JPH08146562A - 写真フイルムパトローネ - Google Patents

写真フイルムパトローネ

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Publication number
JPH08146562A
JPH08146562A JP3241295A JP3241295A JPH08146562A JP H08146562 A JPH08146562 A JP H08146562A JP 3241295 A JP3241295 A JP 3241295A JP 3241295 A JP3241295 A JP 3241295A JP H08146562 A JPH08146562 A JP H08146562A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
flange
photographic film
spool shaft
mold
film cartridge
Prior art date
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Pending
Application number
JP3241295A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahiro Enomoto
雅洋 榎本
Mototada Yasui
元忠 安井
Masuhiko Hirose
萬壽彦 廣瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP3241295A priority Critical patent/JPH08146562A/ja
Publication of JPH08146562A publication Critical patent/JPH08146562A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 写真フイルムパトローネ部品であるスプール
軸26の両端部に、薄肉円板状のリップ付きフランジ2
7,28を取り付ける。これらのリップ付きフランジ2
7,28を、外径15mm以上、厚み0.3mm以下、輪郭
が円形となる最大の投影面積が100mm2 以上の形状で
射出成形する。この射出成形には、熱変形温度が18.6kg
/cm2で80°C以上、曲げ弾性率が13,000Kg/cm2〜30,000
Kg/cm2、表面硬さがロックウェルRスケールで80以上
の物性値を有し、且つ金型内での流動性に優れた樹脂を
用いる。 【効果】 射出成形によって薄肉フランジを精度よく製
造することができ、品質の安定化が図れる。また、高速
・大量・自動化生産が可能になり、コストダウンが図れ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スプール軸の回転によ
って写真フイルムをパトローネ本体外部に送り出す写真
フイルムパトローネに関し、さらに詳しくは、写真フイ
ルムが巻回されるスプール軸の両端にフランジを取り付
けるタイプの写真フイルムパトローネに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】最近では、米国特許第5296887号
明細書、特開平2−18545号公報、特開平4−32
0258号公報等に記載されているように、パトローネ
本体を樹脂成形品で組み立てるとともに、スプール軸の
回転によって写真フイルムをパトローネ本体外に送り出
す機能をもった写真フイルムパトローネが開発されてい
る。また、現像済み写真フイルムの収納や保管を容易に
するために、上記の機能をもったパトローネ本体を現像
済み写真フイルムの収納容器として用いることが特開平
3−179341号公報等で提案されている。
【0003】これらの写真フイルムパトローネでは、ス
プール軸の回転を写真フイルムに確実に伝達させるため
に、スプール軸の両端に取り付けられる一対のフランジ
の周縁にリップを形成し、これらのリップによって写真
フイルムの最外周の側縁を包み込んで写真フイルムの巻
き緩みを防止するようにしている。
【0004】写真フイルムを送り出す際には、フイルム
通路の付近で一対のフランジを写真フイルムにより押し
広げ、リップの包み込みを解除する必要がある。したが
ってフランジは常に変形して回転するから、薄肉に形成
される。しかもフランジは剛性や耐摩耗性等の所定の特
性を備える必要がある。
【0005】フランジに剛性や耐摩耗性等の所定の特性
を持たせるためには、先ず材料の選定を行う必要があ
る。しかも、この材料の選定に当たっては成形方法を考
慮する必要がある。これらの両者を充分考慮した上で好
ましい材料及び成形法が、特開平4−251841号公
報や特開平6−148808号公報に記載されている。
これら公報記載のものでは、押し出し形成された薄肉の
ポリエチレン系樹脂シート(厚み0.3mm )を加熱軟化さ
せて、真空又は圧空成形により熱成形させ、その後に打
ち抜き工程で所定の形状に打ち抜いてフランジを形成す
るようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
たフランジの成形では、ロールから引き出した樹脂シー
トを加熱する加熱工程、加熱したシートに真空又は圧空
成形を施す成形工程、シートの成形部分を打ち抜いてフ
ランジを得る打ち抜き工程、及びシート回収工程等の多
岐にわたる工程が必要で設備が大がかりとなる。しかも
膨大な設備費用が必要になる。また、打ち抜き後に余剰
のシートが発生し、材料費に無駄が生じる。さらに、真
空成形又は圧空成形では寸法精度が悪くなり、しかも所
望の厚みにできない等の欠点がある。
【0007】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたもので、設備費や材料費のコストダウンを図り、ま
た寸法精度を向上させ、しかも所望の厚みに成形できる
ように選定した材料及び成形法で得たフランジを有する
写真フイルムパトローネを提供することを目的とする。
また、本発明は、低温下で写真フイルムの引き出し抵抗
が増えることがないようにした写真フイルムパトローネ
を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するにあたり、外径15mm以上、厚み0.3mm以下、輪
郭が円形となる最大の投影面積が100mm2 以上の形状
を有するリップ付きフランジを射出成形するとともに、
熱変形温度が18.6kg/cm2で80°C以上、曲げ弾性率が1
3,000Kg/cm2〜30,000Kg/cm2、表面硬さがロックウェル
Rスケールで80以上の物性値を有し、且つ金型内での
流動性に優れた樹脂でリップ付きフランジを成形したも
のである。
【0009】
【作用】スプールに必要とされる特性は、耐熱性、強
度、及び耐摩耗性である。そこで、スプールのフランジ
に用いる樹脂としては、熱変形温度が18.6kg/cm2で80°
C以上、曲げ弾性率が13,000Kg/cm2〜30,000Kg/cm2、表
面硬さがロックウェルRスケールで80以上の物性値を
有するものと定めている。また、一般的に射出成形は、
高速・大量・自動化生産が可能であり、寸法精度が高
く、品質の安定した成形品が得られるのに対し、金型内
での流動性が悪い樹脂を用いて薄肉成形品を成形するこ
とには不向きである。そこで、外径15mm以上、厚み
0.3mm以下、投影面積が100mm2 以上の寸法を有す
る肉薄のフランジを、金型内での流動性が良好な樹脂を
用いて射出成形するようにした。
【0010】樹脂としては、請求項1の特性を満足する
各種の熱可塑性樹脂,組成物は全て使用可能である。特
に、ナイロンをPPE(ポリフェニルエーテル)にブレ
ンドしたナイロン変性PPE、又はポリオレフィンをP
PEにブレンドしたポリオレフィン変性PPE(PO変
性PPE)、ノリル,ザイロン等のポリスチレン変性P
PE(PS変性PPE)、ポリカーボネート、ナイロ
ン、変性ナイロン、及びポリアセタールが前記物性値を
満たし、しかも流動性が良好であるから好適である。更
に、PPS(ポリフエニリンスルフイド)とPPEのア
ロイ、PPSとPBT(ポリブチレンテレフタレート)
のアロイ、PPEとLCP(液晶樹脂)とのアロイ、P
PSにGF(ガラスファイバー、ガラスビーズ)5〜3
0WT%を混入したもの等も好ましく用いることができ
