JPH08144964A - 内接式ギヤポンプ - Google Patents
内接式ギヤポンプInfo
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- JPH08144964A JPH08144964A JP28847894A JP28847894A JPH08144964A JP H08144964 A JPH08144964 A JP H08144964A JP 28847894 A JP28847894 A JP 28847894A JP 28847894 A JP28847894 A JP 28847894A JP H08144964 A JPH08144964 A JP H08144964A
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- JP
- Japan
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- rotor
- electroless nickel
- gear pump
- internal gear
- coating layer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
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Classifications
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F04—POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
- F04C—ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT PUMPS
- F04C2/00—Rotary-piston machines or pumps
- F04C2/08—Rotary-piston machines or pumps of intermeshing-engagement type, i.e. with engagement of co-operating members similar to that of toothed gearing
- F04C2/10—Rotary-piston machines or pumps of intermeshing-engagement type, i.e. with engagement of co-operating members similar to that of toothed gearing of internal-axis type with the outer member having more teeth or tooth-equivalents, e.g. rollers, than the inner member
- F04C2/102—Rotary-piston machines or pumps of intermeshing-engagement type, i.e. with engagement of co-operating members similar to that of toothed gearing of internal-axis type with the outer member having more teeth or tooth-equivalents, e.g. rollers, than the inner member the two members rotating simultaneously around their respective axes
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Rotary Pumps (AREA)
- Details And Applications Of Rotary Liquid Pumps (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 インナーロータとアウターロータとの摺動抵
抗および各ロータとハウジングとの摺動抵抗を低減して
ポンプを駆動するモータの消費電力を低減するととも
に、耐摩耗性に優れた内接式ギヤポンプを提供する。 【構成】 n(n≧2)枚の外歯11を有するインナー
ロータ10と、外歯11と噛み合うn+1枚の内歯21
を有するアウターロータ20との回転に伴うポンプ室P
の容積変化により流体を吸入、吐出する内接式ギヤポン
プにおいて、インナーロータ10およびアウターロータ
20が密度6.6〜7.2g/cm3の鉄系焼結合金か
ら製造され、それらの表面に無電解ニッケルメッキ被膜
層12、22、23が形成されている。
抗および各ロータとハウジングとの摺動抵抗を低減して
ポンプを駆動するモータの消費電力を低減するととも
に、耐摩耗性に優れた内接式ギヤポンプを提供する。 【構成】 n(n≧2)枚の外歯11を有するインナー
ロータ10と、外歯11と噛み合うn+1枚の内歯21
を有するアウターロータ20との回転に伴うポンプ室P
の容積変化により流体を吸入、吐出する内接式ギヤポン
プにおいて、インナーロータ10およびアウターロータ
20が密度6.6〜7.2g/cm3の鉄系焼結合金か
ら製造され、それらの表面に無電解ニッケルメッキ被膜
層12、22、23が形成されている。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、n(n≧2)枚の外歯
を有するインナーロータと、その外歯に噛み合うn+1
枚の内歯を有するアウターロータとの回転に伴うポンプ
室の容積変化により流体を吸入、吐出する内接式ギヤポ
ンプに関する。
を有するインナーロータと、その外歯に噛み合うn+1
枚の内歯を有するアウターロータとの回転に伴うポンプ
室の容積変化により流体を吸入、吐出する内接式ギヤポ
ンプに関する。
【0002】
【従来の技術】内接式ギヤポンプとしては、インナーロ
ータおよびアウターロータにトロコイド歯形を利用した
トロコイド型ポンプが広く知られている。このトロコイ
ド型ポンプは、インナーロータをモータで回転駆動する
ことによってインナーロータに噛み合うアウターロータ
をインナーロータと同一方向に回転させ、この回転によ
って各ロータどうしの接触部間に形成されるポンプ室の
容積を増減させて吸引ポートから燃料を吸引し、吐出ポ
ートから吐出するものであって、構造が比較的簡単でし
かもポンプ効率が高いといった利点を有している。
ータおよびアウターロータにトロコイド歯形を利用した
トロコイド型ポンプが広く知られている。このトロコイ
ド型ポンプは、インナーロータをモータで回転駆動する
ことによってインナーロータに噛み合うアウターロータ
をインナーロータと同一方向に回転させ、この回転によ
って各ロータどうしの接触部間に形成されるポンプ室の
容積を増減させて吸引ポートから燃料を吸引し、吐出ポ
ートから吐出するものであって、構造が比較的簡単でし
かもポンプ効率が高いといった利点を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】自動車においても、エ
ンジンへガソリンを供給する機構にこの内接式ギアポン
プが採用されている。従来、この燃料供給用内接式ギヤ
ポンプを構成するインナーロータおよびアウターロータ
は、鉄系焼結合金から製造され、その表面には特に加工
