JPH08152114A - 燃料電池用水素製造装置の燃焼装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 天然ガスおよび未反応ガスのいずれの燃料で
も確実に燃焼させることができる燃料電池用水素製造装
置の燃焼装置を提供する。 【構成】 反応器を加熱するための低カロリーガス用炎
口部１１ａと高カロリーガス用炎口部１１ｂとを有する
バーナ１１を設ける。低カロリーガス用炎口部１１ａと
連通させた低カロリーガス用燃料供給部１３に低カロリ
ーガス用燃料供給管１４を直結して拡散燃焼可能とす
る。一方、高カロリーガス用炎口部１１ｂと連通させた
高カロリーガス用燃料供給部１５には、高カロリーガス
用燃料供給管２１から送った高カロリーガスを高カロリ
ーガス用燃料噴出部２０の噴出ノズル１８から噴出させ
て得た予混合ガスを送り込んで燃焼させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、天然ガスと水蒸気を
反応器を経て抽出した水素を燃料電池に供給し電気を得
るための燃料電池用水素製造装置の燃焼装置に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】天然ガス等と水蒸気を触媒下で改質反応
させて水素を取り出すには、その反応は吸熱反応である
ため、燃焼装置によって反応器を加熱する必要がある。
反応開始状態になるまでの初期の燃料としては、一般に
メタノール、天然ガス等の炭化水素系の燃料が使用され
るが、取り出した水素を燃料電池に供給して発電を行な
わせると、水素を多量に含んだ未反応ガスが約２０％程
度生じるから、この未反応ガスを上記燃焼装置の燃料と
して有効に使用される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記した水
素を多量に含んだ未反応ガスは、初期加熱用燃料とした
炭化水素系燃料である天然ガスが１００００〜１２００
０Ｋｃａｌ／立方メートルと高カロリーであるのに対し
て、１９００〜２５００Ｋｃａｌ／立方メートルと低カ
ロリーであるから、上記水素リッチの未反応ガスを燃料
として使用する場合、高カロリーの燃料噴出口を使用す
ることは、熱量的にも不可能である。

【０００４】また、前記水素を多量に含んだ低カロリー
の未反応ガスは、燃焼速度が天然ガスの燃焼速度に比し
て４倍位早いので、例えば風量とガス量のバランスが変
化すると逆火し、バーナヘッドで火炎を形成しないでノ
ズル先端で炎を形成する場合があり、バーナ本体を損傷
させる虞があった。

【０００５】本発明は、上記性質の異なる２種類のガス
燃料を燃料電池用水素製造装置の燃焼装置に使用して
も、何の不都合も生じないようにすることをその目的と
してなされたものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明になる燃料電池用
水素製造装置の燃焼装置は、反応器を加熱するための低
カロリーガス用炎口部と高カロリーガス用炎口部とを有
するバーナと、上記夫々の炎口部と連通させた低カロリ
ーガス用燃料供給部および高カロリーガス用燃料供給部
と、上記低カロリーガス用燃料供給部に直結した低カロ
リーガス用燃料供給管と、高カロリーガス用噴出ノズル
を有する高カロリーガス用燃料噴出部と、その高カロリ
ーガス用燃料噴出部に接続させた高カロリーガス用燃料
供給管とからなるものである。

【０００７】また、本発明は、反応器の燃焼室と繋がる
箱体と、その箱体内の上部に取付けられ、多数の２次空
気噴出孔を円錐状傾斜面にあけた取付仕切板と、その取
付仕切板の下端部に固定され、外周部を低カロリーガス
用炎口部、中央部を高カロリーガス用炎口部としたバー
ナを取付けると共に、上記各炎口部と繋がる低カロリー
ガス用燃料供給部および高カロリーガス用燃料供給部を
形成し、上記高カロリーガス用燃料供給部の底部に連通
孔を形成した筒体と、その筒体の下方に配設され、上記
連通孔に対向する高カロリーガス噴出ノズルを取付けた
高カロリーガス用燃料噴出部と、上記低カロリーガス燃
料供給部に上記箱体底面を貫通して接続させた低カロリ
ーガス燃料供給管と、上記高カロリーガス燃料噴出部に
上記箱体底面を貫通して接続させた高カロリーガス燃料
供給管と、上記箱体下面に装着された燃焼用空気送り込
み用の送風機を備えるようにしたものである。

【０００８】また、本発明では、上記バーナの低カロリ
ーガス用炎口部は平面状に構成され、高カロリーガス用
炎口部は上記高カロリーガス用燃料供給部に立設された
キャップ体の側周面に多数の孔を穿設して構成したもの
である。

