JP2001158996A - 内燃機関用シリンダブロック - Google Patents

内燃機関用シリンダブロック

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JP2001158996A
JP2001158996A JP34143699A JP34143699A JP2001158996A JP 2001158996 A JP2001158996 A JP 2001158996A JP 34143699 A JP34143699 A JP 34143699A JP 34143699 A JP34143699 A JP 34143699A JP 2001158996 A JP2001158996 A JP 2001158996A
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JP34143699A
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Osamu Ishigami
修 石上
Yoshimitsu Ogawa
義光 小川
Nobuhiko Yoshimoto
信彦 吉本
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Honda Motor Co Ltd
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Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐久性を十分に高めることができる内燃機関
用シリンダブロックを提供する。 【解決手段】 内燃機関用シリンダブロックは、アルミ
合金製シリンダブロックのシリンダ内面にメッキ被膜を
形成したもので、メッキ被膜をNi−Cuマトリックス
にセラミックス粒子を含めたものとし、このセラミック
ス粒子をSiCとし、Ni−Cuマトリックスとセラミ
ックス粒子との合計を100vol%としたときに、セ
ラミックス粒子の割合を2〜15vol%とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアルミ合金製シリン
ダブロックのシリンダ内面に複合メッキ被膜を形成した
内燃機関用シリンダブロックに関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用の内燃機関に使用する内燃機関
用シリンダブロックとして、シリンダブロックとシリン
ダ内面とを一体にダイカスト成形したものがある。この
内燃機関用シリンダブロックは、シリンダ内面の硬度や
摺動性、摩耗性を維持するために、シリンダ内面にニッ
ケル(Ni)メッキ被膜を形成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、燃料(ガソ
リン)には不純物として微量の硫黄成分が含まれてお
り、万一シリンダ内で硫黄成分から硫酸が生成された場
合、シリンダ内面のNiメッキ被膜が硫酸で腐食される
虞がある。このため、内燃機関用シリンダブロックの耐
久性をより高めることが難しい。従って、硫酸に対して
メッキ被膜の耐食性を高めることで、内燃機関用シリン
ダブロックの耐久性をより優れたものにすることが望ま
れていた。
【0004】そこで、本発明の目的は、耐久性をさらに
高めることができる内燃機関用シリンダブロックを提供
することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、硫酸に対
する耐食性の実験を進めるなかで、ニッケル(Ni)に
耐食性に優れた銅(Cu)を含めることで、硫酸に対し
てメッキ被膜の耐食性を高めることができることを判明
した。ここで、シリンダ内面はピストンリングが摺動す
る面なので、メッキ被膜は耐摩耗性に優れている必要が
ある。これらの観点から検討した結果、Niに含めるC
uの含量を規制し、メッキ被膜にセラミックス粒子を含
めることで耐摩耗性を確保することができるとの見通し
を得た。
【0006】具体的には請求項1は、アルミ合金製シリ
ンダブロックのシリンダ内面にメッキ被膜を形成した内
燃機関用シリンダブロックにおいて、前記メッキ被膜
は、Ni−Cuマトリックスにセラミックス粒子を含め
たものであり、このセラミックス粒子は、SiC、Si
34、BNのうちから選択した少なくとも一種のセラミ
ックス粒子としたことを特徴とする。
【0007】メッキ被膜をNi−Cuマトリックスとし
て金属マトリックスにCu成分を含ませた。Cuは耐食
性に優れているので、メッキ被膜の硫酸に対する耐食性
を高めることができる。加えて、Ni−Cuマトリック
スに、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(Si
34)、窒化ホウ素(BN)のセラミックス粒子うちの
少なくとも一種のセラミックス粒子を含めた。セラミッ
クス粒子は硬いので、メッキ被膜を硬化させてメッキ被
膜の耐摩耗性を高めることができる。
【0008】請求項2は、Ni−Cuマトリックスとセ
ラミックス粒子との合計を100vol%としたとき
に、セラミックス粒子の割合を2〜15vol%とした
ことを特徴とする。
【0009】Ni−Cuマトリックスに含んだセラミッ
クス粒子の割合を2〜15vol%に設定した。セラミ
