ここで、行列Tはn×n行列である。行列Tは斜交回転
及び行列Yの各行ベクトルの面積を1にする変換を担っ
ている。
【0013】また、行列Tは、回転Rと規格化行列Nの
積(T=NR)で表せる。
【0014】
【数5】
【0015】また、行列Xが次式(10)に示すように
行列DとYとから求められる。 X=DYT(YYT-1 ・・・(10) また、行列X及びYと行列U及びVとには次式(11)
に示す関係がある。 D=XY=(UT-1)(TV) ・・・(11) ところが、変換行列Tは容易には決定できない。そのた
め、以下に述べるような手法が提案されている。
【0016】1.スペクトル既知の方法 1−1.TTFA(Target Transformation Factor Ana
lysis):抽象的なスペクトル行列から既知のスペクト
ル波形になるように変換行列Tを求める方法。 1−2.RAFA(Rank Annihilation Factor Analysi
s):各成分の標準品から既知のデータ行列を求め、一
成分ずつ差引く方法。 1−3.GRATA(Generalized Rank Annihilation
Factor Analysis):1−2.のRAFAにおいては一
成分ずつのデータ行列を必要としたが、この手法では標
準の混合サンプルからのデータ行列を用いて、カーブ・
レゾリューションを可能としている。
【0017】2.スペクトル未知のモデリング・メソッ
ド 2−1.ガウシアンの非線形最小二乗法:溶出プロファ
イルはガウシアンであるとしてモデル化し、非線形最小
二乗法によりフィッティングする方法。 2−2.上述したEMG(Expenentially Modified Gau
ssian)の非線形最小二乗法:2−1.のガウシアンの
代わりに非対称なピークも表現できるEMGを用いる方
法。
【0018】3.スペクトル未知のセルフ・モデリング
・メソッド 3−1.ITTFA(Iterative Target Transformatio
n Factor Analysis):パルス状の溶出プロファイルを
持つテスト・ベクトルを初期的に導入し、真の溶出プロ
ファイルに近づけるように逐次的に調節する方法。 3−2.EFA(Evolving Factor Analysis):時間に沿
い固有値の変化をプロットし、固有値の安定領域を見出
す方法。この安定領域をウインドウと呼び、その領域外
をゼロに固定し、各成分の溶出プロファイルを決定する
手法を、特にWFA(Window Factor Analysis)と言う
(E.R.Malinowski,J.Chemometrics,6,29−40
(1992),H.R.Keller et al., Anal.Chim.Act
a.,246,379−390(1991))。 3−3.RAEFA(Rank Annihilation by Evolving
Factor Analysis):3−2.のEFAによるピーク分
解を一成分ずつデータ行列から差引きながら、繰返す方
法。 3ー4.情報エントロピーを指標としたRAFA:溶出
プロファイルを求める際に、情報エントロピーが最小に
なることを基準とし、一成分ずつ行列のランクを下げて
いく方法(I.Sakuma et al.,J.Chromatogr,506,
223−243(1990))。
【0019】一般的な2次元のクロマトグラムの解析方
法として、ディコンボリューション処理を利用するもの
も提案されている(US PAT 4941101;Paul Benjamine Cr
illy,IEEE Transaction on Instrumentation and Meas
urement,40(1991)558−562;Paul Benj
amine Crilly,Journal of Chemometrics,5(1991)8
5−95)。
【0020】ディコンボリューション処理のアルゴリズ
ムは収束を速くするためにいくつかの手法が提案されて
いる。逆行列演算を行うGaussの消去法を始めとして、J
acobi法、Gauss−Seidel法、フーリエ変換法、Van Citt
ert法、Constrained Iterative法、Jansson法、Gold's
ratio法等反復法を主体に考案されている(南茂夫編
著,「科学計測のための波形データ処理」、CQ出版社
(1986)pp.122−139;P.A.Jansson,De
convolution With Applications in Spectroscopy, New
York, Academic(1984))。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た因子分析のよるマルチチャンネルクロマトグラムの重
なりピークの分離・分解する方法には、次のような問題
点がある。
【0022】1.スペクトル既知の方法を用いる場合に
は、予め標準品のスペクトルを知っている必要があり、
スペクトルを知らない場合には適用できない。 2.スペクトル未知のモデリング・メソッドはモデル関
数を導入しなければならず、実際の溶出プロファイルを
再現しているとは言えない。 3.スペクトル未知のセルフ・モデリング・メソッドに
関しては、個々に問題点がある。つまり、上述した3−
