JPH08144834A - エンジンの吸入空気量検出方法 - Google Patents

エンジンの吸入空気量検出方法

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JPH08144834A
JPH08144834A JP6279504A JP27950494A JPH08144834A JP H08144834 A JPH08144834 A JP H08144834A JP 6279504 A JP6279504 A JP 6279504A JP 27950494 A JP27950494 A JP 27950494A JP H08144834 A JPH08144834 A JP H08144834A
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JP
Japan
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intake air
fuel
intake
air amount
cylinder
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JP6279504A
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English (en)
Inventor
Masaru Kurihara
優 栗原
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Subaru Corp
Original Assignee
Fuji Heavy Industries Ltd
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Publication date
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    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 吸入空気量センサ自体の過渡応答遅れを補償
して、過渡時においても正確な吸入空気量を求めること
ができるようにする。 【構成】 吸入空気量センサの出力電圧VAFMの変化か
ら、センサ自体の過渡応答特性を調べ、例えば出力電圧
VAFMの特性が、理想的な出力電圧の変化に対して2/3ま
では早い応答性を示すが、残りの1/3が約200msの時定数
を持って遅れている場合、4ms毎に実行されるルーチン
では、32×4ms≒130msの一時遅れ処理を加重平均により
行って、一次遅れ出力電圧VAFMavを算出し(S4
2)、次いで上記吸入空気量センサの過渡応答遅れに対
応する伝達関数の逆関数に基づき、今回の出力電圧VAF
Mと上記一次遅れ出力電圧VAFMavとにより、センサの過
渡応答遅れを補償した過渡補正出力電圧V'AFMを求める
(S43)。そして、この過渡補正出力電圧V'AFMを基
本として筒内吸入空気量Gairを算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、Lジェトロニック方式
により吸入空気量を算出するエンジンに関し、詳しくは
吸入空気量センサ自体の過渡応答遅れを、この吸入空気
量センサの出力電圧を補正することで補償するエンジン
の吸入空気量検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、この種の燃料噴射制御では、吸
入空気量を吸入空気量センサの計測値に基づいて算出す
るLジェトロニック方式と、スロットル弁下流の吸気管
圧力に基づいて算出するDジェトロニック方式とがあ
り、Lジェトロニック方式に基づいて吸入空気量を応答
性良く算出するものとして、本出願人は、特開平2−5
745号公報において、吸入空気量センサで計測した吸
入空気量とスロットル弁を通過する吸入空気量とが同時
刻であると仮定し、吸気チャンバへの吸入空気の入出力
関係(いわゆるチャンバモデル式)から、筒内へ吸入さ
れ実際の吸入空量を算出する技術を提案した。
【0003】この先行技術によれば、演算により求めた
吸入空気量は、筒内へ実際に供給された吸入空気量と全
運転領域でほぼ等しい値が得られ、過渡時であっても空
燃比がリーンスパイクを示すことなく、適正な空燃比制
御性能を得ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、過渡時におい
て、演算により求めた吸入空気量と実際の吸入空気量と
の間には、僅かなずれが生じる。このずれは、ある吸入
空気量センサを用いて実験した結果、吸入空気量センサ
自体の特性によるものであることが明らかになった。す
なわち、実験時に採用した吸入空気量センサによれば、
図9に破線で示すように、過渡時の吸入空気量の急激な
変化に対応する吸入空気量センサの理想的な出力電圧の
変化に対し、実線で示すように実際の出力電圧は、上記
理想的変化の2/3の電圧までは充分に速い応答を示す
が、残りの1/3は、ある時定数を持つ遅れで応答して
いる。
【0005】この吸入空気量センサの過渡応答遅れを、
吸入空気量算出時に補正項を加えて補償することも考え
られるが、演算が複雑化し、コンピュータにかかる負荷
が増加してしまう。
【0006】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、コンピュータへの負荷を増加させることなく、簡単
な計算で吸入空気量センサ自体の特性による過渡応答遅
れを補償することのできるエンジンの吸入空気量検出方
法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明によるエンジンの吸入空気量検出方法は、吸気管
上流に設けた吸入空気量センサの出力電圧に基づき吸入
空気量を設定するエンジンの吸入空気量検出方法におい
て、理想の過渡特性に対する前記吸入空気量センサの過
渡応答特性の応答遅れ分を、伝達関数の逆関数で補正し
て過渡補正出力電圧を算出し、この過渡補正出力電圧に
基づき前記吸入空気量を設定することを特徴とする。
【0008】
【作 用】本発明では、吸入空気量センサの特性を予め
調べておき、この吸入空気量センサの過渡応答遅れに対
応する伝達関数を求め、この伝達関数の逆関数で上記吸
入空気量センサの過渡応答遅れを補償した出力電圧、す
なわち過渡補正出力電圧を算出し、この過渡補正出力電
圧に基づき上記吸入空気量を設定する。
【0009】
【実施例】以下、図面に基づき本発明の実施例を説明す
る。図21にはエンジンの全体概略図が示されており、
図中の符号1はエンジン(図においては水平対向4気筒
型エンジンを示す)を示し、シリンダヘッド2の吸気ポ
ート2aにインテークマニホルド3が連通され、このイ
ンテークマニホルド3の上流にエアーチャンバ4を介し
てスロットル通路5が連通されている。このスロットル
通路5の上流側には、吸気管6を介してエアクリーナ7
が取付けられ、このエアクリーナ7が吸入空気の取り入
れ口であるエアインテークチャンバ8に連通されてい
る。また、上記排気ポート2bにエキゾーストマニホル
ド9を介して排気管10が連通され、この排気管10に
触媒コンバータ11が介装されてマフラ12に連通され
ている。
【0010】一方、上記スロットル通路5にスロットル
弁5aが設けられ、このスロットル通路5の直上流の上
記吸気管6にインタークーラ13が介装され、さらに、
