JPH08152115A - 燃料電池用水素製造装置の燃焼装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 天然ガスおよび未反応ガスのいずれの燃料で
も確実に燃焼させることができる燃料電池用水素製造装
置の燃焼装置を提供する。 【構成】 反応器を加熱するためのバーナ１３，１４
と、バーナへ燃料を供給するための高カロリー用小口径
ノズル１５と低カロリー用大口径ノズル１６からなる燃
料噴出部１７および各ノズル１５，１６に夫々燃料を供
給する燃料供給部１０，８を有し、低カロリーガス燃料
供給系路には制御弁２０を備えた開口２１を設けて、制
御弁２０の開閉でもって高カロリーガスと１次空気との
予混合および低カロリーガスへの１次空気の混入阻止を
行う。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、天然ガスと水蒸気を反
応器を経て抽出した水素を、燃料電池に供給し電気を得
るための燃料電池用水素製造装置の燃焼装置に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、燃料電池用の水素を製造するに
は、メタノール、天然ガス等の炭化水素から触媒の作用
と水蒸気の作用で水素を取り出しているが、その反応は
吸熱反応であるため反応器の加熱が必要となる。この加
熱は、反応開始状態になるまでは炭化水素系の燃料（天
然ガス）で行い、反応開始温度まで昇温したら反応器に
別途炭化水素系の燃料（天然ガス）及び水蒸気を導入し
て改質反応により炭化水素物から水素を取り出し、この
水素を燃料電池に供給して発電を行う。燃料電池に供給
した約２０％は水素リッチの未反応ガスとなるため、こ
れを上記反応器に送って加熱用燃料として利用する。但
し、初期加熱用燃料とした炭化水素系燃料（天然ガス）
が１００００〜１２０００Ｋｃａｌ／立方メートルと高
カロリーであるのに対し、水素を多量に含んだ上記未反
応ガスは１９００〜２５００Ｋｃａｌ／立方メートルと
低カロリーである。

【０００３】図２と図３に、家庭用の小型の燃料電池用
水素製造装置の一例を示し、装置の概要を説明すると、
反応器１は燃焼装置２に連通する中央の燃焼室３の周囲
に触媒層４が燃焼室３より折り返す煙道５を介在して配
設されていて、触媒層４の上方から別途水素製造用の天
然ガス（炭化水素系の燃料）ａを導入して発生させた反
応ガス（水素リッチガス）ｂは、触媒層４の下端から上
昇流路６ａを経て反応ガス流出部６から燃料電池７に導
き、燃料電池７からの未反応ガスは低カロリーガス供給
路８を通って上記燃焼装置２に戻し加熱用燃料として利
用する。煙道５は下端で折り返され上昇流路５ａを経て
燃焼ガス排出部９に通じている。尚、図中、１０は初期
加熱用燃料である高カロリーガスの供給路、１１は燃焼
用空気を送る送風機である。

【０００４】上記の燃焼装置２は、図３に示すように、
箱体１２内の上部に、夫々屈曲型混合部１３ａ，１４ａ
を有するブンゼン型の複数個のバーナ１３，１４を配設
している。その箱体１２の側部には高カロリーガス供給
路１０と直結された高カロリーガス用小口径ノズル１５
および低カロリーガス供給路８と繋がるガス室１８を介
し連結された低カロリーガス用大口径ノズル１６が同心
状に配設された一体型ノズルからなる燃料噴出部１７を
上記屈曲型混合部１３ａ，１４ａの開口端部１９に臨ま
せている。送風機１１から箱体１２内に送り込まれた空
気は、上記屈曲型混合部１３ａ，１４ａの開口端部１９
とガス室１８およびノズル１５，１６側面との間の隙間
によって形成される１次空気ｄの流路と、屈曲型混合部
１３ａ，１４ａの側面を通ってバ−ナ１３，１４で燃焼
する火炎の外側に至る２次空気ｃの流路とに分かれる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記した空気の流路構
成では、低カロリーガスが噴出するノズル部近傍で１次
空気と混ざることになるが、低カロリーガスの燃焼速度
は天然ガスの燃焼速度に比して４倍位早いから、１次空
気の風量と低カロリーガス量とのバランスが変化すると
逆火したり、バーナヘッドで火炎を形成しないでノズル
先端で炎を形成したりして、バーナ本体を損傷させる虞
があった。

【０００６】また、低カロリーガスは１次空気と予混合
させずに拡散燃焼させ、高カロリーガスは１次空気と予
混合して燃焼させるために夫々を独立した構成とする
と、逆火の防止は可能でも、夫々が個々に独立している
ため複雑で大きな構造となる嫌いがあった。

【０００７】本発明の目的は、叙上の点に鑑み、構造が
比較的簡単且つ小形でも、高カロリーガスの予混合燃焼
と低カロリーガスの拡散燃焼を確実に達成することがで
きる燃料電池用水素製造装置の燃焼装置を提供すること
にある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、反応器を加熱
するためのバーナと、バーナへ燃料を供給するための燃
料噴出部及び燃料供給部とからなり、前記燃料噴出部に
は低カロリー用大口径ノズルと高カロリー用小口径ノズ
ルを一体に設け、低カロリー用大口径ノズルと高カロリ
ー用小口径ノズルに夫々低カロリーガスと高カロリーガ
スを夫々供給する燃料供給系路を個々に独立して設ける
と共に、各燃料供給系路を個々に制御できる構成とし、
その低カロリーガス燃料供給系路には制御弁を備えた開
口を設け、その制御弁の開閉でもって高カロリーガスと
１次空気との予混合および低カロリーガスへの１次空気
の混入阻止を行うようにしたものである。