ックス粒子の割合が2vol%未満になると、セラミッ
クス粒子の共析量が少な過ぎてメッキ被膜の硬度が不十
分となる。硬度が不十分であると摩耗量が大きくなりシ
リンダブロックの耐久性が低下する。そこで、セラミッ
クス粒子の共析量を2vol%以上に設定することで、
メッキ被膜の摩耗量を小さくするようにした。
【0010】また、セラミックス粒子の割合が15vo
l%を超えると、セラミックス粒子の共析量が多過ぎて
メッキ被膜が硬くなり過ぎてしまう。このため、メッキ
被膜に沿ってピストンリングが摺動する際にピストンリ
ングの摩耗量を小さくすることができない。そこで、セ
ラミックス粒子の共析量を15vol%以下に設定する
ことで、ピストンリングの摩耗量を小さくするようにし
た。
【0011】請求項3は、Ni−Cuマトリックス中の
Cu成分を、10〜50wt%に設定したことを特徴と
する。
【0012】Ni−Cuマトリックス中のCu成分を1
0〜50wt%に設定した。Cu成分が10wt%未満
になると、Cu成分が少な過ぎてメッキ被膜の耐食性が
低下する。そこで、Cu成分を10wt%以上に設定す
ることで、メッキ被膜の耐食性を確保するようにした。
また、Cu成分が50wt%を超えると、Cu成分が多
過ぎて耐摩耗性を確保することができない。そこで、C
u成分を50wt%以下に設定することで、メッキ被膜
の耐摩耗性を確保するようにした。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を添付図に基
づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見る
ものとする。図1は本発明に係る内燃機関用シリンダブ
ロックの斜視図である。内燃機関用シリンダブロック1
は、中空部2のシリンダ内面2a(図2に示す)にメッ
キ被膜(複合メッキ被膜)3を形成することにより中空
部2においてピストン7の摺動を可能にしたアルミ合金
製の4気筒エンジン用シリンダブロックである。なお、
7aはピストンリングであり、ピストンリング7aは、
ステンレス鋼(SUS)で形成したものにガス窒化など
の表面硬化処理を施したものである。
【0014】図2は図1の2−2線断面図である。複合
メッキ被膜3は、シリンダ内面2aにNi−Cuマトリ
ックス4を析出し、Ni−Cuマトリックス4にセラミ
ックス粒子(SiC)5・・・(・・・は複数個を示す)を共
析したもので、Ni−Cuマトリックス4とSiC5と
の合計を100vol%(体積%)としたときに、Si
C5の割合を2〜15vol%としたものである。
【0015】また、複合メッキ被膜3は、Ni−Cuマ
トリックス4のCu成分を10〜50wt%(重量%)
に設定したものである。なお、複合メッキ被膜3をNi
−Cuマトリックス4とし、SiC5の割合を2〜15
vol%とし、Cu成分を10〜50wt%に設定した
理由は後述する。
【0016】以下、内燃機関用シリンダブロック1に複
合メッキ被膜3を形成する複合メッキ装置を図3〜図6
に基づいて説明する。図3は本発明に係る内燃機関用シ
リンダブロックに複合メッキ被膜を形成する複合メッキ
装置を示す全体図である。複合メッキ装置10は、内燃
機関用シリンダブロック(以下、「シリンダブロック」
という)1を載せるために本体11に取付けたワーク載
置台12と、このワーク載置台12に載せたシリンダブ
ロック1の中空部2内に配置した筒形電極15と、この
筒形電極15を筒形電極15の軸線15aの廻りに回転
させる回転機構20と、筒形電極15の内側孔16に複
合メッキ液9を供給する複合メッキ液循環機構30と、
シリンダブロック1と筒形電極15とを通電する通電機
構45とからなる。なお、筒形電極15については図5
及び図6で詳しく説明する。1aは冷却水の通路となる
ウォータジャケット、1bはクランク室、13はシリン
ダ内面2aと筒形電極15とで形成した隙間S1の環状
通路である。
【0017】ワーク載置台12は、ワーク受け面12a
に絶縁部材14を備え、かつ複合メッキ液の回収孔12
bを備えた部材である。絶縁部材14は、例えばセラッ
ミックや合成樹脂で形成した板材である。絶縁部材14
を備えた理由は、シリンダブロック1をワーク載置台1
2から絶縁させてシリンダブロック1のみに通電させる
ことにより、シリンダブロック1のシリンダ内面2aに
複合メッキ被膜3(図2に示す)を効率よく形成するた
めである。
【0018】ワーク載置台12に回収孔12bを備えた
理由は、シリンダブロック1のシリンダ内面2aに当っ
た複合メッキ液9を回収孔12bから回収して、複合メ
ッキ液9をスムーズに循環させることにより、シリンダ
ブロック1のシリンダ内面2aに複合メッキ被膜3(図
2に示す)を効率よく形成するためである。
【0019】次に、回転機構20について説明する。回
転機構20は、4気筒エンジン用のシリンダブロックに
適用させて4本の筒形電極15・・・を回転させる機構で
あるが、ここでは1本の筒形電極15を回転させる内容
について説明する。回転機構20は、本体11に取付け
たモータ21と、このモータ21につないだ駆動シャフ
ト22と、この駆動シャフト22に取付けた駆動ギヤ2
3と、駆動ギヤ23に噛み合ったギヤ24と、このギヤ
24を略中央に取付け且つ上端に筒形電極15のねじ部
19aを取付けた回転軸25とからなる。なお、4本の
筒形電極15・・・を回転させる機構については図4で詳
