JPH08144540A - 構造物表面用剥落防止工法、構造物表面用剥落防止仕上工法及びそれらに用いる剥落防止積層体 - Google Patents

構造物表面用剥落防止工法、構造物表面用剥落防止仕上工法及びそれらに用いる剥落防止積層体

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JPH08144540A
JPH08144540A JP28377494A JP28377494A JPH08144540A JP H08144540 A JPH08144540 A JP H08144540A JP 28377494 A JP28377494 A JP 28377494A JP 28377494 A JP28377494 A JP 28377494A JP H08144540 A JPH08144540 A JP H08144540A
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peeling
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preventing
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JP28377494A
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Akira Yamazaki
斐 山崎
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KENZAI SOGO KAIHATSU KK
Original Assignee
KENZAI SOGO KAIHATSU KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、構造物の表面材の剥落を防止する作
業工程を効率化し、施工時にネットに歪み等が生じ難
く、施工後の表面材の接着力が頑強な施工法を提供する
ことを目的とする。 【構成】本発明は、構造物の表面材をネットで覆い、そ
の上からアンカーピンを構造物の躯体に固定するとによ
って表面材の剥落を抑える構造物表面用剥落防止工法等
とそれに用いる剥落防止積層体である。まず、ネットの
両面に粘着剤を付着し、その片面に透視性シートを貼着
してなる剥落防止積層体を予め準備する。次に、その片
面に透視性シートを保持したまま露出した他面を表面材
側に向けて剥落防止積層体をそこに仮固定する。その
時、隣合う剥落防止積層体は所定幅で重ね合わせ、下側
の透視性シートの側部をミシン目にて切り離す。次に、
透視性シートの上からアンカーピンを構造物の躯体まで
打設してネットを躯体に固定して表面材を支持する。最
後に透視性シートを剥離し、その上に新たな仕上材を施
工する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、構造物表面用剥落防止
工法、構造物表面用剥落防止仕上工法及びそれらに使用
される剥落防止積層体に関するものであり、特に、構造
物の傷んだ表面材が剥落するのを防止する補修・改修に
用いられるものである。
【0002】
【従来の技術】従来、上述の補修・改修用の施工法とし
ては、ネットとアンカーピンとを併用した外壁剥落防止
工法が広く知られている。このような施工法は、例え
ば、日本建築仕上学会 1993年大会学術講演会研究
発表論文集 演題番号443「アンカーピンとネットを
併用した外壁改修工法に関する研究」(その1 工法の
概要と施工物件の実態調査)第169頁から第172頁
に示されており、その施工法の概略の手順は次の通りで
ある。
【0003】まず、外壁等の表面材を清掃しその上に接
着性を高めるためのプライマー(下塗剤)を塗布する。
次に、その上に接着剤となるフィラー(充填剤)を塗布
し、その上にネットを均一に展張しながら貼着する。次
に、アンカーピンを挿入するための孔を躯体に達して穿
設し、アンカーピンをそこに打設してネットを表面材に
固定することにより、躯体に対する接着力が低下した表
面材の剥落を抑える。
【0004】次に、その表面に付着した埃等を除去した
後に再度フィラーを塗布しネットが外壁から離れるのを
抑えて、最後に、その上に新たな仕上材を施工する。上
記の従来施工法で一般的に用いられているネットとして
は、合成樹脂繊維を平らに形成した条線の交差部を圧着
して変形防止のために三角形等の網目で形成されるネッ
トや金属のワイヤーをネット状に交差させその交差部分
を溶着したもの等がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
施工法及びそれに用いられているネットには、次のよう
な解決すべき問題があった。一般に、表面材とその上に
新たに施工される仕上材との接着性は、その間に貼着さ
れるネットの条線部の太さが細い方が、表面材と仕上材
との接触面積が大きくなるため良好となる。そのため、
従来使用されたネットは、一般に、細い条線部で構成さ
れている。従って、ネット自体は剛性が低いために、こ
れを展張するときに掛ける力の方向を少しでも偏らせる
と、ネットは容易に変形する。このことはまた、ネット
が剥落する表面材を支持する際に生ずる応力が、ネット
全体に分散されず変形された方向に集中しネットの強度