る。また、このような樹脂に酸化防止剤や遮光性物質、
帯電防止剤、及び、滑剤等を必要に応じて添加してもよ
い。
【0011】射出成形は、通常の射出成形法の他に、ゲ
ートシール後に金型内を圧縮して成形する射出圧縮成形
法を用いてもよい。また、中央に開口を有するフランジ
の場合には、開口に相当する部分に金型内でゲートを設
け、射出成形の成形工程中に金型内で中央ゲートをカッ
トして前記開口を形成する型内ゲートカットによって成
形する方法を用いてもよい。また、このような型内ゲー
トカットに代えて、射出成形した後に常温まで冷却し、
これを打ち抜き加工してフランジを形成してもよい。こ
の場合には、スクラップ部分に打ち抜き加工用基準面を
形成しておき、これを基準にして位置決めし打ち抜き加
工を行うと、打ち抜き時の位置合わせを精度良く行うこ
とができ、真円度が優れセンターズレの小さい寸法精度
の高いフランジが得られる。
【0012】図1に示すように、写真フイルムパトロー
ネ10は、パトローネ本体11の内部に、写真フイルム
12を巻き付けたスプール13を回動自在に収納してお
り、スプール13を写真フイルム送り出し方向に回転さ
せることにより写真フイルム12をその先端からパトロ
ーネ本体11の外部に送り出すように構成されている。
【0013】パトローネ本体11は、樹脂の一体成型品
からなる上ケース14と下ケース15とから構成されて
いる。これらケース14,15は、下ケース15に設け
た4つの係合爪16を上ケース14に係止させることに
より、嵌め合わされ一体化される。このパトローネ本体
11の外周にはラベル17が貼着される。
【0014】パトローネ本体11の内部は情報室18、
フイルム室19、及び表示室20の3つの部屋に仕切ら
れている。また、各ケース14,15の接合面の一部に
は写真フイルム12を送り出すためのフイルム通路21
が形成されている。フイルム通路21には、ここからの
入光を防止するためにフイルム通路21を開閉する蓋部
材22と、奥で写真フイルム13の先端を分離する分離
爪23とが設けられている。蓋部材22の両端部にはキ
ー24,25が形成されている。キー24,25は、写
真フイルムパトローネ10がカメラに装填された際に、
カメラ側の開閉用駆動軸と連結され、この駆動軸の回動
によって蓋部材22はフイルム通路21を塞ぐ位置と開
く位置とにセットされる。
【0015】スプール13は、スプール軸26、外径が
約18mmで成形された一対のフランジ27,28、及び
回転部材29とから構成されており、これら部品は全て
樹脂の一体成型品である。スプール軸26には、データ
板30、フランジ取り付け用の一対の受け鍔31,3
2、写真フイルム後端係止用のスリット33、回転部材
支持部34、キー35,36が一体に形成されている。
キー35,36は、写真フイルムパトローネ10がカメ
ラに装填された際に、カメラ側の駆動軸と連結され、こ
の駆動軸の回動によってスプール軸26は回動される。
【0016】前記スリット33には、弾性を有する押さ
えリブ33a,33bと、係止爪33c,33dとが設
けられている。係止爪33c,33dには、写真フイル
ム12の後端12aに設けた2つの係止孔12b,12
cが係止する。また、押さえリブ33a,33bには、
係止孔12b,12cとの間に設けた長孔12dが嵌ま
り込む。更に、押さえリブ33a,33bは、係止孔1
2b,12cから係止爪33c,33dが脱落すること
のないように写真フイルム12の後端12aを押さえ
る。この状態で、写真フイルム12がスプール軸26に
巻回される。
【0017】回転部材29には、ラチェット爪37を設
けた円板38、ギヤ39、及び表示板40が一体に形成
されており、これらはスプール軸26と一体に回転す
る。
【0018】写真フイルム12が巻回されたスプール1
3をパトローネ本体11に組み込むと、フランジ27,
28が写真フイルム12と共にフイルム室19に収納さ
れ、データ板30が情報室18に、また表示板40とギ
ヤ39とが表示室20にそれぞれ収納される。
【0019】図1に示すように、データ板30の外面に
は、バーコード41aを印刷した粘着ラベル41が貼り
付けられている。このバーコード41aは、フイルム感
度,撮影枚数,写真フイルムの種類等を表している。こ
のバーコード41aはカメラや写真プリンタに設けた読
取りセンサによって読み取られる。この読み取りは、ス
プール13がフイルム送り出し方向に回転したときに行
われ、図2に示すように、上ケース14の側面に形成さ
れた読取り開口42から読み取られる。なお、粘着ラベ
ル41を省略し、バーコード41aをパッド印刷、又は
箔押しホットスタンプ等でデータ板30に直接に印刷し
てもよい。ここに用いる箔押し用フイルムの層構成とし
ては、ベースフイルムに離型層と保護層と金属膜と接着
層とをコーティングしたフイルムで積層されており、転
写されたときに離型層以降の形成積層を被着体に転写
し、ベースフイルムから分離することができるような層
構成を有する構造を有していることが好ましい。箔押し
用のフイルムの層構成の詳細としては、ベースフイルム
の厚みが12μm〜30μmのポリエステルフイルム
で、これに100オングストローム〜500オングスト
ローム厚みの離型層を介して、300オングストローム
〜1200オングストロームの金属蒸着層をもつ保護層
と、被着体に転写するための接着層をコーティングして
ある。この離型層の素材としてシリコーン樹脂や界面活
性剤や脂肪酸や滑剤等が用いられる。金属蒸着層として
は、アルミニウムやクロム等がある。保護層としては、
場合により透明着色剤を混ぜた樹脂を、1μm〜5μm
までの適当な厚みにコーティングすることが好ましい。
接着層は被着体により、アクリル酸エステルと塩化ビニ
ールの共重合体、ポリビニルブチラール、ポリアミド、
塩酢ビ共重合体等を用いる。接着層の厚みは、0.5μ
m〜5μmが好ましい。また、パッド印刷、又は箔押し
ホットスタンプ等に代えて、スプール軸26の成形時に
バーコードラベルを熱転写してもよい。
【0020】表示板40は、パトローネ本体11に収納
されている写真フイルム12が露光済みであるか否か、
また現像済みであるか否か等の状態を表示するために用
いられる。表示板40は、図3に示すように、表示室2
0側の側面に形成された形の異なる4つの表示窓43〜
46のいずれか1つに位置決めされる。この表示板40
が位置決めされた表示窓43〜46から、写真フイルム
12の各状態が識別可能になる。
【0021】表示室20の内部には、ギヤ39と噛み合
うようにスプールロック47が収納されている。このス
プールロック47は、蓋部材22が開き位置の時にスプ
ール13の回動を許容し、蓋部材22が閉じ位置の時に
スプール13の回動を規制してこれをロックする。この
ため、図3に示すように、スプールロック47は、本体
部47aの両端に、弾性変形するアーム47b,47c
を、本体部47aの中央部に係合爪47dを備えてい
る。アーム47bは蓋部材22が閉じ位置のときにキー
48に当接しており、これにより係合爪47dをギヤ3
9側に押し付け、ギヤ39と係合爪47dとを噛み合せ
て、スプール13の回動を規制している。したがって、
写真フイルムパトローネ10が未使用状態である時に
は、蓋部材22が閉じ位置になっているので、スプール
13の回動が阻止される。
【0022】アーム47cは、表示室20内に形成され
た係合突起49に当接して、係合爪47dとギヤ39と
の噛み合いを解除する方向に本体部47aを付勢してい
る。そして、蓋部材22が開き位置の時にはキー48に
よるアーム47bへの押圧が解除されると、アーム47
cによって、係合爪47dとギヤ39との噛み合いが解
除され、スプール13はフリー状態になる。したがっ
て、カメラ側の開閉用駆動軸によって蓋部材22が開き
位置に回転操作されると、スプール13の回動が可能に
なり、フイルムの送り出しや巻き取りが行われる。
【0023】図4に示すように、一対のフランジ27,
28は、データ板30と回転部材29との間で、且つ写
真フイルム12の幅分だけ間隔を持たせた状態で一対の
受け鍔31,32に取り付けられる。この取り付けに際
して、自動組み立てが容易に行えるように、一対のフラ
ンジ27,28を一方向から挿入できるようにしてい
る。このため、スプール軸26の一対の受け鍔31,3
2をそれぞれ大径と小径とし、これに対応させて一対の
フランジ27,28に大径開口27aと小径開口28a
とを形成している。したがって、一方側のフランジ27