上記吸気管6の上記エアクリーナ7の下流側にレゾネー
タチャンバ14が介装されている。
【0011】また、上記レゾネータチャンバ14と上記
インテークマニホルド3とを連通して上記スロットル弁
5aの上流側と下流側とをバイパスするバイパス通路1
5に、アイドル空気量を調整するアイドル制御(IS
C)弁16が介装されている。さらに、上記ISC弁1
6の直下流側に、吸気圧が負圧のとき開弁し、またター
ボチャージャ18によって過給されて吸気圧が正圧にな
ったとき閉弁するチェックバルブ17が介装されてい
る。
【0012】上記ターボチャージャ18は、上記吸気管
6の上記レゾネータチャンバ14の下流側にコンプレッ
サが介装され、タービンが上記排気管10に介装されて
いる。さらに、上記ターボチャージャ18のタービンハ
ウジング流入口には、ウエストゲート弁19が介装さ
れ、このウエストゲート弁19には、ウエストゲート弁
作動用アクチュエータ20が連設されている。
【0013】上記ウエストゲート弁作動用アクチュエー
タ20は、ダイヤフラムにより2室に仕切られ、一方が
ウエストゲート弁制御用デューティソレノイド弁21に
連通される圧力室を形成し、他方が上記ウエストゲート
弁19を閉方向に付勢するスプリングを収納したスプリ
ング室を形成している。
【0014】上記ウエストゲート弁制御用デューティソ
レノイド弁21は、上記レゾネータチャンバ14と上記
吸気管6の上記ターボチャージャ18のコンプレッサ下
流とを連通する通路に介装されており、後述する電子制
御装置50(ECU;図24参照)から出力される制御
信号のデューティ比に応じて、上記レゾネータチャンバ
14側の圧力と上記コンプレッサ下流側の圧力とを調圧
し、上記ウエストゲート弁作動用アクチュエータ20の
圧力室に供給する。
【0015】すなわち、上記ECU50によって上記ウ
エストゲート弁制御用デューティソレノイド弁21を制
御し、上記ウエストゲート弁作動用アクチュエータ20
を作動させて上記ウエストゲート弁19による排気ガス
リリーフを調整することにより、上記ターボチャージャ
18による過給圧を制御するようになっている。
【0016】また、上記インテークマニホルド3に、吸
気管圧力Pを絶対圧で検出する吸気管圧力センサ22が
通路23を介して連通され、さらに、上記インテークマ
ニホルド3の各気筒の各吸気ポート2aの直上流側にイ
ンジェクタ25が臨まされている。また、上記シリンダ
ヘッド2の各気筒毎に、その先端を燃焼室に露呈する点
火プラグ26aが取付けられ、この点火プラグ26aに
各気筒毎に配設された点火コイル26bを介してイグナ
イタ27が接続されている。
【0017】上記インジェクタ25には、燃料タンク2
8内に設けたインタンク式の燃料ポンプ29から燃料フ
ィルタ30を経て燃料が圧送され、プレッシャレギュレ
ータ31にてインジェクタ25への燃料圧力が調圧され
る。
【0018】また、上記吸気管6の上記エアークリーナ
7の直下流に、ホットワイヤ或はホットフィルム等を用
いた熱式の吸入空気量センサ32が介装され、上記スロ
ットル弁5aに、スロットル開度センサ33aとアイド
ルスイッチ33bとを内蔵したスロットルセンサ33が
連設されている。さらに、上記エアーチャンバ4に吸気
温センサ46が臨まされている。
【0019】また、上記エンジン1のシリンダブロック
1aにノックセンサ34が取付けられるとともに、この
シリンダブロック1aの左右両バンクを連通する冷却水
通路35に水温センサ36が臨まされ、上記排気管10
の上記エキゾーストマニホルド9の集合部にO2 セン
サ37が臨まされている。
【0020】また、上記シリンダブロック1aに支承さ
れたクランクシャフト1bにクランクロータ38が軸着
され、このクランクロータ38の外周に、電磁ピックア
ップなどからなるクランク角センサ39が対設されてい
る。さらに、上記エンジン1のカムシャフト1cに連設
するカムロータ40に、電磁ピックアップなどからなる
気筒判別用のカム角センサ41が対設されている。尚、
上記クランク角センサ39及び上記カム角センサ41
は、電磁ピックアップなどの磁気センサに限らず、光セ
ンサなどでも良い。
【0021】上記クランクロータ38は、図22に示す
ように、その外周に突起38a,38b,38cが形成
され、これらの各突起38a,38b,38cが、各気
筒(#1,#2と#3,#4)の圧縮上死点前(BTD
C)θ1,θ2,θ3 の位置に形成されており、本実
施例においては、θ1 =97゜CA、θ2 =65゜C
A、θ3 =10゜CAである。
【0022】上記クランクロータ38の各突起は、上記
クランク角センサ39によって検出され、BTDC97
゜,65゜,10゜のクランクパルスがエンジン1/2回
転毎(180゜CA毎)に出力される。そして、各信号
の入力間隔時間がタイマによって計時され、エンジン回
転数Neが算出される。
【0023】また、図23に示すように、上記カムロー
タ40の外周には、気筒判別用の突起40a,40b,
40cが形成され、突起40aが#3,#4気筒の圧縮
上死点後(ATDC)θ4 の位置に形成され、突起4
0bが3個の突起で構成されて最初の突起が#1気筒の
ATDCθ5 の位置に形成されている。さらに、突起
40cが2個の突起で形成され、最初の突起が#2気筒
のATDCθ6 の位置に形成されている。本実施例に
おいては、θ4 =20゜CA、θ5 =5゜CA、θ6
=20゜CAである。
【0024】そして、上記カムロータ40の各突起が上
記カム角センサ41によって検出され、各気筒の燃焼行
程順を#1→#3→#2→#4とした場合、この燃焼行
程順と、上記カム角センサ41からのカムパルスをカウ
ンタによって計数した値とのパターンに基づいて、気筒
判別がなされる。
【0025】一方、図24において、符号50は、エン
ジン系を制御する電子制御装置(ECU)50であり、
このECU50は、燃料噴射制御、点火時期制御などを
行なうメインコンピュータ51と、ノック検出処理を行
なう専用のサブコンピュータ52との2つのコンピュー
タを中心として構成され、各部に所定の安定化電源を供
給する定電圧回路53や各種の周辺回路が組込まれてい
る。
【0026】上記定電圧回路53は、ECUリレー54
のリレー接点を介してバッテリ55に接続されており、
このバッテリ55に、上記ECUリレー54のリレーコ
イルがイグニッションスイッチ56を介して接続され、
上記イグニッションスイッチ56がONされて上記EC
Uリレー54のリレー接点が閉となったときには制御用
電源を上記各コンピュータ51,52に供給すると共
に、上記定電圧回路53は上記バッテリ55に直接接続
されており、イグニッションスイッチ56のON,OF
Fに拘らずバックアップRAM61にバックアップ用の
電源を供給する。
【0027】尚、上記バッテリ55には、燃料ポンプリ
レー57のリレー接点を介して燃料ポンプ29が接続さ
れている。
【0028】上記メインコンピュータ51は、CPU5
8、ROM59、RAM60、バックアップRAM6
1、カウンタ・タイマ群62、シリアル通信インターフ
ェースであるSCI63、及び、I/Oインターフェー
ス64がバスライン65を介して接続されたマイクロコ
ンピュータであり、上記バックアップRAM61には、
上記イグニッションスイッチ56のON/OFFに拘ら
ず、バッテリ55に直接接続する上記定電圧回路53か
らバックアップ電源が常時供給されてデータが保持され
る。
【0029】尚、上記カウンタ・タイマ群62は、フリ
ーランカウンタ、カム角センサ信号の入力計数用カウン
