JPH0790691A - 超撥水性被膜表面処理材およびその被覆方法 - Google Patents

超撥水性被膜表面処理材およびその被覆方法

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JPH0790691A
JPH0790691A JP23852793A JP23852793A JPH0790691A JP H0790691 A JPH0790691 A JP H0790691A JP 23852793 A JP23852793 A JP 23852793A JP 23852793 A JP23852793 A JP 23852793A JP H0790691 A JPH0790691 A JP H0790691A
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repellent
particles
coating
film
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Isao Kumazuki
功 熊懐
Tomoki Shinonaga
智樹 篠永
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Fujikura Ltd
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Fujikura Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は金属マトリックス中に撥水性樹脂な
どの粒子を分散させてメッキにより皮膜形成できる構造
とするとともに、前記粒子として、硬質母粒子の外面を
撥水性樹脂で覆った構造の粒子とすることで、擦れに強
い超撥水性被膜表面処理材およびその製造方法を提供す
ることを目的とする。 【構成】 本発明は、母材11に被膜12が形成され、
この被膜12が金属マトリックス13中に撥水性粒子1
4を多数分散共析させて形成され、前記撥水性粒子14
が硬質母粒子14aの外面にフッ化処理されたフッ素樹
脂またはフッ化グラファイトの撥水性樹脂層14bを被
覆して形成されてなるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリテトラフルオロエ
チレンを超える超撥水性を示す被膜を施した表面処理材
およびその被覆方法に関し、建築用資材、船舶用資材な
どの防錆材として、あるいは、降雪地帯の送電線、パラ
ボラアンテナ用などの難着雪材などとして広範囲の利用
が考えられるものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、撥水性の良好な皮膜として著明な
ものに、ポリテトラフルオロエチレン(商品名:テフロ
ン)があり、このものは、ポリエチレン構造の水素をフ
ッ素で置換したものである。前記のように炭化水素の水
素原子をフッ素原子で置換すると、その炭化水素の表面
エネルギーが大きく低下することが知られている。これ
は、C-F間の強い結合エネルギーとC-F結合の分極率
が小さいことに由来し、材料末端基の種類に依存し、C
3基が最も低い表面エネルギーになるので、水分子と
の付着力が小さくなり、撥水性に優れることになる。と
ろこが、ポリテトラフルオロエチレンで撥水性の被膜を
形成する場合、このものが軟化流動させることが困難な
樹脂であるがために、この被膜を細い金属管などの内
面、あるいは、複雑な凹凸形状を有する部材の表面など
に均一に塗布できない問題がある。
【0003】このような背景から本発明者らは先に、特
願平4ー266360号明細書(平成4年10月5日出
願)において、細径の管体の内面などに超撥水性被膜を
形成できる技術として、フッ化処理されたフッ素樹脂系
粒子またはフッ化グラファイト粒子からなる非金属粒子
を金属マトリックス中に分散共析させた複合メッキを用
いる技術に関する特許出願を行なっている。前記の特許
出願により得られる超撥水性被膜の断面構造を図6
(a)に示す。この被膜構造は、母材1の外面に複合メ
ッキ被膜2が形成されてなり、複合メッキ被膜2は、金
属マトリックス3中に前記撥水性の高い粒子4を多数分
散させた構造になっている。この構造においては、粒子
4が本来有している撥水性と、粒子4が金属マトリック
ス3の表面に形成する凹凸により生じる疎水性とが相ま
ってポリテトラフルオロエチレン被膜を上回る超撥水性
を示すものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、図6(a)
に示す構造の撥水性被膜にあっては、その表面が擦れに
弱い特性があり、例えば、表面部分を図6(b)に示す
ように指で軽く擦っただけで撥水性の高い粒子4が潰