【０００９】

【作用】高カロリーガスの燃焼時には低カロリーガスの
供給を絶ち且つ制御弁を開放することによって、１次空
気は低カロリーガスのガス室を経て低カロリーガス用ノ
ズルから噴出し、１次空気と高カロリーガスとの予混合
気となせるから、バーナでの燃焼は火炎の短いものとな
る。

【００１０】低カロリーガスの燃焼時には高カロリーガ
スの供給を絶ち且つ制御弁を閉じることによって、１次
空気が混合されない低カロリーガスのみをバーナに送れ
るから、バーナでの燃焼は逆火の虞のない拡散燃焼とな
る。

【００１１】

【実施例】以下、図１に示した本発明の実施例に基づい
て説明する。

【００１２】箱体１２内の上部に、夫々屈曲型混合部１
３ａ，１４ａを有するブンゼン型の複数個のバーナ１
３，１４を配設し、その箱体１２の側部には高カロリー
ガス供給路１０と直結された高カロリーガス用小口径ノ
ズル１５および低カロリーガス供給路８と繋がるガス室
１８を介し連結された低カロリーガス用大口径ノズル１
６が同心状に配設された一体型ノズルからなる燃料噴出
部１７を上記屈曲型混合部１３ａ，１４ａの開口端部１
９に臨ませている点では、図３と同じである。

【００１３】図３の例と相違する点は、１次空気流通路
の構成の点にある。すなわち、図１では、上記ガス室１
８に制御弁（図示の例では電磁弁）２０によって開閉さ
れる開口２１を設けていて、この制御弁２０は、開閉制
御手段（図示するを省略）によって、低カロリーガス供
給路８からの低カロリーガスのみが供給され、高カロリ
ーガス供給路１０からの高カロリーガスの供給を断つと
きに、制御弁閉の状態となし、また、高カロリーガス供
給路１０からの高カロリーガスのみが供給され、低カロ
リーガス供給路８からの低カロリーガスの供給を断つと
きに、制御弁開の状態となすように制御される。

【００１４】上記のように低カロリーガスのみの供給時
には制御弁２０が閉じているから、低カロリーガス供給
路８より送られてきた低カロリーガスに１次空気は混入
しない。従ってバーナ１４に送られるガスは低カロリー
ガスのみであるから、バーナ１４では逆火の虞のない拡
散燃焼となる。また、高カロリーガスのみの供給時には
制御弁２０が開いているから、上記したガス室１８は高
カロリーガス用１次空気の通路の役を果たし、これによ
って１次空気と高カロリーガスの予混合気をバーナ１３
に送るから、バーナ１３では短い火炎で燃焼する。

【００１５】送風機１１から箱体１２内に送り込まれた
空気の流通路のうち、屈曲型混合部１３ａ，１４ａの側
面を通ってバ−ナ１３，１４で燃焼する火炎の外側に至
る２次空気ｃの流路は、図３と変わるところがない。い
ずれのガス燃料の場合も２次空気ｃによって完全燃焼が
可能である。

【００１６】

【発明の効果】上述のように、本発明は、低カロリーガ
スの燃焼時には１次空気を混入させなくして、バーナに
て形成される火炎を逆火する虞のない拡散火炎となし、
高カロリーガスの燃焼時には１次空気とよく混合させ
て、その予混合気をバーナに送るから、火炎の長さが短
い青火にて燃焼させることができる。しかも、上記の２
態様の使い分けを達成するのに、装置は簡単且つ比較的
小さな構造で済む。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明になる燃料電池用水素製造装置の燃焼装
置の実施例を示す断面図である。

【図２】燃料電池用水素製造装置の従来例を示す断面図
である。

【図３】図２の燃焼装置の断面図である。

【符号の説明】

１ 反応器 ２ 燃焼装置 ８ 高カロリーガス供給路 １０ 低カロリーガス供給路 １１ 送風機 １３，１４ バーナ １５ 高カロリー用小口径ノズル １６ 低カロリー用大口径ノズル １７ 燃料噴出部 １８ ガス室 ２０ 制御弁 ２１ 開口

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 反応器を加熱するためのバーナと、バー
   ナへ燃料を供給するための燃料噴出部及び燃料供給部と
   からなり、前記燃料噴出部には低カロリー用大口径ノズ
   ルと高カロリー用小口径ノズルを一体に設け、低カロリ
   ー用大口径ノズルと高カロリー用小口径ノズルに夫々低
   カロリーガスと高カロリーガスを夫々供給する燃料供給
   系路を個々に独立して設けると共に、各燃料供給系路を
   個々に制御できる構成とし、その低カロリーガス燃料供
   給系路には制御弁を備えた開口を設け、その制御弁の開
   閉でもって高カロリーガスと１次空気との予混合および
   低カロリーガスへの１次空気の混入阻止を行うようにし
   たことを特徴とする燃料電池用水素製造装置の燃焼装
   置。