JP2002206197A - Ni−Cu合金複合メッキ被膜 - Google Patents

Ni−Cu合金複合メッキ被膜

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JP2002206197A JP2000403396A JP2000403396A JP2002206197A JP 2002206197 A JP2002206197 A JP 2002206197A JP 2000403396 A JP2000403396 A JP 2000403396A JP 2000403396 A JP2000403396 A JP 2000403396A JP 2002206197 A JP2002206197 A JP 2002206197A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐食性及び潤滑性を高めることができるNi
−Cu合金複合メッキ被膜を提供する。 【解決手段】 Ni−Cu合金複合メッキ被膜3は、シ
リンダ内面2aに被せた被膜であって、Ni−Cu合金
マトリックス4を10〜50atm%のCu及び残部をN
iで構成し、Ni−Cu合金マトリックス4に自己潤滑
粒子5・・・及び硬質粒子6・・・を含ませたものであ
る。 【効果】 Ni−Cu合金複合メッキ被膜に10〜50
atm%のCu成分を含ませることで、耐食性や耐摩耗性
を確保することができる。さらに、Ni−Cu合金複合
メッキ被膜に自己潤滑粒子及び硬質粒子を含ませること
で、潤滑性や耐摩耗性を高めることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はNi−Cu合金複合
メッキ被膜に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用の内燃機関に使用する内燃機関
用シリンダブロックとして、シリンダブロックとシリン
ダ内面とを一体にダイカスト成形したものがある。この
内燃機関用シリンダブロックは、シリンダ内面の硬度や
摺動性、摩耗性を維持するために、シリンダ内面にニッ
ケル(Ni)メッキ被膜を形成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、燃料(ガソ
リン)には不純物として微量の硫黄成分が含まれてお
り、万一シリンダ内で硫黄成分から硫酸が生成された場
合、シリンダ内面のNiメッキ被膜が硫酸で腐食される
虞がある。このため、内燃機関用シリンダブロックの耐
久性をより高めることが難しい。従って、硫酸に対して
メッキ被膜の耐食性を高めることで、内燃機関用シリン
ダブロックの耐久性をより優れたものにすることが望ま
れていた。
【0004】一方、内燃機関用エンジンは、駆動中にエ
ンジンオイルが潤滑剤の役割を果たすことにより、ピス
トンリングとシリンダ内面との焼付きを防ぐ。しかし、
内燃機関用エンジンを停止させると、エンジンオイルが
自重でシリンダ内面から落下してオイルパン内やクラン
クケース内に溜まる。よって、内燃機関用エンジンを始
動するときには、ピストン等に少量のエンジンオイルが
付着しているだけなので、潤滑性を十分に確保すること
が難しい。このため、内燃機関用エンジンを始動する際
に焼付けを起こすことが懸念される。
【0005】そこで、本発明の目的は、耐食性及び潤滑
性を高めることができるNi−Cu合金複合メッキ被膜
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、硫酸に対
する耐食性の実験を進めるなかで、ニッケル(Ni)に
耐食性に優れた銅(Cu)を含めることで、硫酸に対し
てメッキ被膜の耐食性を高めることができることを判明
した。ここで、シリンダ内面はピストンリングが摺動す
る面なので、メッキ被膜は耐摩耗性に優れている必要が
ある。加えて、エンジン始動時の焼付きは潤滑不足が原
因なのでメッキ被膜は潤滑性に優れている必要がある。
これらの観点から検討した結果、Niに含めるCuの含
量を規制し、メッキ被膜に自己潤滑粒子や硬質粒子を含
めることで耐摩耗性や潤滑性を確保することができると
の見通しを得た。
【0007】具体的には請求項1は、母材に被せるNi
−Cu合金複合メッキ被膜において、このNi−Cu合
金メッキ複合被膜は、自己潤滑粒子と硬質粒子と10〜
50atm%のCuと、残部としてのNiとを構成成分と
したものであることを特徴とする。
【0008】Ni−Cu合金複合メッキ被膜とすること
でメッキ被膜に10〜50atm%のCu成分を含ませ
た。Cuは耐食性に優れているので、複合メッキ被膜に
Cu成分を含めることで、硫酸に対する耐食性を高める
ことができる。ここで、Cu成分を10〜50atm%に
設定した理由は以下の通りである。Cu成分が10atm
%未満になると、Cu成分が少な過ぎてメッキ被膜の耐
食性が低下する。そこで、Cu成分を10atm%以上に
設定することで、Ni−Cu合金複合メッキ被膜の耐食
性を確保するようにした。また、Cu成分が50atm%
を超えると、Cu成分が多過ぎて耐摩耗性を確保するこ
とができない。そこで、Cu成分を50atm%以下に設
定することで、Ni成分を確保してNi−Cu合金複合
メッキ被膜の耐摩耗性を確保するようにした。
【0009】さらに、Ni−Cu合金複合メッキ被膜に
自己潤滑粒子を含めた。これにより、Ni−Cu合金複
合メッキ被膜の潤滑性を高めることができる。加えて、
Ni−Cu合金複合メッキ被膜に硬質粒子を含めた。こ
れにより、メッキ被膜を硬化させてNi−Cu合金複合
メッキ被膜の耐摩耗性を高めることができる。
【0010】請求項2において、自己潤滑粒子は、C、
h−BN、MoS2のうちの少なくとも一つからなるこ
とを特徴とする。
【0011】C、h−BN、MoS2から少なくとも一
