JPH081449B2 - アラン分散測定器 - Google Patents

アラン分散測定器

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JPH081449B2
JPH081449B2 JP5141790A JP5141790A JPH081449B2 JP H081449 B2 JPH081449 B2 JP H081449B2 JP 5141790 A JP5141790 A JP 5141790A JP 5141790 A JP5141790 A JP 5141790A JP H081449 B2 JPH081449 B2 JP H081449B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、アラン分散測定器(アラン分散測定装置と
もいう。)に係る。
このアラン分散の測定器は、発振器のもつごくわずか
な周波数の揺らぎを高精度に測定する装置であり、通信
計測分野においてはRb原子発振器やCs原子発振器等のマ
イクロ波周波数標準の評価に,また光計測分野において
は高安定なレーザ光源の周波数安定度の評価装置として
利用される。さらに、つぎの世代の通信方式として研究
が進められている光ヘテロダイン通信用レーザ光源の周
波数安定度の評価にも用いられるものである。
〔従来の技術〕
アラン分散は、発振器の周波数安定度を表す一つの指
標であり,一般に次のように定義される。
第4図に示すように、まず時間的に周波数が変化して
いる信号源において、その周波数のτ時間平均値
順次得る。連続する2個の周波数のτ時間の平均値
についての標本標準偏差の2乗は、 となるが、アラン分散はこれをN個の平均値に対し
計算を行ない、それらを平均したもので、 で表される。ここで、τは信号源のτ時間における公
称周波数である。
一般に周波数安定度を表すにはσ(τ)すなわち、
(2)式の平方根が用いられている。アラン分散は
(2)式に示されるように、平均された周波数データ数
Nと積分時間τの二つの変数の関数で表され、さらに定
義として測定の空き時間、すなわち第4図で
k+1の積分領域の境界部分の時間がゼロであることが要
求されている。
第5図は、従来のアラン分散測定器の構成を示す一実
施例で、入力信号Saは波形整形機能を有する検出器1に
より矩形波信号Sbに変換される。この信号Sbを周波数カ
ウンタ部2で計数し、メモリ3に一旦データを蓄えた
後、データ処理部4でアラン分散値を計算する方法が用
いられている。さらに詳しく述べると、前記検出器1を
通して矩形化された矩形波信号Sbは、前記周波数カウン
タ部2内のカウンタ5に入力され、立上り信号数が計数
・累積される。このカウンタ5に累積された立上り信号
数の計数値fは、計数タイミング信号発生器6におい
て設定された周期τ秒のラッチ信号Scにより、τ秒毎に
ラッチ回路7に送られる。ここで、立上り信号の度数を
計数する前記カウンタ5は前記ラッチ信号Scとは無関係
に前記矩形波信号Sbの立上り信号の度数を計数し続けて
おり、従って時間τの計数と次の時間τの計数との間に
は、アラン分散の定義どおり、空き時間は発生しない方
法がとられている。
しかしながら、第6図に示すように、この立上り信号
を計数する場合、設定時間τの計数開始時あるいは計数
終了時のタイミングのずれにより、1カウントの数え落
し、あるいは、数え過ぎによる±1の丸め誤差が発生す
ることは避けられない構成になっていた。
この丸め誤差により、アラン分散測定器の安定度測定
限界が決定され、その値は、 となる。ここでfLは1秒間の入力信号Saの公称周波数で
ある。例えば、fLが5MHzの周波数入力の場合、τ=1秒
の積分時間では2×10-7のアラン分散平方根以下の安定
度は測定不能となる。
アラン分散測定装置に関する文献としては、次のもの
が知られている。
(1)「レーザ周波数安定度の実時間測定装置」椎尾、
大津、田幸:電子通信学会技術研究報告OQE80−52(198
0) (2)「レーザ周波数安定度の実時間測定装置の試作」
椎尾、大津、田幸:電子通信学会論文誌VOL.J64−C NO.