はこれの大径開口27aが小径の受け鍔32を通り抜け
て挿入方向の反対側の大径の受け鍔31に回動自在に嵌
合され、また他方側のフランジ28は、これに設けた小
径の開口28aが小径の受け鍔32に回動自在に嵌合さ
れる。
【0024】他方側のフランジ28には、スプール軸2
6の軸方向に対して直交する円周壁にこれの円周方向に
沿って所定ピッチで4個の穴28bが形成されている。
これらの穴28bには、スプール軸26が写真フイルム
送り出し方向に回転した際に回転部材29のラチェット
爪37が係合する。ラチェット爪37は、前記穴28b
に係合した際にスプール軸26の回転をフランジ28に
伝達させ、また、スプール軸26が写真フイルム巻き込
み方向(写真フイルム送り出し方向とは逆方向)に回転
した際には前記穴28bに係合せず、スプール軸26の
回転をフランジ28に伝達させることはない。
【0025】図4に示すように、一対のフランジ27,
28には、外周縁にリップ27b,28cがそれぞれ一
体に形成されている。これらのリップ27b,28c
は、スプール軸26が写真フイルム送り出し方向に回転
した際に写真フイルム12の最外周の両側縁部を包み込
んで、スプール軸26の回転を写真フイルム12の最外
周に伝達させるとともに、写真フイルム12が巻き緩む
ことを防止する。また、写真フイルム12を巻き取る際
には、他方側のフランジ28が回転しないことからこれ
のリップ28cが写真フイルム12との間で滑りを生じ
させて写真フイルム12の巻き緩みを防止する。
【0026】なお、写真フイルム12は、スプール軸2
6の写真フイルム送り出し方向への回転の際に分離爪2
3によって写真フイルム12の先端がフイルム通路21
に向けて掬われ、フランジ27,28のリップ27b,
27cを押し広げながらパトローネ本体11の外部に送
り出される。また、上・下ケース14,15のフイルム
室19内には、フイルム通路21以外の範囲でフランジ
27,28が外側に向けて折れ曲がるのを防止するため
のフランジ規制リブ50(図1参照)が一体に形成され
ている。
【0027】
【実施例】フランジ27,28は、図5及び図6に示す
ように、側面から見た輪郭形状が円形をしており、この
側面から投影した投影面積(開口や穴を除いた面積)が
100mm2 以上となっている。フランジ27,28の厚
みとしては、容易に変形でき、しかもフランジ規制リブ
50(図1参照)との摩擦抵抗を低減させるために、
0.3mm以下が好適である。しかもこれらのフランジ折
れ曲がり規制リブ50や写真フイルム12との摩擦によ
って摩擦粉が生じないように耐摩耗性の有する材質で形
成する必要がある。
【0028】また、フランジ27,28の特性として
は、写真フイルム12の巻き緩みを防止するために、あ
る程度の剛性が必要である。また、本発明の写真フイル
ムパトローネ10は、未露光写真フイルム12及び現像
済み写真フイルム12も収納することを考慮されている
ため、長期間使用される。このため、フランジ27,2
8の特性としては耐久性が要求され、しかも高温環境下
に数時間置かれても変形しないような耐熱性も要求され
る。そこで、これらの特性を充分に満たすためには、以
下に記載した物性値を充分に満たす樹脂でフランジ2
7,28を成形する必要がある。
【0029】(1) 熱変形温度;18.6Kg/cm2 で80°C
以上、好ましくは90°C 以上、特に好ましくは100 °C
以上である(測定法は、 ASTM D648による)。 (2)曲げ弾性率;13,000 〜30,000Kg/cm2、好ましくは
15,000〜29,000Kg/cm2、特に好ましくは16,000〜28,000
Kg/cm2の範囲(測定法は、ASTM D790 による)。 (3)表面硬さ;ロックウェルRスケールで80以上、
好ましくは90以上、特に好ましくは100以上である
( 測定法は、ASTM D785 による) 。
【0030】そこで、8種類の樹脂にて形成したフラン
ジ27,28を用いた写真フイルムパトローネ10をそ
れぞれ10個用意して、これらについてフイルム給送性
能や摩耗粉の発生、及び熱変形の程度等について評価し
た結果を表1及び表2に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】表1及び表2に記載したA〜Hの樹脂を以
下に示す。 (A);66ナイロンを55重量%、PPEを35重量%、
EPRを10重量%の組成比としたナイロン変性PPE。 (B);PPを55重量%、PPEを40重量%、EPRを
5 重量%の組成比としたポリプロピレン変性PPE。 (C);ポリアセタール(ジュラコンM90-44・・・ポリ
プラスチックス製) 。 (D);ポリエチレン(ハイゼックス2200・・・三井石
化製)。 (E);超高分子ポリエチレン(リュブマーL3000 ・・
・三井石化製) 。 (F);ポリアミド(アミランCM-1017K・・・東レ製)
。 (G);非結晶ナイロン(グリボリーEX3038・・・エム
スジャパン製) 。 (H);ナイロンMXD6(レニー6002・・・三菱ガス化学
製) 。
【0034】写真フイルム12を送り出す力の評価方法
は、写真フイルム12の先端に180gの錘を置いてス
プール13を回転させて写真フイルム12を送り出した
時に、10回中10回とも写真フイルム12の先端を1
70mmの距離だけ送り出すことができた場合を○とし、
1回でも送り出せない場合、及び写真フイルム12に座
屈が生じた場合を×とした。
【0035】写真フイルム12を引き出す時の抵抗の評
価は、写真フイルム12の先端をニップロールで挟んで
回転させ写真フイルム12を引き出した時の抵抗の最大
値が、10本中10本とも200gを越えない場合を○
とし、1本でも200gを越えた場合には×とした。
【0036】繰り返し出し入れの評価は、パトローネ本
体11から写真フイルム12を全部引き出し、その後に
巻き戻す動作を100回行い、10本中10本とも写真
フイルム12の出し入れができた場合を○とし、1本で
も途中でストップした場合を×とした。
【0037】フランジ27,28の粉(摩耗粉)の発生
は、繰り返し出し入れの評価を行った写真フイルムパト
ローネ10の中を目視で確認して、10本中10本とも
粉が確認できなかったものを○とし、多少粉は見つかっ
たが実用化に支障のないもを●とし、実用化に支障があ
るものを×とした。
【0038】熱変形の程度については、パトローネ本体
11の内部に巻き込んだ写真フイルム12の先端を略2
00mm出した状態で、80°Cの高温下に2時間放置し
た後に、パトローネ本体11を分解してフランジ27,
28の変形の度合いを目視で判定した。評価結果は、変
形がなかったものを○とし、多少変形があるが支障のな
いものを●とし、変形で写真フイルム12の給送に支障
をきたすものを×とした。なお、実験に使用した写真フ
イルム12は、富士写真フイルム(株)のSup-er HG 40
0 36枚撮り用を使用した。
【0039】実験の結果としては、表1及び表2に示し
たA〜Cの樹脂、すなわち、 (A);66ナイロンを55重量%、PPE( ポリフェニ
ルエーテル )を35重量%、EPR(エチレン・プロピレ
ンゴム)を10重量%の組成比としたナイロン変性PP
E。 (B);PPを55重量%、PPEを40重量%、EPRを
5 重量%の組成比としたポリプロピレン変性PPE。 (C);ポリアセタール(ジュラコンM90-44・・・ポリ
プラスチックス製) 。 の3種類が好適であることが判明した。
【0040】フランジ27,28の成形法としては、加
熱して流動状態にした樹脂を、閉じられた状態の金型へ
高圧もしくは高速で充填し、これを冷却・硬化させた
後、金型を開いて成形品を得る射出成形法が最も生産効
率が良く、しかも均一な厚みで成形することが可能なの
で望ましい。ところが、従来技術で説明した特開平4−
251841号公報に記載されているポリエチレン系樹
脂を用いて射出成形すると、フランジ27,28のよう
に成形品の厚みが0.3mm 以下、外径が15mm以上、しかも
輪郭が円形となる最大の投影面積が100mm2以上のものに
対してはショートショットが生じやすく、また肉厚が均
一にならない等の弊害が生じ好適な成形方法ではなかっ
た。そこで、前述したような物性値を満たし、且つ、ポ
リエチレン系樹脂よりも金型内での流動性が良い樹脂例
えば、ナイロン変性PPE、又は、ポリオレフィン変性
PPE、又は、ポリアセタールを用いることで射出成形