つを選択して自己潤滑粒子として使用した。C、h−B
N、MoS2の粒子は、六方晶の結晶構造をもつ固体潤
滑剤であり、これらの自己潤滑剤粒子を含めることによ
り、潤滑油がないところでも優れた潤滑性を発揮するこ
とができる。
【0012】請求項3において、硬質粒子は、SiC、
Si34、Al23、c−BN、ダイヤモンドのうちの
少なくとも一つからなることを特徴とする。
【0013】SiC、Si34、Al23、c−BN、
ダイヤモンドのうちから少なくとも一つを選択して硬質
粒子として使用した。SiC、Si34、Al23、c
−BN、ダイヤモンドは、マイクロビッカースHvが3
000以上になるので、Ni−Cu合金複合メッキ被膜
の耐摩耗性を十分に高めることができる。
【0014】請求項4は、Ni−Cu合金複合メッキ被
膜の成分合計を100vol%としたときに、自己潤滑
粒子及び硬質粒子の割合をそれぞれ2〜15vol%と
したことを特徴とする。
【0015】自己潤滑粒子及び硬質粒子の割合をそれぞ
れ2〜15vol%に設定した。自己潤滑粒子の割合が
2vol%未満になると、自己潤滑粒子の共析量が少な
過ぎてメッキ被膜の潤滑性が不十分となる。潤滑性が不
十分であると焼付きが発生する虞れがある。そこで、自
己潤滑粒子の共析量を2vol%以上に設定すること
で、メッキ被膜の潤滑性を高めるようにした。また、自
己潤滑粒子が15vol%を超えるようにするために
は、電流値を高くする必要があり、電流値を高くすると
メッキ生成効率が低下してしまう。そこで、自己潤滑粒
子の共析量を15vol%以下に設定することで、メッ
キ生成効率の低下を防ぐようにした。
【0016】一方、硬質粒子の割合が2vol%未満に
なると、硬質粒子の共析量が少な過ぎてメッキ被膜の硬
度が不十分となる。硬度が不十分であると摩耗量が大き
くなりメッキ被膜の耐久性が低下する。そこで、硬質粒
子の共析量を2vol%以上に設定することで、メッキ
被膜の摩耗量を小さくするようにした。また、硬質粒子
の割合が15vol%を超えるようにするためには、電
流値を高くする必要があり、電流値を高くするとメッキ
生成効率が低下してしまう。そこで、硬質粒子の共析量
を15vol%以下に設定することで、メッキ生成効率
の低下を防ぐようにした。
【0017】請求項5は、Ni−Cu合金複合メッキ被
膜を、内燃機関用エンジンのシリンダ内面に形成したこ
とを特徴とする。
【0018】Ni−Cu合金複合メッキ被膜を内燃機関
用エンジンのシリンダ内面に形成した。このNi−Cu
合金複合メッキ被膜は耐食性に優れているので、シリン
ダ内面が硫酸で腐食されることを防ぐことができる。さ
らに、Ni−Cu合金複合メッキ被膜は耐摩耗性に優れ
ているので、シリンダ内面の摩耗を抑えることができ
る。加えて、Ni−Cu合金複合メッキ被膜は潤滑性に
優れているので、エンジン始動時に、シリンダ内面に焼
付きが発生することを防ぐことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を添付図に基
づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見る
ものとする。図1は本発明に係るNi−Cu合金複合メ
ッキ被膜を形成した内燃機関用シリンダブロックの斜視
図であり、内燃機関用エンジンを構成する内燃機関用シ
リンダブロックを母材の一例として示したものである。
内燃機関用シリンダブロック1は、中空部2のシリンダ
内面2a(図2に示す)にNi−Cu合金複合メッキ被
膜3を形成することにより中空部2においてピストン7
の摺動を可能にしたアルミ合金製の4気筒エンジン用シ
リンダブロックである。なお、7aはピストンリングで
あり、ピストンリング7aは、ステンレス鋼(SUS)
で形成したものにガス窒化などの表面硬化処理を施した
ものである。
【0020】図2は図1の2−2線断面図である。Ni
−Cu合金複合メッキ被膜3は、10〜50atm%(原
子%)のCuを含み、残部がNiからなるNi−Cu合
金マトリックス4をシリンダ内面2aに形成(析出)
し、このNi−Cu合金マトリックス4に自己潤滑粒子
5・・・(・・・は複数個を示す)及び硬質粒子6・・
・を略均一に含めた(共析)ものである。
【0021】Ni−Cu合金複合メッキ被膜3のマトリ
ックスを、10〜50atm%のCuを含んだNi−Cu
合金マトリックス4とした。Cuは耐食性に優れている
ので、Ni−Cu合金複合メッキ被膜3にCu成分を含
めることで、硫酸に対する耐食性を高めることができ
る。
【0022】ここで、Ni−Cu合金マトリックス4中
のCu成分を10〜50atm%に設定した理由は以下の
通りである。Cu成分が10atm%未満になると、Cu
成分が少な過ぎてNi−Cu合金複合メッキ被膜3の耐
食性が低下する。そこで、Cu成分を10atm%以上に
設定することで、メッキ被膜の耐食性を確保するように
した。また、Cu成分が50atm%を超えると、Cu成
分が多過ぎて耐摩耗性を確保することができない。そこ
で、Cu成分を50atm%以下に設定することで、Ni
成分を確保してNi−Cu合金複合メッキ被膜3の耐摩
耗性を確保するようにした。なお、Cu成分を10〜5
0atm%に設定した理由を図10及び図11でさらに詳
しく説明する。
【0023】さらに、Ni−Cu合金複合メッキ被膜3
は、Ni−Cu合金マトリックス4に自己潤滑粒子5・
・・を共析させた。これにより、Ni−Cu合金複合メ
ッキ被膜3の潤滑性を高めることができる。自己潤滑粒
子5は、黒鉛(C)、六方晶窒化ホウ素(h−BN)、
二硫化モリブデン(MoS2)から少なくとも一つを選
択して使用した。C、h−BN、MoS2の粒子は、六
方晶の結晶構造をもつ固体潤滑剤であり、これらの自己
潤滑剤粒子を含めることにより、潤滑油がないところで
も優れた潤滑性を発揮することができる。
