JPH08151326A - 抗菌製剤 - Google Patents

抗菌製剤

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JPH08151326A JP6319153A JP31915394A JPH08151326A JP H08151326 A JPH08151326 A JP H08151326A JP 6319153 A JP6319153 A JP 6319153A JP 31915394 A JP31915394 A JP 31915394A JP H08151326 A JPH08151326 A JP H08151326A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】抗菌剤が単独では作用しにくいバイオフィルム
やプラークなど微生物の集合体や塊に対し優れた抗菌活
性を示す抗菌製剤を提供する。 【構成】ヒスチジンまたはその誘導体と抗菌活性を示す
化合物を配合することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗菌剤が単独では作用
しにくいバイオフィルムやプラークなど微生物の集合体
や塊に対し優れた抗菌活性を示す抗菌製剤に関する。
【0002】
【従来の技術および問題点】抗菌剤には種々のタイプの
ものがあり、それぞれ種々の感染症の予防や治療、医療
用具の滅菌、医薬品、食品工場など無菌性が要求される
場所の殺菌・消毒などに幅広く用いられている。しか
し、その抗菌効果には限界があり、バイオフィルムやプ
ラークなど微生物の集合体や塊に応用した場合や蛋白成
分が共存した場合などにはその効果が充分発揮されず、
抗菌剤の濃度を上げたり、処理時間を長くするなどの必
要があり、安全性、経済性、抗菌効率の面から、必ずし
も満足できるものばかりではなかった。
【0003】
【問題点を解決するための手段】本発明者らはかかる事
情に鑑み鋭意検討をかさねた結果、その作用機序は明ら
かではないが、ヒスチジンまたはその誘導体と抗菌活性
を示す化合物を配合することにより、共存蛋白の影響を
ほとんど受けず、微生物の懸濁液はもとよりバイオフィ
ルムやプラークなど微生物の集合体や塊に対しても優れ
た抗菌効果を発揮し、さらにノニオン界面活性剤および
両性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の界面活性
剤を追加配合することにより、より優れた抗菌効果を発
揮することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0004】尚、特開平1ー139524にはフッ化物
とヒスチジンを配合した口腔用組成物が開示されている
が、これはフッ化物の効果を増強することによるう触予
防効果を高めた口腔用組成物について述べたものであ
り、本出願の効果を容易に類推できるものではない。以
下本発明を具体的に説明する。
【0005】本発明はヒスチジンまたはその誘導体及び
抗菌活性を示す化合物を配合することを特徴とする抗菌
製剤、さらにはこれらとノニオン界面活性剤および両性
界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を
配合してなる抗菌製剤を提供するものである。本発明の
抗菌製剤は医療用具の滅菌、医薬品、食品工場など無菌
性が要求される場所の殺菌・消毒などに利用されるだけ
でなく、う蝕、歯周病、口内炎などの口腔感染症をはじ
めとする種々の感染症の原因菌やそれらの菌塊を抑制
し、これら感染症の予防や治療およびこれら原因菌が関
与した口臭や体臭の抑制に非常に有用である。
【0006】本発明のヒスチジンの誘導体はヒスチジン
の塩酸塩や燐酸塩、ヒスチジンエチルエステル、ヒスチ
ジンメチルエステル、ヒスチジングルタミン酸、ヒスチ
ジンアスパラギン酸塩、L−ヒスチジンリン酸など製造
上許容されるものなら何れでもよく、これらを2種以上
配合してもかまわない。本発明中ヒスチジンまたはその
誘導体の配合量は抗菌製剤中0.001〜10重量%が
好ましく、0.01〜5重量%がより好ましい。0.0
01重量%未満では本発明の効果が十分得られず、10
重量%を越えると製剤上あるいはコスト的に不利であ
る。
【0007】また本発明の抗菌活性を示す化合物とは塩
化セチルピリジニウム、塩化デカリニウム、塩化ベンザ
ルコニウム、クロルヘキシジンの塩酸塩またはグルコン
酸塩などのカチオン性の抗菌剤のほか、トリクロサン、
イソプロピルメチルフェノール、オフロキサシン、アレ
キシジン、ヘキセチジン、ヨウ素、ポピドンヨ−ド、フ
ッカナトリウムやフッカスズ、モノフルオロリン酸ナト
リウムなどのフッカ物、チモール、メントール、オイゲ
ノール、タンニン、ポリフェノール、ラタニア、カミツ
レ、ミルレ、セージ、茶エキス、ヒノキエキス、油溶性
甘草エキス、桑白皮エキス、アロエエキス、プロタミ
ン、プロポリス、リゾチームなどの天然抗菌剤、ミノサ
イクリン、テトラサイクリンなどの抗生物質が挙げられ
るがこれらに限定されるものではない。好ましくは塩化
セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、トリクロサ