しく説明する。
【0020】複合メッキ液循環機構30は、複合メッキ
液9を蓄えるタンク31と、このタンク31から供給ポ
ート32まで延ばした第1供給路33と、この第1供給
路33の途中に設けたポンプ34と、供給ポート32の
出側に形成したチャンバ35と、このチャンバ35に入
側36aが通じるように回転軸25に開けた第2供給路
36と、この第2供給路36の出側に通じた筒形電極1
5の内側孔16と、この内側孔16に貫通孔18・・・で
通じた環状通路13と、この環状通路13にワーク載置
台12の回収孔12bで通じた回収ポート37と、この
回収ポート37からタンク31まで延ばした回収路38
と、この回収路38の途中に設けたコントロールバルブ
39と、タンク31に取付けた攪拌機40とからなる。
【0021】コントロールバルブ39は、クランク室1
b内の複合メッキ液9の液面高さ9aを調整するバルブ
である。攪拌機40は、タンク31の複合メッキ液9を
翼部41で攪拌するものである。通電機構45は、回転
軸25の下端部に通電用のロータリコネクタ46を取付
け、このロータリコネクタ46に陽極47を接続し、シ
リンダブロック1に陰極48を接続したものである。
【0022】図4は図3の4−4線断面図である。回転
機構20の駆動ギヤ23は、内側のギヤ24,24に噛
み合い、内側ギヤ24,24はそれぞれ第1、第2伝達
ギヤ26,27に噛み合い、第1、第2伝達ギヤ26,
27は外側のギヤ24,24に噛み合っている。このた
め、モータ21の回転力は、先ず矢印,の如く駆動
ギヤ23から内側のギヤ24,24に伝わり、次に内側
のギヤ24,24から矢印,の如く第1、第2伝達
ギヤ26,27に伝わり、次いで第1、第2伝達ギヤ2
6,27から矢印,の如く外側のギヤ24,24に
伝わる。
【0023】この結果、ギヤ24・・・を取付けた回転軸
25・・・がそれぞれ白抜き矢印の如く回転して、回転軸
25・・・に取付けた筒形電極15・・・(図3参照)が回転
軸25・・・と同様にそれぞれ白抜き矢印の如く回転す
る。
【0024】図5(a),(b)は本発明に係る内燃機
関用シリンダブロックに複合メッキ被膜を形成する筒形
電極の説明図であり、(a)は断面図、(b)は(a)
のb矢視図である。(a)において、筒形電極15は、
例えばチタン(Ti)基材に白金(Pt)をクラッド被
覆した電極やTi基材に酸化イリジウム(IrO2)を
クラッド被覆した電極であって、軸線15aに沿って開
けた内側孔16と、シリンダブロック1のシリンダ内面
2a(図3に示す。)に対向する筒状の周壁17と、こ
の周壁17に螺旋状に配置した複数の貫通孔18・・・
と、上端部に形成した蓋部19bと、下端部に形成した
ねじ部19aとからなる。
【0025】(b)において、筒形電極15は、周壁1
7の高さH((a)参照)、周長Lに設定し、周壁17
に貫通孔18・・・を一定の角度θ(24°)で配置した
ものである。なお、貫通孔18・・・の配列については図
6で詳しく説明する。
【0026】図6は本発明に係る内燃機関用シリンダブ
ロックに複合メッキ被膜を形成する筒形電極の展開図で
ある。貫通孔18・・・は、周壁17に千鳥状に且つ傾斜
角θ1の螺旋に沿ってピッチPで配列したものである。
貫通孔18・・・を螺旋状に配置した理由は、周壁17に
対向するシリンダブロック1のシリンダ内面2a(図3
に示す。)により均一に複合メッキ液9を当てるためで
ある。また、貫通孔18・・・を略千鳥配置とした理由
は、碁盤目配置と比較して貫通孔18と貫通孔18との
間隔を小さくして、貫通孔18・・・を周壁17に密に配
置するためである。
【0027】次に、シリンダ内面に複合メッキ被膜3を
形成する複合メッキ方法を図7〜図9に基づいて説明す
る。図7は本発明に係る内燃機関用シリンダブロックの
第1複合メッキ方法説明図であり、複合メッキ方法の原
理図を示す。先ず、シリンダブロック1をワーク載置台
12の絶縁部材14に載せて筒形電極15に隙間S1を
開けて被せる。次に、モータ21を駆動して、モータ2
1の回転力を駆動ギヤ23→ギヤ24→回転軸25に伝
えて筒形電極15を軸線15aの廻りに回転させる。
【0028】次いで、撹拌機40の翼部41を回転して
タンク31の複合メッキ液9を撹拌する。この状態で、
ポンプ34を駆動してタンク31内の複合メッキ液9を
矢印a1〜a3の如く、第1供給路33→供給ポート3
2→チャンバ35→第2供給路36を通じて筒形電極1
5の内側孔16に供給する。
【0029】内側孔16の複合メッキ液9は貫通孔18
・・・を通じて矢印b・・・の如く筒形電極15の外側に噴射
してシリンダブロック1のシリンダ内面2aに直角に当
る。そして、シリンダ内面2aに当った複合メッキ液9
を矢印c1,c2の如く環状通路13→回収ポート37
→回収路38を通じてタンク31に回収する。複合メッ
キ液9を循環させた状態で通電機構45を操作して筒形
電極15とシリンダブロック1とを通電する。
【0030】図8は本発明に係る内燃機関用シリンダブ
ロックの第2複合メッキ方法説明図であり、筒形電極1
5の貫通孔18・・・から複合メッキ液9を噴射させた状
態を示す。貫通孔18・・・から複合メッキ液9を噴射し
て矢印b・・・の如くシリンダブロック1のシリンダ内面
2aにほぼ直角に当てることにより、シリンダ内面2a
に当った複合メッキ液9は乱流になる。加えて、貫通孔