1.のITTFA及び3−4.の情報エントロピーを指
標としたらRAFAは、測定データ行列の重なりピーク
に高い分解能が要求される(J.K.STRASTERS et al.,J
OURNAL OF LIQUID CHROMATOGRAPHY,12(1&2),3−
22(1989)、I.Sakuma et al.)。分解能が低い
場合には、計算処理が収束せず、意味のある解が得られ
ない。
【0023】また、3−2.のEFA及び3−3.のR
AEFAは、溶出プロファイルがゼロである領域をウイ
ンドウの外側に仮定する方法である。しかし、厳密に言
えば、溶出プロファイルにはゼロに近くともゼロになる
領域は存在しないため、分解された結果は仮定による誤
差を含むことになる。実際にも、ゼロとノンゼロになる
境界を明確に決めることは困難である。また、上記ディ
コンボリューション処理はノイズに弱く、処理後大きく
増幅されて、擬似ピークが、しばしば出現する問題を持
っている。
【0024】本発明の目的は、マルチチャンネルクロマ
トグラムの重なりピークを高精度に分解して、分析可能
なマルチチャンネルクロマトグラムの解析方法及びデー
タ装置を実現することである。
【0025】ここでは、因子分析とディコンボリューシ
ョンの長所を生かし、互いの短所を補う方法としてディ
コンボリューション因子分析(以下DFAと略す。)を
提案する。DFAの目的は、(1)スペクトル未知、
(2)モデル関数フリー、(3)溶出プロファイルにゼ
ロの領域を仮定しない条件の下で、データ行列Dからス
ペクトル行列Xと溶出プロファイル行列Yを決定するこ
とである。
【0026】また、DFAはショールダピークのような
分解能の低い重なりピークに対しても計算処理は収束す
る。また多チャンネルの情報から分解するためにディコ
ンボリューション処理が持っていたノイズに弱い欠点も
克服できる。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため、次のように構成される。マルチチャンネル
クロマトグラム上の重なりピークの解析方法において、
マルチチャンネルクロマトグラムを所定の拡がり関数を
用いてディコンボリューション処理する工程と、処理後
のマルチチャンネルクロマトグラムから多変量解析する
工程と、ピークが孤立することを基準として上記所定の
拡がり関数の幅とそれに対応する処理後のマルチチャン
ネルクロマトグラムを決定する工程と、処理後のマルチ
チャンネルクロマトグラムからスペクトル波形を獲得す
る工程とを備える。
【0028】また、マルチチャンネルクロマトグラム上
の重なりピークの解析方法において、マルチチャンネル
クロマトグラムを所定の拡がり関数を用いてディコンボ
リューション処理する工程と、処理後のマルチチャンネ
ルクロマトグラムを因子分析する工程と、所定の拡がり
関数の幅とそれに対応する因子分析の解の関係から、マ
ルチチャンネルクロマトグラムの所定の変量が安定して
いるかを判定する工程と、ピークが孤立することを基準
として拡がり関数の幅とそれに対応する処理後のマルチ
チャンネルクロマトグラムを決定する工程と、処理後の
マルチチャンネルクロマトグラムからスペクトル波形を
獲得する工程とを備える。
【0029】また、マルチチャンネルクロマトグラム上
の重なりピークの解析方法において、マルチチャンネル
クロマトグラムを所定の拡がり関数を用いてディコンボ
リューション処理する工程と、処理後のマルチチャンネ
ルクロマトグラムを因子分析する工程と、所定の拡がり
関数の幅に対応する因子分析が一意的に解を有するかを
判定する工程と、因子分析が一意的に解を有することを
基準として拡がり関数の幅とそれに対応する処理後のマ
ルチチャンネルクロマトグラムを決定する工程と、処理
後のマルチチャンネルクロマトグラムからスペクトル波
形を獲得する工程とを備える。
【0030】また、マルチチャンネルクロマトグラム上
の重なりピークの解析方法において、マルチチャンネル
クロマトグラムを所定の拡がり関数を用いてディコンボ
リューション処理する工程と、処理後のマルチチャンネ
ルクロマトグラムから固有値問題を解く工程と、拡がり
関数の幅とそれに対応する固有値問題の解の関係からピ
ークが孤立しているかを判定する工程と、ピークが孤立
することを基準として拡がり関数の幅とそれに対応する
処理後のマルチチャンネルクロマトグラムを決定する工
程と、処理後のマルチチャンネルクロマトグラムから溶
出プロファイルを獲得する工程とを備える。
【0031】好ましくは、上記マルチチャンネルクロマ
トグラムの解析方法において、マルチチャンネルクロマ
トグラムを決定する工程は、さらに、固有値問題の解と
拡がり関数の幅とから成分数を特定する。
【0032】また、マルチチャンネルクロマトグラム上
の重なりピークを解析するデータ処理装置において、拡
がり関数の幅の記憶部と、記憶部に記憶された拡がり関
数をディコンボリューション処理するディコンボリュー
ション処理部と、ディコンボリューションされたマルチ
チャンネルクロマトグラムを因子分析する因子分析部
と、因子分析されたマルチチャンネルクロマトグラムの
固有値問題の解を記憶する記憶部と、固有値問題の解に
基づき判定した拡がり関数の幅を用いてディコンボリュ
ーション処理したマルチチャンネルクロマトグラムから