れ、この潰れたものが金属マトリックス3の表面を覆う
おそれがあり、この場合に表面部分の凹凸が消失するた
めに、水分子と触れ合う際の接触角が低下し、接触角が
ポリテトラフルオロエチレン被膜の接触角と同程度にな
ってしまう問題があった。
【0005】本発明は前記事情に鑑みてなされたもので
あり、金属マトリックス中に撥水性樹脂などの粒子を分
散させてメッキにより皮膜形成できる構造とするととも
に、前記粒子として、硬質母粒子の外面を撥水性樹脂で
覆った構造の粒子とすることで、擦れに強い超撥水性被
膜表面処理材およびその製造方法を提供することを目的
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は
前記課題を解決するために、母材外面に被膜が形成さ
れ、この被膜が金属マトリックス中に撥水性粒子を多数
分散共析させたものであり、前記撥水性粒子が、硬質母
粒子の外面にフッ化処理されたフッ素樹脂またはフッ化
グラファイトの撥水性樹脂層を被覆したものである。
【0007】請求項2に記載の発明は前記課題を解決す
るために、請求項1記載の超撥水性被膜表面処理材にお
いて、撥水性粒子の一部が金属マトリックスの外面に露
出されて被膜に凹凸が形成されてなるものである。
【0008】請求項3に記載の発明は前記課題を解決す
るために、金属あるいはセラミックスなどの硬質母粒子
の表面にフッ化処理されたフッ素樹脂またはフッ化グラ
ファイトの撥水性樹脂層を被覆して撥水性粒子を形成
し、この撥水性粒子を分散させた金属メッキ電解浴で電
解を行なって被処理物表面に超撥水性表面被膜を形成す
るものである。
【0009】
【作用】撥水性粒子を金属マトリックス中に分散共析さ
せる皮膜とすることで、メッキによる皮膜形成が可能に
なる。このため、細径の管体の内面あるいは微細な凹凸
を有する部材などにおいても撥水性被膜の適用が可能に
なる。また、撥水性粒子が、金属やセラミックスなどか
らなる硬質母粒子に撥水性樹脂層を被覆したものである
ために、撥水性粒子が壊れるおそれが少ない。このた
め、金属マトリックス外面に前記撥水性粒子により形成
される凹凸が擦れや外力により潰れにくくなり、撥水性
が損なわれるおそれがない。更に、被膜の表面に撥水性
粒子が一部突出されて被膜表面が凹凸状に形成されてい
るので、撥水性粒子が本来有する撥水性に加えて凹凸形
状による疎水性が付加されて超撥水性が発揮される。
【0010】一方、本発明の製造方法によれば、メッキ
により前記特性の超撥水性被膜を形成できるので、細径
の管体あるいは微細な凹凸を有する部材にも容易に適用
することができ、種々の部材に広く応用が可能になる。
【0011】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例につい
て説明する。図1(a)は、本発明に係る超撥水性被膜
表面処理材の一実施例の断面構造を示すもので、この例
の処理材10は、母材11とその表面に被覆された超撥
水性被膜12とから構成されている。前記母材11は、
本発明に係る超撥水性被膜が被覆される被処理材となる
もので、撥水性または疎水性を要求されるもの、例え
ば、錆にくいことを要求される各種の建築用資材、船舶
用資材、あるいは、降雪地帯などにおいて使用されて着
雪すると不都合なもの、例えば、送電線、パラボラアン
テナなどであり、疎水性を要求される種々の部材を用い
ることができる。なお、当然のことながら、本発明者が
先に特許出願している液切れ性の良好な液体供給管に適
用できることは勿論であり、具体的に、マイクロシリン
ジのニードル、ピペット、ディスペンサ、分液ロート、
一般のノズルなどに適用しても良い。
【0012】前記超撥水性皮膜12は、金属マトリック
ス13中に多数の撥水性粒子14が分散共析された複合
メッキからなる。前記撥水性粒子14は、金属あるいは
セラミックスまたは硬化樹脂などのような図1(b)に
断面構造を示す硬質母粒子14aの外面に、撥水性樹脂
層14bを被覆して構成されたものである。前記撥水性
樹脂層14bを構成する樹脂は、フッ化処理されたフッ
素樹脂またはフッ化グラファイトからなる。なお、ここ
で用いる撥水性樹脂層14bは、フッ素系樹脂粒子、ま
たは、フッ化グラファイト粒子などの炭素材料とフッ素
の直接反応により、その外表面が高度にフッ素化された
フッ素密度の高い表面状態を有するものである。フッ化
グラファイト{(CF)n}は、炭素材料とフッ素の直
接反応により得られるもので、フッ素原子がグラファイ
ト層間の炭素原子とSP3混成軌道を形成した白色の共
有結合型層間化合物である。(CF)nはC-Fの結合力
が大きく、また、端面には>CF2、-CF3が多数存在
するために、構造上表面のF密度が非常に高くなってい
るので、撥水性に優れる。
【0013】前記の複合メッキは、金属マトリックスと