18・・・からの複合メッキ液9の噴射速度をほぼ同一に
することにより、シリンダ内面2aへの複合メッキ液9
の衝突条件を平均にする。
【0031】このため、金属イオン(Niイオン、Cu
イオン)6・・・やセラミックス粒子(SiC)5・・・を複
合メッキ液9に均一に分散することができる。この結
果、シリンダ内面2a近傍において複合メッキ液9の金
属イオン(Niイオン、Cuイオン)濃度を規定濃度に
保つことができるので、複合メッキ被膜3のNi−Cu
マトリックス4を規定厚さTに析出させることができ
る。また、シリンダ内面2a近傍において複合メッキ液
9のセラミックス粒子5・・・を均一に分散させることが
できるので、セラミックス粒子5・・・をNi−Cuマト
リックス4中に均一に共析させることができる。
【0032】さらに、筒形電極15を回転させることに
より、貫通孔18・・・から噴射した複合メッキ液9をシ
リンダブロック1のシリンダ内面2a全域に均一に当て
ることができる。このため、シリンダ内面2a全域にN
i−Cuマトリックス4を均一の厚さに析出させること
ができることができ、さらにNi−Cuマトリックス4
にセラミックス粒子5・・・を均一に共析させることがで
きる。
【0033】図9は本発明に係る内燃機関用シリンダブ
ロックの第3複合メッキ方法説明図であり、シリンダブ
ロック1の断面図の右側に筒形電極15を展開した状態
を示す。なお、便宜上貫通孔18・・・にa〜jを付して
説明する。貫通孔18a〜13jから複合メッキ液9を
噴射させながら筒形電極15(図5参照)を回転させ
る。この結果、先ず、貫通孔18aから噴射した複合メ
ッキ液9を矢印の如くシリンダブロック1のシリンダ
内面2aの位置P1に当て、貫通孔18bから噴射した
複合メッキ液9を位置P1の僅か上方にズラして当て
る。
【0034】また、貫通孔18cから噴射した複合メッ
キ液9を矢印の如く位置P2に当て、貫通孔18dか
ら噴射した複合メッキ液9を位置P2の僅か上方に当
て、貫通孔18eから噴射した複合メッキ液9を矢印
の如く位置P3に当てる。さらに、貫通孔18fから噴
射した複合メッキ液9を矢印の如くシリンダブロック
1のシリンダ内面2aの位置P4に当て、貫通孔18
g,13hから噴射した複合メッキ液9を順次位置P4
の僅か上方にズラして当てる。そして、貫通孔18jか
ら噴射した複合メッキ液9を矢印の如く位置P5に当
てる。
【0035】このため、シリンダブロック1のシリンダ
内面2aの位置P1〜位置P5のエリアEに複合メッキ
液9を均一に当てることができる。この結果、複合メッ
キ液9中の金属イオン(Niイオン、Cuイオン)濃度
を規定濃度に保った状態で、Ni−Cuマトリックス4
をシリンダ内面2aに規定厚さに析出させることがで
き、さらに複合メッキ液9中のセラミックス粒子5・・・
を均一に保ってセラミックス粒子5・・・をNi−Cuマ
トリックス4中に均一に共析させることができる。以
下、複合メッキ被膜3の密着性、耐食性、耐摩耗性につ
いて説明する。
【0036】図10は本発明に係る複合メッキ被膜の被
膜厚さと剥離発生率との関係を示したグラフであり、横
軸は複合メッキ被膜厚さを示し、縦軸は複合メッキ被膜
の剥離発生率を示す。このグラフは、図1に示す内燃機
関用のシリンダブロック1の中空部2でピストン7を摺
動させて、摩擦距離((ピストンのストローク)×(ピ
ストンの往復運動回数))が1kmのときの複合メッキ
被膜の剥離状態を示したものである。
【0037】Ni−Cu合金の複合メッキ被膜は、複合
メッキ厚さが20μm未満のとき剥離が発生するが、複
合メッキ厚さが20μmを超えると剥離発生率を0%に
抑えることができる。この結果、Ni−Cu合金の複合
メッキ被膜において、複合メッキ厚さを少なくとも20
μmに設定することで密着性の高い複合メッキ被膜を得
ることができることが判る。また、複合メッキ被膜の最
大厚さは、エンジンの耐久性や複合メッキ処理時間を考
慮して略70μmと設定した。
【0038】図11(a),(b)は本発明に係る複合
メッキ被膜の硫酸濃度と腐食摩耗量との関係を示したグ
ラフであり、横軸は硫酸濃度を示し、縦軸は腐食摩耗量
を示す。なお、(a)は比較例、(b)は実施例を示
す。
【0039】このグラフは、電気化学測定方法で測定し
た結果を示したもので、測定条件は以下の通りである。
複合メッキ被膜を陽極とし、硫酸水溶液の温度を80℃
に設定し、この硫酸水溶液に複合メッキ被膜を10分間
浸漬した後、掃引速度50mV/分をかけて硫酸水溶液
中で電解を行い、複合メッキ被膜の腐食摩耗量を測定す
る。
【0040】ここで、腐食摩耗とは、摩擦面が化学変化
を起こして変質し、変質した部分が相互運動により取り
去られて摩耗が進行することをいい、酸化などもこの範
疇に入る。
【0041】(a)において、Ni−9wt%Cu合金
の複合メッキ被膜は、硫酸濃度が30%を超えると腐食
摩耗量が大きくなり、硫酸濃度が50%で腐食摩耗量は
5μmと多くなる。従って、Cuの含量が9wt%と少
ないと、耐食性を確保することができない。
【0042】(b)において、Ni−10wt%Cu合
金の複合メッキ被膜(実線で示す)は、硫酸濃度が増し
ても腐食摩耗量を2μm未満に抑えることができる。従
って、Cuの含量が10wt%のとき耐食性を確保する
ことができる。また、Ni−50wt%Cu合金の複合
メッキ被膜(破線で示す)は、硫酸濃度が増しても腐食