獲得したスペクトル波形を出力する出力部とを備える。
【0033】好ましくは、上記データ処理装置におい
て、出力部は、さらに、固有値問題の解と拡がり関数の
幅とから成分数を特定する。
【0034】
【作用】次に、DFAの基本的な手順を説明する。 1.データ行列Dに対しディコンボリューション処理を
行う。ディコンボリューション処理は次式(12)で表
わされるように、データ行列Dから拡がり関数hをディ
コンボリュートし、ディコンボリュートされたデータ行
列dを得ることである。
【0035】ディコンボリューション処理 Dij=hi(σ)*dij(σ) ・・・(12) ここで、hとdをコンボリュートしたものがDである。
離散的に表現している時刻jを連続的な変数tに置き換
え、積分形式でディコンボリューションを表わしたもの
が次式(13)である。ただし、コンボリュートされた
行列は小文字で表現する。
【0036】
【数6】
【0037】ディコンボリューション処理は時刻tを変
数として実行されているため、スペクトルに関する各チ
ャンネル番号iについては別々に処理される。つまり行
列Dの各行ベクトルに対し、同じ拡がり関数hを用い
て、それぞれディコンボリューション処理を行う。
【0038】ここで、クロマトグラムの場合、関数hは
次式(14)のようなガウシアンを用いるのが一般的で
ある。ピーク形成においてガウシアンを拡がり関数とし
てコンボリュートされていることは良く知られている。
【0039】
【数7】
【0040】拡がりのメカニズムについては、“DYNAMI
CS OF CHROMATOGRAPY”,J.C.Giddings著,Marcel De
kker 刊,New York,1965に詳しく説明されてい
る。
【0041】2.ディコンボリューション処理に先立
ち、ガウシアンの拡がりの尺度となる標準偏差σを決め
なければならない。単純には全ての重なりピークが分離
し、孤立化するような標準偏差σを用いればよい。実際
全てのピークがいずれかのチャンネルで孤立化すれば、
式(3)で示した固有ベクトルが各成分に対応し、溶出
プロファイル行列yが決定できる。
【0042】また、次式に従い、スペクトル行列Xも求
められる。 d=Xy ・・・(15) X=dyT(yyT-1 ・・・(16) ここで、yはディコンボリューション処理により孤立化
された溶出プロファイル行列である。yは、孤立化した
時点での固有ベクトルを回転・規格化し求められる。
【0043】また、次式(17)に従い、溶出プロファ
イル行列Yが決定できるので、つまり、行列Yは行列D
とXとにより求められるので、重なりピークの分解は完
了する。 Y=(XTX)-1TD ・・・(17) また、別法として、行列yが決定できた段階でディコン
ボリュート処理時の関数hを用いて、孤立化したピーク
に対し、再度コンボリュートすることで、元の溶出プロ
ファイル行列Yが復元できる(以下、この処理をリコン
ボリューションと呼ぶ)。引続き、(10)式に従い、
スペクトル行列Xを求めることもできる。
【0044】3.上記のように1回のディコンボリュー
ション処理でクロマトグラム上の全てのピークが孤立化
するのは理想的ではあるが、現実的には(1)重なって
いるピークの成分数が不明であり、(2)一般に、必要
以上に大きな標準偏差σを持つ拡がり関数hによりディ
コンボリューション処理すると、ノイズが極度に増幅さ
れるという問題がある。これを解決するためにRAFA
を適用することができる。
【0045】また、σを徐々に拡げながら行列Dをディ
コンボリューションし、行列d(σ)を求めて行く。この
各行列d(σ)に対し因子分析を実施する。先に説明し
たように、一般に変換行列Tは不定である。ピークが孤
立しているときは直交回転変換により物理的に意味のあ
る溶出プロファイル行列Yが得られる性質がある。妥当
な直交回転の変換行列Tを得る方法にはvarimaxやquart
imax等がある。例えばvarimaxにより各行列d(σ)をσ
の小さい順に因子分析して行き、得られるスペクトル行
列Xの中の一つの列ベクトルが一定のスペクトル波形に
なったときに、ここでピークが孤立したことが判断でき
る。この一定の列ベクトルを第1成分のスペクトルとし
て決定し、第1成分のランクを1つ落とす。同様のラン
クアニヒレーション処理を繰り返し、ピーク分解の因子
分析を完了する。
【0046】同様に、直交回転の代わりに斜交回転を決
定する方法(obliquemax,quartimin,biquartimin,covari
min,binormamin,maxplane,promax等)を用いて因子分析
することもできる。また、固有ベクトルが極力正にな
り、次式(18)の値が最大になる基準も採用できる。
【0047】
【数8】
【0048】この場合、完全にピークが孤立していなく
ともスペクトルを得ることができ、小規模のデコンボリ
ューションにより順次ランクアニヒレーションができる
利点がある。
【0049】一般的な因子分析では、スペクトル行列X
と溶出プロファイル行列Yは一意的に求められない。本
DFAではディコンボリューション処理を行うことで、
各成分の溶出プロファイルを孤立化し、行列Xと行列Y
を決定することができる。これは行列Dは行列Xと行列