は施されていなかったが、そのことによってこの燃料供
給用内接式ギヤポンプは幾つかの問題を有していた。
ンジンへガソリンを供給する機構にこの内接式ギアポン
プが採用されている。従来、この燃料供給用内接式ギヤ
ポンプを構成するインナーロータおよびアウターロータ
は、鉄系焼結合金から製造され、その表面には特に加工
は施されていなかったが、そのことによってこの燃料供
給用内接式ギヤポンプは幾つかの問題を有していた。
【0004】まず第1の問題として、ガソリンには僅か
ながらアルコール分や水分が混じっていることがあり、
もしこれらによってインナーロータおよびアウターロー
タの表面に錆を生じてしまうと、各ロータ間、および各
ロータとハウジングとの間に働く摺動抵抗が増してポン
プの駆動トルクが大きくなり、結果的にポンプを駆動す
るモータの消費電力が大きくなってしまう。さらに、自
動車の搭載電源は通常12ボルトのバッテリーである
が、冬場など気温が低い状態ではその電圧が低下してし
まうのでモータの回転力が弱くなってしまう。ゆえに回
転力が弱くなったモータが駆動トルクが大きくなったポ
ンプを回転させることができず、その結果燃料供給がな
されないので、エンジンが始動しないことがある。
ながらアルコール分や水分が混じっていることがあり、
もしこれらによってインナーロータおよびアウターロー
タの表面に錆を生じてしまうと、各ロータ間、および各
ロータとハウジングとの間に働く摺動抵抗が増してポン
プの駆動トルクが大きくなり、結果的にポンプを駆動す
るモータの消費電力が大きくなってしまう。さらに、自
動車の搭載電源は通常12ボルトのバッテリーである
が、冬場など気温が低い状態ではその電圧が低下してし
まうのでモータの回転力が弱くなってしまう。ゆえに回
転力が弱くなったモータが駆動トルクが大きくなったポ
ンプを回転させることができず、その結果燃料供給がな
されないので、エンジンが始動しないことがある。
【0005】第2の問題として、内接式ギヤポンプのし
くみ上、インナーロータとアウターロータとの各接点、
および各ロータとハウジングとの接触部分は常に摺動し
ているが、摺動抵抗が増した状態で長時間連続してポン
プを回転させると各ロータとハウジングとが熱せられて
焼付きを起こしてしまうことがある。
くみ上、インナーロータとアウターロータとの各接点、
および各ロータとハウジングとの接触部分は常に摺動し
ているが、摺動抵抗が増した状態で長時間連続してポン
プを回転させると各ロータとハウジングとが熱せられて
焼付きを起こしてしまうことがある。
【0006】第3の問題として、鉄系焼結合金は、通常
その硬さがHv70〜130程度であるが、長期にわた
る使用によってインナーロータとアウターロータとの接
触部分、および各ロータとハウジングとの接点部分が摩
耗してポンプ室の液密性が保てなくなり、高圧となって
ガソリンを吐出すべきポンプ室から摩耗部分を通して隣
りの比較的低圧のポンプ室にガソリンが流入し、結果的
にポンプ効率が低下してしまう。
その硬さがHv70〜130程度であるが、長期にわた
る使用によってインナーロータとアウターロータとの接
触部分、および各ロータとハウジングとの接点部分が摩
耗してポンプ室の液密性が保てなくなり、高圧となって
ガソリンを吐出すべきポンプ室から摩耗部分を通して隣
りの比較的低圧のポンプ室にガソリンが流入し、結果的
にポンプ効率が低下してしまう。
【0007】本発明は上記の事情に鑑みてなされたもの
であり、インナーロータとアウターロータとの摺動抵抗
および各ロータとハウジングとの摺動抵抗を低減してポ
ンプを駆動するモータの消費電力を抑えるとともに各ロ
ータとハウジングとの焼付きを防止し、さらに耐摩耗性
に優れてポンプ効率が低下しにくい内接式ギヤポンプを
提供することを目的としている。
であり、インナーロータとアウターロータとの摺動抵抗
および各ロータとハウジングとの摺動抵抗を低減してポ
ンプを駆動するモータの消費電力を抑えるとともに各ロ
ータとハウジングとの焼付きを防止し、さらに耐摩耗性
に優れてポンプ効率が低下しにくい内接式ギヤポンプを
提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の内接式ギ
ヤポンプは、n(n≧2)枚の外歯を有するインナーロ
ータと、前記外歯と噛み合うn+1枚の内歯を有するア
ウターロータとの回転に伴うポンプ室の容積変化により
流体を吸入、吐出するものであって、前記インナーロー
タおよびアウターロータが密度6.6〜7.2g/cm
3の鉄系焼結合金から製造され、それらの表面に無電解
ニッケルメッキ被膜層が形成されていることを特徴とす
る。
ヤポンプは、n(n≧2)枚の外歯を有するインナーロ
ータと、前記外歯と噛み合うn+1枚の内歯を有するア
ウターロータとの回転に伴うポンプ室の容積変化により
流体を吸入、吐出するものであって、前記インナーロー
タおよびアウターロータが密度6.6〜7.2g/cm
3の鉄系焼結合金から製造され、それらの表面に無電解
ニッケルメッキ被膜層が形成されていることを特徴とす
る。
【0009】請求項2記載の内接式ギヤポンプは、前記
無電解ニッケルメッキ被膜層の厚さが5〜30μmに形
成されていることを特徴とする。
無電解ニッケルメッキ被膜層の厚さが5〜30μmに形
成されていることを特徴とする。
【0010】請求項3記載の内接式ギアポンプは、前記
無電解ニッケルメッキ被膜層について、前記アウターロ
ータの外周面の被膜層がその他の部分の被膜層よりも厚
く形成されていることを特徴とする。
無電解ニッケルメッキ被膜層について、前記アウターロ
ータの外周面の被膜層がその他の部分の被膜層よりも厚
く形成されていることを特徴とする。
【0011】請求項4記載の内接式ギヤポンプは、前記
無電解ニッケルメッキ被膜層の硬さがHv600以上に
設定されていることを特徴とする。
無電解ニッケルメッキ被膜層の硬さがHv600以上に
設定されていることを特徴とする。
【0012】請求項5記載の内接式ギヤポンプは、前記
無電解ニッケルメッキ被膜層に5〜30重量%の割合で
炭化ケイ素が複合されていることを特徴とする。
無電解ニッケルメッキ被膜層に5〜30重量%の割合で
炭化ケイ素が複合されていることを特徴とする。
【0013】請求項6記載の内接式ギヤポンプは、前記
無電解ニッケルメッキ被膜層の硬さがHv700以上に
設定されていることを特徴とする。
無電解ニッケルメッキ被膜層の硬さがHv700以上に
設定されていることを特徴とする。
【0014】
【作用】請求項1記載の内接式ギヤポンプによれば、イ
ンナーロータおよびアウターロータを密度6.6〜7.
2g/cm3の鉄系焼結合金製とすることによって、そ
の表面に出来るボアー(孔)が小さく、かつ小数にな
り、表面のムラが少なく滑らかになって加工精度が増
す。さらに、無電解ニッケルメッキ被膜層は、錆の発生
を防ぐとともに、鉄系焼結合金の素地と比較すると明ら
かにきめが細かいので、インナーロータとアウターロー
タとの摺動抵抗、および各ロータとハウジングとの摺動
抵抗を低減させつつもチップクリアランスを従来よりも
短くすることができる。また、無電解ニッケルメッキ被
膜層の硬さはHv500程度となり、鉄系焼結合金(H
v70〜130)に比べてはるかに硬く、耐摩耗性に優
れているので、長期にわたる使用によっても各摺動部分
の摩耗きずの発生を抑えてインナーロータとアウターロ
ータ、ハウジングに囲まれて形成される各ポンプ室の液
密性が高く保たれる。
ンナーロータおよびアウターロータを密度6.6〜7.