によってもフランジ27,28を厚みが0.3mm 以下で成
形することが可能となった。
【0041】ナイロン変性PPEは、ナイロンをPPE
にブレンドしたものであり、その組成比としては、例え
ば、ナイロンを30〜70重量%、PPEを20〜60重量%、
熱可塑性エラストマーを0 〜20重量%、好ましくはナイ
ロンを40〜65重量%、PPEを25〜55重量%、熱可塑性
エラストマーを3 〜15重量%、特に好ましくはナイロン
を45〜60重量%、PPEを30〜50重量%、熱可塑性エラ
ストマーを5 〜13重量%としたものが望ましい。
【0042】ナイロン変性PPEを組成するナイロンと
しては、6ナイロン、66ナイロン、12ナイロン、4
6ナイロン、非結晶ナイロン、半芳香族ナイロン等が好
ましく、また熱可塑性エラストマーとしては、エチレン
プロピレン系ゴム、スチレンブタジエン系ゴム等が好ま
しい。
【0043】ポリオレフィン変性PPEは、ポリオレフ
ィンをPPEにブレンドしたものであり、その組成比と
しては、例えば、ポリオレフィンを30〜70重量%、PP
Eを20〜70重量%、熱可塑性エラストマーを0 〜20重量
%、好ましくはポリオレフィンを40〜65重量%、PPE
を25〜60重量%、熱可塑性エラストマーを3 〜15重量
%、特に好ましくはポリオレフィンを45〜60重量%、P
PEを30〜50重量%、熱可塑性エラストマーを5 〜13重
量%としたものが望ましい。
【0044】ポリオレフィン変性PPEを組成するポリ
オレフィンとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン等
が好ましく、また、熱可塑性エラストマーとしては、エ
チレンプロピレン系ゴム、スチレンブタジエン系ゴム等
が好ましい。
【0045】ナイロン変性PPE、及びポリオレフィン
変性PPEとともに、例えば耐熱性を高くしたい場合に
はPPEの比率を高めるとよい。また強度を高める場合
にはナイロン又はポリオレフィンの比率を高くするとよ
い。また脆さを少なくしたい場合には、ゴム分を多めに
するとよい。
【0046】ところで、図4に示すように、本実施例の
フランジ27,28は、リップ27b,28cを形成し
たフランジ本体27e,28eの面よりも開口27a,
28aを形成したスプール軸取付部27f,28fの面
が段差部27g,28gを介して一段凹んだ断面形状と
なっているので、金型内で樹脂が流動しにくく、局部的
なショートショットが生じ易い。これを防止するため
に、単なる射出成形法でなく射出圧縮成形法を用いるの
が望ましい。
【0047】射出圧縮成形法は、金型内に樹脂を注入し
た後に、金型内を圧縮して所望の形状に成形する方法で
ある。このようにすれば、溶融状態の材料の前面に均一
な圧縮力が加わるので、流れ方向に圧力勾配が発生せず
圧縮方向に直角に配向が起き、反りが起こりにくいとと
もに成形収縮が少なくなり、寸法精度の高い成形品を得
ることが可能となる。なお、金型内を圧縮する方法とし
ては、以下に記載した方法が考えられるが、本発明では
これに限定されるものではない。
【0048】〔金型内を圧縮する方法〕 (1) 僅かに開いた金型内に樹脂を低圧で注入した後
に、型締めによって加圧する。 (2) 型締めの弾性変形を利用して加圧する。 (3) 固定金型に移動金型を押し付けて金型内を加圧
する。 (4) 型締力を2段に切り換えて射出圧縮する。 (5) 予め金型を開いておいて樹脂を注入後に型締め
して加圧する。
【0049】また、写真フイルム12やスプール軸26
等に接触するフランジ27,28部分に型跡がつくと写
真フイルム12の傷等やフイルム給送のトラブル等が生
じるおそれがある。型跡としては、パーティングライン
とゲート跡等である。パーティングラインには、生産数
が増えるにつれてバリが生じやすい。そこで、これらの
フランジ27,28には、図4に示すように、金型同士
の接触及び分離を行う部分としてリップ27b,28c
の外周縁に僅かな鍔27c,28dを設けた形状とし
た。これにより、パーティングラインがこれらの鍔27
c,28dの外周部分に生じることになり、万が一バリ
が発生しても容易に除去できる。
【0050】射出成形では、一段凹ました部分にゲート
跡をそのまま残しておくのが一般的である。しかしなが
ら、これらフランジ27,28は、中央部に開口27
a,28aが設けられており、また、外周には写真フイ
ルムの巻き緩みを防止するリップ27b,28cが形成
されているため、ゲート跡を残したくない。このため、
ゲートを金型内でカットする型内ゲートカット方式を採
用するのが望ましい。
【0051】型内ゲートカット方式は、金型内に組み込
まれた油圧シリンダーによりゲートを自動的にカットす
るものであり、本実施例では、図7に示すように、金型
に設けられるゲートをフランジ27の開口27a部分に
設け、成形直後に開口27aの大きさで矢印方向からカ
ット(打ち抜き)する。これにより、ランナー52が分
離され、ゲート跡のないフランジ27を成形することが
できる。これによれば、金型から取り出し後に必要であ
ったゲートカット処理が省略できるとともに、ゲートサ
イズを大きくできるので低圧で成形でき、成形品の残留
歪みを低減することができる。なお、他方側のフランジ
28も同じ方式で成形することができるのはいうまでも
ない。
【0052】他方側のフランジ28には、ラチェット爪
37が係合するための4個の穴28bが設けられている
ため、金型内で樹脂が流動しにくい。そこで、樹脂の流
動を容易とするために、穴28bの面積を少なくして数
を例えば、図8に示すように、ラチェット用穴53を6
個に増やしたフランジ54を用いてもよい。なお、穴2
8bの数としては、2個以上、好ましくは4個以上あれ
ば支障はなく、この数に限定されることはない。より具
体的には、ラチェット爪37が2個の場合には、穴28
bの数は、2〜12個が好ましく、より好ましくは4〜
10個、特に好ましくは6〜8個である。また、ラチェ
ット爪37が奇数個の場合には、これの1〜4倍程度の
穴28bを形成するとよい。例えば、ラチェット爪37
が3個の場合には、穴28bの数は3,6,9,12が
用いられる。
【0053】図8は穴53の形状及び個数を変えたフラ
ンジ54の実施例である。この実施例では、ラチェット
爪37が係合する部分53aを直線とし、その他の部分
を曲線とした形状の穴53をフランジ54の中心に対し
て点対象となるように6個配列したものである。これに
よれば、ラチェット爪37が確実に係合し、しかも伝達
効率が向上する効果がある。
【0054】図9及び図10は、ラチェット用穴60を
断面L字状の段差部61gにまたがって形成したフラン
ジ61の実施例である。段差部61gは、フランジ本体
61eとスプール軸取付部61fとの間に設けられてお
り、穴60は、スプール軸取付部61fと段差部61g
との間にまたがって形成されている。このように、スプ
ール軸取付部61fのみならず、これに続く段差部61
gにわたって穴60を形成したから、例えば−10℃以
下,最低−30℃の低温下でもフランジ61のしなやか
さを保持することができ、写真フイルムパトローネ10
にこのフランジ61を組み込んだ時に低温下においてフ
イルム引き出し抵抗が増加することがなくなる。
【0055】なお、図9及び図10に示すように、スプ
ール取付部61fと段差部61gとに穴60を形成する
他に、図11に示すフランジ65のように、スプール軸
取付部65f,段差部65g,フランジ本体65eにま
たがって穴66を形成してもよい。この場合に、フラン
ジ本体65eの内面は写真フイルムの側縁が当たるた
め、このフランジ本体65eに形成する穴部分66aの
開口面積は小さい方が好ましく、この開口面積は耐久性
との兼ね合いで決定するとよい。この場合には、図9に
示すものに比較してより一層低温下においてしなやかさ
を保持することができ、フイルム引き出し抵抗を図9の
ものよりも低くすることができる。
【0056】上記射出成形で作られたフランジ61の肉
厚は、必ずしも均一である必要はなく、むしろフランジ
61に要求される性能に応じて積極的に肉厚を部分的に
変動させることが好ましい。この変動幅としては、図1
0に示すように、スプール軸取付部61f、段差部61
g、フランジ本体61e、リップ61c、鍔61dの各
肉厚t1,t2,t3,t4,t5が0.10〜0.3
0mmの範囲内で、これらを連続するコーナー部C1,C
2,C3,C4の肉厚tc1〜tc4が0.05〜0.