Yの積であり、ディコンボリューションを行列Dに対し
て施した時に実は行列Yに対してのみディコンボリュー
ションしている点が重要である。このため溶出プロファ
イルが孤立化した時に行列Xは保存されているためスペ
クトル波形が即座に求められる。行列Yは行列Dから行
列Xを用いて計算することもでき、また孤立化した溶出
プロファイルからリコンボリュートし求めることもでき
る。
【0050】一方、2次元クロマトグラムにディコンボ
リューション処理を行った際には擬似ピークが増幅され
る問題点があった。DFAは多チャンネルのデータに拡
張したことでノイズが打消し合い、擬似ピークの発生が
抑えられる。
【0051】さらに、因子分析を実行しながらディコン
ボリューション処理することにより、この処理自体の妥
当性を点検することができる。本発明で繰り返し本処理
を実行するためこの点検は重要である。例えば、行列D
から行列dに処理したとき、同時に行列Vから行列v
(処理後の抽象的な溶出プロファイル)へ処理されてい
ることになる。一方、本処理により行列Uは不変であ
る。図9の左半分に示されているようにDから固有値問
題を解きV経由しディコンボリューション処理後得られ
るvと、Dからディコンボリューション処理しd経由で
固有値問題を解きえられるvとが等しいべきである。
【0052】この二つのvを比較することでディコンボ
リューション処理の妥当性を点検できる。またある許容
範囲を超えた場合はこの処理を再検討し、いずれの経路
からでもほぼ許容できる処理へ修正し、整合性を確保す
ることができる。同様のことが図9の右半分にたいして
も言える。Vからyへ至る二つの経路を比較することで
ディコンボリューション処理の妥当性が点検され、ま
た、その整合性を確保するためにこの処理を修正するこ
とが可能である。但しこの場合は変換Tが関与するた
め、二つの経路でまったく等しい角度の回転をする必要
がある。通常はディコンボリューション処理後に決定さ
れた回転Rを用いることになる。ここで述べた手法によ
り固有値問題を解くことで、ディコンボリューション処
理をより妥当なものに修正でき、その欠点であるノイズ
増幅による擬似ピークの発生を極力抑えることができ
る。
【0053】さらに、図10に示されたようにDFA全
体の妥当性も、DからXを用いて計算されるYをディコ
ンボリュション処理し導いたy(上の経路)と、dから
同じXを用いて得られるy(下の経路)とが、一致する
ことで点検できる。
【0054】
【実施例】本発明に基づく実施例を添付図面を参照して
説明する。図1は、本発明の一実施例におけるマルチチ
ャンネルクロマトグラム解析方法の動作フローチャート
であり、図2は、本発明の一実施例におけるマルチチャ
ンネルクロマトグラム解析装置の概略構成図である。こ
の図2の例は、本発明を、薬物モニタリングHPLCシ
ステムに適用した例である。
【0055】図2において、制御部44の命令によりポ
ンプ40は溶離液49を送液する。可動ニードルを有す
るサンプラ43は、試料容器に収容された標準試料52
あるいは未知試料(測定対象物)51を注入し、カラム
41への流路に送りこむ。試料51又は52は、溶離液
49とともにカラム41に送りこまれ、含有成分が分離
展開され、ダイオードアレイ検出器42で検出される。
この検出データであるマルチチャンネルクロマトグラム
がデータ解析部45に供給される。
【0056】また、入力部54から後述する成分等がデ
ータ解析部45に入力される。そして、このデータ解析
部45により解析された結果等がCRT46及びプリン
タ47に表示される。
【0057】データ解析部45は、データ行列決定部
(データ設定部)451と、ディコンボリューション部
458と、溶出プロファイル行列算出部(因子分析部)
462と、スペクトル行列算出部463と、成分同定定
量計算部461とを備える。
【0058】図3が本システムにより得られた未知試料
51のマルチチャンネルクロマトグラムである。本シス
テムのように生体試料を測定する場合、未知の夾雑ピー
クが現われ、しばしば重なることがある。成分2と成分
3がオーバーラップしているため定量のみならず成分同
定も困難である。このためこの重なりピークを分離・分
解し、リテンションタイムを正確に求め、且つスペトク
ルも精度よく求め、成分同定する必要がある。また分離
・分解により、ピークの大きさを正確に求めることで、
標準試料52との比較から、定量分析も行うことができ
る。
【0059】このマルチチャンネルクロマトグラムが得
られてからのオペレーション、計算フローチャート、結
果出力までを順を追って説明する。図1の工程111で
フローを開始する。工程112で分離・分解すべき重な
りピークの指定を受ける。図3のような3次元クロマト
グラムの等高線図をCRT46にディスプレイする。マ
ウス、ペン等の入力部54により矢印で成分2と3をイ
ンプットする。または座標を数値かディスプレイ上のラ
イン移動により直接インプットする。
【0060】工程113で指定された重なりピーク全体
の始点と終点を探索し、データ行列Dの時刻点を始点か
ら終点に決定する。始点から終点までの測定ポイント数
は20〜30が適しているが、これ以上の点数になる場
合は加算平均等によりポイント数を減らすことが望まし