【0024】加えて、Ni−Cu合金複合メッキ被膜3
は、Ni−Cu合金マトリックス4に硬質粒子6・・・
を共析させた。これにより、Ni−Cu合金複合メッキ
被膜3を硬化させてNi−Cu合金複合メッキ被膜3の
耐摩耗性を高めることができる。硬質粒子6は、炭化ケ
イ素(SiC)、窒化ケイ素(Si34)、アルミナ
(Al23)、立方晶窒化ホウ素(c−BN)、ダイヤ
モンドから少なくとも一つを選択して使用した。Si
C、Si34、Al23、c−BN、ダイヤモンドは、
マイクロビッカースHvが3000以上になるので、N
i−Cu合金複合メッキ被膜3の耐摩耗性を十分に高め
ることができる。
【0025】また、Ni−Cu合金複合メッキ被膜3
は、Ni−Cu合金複合メッキ被膜の成分合計を100
vol%(体積%)としたときに、自己潤滑粒子5・・
・及び硬質粒子6・・・の割合をそれぞれ2〜15vo
l%に設定した。
【0026】自己潤滑粒子5・・・の割合が2vol%
未満になると、自己潤滑粒子5・・・の共析量が少な過
ぎてNi−Cu合金複合メッキ被膜3の潤滑性が不十分
となる。潤滑性が不十分であると焼付きが発生する虞れ
がある。そこで、自己潤滑粒子5・・・の共析量を2v
ol%以上に設定することで、Ni−Cu合金複合メッ
キ被膜3の潤滑性を高めるようにした。また、自己潤滑
粒子5・・・が15vol%を超えるようにするために
は、電流値を高くする必要があり、電流値を高くすると
メッキ生成効率が低下してしまう。そこで、自己潤滑粒
子5・・・の共析量を15vol%以下に設定すること
で、メッキ生成効率の低下を防ぐようにした。
【0027】一方、硬質粒子6・・・の割合が2vol
%未満になると、硬質粒子6・・・の共析量が少な過ぎ
てNi−Cu合金複合メッキ被膜3の硬度が不十分とな
る。硬度が不十分であると摩耗量が大きくなりNi−C
u合金複合メッキ被膜3の耐久性が低下する。そこで、
硬質粒子6・・・の共析量を2vol%以上に設定する
ことで、Ni−Cu合金複合メッキ被膜3の摩耗量を小
さくするようにした。また、硬質粒子6・・・の割合が
15vol%を超えるようにするためには、電流値を高
くする必要があり、電流値を高くするとメッキ生成効率
が低下してしまう。そこで、硬質粒子6・・・の共析量
を15vol%以下に設定することで、メッキ生成効率
の低下を防ぐようにした。
【0028】以上に述べたNi−Cu合金複合メッキ被
膜3を、内燃機関用エンジン(内燃機関用シリンダブロ
ック1)のシリンダ内面2aに形成した。Ni−Cu合
金複合メッキ被膜3は耐食性に優れているので、シリン
ダ内面2aにNi−Cu合金複合メッキ被膜3を形成す
ることにより、シリンダ内面2aが硫酸で腐食されるこ
とを防ぐことができる。
【0029】さらに、Ni−Cu合金複合メッキ被膜3
は耐摩耗性に優れているので、シリンダ内面2aの摩耗
を抑えることができる。加えて、Ni−Cu合金複合メ
ッキ被膜3は潤滑性に優れているので、エンジン始動時
に、シリンダ内面2aに焼付きが発生することを防ぐこ
とができる。従って、内燃機関用エンジンのシリンダ内
面2aにNi−Cu合金複合メッキ被膜3を形成するこ
とにより、内燃機関用エンジンの耐久性をより高めるこ
とができる。
【0030】以下、内燃機関用シリンダブロック1にN
i−Cu合金複合メッキ被膜3を形成する複合メッキ装
置を図3〜図6に基づいて説明する。図3は本発明に係
るNi−Cu合金複合メッキ被膜を形成する複合メッキ
装置を示す全体図である。複合メッキ装置10は、内燃
機関用シリンダブロック(以下、「シリンダブロック」
という)1を載せるために本体11に取付けたワーク載
置台12と、このワーク載置台12に載せたシリンダブ
ロック1の中空部2内に配置した筒形電極15と、この
筒形電極15を筒形電極15の軸線15aの廻りに回転
させる回転機構20と、筒形電極15の内側孔16に複
合メッキ液29を供給する複合メッキ液循環機構30
と、シリンダブロック1と筒形電極15とを通電する通
電機構45とからなる。なお、筒形電極15については
図5及び図6で詳しく説明する。1aは冷却水の通路と
なるウォータジャケット、1bはクランク室、13はシ
リンダ内面2aと筒形電極15とで形成した隙間S1の
環状通路である。
【0031】ワーク載置台12は、ワーク受け面12a
に絶縁部材14を備え、かつ複合メッキ液の回収孔12
bを備えた部材である。絶縁部材14は、例えばセラッ
ミックや合成樹脂で形成した板材である。絶縁部材14
を備えることで、シリンダブロック1をワーク載置台1
2から絶縁させてシリンダブロック1のみに通電させる
ことができる。ワーク載置台12に回収孔12bを備え
ることで、シリンダブロック1のシリンダ内面2aに当
った複合メッキ液29を回収孔12bから回収して、複
合メッキ液29をスムーズに循環させることができる。
【0032】次に、回転機構20について説明する。回
転機構20は、4気筒エンジン用のシリンダブロックに
適用させて4本の筒形電極15・・・を回転させる機構
であるが、ここでは1本の筒形電極15を回転させる内
容について説明する。回転機構20は、本体11に取付
けたモータ21と、このモータ21につないだ駆動シャ
フト22と、この駆動シャフト22に取付けた駆動ギヤ
23と、駆動ギヤ23に噛み合ったギヤ24と、このギ
ヤ24を略中央に取付け且つ上端に筒形電極15のねじ
部19aを取付けた回転軸25とからなる。なお、4本
の筒形電極15・・・を回転させる機構については図4
で詳しく説明する。
【0033】複合メッキ液循環機構30は、複合メッキ
液29を蓄えるタンク31と、このタンク31から供給
ポート32まで延ばした第1供給路33と、この第1供
給路33の途中に設けたポンプ34と、供給ポート32
の出側に形成したチャンバ35と、このチャンバ35に
入側36aが通じるように回転軸25に開けた第2供給