摩耗量を2μm未満に抑えることができる。従って、C
uの含量が50wt%のとき耐食性を確保することがで
きる。この結果、Ni−Cu合金の複合メッキ被膜の場
合、Cuの含量が10wt%以上であれば、耐食性に優
れた複合メッキ被膜を得ることができることが判る。
【0043】図12(a),(b)は本発明に係る複合
メッキ被膜の摩擦距離と凝着摩耗量との関係を示したグ
ラフであり、横軸は摩擦距離を示し、縦軸は凝着摩耗量
を示す。なお、(a)は比較例、(b)は実施例を示
す。
【0044】ここで、凝着摩耗とは、摩擦面において金
属同士の凝着が起こり、柔らかいほうの金属が引きさか
れて、硬いほうの金属に移行することにより起こる摩耗
をいい、正常な摩耗をいう。
【0045】(a)において、Ni−51wt%Cu合
金の複合メッキ被膜は、摩擦距離が略20kmで凝着摩
耗量が1.5μmとなり、摩擦距離が略50kmで凝着
摩耗量が1.8μmと大きくなり、さらに摩擦距離が1
00km以上になると凝着摩耗量は2.0μmになる。
従って、Cuの含量が51wt%と多いと、耐摩耗性を
確保することができない。
【0046】(b)において、Ni−50wt%Cu合
金の複合メッキ被膜(破線で示す)は、摩擦距離が略5
0kmで凝着摩耗量が略0.25μmと少なく、摩擦距
離が100kmを超えても凝着摩耗量を0.5μm未満
に抑えることができる。従って、Cuの含量が50wt
%のとき耐摩耗性を確保することができる。
【0047】また、Ni−10wt%Cu合金の複合メ
ッキ被膜(実線で示す)は、摩擦距離が100kmを超
えるまでは凝着摩耗量は略0で、摩擦距離が180km
を超えても凝着摩耗量を0.1μm未満に抑えることが
できる。従って、Cuの含量が10wt%のとき耐摩耗
性を確保することができる。この結果、Ni−Cu合金
の複合メッキ被膜の場合、Cuの含量が50wt%以下
であれば、耐摩耗性に優れた複合メッキ被膜を得ること
ができることが判る。
【0048】図13は本発明に係る複合メッキ被膜のS
iC含量と凝着摩耗量との関係を示したグラフであり、
横軸はセラミックス粒子(SiC)の共析量を示し、縦
軸は凝着摩耗量を示す。なお、実線は複合メッキ被膜の
摩耗量を示し、破線はピストンリング7a(図1に示
す)の摩耗量を示す。このグラフは、図1に示す内燃機
関用のシリンダブロック1の中空部2でピストン7を摺
動させて、摩擦距離が100kmのときの複合メッキ被
膜の凝着摩耗状態を示したものである。
【0049】複合メッキ被膜は、SiCの共析量が2v
ol%未満のとき凝着摩耗量が2μmより大きくなり、
SiCの共析量が2vol%を超えると凝着摩耗量が2
μmより小さくなる。従って、SiCの共析量を少なく
とも2vol%に設定することにより、複合メッキ被膜
の凝着摩耗量を小さくすることができる。
【0050】一方、ピストンリングは、SiCの共析量
が2vol%未満のとき凝着摩耗量が2μmより大きく
なり、SiCの共析量が2〜15vol%の範囲のとき
凝着摩耗量が略2μmと小さくなり、SiCの共析量が
15vol%を超えると凝着摩耗量が2μmより大きく
なる。従って、SiCの共析量を2〜15vol%に設
定することにより、ピストンリングの凝着摩耗量を小さ
くすることができる。
【0051】この結果、SiCの共析量を2〜15vo
l%に設定すれば、複合メッキ被膜及びピストンリング
の両方の凝着摩耗量を小さくして、シリンダブロックの
耐久性を十分に高めることができることが判る。
【0052】図14は本発明に係る複合メッキ被膜のS
34含量と凝着摩耗量との関係を示したグラフであ
り、横軸はセラミックス粒子(Si34)の共析量を示
し、縦軸は凝着摩耗量を示す。なお、実線は複合メッキ
被膜の摩耗量を示し、破線はピストンリング7a(図1
に示す)の摩耗量を示す。このグラフは、図13と同様
に摩擦距離が100kmのときの複合メッキ被膜の凝着
摩耗状態を示したものである。
【0053】複合メッキ被膜は、Si34の共析量が2
vol%未満のとき凝着摩耗量が2μmより大きくな
り、Si34の共析量が2vol%を超えると凝着摩耗
量が2μmより小さくなる。従って、Si34の共析量
を少なくとも2vol%に設定することにより、複合メ
ッキ被膜の凝着摩耗量を小さくすることができる。
【0054】一方、ピストンリングは、Si34の共析
量が2vol%未満のとき凝着摩耗量が2μmより大き
くなり、Si34の共析量が2〜15vol%の範囲の
とき凝着摩耗量が略2μmと小さくなり、さらにSi3
4の共析量が15vol%を超えると凝着摩耗量が2
μmより大きくなる。従って、Si34の共析量が2〜
15vol%のときピストンリングの凝着摩耗量を小さ
くすることができる。
【0055】この結果、Si34の共析量を2〜15v
ol%に設定すれば、複合メッキ被膜及びピストンリン
グの両方の凝着摩耗量を小さくして、シリンダブロック
の耐久性を十分に高めることができることが判る。
【0056】図15は本発明に係る複合メッキ被膜のB
N含量と凝着摩耗量との関係を示したグラフであり、横
軸はセラミックス粒子(BN)の共析量を示し、縦軸は
凝着摩耗量を示す。なお、実線は複合メッキ被膜の摩耗
量を示し、破線はピストンリング7a(図1に示す)の
摩耗量を示す。このグラフは、図13と同様に摩擦距離
が100kmのときの複合メッキ被膜の凝着摩耗状態を
示したものである。