【０００９】

【作用】低カロリーガス用炎口部に至る低カロリーガス
には１次空気を混入させないから、低カロリーガス用炎
口部における燃焼は拡散燃焼となり、火炎はバーナヘッ
ドにて形成される拡散火炎となり、逆火することはな
い。一方、高カロリーガスについては、一旦ノズルによ
って噴出させ、１次空気を巻き込んで、両者が良く混合
された予混合ガスを高カロリーガス用炎口部に送り込む
から、高カロリーガス用炎口部においては火炎を青火に
て燃焼させ、短い火炎長さとする。また、いずれの場合
も、２次空気をバーナの上方から送ることで完全燃焼さ
せることができる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明を実施例の図面に基づいて説明
すると、つぎのとおりである。

【００１１】図１は、筒型の反応器（改質器）１と、そ
の下部に本発明になる加熱用燃焼装置２を備えた家庭用
の小型の燃料電池用水素製造装置を示した概略図であ
る。先ず反応器１について簡単に説明すると、前記燃焼
装置２に連通する燃焼室３を中央に設け、その燃焼室３
の周囲に、燃焼室３より折り返す煙道５を介在して触媒
層４を配設し、別途水素製造用の天然ガス（炭化水素系
の燃料）ａを触媒層４の上方から導入させて、触媒層４
で発生した反応ガス（水素リッチガス）ｂは触媒層４の
下端から上昇流路６ａおよび反応ガス流出部６を経て燃
料電池（図示せず）に導く。一方、煙道５は下端で折り
返され上昇流路７ａを経て燃焼ガス排出部７から外部に
至る構成となっている。

【００１２】図２は、燃焼装置２の詳細を示している。
反応器１の下部に装着される燃焼装置２の箱体８は上端
開口部で反応器１の燃焼室３と繋がらせる。この箱体８
内の上部には、円錐状傾斜面に多数の２次空気噴出孔９
（図３参照）をあけた取付仕切板１０を取付け、その取
付仕切板１０の下端部にバーナ１１を装着した筒体１２
が固定されている。本例のバーナ１１は平板状をなし、
外周部を低カロリーガス用炎口部１１ａ、中央部を高カ
ロリーガス用炎口部１１ｂとしている。

【００１３】筒体１２には、上記低カロリーガス用炎口
部１１ａと繋がる空洞環状の低カロリーガス用燃料供給
部１３が形成され、箱体８の底面を貫通して設けた低カ
ロリーガス用燃料供給管１４が接続されている。筒体１
２には、また、高カロリーガス用炎口部１１ｂと繋がる
空洞状の高カロリーガス用燃料供給部１５が形成され、
その底部には周囲に脚付き拡散板１７を設けた連通孔１
６が穿設されている。

【００１４】上記した筒体１２の下方には、上記筒体１
２の連通孔１６に対向する高カロリーガス噴射ノズル１
８と、該噴射ノズル１８を固着したガス溜り１９とで構
成された高カロリーガス用燃料噴出部２０が配設され、
箱体８の底面を貫通して設けた高カロリーガス用燃料供
給管２１が接続されている。

【００１５】箱体８の下面には、箱体８内に燃焼用空気
を送り込む送風機１１が装着される。箱体８内に送り込
まれた燃焼用空気は、筒体１２の下方空間に当たる１次
空気通路２３を通り、筒体１２外側面と箱体８内側面と
で形成される２次空気通路を経て、上記取付仕切板１０
に穿設した２次空気噴出部の孔９から噴出するようにな
っている。上記高カロリーガス用ノズル１８は１次空気
通路２３内にあり、上記バーナ１１は２次空気噴出孔９
よりも下側にあること図示のとおりである。

【００１６】以上のような構造であるから、低カロリー
ガスｃが低カロリーガス用燃料供給管１４から供給され
ると、１次空気とは全く縁が絶たれた状態で低カロリー
ガス用燃料供給部１３に直送されるから、バーナ１１の
低カロリーガス用炎口部１１ａでは拡散火炎となって燃
焼し、２次空気噴出部９から噴出する２次空気によって
完全燃焼する。

【００１７】一方、高カロリーガスｄが高カロリーガス
用燃料供給管２１から高カロリーガス用燃料噴出部２０
に供給されると、高カロリーガス用噴出ノズル１８から
１次空気雰囲気中に噴流として噴出され、その噴出ノズ
ル１８は筒体１２の連通孔１６に対向して設けているか
ら、高カロリーガスの噴流と、これによって巻き込まれ
た周囲の１次空気とが一緒になったものが脚付き拡散板
１７に衝突し、よく混合された予混合ガスが高カロリー
ガス用燃料供給部１５に送られ、バーナ１１の高カロリ
ーガス用炎口部１１ｂで予混合火炎となって燃焼し、２
次空気噴出孔９から噴出する２次空気によって完全燃焼
することになる。