2g/cm3の鉄系焼結合金製とすることによって、そ
の表面に出来るボアー(孔)が小さく、かつ小数にな
り、表面のムラが少なく滑らかになって加工精度が増
す。さらに、無電解ニッケルメッキ被膜層は、錆の発生
を防ぐとともに、鉄系焼結合金の素地と比較すると明ら
かにきめが細かいので、インナーロータとアウターロー
タとの摺動抵抗、および各ロータとハウジングとの摺動
抵抗を低減させつつもチップクリアランスを従来よりも
短くすることができる。また、無電解ニッケルメッキ被
膜層の硬さはHv500程度となり、鉄系焼結合金(H
v70〜130)に比べてはるかに硬く、耐摩耗性に優
れているので、長期にわたる使用によっても各摺動部分
の摩耗きずの発生を抑えてインナーロータとアウターロ
ータ、ハウジングに囲まれて形成される各ポンプ室の液
密性が高く保たれる。
【0015】請求項2記載の内接式ギヤポンプによれ
ば、無電解ニッケルメッキ被膜層の厚さを5〜30μm
とすることが好ましい。ここで、無電解ニッケルメッキ
被膜層の厚さを5〜30μmの範囲に限定したのは以下
の理由からである。すなわち、メッキ層の厚さが5μm
以下ではメッキ面に欠損が生じ易く、メッキ表面を滑ら
かに形成することが困難である。特に焼結合金をメッキ
処理する場合、その被メッキ面のボアーを埋めてメッキ
表面を滑らかに形成するには7μm以上必要である。一
方、30μm以上ではメッキ表面は滑らかに形成される
ものの、加工精度が低くなってメッキ層の厚さを一定に
保つことが難しくなり、ニッケルの量が増してメッキ処
理に費やすコストが高くなる。
ば、無電解ニッケルメッキ被膜層の厚さを5〜30μm
とすることが好ましい。ここで、無電解ニッケルメッキ
被膜層の厚さを5〜30μmの範囲に限定したのは以下
の理由からである。すなわち、メッキ層の厚さが5μm
以下ではメッキ面に欠損が生じ易く、メッキ表面を滑ら
かに形成することが困難である。特に焼結合金をメッキ
処理する場合、その被メッキ面のボアーを埋めてメッキ
表面を滑らかに形成するには7μm以上必要である。一
方、30μm以上ではメッキ表面は滑らかに形成される
ものの、加工精度が低くなってメッキ層の厚さを一定に
保つことが難しくなり、ニッケルの量が増してメッキ処
理に費やすコストが高くなる。
【0016】請求項3記載の内接式ギヤポンプによれ
ば、アウターロータの外周面の無電解ニッケルメッキ被
膜層を他の部分の被膜層よりも厚く形成することによっ
て、ハウジングに常に接し、しかも他の部分よりも速い
速度で摺動しているアウターロータの外周部分の耐摩耗
性が補われる。
ば、アウターロータの外周面の無電解ニッケルメッキ被
膜層を他の部分の被膜層よりも厚く形成することによっ
て、ハウジングに常に接し、しかも他の部分よりも速い
速度で摺動しているアウターロータの外周部分の耐摩耗
性が補われる。
【0017】請求項4記載の内接式ギヤポンプによれ
ば、無電解ニッケルメッキ被膜層の硬さを熱処理によっ
てHv600以上に高めることによってインナーロータ
およびアウターロータの耐摩耗性がさらに向上する。
ば、無電解ニッケルメッキ被膜層の硬さを熱処理によっ
てHv600以上に高めることによってインナーロータ
およびアウターロータの耐摩耗性がさらに向上する。
【0018】請求項5記載の内接式ギヤポンプによれ
ば、無電解ニッケルメッキ被膜層に炭化ケイ素を複合す
ることによって被膜層の硬さが高まる。ここで、炭化ケ
イ素の複合比率を5〜30重量%に限定したのは以下の
理由からである。すなわち、炭化ケイ素の複合比率が5
重量%以下では複合による効果が小さすぎる一方、30
重量%以上では複合メッキ層の生成が難しくなる。
ば、無電解ニッケルメッキ被膜層に炭化ケイ素を複合す
ることによって被膜層の硬さが高まる。ここで、炭化ケ
イ素の複合比率を5〜30重量%に限定したのは以下の
理由からである。すなわち、炭化ケイ素の複合比率が5
重量%以下では複合による効果が小さすぎる一方、30
重量%以上では複合メッキ層の生成が難しくなる。
【0019】請求項6記載の内接式ギヤポンプによれ
ば、炭化ケイ素が複合された無電解ニッケルメッキ被膜
層の硬さを熱処理によってHv700以上に高めること
によってインナーロータおよびアウターロータの耐摩耗
性をさらに向上する。
ば、炭化ケイ素が複合された無電解ニッケルメッキ被膜
層の硬さを熱処理によってHv700以上に高めること
によってインナーロータおよびアウターロータの耐摩耗
性をさらに向上する。
【0020】
【実施例】本発明の第1実施例について図1から図4を
参照して説明する。本実施例の内接式ギヤポンプは、自
動車用エンジンに燃料を供給するためのものである。図
1に示すように、符号10はインナーロータ、符号20
はアウターロータ、符号Hはハウジング、符号Aは吸入
ポート、符号Bは吐出ポートである。
参照して説明する。本実施例の内接式ギヤポンプは、自
動車用エンジンに燃料を供給するためのものである。図
1に示すように、符号10はインナーロータ、符号20
はアウターロータ、符号Hはハウジング、符号Aは吸入
ポート、符号Bは吐出ポートである。
【0021】インナーロータ10は、トロコイド曲線に
よって形成されたn枚(本実施例の場合n=10)の外
歯11を有し、アウターロータ20は、トロコイド曲線
によって形成されたn+1枚の内歯21を有している。
よって形成されたn枚(本実施例の場合n=10)の外
歯11を有し、アウターロータ20は、トロコイド曲線
によって形成されたn+1枚の内歯21を有している。
【0022】インナーロータ10およびアウターロータ
20は、どちらも密度6.6〜7.2g/cm3の鉄系
焼結合金より製造されている。図2に示すように、イン
ナーロータ10の全表面およびアウターロータ20の外
周面を除く表面には、無電解ニッケルメッキ被膜層12
および22が、厚さ5〜15μmに形成されている。ア
ウターロータ20の外周面には、無電解ニッケルメッキ
被膜層23が、厚さ15〜30μmに形成されている。
これら無電解ニッケルメッキ被膜層12、22、24に
は熱処理が施され、その硬さがHv600以上となって
いる。
20は、どちらも密度6.6〜7.2g/cm3の鉄系
