JPH0815232B2 - 熱クロストークを減じた被変調固体レーザアレイを動作させる改良型アレイ及び方法 - Google Patents

熱クロストークを減じた被変調固体レーザアレイを動作させる改良型アレイ及び方法

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JPH0815232B2
JPH0815232B2 JP5029442A JP2944293A JPH0815232B2 JP H0815232 B2 JPH0815232 B2 JP H0815232B2 JP 5029442 A JP5029442 A JP 5029442A JP 2944293 A JP2944293 A JP 2944293A JP H0815232 B2 JPH0815232 B2 JP H0815232B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 〔発明の背景〕本発明は、固体レーザの出力を制御する
方法に関するものであり、とりわけ、各レーザ毎に、電
圧の選択的印加によって損失の変調が可能な損失領域を
設けることによって、個別に変調されるレーザのモノリ
シックアレイにおける過渡熱クロストークを減少させる
方法、及び、損失領域に対する電圧の印加に関連して、
レーザの増幅領域に印加されるバイアスを制御するため
の手段に関するものである。
【0002】本書において開示され、請求される内容
は、本出願の譲受人に譲渡された同時係属の米国特許出
願第07/634,989号に関連している。
【0003】半導体レーザまたはレーザダイオードとも
呼ばれる、固体レーザは、当該技術において周知のとこ
ろである。これらの装置は、半導体からのp−n接合及
びレーザからの量子エレクトロニクスに基づくものであ
る。該装置は、一般に、ミラーの働きをするへき開ファ
セットによって両端の境界が形成された、1つ以上の層
を備えた層化半導体構造から構成される。これによっ
て、光共振器、すなわち、いわゆる、ファブリーペロー
キャビティが形成される。1つ以上の活性層に対して、
電位が印加される。この電圧によって、p−n接合にお
いてホールと電子のいずれか、または、両方が駆動され
(すなわち、それらが「注入」され)、これらのキャリ
ヤが再結合すると、光を放出する。へき開ファセットに
よって、コヒーレントな放出を生じる再結合を「誘発」
可能にする、光学フィードバックが得られる。
【0004】このタイプのレーザは、該デバイスのサイ
ズが小さいこと、動作電流が少ないこと、及び、その他
の特性が有益となる、通信システム、レーザゼログラフ
ィ、及び、その他の用途において用いられる。これらの
用途に関して現在のところ積極的に研究及び開発が行わ
れている領域は、いくつかの固体レーザ、または、固体
レーザとその他のデバイスの単一基板に対する集積化で
ある。例えば、個別にアドレス可能な固体レーザのモノ
リシックアレイ(本書では、「マルチレーザアレイ」と
呼ぶ)が、高速、高解像度レーザゼログラフィプリンタ
のために選択される光源である。
【0005】こうしたレーザのほぼ全ての用途におい
て、レーザの出力を変調することが必要とされる。いく
つかの固体レーザを単一の基板に集積化する場合、ほと
んど必ずと言っていいほど、各レーザの出力を個別に変
調することが必要になる。用途によっては、この変調が
極めて高い周波数で行われる場合もあり、低周波数で行
われる場合もあり、さらには、この周波数が変動する場
合もある。レーザ光の発生は、活性領域に流入する電流
によって左右されるので、レーザの光出力に変調を加え
るための明白な方法の1つは、駆動電流に変調を施すこ
とである。実際、駆動電流を変動させるのが、最も一般
的で、常套的なレーザ出力の変調方法である。しかし、
この変調方法には、いくつかの際だった欠点及び不利な
点があり、そのうちでも、1つまたは複数のレーザが形
成されるチップの過渡加熱が、問題である。
【0006】 〔発明の概要〕本発明によれば、各レーザが、動作時
に、レーザチップ内における無視できるレベルの熱変動