路36と、この第2供給路36の出側に通じた筒形電極
15の内側孔16と、この内側孔16に貫通孔18・・
・で通じた環状通路13と、この環状通路13にワーク
載置台12の回収孔12bで通じた回収ポート37と、
この回収ポート37からタンク31まで延ばした回収路
38と、この回収路38の途中に設けたコントロールバ
ルブ39と、タンク31に取付けた攪拌機40とからな
る。
【0034】コントロールバルブ39は、クランク室1
b内の複合メッキ液29の液面高さ29aを調整するバ
ルブである。攪拌機40は、タンク31の複合メッキ液
29を翼部41で攪拌するものである。通電機構45
は、回転軸25の下端部に通電用のロータリコネクタ4
6を取付け、このロータリコネクタ46に陽極47を接
続し、シリンダブロック1に陰極48を接続したもので
ある。
【0035】図4は図3の4−4線断面図である。回転
機構20の駆動ギヤ23は、内側のギヤ24,24に噛
み合い、内側ギヤ24,24はそれぞれ第1、第2伝達
ギヤ26,27に噛み合い、第1、第2伝達ギヤ26,
27は外側のギヤ24,24に噛み合っている。このた
め、モータ21の回転力は、先ず矢印,の如く駆動
ギヤ23から内側のギヤ24,24に伝わり、次に内側
のギヤ24,24から矢印,の如く第1、第2伝達
ギヤ26,27に伝わり、次いで第1、第2伝達ギヤ2
6,27から矢印,の如く外側のギヤ24,24に
伝わる。
【0036】この結果、ギヤ24・・・を取付けた回転
軸25・・・がそれぞれ白抜き矢印の如く回転して、回
転軸25・・・に取付けた筒形電極15・・・(図3に
1個のみを示す)が回転軸25・・・と同様にそれぞれ
白抜き矢印の如く回転する。
【0037】図5(a),(b)は本発明に係るNi−
Cu合金複合メッキ被膜を形成する筒形電極の説明図で
あり、(a)は断面図、(b)は(a)のb矢視図であ
る。(a)において、筒形電極15は、例えばチタン
(Ti)基材に白金(Pt)をクラッド被覆した電極や
Ti基材に酸化イリジウム(IrO2)をクラッド被覆
した電極であって、軸線15aに沿って開けた内側孔1
6と、シリンダブロック1のシリンダ内面2a(図3に
示す。)に対向する筒状の周壁17と、この周壁17に
螺旋状に配置した複数の貫通孔18・・・と、上端部に
形成した蓋部19bと、下端部に形成したねじ部19a
とからなる。
【0038】(b)において、筒形電極15は、周壁1
7の高さH((a)参照)、周長Lに設定し、周壁17
に貫通孔18・・・を一定の角度θ(24°)で配置し
たものである。なお、貫通孔18・・・の配列について
は図6で詳しく説明する。
【0039】図6は本発明に係るNi−Cu合金複合メ
ッキ被膜を形成する筒形電極の展開図である。貫通孔1
8・・・は、周壁17に千鳥状に且つ傾斜角θ1の螺旋
に沿ってピッチPで配列したものである。貫通孔18・
・・を螺旋状に配置することで、周壁17に対向するシ
リンダブロック1のシリンダ内面2a(図3に示す。)
により均一に複合メッキ液29を当てることができる。
また、貫通孔18・・・を略千鳥配置とすることで、碁
盤目配置と比較して貫通孔18と貫通孔18との間隔を
小さくして、貫通孔18・・・を周壁17に密に配置す
ることができる。
【0040】次に、シリンダ内面に複合メッキ被膜3を
形成する複合メッキ方法を図7〜図9に基づいて説明す
る。図7は本発明に係るNi−Cu合金複合メッキ被膜
の第1メッキ方法説明図であり、Ni−Cu合金複合メ
ッキ方法の原理図を示す。先ず、タンク31内に複合メ
ッキ液29を蓄える。この複合メッキ液29は、金属イ
オン(Niイオン、Cuイオン)28・・・、自己潤滑
粒子5・・・や硬化粒子6・・・を含む。
【0041】次に、シリンダブロック1をワーク載置台
12の絶縁部材14に載せて筒形電極15に隙間S1を
開けて被せる。次いで、モータ21を駆動して、モータ
21の回転力を駆動ギヤ23→ギヤ24→回転軸25に
伝えて筒形電極15を軸線15aの廻りに回転させる。
続いて、撹拌機40の翼部41を回転してタンク31の
複合メッキ液29を撹拌する。この状態で、ポンプ34
を駆動してタンク31内の複合メッキ液29を矢印a1
〜a3の如く、第1供給路33→供給ポート32→チャ
ンバ35→第2供給路36を通じて筒形電極15の内側
孔16に供給する。
【0042】内側孔16の複合メッキ液29は貫通孔1
8・・・を通じて矢印b・・・の如く筒形電極15の外
側に噴射してシリンダブロック1のシリンダ内面2aに
直角に当る。そして、シリンダ内面2aに当った複合メ
ッキ液29を矢印c1,c2の如く環状通路13→回収
ポート37→回収路38を通じてタンク31に回収す
る。複合メッキ液29を循環させた状態で通電機構45
を操作して筒形電極15とシリンダブロック1とを通電
する。
【0043】図8は本発明に係るNi−Cu合金複合メ
ッキ被膜の第2メッキ方法説明図であり、筒形電極15
の貫通孔18・・・から複合メッキ液29を噴射させた
状態を示す。貫通孔18・・・から複合メッキ液29を
噴射して矢印b・・・の如くシリンダブロック1のシリ
ンダ内面2aにほぼ直角に当てることにより、シリンダ
内面2aに当った複合メッキ液29は乱流になる。加え
て、貫通孔18・・・からの複合メッキ液29の噴射速
度をほぼ同一にすることにより、シリンダ内面2aへの
複合メッキ液29の衝突条件を平均にする。
【0044】このため、金属イオン(Niイオン、Cu
イオン)28・・・、自己潤滑粒子5・・・及び硬化粒
子6・・・を複合メッキ液29に均一に分散することが
できる。この結果、シリンダ内面2a近傍において複合
メッキ液29の金属イオン(Niイオン、Cuイオン)
濃度を規定濃度に保つことができるので、複合メッキ被
膜3のNi−Cu合金マトリックス4を規定厚さTに析
出させることができる。また、シリンダ内面2a近傍に