タなどの各種カウンタ、燃料噴射タイマ、点火タイマ、
定期割込みを発生させるための定期割込みタイマ、クラ
ンク角センサ信号の入力間隔計時用タイマ、及び、シス
テム異常監視用のウオッチドッグタイマなどの各種タイ
マを便宜上総称するものであり、上記メインコンピュー
タ51においては、その他、各種のソフトウエアカウン
タ・タイマが用いられる。
【0030】また、上記サブコンピュータ52も、上記
メインコンピュータ51と同様、CPU71、ROM7
2、RAM73、カウンタ・タイマ群74、SCI7
5、及び、I/Oインターフェース76がバスライン7
7を介して接続されたマイクロコンピュータであり、上
記メインコンピュータ51とサブコンピュータ52と
は、上記SCI63,75を介してシリアル通信ライン
により互いに接続されている。
【0031】上記メインコンピュータ51のI/Oイン
ターフェース64には、入力ポートに、吸入空気量セン
サ32、スロットル開度センサ33a、水温センサ3
6、O2センサ37、吸気管圧力センサ22、大気圧セ
ンサ44、車速センサ42、吸気温センサ46、及び、
バッテリ55が、A/D変換器66を介して接続される
とともに、アイドルスイッチ33b、スタータスイッチ
43、及びクランク角センサ39、カム角センサ41な
どが接続され、さらに、図示しない各種センサ及びスイ
ッチ類が接続されている。
【0032】また、上記I/Oインターフェース64の
出力ポートには、イグナイタ27が接続されるととも
に、ISC弁16、インジェクタ25、燃料ポンプリレ
ー57のリレーコイル、ウエストゲート弁制御用デュー
ティソレノイド弁21が駆動回路67を介して接続され
ており、さらに、図示しない各種のアクチュエータ類が
接続されている。
【0033】一方、上記サブコンピュータ52のI/O
インターフェース76は、入力ポートに、クランク角セ
ンサ39、カム角センサ41が接続されるとともに、A
/D変換器78、周波数フィルタ79、アンプ80を介
してノックセンサ34が接続されており、上記ノックセ
ンサ34からのノック検出信号が上記アンプ80で所定
のレベルに増幅された後に上記周波数フィルタ79によ
り必要な周波数成分が抽出され、上記A/D変換器78
にてデジタル信号に変換されて入力されるようになって
いる。
【0034】上記メインコンピュータ51では、各セン
サ類からの検出信号を処理し、燃料噴射量制御、点火時
期制御、アイドル制御などを行い、一方、上記サブコン
ピュータ52では、エンジン回転数とエンジン負荷とに
基づいてノックセンサ34からの信号のサンプル区間を
設定し、このサンプル区間でノックセンサ34からの信
号を高速にA/D変換して振動波形を忠実にデジタルデ
ータに変換し、このデータに基づきノック発生の有無を
判定する。
【0035】上記サブコンピュータ52のI/Oインタ
ーフェース76の出力ポートは、上記メインコンピュー
タ51のI/Oインターフェース64の入力ポートに接
続されており、上記サブコンピュータ52でのノック判
定結果がI/Oインターフェース76に出力される。そ
して、上記メインコンピュータ51では、上記サブコン
ピュータ52からノック発生有りの判定結果が出力され
ると、SCI63を介してシリアル通信ラインよりサブ
コンピュータ52からノックデータを読込み、このノッ
クデータに基づいて直ちに該当気筒の点火時期を遅ら
せ、ノックを回避する。
【0036】このようなエンジン制御において、上記メ
インコンピュータ51では、センサ・スイッチ類からの
信号入力処理、燃料噴射制御、点火時期制御、アイドル
制御に係わる各種ジョブが、一つのオペレーティングシ
ステム(OS)の管理下で効率的に実行される。このO
Sは、車輌制御のための各種マネジメント機能、及び、
このマネジメント機能に密着した内部ストラテジーを有
し、各種ジョブを体系的に結合し、等時間間隔処理によ
り各種ジョブを効率的に実行するようになっている。
【0037】以下、上記メインコンピュータ51による
燃料噴射制御について、図1〜図8のルーチンに従って
説明する。尚、サブコンピュータ52はノック検出処理
専用のコンピュータであるため、その動作説明を省略す
る。
【0038】本実施例では、OS側で処理したA/D変
換結果、クランク位置情報、エンジン回転数等に基づ
き、ユーザ側ジョブで、燃料噴射量、点火時期等を設定
すると共に、これらの指示値がOSによって噴射タイ
マ、点火タイマにセットされる。そして、4ms毎ジョ
ブ、10ms毎ジョブ,50ms毎ジョブ等の定期割込
み要求を出力し、またクランク角センサ39からの信号
入力毎(BTDC97゜,65゜,10゜CA毎のエンジ
ン1回転に6回)に起動されるクランクパルス入力毎ジ
ョブの割込みを許可する。
【0039】4ms毎ジョブでは、図5に示す吸入空気
質量設定ルーチンが実行され、10ms毎ジョブでは、
図1〜図3に示す燃料噴射有効パルス幅及び燃料噴射無
駄パルス幅設定ルーチンが実行され、また、50ms毎
ジョブでは、図6〜図8に示す要求当量比設定ルーチン
が実行される。
【0040】尚、以下の説明では、図20に示すよう
に、吸気系のスロットル弁5aの下流から吸気弁上流ま
でを吸気チャンバ6Aと総称する。従って、吸気チャン
バ6Aは、スロットル通路5、エアーチャンバ4、イン
テークマニホルド3、吸気ポート2aの総称となる。
【0041】ここで、以下の説明で使用する用語につい
て簡単に説明する。Qは質量流量[mg/sec]、Gは1サイ
クル当りの質量[mg/cycle]を意味する。ただし、後述す
る筒内吸入空気質量Gair、筒内吸入燃料質量Gfu
el等は、吸気行程時にのみ吸入されるので、実質的に
は、1吸気行程当りの質量と同じ意味になる。また、図
20の左から、Qaは吸入空気量センサ32を通過する
空気の質量流量(センサ通過空気質量流量)、Mは吸気
チャンバ6Aの空気質量、Pは吸気チャンバ6Aの吸気
管内圧力、Ginjは燃料噴射質量、Qcは筒内吸入空
気質量流量、Gairは筒内吸入空気質量、Gfuel
は筒内吸入燃料質量を示す。尚、上記吸入空気量センサ
32の検出時刻は、スロットル弁5aまでの吸気管路
長、及び流速によっても異なるが、スロットル弁5aで
の検出時刻とほぼ同じと考えて良い。
【0042】まず、図1〜図3に示す燃料噴射有効パル
ス幅及び燃料噴射無駄パルス幅設定ルーチンを説明する
前に、このルーチンで取入れる各パラメータを設定する
ルーチンについて説明する。
【0043】図5の4ms毎ジョブで実行されるルーチ
ンでは、1吸気行程当りの筒内吸入空気質量Gairを
算出する。まず、ステップS41で、吸入空気量センサ
32からの出力電圧VAFMを読込み、次のステップS4
2,S43で上記出力電圧VAFMの過渡補正をする。す
なわち、図9に示すように、実験によれば、過渡時の吸
入空気量の急激な変化に対して、吸入空気量センサ32
の出力電圧VAFMの変化は、理想の変化の2/3の電圧
までは充分に速い応答を示すが、残りの1/3は、約2
00msの時定数を持つ遅れで応答することが明らかに
されている。このときのセンサ通過空気質量流量Qaと
出力電圧VAFMとの関係を、時定数τ(s)の伝達関数で表
せば、 VAFM=(2/3)×Qa+{1/(3τ(s)+3)}×Qa …(1) となり、応答遅れは、この(1)式の逆関数で補正すれ
ば良く、この補正式は、 Qa=(1/2)×[3−1/{(2/3)τ(s)+1}]×VAFM …(2) となる。
【0044】上記時定数τ(s)は200msであるた
め、(2/3)τ(s)+1≒130とすれば、上記