い。波数方向の点数に関しては、測定チャンネル数を単
純に採用する。または、加算平均か間引きによりポイン
ト数を減らす。
【0061】工程114で固有値問題を解き、固有値と
固有ベクトルを計算する。上記式(3)に示すように行
列Dから行列Zを得、行列Zの固有値ζと固有ベクトル
vを計算する(図4(1))。固有値の中で最大のもの
をζmaxとする。工程115で成分数nを求めるため
に、例えば便宜上(ζmax/100)以上の固有値を持つ成分
を数える。本実施例ではn=2である。
【0062】次に、固有ベクトルvを行成分とする行列
Vを溶出プロファイル行列Yに変換するための行列Tを
推定する。ここでは推定方法としてvarimaxを利用す
る。varimaxは変換後、行ベクトルごとに負荷量を±1
または0に近づけることを基準としている(奥野忠一ら
著、「多変量解析法(改訂版)」、日科技連出版社(1
992)pp.323−372)ため、得られた行列Y
は個々のパルス状の溶出プロファイルをほぼ反映すると
仮定できる。実際にはこの行列Tに行列Yを面積1に規
格化する役割も与えている。次に、ディコンボリューシ
ョン処理に移行する。工程116でディコンボリューシ
ョン処理に使用する装置関数h(σ)を設定する。標準偏
差σの初期値は例えば行列Dの時間幅の1/100と
か、固定値、入力値を採用する。また初期値をまず0に
して工程119の判定を通してみるのも一法である。工
程117で(12)式のようにh(σ)を用いて行列Dを
ディコンボリューション処理する。Jansson 法等いずれ
の方法を利用してもさしつかえない。ここで、ディコン
ボリューション処理されたデータ行列d(σ)が得られる
(図6)。
【0063】工程118で行列dに関して、行列Dと同
様に固有値と固有ベクトルを計算し、次に、varimaxの
基準に従い行列Tにより行列yに変換する。上記した式
d=Xy、X=dyT(yyT-1によりこの行列yに対
応するスペクトル行列Xを計算する。工程119で行列
dのピークが十分分離され、孤立していることを判定す
る。判定基準は、ここで得られた行列Xが一つ前に得ら
れた行列Xと一致していることとする。最初は行列Dを
基に得られた行列Xと比較し、2回目以降は順次ディコ
ンボリューション処理された行列d同志で比較すること
になる。一致の程度は相関係数により判定するのが一般
的である(図7)。
【0064】本質的には行列Xの一致度を比較すること
と変換の回転角を比較することは等価である。本実施例
では行列Tに回転Rと規格化Nの役割があるが、回転す
る変換行列Rのみの比較が等価になる。
【0065】さらに、上述した成分数は、固有値ζと標
準偏差σの関係を示すζ−σプロット(図8)を利用
し、自動的に決定することができる。σを徐々に拡げ、
ζの変化を測定する。二個の大きな固有値は、σが増加
するに従って単調に増加している。これはディコンボリ
ューションによりピーク波形がシャープになることに起
因している。この性質を利用し、σの増加により単調に
増加する固有値を数えることにより成分数が判定でき
る。この基準を満せば、工程121へ進む。そうでなれ
れば、工程120で標準偏差σを増加させ、再び、ディ
コンボリューション処理を試みる。増加分は例えば前述
した標準偏差の初期値を使用する。ここで異常に巨大な
擬似ピークなどが発生した場合、処理不良と判断し、エ
ラーを発生し、フローを終了する。
【0066】工程121は工程119の判定を合格した
ところで最終的に決定された行列d(σ)を登録する。工
程122で各固有ベクトルを直交回転し、面積(総和)
を1に規格化し、ディコンボリューション処理された溶
出プロファイル行列yの行ベクトルとする。
【0067】工程123で(15)式及び(16)式に
従い、スペクトル行列Xを得る(図5)。工程124で
(17)式に従い、溶出プロファイル行列Yを計算す
る。行列Xのスペクトル波形及び行列Yのリテンション
タイムを基に成分同定を行う。予め薬物のスペクトルを
記憶しておき、そのライブラリーより探索する。工程1
25で行列Xの大きさを用いて、標準試料52のスペク
トル行列を参照し、工程126で定量計算する。
【0068】工程127で図3から図5のような結果を
CRT46にディスプレイし、オペレーターの選択によ
りプリントアウトすることができる。
【0069】工程128でフローを終了する。
【0070】斜交回転による方法はより小規模のデコン
ボリューションにより順にランクアニヒレーションがで
きる利点がある。例えば先述したvarimaxの代わりにcov
ariminを基準として斜交回転することができる。完全に
孤立化するような標準偏差σによりディコンボリューシ
ョンする前に、より小さなσを用いてスペクトル行列が
推定できれば、より早く、よりノイズを増幅することな
く、ランクアニヒレーションすることができる。
【0071】操作手順は予め設定したパラメータにより
データ収集直後にDFA解析することができる。ここで
はデータ解析の二次処理としての操作手順を説明する。
まずCRT上に3次元クロマトグラムを読み出す(図
3)。ここで重なりピークを分解するためにデータ行列
Dを設定するために、時間領域、波長領域、行と列の各
点数を入力する。固有値問題を解き、その固有値を大き
い順に表示する。