25mmの範囲内で用いられる。より好ましくは、肉厚t
1〜t5が0.13〜0.25mmの範囲内で、コーナー
部C1〜C4の肉厚tc1〜tc4が0.08〜0.2
0mmの範囲内で用いられる。各部の肉厚t1〜t5は
0.1mm未満にすると射出成形が困難になる。また、各
部の肉厚t1〜t5が0.3mmを越えると、写真フイル
ムパトローネ内にフランジ61を組み込んで用いた場合
にフイルム引き出し抵抗が極端に大きくなり、実用上使
用することができなくなる。また、最大肉厚/最小肉厚
をkとすると、このkは1≦k≦6、好ましくは1≦k
≦2.7の範囲内にする。また、各コーナーC1〜C4
の肉厚tc1〜tc4は各部の肉厚t1〜t5と同じに
してもよい。また、ゲート部の厚みを変化させてもよ
い。このゲート部厚みを大きくすると、樹脂の流れの抵
抗が減少して成形しやすくなる。
【0057】図10では、スプール軸取付部61f、段
差部61g、フランジ本体61e、リップ61c、鍔6
1dの各肉厚t1〜t5を0.15mmとし、これらを連
続するコーナー部C1,C2,C3の各肉厚tc1〜t
c3を0.10mmとしている。また、リップ61cの外
周に形成した鍔61dとフランジ本体61eの内面との
なす角度θ1は0°〜30°とされ、本実施例では10
°の角度になっている。この角度θ1を0°とすること
で、鍔61dがフランジ本体61eと平行になり、射出
成形用金型の加工が容易になる。リップ61cと鍔61
dとの角部C4は、フイルムとフランジ61とが直接接
触するため、この角部C4の丸め量R1は写真フイルム
の円滑な送り出しや引き出し抵抗等に与える影響が大き
い。このため、この角部C4の面取りによる丸め量は半
径R1=0.10〜0.60mmとされ、本実施例では
0.40mmとされている。また、リップ61cとフラン
ジ本体61eとのなす角度は、内側でθ2=81°〜8
9°とされ、外側では抜き勾配程度の角度θ3=90°
以上とされ、本実施例ではθ2=85°、θ3=90°
にしている。このため、リップ61cとこれに続く角部
C4とは他の部分に比べて少し肉厚になってしまうが、
これによって、写真フイルムを給送するときに、写真フ
イルムの側縁と角部C4とが接触することによる耐久性
に対し優れたものとなる。また、フランジ本体61eと
段差部61gとのなす角度θ4は90°〜135°とさ
れ、本実施例では100°とされている。
【0058】表3は、上記のような寸法とされた図10
に示すフランジ61に対し、各穴60による総開口面積
S1と、前記段差部61g及びこの段差部61gに囲ま
れたスプール軸取付部61fの総展開面積S2との比率
(S1/S2)を変えて、低温時のフイルム引き出し抵
抗を測定した一例を示す実験結果である。この表3から
判るように、開口比(S1/S2)が30%〜85%の
範囲で低温時のフイルム引き出し抵抗を低く抑えること
ができた。特に、好ましくは35%〜80%の範囲で、
より一層好ましくは40%〜75%の範囲である。な
お、表3における評価は「◎」・・・非常に優れてい
る、「○」・・・優れている、「●」・・・可(実用限
度内)、「▲」・・・問題あり改良必要、「×」・・・
実用不可の意味で用いている。
【0059】
【表3】
【0060】また、リップ61cの長さL1は、1.0
〜2.0mmの範囲がよく、好ましくは1.2〜1.8mm
の範囲がよい。なお、1.0mm未満では、写真フイルム
をグリップすることができず、写真フイルムの巻き径が
大きくなってしまい、スプール軸の回転によるフイルム
給送が不可能になる。このリップ61cの高さを変え
て、引き出し抵抗、フイルムを繰り出す力、耐久性、射
出成形性について、−20℃の低温下で実験した結果を
表4に示す。なお、表4において比較品は従来の製造方
法による真空成形品である。また、フイルム引き出し抵
抗を低く抑えることができる他に、フイルムを繰り出す
力は従来の真空成形で形成したフランジと同等以上とな
り、フランジの耐久性も従来の真空成形で形成したフラ
ンジより優れた結果が得られた。なお、評価の符号◎○
●▲×は表3と同じ意味を有する。
【0061】
【表4】
【0062】また、図7に示すような型内ゲートカット
方式は、ゲートカットを行うためのクリアランスを精度
良く保持して、切れ味を良好に保つことが困難となるば
かりでなく、金型構造が複雑になる。特に同時に多数個
を成形する場合には、金型の構造上から生産個数に限界
が生じるなど生産性の面でも不利となる欠点がある。こ
のため、型内ゲートカット方式に代えて、ゲート部分や
場合によってはランナーまでもそのまま付けて金型から
排出し、この成形品が常温近くまで下がった後に、打ち
抜き加工してフランジを得るようにしてもよい。この場
合には、同一型内に多数個のキャビティを作成すること
ができるから、より一層の大量生産が可能になり、しか
も金型構造が簡単になってメンテナンス性が向上する。
【0063】このように、射出成形した後に成形品を打
ち抜く場合には、打ち抜きを精度よく行うために、図1
2及び図13に示すように、射出成形時に成形品69の
スクラップとなる部分71に、打ち抜き加工用基準面7
2aとなる基準突起72をフランジ70に対し同心で形
成しておき、これを基準にして打ち抜き加工を行う。基
準突起72は、円錐体の頂部を底面に平行にカットした
截頭円錐体状に突出して形成される。そして、これの外
側斜面が打ち抜き加工用基準面72aとして用いられ、
この基準面72aをガイド面として打ち抜き型にセット
して位置決めする。これにより、打ち抜き線CUT1,
CUT2で精度良く打ち抜き加工することができ、スク
ラップ部分71,73が切り離され、真円度が優れセン
ターズレの小さい寸法精度のよいフランジ70が得られ
る。この打ち抜き加工用基準面72aとなるスクラップ
部分71はフランジ70となる部分よりも肉厚に形成す
ることにより、基準となる面72aをより強固にして、
精度のよい打ち抜きが可能になる。なお、外側斜面に代
えて内側斜面を基準面としてもよい。
【0064】図13に示すように、打ち抜き加工用基準
面72aはフランジ本体70eに対して角度θ5をθ5
=30°〜90°、好ましくはθ5=45°〜85°に
なるようにするとよい。また、この基準面は、截頭円錐
状の他に、図示は省略したが、円筒、円錐、角柱、角
錐、截頭角錐、半球等の立ち上がり部分である外側また
は内側の斜面を好ましく用いることができる。また、こ
のような斜面に代えて、十字形,L字形,円形等でその
断面がV字,U字,半円等の形状とされた突起や溝を形
成し、これら突起や溝の斜面を打ち抜き加工時の位置決
め用基準面として用いてもよい。なお、図12及び図1
3では、ラチェット用穴の無いフランジ70に本発明を
実施したものであるが、この他に、図9及び図11に示
すようなラチェット用穴を有するフランジ61,65に
対し本発明を実施してもよい。
【0065】このように射出成形した後に金型から出し
て常温で打ち抜き加工して構成され、図10に示す各部
の肉厚t1〜t5を0.15mmとし、各肉厚tc1〜t
c3を0.10mmとし、θ1=90°、θ2=85°、
θ3=90°、θ4=100°としたフランジを用いた
写真フイルムパトローネでは、フイルムの引き出し抵抗
が約200g から約150g となり、約25%減少し
た。また、写真フイルムを全長分繰り返して出し入れす
る耐久性テストでは約250回から約500回以上とな
り、約2倍ほど耐久性が向上した。また、写真フイルム
をパトローネ内に巻き込むときにバックテンションをか
けないで巻き込んだ場合の成功率は約50%から約75
%となり,約1.5倍ほど向上した。
【0066】図9,図11,図12で示した各実施例で
用いるフランジの材料としては、ナイロン変性PPE,
PS変性PPE,PO変性PPE,POM(ポリアセタ
ール),PC(ポリカードネイト),PA(ポリアミ
ド)等がある。ナイロン変性PPE,PO変性PPE,
POMについては、既に説明した図5,図6,図8の実
施例のものと同じものを用いる。また、PS変性PPE
は、市販のノリル(日本GEP(株)製),ザイロン
(旭化成工業(株)製)を、PCは市販のパンライト
(帝人化成(株)製),ユーピロン(三菱瓦斯化学
(株)製),レキサン(日本GEP(株)製),ノバレ
ックス(三菱化学(株)製)を、PAは6ナイロン・6
6ナイロン・12ナイロン・46ナイロン・非結晶ナイ
ロン・半芳香族ナイロン等の市販品を指す。更に、PP
SとPPEのアロイ、PPSとPBTのアロイ、PPE
とLCPとのアロイ、PPSにGF(ガラスファイバ
ー、ガラスビーズ)5〜30重量%を混入したもの等も
好ましく用いることができる。また、フランジの材料
に、シリコーンを添加してもよく、このシリコーンの添
加量としては、2重量%以内が好ましく、より好ましく
は1.5重量%以内である。この添加量が2重量%を越
えると、成形時に金型内に成分が析出してくるため、製
品の汚れや、エアーベントの詰まりによるヤケやショー
トショットなどの問題になる。このシリコーンは、P
E,PP,PS,AS,ABS,PC,PPO(変性も
含む),PA,POM,PET,PBT,PVC等に混
入して使用することができる。
【0067】なお、本実施例では、ゲートとしてダイレ
クトゲートであるスプルーゲートを示したが、ピンゲー
ト系のピンゲート,トンネルゲート,サブマリーンゲー
トを用いたり、フイルムゲート系のフイルムゲートやリ
ングゲートあるいはディスクゲートを用いることもでき
る。また、図13に拡大して示すように、基準突起72
には逆テーパー部分75が設けてあり、この逆テーパー
部分75により成形後の成形品の取出しが容易になるよ
うにしてある。
【0068】また、本発明のような薄肉の射出成形では
射出成形して製品にすること自体が従来は困難であった
が、図13(B)に示すように、ゲートに近い部分を肉
厚にし、且つ外周部分を余分にはみ出るようにして、こ
れらをスクラップ部分を後工程で打ち抜くことにより、
樹脂の流動性が良くなり射出成形自体を容易にし、生産
効率を高めることができる。しかも、フランジはより一
層肉薄のものが得られるようになる。
【0069】ところで、射出成形時、成形品であるフラ