おいて複合メッキ液29の自己潤滑粒子5・・・及び硬
化粒子6・・・を均一に分散させることができる。よっ
て、規定量の自己潤滑粒子5・・・及び硬化粒子6・・
・をNi−Cu合金マトリックス4中に均一に共析させ
ることができる。
【0045】さらに、筒形電極15を回転させることに
より、貫通孔18・・・から噴射した複合メッキ液29
をシリンダブロック1のシリンダ内面2a全域に均一に
当てることができる。このため、シリンダ内面2a全域
にNi−Cu合金マトリックス4を均一の厚さに析出さ
せることができることができ、さらにNi−Cu合金マ
トリックス4に自己潤滑粒子5・・・及び硬化粒子6・
・・を均一に共析させることができる。
【0046】図9は本発明に係るNi−Cu合金複合メ
ッキ被膜の第3メッキ方法説明図であり、シリンダブロ
ック1の断面図の右側に筒形電極15を展開した状態を
示す。なお、便宜上貫通孔18・・・にa〜jを付して
説明する。貫通孔18a〜13jから複合メッキ液29
を噴射させながら筒形電極15(図5参照)を回転させ
る。この結果、先ず、貫通孔18aから噴射した複合メ
ッキ液29を矢印の如くシリンダブロック1のシリン
ダ内面2aの位置P1に当て、貫通孔18bから噴射し
た複合メッキ液29を位置P1の僅か上方にズラして当
てる。
【0047】また、貫通孔18cから噴射した複合メッ
キ液29を矢印の如く位置P2に当て、貫通孔18d
から噴射した複合メッキ液29を位置P2の僅か上方に
当て、貫通孔18eから噴射した複合メッキ液29を矢
印の如く位置P3に当てる。さらに、貫通孔18fか
ら噴射した複合メッキ液29を矢印の如くシリンダブ
ロック1のシリンダ内面2aの位置P4に当て、貫通孔
18g,13hから噴射した複合メッキ液29を順次位
置P4の僅か上方にズラして当てる。そして、貫通孔1
8jから噴射した複合メッキ液29を矢印の如く位置
P5に当てる。
【0048】このため、シリンダブロック1のシリンダ
内面2aの位置P1〜位置P5のエリアEに複合メッキ
液29を均一に当てることができる。この結果、複合メ
ッキ液29中の金属イオン(Niイオン、Cuイオン)
濃度を規定濃度に保った状態で、Ni−Cu合金マトリ
ックス4をシリンダ内面2aに規定厚さに析出させるこ
とができる。加えて、複合メッキ液29中の自己潤滑粒
子5・・・及び硬化粒子6・・・を均一に混合させ、N
i−Cu合金マトリックス4に自己潤滑粒子5・・・及
び硬化粒子6・・・を均一に共析させることができる。
以下、Ni−Cu合金複合メッキ被膜3の耐食性、耐摩
耗性、潤滑性について説明する。
【0049】図10(a),(b)は本発明に係るNi
−Cu合金複合メッキ被膜の硫酸濃度と腐食摩耗量との
関係を示したグラフであり、横軸は硫酸濃度を示し、縦
軸は腐食摩耗量を示す。なお、(a)は比較例、(b)
は実施例を示す。
【0050】このグラフは、電気化学測定方法で測定し
た結果を示したもので、測定条件は以下の通りである。
複合メッキ被膜を陽極とし、硫酸水溶液の温度を80℃
に設定し、この硫酸水溶液に複合メッキ被膜を10分間
浸漬した後、掃引速度50mV/分をかけて硫酸水溶液
中で電解を行い、複合メッキ被膜の腐食摩耗量を測定す
る。
【0051】ここで、腐食摩耗とは、摩擦面が化学変化
を起こして変質し、変質した部分が相互運動により取り
去られて摩耗が進行することをいい、酸化などもこの範
疇に入る。
【0052】(a)において、Ni−9atm%Cu合金
の複合メッキ被膜は、硫酸濃度が30%を超えると腐食
摩耗量が大きくなり、硫酸濃度が50%で腐食摩耗量は
4.5μmと多くなる。従って、Cuの含量が9atm%
と少ないと、耐食性を確保することができない。
【0053】(b)において、Ni−10atm%Cu合
金の複合メッキ被膜(実線で示す)は、硫酸濃度が増し
ても腐食摩耗量を2μm未満に抑えることができる。従
って、Cuの含量が10atm%のとき耐食性を確保する
ことができる。また、Ni−50atm%Cu合金の複合
メッキ被膜(破線で示す)は、硫酸濃度が増しても腐食
摩耗量を2μm未満に抑えることができる。従って、C
uの含量が50atm%のとき耐食性を確保することがで
きる。この結果、Ni−Cu合金の複合メッキ被膜の場
合、Cuの含量が10atm%以上であれば、耐食性に優
れた複合メッキ被膜を得ることができることが判る。
【0054】図11(a),(b)は本発明に係るNi
−Cu合金複合メッキ被膜の摩擦距離と凝着摩耗量との
関係を示したグラフであり、横軸は摩擦距離を示し、縦
軸は凝着摩耗量を示す。なお、(a)は比較例、(b)
は実施例を示す。
【0055】ここで、凝着摩耗とは、摩擦面において金
属同士の凝着が起こり、柔らかいほうの金属が引きさか
れて、硬いほうの金属に移行することにより起こる摩耗
をいい、正常な摩耗をいう。
【0056】(a)において、Ni−51atm%Cu合
金の複合メッキ被膜は、摩擦距離が略20kmで凝着摩
耗量が1.5μmとなり、摩擦距離が略50kmで凝着
摩耗量が1.8μmと大きくなり、さらに摩擦距離が1
00km以上になると凝着摩耗量は2.0μmになる。
従って、Cuの含量が51atm%と多いと、耐摩耗性を
確保することができない。
【0057】(b)において、Ni−50atm%Cu合
金の複合メッキ被膜(破線で示す)は、摩擦距離が略5
0kmで凝着摩耗量が略0.25μmと少なく、摩擦距
離が100kmを超えても凝着摩耗量を0.5μm未満
に抑えることができる。従って、Cuの含量が50atm
%のとき耐摩耗性を確保することができる。
【0058】また、Ni−10atm%Cu合金の複合メ
ッキ被膜(実線で示す)は、摩擦距離が100kmを超
えるまでは凝着摩耗量は略0で、摩擦距離が180km
を超えても凝着摩耗量を0.1μm未満に抑えることが
できる。従って、Cuの含量が10atm%のとき耐摩耗