を抑えるため、電圧制御式Qスイッチングモードで動作
する、光学的に結合された増幅領域と変調領域を含んで
いる、モノリシックレーザアレイのレーザ間における熱
クロストークを最小限にとどめる方法が提供される。各
レーザの増幅領域は、所望の出力強度を得るのに必要な
ほぼ全ての利得を生じさせる。変調領域は、レーザの内
部損失を高い値から低い値にスイッチすることによっ
て、出力強度の制御を行う。変調領域のコンタクトは、
全ての増幅領域のコンタクト及び他の全ての変調領域の
コンタクトから分離されている。増幅領域と変調領域
は、低損失の2次元導波路を用いて光学的に結合するこ
ともできるし、あるいは、互いの光学的直接結合を可能
にするのに十分なほど近接して配置することも可能であ
る。光ビームは、変調領域に隣接するファセットから取
り出される。
【0007】その駆動電流を変動させることによる、レ
ーザの出力の変調に本質的に伴うことになる熱変動を解
消するため、本発明は、変調領域に印加される電圧を変
動させることによって、レーザ出力に変調を施す。さら
に、変調領域に印加される電圧の変動に関連して、増幅
領域に加えられる電流を変動させる。この方法によれ
ば、レーザは、幾分高めではあるが、安定した温度で動
作することになる。変調領域の電位を変化させることに
よって、レーザを非発光状態すなわちOFF状態から発
光状態すなわちON状態に変調すると、上述のように、
クロストークを生じる可能性のある動作温度が、わずか
に低下することになる。また、上述のように、増幅領域
に対する電流を増大させると、動作温度が上昇すること
になる。従って、変調領域に対する電位の印加(冷却)
と、増幅領域における動作電流の増大(加熱)の協調を
とることによって、レーザの正味動作温度を一定に維持
することが可能になり、クロストークが解消される。
【0008】本発明は、レーザの動作時に、損失領域の
導入を必要とし、従って、レーザのしきい値が増すこと
になるが、これは、当該技術における教示とは逆にな
る。しかし、こうした動作案によって、(1)出力パワ
ーが完全に変調されるので、レーザチップの温度が、安
定したままである;(2)レーザアレイに関する低しき
い値、高T0 、及び、小動作電流の要件は、レーザアレ
イの従来の動作に比べると、大幅に緩和されるので、し
きい値及び動作電流が、比較的大きいか、あるいは、温
度の変動に対して比較的敏感なAlGaInPレーザの
ような構造にとってはかなり有利になる;(3)該動作
方法及びレーザアレイ構造は、簡単に実現するので、許
容可能なレーザの歩留りが大幅に増し、システムの寿命
が大幅に延長されることによって、マルチレーザアレイ
の製造コストが低下するといったことを含めて、いくつ
かの利点が得られる。
【0009】 〔図面の簡単な説明〕 図1は、デバイスの加熱を示す、当該技術において既知
のタイプの固体レーザに関するパワー出力対入力電流の
プロットである。図2は、パワー出力の「垂下」を示
す、当該技術において既知のタイプの固体レーザに関す
るパワー出力対時間のプロットである。図3は、2つの
素子(レーザ)を示す、モノリシック固体レーザアレイ
の一部に関する平面図である。図4は、図3のモノリシ
ック固体レーザアレイの断面図である。図5は、図4の
断面図に対して垂直方向に見た、図3のモノリシック固
体レーザアレイの断面図である。図6は、第1のレーザ
に対する変調の第2のレーザの出力に及ぼす影響をテス
トするように設けられた、2素子モノリシック固体レー
ザアレイの概略図である。図7は、図6と共に検分する
と、各レーザに対する個別の変調のための構成が明らか
になる、2素子モノリシック固体レーザアレイの部分概
略図である。図8は、本書に開示のタイプの固体レーザ
に関するパワー出力対入力電流のプロットである。図9
は、図8の出力を発生するような、2素子モノリシック
固体レーザアレイの平面図である。図10は、本発明に
従って変調領域に対する電圧の印加と増幅領域に対する
電流の変動との協調をとるための手段を含む、デバイス
の概略図である。
【0010】 〔詳細な説明〕本発明の解説が基づく論拠を明らかにす