【００１８】図４は、図２とは異なる他の実施例を示し
ている。本例では低カロリーガス用炎口部１１ａについ
ては平板状であるが、中央部の高カロリーガス用炎口部
１１ｂは高カロリーガス用燃料供給部１５の上部に上端
閉鎖のキャップ体２５を立設し、そのキャップ体２５側
面に多数の炎口２６を穿設した構成としている。図２の
バーナ１２では、中央部の高カロリーガス用炎口部１１
ｂの炎口面積を大きくしたくても自ずから限界があっ
た。しかし、図４の如くすることで、キャップ２５の高
さを高くし、側面に穿設される炎口数を増すことで容易
に炎口面積を増大できるから、高カロリーガスを高負荷
燃焼させたい場合に特に有効である。

【００１９】

【発明の効果】上述のように、本発明の燃料電池用水素
製造装置の燃焼装置は、低カロリーガス用燃料供給部に
１次空気を混入させなくしたから、低カロリーガス用炎
口部では拡散火炎となって燃焼（拡散燃焼）し、火炎は
常にバーナヘッドにて形成されて逆火することはない。
一方、高カロリーガス用燃料供給部には高カロリーガス
と１次空気との良く混合さた予混合ガスを送り込むこと
になるから、高カロリーガス用炎口部では火炎を青火に
て燃焼させ、火炎を短くすることができる。このように
性質の異なる２種類の燃料を使っても支障はない。

【００２０】また、低カロリーガス用炎口部および高カ
ロリーガス用炎口部よりも上方に当たる取付仕切板の円
錐状傾斜面に穿設した多数の２次空気噴出孔から２次空
気を噴出するから、いずれのガス燃料も完全燃焼させる
ことができる。

【００２１】高カロリーガス用燃料供給部に立設された
キャップ体の側周面に多数の孔を穿設して高カロリーガ
ス用炎口部を構成すると、その炎口面積を容易に増大で
きるから、高負荷燃焼を行ってもブローオフ（吹き飛
び）が起きたり、燃焼が不安定になったりさせなくする
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す燃料電池用水素製造装置
の概略図である。

【図２】燃焼装置の実施例を示す要部の正面図である。

【図３】図２の実施例の平面図である。

【図４】燃焼装置の実施例を示す要部の正面図である。

【符号の説明】 １ 反応器 ２ 燃焼装置 ３ 燃焼室 ８ 箱体 ９ ２次空気噴出孔 １０ 取付仕切板 １１ バーナ １１ａ 低カロリーガス用炎口部 １１ｂ 高カロリーガス用炎口部 １２ 筒体 １３ 低カロリーガス用燃料供給部 １４ 低カロリーガス燃料供給管 １５ 高カロリーガス用燃料供給部 １６ 連通孔 １８ 高カロリーガス噴出ノズル ２０ 高カロリーガス用燃料噴出部 ２１ 高カロリーガス燃料供給管 ２２ 送風機 ２３ １次空気通路 ２４ ２次空気通路 ２５ キャップ体 ２６ 炎口

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 反応器を加熱するための低カロリーガス
   用炎口部と高カロリーガス用炎口部とを有するバーナ
   と、上記夫々の炎口部と連通させた低カロリーガス用燃
   料供給部および高カロリーガス用燃料供給部と、上記低
   カロリーガス用燃料供給部に直結した低カロリーガス用
   燃料供給管と、高カロリーガス噴出ノズルを取付けた高
   カロリーガス用燃料噴出部と、その高カロリーガス用燃
   料噴出部に接続させた高カロリーガス用燃料供給管とを
   備えたことを特徴とする燃料電池用水素製造装置の燃焼
   装置。
2. 【請求項２】 反応器の燃焼室と繋がる箱体と、 その箱体内の上部に取付けられ、多数の２次空気噴出孔
   を円錐状傾斜面にあけた取付仕切板と、 その取付仕切板の下端部に固定され、外周部を低カロリ
   ーガス用炎口部、中央部を高カロリーガス用炎口部とし
   たバーナを取付けると共に、上記各炎口部と繋がる低カ
   ロリーガス用燃料供給部および高カロリーガス用燃料供
   給部を形成し、上記高カロリーガス用燃料供給部の底部
   に連通孔を形成した筒体と、 その筒体の下方に配設され、上記連通孔に対向する高カ
   ロリーガス噴出ノズルを取付けた高カロリーガス用燃料
   噴出部と、 上記低カロリーガス燃料供給部に上記箱体底面を貫通し
   て接続させた低カロリーガス燃料供給管と、 上記高カロリーガス燃料噴出部に上記箱体底面を貫通し
   て接続させた高カロリーガス燃料供給管と、 上記箱体下面に装着された燃焼用空気送り込み用の送風
   機を備えたことを特徴とする燃料電池用水素製造装置の
   燃焼装置。
3. 【請求項３】 上記バーナの低カロリーガス用炎口部は
   平面状に構成され、高カロリーガス用炎口部は上記高カ
   ロリーガス用燃料供給部に立設されたキャップ体の側周
   面に多数の孔を穿設して構成されたことを特徴とする請
   求項１又は請求項２記載の燃料電池用水素製造装置の燃
   焼装置。