性を確保することができる。この結果、Ni−Cu合金
の複合メッキ被膜の場合、Cuの含量が50atm%以下
であれば、耐摩耗性に優れた複合メッキ被膜を得ること
ができることが判る。
【0059】
【実施例】以下に、本発明に係る実験例を表1〜表2を
参照の上説明する。しかし、本発明はこれらの実験例に
限るものではない。
【0060】
【表1】
【0061】実験No.1 Ni−Cu合金複合メッキ被膜4として、30atm%の
Cu成分を含んだNi−Cu合金マトリックスに、自己
潤滑粒子としてh−BNを含め、硬質粒子としてSiC
を含めた例について説明する。このNi−Cu合金複合
メッキ被膜4は、成分合計を100vol%としたとき
に、h−BNの割合を2〜15vol%に設定し、Si
Cの割合を2〜15vol%に設定したものである。
【0062】複合メッキ液29(図3参照)は、硫酸ニ
ッケル(NiSO4)0.415g/cm3、硫酸銅(C
uSO4)0.05〜0.08g/cm3、クエン酸3ナ
トリウム0.1〜0.16g/cm3、ホウ酸0.03
5g/cm3、サッカリン酸ナトリウムを5×10-6
3×10-5モル/cm3加えたpH=5.0のものに、
h−BN粒子を4×10-4〜4×10-3モル/cm3
濁させ、SiC粒子を0.001〜0.005モル/c
3懸濁させ、複合メッキ液温度を60℃に設定したも
のである。筒形電極15(図3参照)は、周壁17に孔
径2.0mmの貫通孔18・・・を169個開けたもの
である。
【0063】複合メッキ処理条件は、先ず、筒形電極を
5rpmで回転させながら複合メッキ液29を流量30
×103cm3/分で循環させ、電流密度を14A/dm
2に設定して筒形電極15とシリンダブロック1とを1
分10秒間通電した。引続き、筒形電極を5rpmで回
転させながら複合メッキ液29を流量30l/分で循環
させ、電流密度を20〜40A/dm2に設定して筒形
電極15とシリンダブロック1とを6分51秒〜13分
40秒通電した。
【0064】その結果、Ni−Cu合金複合メッキ被膜
を、56.5μmの厚さに形成することができた。ま
た、Ni−Cu合金マトリックスにCu成分を30atm
%含めることができた。Ni−Cu合金のCu成分を3
0atm%にすることで、図10及び図11のグラフで説
明した10〜50atm%の範囲内に収めることができ
る。従って、複合メッキ被膜の耐食性や耐摩耗性を十分
に確保することができる。加えて、h−BNを2〜15
vol%含めることができ、SiCを2〜15vol%
含めることができた。これにより、潤滑性を十分に高め
ることができる。なお、潤滑性については図12で詳し
く説明する。
【0065】
【表2】
【0066】実験No.2 Ni−Cu合金複合メッキ被膜4として、30atm%の
Cu成分を含んだNi−Cu合金マトリックスに、自己
潤滑粒子としてCを含め、硬質粒子としてSiCを含め
た例について説明する。このNi−Cu合金複合メッキ
被膜4は、成分合計を100vol%としたときに、C
の割合を2〜15vol%に設定し、SiCの割合を2
〜15vol%に設定したものである。
【0067】複合メッキ液29(図3参照)は、硫酸ニ
ッケル(NiSO4)0.415g/cm3、硫酸銅(C
uSO4)0.05〜0.08g/cm3、クエン酸3ナ
トリウム0.1〜0.16g/cm3、ホウ酸0.03
5g/cm3、サッカリン酸ナトリウムを5×10-6
3×10-5モル/cm3加えたpH=5.0のものに、
C粒子を4.2×10-4〜4.2-3×10モル/cm3
を懸濁させ、SiC粒子を0.001〜0.005モル
/cm3を懸濁させたもので、複合メッキ液温度を60
℃に設定したものである。筒形電極15(図2参照)
は、周壁17に孔径2.0mmの貫通孔18・・・を1
69個開けてたものである。
【0068】複合メッキ処理条件は、実験No.1と同
様に、筒形電極を5rpmで回転させながら複合メッキ
液29を流量30×103cm3/分で循環させ、電流密
度を14A/dm2に設定して筒形電極15とシリンダ
ブロック1とを1分10秒間通電した。引続き、筒形電
極を5rpmで回転させながら複合メッキ液29を流量
30l/分で循環させ、電流密度を20〜40A/dm
2に設定して筒形電極15とシリンダブロック1とを6
分51秒〜13分40秒通電した。
【0069】その結果、Ni−Cu合金複合メッキ被膜
を、56.5μmの厚さに形成することができた。ま
た、Ni−Cu合金マトリックスはCu成分を30atm
%含めることができた。Ni−Cu合金のCu成分を3
0atm%にすることで、図10及び図11のグラフで説
明した10〜50atm%の範囲内に収めることができ
る。従って、複合メッキ被膜の耐食性や耐摩耗性を十分
に確保することができる。加えて、Cを2〜15vol
%含めることができ、SiCを2〜15vol%含める
ことができた。これにより、潤滑性を十分に高めること
ができる。なお、潤滑性については図12で詳しく説明
する。
【0070】図12は本発明に係るNi−Cu合金複合
メッキ被膜の潤滑性について説明したグラフであり、縦
軸は焼付き荷重(N)を示す。焼付き荷重の測定条件は
次の通りである。メッキ被膜にピストンリングを所定荷
重Pで押し付け、この状態でメッキ被膜に沿ってピスト
ンリングを一定速度で一定時間往復移動する。その結
果、焼付きが発生した場合、所定荷重Pを焼付き荷重と
する。
【0071】比較例1は、Ni−Cu合金メッキ被膜で
あり、Cu成分を30atm%含み、自己潤滑粒子及び硬
質粒子の両方を含まないメッキ被膜を示す。自己潤滑粒
子及び硬質粒子の両方を含んでいないので、メッキ被膜
の焼付き荷重は65Nと小さい。
【0072】比較例2は、Ni−Cu合金複合メッキ被
膜であり、Cu成分を30atm%含み、自己潤滑粒子と
してCを2〜15vol%含めた複合メッキ被膜を示