るため、まず、図3〜5に10で示すレーザアレイのう
ち任意の1つにとりわけ留意して、本発明に従って動作
可能なレーザアレイ構造について述べることにする。た
だし、この特定のレーザ構造の解説は、本発明の動作環
境を例示するものであって、本発明の範囲には、多種多
様なレーザ構造による動作が包含されることになるのは
明らかである。
【0011】アレイ10は、その出力が個別に制御可能
な、2つの隣接したレーザ構造12から構成される。レ
ーザ12は、本書に組み込まれたソーントン (Thornto
n) らの米国特許第4,802,182号明細書に詳述
されているタイプの、不純物で導入する不規則化によっ
てそ の活性領域を形成することが可能な、半導体ヘテ
ロ構造デバイスである。この構造は、レーザの特定の応
用例について論述するので、多重量子井戸であっても、
あるいは、なかってもかまわない。レーザ12には、一
般に、それぞれ、増幅領域16及び変調領域18として
指定される2つの活性領域を接続する受動導波路領域1
4が含まれている。増幅領域及び変調領域は、下方に、
それぞれ、活性領域のコンタクト、すなわち、増幅領域
コンタクト20及び変調領域コンタクト22が形成され
ている。増幅領域は、所望の出力強度を得るのに必要な
ほぼ全ての利得を生じさせる。変調領域は、内部損失を
高い値から低い値にスイッチすることによって、レーザ
12の出力を制御する。増幅領域と変調領域の間に受動
導波路が設けられていない場合、その間の直接光結合を
可能にするのに十分なだけ近接して形成される。こうし
た場合、活性層とプロトンボンバードの両方または一方
による拡散が、当該技術において周知の電気的絶縁を施
すのに役立つ可能性がある。光ビームは、OFF状態に
おける自発放出を最小限に抑えるため、変調領域に隣接
したファセットから取り出される。
【0012】レーザ12には、n−GaAsで構成する
ことが可能な基板22が含まれており、当該技術におい
て周知のように、MOCVDリアクタ内において、該基
板に、エピタキシャル層24〜30が連続して被着させ
られる。該エピタキシャル層は、例えば、n−Ga1-y
Aly Asによるクラッド層24(ここで、例えば、y
≒0.47)、Ga1-x Alx Asによる(ここで、y
>x、例えば、x≒0.05)厚さ105nmの層、ま
たは、代替案として、GaAsの単一の量子井戸層、ま
たは、GaAsとGa1-x Alx Asが交互になった、
あるいは、Ga1-x Alx AsとGa1-z Alz Asが
交互になった(ここで、y>z>x))多重量子井戸層
から成る活性領域26、及び、p−Ga1-y Aly As
(上述のように、ここで、例えば、y≒0.47)のク
ラッド層28が考えられる。ここで、適当なp+ GaA
sのキャップ層30がクラッド層28の上に被着され
る。マスキングを利用することによって、例えば、ドー
ピングされるSiのような不純物源が、クラッド層28
の部分に形成されるか、あるいは、キャップ層30が被
着されている場合には、そのキャップ層に形成される。
焼きなまし時に、この不純物層から下方の層に不純物が
送り込まれ、この結果、選択された不規則なプロファイ
ルが形成されるが、例えば、この概略が、図に32で
示されており、領域34は、選択的に不規則化された領
域であり、領域36は、不規則化されなかった領域であ
る。図3に示す構造の断面で表した部分は、増幅領域1
6と変調領域18のいずれにも等しく当てはめることが
できる。
【0013】こうした複数のレーザ構造12は、アレイ
10をなすように、モノリシックに形成される。各レー
ザ12は、寸法及び組成を同じにすることもできるし、
あるいは、特定の要求に適合するように、1つ以上のレ
ーザをカスタム化することも可能である。例えば、パオ
リ(Paoli) らに対する米国特許出願第4,831,62
9号には、レーザを分離して、それぞれの出力を固有の
ものにするため、1つ以上の各種領域の形状寸法が不均
一なモノリシックアレイのなすレーザが開示されてお
り、これは、本発明に関連して用いることが可能であ
る。
【0014】出力強度の変調は、電流を、例えば、1.