なる金属のメッキ浴に撥水性粒子14を適当な界面活性
剤などを用いて分散させ、この分散液中に目的とする母
材11を浸漬し、電解析出させることにより得られる。
ここで用いられる金属マトリックス13としては、N
i、Ni系合金、Fe、Fe系合金、Cu、Zn、Sn
やこれらの合金など、母材11を構成する金属材料など
との密着性や使用環境における防食性、用いる液体に対
する耐食性などを考慮して種々のものを選択して用いる
ことができる。
【0014】これらの撥水性微粒子とマトリックス金属
との体積比については、特に限定されるものではない
が、撥水性粒子の示す体積比が大きすぎると、撥水性は
よくなるものの、母材11と超撥水性被膜12との密着
性が低下し、逆に体積比が小さ過ぎると、基材との密着
性や外傷性には優れるものの、撥水性は低下するので、
通常、撥水性非金属粒子の占める体積としては5〜50
%の範囲が好ましい。
【0015】また、母材11と超撥水性被膜12との密
着性を良好にするためには、母材11の皮膜形成部分に
微細な凹凸を形成して粗面化しておくことが好ましい。
粗面化の手段としては、本体部1の内径が小さいものの
場合は、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、塩酸等の
エッチング剤の水溶液を用いてこれに浸漬する化学的方
法を実施すれば良く、母材11が大きいものの場合は、
ショットブラスト、サンドブラスト、液体ホーニング処
理やスチールワイヤ、スチールウールなどによる研摩処
理などの機械的な方法を適用することもできる。この微
細な凹凸の粗さは平均粗さでは0.5〜5μmの範囲が
好ましく、更にこのような凹凸の粗面が形成された母材
11に超撥水性被膜12が設けられる場合、最終的な表
面粗さは平均粗さで0.7〜3μm程度であることが好
ましい。
【0016】これらの撥水性の良好な撥水性粒子14を
金属マトリックス中に分散共析させる超撥水性被膜12
を本体部1に形成することで、内径0.1〜0.5mm程
度の細径の管体、あるいは、微小凹凸を有する母材11
などでもメッキにより皮膜形成が可能になる。
【0017】ところで、前記超撥水性被膜12によって
母材11の表面は、撥水性に優れるポリテトラフルオロ
エチレン(PTFE)単体の表面よりも優れた撥水性と
なる。このような優れた特性が得られる理由は、分散析
出するフッ素樹脂系粒子またはフッ化グラファイト粒子
の表面がCF3基の多い高度にフッ化された表面エネル
ギーの小さな表面状態を有するとともに、これらの粒子
が粗面化された母材11の表面に形成された複合メッキ
の表面に適当な密度で分散して存在するために、粗面化
により接触面積が低下する効果と、撥水性粒子14が形
成する凹凸の存在とが重なりあって、水滴等が付着しに
くい、いわば超撥水性の表面状態になるためである。ま
た、PTFEの融点は320℃〜330℃であるので、
単なるPTFEの被膜では、それ以上の温度においてP
TFE膜が溶融して被膜の撥水性が低下していたが、前
記の構造においては、金属あるいはセラミックスなどか
らなる硬質母粒子14aの融点がかなり高いので、33
0℃以上の温度でも硬質母粒子14aは金属マトリック
ス13の表面に残留し、表面の凹凸形状を維持するの
で、撥水性の低下割合を少なくすることができる。
【0018】次に、液体の接触角とは、図2に示すよう
に固体表面7に液滴8を載置した場合に、θで示される
角度を示している。この接触角とはぬれ性の1つの尺度
と見ることができる。この接触角でいえば、Niメッキ
単層の接触角は64度であるが、Niマトリックス中に
3重量%の(CF)nを分散させることで皮膜表面の接
触角は130度以上に向上する。
【0019】次に前記撥水性粒子14を製造する方法と
装置について説明する。図3と図4は、前記撥水性粒子
14を製造するための装置の一例を示すものであって、
図3に符号20で示すものはスクリュウ21を備えた計
量供給機20、符号22で示すものはハイブリダイザー
と称される高速気流中衝撃装置である。前記計量供給機
20は、硬質母粒子14aを形成するために用いる大径
の粉末粒子と撥水性樹脂層14bを形成するために用い
る小径の粉末粒子が投入されるもので、この計量供給機
20により両粉末を混合した後に高速気流中衝撃装置2
2に所定量の混合粉末を供給できるようになっている。
【0020】前記高速気流中衝撃装置22は、ステータ
23の内部空間に高速回転するロータ24を有し、ロー
タ24にはブレード25が複数取り付けられて構成され
ている。また、装置上部に計量供給機20からの混合粉
末を受ける投入部26が設けられ、投入部26は供給管
27を介してロータ24が設けられた空間部に連通され
るとともに、ロータ24の上部側には粉末循環のための
循環管28が設けられている。更に、ステータ23の上