ン、イソプロピルメチルフェノール、フッカナトリウ
ム、フッカスズ、チモール、油溶性甘草エキス、プロポ
リス、カミツレ、ポリフェノール、桑白皮エキス、アロ
エエキス、茶エキスである。これらの抗菌剤は単独で、
またはこれらを組み合わせて用いることができ、その配
合量は抗菌剤の総量で抗菌製剤中0.001〜10重量
%が好ましく、0.01〜5重量%がより好ましい。
0.001重量%未満では本発明の効果が十分得られ
ず、10重量%を越えると製剤上あるいはコスト的に不
利である。
【0008】本発明で用いるノニオン界面活性剤として
は、例えば、ポリエチレンオキシドポリプロピレンオキ
シドのブロックコポリマー類、ポリオキシエチレンソル
ビタン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル
類、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アミドジエタノ−
ル、アシルグルコシド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ
油などが挙げられるが、特に好ましくは、ポリエチレン
オキシドポリプロピレンオキシドのブロックコポリマー
類またはショ糖脂肪酸エステルである。
【0009】両性界面活性剤も特に限定されるものでは
なく、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン
型、イミダゾリン型、グリシン型などが挙げられる。好
ましくは、2ーアルキルーNーカルボキシメチルーNー
ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインまたはヤシ
油脂肪酸アミドプロピルベタインである。これらのノニ
オン界面活性剤および両性界面活性剤は単独で、または
これらを組み合わせて用いることができ、その配合量は
界面活性剤の総量として、抗菌製剤全量に基づいて0.
005〜5重量%、好ましくは、0.05〜3重量%で
ある。
【0010】ノニオン界面活性剤と両性界面活性剤を組
み合わせて用いる場合、その配合比はノニオン界面活性
剤:両性界面活性剤の重量比で1:60から60:1の
範囲が好ましい。
【0011】本発明の抗菌製剤は、常法により製造する
ことができ、液体、液状、ゲル状、ペースト状、ガム
状、固形物とすることができる。例えば、口腔に応用す
る場合には、歯磨(練歯磨、潤性歯磨、液状歯磨、液体
歯磨、マウスウオッシュ等)、ペースト状組成物(例え
ば、口腔用パスタ、歯肉マッサージクリーム等)、口腔
清涼剤(例えば錠剤、スプレ−等)、イリゲーター用溶
液等の形態にすることができる。更に、前記の成分に加
え、抗菌製剤の形態に応じて通常の有効基剤を用いても
よい。例えば、トラネキサム酸、グリチルリチン酸ジカ
リウム、ビタミンE、アズレンなどの薬効剤やその他界
面活性剤、溶剤、pH調整剤、防腐剤、甘味剤、香料、
粘結剤、研磨剤等を配合することができる。
【0012】
【実施例】次に、実験例および実施例を挙げて本発明を
さらに詳しく説明する。実験例においては、本発明の抗
菌性剤の有する微生物の集合体や塊に対する抗菌活性を
評価した。
【0013】実験例1 方法:Staphylococcus aureus
ATCC6538菌株をTrypticase soy
broth(TSB)培地100mlで37℃、24
時間培養後、遠心(7000rpm,5min)洗浄、
滅菌蒸留水に懸濁したものを試験菌液とした。
【0014】この試験菌液10mlをメンブランフィル
ター(直径10mm,ポアサイズ0.45μm、ミリポ
ア社製)に吸引固着させたものを微生物の菌塊モデルと
した。
【0015】この菌塊モデルを塩化セチルピリジニウム
(CPCと略す)溶液、塩化セチルピリジニウムとヒス
チジン(HISと略す)の混合溶液、あるいはこれらに
プルロニック(PLUと略す)を加えた溶液中に一定時
間浸漬し、滅菌蒸留水で軽く洗浄後、10mlの滅菌蒸
留水中でVortex mixerにより分散し、この
一白金耳をTrypticase soy agar
(TSA)培地に塗抹、37℃で24時間培養後、生育
の有無を肉眼で判定した。
【0016】結果を表1に示す。
【0017】
【表1】 組成No.1に対し、組成No.2から7において示さ
れるように、HISの添加あるいはHYSとPLUの両
方の添加により殺菌に必要な時間が短縮され、優れた抗
菌効果が認められた。しかし、対照である組成8、9に
おいてはなんら抗菌効果は認められなかった。
【0018】実験例2 方法:試験菌をStreptococcus muta
ns ATCC25175とし、抗菌剤としてヒノキチ
オール、界面活性剤としてショ糖脂肪酸エステル(SF
Eと略す)を用い、実験例1と同様な実験を行なった。
【0019】結果を表2に示す。
【0020】
【表2】 組成No.1に対し、組成No.2から7において示さ
れるように、HISの添加あるいはHISとSFEの両
方の添加により殺菌に必要な時間が短縮され、優れた抗
菌効果が認められた。しかし、対照である組成8、9に