焼結合金より製造されている。図2に示すように、イン
ナーロータ10の全表面およびアウターロータ20の外
周面を除く表面には、無電解ニッケルメッキ被膜層12
および22が、厚さ5〜15μmに形成されている。ア
ウターロータ20の外周面には、無電解ニッケルメッキ
被膜層23が、厚さ15〜30μmに形成されている。
これら無電解ニッケルメッキ被膜層12、22、24に
は熱処理が施され、その硬さがHv600以上となって
いる。
【0023】インナーロータ10は、図1に示すよう
に、軸心Oiを中心としてハウジングH内に回転自在に
支持されており、アウターロータ20はその軸心Ooが
インナーロータ10に対してeだけ偏心し、インナーロ
ータ10と噛み合った状態でハウジングHに回転自在に
支持されている。このとき、インナーロータ10とアウ
ターロータ20の間のチップクリアランスLは0.02
0mm〜0.080mmに設定されている。ハウジング
Hも各ロータと同様に鉄系焼結合金から製造されてお
り、各ロータとの摺動部分にはポリテトラフルオロエチ
レン(商品名テフロン)の被膜が形成されている。
に、軸心Oiを中心としてハウジングH内に回転自在に
支持されており、アウターロータ20はその軸心Ooが
インナーロータ10に対してeだけ偏心し、インナーロ
ータ10と噛み合った状態でハウジングHに回転自在に
支持されている。このとき、インナーロータ10とアウ
ターロータ20の間のチップクリアランスLは0.02
0mm〜0.080mmに設定されている。ハウジング
Hも各ロータと同様に鉄系焼結合金から製造されてお
り、各ロータとの摺動部分にはポリテトラフルオロエチ
レン(商品名テフロン)の被膜が形成されている。
【0024】インナーロータ10を図の矢印X方向に回
転させると、その回転に伴ってアウターロータ20も矢
印X方向に回転する。インナーロータ10の外歯11と
アウターロータ20の内歯21との各接触部分に形成さ
れるポンプ室Pの容積は、回転に伴って図の右側部分で
は漸次増大し、図の左側部分では回転に伴って漸次減少
する。ポンプ室Pに接するハウジングHの側壁には、図
の右側部分の容積が漸次増大するポンプ室Pに沿って円
弧状の吸入ポートAが形成され、図の左側部分の容積が
漸次減少するポンプ室Pに沿って吐出ポートBが形成さ
れており、インナーロータ10およびアウターロータ2
0が矢印X方向に回転すると、容積が漸次増大するポン
プ室Pには吸入ポートAから燃料が吸入され、容積が漸
次減少するポンプ室Pから吐出ポートBへ燃料が吐出さ
れる。
転させると、その回転に伴ってアウターロータ20も矢
印X方向に回転する。インナーロータ10の外歯11と
アウターロータ20の内歯21との各接触部分に形成さ
れるポンプ室Pの容積は、回転に伴って図の右側部分で
は漸次増大し、図の左側部分では回転に伴って漸次減少
する。ポンプ室Pに接するハウジングHの側壁には、図
の右側部分の容積が漸次増大するポンプ室Pに沿って円
弧状の吸入ポートAが形成され、図の左側部分の容積が
漸次減少するポンプ室Pに沿って吐出ポートBが形成さ
れており、インナーロータ10およびアウターロータ2
0が矢印X方向に回転すると、容積が漸次増大するポン
プ室Pには吸入ポートAから燃料が吸入され、容積が漸
次減少するポンプ室Pから吐出ポートBへ燃料が吐出さ
れる。
【0025】ここで、無電解ニッケルメッキ被膜層の形
成および熱処理について説明する。本実施例において
は、アルカリ浴による無電解ニッケルメッキ処理により
浴成分に次亜リン酸ナトリウムを使用してインナーロー
タ10およびアウターロータ20の表面に厚さ5〜30
μmのニッケル・リン合金の被膜層12、22および2
3を形成する。この無電解ニッケルメッキ処理によれ
ば、図3の(a)に示すように、被メッキ面30に出来
たボアー31の内面まで無電解ニッケルメッキ被膜層1
bおよび2bが形成される。これに対して他のメッキ方
法、例えば電気メッキによれば、図3の(b)に示すよ
うに、ボアー31の開口部近傍しか電気メッキ被膜層3
2が形成されず、底の部分は鉄系焼結合金が露出してい
るので、この部分から錆が生じて摺動抵抗を増加させる
原因となる。
成および熱処理について説明する。本実施例において
は、アルカリ浴による無電解ニッケルメッキ処理により
浴成分に次亜リン酸ナトリウムを使用してインナーロー
タ10およびアウターロータ20の表面に厚さ5〜30
μmのニッケル・リン合金の被膜層12、22および2
3を形成する。この無電解ニッケルメッキ処理によれ
ば、図3の(a)に示すように、被メッキ面30に出来
たボアー31の内面まで無電解ニッケルメッキ被膜層1
bおよび2bが形成される。これに対して他のメッキ方
法、例えば電気メッキによれば、図3の(b)に示すよ
うに、ボアー31の開口部近傍しか電気メッキ被膜層3
2が形成されず、底の部分は鉄系焼結合金が露出してい
るので、この部分から錆が生じて摺動抵抗を増加させる
原因となる。
【0026】また、電気メッキによれば、被膜層の厚さ
を均一にするのが非常に難しく厚さにムラが生じてしま
うため、被膜層表面の加工精度がメッキ加工を行なわな
い場合よりも悪くなる。
を均一にするのが非常に難しく厚さにムラが生じてしま
うため、被膜層表面の加工精度がメッキ加工を行なわな
い場合よりも悪くなる。
【0027】次に、各ロータの表面に形成された無電解
ニッケルメッキ被膜層12、22および23に熱処理を
施して被膜層を硬化する。この熱処理の方法としては、
被膜層が形成されたロータを加熱装置の中に400℃を
保って1時間放置する。無電解ニッケルメッキ被膜層の
硬さは通常Hv500程度であるが、この熱処理によっ
て非晶質よりニッケル・リンの金属間化合物(アモルフ
ァス結晶)が析出され、被膜層の硬さはHv600〜1
000程度まで高められる。
ニッケルメッキ被膜層12、22および23に熱処理を
施して被膜層を硬化する。この熱処理の方法としては、
被膜層が形成されたロータを加熱装置の中に400℃を
保って1時間放置する。無電解ニッケルメッキ被膜層の
硬さは通常Hv500程度であるが、この熱処理によっ
て非晶質よりニッケル・リンの金属間化合物(アモルフ