0mA以下に保った状態で、変調セクションにおける電
圧を、例えば、0〜3ボルトの間で変動させることによ
って得られる。これは、変調領域のpコンタクトとn
ンタクトを接続し、変調領域に順バイアスをかけ、変調
領域に逆バイアスをかけるという、3つの代替動作条件
に分割することができる。さらに、レーザは、変調セク
ションに印加される電圧を変動させることによって、O
FF状態からON状態に変調されるので、増幅領域に加
えられる電流が、増大する。この増大によって、増幅領
域の動作温度が上昇し、光学パワーの放出が増すことに
よって生じる温度の低下が相殺されることになる。レー
ザの動作パラメータを適正に制御することによって、正
味動作温度を一定に保つことができる。
【0015】次に、図8を参照すると、パワー出力対電
流入力のプロットが、レーザ12のようなレーザについ
て示されているが、この場合、変調領域は、小損失状態
が曲線100で示され、大損失状態が曲線102で示さ
れている。レーザの利得は、伝導帯に位置するキャリヤ
に入射する第1のフォトンによって、該キャリヤが価電
子帯になり、第1のフォトンを吸収せずに、第2のフォ
トンを放出するという事実に基づくものである。変調領
域における損失は、該領域における伝導帯に対し、価電
子帯のキャリヤ数が多いという概念に基づくものであ
る。価電子帯のキャリヤに入射する、バンドギャップ
超えるエネルギを有するフォトンが、該キャリヤによっ
て吸収され、その結果、伝導帯に入り込むことになる。
十分な数のフォトンが、変調領域に入ると、該領域にお
けるキャリヤの割合の高い部分が、伝導帯に移行し、光
学的損失が、減少を始める。これが、それぞれ、曲線1
00及び102に関するしきい値電流Ith100 及びIth
102 より下方の領域の、電流入力に関するパワー出力の
増大によって示されている。変調領域に入るフォトン数
が十分に大きい値まで増加すると、損失の飽和が生じる
ことになる。この結果、該領域における利得がトリガさ
れて、フォトンの数が増し、さらに、価電子帯における
キャリヤ数が減少するので、損失は一層少なくなる。こ
れが、それぞれ、しきい値電流Ith100 及びIth102
対応する、曲線100及び102によって描かれた急激
な上昇で示すしきい値領域である。飽和点を超えてフォ
トンの数が増大すると、変調領域の損失の完全な「ブリ
ーチアウト」が生じるが、これは、該領域におけるしき
い値電流Ith100 及びIth102 を超える状態である。し
かし、キャリヤが価電子帯に戻るための代替経路が設け
られている場合、フォトンの入射時以外に、該領域の利
得が減少することになる。十分な数のキャリヤが、この
代替経路を介して価電子帯に戻ると、該領域の損失は、
レーザ光の発生を阻止することが可能なポイントまで、
増大することが可能である。本発明によれば、この代替
経路は、変調領域18におけるpコンタクト及びnコン
タクトを互いに電気的に接続することによって、形成す
ることが可能である。変調領域18のpコンタクト及び
コンタクトをスイッチング可能に接続することによっ
て、該領域の損失、従って、レーザの出力に変調を施す
ことが可能になる。
【0016】図6を参照すると、レーザの1つ52の変
調による第2のレーザ54の出力に対する影響を評価す
るために設けられた、2素子マルチレーザアレイデバイ
ス50が示されている。第1のレーザ52の増幅領域5
6は、加減抵抗器58を介して直接電圧源VC に接続さ
れており、この結果、スイッチング素子64を開位置に
することによって、レーザ発光を生じさせるのに十分な
定バイアスの印加が可能になり、さらに、所望に応じ
て、加減抵抗器58によって概略が示されている適合す
る回路構成によって、最小値を超えるまでバイアスを上
昇させることが可能になる。この誘発放出の一部は、第
1のレーザ52の変調領域60と同軸をなして放出され
る。この放出は、例示のため抵抗器62で表した、ある
程度の損失を生じることになる、導波路によってガイド
される。変調領域60は、所定の周波数でコントローラ
66の駆動を受けるスイッチング素子64を介して、大
地電位に接続される。第2のレーザ54の増幅領域68
及び変調領域70は、第1のレーザ52について上に述
べたのと同様に、小損失導波路72によって結合され