3(1981)PP.204〜208 (3)「周波数オフセットロックシステムの性能評価」
加藤、久保木、大津:レーザ・原子発振器の周波数制御
と応用、第2回シンポジウム予稿(1987) 〔発明が解決しようとする課題〕 本発明は、従来技術において発生する±1カウントの
丸め誤差を低減することを課題とし、この丸め誤差によ
り制限されていた周波数安定度測定限界を改善したアラ
ン分散測定器を実現することを目的としている。
〔課題を解決するための手段〕
本発明では、上記課題に対して次の技術手段を用いて
解決している。従来は、第5図に示すように、入力信号
Saを波形整形機能を有する検出器1に通して矩形波信号
Sbに変換し、この矩形波信号Sbの立上りをカウンタ5に
より計数していたのに対し、本発明は、第1図に示すよ
うに、入力信号Saの周波数fLと同程度の参照周波数fR
電気信号を出力する発振器8の出力信号の立上りをカウ
ンタ5で累積計数する。差周波数出力回路10により前記
入力信号Saの周波数fLと前記発振器8の出力信号fRとの
差の差周波数fBの電気信号(以下、差周波数信号Seとい
う。)を得て、この差周波数信号Seに基づく信号、すな
わち、差周波数信号Seそのもの、または差周波数信号Se
の波数を計数するなどして得られた信号をラッチ信号Sc
として、前記カウンタ5で累積計数されている値をラッ
チ回路7にラッチする。このラッチされた計数値をもと
にしてデータ処理部4によりアラン分散値を算出する。
このような方式により前記入力信号Saの周波数安定度を
測定した場合、該入力信号Saの周波数揺らぎを持つ前記
差周波数信号Seの周波数fBの逆数すなわち、差周波数信
号Seの周期を積分時間τとして測定していることにな
り、測定すべき入力信号Saの周波数揺らぎは、この積分
時間τの揺らぎとして前記発振器8の出力電気信号を計
数することで測定される。この際に発生する丸め誤差
は、前記カウンタ5により計数された±1カウントであ
るが、前記入力信号Saと前記発振器8の周波数は同程度
であり、したがって、両方の差の周波数である前記差周
波数信号Seは発振器8の出力信号周波数fRに比べて十分
低い周波数であるため、この±1カウントの丸め誤差を
入力信号Saの周波数fLに対する丸め誤差Eに換算する
と、 E=fB/fR ……(4) となる。したがって、(4)式で得られる丸め誤差に制
限される本発明のアラン分散測定器の安定度測定限界
は、 となる。例えば、前記入力信号Saの周波数fLを5MHzと
し、前記発振器8の出力信号周波数fBを4.999MHzに設定
して、前記差周波数信号Seを周波数fR=1KHzで測定した
場合、その安定度測定限界はτ=1秒の場合で4×10
-11を得ることができる。
この値は、従来技術におけるfL=5MHzの場合の安定度
測定限界2×10-7に比べ3桁以上向上したものとなって
いる。
〔実施例〕
第1図は本発明に係るアラン分散測定器の構成を示す
基本的な第1の実施例であり、更に第2図は本発明に係
るアラン分散測定器の第2の実施例である。入力信号Sa
を波形整形機能を有する検出器1で検知し、該入力信号
Saと同じ周波数fLの繰返し周期を持つ矩形波信号Sbに変
換する。
また、入力信号Saの周波数fLと同程度の発振周波数fR
の電気信号が発振器8から該入力信号Saとは独立して出
力される。この発振器8から出力される周波数fRと前記
矩形波信号Sbの周波数fLとの差の周波数fBの電気信号、
すなわち、差周波数信号Seを差周波数出力回路10により
得る。発振器8より出力された出力信号はカウンタ5で
常に累積計数され続けており、この計数値は、第1の実
施例では差周波数信号Se、また第2の実施例では計数タ
イミング信号発生器6の出力信号であるラッチ信号Scに
よりラッチ回路7にラッチされる。この計数タイミング
信号発生器6からのラッチ信号Scの出力タイミングは、
前記差周波数信号Seを計数タイミング信号発生器6によ
り計数し、該差周波数信号Seの周期の整数倍の時間に対
応していて、かつ、設定されたアラン分散値を測定する
積分時間τのうち、最小時間単位τminに対応するn計
数毎にラッチ信号Scを出力する。
すなわち、前記差周波数信号Seの周波数fBが1KHzで、
最小積分時間τminを1/100から測定しようとする場合、
該差周波数信号Seの10波数で1/100秒となるためnは10
となる。前記ラッチ回路7にラッチされた前記カウンタ
5の計数値は、第1の実施例ではデータ処理部4に送ら
れるが、第2の実施例ではラッチが更新される毎にメモ
リ3に記憶される。このラッチ回路7による計数値のラ
ッチと,その記憶動作は、ラッチ信号Scを計数する測定
データ数計数器9の計数値が、M(アラン分散値を測定