ァス結晶)が析出され、被膜層の硬さはHv600〜1
000程度まで高められる。
【0028】上記のように構成された本実施例の内接式
ギアポンプによれば、インナーロータ10およびアウタ
ーロータ20を密度6.6〜7.2g/cm3の鉄系焼
結合金製造とすることによって、その表面のムラが少な
く滑らかになり、加工精度が増す。さらに、それらの表
面に厚さ5〜30μmの無電解ニッケルメッキ被膜層が
形成されることによって、錆の発生を防ぐとともに、イ
ンナーロータ10およびアウターロータ20の表面が鉄
系焼結合金の素地と比して滑らかになるので、インナー
ロータ10とアウターロータ20との摺動抵抗、および
各ロータとハウジングHとの摺動抵抗を低減させつつも
チップクリアランスLを従来よりも短く設定することが
できる。したがって、ポンプの駆動トルクが小さくなっ
てポンプを駆動するモータの消費電力が低減されるとと
もに、モータに電力を供給するバッテリーの電圧が低下
して回転力の弱まった場合でもポンプを駆動することが
可能となりうる。また、摺動抵抗が小さいのでポンプを
長時間連続して回転させても各ロータが過熱せず、焼付
きを起こしにくい。特に、インナーロータ10の無電解
ニッケルメッキ被膜層12およびアウターロータ20の
無電解ニッケルメッキ被膜層22を厚さ5〜15μmに
形成するのに対して、アウターロータ20の外周面の無
電解ニッケルメッキ被膜層23を厚さ15〜30μmに
形成することによって、ハウジングHに密接し、ロータ
の他の部分よりもはやい速度で摺動するアウターロータ
20の摩耗に対処している。
ギアポンプによれば、インナーロータ10およびアウタ
ーロータ20を密度6.6〜7.2g/cm3の鉄系焼
結合金製造とすることによって、その表面のムラが少な
く滑らかになり、加工精度が増す。さらに、それらの表
面に厚さ5〜30μmの無電解ニッケルメッキ被膜層が
形成されることによって、錆の発生を防ぐとともに、イ
ンナーロータ10およびアウターロータ20の表面が鉄
系焼結合金の素地と比して滑らかになるので、インナー
ロータ10とアウターロータ20との摺動抵抗、および
各ロータとハウジングHとの摺動抵抗を低減させつつも
チップクリアランスLを従来よりも短く設定することが
できる。したがって、ポンプの駆動トルクが小さくなっ
てポンプを駆動するモータの消費電力が低減されるとと
もに、モータに電力を供給するバッテリーの電圧が低下
して回転力の弱まった場合でもポンプを駆動することが
可能となりうる。また、摺動抵抗が小さいのでポンプを
長時間連続して回転させても各ロータが過熱せず、焼付
きを起こしにくい。特に、インナーロータ10の無電解
ニッケルメッキ被膜層12およびアウターロータ20の
無電解ニッケルメッキ被膜層22を厚さ5〜15μmに
形成するのに対して、アウターロータ20の外周面の無
電解ニッケルメッキ被膜層23を厚さ15〜30μmに
形成することによって、ハウジングHに密接し、ロータ
の他の部分よりもはやい速度で摺動するアウターロータ
20の摩耗に対処している。
【0029】また、無電解ニッケルメッキ被膜層12お
よび22に熱処理を施すことによって、インナーロータ
10およびアウターロータ20の表面が鉄系焼結合金の
素地と比してはるかに硬くなり、耐摩耗性が向上する。
したがって、長期にわたる使用によってもインナーロー
タ10とアウターロータ20との間のチップクリアラン
スLの拡大および各ロータとハウジングHとの摩耗が抑
えられてポンプ室Pの液密性が高く保たれ、ポンプ効率
が低下しにくい。
よび22に熱処理を施すことによって、インナーロータ
10およびアウターロータ20の表面が鉄系焼結合金の
素地と比してはるかに硬くなり、耐摩耗性が向上する。
したがって、長期にわたる使用によってもインナーロー
タ10とアウターロータ20との間のチップクリアラン
スLの拡大および各ロータとハウジングHとの摩耗が抑
えられてポンプ室Pの液密性が高く保たれ、ポンプ効率
が低下しにくい。
【0030】なお、本実施例においては、チップクリア
ランスLを0.020〜0.080mmとして構成した
のは以下の理由による。まず、0.020mm以下では
無電解ニッケルメッキ被膜層を形成しても摺動抵抗が大
きくなる。また、0.080mm以上では摺動抵抗は小
さくなるもののポンプ室の液密性、ひいてはポンプ効率
が低くなる。
ランスLを0.020〜0.080mmとして構成した
のは以下の理由による。まず、0.020mm以下では
無電解ニッケルメッキ被膜層を形成しても摺動抵抗が大
きくなる。また、0.080mm以上では摺動抵抗は小
さくなるもののポンプ室の液密性、ひいてはポンプ効率
が低くなる。
【0031】また、本実施例においては、アルカリ浴に
よる無電解ニッケルメッキ処理により浴成分に次亜リン
酸ナトリウムを使用してニッケル・リン合金の被膜層1
2、22および23を形成するべく構成したが、次亜リ
ン酸ナトリウムに代えて水素化ほう素ナトリウムを使用
してニッケル・ボロン合金の被膜層を形成するように構
成しても十分にその効果を発揮する。
よる無電解ニッケルメッキ処理により浴成分に次亜リン
酸ナトリウムを使用してニッケル・リン合金の被膜層1
2、22および23を形成するべく構成したが、次亜リ
ン酸ナトリウムに代えて水素化ほう素ナトリウムを使用
してニッケル・ボロン合金の被膜層を形成するように構
成しても十分にその効果を発揮する。
【0032】さらに、本実施例においては、ハウジング
Hの各ロータとの摺動部分にポリテトラフルオロエチレ
ンの被膜を形成して構成したが、同等の効果を得る手段
として、スチーム処理、軟窒化処理、またはスチーム処
理後に軟窒化処理を施しても良い。
Hの各ロータとの摺動部分にポリテトラフルオロエチレ
ンの被膜を形成して構成したが、同等の効果を得る手段
として、スチーム処理、軟窒化処理、またはスチーム処
理後に軟窒化処理を施しても良い。
【0033】本発明の第2実施例について図1を参照し
て説明する。本実施例の内接式ギヤポンプは、前記第1
実施例の内接式ギヤポンプにおけるインナーロータ1お
よびアウターロータ2の表面に、炭化ケイ素が複合され