【0057】複合メッキ被膜は、BNの共析量が2vo
l%未満のとき凝着摩耗量が2μmより大きくなり、B
Nの共析量が2vol%を超えると凝着摩耗量が2μm
より小さくなる。従って、BNの共析量を少なくとも2
vol%に設定することにより、複合メッキ被膜の凝着
摩耗量を小さくすることができる。
【0058】一方、ピストンリングは、BNの共析量が
2vol%未満のとき凝着摩耗量が2μmより大きくな
り、BNの共析量が2〜15vol%の範囲のとき凝着
摩耗量が略2μmと小さくなり、BNの共析量が15v
ol%を超えると凝着摩耗量が2μmより大きくなる。
従って、BNの共析量を2〜15vol%に設定するこ
とにより、ピストンリングの凝着摩耗量を小さくするこ
とができる。
【0059】この結果、BNの共析量を2〜15vol
%に設定することにより、複合メッキ被膜及びピストン
リングの両方の凝着摩耗量を小さくして、シリンダブロ
ックの耐久性を十分に高めることができることが判る。
【0060】図16は本発明に係る複合メッキ被膜の混
合セラミックス粒子含量と凝着摩耗量との関係を示した
グラフであり、横軸はセラミックス粒子の共析量を示
し、縦軸は凝着摩耗量を示す。セラミックス粒子は、S
iCを25vol%、BNを75vol%となるように
混合したもので、以下、このセラミックス粒子を「混合
セラミックス粒子」という。なお、実線は複合メッキ被
膜の凝着摩耗量を示し、破線はピストンリング7a(図
1に示す)の凝着摩耗量を示す。このグラフは、図13
と同様に摩擦距離が100kmのときの複合メッキ被膜
の凝着摩耗状態を示したものである。
【0061】複合メッキ被膜は、混合セラミックス粒子
の共析量が2vol%未満のとき凝着摩耗量が2μmよ
り大きくなり、混合セラミックス粒子の共析量が2vo
l%を超えると凝着摩耗量が2μmより小さくなる。従
って、混合セラミックス粒子の共析量を少なくとも2v
ol%に設定することにより、複合メッキ被膜の凝着摩
耗量を小さくすることができる。
【0062】一方、ピストンリングは、混合セラミック
ス粒子の共析量が2vol%未満のとき凝着摩耗量が2
μmより大きくなり、混合セラミックス粒子の共析量が
2〜15vol%の範囲のとき凝着摩耗量が略2μmと
小さくなり、混合セラミックス粒子の共析量が15vo
l%を超えると凝着摩耗量が2μmより大きくなる。従
って、混合セラミックス粒子の共析量を2〜15vol
%に設定することにより、ピストンリングの凝着摩耗量
を小さくすることができる。
【0063】この結果、複合メッキ被膜の混合セラミッ
クス粒子の共析量を2〜15vol%に設定することに
より、複合メッキ被膜及びピストンリングの両方の凝着
摩耗量を小さくして、シリンダブロックの耐久性を十分
に高めることができることが判る。
【0064】
【実施例】以下に、本発明に係る実験例を表1〜表3を
参照の上説明する。しかし、本発明はこれらの実験例に
限るものではない。
【0065】
【表1】
【0066】実験No.1 複合メッキ被膜は、Ni−30wt%Cuマトリックス
にセラミックス粒子(SiC)を含めたものを例に説明
する。この複合メッキ被膜は、Ni−Cuマトリックス
とSiCとの合計を100vol%としたときに、Si
Cの割合を9vol%に設定したものである。
【0067】複合メッキ液9(図3参照)は、硫酸ニッ
ケル(NiSO4)415g/l(リットル)、硫酸銅
(CuSO4)50〜80g/l、クエン酸ナトリウム
100〜160g/l、ホウ酸35g/l、アサヒライ
トN11を32.5ml/l加えたpH=5.0のもの
に、炭化ケイ素(SiC)粒子165g/lを懸濁させ
たもので、複合メッキ液温度を60℃に設定したもので
ある。筒形電極15(図3参照)は、周壁17に孔径
2.0mmの貫通孔18・・・を169個開けてたもので
ある。
【0068】複合メッキ処理条件は、先ず、筒形電極を
5rpmで回転させながら複合メッキ液9を流量30
l/分で循環させ、電流密度を14A/dm2に設定し
て筒形電極15とシリンダブロック1とを1分10秒間
通電した。引続き、筒形電極を5rpmで回転させなが
ら複合メッキ液9を流量30 l/分で循環させ、電流
密度を20〜40A/dm2に設定して筒形電極15と
シリンダブロック1とを6分51秒〜13分40秒通電
した。
【0069】その結果、Ni−30wt%Cuの複合メ
ッキ被膜の厚さを、56.5μmとすることができ、図
10のグラフで説明した複合メッキ被膜厚さ20μmよ
り大きくすることができた。従って、複合メッキ被膜の
密着性を十分に確保することができる。
【0070】また、Ni−Cu合金のCu成分は30w
t%であり、図11及び図12のグラフで説明した10
〜50wt%の範囲内にある。従って、複合メッキ被膜
の耐食性や耐摩耗性を十分に確保することができる。さ
らに、SiCの割合は9vol%であり、図13のグラ
フで説明した2〜15vol%の範囲内にある。従っ
て、複合メッキ被膜の耐摩耗性をより高めることができ
る。この結果、表1の条件で複合メッキ被膜をシリンダ
内面に形成することにより、十分に耐久性の高いシリン
ダブロックを得ることができる。
【0071】
【表2】
【0072】実験No.2 複合メッキ被膜は、Ni−30wt%Cuマトリックス
にセラミックス粒子(Si34)を含めたものを例に説
明する。この複合メッキ被膜は、Ni−Cuマトリック