(2)式は、 Qa=(1/2)×(3−1/130)VAFM ≒(1/2)×(3VAFM−VAFM/130) …(3) と単純化される。すなわち、吸入空気量センサ32の出
力電圧VAFMの3倍から、この出力電圧VAFMを130m
sの時定数で一次遅れさせた出力電圧VAFMを減算し、
その値を1/2にすれば、この吸入空気量センサ32の
過渡時の応答遅れを、簡単に補正することができる。
【0045】このような考えに基づき、上記ステップS
42では、前回求めた一次遅れ出力電圧VAFMavと今回
の出力電圧VAFMとから、次式に示す所定時定数(本ル
ーチンでは、130msの近似値として32×4ms)
の加重平均に基づいて、今回の一次遅れ出力電圧VAFMa
vを算出する。
【0046】 VAFMav←(31・VAFMav+VAFM)/32 …(4) 次いで、ステップS43で、今回の出力電圧VAFM及び
一次遅れ出力電圧VAFMavから、過渡補正後の出力電圧
(過渡補正出力電圧)V'AFMを次式から算出する。
【0047】 V'AFM←(3・VAFM−VAFMav)/2 …(5) このように、上記吸入空気量センサ32の過渡応答遅れ
を簡単な一次式で導き出すことができるため、コンピュ
ータの負荷を軽減させることができる。
【0048】そして、ステップS44で、過渡補正され
た上記過渡補正出力電圧V'AFMを、等間隔32格子のワ
ード補間テーブルを用いてセンサ通過空気質量流量Qa
に変換し、ステップS45で、このセンサ通過空気質量
流量Qaに吸入空気量誤差補正係数Ktrmを乗算し
て、今回のセンサ通過空気質量流量Q'aを算出する。
【0049】この吸入空気量誤差補正係数Ktrmは、
運転条件による空気量計測の定常的な誤差分を補正する
係数で、例えば、スロットル開度αとエンジン回転数N
eとに基づき、二次元マップを補間計算付で参照して設
定する。図10に、この吸入空気量誤差補正係数Ktr
mを設定する二次元マップの特性を例示する。この図に
示すように、この吸入空気量誤差補正係数Ktrmの値
は基本的には、1.0である。
【0050】次いで、ステップS46で、エンジンが始
動後かをエンジン回転数Neに基づいて判断し、Ne<
300rpmのときは、始動時と判断してステップS4
7へ進み、Ne≧300rpmのときは、始動後と判断
してステップS48へ進む。
【0051】ステップS47へ進むと、始動時の筒内吸
入空気質量Gairを初期値設定してルーチンを抜け
る。
【0052】始動時に、筒内吸入空気質量Gairを初
期値設定するのは、以下の理由による。
【0053】1)筒内吸入空気質量Gairは、定常的に
は、空気流量/エンジン回転数で算出されるが、エンジ
ン回転数及び空気流量が共に小さい場合を考えると、計
算結果は不定になり易い。
【0054】2)後述のステップS48で説明するよう
に、筒内吸入空気質量Gairは、始動後は履歴に依存
して逐次計算されるため、始動後最初のルーチン実行時
に初期値が設定されている必要がある。
【0055】3)始動時に、ある始動時噴射幅を設定する
のではなく、筒内吸入空気質量Gairを初期値設定す
ることで、始動時、始動後に拘らず全ての運転領域で筒
内吸入空気質量Gairを利用した演算が可能になる。
【0056】そこで、始動時には、筒内吸入空気質量G
airを推定した値で、初期値設定する。この初期値
は、例えば、吸気チャンバ6A内の吸気管圧力Pを大気
圧とみなし、また吸気温度を冷却水温度により代用して
次式から算出する。
【0057】 初期値=固定値×大気圧/冷却水温(゜K) …(6) 一方、始動後と判断されてステップS48へ進むと、上
記ステップS45で算出したセンサ通過空気質量流量
Q'aに基づき、筒内吸入空気質量Gairを次式に示
す吸気チャンバモデルから算出して、ルーチンを抜け
る。 Gair←Q'a×Mtch+(MTCS−Mtch) ×Gair/MTCS …(7) MTCS:半回転時間 この(7)式は、以下の考えに基づく。すなわち、吸気
チャンバモデルの計算は、次の2式から算出することが
できる。
【0058】1)Gair=σ×D=M×D/V σ:吸気チャンバ6A内の空気密度 D:行程容積 V:吸気チャンバ6A内の容積(チャンバ容積) 2)M(new)=Gair(old)+Qa×Δt−Qc×Δt (new):現在の値 (old):Δt前の値 Δt:演算周期 上記2式からMとQcとを消去すると、次式に示すよう
に、上記センサ通過空気質量流量Qaから筒内吸入空気
質量Gairを算出することができる。 Gair(new)=Gair(old)+Qa×Δt×D/V −Qc×Δt×D/V …(7−1) 上記筒内吸入空気質量流量Qcは、単位時間当りの吸気
行程数が4サイクルエンジンの場合、気筒数×Ne/2
であるため、 Qc=(気筒数/2)×Ne×Gair となり、上記(7−1)式は、 Gair(new)=Gair(old)+Qa×Δt×D/V−(気筒数/2) ×Ne×Gair(old)×Δt×D/V =Qa×Δt×D/V+(1−(気筒数/2) ×Ne×Δt×D/V)×Gair(old) …(7−2) となる。ここで、Δt×D/V=固定値=Mtchとお
き、また、採用するエンジンが4気筒であれば、上記
(7−2)式は、 Gair(new)=Qa×Mtch+(1−2Ne×Mtch)×Gair(old) …(7−3) となる。尚、本ルーチンでは、計算の便宜上、エンジン
回転数Ne[rps]ではなく半回転数時間(Ne/2)を
用いており、この半回転数時間をMTCSとおけば、上
記(7−3)式は、 Gair(new)=Qa×Mtch+Gair(old) ×(MTCS−Mtch)/MTCS …(7’) となり、上記ステップS48で示した(7)式が導き出
される。
【0059】そして、この(7)式を演算周期Δt毎に
行えば、筒内吸入空気質量Gairを履歴に依存して逐
次的に算出することができる。
【0060】次に、運転条件による筒内混合気の要求当
量比設定ルーチンについて、図6〜図8のルーチンに従
って説明する。このルーチンは50ms毎のジョブで実
行され、定常的な要求増量である可燃限界当量比φtw
と、最大出力当量比φfulと、排気ガス温度限界当量
比φtexと、触媒浄化率最良当量比φgasと、燃費
率最良当量比φecoとを設定する。これら各要求当量
比φtw,φful,φtex,φgas,φecoは
定常的な要求増量であるため、過渡的な燃料遅れ等によ
って生じる空燃比変動をフィードフォワード的に補正す
る係数(エアコン増量補正係数、Dレンジ増量補正係数
等)、或はセンサやインジェクタの誤差を補正する係数
(混合比補正係数等)は含まない。また、このルーチン
で設定する各要求当量比は、後述する図1のルーチン実
行時に比較され、その最大値が目標当量比(理論燃空比
F/Aに対する増量係数)COEFとして採用される。
尚、この当量比φは、空気過剰率((A/F)実際/(A/F)理
論)λに対して、φ=1/λの関係にある。
【0061】まず、ステップS51で冷却水温Twとエ
ンジン回転数Neとを読込む。そして、ステップS52
〜S55或はS56で可燃限界当量比φtwを設定す
る。ステップS52では、上記冷却水温Twとエンジン
回転数Neとに基づき二次元マップを補間計算付で参照
して、可燃限界当量比φtwを設定する際の基準となる
基準可燃限界当量比Mtwを設定する。この基準可燃限
界当量比Mtwは、冷却水温Twとの関係によるリーン
側の可燃限界を示すもので、図11に、この基準可燃限
界当量比Mtwを設定する二次元マップの特性を例示す