た無電解ニッケルメッキ被膜層13、24および25を
形成してなるものであり、その他の構成については全く
同じである。よって第1実施例と同一の構成要素には同
一の符号を付してその説明を省略する。
て説明する。本実施例の内接式ギヤポンプは、前記第1
実施例の内接式ギヤポンプにおけるインナーロータ1お
よびアウターロータ2の表面に、炭化ケイ素が複合され
た無電解ニッケルメッキ被膜層13、24および25を
形成してなるものであり、その他の構成については全く
同じである。よって第1実施例と同一の構成要素には同
一の符号を付してその説明を省略する。
【0034】無電解ニッケルメッキ被膜層13、24お
よび25には、5〜30重量%の割合で炭化ケイ素が複
合されている。これらの被膜層の厚さは5〜30μmで
あり、第1実施例にて説明した熱処理が施され、その硬
さがHv700〜1400程度まで高められている。
よび25には、5〜30重量%の割合で炭化ケイ素が複
合されている。これらの被膜層の厚さは5〜30μmで
あり、第1実施例にて説明した熱処理が施され、その硬
さがHv700〜1400程度まで高められている。
【0035】本実施例における内接式ギアポンプによれ
ば、前記第1実施例の効果に加えて以下の効果を得るこ
とができる。すなわち、炭化ケイ素が複合された無電解
ニッケルメッキ被膜層13、24および25に熱処理を
施すことによって、インナーロータ10およびアウター
ロータ20の表面が第1実施例の各ロータよりもさらに
硬くなり、耐摩耗性が向上する。したがって、長期間に
わたる使用によってもインナーロータ10とアウターロ
ータ20との間のチップクリアランスLの拡大および各
ロータとハウジングHとの摩耗が抑えられてポンプ室P
の液密性が高く保たれ、ポンプ効率が低下しにくい。
ば、前記第1実施例の効果に加えて以下の効果を得るこ
とができる。すなわち、炭化ケイ素が複合された無電解
ニッケルメッキ被膜層13、24および25に熱処理を
施すことによって、インナーロータ10およびアウター
ロータ20の表面が第1実施例の各ロータよりもさらに
硬くなり、耐摩耗性が向上する。したがって、長期間に
わたる使用によってもインナーロータ10とアウターロ
ータ20との間のチップクリアランスLの拡大および各
ロータとハウジングHとの摩耗が抑えられてポンプ室P
の液密性が高く保たれ、ポンプ効率が低下しにくい。
【0036】上記第1および第2実施例における内接式
ギヤポンプによれば、長時間に渡る連続運転においても
その消費電流値を小さく抑えることができる。図4は、
従来技術と各実施例とにおける消費電流値と運転時間と
の関係を示すグラフである。
ギヤポンプによれば、長時間に渡る連続運転においても
その消費電流値を小さく抑えることができる。図4は、
従来技術と各実施例とにおける消費電流値と運転時間と
の関係を示すグラフである。
【0037】図によれば、第1および第2実施例におけ
る消費電流値が、従来技術における消費電流値を運転開
始時から終始下回っていることがわかる。まず、従来例
と第1実施例との消費電流値を比較すると、運転開始か
ら1500時間が経過するまでほぼ一定の差を示して双
方とも降下する。そして、従来例の消費電流値が150
0時間が経過したあたりから徐々に上昇し始めるのに対
して、第1実施例の消費電流値はほぼ一定の値を保って
おり、3000時間を経過したあたりから従来例と同程
度の率で上昇し始めている。
る消費電流値が、従来技術における消費電流値を運転開
始時から終始下回っていることがわかる。まず、従来例
と第1実施例との消費電流値を比較すると、運転開始か
ら1500時間が経過するまでほぼ一定の差を示して双
方とも降下する。そして、従来例の消費電流値が150
0時間が経過したあたりから徐々に上昇し始めるのに対
して、第1実施例の消費電流値はほぼ一定の値を保って
おり、3000時間を経過したあたりから従来例と同程
度の率で上昇し始めている。
【0038】次に、第1実施例と第2実施例との消費電
流値を比較すると、第2実施例の消費電流値は、運転開
始時点で第1実施例の消費電流値をさらに下回ってお
り、3000時間が経過するまで一定の差を示して推移
する。そして、300時間を経過して第1実施例の消費
電流値が徐々に上昇し始めるのに対して、第2実施例の
消費電流値はその後もほぼ一定の値を保ち続けている。
流値を比較すると、第2実施例の消費電流値は、運転開
始時点で第1実施例の消費電流値をさらに下回ってお
り、3000時間が経過するまで一定の差を示して推移
する。そして、300時間を経過して第1実施例の消費
電流値が徐々に上昇し始めるのに対して、第2実施例の
消費電流値はその後もほぼ一定の値を保ち続けている。
【0039】
【発明の効果】請求項1記載の内接式ギヤポンプによれ
ば、インナーロータおよびアウターロータを密度6.6
〜7.2g/cm3の鉄系焼結合金製とすることによっ
て、その表面に出来るボアーが小さく、かつ小数になる
ので、表面のムラが少なく滑らかになって加工精度が増
す。さらに、無電解ニッケルメッキ被膜層は錆の発生を
防ぐとともに、鉄系焼結合金の素地と比してきめが細か
いので、被膜層の表面が従来に比べて滑らかになり、イ
ンナーロータとアウターロータとの摺動抵抗、および各
ロータとハウジングとの摺動抵抗を低減させながらもチ
ップクリアランスを従来よりも短くすることができる。
したがって、ポンプの駆動トルクが小さくしてポンプを
駆動するモータの消費電力が低減されるとともに、バッ
テリーの電圧が低下して回転力の弱まったモータでもポ
ンプを駆動することが可能となりうる。また、摺動抵抗
が小さいのでポンプを長時間連続して回転させても各ロ
ータが過熱せず、焼付きが起きにくい。さらに、無電解
ニッケルメッキ被膜層の硬さはHv500程度となり、
鉄系焼結合金(Hv70〜130)に比べてはるかに硬
く、耐摩耗性に優れているので、長期にわたる使用によ
っても各摺動部分の摩耗きずの発生を抑えてポンプ室の
液密性を高く保ってポンプ効率の低下を防止することが
できる。
ば、インナーロータおよびアウターロータを密度6.6
〜7.2g/cm3の鉄系焼結合金製とすることによっ