る。評価のため、増幅領域68及び変調領域70には、
両方とも、連続電圧源VC によってバイアスが加えら
れ、増幅領域68及び変調領域70の両方に、誘発放出
が発生する。次に、第1のレーザ52の変調中に、第2
のレーザ54の出力が観測される。全ての図面につい
て、同様の参照番号が、同様の構成要素を表している
が、図7に示す第1のレーザ52と同様の方法で第2の
レーザ54の変調を行うことによって、個別にアドレス
可能な光源としての2つのレーザ52及び54の動作を
実現することが可能になる。
【0017】増幅領域の動作状態及び出力パワーによっ
て、アースに対するスイッチング可能な接続では、レー
ザ発光を阻止するのに十分なキャリヤのチャネリングが
行えない可能性がある。こうした場合、変調領域に逆バ
イアスをかけて、伝導帯から除去されるキャリヤの埋め
合わせを行うことも可能である。変調領域に対する逆バ
イアスの必要、及び、そのレベルの判定は、増幅領域の
バイアスだけでなく、増幅領域及び変調領域の形状寸法
(すなわち、比較長)によっても左右される。例えば、
増幅領域の長さが、変調領域の長さに対して増大するに
つれて、しきい値電流Ith102 が、減少し、図8のI
bias以下になるので、Qスイッチ動作が阻止される。こ
の場合、変調領域に対する逆バイアスによって、Ith
102 がIbiasを超える値に保たれ、所望の出力パワーに
おけるQスイッチが可能になる。
【0018】変調領域18(図3)にp−n接合が存在
するため、たとえ、ゼロバイアスであっても、この領域
に電界が生じることになる。p−n接合に順バイアスを
かけると、この電界の大きさが減少して、吸収帯のエッ
ジがより高いエネルギ(より短い波長)にシフトし、増
幅領域において最大利得の波長における吸収量が減少す
ることになる。従って、正の印加電圧によるバイアスが
増すと、レーザ発光のしきい値の低下が、観測される。
印加される正電圧が、バンドギャップエネルギにほぼ等
しい値になると、電子が伝導帯に注入され、ホールが価
電子帯に注入されるので、変調領域に電流が流入するに
つれて、光学的損失はさらに減少する。この電流がさら
に増大すると、光学的損失はゼロに近づき、それを超え
ると、電流がさらに増大することによって、光学的利得
が生じる。
【0019】変調領域に印加される電圧を変動させるこ
とによって、出力曲線が、図8の100で示す曲線から
102で示す曲線にシフトする。この時点で明らかなよ
うに、増幅領域に対する電流をIbiasに一定に保ってい
る間に、レーザの出力に十分な変調を施すことが可能で
ある。順バイアスモードか、逆バイアスモードかは別に
して、変調領域における電圧の変調によるレーザ出力の
制御は、選択された形状寸法に適した条件下で、最低量
の電流によって行うことができる。この変調を実施する
ため、単一コンタクトレーザにおいて、電流を変動させ
るべき場合には、例えばほぼ10mA以上とすることが
考えられる、図1のIth〜I0 の間で電流を変動させる
ことが必要になる。これは、40〜50mA以上のバイ
アス電流を必要とするレーザが、極めて高い出力パワー
で動作する場合には、禁止されることになる。こうした
場合、Ith〜I0 の間における電流の変動による熱過渡
現象によって、制御不能で、有害な熱クロストークを生
じることになる。
【0020】Qスイッチフォーマットで動作する基本分
コンタクト装置の場合に生じる過渡熱の数量化は、こ
の場合、Ith=I0 という点で、上記式(1)〜(3)
で表したものとは異なる。すなわち、図8に示す2つの
曲線の間におけるスイッチングによって、光の強度に変
調を施す間、駆動電流は、I0 で一定のままである。こ
の変調フォーマットに関する熱入力は、 ΔQ=[I0 I −P0 −Pspth]−[I0 nI−Psp0 ] =I0 (VI −VnI)−P0 −Pspth+Psp0 (4) によって得られるが、ここで、VI は、レーザ発光が生
じるI0 における電圧であり、VnIは、レーザ発光の生
じないI0 における電圧である。Psp0 −Pspthは、P
0 よりもはるかに小さいので、この式は、 ΔQ=−[P0 +I0 (VnI−VI )] (5) になる。しかし、(VnI−VI )は、せいぜい数mAの
ため、I0 (VI −VnI)は、50mAほどの動作電流