ンジ27,28,54,61,65,70が金型に静電
吸着してしまい、取り出しにくいおそれがある。また写
真フイルム12の給送中に静電気による障害が発生する
おそれもある。そこで、フランジ27,28,54,6
1,65,70を成形する樹脂に帯電防止剤を混入する
ことで、前述した弊害を防止することが可能となる。
【0070】帯電防止剤としては、例えばポリ(オキシ
エチレン)アルキルアミン、ポリ(オキシエチレン)ア
ルキルアミド、ポリ(オキシエチレン)アルキルエーテ
ル、ポリ(オキシエチレン)アルキルフェニルエーテ
ル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エス
テル、アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホ
ネート、アルキルサルフェート、アルキルホスフェー
ト、第4級アンモニウムクロライド、第4級アンモニウ
ムサルファイト、第4級アンモニウムナイトレート、ア
ルキルベタイン型、アルキルイミダゾリン型、アルキル
アラニン型、ポリビニルベンジン型カチオン、ポリアク
リル酸型カチオン等がある。
【0071】また写真フイルム12との摩擦抵抗を更に
少なくするために、また写真フイルム12に光カブリ等
の悪影響を与えないようにするために、フランジ27,
28を成形する樹脂には、本発明の効果を損なわない範
囲で滑剤、遮光性物質、酸化防止剤、熱安定剤、さらに
は適宜の可塑剤や充填剤を必要に応じて加えることがで
きる。
【0072】フランジ27,28を成形する樹脂に用い
ることができる代表的な滑剤名と製造メーカー名を以下
に挙げる。 (1)シリコーン系滑剤 各種グレードのジメチルポリシロキサン及びその変性物
(信越シリコーン、東レシリコーン) (2)オレイン酸アミド滑剤 アーモスリップCP(ライオン・アクゾ)、ニュートロ
ン(日本精化)、ニュートロンE−18(日本精化)、
アマイドO(日東化学)、アルフロE :10(日本油
脂)、ダイヤミッドO−200(日本化成)、ダイヤミ
ッドC−200(日本化成)等
【0073】(3)エルカ酸アミド系滑剤 アルフロ−F−10(日本油脂)等 (4)ステアリン酸アミド系滑剤 アルフロ−S−10(日本油脂)、ニュートロン2(日
本精化)、ダイヤミッド200(日本化成)等 (5)ビス脂肪酸アミド系滑剤 ビスアマイド(日本化成)、ダイヤミッド200ビス
(日本化成)、アーモワックスBBS(ライオン・アク
ゾ)等 (6)非イオン界面活性剤系滑剤 エレクトロストリッパーTS−2、エレクトロストリッ
パー−TS−3(花王石鹸)等
【0074】(7)炭化水素系滑剤 流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロワックス、
合成パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレ
ンワックス、塩素化炭化水素、フルオロカーボン (8)脂肪酸系滑剤 高級脂肪酸(C12以上が好ましい)、オキシ脂肪酸 (9)エステル系滑剤 脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコ
ールエステル、脂肪酸のポリグリコールエステル、脂肪
酸の脂肪アルコールエステル
【0075】(10)アルコール系滑剤 多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール (11)金属石けん ラウリン酸、ステアリン酸、リシノール酸、ナフテン
酸、オレイン酸等の高級脂肪酸とLi、Mg、Ca、S
r、Ba、Zn、Cd、Al、Sn、Pb等の金属との
化合物
【0076】また、遮光性を確保するために添加される
遮光性物質としては以下のものが挙げられる。なお、現
像済み写真フイルム12だけを収納するタイプの写真フ
イルムパトローネ10では遮光性物質を添加する必要は
ない。 (1)無機化合物 A.酸化物 シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸
化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、バリウム
フェライト、ストロンチウムフェライト、酸化ベリリウ
ム、軽石、軽石バルーン、アルミナ繊維等 B.水酸化物 水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸
マグネシウム等 C.炭酸塩 炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、ドー
ソナイト等
【0077】D.(亜)硫酸塩 硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜
硫酸カルシウム等 E.ケイ酸塩 タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガ
ラスバルーン、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モン
モリロナイト、ベントナイト等 F.炭素 カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素中空
球等 G.その他 鉄粉、銅粉、鉛粉、錫粉、ステンレス粉、パール顔料、
アルミニウム粉、硫化モリブデン、ボロン繊維、炭化ケ
イ素繊維、黄銅繊維、チタン酸カリウム、チタン酸ジル
コン酸鉛、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸カ
ルシウム、ホウ酸ナトリウム、アルミニウムペースト、
タルク等 (2)有機化合物 木粉(松、樫、のこぎり屑等)、穀繊維(アーモンド、
ピーナッツ、モミ殻等)、着色した各種の繊維例えば木
綿、ジュート、紙細片、セロハン片、ナイロン繊維、ポ
リプロピレン繊維、デンプン、芳香族ポリアミド繊維等
【0078】これらの遮光性物質の中で、ブリードアウ
ト量を減少させることができるのでカーボンブラックが
好ましい。含有量としては0.01重量%以上が好適で
ある。特に好ましいカーボンブラックの原料による分類
例を挙げると、ガスブラック、ファーネスブラック、チ
ャンネルブラック、アントラセンブラック、アセチレン
ブラック、ケッチェンカーボンブラック、ランプブラッ
ク、油煙、松煙、アニマルブラック、ベジタブルブラッ
ク等がある。
【0079】遮光性、コスト、物性向上の目的ではファ
ーネスカーボンブラックが好ましく、高価であるが帯電
防止効果を有する遮光性物質としてはアセチレンカーボ
ンブラック、変性合成カーボンブラックであるケッチェ
ンカーボンブラックが好ましい。必要により、前者と後
者とを必要特性にしたがってミックスすることも好まし
い。
【0080】遮光性物質を配合する形態は種々あるが、
マスターバッチ法がコスト、作業場の汚染防止等の点で
好ましい。特公昭40−26196号公報には有機溶媒
に溶解した重合体の溶液中にカーボンブラックを分散さ
せて重合体−カーボンブラックのマスターバッチを作る
方法が記載され、特公昭43−10362号公報にはカ
ーボンブラックをポリエチレンに分散してマスターバッ
チを作る方法が記載されている。
【0081】フランジ27,28等の写真感光材料用成
形品として使用する上で写真フイルム12等の写真感光
材料に対してカブリの発生がなく、感光度の増減の発生
が少なく、遮光能力が大きく、樹脂組成物中に添加した
場合でもカーボンブラックの塊(ブツ)の発生やフィッ
シュアイ等によるピンホールが発生しにくい点で、カー
ボンブラックの中でもpH6.0〜9.0、平均粒子径
10〜120μmのものが好ましく、これらの中でも特
に揮発成分が2.0%以下、吸油量が50ml/100
g以上のファーネスカーボンブラックが好ましい。チャ
ンネルカーボンブラックは高価な上に、写真フイルム1
2にカブリを発生させるものが多く好ましくない。どう
しても使用する必要がある場合でも、写真性に及ぼす影
響を調査して選択すべきである。
【0082】好ましいカーボンブラックの市販品として
は、例えば三菱化学製のカーボンブラック♯20
(B)、♯30(B)、♯33(B)、♯40(B)、
♯44(B)、♯45(B)、♯50、♯55、♯10
0、♯600、♯950、♯1000、♯2200
(B)、♯2400(B)、MA8、MA11、MA1
00等が挙げられる。
【0083】海外の製品としては、例えばキャボット社
のBlack Pearls 2、46、70、71、74、80、
81、607等、Regal 300、330、400、66
0、991、SRF−S等、Vulcan 3、6等、Sterli
ng 10、SO、V、S、FT−FF、MT−FF等が
挙げられる。さらに、アシュランドケミカル社のUni-te
d R、BB、15、102、3001、3004、3
006、3007、3008、3009、3011、3
012、XC−3016、XC−3017、3020が
挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0084】遮光性物質の添加量は、好ましくは0.1
〜15重量%、より好ましくは0.5〜10重量%、最
も好ましくは1.0〜7.0重量%の範囲である。
【0085】また、樹脂の熱劣化防止及びフィッシュア
イやブツ(塊状の不均一故障)の発生を防止するため
に、酸化防止剤を添加することが好ましい。酸化防止剤
の代表例を以下に示す。
【0086】(イ)フェノール系酸化防止剤 6−t−ブチル−3−メチルフェニール誘導体、2・6
−ジ−t−ブチル−Pクレゾール、2,6−t−ブチル
−4−エチルフェノール、2・2’−メチレンビス−
(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4・4’
−ブチリデンビス(6−t−ブチル−m−クレゾー
ル)、4・4’−チオビス(6−t−ブチル−m−クレ
ゾール)、4・4−ジヒドロキシジフェニルシクロヘキ
サン、アルキル化ビスフェノール、スチレン化フェノー
ル、2・6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、