する最大積分時間τmaxが,最小積分時間τminを何回集
めて構成できるか、また何回の最大積分時間τmaxの測
定によりアラン分散値を算出するかで決定される)の値
に等しくなるまで続けられる。
したがって、Mは である。すなわち、τmin=1/100秒で、τmaxが10秒で
あり、τmaxの測定回数が10回である場合のMの値は10,
000である。
このMにラッチ信号Scの計数値が等しくなったとき、
前記測定データ数計数器9はデータ処理部4にデータ処
理開始信号Sdを出力する。
このデータ処理開始信号Sd受領したデータ処理部4
は、前記メモリ3に記憶されている計数値のデータを基
にアラン分散値の算出を行う。この算出は、τminから
τmaxまでの所定の値に対して行われ、メモリ3に記憶
されている計数値は前記カウンタ5の累積値であるた
め、あらかじめ1つの累積計数値からその直前のτmin
で計数した累積値を引き、実際にτminの時間で計数し
た値Dに変換する。
所定のτ値の間の計数値は、τ/τmin個のD値の和
であるから、この和によりτ時間の計数値を算出し、τ
時間のアラン分散の計算に必要なτ時間におけるN個の
計数値データを作成する。このように算出したτ時間の
計数値は、前記発振器8の計数値であるから、前記差周
波数信号Seと発振器8の周波数比であるfB/fRの計数を
各τ時間の計数値に乗算して、差周波数信号Seのτ時間
の波数を最初に求め、その値と発振器8の出力信号のτ
時間における波数との和(fL>fRの場合)、あるいは、
差(fL<fRの場合)をとり、前記入力信号Saのτ時間に
おける周波数計数値を求める。その値を基に(2)式
を使ってアラン分散を算出する。
〔発明の効果〕
第3図に、入力信号5MHz時における、従来技術と本発
明によるアラン分散測定器の周波数安定度測定限界の比
較を示す。同図内aが従来技術による測定限界を示す直
線で,bが本発明による発振器の周波数を4.999MHzに設定
した場合の測定限界を示す直線である。本図に示されて
いるように従来技術における±1カウントの丸め誤差に
起因する安定度測定限界を、本発明の丸め誤差を低減す
る手法を用いることにより、3桁以上向上させることが
できた。この限界は入力信号の周波数及び発振器の出力
信号周波数の差の周波数をさらに低い周波数にするか、
あるいは、発振器の周波数を高めることによりさらに改
善することが可能である。
また、本発明と従来技術のアラン分散測定器を組合せ
ることにより,安定度の非常に悪い発振器から高い精度
の発振器までの安定度が測定ができるダイナミックレン
ジの広いアラン分散測定器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第1の実施例の構成図、第2図は本発
明の第2の実施例の構成図、第3図は従来技術と本発明
のアラン分散測定器の周波数安定度測定限界についての
比較を示す図、第4図は時間的に周波数が変化する信号
を示す図、第5図は従来技術によるアラン分散測定器の
構成を示す図、第6図は従来技術によるアラン分散測定
器の丸め誤差を説明する図である。 図において、1は検出器、2は周波数カウンタ部、3は
メモリ、4はデータ処理部、5はカウンタ、6は計数タ
イミング信号発生器、7はラッチ回路、8は発振器、9
は測定データ数計数器、10は差周波数出力回路をそれぞ
れ示す。 aは従来技術による周波数安定度測定限界を示す直線、
bは本発明による周波数安定度測定限界を示す直線、Sa
は入力信号、Sbは短形波信号、Scはラッチ信号、Sdはデ
ータ処理開始信号、Seは差周波数信号をそれぞれ示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】周波数の揺らぎを持つ入力信号を受領し波
    形整形して2値の電気信号を出力する検出器(1)と、 参照用周波数信号を出力する発振器(8)と、 該発振器と前記検出器とから出力される各々の信号を受
    領し、その差周波数の電気信号を出力する差周波数出力
    回路(10)と、 前記発振器の出力信号を計数するカウンタ(5)と、 前記差周波数出力回路の出力電気信号に基づくラッチ信
    号を受領し、前記カウンタの出力信号をラッチするラッ
    チ回路(7)と、 該ラッチ回路にラッチされた前記カウンタの計数値を受
    領し、前記周波数の揺らぎを持つ入力信号のアラン分散
    値を計算するデータ処理部(4)とを備え、 前記入力信号の周波数の揺らぎを1波数以内の誤差で測
    定するアラン分散測定器。
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