【0072】ユーザーは、大きい順に何点まで意味のあ
る成分かを推定し、成分数nを入力する。ここを予めル
ール化しておけば、自動的に成分数nを推定することも
できる。また、ランクアニヒレーションすることを設定
しておけば、当面2成分として処理を進めることができ
る。次に回転変換のタイプを選択する。一般的にはvari
maxを選び、斜交回転まで許容するときはcovariminを設
定する。次に拡がり関数の標準偏差σの増加分Δσを設
定する。例えば1秒刻みにする。
【0073】上述した本発明の実施例であるDFA法に
対して、ピークが孤立するまで、あるいは、純粋に一成
分からなるクロマトグラム領域が現れるまで、ディコン
ボリューション処理を進める方法が考えられる。この純
粋に一成分からなるクロマトグラム領域が現れるまで、
ディコンボリューション処理を進める方法は、一成分の
スペクトルが得られる程度まで、ピークをシャープにす
るということで、純粋性を基準にしていると言える(図
11及び図12参照)。
【0074】一方、DFA法は、一意性を基準とするこ
とができる。つまり、ピークが孤立していなくとも、又
は、純粋な一成分のクロマトグラム領域が存在しなくと
も、因子分析が一意的(ユニーク)に解を持つことがで
きれば、ディコンボリューション処理は、その時点で処
理を終了する。
【0075】例えば、図14は、標準偏差σの小さな領
域では回転行列Rの回転角が不定であることを示してい
る。ここでは、スペクトル行列Xと溶出プロファイル行
列Yとが、共に正であることのみを要請している。例え
ば、σ=6s以降では、成分1の不定域が消出し、回転
角が一意に求められる。この一意性を基に、ディコンボ
リューション処理を終了し、ランクアニヒレーションす
ることができる。
【0076】このように、DFA法は、一成分からなる
クロマトグラム領域が現れるまで、ディコンボリューシ
ョン処理を進める方法に比較して、小規模のディコンボ
リューション処理で終了することができる。そして、元
のデータ行列を比較的に変形せずに、重なりピークを分
解することができる。これは、最終的に得られるスペク
トルXや、溶出プロファイルYにノイズや歪を抑えるこ
とができることを意味する(図18参照)。
【0077】図13を参照すると、σが6s以下の小規
模なディコンボリューション処理では、因子分析が未だ
不定であることを示している。成分1は、回転角180
°の周辺のどの変換角度でも、正(非負)のスペクト
ル、正の溶出プロファイルを持つ異が解る。σが6sと
なると、約160°でしか、正のスペクトルX、正の溶
出プロファイルYが得られなくなる。σが6s未満で
は、成分1の回転角が不定だったものが、σ=6sを境
界に、角度θが一意的に求まることになる。
【0078】ディコンボリューション処理としては、こ
の時点で終了し、成分1のスペクトルと溶出プロファイ
ルとを確定する。ここまで、到達すれば、ランクアニヒ
レーションにより成分2のスペクトルと溶出プロファイ
ルも決定できる。
【0079】さらに、アウトラインを説明すると、図1
3のσが約10s未満では、斜交回転で解が求まる領域
となる、成分2は、未だ一意性がない。10s以上で
は、直交回転で解が求められる領域となっている。成分
1と2との角度θの差は、ちょうど90°となってい
る。
【0080】ここで、スペクトルX及び溶出プロファイ
ルY共に正の条件を付けている。上述したように、正と
いっても、ノイズで負に変動する程度は、許容しなけれ
ばならず、最大値の1%程度は、マイナスとなっても、
許容することとする。
【0081】スペクトルX及び溶出プロファイルYが共
に正だけの条件だと、スペクトルが同一の2成分があっ
たときに、図14のような、二つの極大値のある溶出プ
ロファイルが得られる。これを防ぐために、unimodalit
y(only one peak per profi-le)をピーク形状に条件付
ける(Anal.chem.1993,65,2040-2043)。
【0082】次に、操作者が上記DFAを装置に実行さ
せる操作手順を図15に従い説明する。まず、ステップ
200において、図16に示した分解方法メニュー(デ
ィスプレイ上に表示)からDFAを選択する。次に、ス
テップ201において、ユーザーが解析するためのデー
タ行列Dを等高線図(図3)を見ながら、スクリーン上
で対角点を指定(drag)すると、行と列のデータ点
数を自動的に20行30列程度に決める。ここで、ユー
ザーは、データ点数を変更することもできる。
【0083】続いて、ステップ202及び203におい
て、約1秒刻みで標準偏差σを増加させつつ、ディコン
ボリューション処理を進行し、ζ−σプロット(図8)
を得て、成分数nを自動推定する。ここで、ユーザー
は、成分nを変更することもできる。
【0084】次に、ステップ204において、DFA処
理を実行する。つまり、因子分析の一意性を基準とし、
最適な標準偏差σを用いて、ディコンボリューション処
理を行う。場合によりランクアニヒレーションを用い
て、分解を終了する。そして、処理は、ステップ205
に進み、スペクトル行列X(図4の(3))及び溶出プ
ロファイル行列Y(図5)を出力する。ここで、定量定
性分析が可能となる。
【0085】次に、ステップ206及び207におい