スとSi34との合計を100vol%としたときに、
Si34の割合を6vol%に設定したものである。
【0073】複合メッキ液9(図3参照)は、硫酸ニッ
ケル(NiSO4)415g/l(リットル)、硫酸銅
(CuSO4)50〜80g/l、クエン酸ナトリウム
100〜160g/l、ホウ酸35g/l、アサヒライ
トN11を32.5ml/l加えたpH=5.0のもの
に、窒化ケイ素(Si34)粒子45g/lを懸濁させ
たもので、複合メッキ液温度を60℃に設定したもので
ある。筒形電極15(図2参照)は、周壁17に孔径
2.0mmの貫通孔18・・・を169個開けてたもので
ある。
【0074】複合メッキ処理条件は、実験No.1と同
様に、筒形電極を5rpmで回転させながら複合メッキ
液9を流量30 l/分で循環させ、電流密度を14A
/dm2に設定して筒形電極15とシリンダブロック1
とを1分10秒間通電した。引続き、筒形電極を5rp
mで回転させながら複合メッキ液9を流量30 l/分
で循環させ、電流密度を20〜40A/dm2に設定し
て筒形電極15とシリンダブロック1とを6分51秒〜
13分40秒通電した。
【0075】その結果、Ni−30wt%Cuの複合メ
ッキ被膜の厚さを、56.5μmとすることができ、図
10のグラフで説明した複合メッキ被膜厚さ20μmよ
り大きくすることができた。従って、複合メッキ被膜の
密着性を十分に確保することができる。
【0076】また、Ni−Cu合金のCu成分は30w
t%であり、図11及び図12のグラフで説明した10
〜50wt%の範囲内にある。従って、複合メッキ被膜
の耐食性や耐摩耗性を十分に確保することができる。さ
らに、Si34の割合は6vol%であり、図14のグ
ラフで説明した2〜15vol%の範囲内にある。従っ
て、複合メッキ被膜の耐摩耗性をより高めることができ
る。この結果、表2の条件で複合メッキ被膜を形成する
ことにより、十分に耐久性の高いシリンダブロックを得
ることができる。
【0077】
【表3】
【0078】実験No.3 複合メッキ被膜は、Ni−30wt%Cuマトリックス
にセラミックス粒子(BN)を含めたものを例に説明す
る。この複合メッキ被膜は、Ni−Cuマトリックスと
BNとの合計を100vol%としたときに、BNの割
合を12vol%に設定したものである。
【0079】複合メッキ液9(図3参照)は、硫酸ニッ
ケル(NiSO4)415g/l(リットル)、硫酸銅
(CuSO4)50〜80g/l、クエン酸ナトリウム
100〜160g/l、ホウ酸35g/l、アサヒライ
トN11を32.5ml/l加えたpH=5.0のもの
に、窒化ホウ素(BN)粒子75g/lを懸濁させたも
ので、複合メッキ液温度を60℃に設定したものであ
る。筒形電極15(図2参照)は、周壁17に孔径2.
0mmの貫通孔18・・・を169個開けてたものであ
る。
【0080】複合メッキ処理条件は、実験No.1と同
様に、筒形電極を5rpmで回転させながら複合メッキ
液9を流量30 l/分で循環させ、電流密度を14A
/dm2に設定して筒形電極15とシリンダブロック1
とを1分10秒間通電した。引続き、筒形電極を5rp
mで回転させながら複合メッキ液9を流量30 l/分
で循環させ、電流密度を20〜40A/dm2に設定し
て筒形電極15とシリンダブロック1とを6分51秒〜
13分40秒通電した。
【0081】その結果、Ni−30wt%Cuの複合メ
ッキ被膜の厚さを、56.5μmとすることができ、図
10のグラフで説明した複合メッキ被膜厚さ20μmよ
り大きくすることができた。従って、複合メッキ被膜の
密着性を十分に確保することができる。
【0082】また、Ni−CuマトリックスのCu成分
は30wt%であり、図11及び図12のグラフで説明
した10〜50wt%の範囲内にある。従って、複合メ
ッキ被膜の耐食性や耐摩耗性を十分に確保することがで
きる。さらに、BNの割合は12vol%であり、図1
5のグラフで説明した2〜15vol%の範囲内にあ
る。従って、複合メッキ被膜の耐摩耗性をより高めるこ
とができる。この結果、表3の条件で複合メッキ被膜を
形成することにより、十分に耐久性の高いシリンダブロ
ックを得ることができる。
【0083】尚、前記実施の形態では、4本の筒形電極
15・・・を使用して4気筒エンジンのシリンダブロック
1にメッキ被膜を形成する内容について説明したが、筒
形電極15・・・の本数を変えて、例えば6気筒エンジン
のシリンダブロック等に適用することも可能である。
【0084】前記実施の形態では、シリンダブロック1
のシリンダ内面2aにメッキ被膜を形成する内容につい
て説明したが、その他のワークの中空部内面にメッキ被
膜を形成することも可能である。前記実施の形態では、
筒形電極15の内側孔16を蓋部19bで塞いだ内容に
ついて説明したが、内側孔16を筒形電極の底部で塞い
でもよい。このとき、メッキ液を底部と反対側の頂部側
から内側孔16に供給する。
【0085】前記実施の形態では、ワーク載置台12の
ワーク受け面12aに絶縁部材14を取付けた内容につ
いて説明したが、その他にセラミックスコーティングや
樹脂コーティングなどの絶縁コーティングを施しても同
様の効果を得ることができる。前記実施の形態では、メ
ッキ被膜の最大厚さを略70μmと設定したが、最大厚
さは70μmに限らないで任意に選択することが可能で
ある。
【0086】
【発明の効果】本発明は上記構成により次の効果を発揮