部側にはロータ24を収納した空間に通じる排出管29
が設けられ、この排出管28内の排出弁30を開放する
ことで撥水性粒子14を取り出すことができるようにな
っている。
【0021】次に前記装置により撥水性粒子14を形成
する場合について説明する。前記大径の硬質母粒子14
aと撥水性樹脂粉末を所定量混合してこの混合粉末を計
量供給機20に投入したならば、ロータ24を高速回転
させることで混合粉末に対して衝撃力を主体として粒子
の相互作用も含め圧縮力と摩擦力と剪断力を同時に作用
させて1〜10分程度処理する。この操作により小径の
粒子が大径の粒子の外周面に付着した状態となり、小径
の粒子は層状になって図1(b)に示す断面構造の撥水
性粒子14が得られる。この際、大径の硬質母粒子14
aの周囲に小径の撥水性樹脂粉末を衝撃力により軟化溶
融させて膜状にして撥水性樹脂層14bを形成できる。
また、前記小径の撥水性樹脂粉末を衝撃力により打ち込
み固定化して粒子を連続接着した形状の撥水性樹脂層を
形成することもできる。前記の装置においては、用いる
大径粒子および小径粒子として、無機物、有機物、金属
と広く種々の材料を使用できるので、前記構造の撥水性
粒子14を製造できる。ここで生成される撥水性粒子1
4の粒径は数μm(例えば4μm)程度のものである。
【0022】次に、前記超撥水性皮膜12の形成方法の
一例について説明する。図5は皮膜形成装置の一例を示
すもので、この例の装置において、35は温水36を収
納した温浴槽、37はメッキ液38を収納したメッキ浴
槽、39、40は陽極板、41は電源、42は電流制御
装置を示している。ここで用いるメッキ液38として
は、ワット浴「NiSO4・6H2O:280g/l、N
iCl2・6H2O:45g/l、H3BO3:40g/
l」、スルファミン酸浴「Ni(NH2SO32・4H2
O:350g、NiCl2・6H2O:45g/l、H3
BO3:40g/l」などを用いることができる。ま
た、界面活性剤としては、カチオン系界面活性剤(10
g/l)(パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウ
ム塩、フッ化グラファイト1gに対して40mg必要)
などを用いることができる。
【0023】図5に示す装置のメッキ液38中に複合メ
ッキするべき母材11を浸積してこれに電源の陰極を接
続し、陽極板39、40を陽極に接続してそれぞれに通
電することで電界析出させれば良い。この際のメッキ液
温度は40〜50℃程度、電流密度は0.5〜20A・
dm-2程度の適宜の値に設定することができる。この処
理によって、母材11の外面に、マトリックス金属中に
非金属粒子の撥水性粒子14が分散された超撥水性皮膜
12を生成させることができる。なお、母材11の構成
材料が導電性のないものからなる場合は、超撥水性皮膜
12を形成したい部分に導電膜を被覆し、これを利用し
てメッキにより形成することができる。
【0024】(試験例)平均粒径3μmのほぼ球形のA
lからなる金属球と平均粒径1μmのポリテトラフルオ
ロエチレン粒子(PTFT粒子)を混合して図4に示す
高速気流衝撃装置に供給し、複合化して撥水性粒子を得
た。次に、前記撥水性粒子を下記の組成のスルファミン
酸ニッケルメッキ液と懸濁し、板体の被処理材にメッキ
処理を施した。複合メッキの浴組成と処理条件は以下の
通りである。 浴組成 スルファミン酸ニッケル 23%、 塩化ニッケル 3%、 ホウ酸 3%、 PTFE粒子 5%、 pH 4.1 浴温 45℃、 電流密度 5A/dm2、 処理時間 1479秒、 皮膜の厚さ 10〜13μm、 得られた板体試料と従来試料に対し、蒸留水を表面に直
に滴下して接触角を求めた結果と、それらの表面を軽く
指で前後に2〜3回擦った摩擦後に、蒸留水を滴下した
場合の接触角を求めた結果を示す。
【0025】
【表1】
【0026】表1に示す結果から、本発明品において
は、硬質の金属粒子の外周に撥水性粒子が設けられて撥
水性被膜が形成されているので、指で擦っても撥水性皮
膜金属粒が潰れないことが明らかになった。しかも、撥
水性粒子がマトリックス金属の外部に露出されて表面に
微細な凹凸を有するので、接触角が低下しないことも明
らかになり、いずれの試験片においても160度前後の
優れた超撥水性を示すことが判明した。なお、前記のよ
うに撥水性が失なわれにくい理由として本発明者は以下
のことを想定してる。まず、金属粒子の外周に形成され
ている撥水性皮膜自体は従来のものと同程度に柔らか
く、潰れ易いので、金属粒子上の撥水性皮膜が潰された
場合に金属粒子自体は潰れた撥水性皮膜で覆われること
になるが、この潰れた状態の撥水性皮膜で覆われること
で金属粒子の外面には金属粒子の有する凹凸に応じた凹
凸を有する撥水性皮膜が存在することになる。すると、