おいてはなんら抗菌効果は認められなかった。
【0021】実験例3 方法:試験菌としてEscherichia coli
K12を用い、種々の抗菌剤とヒスチジン塩酸塩(H
IS−Cl)の組み合わせ溶液の抗菌活性を実験例1と
同様な方法により評価した。
【0022】結果を表3に示す。
【0023】
【表3】 いずれの組み合わせにおいても、抗菌剤単独に比べヒス
チジン塩酸塩の添加により、殺菌に要する時間が短縮さ
れ、優れた抗菌活性が発揮されることが認められた。
【0024】実験例4 方法:Porphyromonas gingival
is 381菌株を5μg/mlヘミンと1μg/ml
メナジオンを添加したBrain Heart Inf
usin(BHI)培地100mlで37℃48時間嫌
気培養後、菌液1mlを47℃に保温した1.5%寒天
を含むBHI20mlに混釈し、直径10cmシャーレ
に分注、冷却した菌入りプレートを作成した。本プレー
ト上に内径8mm、高さ1cmのステンレス製円筒をた
て、それに種々の抗菌剤とヒスチジン塩酸塩(HIS−
Cl)およびプルロニック(PLU)の組み合わせ溶液
を満たし、37℃48時間嫌気培養後、形成された発育
阻止帯の直径を測定した。
【0025】結果を表4に示す。
【0026】
【表4】 いずれの組み合わせにおいても、抗菌剤単独に比べヒス
チジン塩酸塩(HIS−Cl)の添加およびプルロニッ
ク(PLU)の添加により、発育阻止帯の直径が大きく
なり、優れた抗菌活性が発揮されることが認められた。 実施例1 殺菌・消毒液 配合量(重量%) クロルヘキシジングルコネート 5.0 ヒスチジン 1.0 ショ糖脂肪酸エステル 2.0 ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン0.2 香料 0.5 精製水 残量 実施例2 うがい薬 配合量(重量%) イソプロピルメチルフェノール 0.2 ヒスチジン燐酸塩 0.05 精製水 残量 実施例3 洗口液 配合量(重量%) 塩化セチルピリジニウム 0.2 ヒスチジン塩酸塩 1.0 エタノール 7.0 プルロニック 1.0 香料 1.0 精製水 残量 実施例4 練歯磨 配合量(重量%) トリクロサン 0.05 カミツレ 0.1 ヒスチジンメチルエステル 0.05 グリセリン 40.0 シリカ 20.0 ラウリル硫酸ナトリウム 1.0 香料 1.0 色素 1.0 精製水 残量 実施例5 イリゲーション液 配合量(重量%) チモール 0.2 茶エキス 0.2 ヒスチジンエチルエステル 5.0 ビタミンE 0.1 香料 1.0 精製水 残量 実施例6 口腔用パスタ 配合量(重量%) ミノサイクリン 3.0 ヒスチジングルタミン酸 1.0 トラネキサム酸 0.05 香料 1.0 白色ワセリン 残量
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、共存蛋白の影響をほと
んど受けず、微生物の懸濁液はもとよりバイオフィルム
やプラークなど微生物の集合体や塊に対しても優れた抗
菌効果を発揮する抗菌製剤を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 31/155 ACK 9455−4C 31/335 31/44 ADZ 31/70 31/77 35/64 7431−4C 35/78 8217−4C N 8217−4C D 8217−4C J 8217−4C V 8217−4C

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒスチジンまたはその誘導体および抗菌活
    性を示す化合物を配合することを特徴とする抗菌製剤
  2. 【請求項2】ノニオン界面活性剤および両性界面活性剤
    から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を配合した請
    求項1記載の抗菌製剤
  3. 【請求項3】ノニオン界面活性剤がポリエチレンオキシ
    ドポリプロピレンオキシドブロックコポリマー類または
    ショ糖脂肪酸エステルである請求項2記載の抗菌製剤
  4. 【請求項4】抗菌活性を示す化合物がカチオン性抗菌剤
    である請求項1、2および3記載の抗菌製剤
  5. 【請求項5】カチオン性抗菌剤が塩化セチルピリジニウ
    ムまたはクロルヘキシジンである請求項4記載の抗菌製
  6. 【請求項6】抗菌活性を示す化合物が天然の抗菌剤であ
    る請求項1、2および3記載の抗菌製剤
  7. 【請求項7】天然の抗菌剤がチモール、油溶性甘草エキ
    ス、プロポリス、カミツレ、ポリフェノール、桑白皮エ
    キス、アロエエキス、茶エキスから選ばれる1種以上で
    ある請求項6記載の抗菌製剤
  8. 【請求項8】抗菌活性を示す化合物がトリクロサンまた
    はイソプロピルメチルフェノ−ルである請求項1、2お
    よび3記載の抗菌製剤
  9. 【請求項9】用途が口腔用である請求項1〜8記載の抗
    菌製剤
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