て、その表面に出来るボアーが小さく、かつ小数になる
ので、表面のムラが少なく滑らかになって加工精度が増
す。さらに、無電解ニッケルメッキ被膜層は錆の発生を
防ぐとともに、鉄系焼結合金の素地と比してきめが細か
いので、被膜層の表面が従来に比べて滑らかになり、イ
ンナーロータとアウターロータとの摺動抵抗、および各
ロータとハウジングとの摺動抵抗を低減させながらもチ
ップクリアランスを従来よりも短くすることができる。
したがって、ポンプの駆動トルクが小さくしてポンプを
駆動するモータの消費電力が低減されるとともに、バッ
テリーの電圧が低下して回転力の弱まったモータでもポ
ンプを駆動することが可能となりうる。また、摺動抵抗
が小さいのでポンプを長時間連続して回転させても各ロ
ータが過熱せず、焼付きが起きにくい。さらに、無電解
ニッケルメッキ被膜層の硬さはHv500程度となり、
鉄系焼結合金(Hv70〜130)に比べてはるかに硬
く、耐摩耗性に優れているので、長期にわたる使用によ
っても各摺動部分の摩耗きずの発生を抑えてポンプ室の
液密性を高く保ってポンプ効率の低下を防止することが
できる。
【0040】請求項2記載の内接式ギヤポンプによれ
ば、無電解ニッケルメッキ被膜層の厚さを5〜30μm
とすることによって、メッキ処理に費やすコストを低く
抑えながらも加工精度を高く保って各ロータの表面を滑
らかに形成することができる。
ば、無電解ニッケルメッキ被膜層の厚さを5〜30μm
とすることによって、メッキ処理に費やすコストを低く
抑えながらも加工精度を高く保って各ロータの表面を滑
らかに形成することができる。
【0041】請求項3記載の内接式ギヤポンプによれ
ば、アウターロータの外周面の無電解ニッケルメッキ被
膜層を他の部分の被膜層よりも厚く形成することによっ
て、他の部分よりも速い速度で摺動しているアウターロ
ータの外周部分の耐摩耗性が補うことができる。
ば、アウターロータの外周面の無電解ニッケルメッキ被
膜層を他の部分の被膜層よりも厚く形成することによっ
て、他の部分よりも速い速度で摺動しているアウターロ
ータの外周部分の耐摩耗性が補うことができる。
【0042】請求項4記載の内接式ギヤポンプによれ
ば、無電解ニッケルメッキ被膜層の硬さをHv600以
上に設定することによって、インナーロータおよびアウ
ターロータの耐摩耗性をさらに向上させ、ポンプ室の液
密性、ひいてはポンプ効率の低下を防止することができ
る。
ば、無電解ニッケルメッキ被膜層の硬さをHv600以
上に設定することによって、インナーロータおよびアウ
ターロータの耐摩耗性をさらに向上させ、ポンプ室の液
密性、ひいてはポンプ効率の低下を防止することができ
る。
【0043】請求項5記載の内接式ギヤポンプによれ
ば、無電解ニッケルメッキ被膜層に複合される炭化ケイ
素の複合比率を5〜30重量%とすることによって、被
膜層を硬化しながらも安定的な複合メッキ被膜層を生成
することができる。
ば、無電解ニッケルメッキ被膜層に複合される炭化ケイ
素の複合比率を5〜30重量%とすることによって、被
膜層を硬化しながらも安定的な複合メッキ被膜層を生成
することができる。
【0044】請求項6記載の内接式ギヤポンプによれ
ば、炭化ケイ素が複合された無電解ニッケルメッキ被膜
層の硬さをHv700以上に設定することによって、イ
ンナーロータおよびアウターロータの耐摩耗性をさらに
向上させ、ポンプ室の液密性の低下、ひいてはポンプ効
率の低下を防止することができる。
ば、炭化ケイ素が複合された無電解ニッケルメッキ被膜
層の硬さをHv700以上に設定することによって、イ
ンナーロータおよびアウターロータの耐摩耗性をさらに
向上させ、ポンプ室の液密性の低下、ひいてはポンプ効
率の低下を防止することができる。
【図1】本発明の内接式ギヤポンプを示す正面図であ
る。
る。
【図2】本発明の内接式ギヤポンプの要部拡大図であ
る。
る。
【図3】鉄系焼結合金を無電解ニッケルメッキ処理した
場合と電気メッキ処理した場合のボアー(孔)の状態を
示す説明図である。
場合と電気メッキ処理した場合のボアー(孔)の状態を
示す説明図である。
【図4】従来技術と第1および第2実施例の内接式ギヤ
ポンプについて運転時間に対する消費電流値の推移を示
すグラフである。
ポンプについて運転時間に対する消費電流値の推移を示
すグラフである。
10 インナーロータ 11 外歯 12 無電解ニッケルメッキ被膜層 13 炭化ケイ素複合無電解ニッケルメッキ被膜層 20 アウターロータ 21 内歯 22、23 無電解ニッケルメッキ被膜層 24、25 炭化ケイ素複合無電解ニッケルメッキ被膜
層
層
Claims (6)
- 【請求項1】 n(n≧2)枚の外歯を有するインナー
ロータと、前記外歯と噛み合うn+1枚の内歯を有する
アウターロータとの回転に伴うポンプ室の容積変化によ
り流体を吸入、吐出する内接式ギヤポンプにおいて、 前記インナーロータおよびアウターロータが密度6.6
〜7.2g/cm3の鉄系焼結合金から製造され、それ
らの表面に無電解ニッケルメッキ被膜層が形成されてい
ることを特徴とする内接式ギヤポンプ。 - 【請求項2】 前記無電解ニッケルメッキ被膜層の厚さ
が5〜30μmに形成されていることを特徴とする請求
項1記載の内接式ギヤポンプ。 - 【請求項3】 前記無電解ニッケルメッキ被膜層につい
て、前記アウターロータの外周面の被膜層がその他の部
分の被膜層よりも厚く形成されていることを特徴とする
請求項1または2記載の内接式ギヤポンプ。 - 【請求項4】 前記無電解ニッケルメッキ被膜層の硬さ
がHv600以上に設定されていることを特徴とする請
求項1、2または3記載の内接式ギヤポンプ。 - 【請求項5】 前記無電解ニッケルメッキ被膜層には5
〜30重量%の割合で炭化ケイ素が複合されていること
を特徴とする請求項1、2、3または4記載の内接式ギ
ヤポンプ。 - 【請求項6】 前記無電解ニッケルメッキ被膜層の硬さ
がHv700以上に設定されていることを特徴とする請