す。自己潤滑粒子としてCを含ませただけで硬質粒子を
含んでいないので、メッキ被膜の焼付き荷重は70Nと
小さい。
【0073】比較例3は、Ni−Cu合金複合メッキ被
膜であり、Cu成分を30atm%含み、自己潤滑粒子と
してh−BNを2〜15vol%含めた複合メッキ被膜
を示す。自己潤滑粒子としてh−BNを含ませただけで
硬質粒子を含んでいないので、メッキ被膜の焼付き荷重
は75Nと小さい。
【0074】比較例4は、Ni−Cu合金複合メッキ被
膜であり、Cu成分を30atm%含み、硬質粒子として
SiCを2〜15vol%含めた複合メッキ被膜を示
す。硬質粒子としてSiCを含ませただけで自己潤滑粒
子を含んでいないので、メッキ被膜の焼付き荷重は80
Nと小さい。
【0075】比較例5は、Ni−Cu合金複合メッキ被
膜であり、Cu成分を30atm%含み、硬質粒子として
ダイヤモンドを2〜15vol%含めた複合メッキ被膜
を示す。硬質粒子としてダイヤモンドを含ませただけで
自己潤滑粒子を含んでいないので、メッキ被膜の焼付き
荷重は80Nと小さい。
【0076】実施例1は、Ni−Cu合金複合メッキ被
膜であり、Cu成分を30atm%含み、自己潤滑粒子と
してh−BNを2〜15vol%含ませ、硬質粒子とし
てSiCを2〜15vol%含めた複合メッキ被膜を示
す。自己潤滑粒子としてh−BNを含み、硬質粒子とし
てSiCを含ませたので、メッキ被膜の焼付き荷重を1
30Nと高くすることができる。
【0077】実施例2は、Ni−Cu合金複合メッキ被
膜であり、Cu成分を30atm%含み、自己潤滑粒子と
してh−BNを2〜15vol%含ませ、硬質粒子とし
てダイヤモンドを2〜15vol%含めた複合メッキ被
膜を示す。自己潤滑粒子としてh−BNを含み、硬質粒
子としてダイヤモンドを含ませたので、メッキ被膜の焼
付き荷重を130Nと高くすることができる。
【0078】実施例3は、Ni−Cu合金複合メッキ被
膜であり、Cu成分を30atm%含み、自己潤滑粒子と
してCを2〜15vol%含ませ、硬質粒子としてSi
Cを2〜15vol%含めた複合メッキ被膜を示す。自
己潤滑粒子としてCを含み、硬質粒子としてSiCを含
ませたので、メッキ被膜の焼付き荷重を130Nと高く
することができる。
【0079】実施例4は、Ni−Cu合金複合メッキ被
膜であり、Cu成分を30atm%含み、自己潤滑粒子と
してCを2〜15vol%含ませ、硬質粒子としてダイ
ヤモンドを2〜15vol%含めた複合メッキ被膜を示
す。自己潤滑粒子としてCを含み、硬質粒子としてダイ
ヤモンドを含ませたので、メッキ被膜の焼付き荷重を1
30Nと高くすることができる。
【0080】この結果、Ni−Cu合金メッキ被膜に自
己潤滑粒子及び硬質粒子の両方を含まない場合には、焼
付き荷重は65Nと小さく、潤滑性を十分に高めること
ができないことが判る。また、Ni−Cu合金メッキ被
膜に自己潤滑粒子又は硬質粒子の片方しか含まない場合
には、焼付き荷重は70〜80Nと小さく、潤滑性を十
分に高めることができないことが判る。一方、Ni−C
u合金メッキ被膜に自己潤滑粒子及び硬質粒子の両方を
含ませると、焼付き荷重は130Nまで大きくすること
ができ、潤滑性を十分に高めることができることが判
る。
【0081】なお、前記実施の形態では、4本の筒形電
極15・・・を使用して4気筒エンジンのシリンダブロ
ック1にメッキ被膜を形成する内容について説明した
が、筒形電極15・・・の本数を変えて、例えば6気筒
エンジンのシリンダブロック等に適用することも可能で
ある。
【0082】前記実施の形態では、シリンダブロック1
のシリンダ内面2aを母材として、シリンダ内面2aに
メッキ被膜を形成する内容について説明したが、母材を
その他のワークとし、このワークにメッキ被膜を形成し
てもよい。
【0083】
【発明の効果】本発明は上記構成により次の効果を発揮
する。請求項1は、Ni−Cu合金複合メッキ被膜とす
ることでメッキ被膜に10〜50atm%のCu成分を含
ませた。Cuは耐食性に優れているので、Cu成分を1
0atm%以上に設定して、Ni−Cu合金複合メッキ被
膜の耐食性を確保することができる。加えて、Cu成分
を50atm%以下に設定することによりNiを所定量確
保し、Ni−Cu合金複合メッキ被膜の耐摩耗性を確保
することができる。この結果、Ni−Cu合金複合メッ
キ被膜の耐食性や耐摩耗性を確保して、耐久性をより高
めることができる。
【0084】さらに、Ni−Cu合金複合メッキ被膜に
自己潤滑粒子を含ませた。これにより、Ni−Cu合金
複合メッキ被膜の潤滑性を高めることができる。加え
て、Ni−Cu合金複合メッキ被膜に硬質粒子を含ませ
た。これにより、メッキ被膜を硬化させてNi−Cu合
金複合メッキ被膜の耐摩耗性を高めることができる。こ
の結果、Ni−Cu合金複合メッキ被膜の潤滑性や耐摩
耗性を確保して、耐久性をより高めることができる。
【0085】請求項2は、C、h−BN、MoS2から
少なくとも一つを選択して自己潤滑粒子として使用し
た。C、h−BN、MoS2の粒子は、六方晶の結晶構
造をもつ固体潤滑剤であり、これらの自己潤滑剤粒子を
含ませることにより優れた潤滑性を発揮することができ
る。従って、自己潤滑剤粒子を含ませることで、潤滑油
がないところでも焼付きが発生することを防ぐことがで
きる。
【0086】請求項3は、SiC、Si34、Al
23、c−BN、ダイヤモンドから少なくとも一つを選
択して硬質粒子として使用した。SiC、Si34、A
23、c−BN、ダイヤモンドは、マイクロビッカー
スHvが3000以上になるので、Ni−Cu合金複合
メッキ被膜の耐摩耗性を十分に高めることができる。従
って、Ni−Cu合金複合メッキ被膜の耐久性をより高
めることができる。
【0087】請求項4は、自己潤滑粒子及び硬質粒子の