n−オクタデシル−3−(3’・5’−ジ−t−ブチル
−4’−ヒドロキシフェニル)プロピネート、2・2’
−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノー
ル、
【0087】4・4’−チオビス(3−メチル−6−t
−ブチルフェニール)、4・4’−ブチリデンビス(3
−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ステアリル−
β(3・5−ジ−4−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート、1・1・3−トリス(2−メチル
−4ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1
・3・5トリメチル−2・4・6−トリス(3・5−ジ
−t−ブチル−4ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テト
ラキス〔メチレン−3(3’・5’−ジ−t−ブチル−
4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン
【0088】(ロ)ケトンアミン縮合系酸化防止剤 6−エトキシ−2・2・4−トリメチル−1・2−ジヒ
ドロキノリン、2・2・4−トリメチル−1・2−ジヒ
ドロキノリンの重合物、トリメチルジヒドロキノリン誘
導体 (ハ)アリルアミン系酸化防止剤 フェニル−α−ナフチルアミン、N−フェニル−β−ナ
フチルアミン、n−フェニル−N’−イソピロピル−P
−フェニレンジアミン、N・N’−ジ−β−ナフチル−
P−フェニレンジアミン、N−(3’−ヒドロキシブチ
リデン)−1−ナフチルアミン
【0089】(ニ)イミダゾール系酸化防止剤 2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベ
ンゾイミダゾールの亜鉛塩、2−メルカプトメチルベン
ゾイミダゾール (ホ)ホスファイト系酸化防止剤 アルキル化アリルホスファイント、ジフェニルイソデシ
ルフォスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファ
イト亜リン酸ソーダ、トリノニルフェニルフォスファイ
ト、トリフェニルフォスファイト (ヘ)チオ尿素系酸化防止剤 チオ尿素誘導体、1・3−ビス(ジメチルアミノプロピ
ル)−2−チオ尿素 (ト)その他空気酸化に有用な酸化防止剤 チオジプロピオン酸ジラウリル
【0090】次に、代表的な市販酸化防止剤を以下に示
す。 (1)フェノール系酸化防止剤 SUMILIZER BHT(住友) 、IRGANOX 1076( チバガイギー)
、MARK AO-50 (アデカ・アーガス) 、SUMILIZER BP-76
(住友) 、TOMINOX SS (吉富) 、IRGANOX 565(チバガイ
ギー) 、IONOX WSP(ICI)、SANTONOX(Monsanto)、SUMILI
ZER WX R (住友)、ANTAGECRYSTAL(川口) 、IRGANOX 103
5 (チバガイギー) 、ANTAGE W-400 (川口) 、NOCLIZER
HS-6(大内新興) 、IRGANOX 1425 WL(チバガイギー) 、M
ARK AO-80(アデカ・アーガス) 、SUMILIZER GA-80(住
友) 、TOPANOL CA(ICI) 、MARK AO-30 (アデカ・アーガ
ス) 、MARK AO-20 (アデカ・アーガス) 、IRGANOX 3114
(チバガイギー) 、MARK AO-330(アデカ・アーガス) 、
IRGANOX 1330 (チバガイギー) 、CYANOX 1790(ACC)、IR
GANOX 1010 (チバガイギー) 、MARK AO-60 (アデカ・ア
ーガス) 、SUMILIZER BP-101 (住友) 、TO-MINOX (吉
富)
【0091】(2)燐系酸化防止剤 IRGAFOS 168(チバガイギー) 、MARK 2112(アデカ・アー
ガス) 、WESTON 618(ボルグワーナー) 、MARK PEP-8
(アデカ・アーガス) 、ULTRANOX 626 (ボルグ・ワーナ
ー) 、MARK PEP-24G(アデカ・アーガス) 、HCA(三光) (3)チオエーテル系酸化防止剤;DLTDP "YOSHITOMI"
(吉富) 、SUMILIZER(住友) 、ANTIOX L (日油) 、DMTD
"Y-OSHITOMI"(吉富) 、SUMILIZER TPM(住友) 、ANTIOX
M (日油) 、DSTP "YOSHITO-MI"(吉富) 、SUMILIZER TPS
(住友) 、ANTIOX S (日油) 、SEENOX 412S(シプロ)、MA
RK AO-412 S(アデカ・アーガス) 、SUMILIZER TP-D (住
友) 、MARK AO-23(アデカ・アーガス) 、SANDSTABP-EPQ
(サンド) 、IRGAFOS P-EPQ FF (チバガイギー) 、IRGAN
OX 1222 (チバガイギー) 、MARK 329K(アデカ・アーガ
ス) 、WES T-ON399(ボルグ・ワーナー) 、MARK 260 (ア
デカ・アーガス) 、MARK 522A(アデカ・アーガス) (4)金属不活性化剤 NAUGARD XL-1 (ユニロイヤル) 、MARK CDA-1 (アデカ・
アーガス) 、LRGANOX-MD-1024(チバガイギー) 、CUNOX
(三井東圧)
【0092】特に好ましい酸化防止剤は、フェノール系
の酸化防止剤であり、市販品としてはチバガイギー社の
イルガノックス各種と住友化学(株)のSumilizer BHT
、S-umilizer BH-76、Sumilizer WX-R、Sumilizer BP-
101等である。又フェノール系の酸化防止剤及び/又は
燐系酸化防止剤を2種類以上ミックスして用いると酸化
防止効果が大きくなるので好ましい。
【0093】本発明に最も好ましいヒンダードフェノー
ル系酸化防止剤の代表例を以下に示す。1,3,5−ト
リメチル2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチ
ル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス
〔メチレン−3−(3’・5’−ジ−tert−ブチル−
4’−ヒドロキシフェニル)プロビオネート〕メタン、
オクタデシル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロ
キシ−ヒドロシンナメート、2,2’,2’−トリス
〔(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオニルオキシ〕エチルイソシアヌレート、
1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキ
シ−2,6−ジ−メチルベンジル〕イソシアヌレート、
テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)4,
4’−ビフェニレンジ亜リン酸エステル、
【0094】4,4’:チオビス−(6−tert−ブチル
−O−クレゾール)、2−2’チオビス(6−tert−ブ
チル−4−メチルフェノール)、トリス−(2−メチル
−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタ
ン、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−te
rt−ブチルフェノール)、4,4’−メチレン−ビス−
(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−
ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフ
ェノール)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフ
ェノール、4−ヒドロキシ・メチル−2,6−ジ−tert
−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−4−n−ブチ
ルフェノール、
【0095】2,6−ビス(2’−ハイドロキシ−3’
−tert−ブチル−5’−メチルベンジル)−4−メチル
フェノール、4,4’−メチレン−ビス−(6−tert−
ブチル−O−クレゾール、4,4’−ブチリデン−ビス
(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、3・9−ビス
{1・1−ジメチル−2−〔β−(3−t−ブチル−4
−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキ
シ〕エチル}2,4・8,10−テトラオキサスピロ
〔5,5〕ウンデカン等が挙げられる。これらの中でも
融点が100°C以上、特に120°C以上のものが好
ましい。また、燐系酸化防止剤と併用することが効果的
である。
【0096】その他、本発明では必要により各添加剤を
用いることができる。次に、添加剤の代表例を以下に記
載するが、本発明ではこれに限定されるものではなく、
公知のあらゆるものの中から選択できる。 (添加剤種類);(代表例) (1)可塑剤;フタル酸エステル、グリコールエステ
ル、脂肪酸エステル、リン酸エステル等 (2)安定剤;鉛系、カドミウム系、亜鉛系、アルカリ
土類金属系、有酸スズ系等 (3)難燃剤;燐酸エステル、ハロゲン化燐酸エステ
ル、ハロゲン化物、無酸物、含燐ポリオール等 (4)充填剤;アルミナ、カオリン、クレー、炭酸カル
シウム、マイカ、タルク、酸化チタン、シリカ等 (5)補強剤;ガラスロービング、金属繊維、ガラス繊
維、ガラスミルドファイバー、炭素繊維等
【0097】(6)発泡剤;無機発泡剤(炭酸アンモニ
ア、重炭酸ソーダ)、有機発泡剤(ニトロン系、アゾ
系)等 (7)加硫剤;加硫促進剤、促進助剤等 (8)劣化防止剤;紫外線吸収剤、酸化防止剤、金属不