る。この図11に示すように、冷却水温Tw側の軸で
は、従来の水温増量に近い設定がなされており、また、
ある程度の高水温では、上記基準可燃限界当量比Mtw
はリーン当量比に設定される。また、エンジン回転数N
e側の軸では、クランキング回転数を含む全ての回転数
領域を検索できるように設定されている。筒内吸入空気
質量Gairは始動時においても設定されることから
(図5のフローチャート参照)、このときの可燃限界当
量比φtwが始動時の噴射パルス幅を決定する要因にな
る。また、始動時において、上記基準可燃限界当量比M
twは大きな値に設定されているが、これが始動後にエ
ンジン回転数の増加に従って小さな値に変化して行く際
に、後述するように、ある一次遅れ時定数で上記可燃限
界当量比φtwの変化を遅らせることで始動後の増量が
確保される。
【0062】次いで、ステップS53へ進むと、エンジ
ン回転数等からエンスト状態にあるかを判断し、エンス
ト状態にあると判断した場合には、ステップS56へ分
岐し、上記基準可燃限界当量比Mtwで今回の可燃限界
当量比φtwを設定してステップS57へジャンプす
る。一方、エンスト状態にないと判断した場合には、ス
テップS54へ進み、上記基準可燃限界当量比Mtwと
前回の可燃限界当量比φtwとを比較し、Mtw≧φt
wのときは、要求当量比が増量されているので、ステッ
プS56へ分岐し、この基準可燃限界当量比Mtwで今
回の可燃限界当量比φtwを設定して、増量要求に対応
させた後、ステップS57へジャンプする。一方、Mt
w<φtwのときは、要求当量比が減少されているた
め、ステップS55へ進み、次式に示す所定時定数(本
ルーチンでは、16×50ms)の加重平均により一次
遅れ処理を行い、今回の可燃限界当量比φtwを設定す
る。その結果、始動後増量が実質的に確保される。
【0063】 φtw←(15φtw+Mtw)/16 …(8) 次いで、ステップS57〜S60或はS61で上記最大
出力当量比φfulが設定される。まず、ステップS5
7では、スロットル開度αを読込み、ステップS58
で、エンジン回転数Neに基づき、一次元マップを補間
計算付で参照してフル増量基準値αthを設定する。こ
のフル増量基準値αthは、エンジンが最大出力を要求
しているかを判断する基準値で、図12に示すように、
エンジン回転数Neとスロットル開度αとの関係から特
性を求めてマップ化したものである。
【0064】そして、ステップS59で上記スロットル
開度αと上記フル増量基準値αthとを比較し、α≦α
thのときは、フル増量条件不成立と判断し、ステップ
S60へ進み、最大出力当量比φfulを0として、ス
テップS62へ進む。一方、α>αthのときは、フル
増量条件成立と判断し、ステップS61へ分岐し、上記
最大出力当量比φfulを1.2、すなわち、当該エン
ジンの最大出力となる当量比(フル増量)に設定する。
【0065】尚、目標当量比COEFは、本ルーチンによ
り設定する各要求当量比φtw,φful,φtex,
φgas,φecoの中から最大値を選択的に設定する
ものであるため、上記ステップS60で最大出力当量比
φfulが0に設定されると、この最大出力当量比φf
ulが目標当量比COEFの選択対象から外れることにな
る。また、排気ガス温度の上昇を抑える目的の増量は、
排気ガス温度限界当量比φtexとして別に設定されて
いるため、上記最大出力当量比φfulはエンジン回転
数Neによらず、理論空燃比A/F(=14.6)に対
して、おおよそ15〜20%増量となるはずである。
【0066】次いで、ステップS62〜S69或はS7
0で排気ガス温度限界当量比φtexを設定する。ま
ず、ステップS62で、負荷の一例である筒内吸入空気
質量Gairとエンジン回転数Neと基づき二次元マッ
プを補間計算付で参照して基本排気ガス温度限界当量比
Mtexを設定する。この基本排気ガス温度限界当量比
Mtexは、排気ガス温度の上昇を設計限界以下に抑
え、エンジン及び排気系を保護するために燃料冷却を行
う増量である。図13に、この基本排気ガス温度限界当
量比Mtexを設定する二次元マップの特性を例示す
る。図に示すように、高負荷(高Gair)、高回転で
大きな増量を行うように設定されている。尚、エンジン
負荷を検出するパラメータとして上記筒内吸入空気質量
Gairに代えて吸気管圧力Pを採用し、二次元マップ
は吸気管圧力Pとエンジン回転数Neとの関係による特
性に基づいて設定するようにしても良い。
【0067】そして、ステップS63へ進むと、上記基
本排気ガス温度限界当量比Mtexと、上記最大出力当
量比φfulのフル増量値である1.2とを比較し、M
tex≧1.2のときはステップS64へ進み、またM
tex<1.2のときはステップS66へ進む。
【0068】そして、上記ステップS66へ進むと、今
回の平均排気ガス温度限界当量比φtexAVを次式に示
す加重平均により、所定時定数(本ルーチンでは、16
×50ms)の一次遅れ処理を行い、ステップS68へ
進む。
【0069】 φtexAV←(15・φtexAV+Mtex)/16 …(9) また、ステップS64へ進むと、上記基本排気ガス温度
限界当量比Mtexと前回までの平均排気ガス温度限界
当量比φtexAVとを比較し、Mtex<φtexAVの
とき、すなわち、1.2≦Mtex<φtexAVのとき
は、ステップS65へ進み、またMtex≧φtexAV
のときは、ステップS67へ進む。
【0070】上記ステップS65では、今回の平均排気
ガス温度限界当量比φtexAVを次式に示す加重平均に
より所定時定数(本ルーチンでは、32×50ms)の
一次遅れ処理を行い、ステップS68へ進む。
【0071】 φtexAV←(31・φtexAV+Mtex)/32 …(10) 一方、ステップS67へ進むと、今回の平均排気ガス温
度限界当量比φtexAVを次式に示す加重平均により所
定時定数(本ルーチンでは128×50ms)の一次遅
れ処理を行って、ステップS68へ進む。
【0072】 φtexAV←(127・φtexAV+Mtex)/128 …(11) 従って、Mtex<1.2のいわゆる要求当量比が薄い
場合には、比較的早い時定数で平均排気ガス温度限界当
量比φtexAVが設定され、また、Mtex≧1.2、
且つMtex≧φtexAVの要求当量比が濃い場合に
は、ゆっくりとした時定数で上記平均排気ガス温度限界
当量比φtexAVが設定される。
【0073】そして、ステップS68へ進むと、上記ス
テップS65,S66或はS67で算出した平均排気ガ
ス温度限界当量比φtexAVと上記基本排気ガス温度限
界当量比Mtexとを比較し、Mtex<φtexAVの
ときは、ステップS69で、上記基本排気ガス温度限界
当量比Mtexを今回の排気ガス温度限界当量比φte
xとして設定し、また、Mtex≧φtexAVのとき
は、ステップS70で、今回の排気ガス温度限界当量比
φtexを平均排気ガス温度限界当量比φtexAVで設
定する。
【0074】従って、排気ガス温度限界当量比φtex
は平均排気ガス温度限界当量比φtexAVで上限リミッ
トされ、また、基本排気ガス温度限界当量比Mtexで
下限リミットされる。その結果、上記排気ガス温度限界
当量比φtexの上限リミット値は、エンジン回転数N
eと筒内吸入空気質量Gairとに応じて、すなわち、
上記ステップS65,S66或はS67で設定される平
均排気ガス温度限界当量比φtexAVに従って、ゆっく
り変化したり、あるいは比較的早く変化したりするよう