求項1、2、3、4または5記載の内接式ギヤポンプ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28847894A JPH08144964A (ja) | 1994-11-22 | 1994-11-22 | 内接式ギヤポンプ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28847894A JPH08144964A (ja) | 1994-11-22 | 1994-11-22 | 内接式ギヤポンプ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08144964A true JPH08144964A (ja) | 1996-06-04 |
Family
ID=17730732
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28847894A Pending JPH08144964A (ja) | 1994-11-22 | 1994-11-22 | 内接式ギヤポンプ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08144964A (ja) |
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6474751B1 (en) | 1995-12-26 | 2002-11-05 | Denso Corporation | Hydraulic circuit having a rotary type pump and brake apparatus for a vehicle provided with the same |
US7479174B2 (en) | 2004-03-31 | 2009-01-20 | Mitsubishi Materials Pmg Corporation | Inner rotor and outer rotor of internal gear pump |
JP2009281169A (ja) * | 2008-05-20 | 2009-12-03 | Sumitomo Electric Sintered Alloy Ltd | 燃料噴射装置固定用ホルダ |
WO2011074477A1 (ja) * | 2009-12-15 | 2011-06-23 | 本田技研工業株式会社 | ギヤ型ポンプ |
JP2014173513A (ja) * | 2013-03-11 | 2014-09-22 | Sumitomo Denko Shoketsu Gokin Kk | 高効率オイルポンプ |
JP2014227899A (ja) * | 2013-05-22 | 2014-12-08 | 住友電工焼結合金株式会社 | オイルポンプ |
US11390355B1 (en) | 2009-12-15 | 2022-07-19 | Syscend, Inc. | Hydraulic brake system and apparatus |
US11866124B2 (en) | 2009-12-15 | 2024-01-09 | Syscend, Inc. | Hydraulic brake system and apparatus |
US11919605B1 (en) | 2014-01-31 | 2024-03-05 | Syscend, Inc. | Hydraulic brake system and apparatus |
-
1994
- 1994-11-22 JP JP28847894A patent/JPH08144964A/ja active Pending
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6474751B1 (en) | 1995-12-26 | 2002-11-05 | Denso Corporation | Hydraulic circuit having a rotary type pump and brake apparatus for a vehicle provided with the same |
US7479174B2 (en) | 2004-03-31 | 2009-01-20 | Mitsubishi Materials Pmg Corporation | Inner rotor and outer rotor of internal gear pump |
JP2009281169A (ja) * | 2008-05-20 | 2009-12-03 | Sumitomo Electric Sintered Alloy Ltd | 燃料噴射装置固定用ホルダ |
WO2011074477A1 (ja) * | 2009-12-15 | 2011-06-23 | 本田技研工業株式会社 | ギヤ型ポンプ |
US9127672B2 (en) | 2009-12-15 | 2015-09-08 | Honda Motor Co., Ltd. | Gear pump |
US11390355B1 (en) | 2009-12-15 | 2022-07-19 | Syscend, Inc. | Hydraulic brake system and apparatus |
US11866124B2 (en) | 2009-12-15 | 2024-01-09 | Syscend, Inc. | Hydraulic brake system and apparatus |
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JP2014227899A (ja) * | 2013-05-22 | 2014-12-08 | 住友電工焼結合金株式会社 | オイルポンプ |
US11919605B1 (en) | 2014-01-31 | 2024-03-05 | Syscend, Inc. | Hydraulic brake system and apparatus |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
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