て、ユーザーは、必要に応じて、成分数nやデータ行列
Dを変更することができる。成分数nやデータ行列Dを
変更する場合は、ステップ203に戻る。ステップ20
6及び207において、成分数n等を変更しない場合
は、処理を終了する。
【0086】なお、因子分析の一意性を基準としたが、
直接、一意性を基準としない場合、スペクトルの一致度
(図7)や回転角の一致度を基準とする。実際は、一致
度1%以内であるとか、回転角1度以内であるとかの許
容範囲内にあることが条件となる。この場合、ユーザー
は、直交又は斜交回転の基準となる方法を、図17に示
した回転の基準の中から仮に選択する必要がある。図1
7における斜交回転の8は、便宜上ポジティブマックス
(positivemax)と呼ぶ。
【0087】図18は、因子分析処理の実行を伴なわず
に、デコンボリューション処理され、得られた3次元ク
ロマトグラムの例を示す図であり、本発明と従来技術と
の比較例である。この図18に示すように、3次元クロ
マトグラムを単にディコンボリューション処理すると、
ノイズや疑似ピークが出現する。図18の(B)は、図
18の(A)のA−A’線に沿った断面を示す。このよ
うに、3次元クロマトグラムを単にディコンボリューシ
ョン処理しただけでは、数種類の波長が異なる2次元ク
ロマトグラムがあることに等しい。これでは、3次元ク
ロマトグラム全体の情報を活用し、処理していることに
はならず、2次元クロマログラムの場合に持っていたノ
イズや疑似ピークは増幅される欠点は、そのまま残るこ
とになる。
【0088】これに対して、本発明の一実施例によれ
ば、マルチチャンネルクロマトグラムの大きな情報量を
活用し、未知成分のスペクトルと溶出プロファイルを求
めることができる。これにより重なりピークを分離・分
解し、成分同定・定量計算を精度よく行える。
【0089】なお、上述した本発明の一実施例において
は、ディコンボリューション処理と因子分析とを組み合
わせた例であるが、因子分析に限らず、他の多変量解析
法とディコンボリューション処理とを組み合わせること
も可能である。
【0090】つまり、例えば、多変量解析法の一つであ
る回帰分析をディコンボリューション処理と組み合わ
せ、マルチチャンネルクロマトグラムの重なりピークを
分解する方法を改良することも可能である。上述した従
来の技術である非線形最小二乗法は、ピークの重なり程
度が大きい程、回帰係数が決定困難である。
【0091】このため、ディコンボリューション処理を
行ったデータ行列dに対して回帰分析すれば、元のデー
タ行列Dよりピークの重なりが弱いため、比較的容易に
回帰係数が求められる。元の各ピーク波形を復元するた
めには、決定されたガウシアン等の回帰関数をリコンボ
リューション処理する。あるいは、リコンボリューショ
ン処理して得られた回帰関数を基に、行列Dのための回
帰係数の初期値を推定し、再度回帰分析する手法も有効
である。
【0092】また、上述した例は、本発明を薬物モニタ
リングHPLCシステムに適用した例であるが、本発明
は、上記システムに限らず、他のクロマトグラム分析シ
ステムに適用可能である。
【0093】また、上記例において、測定対象物の特性
成分を吸光度としたが、蛍光強度であっても、本発明を
適用することができる。
【0094】また、マルチチャンネルクロマトグラム
は、定量強度、定性強度、保持強度の3つの強度成分を
有している。この定性成分としては、波長成分、蛍光波
長、質量分析計のmass unit(m/z)、電気化学検出器(E
CD)の酸化還元電位等もある。そして、上述したmass
unit等についても、本発明は適用可能である。
【0095】
【発明の効果】マルチチャンネルクロマトグラムを多変
量解析及びディコンボリューション処理を利用して解析
するように構成したので、小規模のディコンボリューシ
ョン処理により未知成分のスペクトルと溶出プロファイ
ルを求め、重なりピークを分離・分解し、成分同定・定
量計算を精度よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるマルチチャンネルクロ
マトグラム解析方法の動作フローチャートである。
【図2】本発明の一実施例であるマルチチャンネルクロ
マトグラム解析装置の概略構成図である。
【図3】マルチチャンネルクロマトグラムのデータ表示
例を示す図である。
【図4】ディコンボリューション処理された成分の行列
を示す波形図である。
【図5】成分kのスペクトル強度行列を示す波形図であ
る。
【図6】ディコンボリューション処理されたデータ行列
の波形図である。
【図7】標準偏差σによる一致度の変化を示すグラフで
ある。
【図8】ζとσとをプロットしたグラフである。
【図9】ディコンボリューション処理の妥当性点検模式
図である。
【図10】DFA処理全体の妥当性点検模式図である。
【図11】2成分の重なりピークの説明図である。
【図12】3成分の重なりピークの説明図である。
【図13】回転角の不定性を説明するためのグラフであ
る。
【図14】2つの極大値がある溶出プロファイルの例を
示すグラフである。
【図15】操作者によるDFA処理実行の操作フローチ
ャートである。
【図16】分解方法のメニューの表示例を示す図であ
る。