活性化剤、過酸化物分解剤等 (9)カップリング剤;シラン系、チタネート系、クロ
ム系、アルミニウム系等 (10)各種の熱可塑性樹脂;ゴム系 (11)造核剤;有機造核剤(ジベンジリデンソルピト
ール化合物等)、無機造核剤(炭酸カルシウム等)
【0098】さらに、本発明に含まれる好適な実施態様
としては、以下のものがある。 (1)ナイロン変性PPEは、ナイロンを30〜70重量
%、PPEを20〜70重量%、熱可塑性エラストマーを0
〜20重量%の組成比で構成されていることを特徴する請
求項2記載の写真フイルムパトローネ。 (2)ポリオレフィン変性PPEは、ポリオレフィンを
30〜70重量%、PPEを20〜70重量%、熱可塑性エラス
トマーを0〜20重量%の組成比で構成されていることを
特徴する請求項3記載の写真フイルムパトローネ。
【0099】なお、上記実施例では、スプール軸26に
取り付けるフランジ27,28のリップ27b,28c
は同じ長さで形成したが、この長さは左右で変えるよう
にしてもよい。同じ長さにする場合には、ラチェット用
穴28bを有する側のフランジ28が穴28bを形成し
た分だけ、他方の穴の無いフランジ27bに比べて剛性
が低下してしなやかになる。このため、写真フイルムを
巻き取る時に、写真フイルムが穴28bのあるフランジ
28側に寄り、写真フイルムの蛇行を少なくすることが
できる。これにより、蛇行が少なくなるため、写真フイ
ルムの巻き姿がよくなる。また、左右のフランジのリッ
プの長さを意識的に変えることにより、左右のフランジ
でしなやかさを変えフイルムの偏りが一定になるように
してもよい。
【0100】
【発明の効果】以上に説明したとおり、本発明では、フ
ランジを射出成形によって形成するようにしたから、従
来技術と比較して設備のローコスト化、及び縮小化が図
れ、しかも高速・大量・自動化生産が可能であり、寸法
精度が高く、品質の安定した成形品が得られる。
【0101】射出圧縮成形によれば、金型内で溶融状態
の樹脂の前面に均一な圧縮が加わるので、反りが起こり
にくく、しかも成形収縮の少ない成形品を得やすいか
ら、薄肉円板状のフランジを歪みの少ない状態で得るこ
とができる。また、型内ゲートカットを採用した場合に
は、成形後のゲートカット工程が省略できるとともに、
ゲートサイズを大きくできるので低圧で成形でき、フラ
ンジの残留歪みが低減できる。
【0102】また、型内ゲートカットの代わりに、射出
成形した後に打ち抜き加工によりフランジを得るように
すると、型内ゲートカット方式のものに比べて金型の構
成を簡単にすることができ、しかも同一型内に多数のキ
ャビティを形成することができより一層の大量生産が可
能になる。しかも、スクラップ部分に打ち抜き加工用基
準面を形成したから、基準面により打ち抜き型内に精度
良く位置決めされ、真円度が優れセンターズレの小さい
寸法精度の高いフランジを得ることができる。しかも、
ゲートカットのような高温時の打ち抜きの際に発生しや
すいダレやバリの懸念がなく、切り口のきれいなフラン
ジを得ることができる。また、フランジの外周側にもス
クラップ部分を形成して、打ち抜き加工によりこの外周
側のスクラップ部分を打ち抜く場合には、射出成形品の
外周部分に発生し易いバリやショートショットのような
不良箇所を打ち抜きによって除去することができ、外周
の寸法精度のよいフランジを得ることができる。しか
も、バリやショートショットによる不良が無くなるの
で、得率のよい生産を行うことができる。
【0103】フランジには、リップと反対側に突出した
段差部を形成し、この段差部にまたがるようにラチェッ
ト用穴を形成したから、低温下においてもフランジのし
なやかさを損なうことがない。したがって、低温下にお
けるフイルム引き出し抵抗が増大することがなく、低温
下における性能低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の写真フイルムパトローネを示す分解斜
視図である。
【図2】写真フイルムパトローネの左側面図である。
【図3】写真フイルムパトローネの右側面図であり、一
部を破断して示している。
【図4】スプールの断面図である。
【図5】一方側のフランジの側面図である。
【図6】他方側のフランジの側面図である。
【図7】型内ゲートカットの概略説明図である。
【図8】ラチェット爪に係合する部分を直線形状とした
穴を有する別の実施例のフランジを示す側面図である。
【図9】低温下におけるフイルム引き出し抵抗を低くす
るようにした別の実施例のフランジを示す斜視図であ
る。
【図10】同フランジの断面図である。
【図11】別の実施例におけるフランジのラチェット用
穴を示す拡大断面図である。
【図12】射出成形した後に打ち抜き加工する別の実施
例における射出成形品と、打ち抜き加工により切り離さ
れたフランジとスクラップ部分とを示す斜視図である。
【図13】同実施例における射出成形品の一例を示し、
(A)は平面図、(B)は断面図である。
【符号の説明】
10 写真フイルムパトローネ 11 パトローネ 12 写真フイルム 13 スプール 26 スプール軸 27,28,54,61,65,70 フランジ 27a,28a 開口 27b,28c,61c リップ 27g,28g,61g,65g 段差部 28b,53,60,66 穴
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29C 45/00 8823−4F

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 写真フイルムをロール状に巻回したスプ
    ール軸と、このスプール軸に取り付けられる一対のフラ
    ンジと、写真フイルムの最外周側縁部を包み込むように
    フランジの少なくとも一方の外周に一体に形成され、写
    真フイルムの巻き緩みを防止するリップとを備えた写真
    フイルムパトローネにおいて、 前記リップを有するフランジは、外径15mm以上、厚み
    0.3mm以下、輪郭が円形となる最大の投影面積が10
    0mm2 以上の形状で射出成形されており、熱変形温度が
    18.6kg/cm2で80°C以上、曲げ弾性率が13,000Kg/cm2
    30,000Kg/cm2、表面硬さがロックウェルRスケールで8
    0以上の物性値を有し、且つ金型内での流動性に優れた
    樹脂が用いられていることを特徴とする写真フイルムパ
    トローネ。
  2. 【請求項2】 前記樹脂は、ナイロンをPPE(ポリフ
    ェニルエーテル)にブレンドしたナイロン変性PPEで
    あることを特徴とする請求項1記載の写真フイルムパト
    ローネ。
  3. 【請求項3】 前記樹脂は、ポリオレフィンをPPE
    (ポリフェニルエーテル)にブレンドしたポリオレフィ
    ン変性PPE、又はポリアセタールであることを特徴と
    する請求項1記載の写真フイルムパトローネ。
  4. 【請求項4】 前記フランジの内壁に円周方向に沿って
    2個以上で形成された穴と、前記スプール軸に設けら
    れ、このスプール軸のフイルム送り出し方向への回転の
    際には前記穴に係合してスプール軸の回転を前記フラン
    ジに伝達させ、スプール軸の逆方向への回転の際には前
    記穴を乗り越えてスプール軸の回転を前記フランジに伝
    達させないラチェット爪とを備え、前記穴は、少なくと
    も前記ラチェット爪に係合する部分のみが直線形状で形
    成されていることを特徴とする請求項1ないし3いずれ
    か1つ記載の写真フイルムパトローネ。
  5. 【請求項5】 前記フランジは前記リップと反対側に
    突出した段差部を有し、この段差部にまたがるように前
    記穴を形成したことを特徴とする請求項4記載の写真フ
    イルムパトローネ。
  6. 【請求項6】 前記穴による総開口面積(S1)と、前
    記段差部及びこの段差部に囲まれたスプール軸取付部の
    総展開面積(S2)との比率(S1/S2)を30〜8
    5%としたことを特徴とする写真フイルムパトローネ。
  7. 【請求項7】 前記射出成形は、ゲートシール後に金型
    内を圧縮して成形する射出圧縮成形であることを特徴と
    する請求項1ないし6いずれか1つ記載の写真フイルム
    パトローネ。
  8. 【請求項8】 前記フランジは、中央にスプール軸に嵌
    合する円形の開口が形成されており、この開口に相当す
    る部分の金型に設けた中央ゲートから射出成形し、その
    後、射出成形の成形工程中に金型内で中央ゲート部分を
    カットして前記開口を形成する型内ゲートカットによっ
    て成形されることを特徴とする請求項1ないし6いずれ
    か1つ記載の写真フイルムパトローネ。
  9. 【請求項9】 前記フランジは、スクラップ部分に打ち
    抜き基準面を有するように射出成形され、射出成形後の
    成形品に対して打ち抜き基準面を基準にして打ち抜き加
    工することを特徴とする請求項1ないし7いずれか1つ
    記載の写真フイルムパトローネ。
  10. 【請求項10】 前記打ち抜き基準面を、フランジの中
    央のスプール軸嵌合用の円形開口となるスクラップ部分
    に、フランジの中心に合致させて形成した截頭錐体状の
    基準突起の斜面から構成したことを特徴とする請求項9
    記載の写真フイルムパトローネ。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0898198A3 (en) * 1997-08-19 2000-01-26 Fuji Photo Film Co., Ltd. Photo film cassette

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0898198A3 (en) * 1997-08-19 2000-01-26 Fuji Photo Film Co., Ltd. Photo film cassette

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