の場合、0.1〜0.2mWにしかならず、従って、 ΔQ≒−P0 (6)
【0021】従って、Qスイッチ動作における主熱入力
は、負の放出される光学パワーになることが予測され
る。負の符号は、光学パワーがオンになると、冷却され
ることを表している。Qスイッチ変調による冷却は、上
述の同時係属の米国特許出願第07/634,989号
において論じられているデバイスの動作において、実験
によって確認されたものであり、この場合、クロストー
クが、Qスイッチデバイスに関する光変調と同相になる
ことが観測された。電流変調による加熱は、上述の特許
出願において論じられている単一コンタクトレーザの動
作において確認されたものであり、この場合、クロスト
ークが、光変調と位相外れになることが観測された。
【0022】すなわち、従来の単一コンタクトレーザと
して動作させた図9の分割コンタクトのデュアルレーザ
チップは、低効率、高しきい値のレーザである。典型的
なデバイスについて測定されたパラメータは、Ith=2
7.0mA、Vth=1.730ボルト、I0 =49.4
mA、Rs =2.62オーム、及び、η=0.40mW
/mAである。これらの値を式(3)に代入すると、Δ
Q=3.67P0 になる。Qスイッチモードで動作する
場合、I0 (VnI−VI )=54.7mA×2mV=
0.11mWのため、式5によって、ΔQ≒−P0 が得
られるが、これは、P0 =8mAに比べると取るに足ら
ない値である。従って、Qスイッチングによって、電流
変調フォーマットにおける単一コンタクトによる動作に
比べて、3〜4倍も過渡熱が低くなることが分かった。
この熱の低下によって、エミッタ間における熱クロスト
ークが減少する。例えば、図9に示すレーザ52のQス
イッチ変調に関するクロストークは、上述の同時係属の
米国特許第07/634,989号では、 部分クロストーク=(レーザ54の出力パワーにおける変調の振幅)/ (レーザ54が放出する平均出力パワー) =(1.7×20mV)/(4.8×500mV)=.014、 すなわち、1.4%と求められ、漏洩は、 部分漏洩=(レーザ54をオフにして測定した信号の振幅)/ (オン時にレーザ54が放出する平均出力パワー) =(0.3×5mV)/(4.8×500mV)=.0006、 すなわち、0.6%と求められており、従って、漏洩
は、クロストークと同相をなすので、正味クロストーク
は、1.4%−0.06%=1.34%になる。電流変
調フォーマットにおいて単一コンタクトデバイスとして
動作するレーザ52の場合、上述の同時係属の米国特許
第07/634,989号では、 部分クロストーク=(レーザ54の出力パワーにおける変調の振幅)/ (レーザ54が放出する平均出力パワー) =(1.8×50mV)/(4.8×500mV)=.0375、 すなわち、3.75%と求められ、漏洩は、 部分漏洩=(レーザ54をオフにして測定した信号の振幅)/ (オン時にレーザ54が放出する平均出力パワー) =(0.3×5mV)/(4.8×500mV)=.0006、 すなわち、0.6%と求められており、従って、漏洩
は、クロストークと位相外れをなすので、正味クロスト
ークは、3.75%+0.06%=3.81%になる。
【0023】従って、上記によるQスイッチフォーマッ
トで、モノリシックレーザアレイをなすレーザを動作さ
せることによって、隣接するレーザの変調による熱的影
響に対するそれぞれのレーザの分離が改良され、その結
果として実現する実際の冷却効果によって、レーザの出
力振幅、波長等に対する制御が向上するといったことを
含めた、いくつかの利点を明らかにすることができる。
この冷却効果は、式(6)で得られる負の値によって表
される。レーザアレイのうちの1つのアレイにおける動
作温度が上昇する場合と同様に、動作温度が低下する
と、やはり、隣接するレーザの動作条件に影響を及ぼす
ことになる。上記に従って動作するレーザの冷却効果を
補償するため、レーザ12の増幅領域20(図3)に加
えられる動作電流は、レーザ12の変調領域22に印加
される逆電圧の絶対値が低下するにつれて、増大する。
この結果、上述の式3に従ってレーザに熱が発生する。
【0024】Qスイッチ変調は、次のように分析するこ
とができる。ΔQcurrが、レーザをONにして、すなわ