【図17】回転基準の表示例を示す図である。
【図18】本発明と従来技術とを比較するための波形図
である。
【符号の説明】
40 ポンプ 41 カラム 42 ダイオードアレイ検出器 43 サンプラ 44 制御部 45 データ解析部 46 CRT 47 プリンタ 451 データ行列決定部 458 ディコンボリューション部 461 成分同定定量計算部 462 溶出プロファイル行列算出部 463 スペクトル行列算出部

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マルチチャンネルクロマトグラム上の重
    なりピークの解析方法において、 上記マルチチャンネルクロマトグラムを所定の拡がり関
    数を用いてディコンボリューション処理する工程と、 処理後のマルチチャンネルクロマトグラムから多変量解
    析する工程と、 ピークが孤立することを基準として上記所定の拡がり関
    数の幅とそれに対応する処理後のマルチチャンネルクロ
    マトグラムを決定する工程と、 上記処理後のマルチチャンネルクロマトグラムからスペ
    クトル波形を獲得する工程と、 を備えることを特徴とするマルチチャンネルクロマトグ
    ラムの解析方法。
  2. 【請求項2】 マルチチャンネルクロマトグラム上の重
    なりピークの解析方法において、 上記マルチチャンネルクロマトグラムを所定の拡がり関
    数を用いてディコンボリューション処理する工程と、 処理後のマルチチャンネルクロマトグラムを因子分析す
    る工程と、 上記所定の拡がり関数の幅とそれに対応する因子分析の
    解の関係から、マルチチャンネルクロマトグラムの所定
    の変量が安定しているかを判定する工程と、 ピークが孤立することを基準として上記拡がり関数の幅
    とそれに対応する処理後のマルチチャンネルクロマトグ
    ラムを決定する工程と、 上記処理後のマルチチャンネルクロマトグラムからスペ
    クトル波形を獲得する工程と、 を備えることを特徴とするマルチチャンネルクロマトグ
    ラムの解析方法。
  3. 【請求項3】 マルチチャンネルクロマトグラム上の重
    なりピークの解析方法において、 上記マルチチャンネルクロマトグラムを所定の拡がり関
    数を用いてディコンボリューション処理する工程と、 処理後のマルチチャンネルクロマトグラムを因子分析す
    る工程と、 上記所定の拡がり関数の幅に対応する因子分析が一意的
    に解を有するかを判定する工程と、 因子分析が一意的に解を有することを基準として上記拡
    がり関数の幅とそれに対応する処理後のマルチチャンネ
    ルクロマトグラムを決定する工程と、 上記処理後のマルチチャンネルクロマトグラムからスペ
    クトル波形を獲得する工程と、 を備えることを特徴とするマルチチャンネルクロマトグ
    ラムの解析方法。
  4. 【請求項4】 マルチチャンネルクロマトグラム上の重
    なりピークの解析方法において、 上記マルチチャンネルクロマトグラムを所定の拡がり関
    数を用いてディコンボリューション処理する工程と、 処理後のマルチチャンネルクロマトグラムから固有値問
    題を解く工程と、 上記拡がり関数の幅とそれに対応する固有値問題の解の
    関係からピークが孤立しているかを判定する工程と、 ピークが孤立することを基準として上記拡がり関数の幅
    とそれに対応する処理後のマルチチャンネルクロマトグ
    ラムを決定する工程と、 上記処理後のマルチチャンネルクロマトグラムから溶出
    プロファイルを獲得する工程と、 を備えることを特徴とするマルチチャンネルクロマトグ
    ラムの解析方法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のマルチチャンネルクロマ
    トグラムの解析方法において、 上記マルチチャンネルクロマトグラムを決定する工程
    は、さらに、上記固有値問題の解と、上記拡がり関数の
    幅とから成分数を特定することを特徴とするマルチチャ
    ンネルクロマトグラムの解析方法。
  6. 【請求項6】 マルチチャンネルクロマトグラム上の重
    なりピークを解析するデータ処理装置において、 拡がり関数の幅の記憶部と、 上記記憶部に記憶された拡がり関数をディコンボリュー
    ション処理するディコンボリューション処理部と、 ディコンボリューションされたマルチチャンネルクロマ
    トグラムを因子分析する因子分析部と、 因子分析されたマルチチャンネルクロマトグラムの固有
    値問題の解を記憶する記憶部と、 固有値問題の解に基づき判定した拡がり関数の幅を用い
    てディコンボリューション処理したマルチチャンネルク
    ロマトグラムから獲得したスペクトル波形を出力する出
    力部と、 を備えることを特徴とするデータ処理装置。
  7. 【請求項7】 請求項6記載のデータ処理装置におい
    て、上記出力部は、さらに、上記固有値問題の解と、上
    記拡がり関数の幅とから成分数を特定することを特徴と
    するデータ処理装置。
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