になる。その結果、長時間の全開運転において排気ガス
温度が実際に設計限界値に近づくまではφtex<φf
ulとなり、従来のように、最大出力当量比φfulの
中に、燃料冷却成分を含ませていた場合に比し、出力の
増加が期待できる。尚、この排気ガス温度限界当量比φ
texを排気ガス温度を計測或は推測した値に基づいて
設定するようにしても良い。
【0075】次いで、上記ステップS69或はS70か
らステップS71へ進み、このステップS71〜S75
或はS76で触媒浄化率最良当量比φgasが設定され
る。この触媒浄化率最良当量比φgasは、触媒コンバ
ータ11として3元触媒が採用されている場合に対象と
なり、排気ガスを浄化しなければならない条件が成立し
たときに、φgas←1.0とし、それ以外では、φg
as←0とする。
【0076】ステップS71〜S74では、排気ガスを
浄化しなければならない運転条件にあるかを判断する。
この判断条件は、スロットル開度αとエンジン回転数N
eとで行い、スロットル開度αが、10゜≦α<70゜
(ステップS71,S72)で、且つエンジン回転数N
eが、800rpm≦Ne<3000rpm(ステップ
S73,S74)のとき、触媒浄化率最良当量比φga
sを1.0に設定し(ステップS75)、それ以外のと
きは、φgasを0に設定する(ステップS76)。
尚、上記判断条件は一例であり、排気ガス浄化領域はエ
ンジンの特性等に応じて任意に設定でき、また例えばス
ロットル開度αに代えて、吸気管圧力Pや筒内吸入空気
質量Gairを採用しても良い。また、上記触媒コンバ
ータ11としてリーンNox触媒が採用されている場合
には、触媒浄化率最良当量比φgasは全運転領域でφ
gas←0に設定する。
【0077】その後、ステップS77で、負荷の一例と
しての吸気管圧力Pとエンジン回転数Neとに基づいて
二次元マップを補間計算付で参照して、燃費率最良当量
比φecoを設定して、ルーチンを抜ける。
【0078】図14に、この燃費率最良当量比φeco
を設定する二次元マップの特性を例示する。図に示すよ
うに、この二次元マップの各領域には、当該エンジン運
転条件下での最良の燃費率を得ることのできる当量比が
予め実験などから求めて格納されている。
【0079】ここで、この燃費率最良当量比φecoと
前述の可燃限界当量比φtwとの関係について簡単に説
明する。
【0080】空燃比を可燃限界当量比φtwまでリーン
化させると一般には最良の燃費を得ることができなくな
る。しかし、暖機途中の低水温時などでは空燃比を燃費
率最良当量比φecoまでリーン化するよりも、上記可
燃限界当量比φtwにより、リーン化を抑制した方が良
好な燃焼を得ることができる場合もあるので、上記可燃
限界当量比φtwとは別に燃費率最良当量比φecoが
設定されている。尚、上記触媒浄化率最良当量比φga
sが全運転領域で、φgas←1.0の場合には、上記
燃費率最良当量比φecoは隠れてしまうため、その意
味を失うが、例えば、排気浄化システムがリーンNox
触媒を採用している場合には、前述のように、触媒浄化
率最良当量比φgasが全運転領域でφgas←0に設
定されるため、この燃費率最良当量比φecoは触媒浄
化率最良当量比としての要素も合わせ持つことになる。
また、EGRを用いて理論空燃比制御により燃費向上を
行う際には、吸入空気量センサ32の出力電圧VAFMに
基づいて算出した筒内吸入空気質量Gairは、結果と
してEGR量が除かれた新気量のみとなるため、全運転
領域で、φeco←1.0としたほうが、空燃比制御性
が良くなる。また、この燃費率最良当量比φecoを、
吸気管圧力Pに代えて筒内吸入空気質量Gairと、エ
ンジン回転数Neとの関係により作成した二次元マップ
を参照して設定するようにしても良い。
【0081】そして、上記各ルーチンで求めた設定値を
用いて、図1〜図3の10ms毎ジョブで実行される燃
料噴射有効パルス幅及び燃料噴射無駄パルス幅設定ルー
チンのステップS1〜S10で1サイクル当りの燃料噴
射質量を算出し、ステップS11〜S24で燃料噴射有
効パルス幅Teと燃料噴射無駄パルス幅Tsとを算出す
る。
【0082】まず、ステップS1では、上記筒内混合気
の要求当量比設定ルーチンで設定した各要求当量比φt
w,φful,φtex、φgas,φecoを比較
し、これらの要求値の最大値を目標当量比COEFとして
決定する。
【0083】次いで、ステップS2で筒内への1吸気行
程当りの筒内吸入燃料質量Gfuelを次式から算出す
る。
【0084】 Gfuel←Gair×F/A×COEF×Kfb …(12) F/A:理論燃空比 Kfb:空燃比フィードバック補正係数 ここで、理論燃空比F/Aは理論空燃比A/Fの逆数
で、理論空燃比が14.6であれば、理論燃空比は1/
14.6となる。また、この理論空燃比A/Fは、燃料
を完全燃焼するに必要な最小の空気量と燃料量との比で
あり、多種燃料に対応したエンジン等では変数となる。
【0085】一方、上記空燃比フィードバック補正係数
Kfbの初期値は1.0であり、空燃比フィードバック
制御、及び空燃比学習制御を行う外部のストラテジーに
よって書換えられる。また、理論燃空比F/Aに目標当
量比COEFを掛けることで、運転条件に応じた筒内混合
気の目標空燃比が設定される。従って、リニアA/Fセ
ンサでフィードバック制御する際に設定される上記空燃
比フィードバック補正係数Kfbの目標値は上記理論燃
空比F/Aを1とした場合の上記目標当量比COEFであ
る。
【0086】ところで、上記筒内吸入燃料質量Gfue
lは、筒内へ1行程で吸込んで欲しい燃料量であり、定
常的にはインジェクタ25からの噴射量と一致するが、
過渡時には応答遅れがあるため一致しない。すなわち、
過渡的にはインジェクタ25からの燃料噴射量が急増し
ても、燃料の一部が吸気ポート内壁に付着してから筒内
に吸込まれるので、その分遅れが生じ、筒内に吸込まれ
る燃料量はゆっくりと増加する。従って、上記筒内吸入
燃料質量Gfuelが急増したときには、インジェクタ
25からの燃料量を、この筒内吸入燃料質量Gfuel
よりも多めにフィードフォワード噴射させて、筒内への
吸入燃料量を筒内吸入燃料質量Gfuelと一致させる
必要がある。この追加増量分に相当する過渡時の1吸気
行程当りの燃料追加質量Gaccを、次のステップS3
〜S9で算出する。
【0087】まず、ステップS3では、スロットル開度
αとエンジン回転数Neとに基づき二次元マップ(図1
5参照)を補間計算付で参照して、静的な筒内吸入空気
質量Gairに相当する指標値(静的指標値)Macc
を設定する。この静的指標Maccは、負荷変動の少な
い定常走行で、スロットル開度αとエンジン回転数Ne
を一定に保持すれば、最終的には筒内吸入空気質量Ga
irが一定になるということを前提にしている。従っ
て、走行中の負荷変動が無視できるとすれば、図4のス
テップS31に示すように、上記静的指標Maccをス
ロットル開度αに基づき一次元マップから補間計算付で
設定することも可能である。
【0088】また、過渡的には、上記筒内吸入空気質量
Gairにも遅れがあり、この遅れに対応した燃料追加
質量Gaccを求める必要がある。
【0089】そこで、ステップS4では、まず、吸気チ
ャンバ6A(図20参照)内の吸気遅れを想定した所定
時定数(運転条件によって異なるが本ルーチンでは4×
10msに固定している)の一次遅れ処理を、次式に示
す加重平均に基づいて行い、動的な筒内吸入空気質量G
airに相当する指標値(動的指標値)Saccを算出
する。