する。請求項1は、メッキ被膜をNi−Cuマトリック
スとして金属マトリックスにCu成分を含めた。Cu成
分は耐食性に優れている。従って、メッキ被膜の硫酸に
対する耐食性を高めることができる。
【0087】加えて、Ni−Cuマトリックスにセラミ
ックス粒子を含めた。セラミックス粒子は硬いのでメッ
キ被膜を硬化させることができる。従って、メッキ被膜
の耐摩耗性を高めることができる。この結果、メッキ被
膜の耐食性及び耐摩耗性を高めることができるので、内
燃機関用シリンダブロックの耐久性をさらに高めること
ができる。
【0088】請求項2は、Ni−Cuマトリックスに含
んだセラミックス粒子の割合を、2vol%以上に設定
してメッキ被膜の摩耗量を小さくし、かつセラミックス
粒子の割合を15vol%以下に設定してピストンリン
グの摩耗量を小さくするようにした。この結果、メッキ
被膜の摩耗量やピストンリングの摩耗量を小さくして、
さらに耐久性の高い内燃機関用シリンダブロックを得る
ことができる。
【0089】請求項3は、Ni−Cuマトリックス中の
Cu成分を10wt%以上に設定してメッキ被膜の耐食
性を確保し、かつCu成分を50wt%以下に設定して
メッキ被膜の耐摩耗性を確保するようにした。この結
果、メッキ被膜の耐食性や耐摩耗性を確保して、さらに
耐久性の高い内燃機関用シリンダブロックを得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る内燃機関用シリンダブロックの斜
視図
【図2】図1の2−2線断面図
【図3】本発明に係る内燃機関用シリンダブロックに複
合メッキ被膜を形成する複合メッキ装置を示す全体図
【図4】図3の4−4線断面図
【図5】本発明に係る内燃機関用シリンダブロックに複
合メッキ被膜を形成する筒形電極の説明図
【図6】本発明に係る内燃機関用シリンダブロックに複
合メッキ被膜を形成する筒形電極の展開図
【図7】本発明に係る内燃機関用シリンダブロックの第
1複合メッキ方法説明図
【図8】本発明に係る内燃機関用シリンダブロックの第
2複合メッキ方法説明図
【図9】本発明に係る内燃機関用シリンダブロックの第
3複合メッキ方法説明図
【図10】本発明に係る複合メッキ被膜の被膜厚さと剥
離発生率との関係を示したグラフ
【図11】本発明に係る複合メッキ被膜の硫酸濃度と腐
食摩耗量との関係を示したグラフ
【図12】本発明に係る複合メッキ被膜の摩擦距離と凝
着摩耗量との関係を示したグラフ
【図13】本発明に係る複合メッキ被膜のSiC含量と
凝着摩耗量との関係を示したグラフ
【図14】本発明に係る複合メッキ被膜のSi34含量
と凝着摩耗量との関係を示したグラフ
【図15】本発明に係る複合メッキ被膜のBN含量と凝
着摩耗量との関係を示したグラフ
【図16】本発明に係る複合メッキ被膜の混合セラミッ
クス粒子含量と凝着摩耗量との関係を示したグラフ
【符号の説明】
1…内燃機関用シリンダブロック、2a…シリンダ内
面、3…メッキ被膜(複合メッキ被膜)、4…Ni−C
uマトリックス、5…セラミックス粒子、9…複合メッ
キ液、10…複合メッキ装置、15…筒形電極、20…
回転機構、30…メッキ液循環装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉本 信彦 埼玉県狭山市新狭山1丁目10番地1 ホン ダエンジニアリング株式会社内 Fターム(参考) 3G024 AA22 FA06 GA18 HA10 4K023 AB21 BA06 CA09 CB03 DA06 DA07 DA08

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミ合金製シリンダブロックのシリン
    ダ内面にメッキ被膜を形成した内燃機関用シリンダブロ
    ックにおいて、 前記メッキ被膜は、Ni−Cuマトリックスにセラミッ
    クス粒子を含めたものであり、このセラミックス粒子
    は、SiC、Si34、BNのうちから選択した少なく
    とも一種のセラミックス粒子としたことを特徴とする内
    燃機関用シリンダブロック。
  2. 【請求項2】 前記Ni−Cuマトリックスとセラミッ
    クス粒子との合計を100vol%としたときに、セラ
    ミックス粒子の割合を2〜15vol%としたことを特
    徴とする請求項1記載の内燃機関用シリンダブロック。
  3. 【請求項3】 前記Ni−Cuマトリックス中のCu成
    分を、10〜50wt%に設定したことを特徴とする請
    求項1又は請求項2記載の内燃機関用シリンダブロッ
    ク。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7022419B2 (en) * 2000-12-20 2006-04-04 Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha Composite plating film and a process for forming the same
CN106591899A (zh) * 2016-11-17 2017-04-26 哈尔滨工程大学 具有光致亲水与疏水转换功能的镁锂合金超疏水镀层及制备方法

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