割合をそれぞれ2〜15vol%に設定した。自己潤滑
粒子の割合を2vol%以上に設定してNi−Cu合金
複合メッキ被膜の潤滑性を高め、かつ自己潤滑粒子の割
合を15vol%以下に設定してメッキ生成効率の低下
を防ぐことができる。従って、潤滑性に優れたNi−C
u合金複合メッキ被膜を効率よく生成することができ
る。
【0088】一方、硬質粒子の割合を2vol%以上に
設定してNi−Cu合金複合メッキ被膜の摩耗量を小さ
くし、かつ硬質粒子の割合を15vol%以下に設定し
てメッキ生成効率の低下を防ぐことができる。従って、
耐摩耗性に優れたNi−Cu合金複合メッキ被膜を効率
よく生成することができる。
【0089】請求項5は、Ni−Cu合金複合メッキ被
膜を内燃機関用エンジンのシリンダ内面に形成した。こ
のNi−Cu合金複合メッキ被膜は耐食性に優れている
ので、シリンダ内面が硫酸で腐食されることを防ぐこと
ができる。さらに、Ni−Cu合金複合メッキ被膜は耐
摩耗性に優れているので、シリンダ内面の摩耗を抑える
ことができる。加えて、Ni−Cu合金複合メッキ被膜
は潤滑性に優れているので、エンジン始動時に、シリン
ダ内面に焼付きが発生することを防ぐことができる。従
って、内燃機関用エンジンのシリンダ内面にNi−Cu
合金複合メッキ被膜を形成することにより、内燃機関用
エンジンの耐久性をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るNi−Cu合金複合メッキ被膜を
形成した内燃機関用シリンダブロックの斜視図
【図2】図1の2−2線断面図
【図3】本発明に係るNi−Cu合金複合メッキ被膜を
形成する複合メッキ装置を示す全体図
【図4】図3の4−4線断面図
【図5】本発明に係るNi−Cu合金複合メッキ被膜を
形成する筒形電極の説明図
【図6】本発明に係るNi−Cu合金複合メッキ被膜を
形成する筒形電極の展開図
【図7】本発明に係るNi−Cu合金複合メッキ被膜の
第1メッキ方法説明図
【図8】本発明に係るNi−Cu合金複合メッキ被膜の
第2メッキ方法説明図
【図9】本発明に係るNi−Cu合金複合メッキ被膜の
第3メッキ方法説明図
【図10】本発明に係るNi−Cu合金複合メッキ被膜
の硫酸濃度と腐食摩耗量との関係を示したグラフ
【図11】本発明に係るNi−Cu合金複合メッキ被膜
の摩擦距離と凝着摩耗量との関係を示したグラフ
【図12】本発明に係るNi−Cu合金複合メッキ被膜
の潤滑性について説明したグラフ
【符号の説明】
1…(内燃機関用エンジン)内燃機関用シリンダブロッ
ク、2a…母材(シリンダ内面)、3…Ni−Cu合金
複合メッキ被膜、4…Ni−Cu合金マトリックス、5
…自己潤滑粒子、6…硬化粒子。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉本 信彦 埼玉県狭山市新狭山1丁目10番地1 ホン ダエンジニアリング株式会社内 (72)発明者 平田 智宏 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 Fターム(参考) 3G024 AA24 FA06 FA07 GA18 4K024 AA15 AB12 BA01 BB04 BC04 CA02 CA04 CA06 CB08 GA03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 母材に被せるNi−Cu合金複合メッキ
    被膜において、このNi−Cu合金メッキ複合被膜は、
    自己潤滑粒子と硬質粒子と10〜50atm%のCuと、
    残部としてのNiとを構成成分としたものであることを
    特徴とするNi−Cu合金複合メッキ被膜。
  2. 【請求項2】 前記自己潤滑粒子は、C、h−BN、M
    oS2のうちの少なくとも一つからなることを特徴とす
    る請求項1記載のNi−Cu合金複合メッキ被膜。
  3. 【請求項3】 前記硬質粒子は、SiC、Si34、A
    23、c−BN、ダイヤモンドのうちの少なくとも一
    つからなることを特徴とする請求項1記載のNi−Cu
    合金複合メッキ被膜。
  4. 【請求項4】 前記Ni−Cu合金複合メッキ被膜の成
    分合計を100vol%としたときに、自己潤滑粒子及
    び硬質粒子の割合をそれぞれ2〜15vol%としたこ
    とを特徴とする請求項1記載のNi−Cu合金複合メッ
    キ被膜。
  5. 【請求項5】 前記Ni−Cu合金複合メッキ被膜を、
    内燃機関用エンジンのシリンダ内面に形成したことを特
    徴とする請求項1記載のNi−Cu合金複合メッキ被
    膜。
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JP2015071803A (ja) * 2013-10-02 2015-04-16 株式会社シマノ 摺動部材、摺動部材を用いた自転車用部品、摺動部材を用いた釣り具用部品、及び摺動部材の製造方法
JP2015092009A (ja) * 2013-10-02 2015-05-14 株式会社シマノ 摺動部材、摺動部材を用いた自転車用部品、及び摺動部材を用いた釣り具用部品
TWI612233B (zh) * 2013-10-02 2018-01-21 島野股份有限公司 滑動構件,使用滑動構件之自行車元件及使用滑動構件之釣魚用具
US10465139B2 (en) 2013-10-02 2019-11-05 Shimano Inc. Slide member, bicycle component using slide member, and fishing tackle component using slide member

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