金属粒子自体が凹凸を有する撥水性物質でコーティング
されることになり、このために撥水性が保たれるものと
推定できる。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、撥水性の
良好なフッ素樹脂またはフッ化グラファイトの撥水性被
膜を硬質母粒子の外面に被覆して撥水性粒子を構成し、
これを金属マトリックス中に分散共析させた構造の皮膜
とするので、撥水性に優れるようになり、優れた撥水性
が得られる。また、用いる撥水性粒子が、金属やセラミ
ックスなどからなる硬質母粒子に撥水性樹脂層を被覆し
たものであるために、擦れや外力に強く、撥水性粒子が
壊れるおそれが少なく、擦れなどの外力により撥水性が
損なわれるおそれがない。更に、被膜の表面に撥水性粒
子が一部突出されて被膜表面が凹凸状に形成されている
ので、撥水性粒子が本来有する撥水性に加えて凹凸形状
による疎水性が付加されて超撥水性が発揮される。更に
また、PTFEの融点は320℃〜330℃であるの
で、単なるPTFEの被膜では、それ以上の温度におい
てPTFE膜が溶融して被膜の撥水性が低下していた
が、本発明に係る構造においては、金属あるいはセラミ
ックスなどからなる硬質母粒子の融点がかなり高いの
で、330℃以上の温度でも硬質母粒子はそのままの形
状を保って金属マトリックスの表面に残留し、表面の凹
凸形状が維持されるので、撥水性の低下割合を少なくす
ることができる。
【0028】また、金属マトリックス中に前記撥水性粒
子を分散させた皮膜ならば、複合メッキによる皮膜形成
が可能になる。そこで、ニードルなどのような細径の供
給管などの母材あるいは微細な凹凸を有する母材にも撥
水性の良好な皮膜を形成することができる。勿論、皮膜
を形成する母材は、建設用資材、船舶用資材、あるい
は、降雪地帯の送電線、パラボラアンテナなどの難着雪
用資材、あるいは、マイクロシリンジのニードルに限ら
ず、ピペット、ディスペンサ、分液ロート、一般のノズ
ルなどでもあっても良く、広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は本発明に係る構造の一実施例の断
面図、図1(b)は図1(a)に示す撥水性粒子の一例
を示す断面図である。
【図2】図2は固体表面上の液体についての接触角を示
す説明図である。
【図3】図3は本発明に用いる撥水性粒子を製造する装
置の一例を示す側面図である。
【図4】図4は図3に示す装置の一部を示す断面図であ
る。
【図5】図5は複合メッキ装置の一例を示す構成図であ
る。
【図6】図6(a)は先に本発明者が特許出願した超撥
水性被膜の一例を示す断面図、図6(b)は図6(a)
に示す超撥水性被膜を指で擦った状態を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
10…超撥水性被膜表面処理材、11…母材、 1
2…超撥水性被膜、13…金属マトリックス、 1
4…撥水性粒子、14a…硬質母粒子、14b…撥水性
樹脂層、22…高速気流中衝撃装置、 23…ステー
タ、 24…ロータ、25…ブレード、
26…投入部、 27…供給管、35…温浴槽、
36…温浴、 37…メッキ槽、38
…メッキ浴、 39、40…陽極板、 41…
電源、

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 母材に被膜が形成され、この被膜が金属
    マトリックス中に撥水性粒子を多数分散共析させて形成
    され、前記撥水性粒子が硬質母粒子の外面にフッ化処理
    されたフッ素樹脂またはフッ化グラファイトの撥水性樹
    脂層を被覆して形成されてなることを特徴とする超撥水
    性被膜表面処理材。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の超撥水性被膜表面処理材
    において、撥水性粒子の一部が金属マトリックスの外面
    に露出されて被膜表面に凹凸が形成されてなることを特
    徴とする超撥水性被膜表面処理材。
  3. 【請求項3】 金属あるいはセラミックスなどの硬質母
    粒子の表面にフッ化処理されたフッ素樹脂またはフッ化
    グラファイトの撥水性樹脂層を被覆して撥水性粒子を形
    成し、この撥水性粒子を分散させた金属メッキ電解浴で
    電解を行なって被処理物表面に超撥水性表面被膜を形成
    することを特徴とする超撥水性被膜の被覆方法。
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Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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