【0090】 Sacc←(3・Sacc+Macc)/4 …(13) 次いで、ステップS5で、上記動的指標値Saccと、
前回のルーチン実行時に算出した燃料付着による遅れ指
標値Taccとを比較する。尚、この遅れ指標値Tac
cは上記筒内吸入燃料質量Gfuelに相当する。
【0091】そして、Sacc<Tacc、すなわち、
前回の筒内吸入燃料質量Gfuelに相当する値(Ta
cc)に対して今回の筒内吸入空気質量Gairに相当
する値(Sacc)が少ないときには、ステップS6へ
進み、上記遅れ指標値Taccを上記動的指標値Sac
cとして、ステップS8へ進む。その結果、Sacc=
Taccとなり、後述のステップS9では、上記燃料追
加質量Gacc=0となり、燃料が追加増量されない。
【0092】一方、Sacc≧Tacc、すなわち、前
回の筒内吸入燃料質量Gfuelに相当する値(Tac
c)に対して今回の筒内吸入空気質量Gairに相当す
る値(Sacc)が増加しているか、或は変化していな
いときには、ステップS7へ分岐して、この動的指標S
accを、次式に示す加重平均により、燃料付着による
時定数(本ルーチンでは、8×10ms)の一次遅れ処
理を行って、今回の燃料付着による遅れ指標値Tacc
を算出して、ステップS8へ進む。
【0093】 Tacc←(7・Tacc+Sacc)/8 …(14) そして、ステップS8へ進むと、エンジン回転数Neに
基づき一次元マップを補間計算付で参照して係数Rac
cを設定する。
【0094】その後、ステップS9へ進み、過渡時の1
吸気行程当りの燃料追加質量Gaccを次式から算出す
る。
【0095】 Gacc←Racc×(Sacc−Tacc) …(15) この(15)式に示すように、今回の筒内吸入空気質量
Gairに相当する値(Sacc)と今回の筒内吸入燃
料質量Gfuelに相当する値(Tacc)との差分
が、燃料付着による不足分を補填する増量パターンとい
うことになる。
【0096】このように、この燃料追加質量Gacc
は、スロットル開度αとエンジン回転数Neのみから、
簡易的に筒内吸入空気質量Gairの変化量だけを遅れ
なく検出し、この値を利用して算出している。
【0097】図16にスロットル弁5aを走行中に僅か
に開弁させたときの上記各指標値Macc,Sacc,
Taccの特性を示す。静的指標値Maccはスロット
ル開度αに追従して増加し、一方、動的指標値Sacc
は上記静的指標値Maccに対して4×10msの一次
遅れで増加する。さらに、上記遅れ指標値Taccは、
この動的指標値Saccに対して8×10msの時定数
で増加する。この遅れ指標値Taccが筒内吸入燃料質
量Gfuelに対応していると考えれば、付着分の遅れ
は、上記動的指標値Saccと上記遅れ指標値Tacc
との差分(図のハッチングで示す領域)に相当すること
になり、上記ステップS9では、この差分指標値(Sa
cc−Tacc)に上記係数Raccを掛けて、燃料追
加質量Gaccを求めている。ところで、図17に示す
ように、この差分指標値(Sacc−Tacc)が、従
来のスロットル弁5aの開弁直後に生じるリーンスパイ
クのパターンに符合することが、実験から明らかになっ
た。従って、この差分指標値(Sacc−Tacc)相
応分を加速増量すれば、排気空燃比は過渡時においても
リーン化することなく一定となる。
【0098】上記燃料追加質量Gaccは加速増量・加
速時追加パルスに近似するが、この燃料追加質量Gac
cはあくまでも筒内への吸入燃料量を筒内吸入燃料質量
Gfuelにするためのフィードフォワード分であり、
加速時に空燃比A/Fを一時的にリッチにするためのも
のではない。従って、もし、加速時に空燃比A/Fをリ
ッチにする必要があれば、前記目標当量比COEFの選択
枝として、前記図6〜図8に示す要求当量比設定ルーチ
ン中に、加速当量比φaccを第6の増量要因として加
えることも、当然考えられる。
【0099】また、従来、上記燃料追加質量Gaccを
算出する方法として三角増量法がある。この三角増量法
はスロットル弁の動きを基本に増量値が設定されるため
応答性はよいが、筒内へ吸入される燃料量の一次遅れを
三角形で近似させながら増量するので、上記図17に示
すリーンスパイクに対して正確に符合せず、過渡時の空
燃比が部分的にリッチになったりリーンになったりして
しまう。また、理論的な燃料付着モデルは吸入空気量を
計測するセンサ自体の応答遅れやノイズがあるため、性
能にばらつきが生じ易く、充分な信頼性が得られない。
【0100】そして、ステップS10へ進むと、上記筒
内吸入燃料質量Gfuelに上記燃料追加質量Gacc
を加算して、1サイクル当りの燃料噴射質量Ginjを
算出する。ところで、噴射時期が早期に設定されてい
て、噴射が終了した後でまだ吸気行程になる前のタイミ
ングで上記燃料噴射質量Ginjが急増した場合には、
自動的に追加噴射することも可能で、この燃料噴射質量
Ginjは、ある吸気行程から1回転半前、すなわち吸
気行程終了直後から次の吸気行程開始までの期間にイン
ジェクタ25から噴射される燃料の総量が算出される。
【0101】次に、ステップS11〜S24で、気筒別
燃料噴射有効パルス幅Te1〜Te4、及び気筒別燃料
噴射無駄パルス幅Ts1〜Ts4が算出される(ここ
で、1,2,3,4は気筒番号を示す)。
【0102】まず、ステップS11で、最大出力当量比
φfulの値を参照し、ステップS12で排気ガス温度
限界当量比φtexの値を参照する。そして、φful
=0のエンジンが最大出力を要求しておらず、しかも、
φtex=0の排気ガス温度限界による増量も要求して
いない場合には、ステップS13へ進み、空燃比の気筒
別のばらつきを補正する気筒別噴射量補正係数Ktn1
〜Ktn4を1.0に設定して、ステップS18へ進
む。一方、上記ステップS11で、φful=1.2
(フル増量)、あるいは、ステップS12で、φtex
≠0と判断されている場合には、ステップS14へ分岐
し、ステップS14〜S17でエンジン回転数Neに基
づき、気筒別の一次元マップを補間計算付で参照して、
上記気筒別噴射量補正係数Ktn1〜Ktn4を各々設
定して、ステップS18へ進む。噴射量補正係数Ktn
は燃料噴射量を気筒別に増減量して空燃比を均一に設定
するもので、上記各一次元マップは、各気筒の吸気特性
に対応する値が格納されている。
【0103】ところで、運転条件によって燃料噴射量を
気筒毎に変えなければならない原因は、本来、筒内吸入
空気質量Gairが気筒毎に相違するからであり、従っ
て、正確には筒内吸入空気質量Gairを吸気特性を考
慮して気筒毎に算出し、この算出結果から筒内吸入燃料
質量Gfuel及び燃料噴射質量Ginjを気筒毎に算
出すべきであるが、CPUの計算負荷が重くなるため、
上記気筒別噴射量補正係数Ktn1〜Ktn4を用い
て、見かけ上、気筒別燃料噴射有効パルス幅Te1〜T
e4[ms]を補正するようにした。
【0104】また、空燃比の気筒毎のばらつきが特に問
題となるのは、高負荷運転時のノッキングである。中低
負荷運転での空燃比のばらつきは排気ガスに余り影響せ
ず、エンジン振動の観点からすると全気筒の燃料量が一
致している方が却って各気筒の出力が均等になるので望
ましい。従って、フル増量が要求されている場合には、
全気筒が最大出力が得られるようにする必要があり、ま
た、排気ガス温度限界による増量が要求されている場合
には、全気筒の排気系等の高温化を設計限界以内に抑制
してエンジンを保護する必要があるため、このような場