ち、スイッチ64を開いて、第1の電流Iから第2の電
流Iにインクリメントすることによって発生する熱と定
義する。従って、 ΔQcurr=I1 [V0 +(I1 −I0 )Rs]−I0 0 (7) ここで、V0 は、I0 における電圧である。I1 =ΔI
+I0 と定義し、式(7)に代入すると、次のようにな
る。 ΔQcurr=I1[Vth+(ΔI+ΔI0)RS]−I0[Vth+(ΔI0)RS] =ΔIVth+I1 (ΔI+ΔI0 )RS −I0 (ΔI0 )RS =ΔIVth+I1 (ΔI)RS +ΔIΔI0 S =ΔIVth+(ΔI+I0 )(ΔI)RS +ΔIΔI0 S =(ΔI)2S +(ΔI)[V0 +I0 S ] (8) この熱と光の冷却との平衡をとることが所望のため、 (ΔI)2S +(ΔI)[V0 +I0 S ]−P0 =0 (9) とし、ΔIについてこの2次方程式を解く。この解は、
ほぼΔI=P0 /bになるが、ここで、4RS 0 /b
2 <<1のため、b=V0 +I0 S になる。従って、
0 、RS 、ΔI0 、及び、V0 が分かれば、任意のP
0 についてΔIを求めることが可能である。Qスイッチ
変調で動作する増幅領域の場合、I0 =54.7mA、
S =4.41オーム、Ith=16.0mA、及び、V
0 =Vth+(I0 +Ith)RS =1.73ボルト+3
8.7mA×4.41オーム=1.90ボルトである。
この結果、P0 =8mWの場合、ΔI=P0 /1.90
ボルト=4.21mAになる。従って、Iが、I0 を超
えて、4.21mAだけインクリメントすると、正味熱
クロストークは、ゼロになる。従って、変調領域に対す
る電圧の印加と増幅領域に対する電流の変動との協調を
とることが可能である。例えば、参考までに本書に組み
込まれている同時係属の米国特許出願第07/500,
814号に詳述されている検出手段を含む、装置82に
おける制御手段80が、図10に概略を示すように、こ
の機能を果たすことになる。
【0025】本発明のもう1つの実施例の場合、スイッ
チング素子64は開いた状態に保持され、増幅領域56
には、Ibias>Ith102 −ΔIでバイアスがかけられる
が、ここで、ΔIは、上述のレーザ放出の冷却を補償す
るように選択される。次に、レーザは、増幅領域に加え
られる電流をIbiasからIbias+ΔIに変調することに
よって、ON状態にスイッチされるが、ここで、Ith
102 >Ibias>Ith102−ΔIである。ΔIは、放出さ
れるレーザ光の冷却と平衡をとるのに十分な熱を発生す
る大きさになるように選択される。動作電流は、レーザ
が、Ibias+ΔIにおいて、所望の光学パワーP0 を放
出するように選択される。
【0026】結論として、レーザの出力に関して図6及
び7に示す案は、低電圧スイッチング信号しか必要とせ
ず、従って、電圧または電流変調駆動電子回路の必要を
なくし、正味熱クロストークをゼロにするので、有効で
ある。ただし、Qスイッチングに関して本発明と整合す
る、例えば、変調領域の電圧変調回路の集積化といっ
た、他の多くの制御案を実現することも可能である。ま
た、スイッチ66(または76)の代わりに、トランジ
スタまたはダイオードを用いて、チップ上でレーザと集
積化することも可能である。一般に、本発明に関連した
技術の熟練者であれば、本発明の精神及び範囲を逸脱す
ることのない、本発明の構成に対する多くの変更、及
び、多種多様な実施例及び用途が思い浮かぶことであろ
う。従って、本書における開示及び説明は、例示であっ
て、いかなる意味合いにおいても、制限を意図したもの
ではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 デバイスの加熱を示す、当該技術において既
知のタイプの固体レーザに関するパワー出力対入力電流
のプロットである。
【図2】 パワー出力の「垂下」を示す、当該技術にお
いて既知のタイプの固体レーザに関するパワー出力対時
間のプロットである。
【図3】 2つの素子(レーザ)を示す、モノリシック
固体レーザアレイの一部に関する平面図である。
【図4】 図3のモノリシック固体レーザアレイの断面
図である。
【図5】 図4の断面図に対して垂直方向に見た、図3
のモノリシック固体レーザアレイの断面図である。
【図6】 第1のレーザに対する変調の第2のレーザの
出力に及ぼす影響をテストするように設けられた、2素
子モノリシック固体レーザアレイの概略図である。
【図7】 図6と共に検分すると、各レーザに対する個
別の変調のための構成が明らかになる、2素子モノリシ
ック固体レーザアレイの部分概略図である。
【図8】 本書に開示のタイプの固体レーザに関するパ
ワー出力対入力電流のプロットである。
【図9】 図8の出力を発生するような、2素子モノリ
シック固体レーザアレイの平面図である。
【図10】 本発明に従って変調領域に対する電圧の印
加と増幅領域に対する電流の変動との協調をとるための
手段を含む、デバイスの概略図である。
【符号の説明】
10 レーザアレイ、12 レーザ、14 受動導波路
領域、16 増幅領域、18 変調領域、52,54
レーザ、56 増幅領域、58 加減抵抗器、60 変
調領域、62 抵抗器、64 スイッチ素子、68 増
幅領域、70 変調領域、72 導波路、80 制御手

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体基板上に複数の半導体の層を備
    え、前記層の少なくとも1つが、少なくとも、光増幅領
    域及び変調領域を含む複数の領域に分割された活性領域
    から構成されるタイプの、モノリシックに形成された、
    個別にアドレス可能な半導体レーザアレイを動作せる、
    次のステップを含む方法:増幅領域に十分な順バイアス
    をかけて、誘発放出を生じさせる;前記誘発放出の一部
    を前記変調領域に送り込む;変調領域に印加される電圧
    を変化させることによって、変調領域の内部損失を変化
    させ、第1の電圧の場合には、レーザ内における誘発放
    出によるレーザ光の発生を阻止し、第2の電圧の場合に
    は、レーザ内における誘発放出によるレーザ光の発生を
    可能にする;そして増幅領域に印加される順バイアスを
    変化させることによって、変調領域に印加される電圧の
    変動による熱損失または利得が、増幅領域に印加される
    バイアスの変動による熱利得または損失によって、ほぼ
    等しくなるように相殺されるようにする。
  2. 【請求項2】 次のものを含む、モノリシックに形成さ
    れた、個別にアドレス可能なレーザアレイを有する発光
    装置: 半導体基板;少なくともその内の1つがそれらの積層方向の隣接する
    層に比べてバンドギャップの狭い活性層を形成するよう
    に、前記半導体基板上に形成された 複数の半導体の層;各レーザ毎に前記活性層内に形成された第1の活性領域
    であって、レーザとして機能する2次元の光共振器を含
    むものアレイをなすレーザの少なくとも1つの前記活性層内に
    形成された第2の活性領域であって、光学変調器として
    機能する、前記第1の活性領域の前記光共振器と同軸上
    にある2次元光共振器を含むもの ;および 前記第1と第2の活性領域のそれぞれに対して、個別に
    可変バイアスをかけるための手段; 前記において、前記アレイをなす少なくとも1つのレー
    ザの前記第1の活性領域に十分な順バイアスをかけて誘
    発放出を生じさせ、前記誘発放出の一部を前記少なくと
    も1つのレーザの前記第2の活性領域に送り込み、前記
    少なくとも1つのレーザの第2の活性領域に印加される
    電圧を変化させることによって第2の活性領域の内部損
    失を変化させ、第1の電圧の場合には、前記少なくとも
    1つのレーザ内における誘発放出によるレーザ光の発生
    を阻止し、第2の電圧の場合には、前記少なくとも1つ
    のレーザ内における誘発放出によるレーザ光の発生を可
    能にし、第1の活性領域に印加される順バイアスを変化
    させることによって第2の活性領域に印加される電圧の
    変動による熱損失または利得が、第1の活性領域に印加
    されるバイアスの変動による熱利得または損失によっ
    て、ほぼ等しくなるように相殺されるものである前記装
    置。
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