合、すなわち、気筒間の空燃比が均一であることを前提
とする要求増量が設定されている場合のみ、エンジン回
転数毎に各気筒の燃料噴射量を適正に増減させる補正係
数(気筒別噴射量補正係数)を設定し、各気筒の筒内混
合気の空燃比が目標空燃比となるように個別に制御す
る。
【0105】そして、ステップS18へ進むと、全体と
しての燃料噴射有効パルス幅Te_allを次式から算
出する。
【0106】 Te_all←Kmr×Ginj×Kcon …(16) Kmr:パルス幅誤差補正係数 Kcon:インジェクタ容量係数[sec/g] ここで、パルス幅誤差補正係数Kmrは、インジェクタ
25の動的な流量特性の非線型性の補正であり、本ルー
チンでは、エンジン回転数Neと燃料噴射質量Ginj
とに基づき、図18に示す二次元マップを補間計算付で
参照して設定する。また、上記インジェクタ容量係数K
conは、インジェクタ25の静的質量流量特性の逆数
であり、1グラムの燃料を0.1秒間に噴射するインジ
ェクタでは、Kcon=0.1[sec/g]である。なお、
このインジェクタ容量係数Kconは、本ルーチンでは
固定値としているが、多種燃料に対応可能なFFVエン
ジン等で、燃料の比重や粘性が変化する場合には変数と
して用いる。
【0107】次いで、ステップS19〜S22で、上記
燃料噴射有効パルス幅Te_allを上記気筒別噴射量
補正係数Ktn1〜Ktn4で補正して、気筒別燃料噴
射有効パルス幅Te1〜Te4をそれぞれ設定する。
【0108】その後、ステップS23へ進み、バッテリ
電圧VBに基づき、一次元マップを補間計算付で参照し
燃料噴射無駄パルス幅Ts_all[ms]を設定し、ステ
ップS24で、気筒別燃料噴射無駄パルス幅Ts1〜T
s4を、上記燃料噴射無駄パルス幅Ts_allで設定
してルーチンを抜ける。
【0109】OS側では、上記気筒別燃料噴射有効パル
ス幅Te1〜Te4と上記気筒別燃料噴射無駄パルス幅
Ts1〜Ts4とをそれぞれ加算して、燃料噴射パルス
幅を気筒別に算出する。
【0110】インジェクタ25に与える電圧パルスの幅
(燃料噴射パルス幅)と、燃料噴射質量Ginjとの関
係は、図19に示す通りであり、燃料噴射質量Ginj
が決定されれば、基本的に、この燃料噴射質量Ginj
にインジェクタ容量係数Kconを掛けることで上記有
効燃料噴射パルス幅Teが求められ、この有効燃料噴射
パルス幅Teに無効噴射パルス幅である燃料噴射無駄パ
ルス幅Tsを加算することで燃料噴射パルス幅が算出さ
れる。
【0111】本実施例では、燃料噴射質量Ginj分の
燃料を1回で噴射するか、2回に分割して噴射するかは
OS内部で決定されるため、上記気筒別燃料噴射有効パ
ルス幅Te1〜Te4と上記気筒別燃料噴射無駄パルス
幅Ts1〜Ts4とを、予め加算せずに別々にOSに渡
し、このOS内部で噴射設定の直前に加算して、各イン
ジェクタに与える燃料噴射パルス幅を算出している。こ
うすることで、OS内部で、燃料噴射質量Ginj分の
燃料を2回に分割して噴射すると決定した場合でも、1
/2の燃料噴射有効パルス幅Teに燃料噴射無駄パルス
幅Tsを加算することで、1回当りの燃料噴射パルス幅
を簡単に与えることができる。
【0112】このように、本実施例によれば、例えば新
しい燃料付着モデルを開発した際は、筒内吸入空気質量
Gairを算出する前記(7)式中に演算式を追加すれ
ば良く、またインジェクタの流量が非線型であるならば
燃料噴射有効パルス幅Te,燃料噴射無駄パルス幅Ts
を補正するだけで良いことになる。その結果、ある運転
領域での空燃比制御性に不具合が生じた場合に、どの部
分を変更すべきかが明確となるばかりか、その変更が他
の部分に影響を及ぼし難いため、ベース制御ソフトとし
ての活用が期待できる。
【0113】
【発明の効果】以上、説明したように本発明によれば、
理想の過渡特性に対する吸入空気量センサの過渡応答遅
れ分を、この吸入空気量センサの出力電圧に基づき吸入
空気量を算出するときの補正項で補正するのではなく、
この出力電圧自体を伝達関数の逆関数で補正するように
したので、吸入空気量センサ自体の持つ過渡応答遅れを
簡単な計算で補償することができ、その結果、吸入空気
量の計算負荷が軽くなるばかりでなく、過渡時において
も、実際の吸入空気量に沿った出力電圧に基づいて吸入
空気量を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】10ms毎ジョブで実行される燃料噴射有効パ
ルス幅及び燃料噴射無駄パルス幅設定ルーチンを示すフ
ローチャート
【図2】10ms毎ジョブで実行される燃料噴射有効パ
ルス幅及び燃料噴射無駄パルス幅設定ルーチンを示すフ
ローチャート(続き)
【図3】10ms毎ジョブで実行される燃料噴射有効パ
ルス幅及び燃料噴射無駄パルス幅設定ルーチンを示すフ
ローチャート(続き)
【図4】他の態様による燃料噴射有効パルス幅及び燃料
噴射無駄パルス幅設定ルーチンの要部を示すフローチャ
ート
【図5】4ms毎ジョブで実行される筒内吸入空気質量
設定ルーチンを示すフローチャート
【図6】50ms毎ジョブで実行される要求当量比設定
ルーチンを示すフローチャート
【図7】50ms毎ジョブで実行される要求当量比設定
ルーチンを示すフローチャート(続き)
【図8】50ms毎ジョブで実行される要求当量比設定
ルーチンを示すフローチャート(続き)
【図9】過渡時における吸入空気量センサの出力電圧を
示す特性図
【図10】吸入空気量誤差補正係数を設定する二次元マ
ップの概念図
【図11】基準可燃限界当量比を設定する二次元マップ
の概念図
【図12】最大出力当量比の増量領域を示す特性図
【図13】基本排気ガス温度限界当量比を設定する二次
元マップの特性図
【図14】燃費率最良当量比を設定する二次元マップの
特性図
【図15】静的な筒内吸入空気質量に相当する指標値を
設定する二次元マップの概念図
【図16】静的指標値と動的指標値とこの動的指標値に
対する遅れ指標値との関係を示す特性図
【図17】過渡運転時のリーンスパイクと増量パターン
との関係を示す特性図
【図18】パルス幅誤差補正係数を設定する二次元マッ
プの特性図
【図19】燃料噴射パルス幅と燃料噴射質量との関係を
示す特性図
【図20】エンジンの吸気系モデルを示す説明図
【図21】エンジンの全体構成図
【図22】クランクロータとクランク角センサの正面図
【図23】カムロータとカム角センサの正面図
【図24】電子制御装置の回路構成図
【符号の説明】
6…吸気管 32…吸入空気量センサ Gair…筒内吸入空気質量 Qa…センサ通過空気質量流量 VAFM…出力電圧 V'AFM…過渡補正出力電圧

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸気管上流に設けた吸入空気量センサの
    出力電圧に基づき吸入空気量を設定するエンジンの吸入
    空気量検出方法において、 理想の過渡特性に対する前記吸入空気量センサの過渡応
    答遅れ分を、伝達関数の逆関数で補正して過渡補正出力
    電圧を算出し、 この過渡補正出力電圧に基づき前記吸入空気量を設定す
    ることを特徴とするエンジンの吸入空気量検出方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012090988A1 (ja) * 2010-12-27 2012-07-05 日産自動車株式会社 内燃エンジンの制御装置

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