の低下を招くことにもなった。
【0006】以上のことから、従来使用されていたネッ
トを用いて、接着剤を塗布した表面材の表面に、ネット
を展張する力を均一にかけて、ネットに歪みや膨らみ等
を生じないように貼着するのは難しく、そのためには熟
練した技術を要し、しかもこれが作業能率を低下させる
原因となっている。一方、合成樹脂繊維を平らに形成し
た条線の交差部を圧着して変形防止のために三角形の網
目で形成されるネットは、交差部が圧着によるためにず
れやすくアンカーピンが脱着する問題があり、さらに条
線が幅広のためネットの表面積が大きくなり表面材と仕
上材との間にネットによる絶縁層を形成するために密着
性が悪くなる。また、上記のようなネットは、アンカー
ピンで抑えていない接着力の弱いところでネットが表面
材から剥離する原因となっており、これを抑えるために
は、さらに、その上にフィラーを塗布する作業工程を必
要としている。また、アンカーピン挿入孔を穿設する際
に出る切削粉や埃等が、接着剤を塗布した外壁とネット
の上に付着するので、フィラーとの接着性を低下させ、
そのため、ネットの膨らみ等を抑えるフィラーを塗布す
る前に、それらの切削粉等を除去しなければならない。
【0007】本発明は、前記のような課題を解決するた
めになされたものであり、現場において接着剤を表面材
に塗布することなく、直接表面材上に貼着することが可
能であり、ネットを均一に展張することを容易にし、さ
らに、そのネットの歪みや膨らみ等を抑えるためのフィ
ラーの塗布と、そのフィラーの接着性を向上させるため
に必要となる切削粉等の除去を不要とすることを目的と
する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の構造物表面用剥
落防止工法は、構造物の表面材をネットで覆い、このネ
ットの上からアンカーピンを構造物の躯体に固定するこ
とによって、表面材の剥落をネットで抑える工法であ
り、予め剥落防止積層体を準備しておく。この剥落防止
積層体は、ネットの両面に粘着剤を付着し、且つネット
の少なくとも片面に透視性シートを貼着している。先
ず、この剥落防積層体の片面には透視性シートを保持し
たままで他面にはネットを露出して、この露出したネッ
トの面で、表面材との位置を確認しながらこの剥落防止
積層体を配設する。次いで、この剥落防止積層体の透視
性シートの上からネットを押圧して、ネットをその片面
で前記表面材に仮固定し、透視性シートの上からアンカ
ーピンを構造物の躯体に達するまで打ち込んで、ネット
を躯体に固定させる。最後に、透視性シートを剥離して
ネットにより表面材を支持させる。
【0009】また、本発明の構造物表面用剥落防止仕上
工法は、前述の構造物表面用剥落防止工法と主要部を同
一にしたものであり、前述の構造物表面用剥落防止工法
により、透視性シートを剥離して、ネットにより表面材
を支持させた後に、その表面材にネットの上から塗りま
たは吹き付け等の手段により有機質系または無機質系の
新たな仕上材を施工する。
【0010】また、剥落防止積層体は、上述の構造物表
面用剥落防止工法及び構造物表面用剥落防止仕上工法の
実施に直接使用する物であり、ネットと透視性シートと
でなる。このネットは、予め、その両面に粘着剤をコー
ティング等の手段で付着してあり、その少なくとも片面
に透視性シートが貼着してある。ここで、粘着剤は、遅
乾性且つ非水溶性であることが望ましく、また、露出し
たネットの面には、この粘着剤を全面に且つ可及的に均
等に付着してあることが望ましい。また、ここで、透視
性シートは、透明、または、裏面に貼着したネットが透
視できる程度に半透明な、薄膜や薄板を指しており、ロ
ール状やカットシート状にしたものを用いる。この剥落
防止積層体は、透視性シートをネットの片面だけに貼着
してある場合は、そのままロール状に巻き取ったり、カ
ットシート状にして積層して運搬保管するとよい。この
とき、別のシート等をネットの反対面に貼着したものも
含む。また、このネットは、打ち抜き加工や成型加工に
より縦・横等の条線の交差部が一体となるように成形し
てある場合がある。その材質としては、薄膜に加工して
も剛性の大きい、合成樹脂、チタン合金、カーボン繊維
補強樹脂等を用いるとよい。更に、このネットは、その
条線が交差部に近い位置の断面積を交差部から遠い位置
の断面積より大きくしてある場合もある。この場合に
は、ネットの厚みはなるべく同一にしたままで、且つネ
ットの貼着面での表面積はなるべく小さくするのが望ま
しい。また、透視性シートの側部にはその側部を所定幅
で切り離すためのミシン目を形成するとよい。
【0011】
【作用】この構造物表面用剥落防止工法及び構造物表面
用剥落防止仕上工法では、予めネットの両面に粘着剤を
付着しておくために、このネットは即時に貼着可能な状
態になっており、ネットを構造物の表面材上の所定の位
置に持っていき、表面材に押し当てることによって、ネ
ットを表面材に仮固定する。
【0012】従って、従来のように、前記表面材上にさ
らに接着剤を塗布する必要がなくなり、このとき前記表
面材の表面には接着性がないので、施工中に構造物表面
に粉塵や埃等が付着することを防止する。また、前記ネ
ットは、予めその少なくとも片面に透視性シートを貼着
してあるが、この透視性シートは、運搬時や保管時にネ
ットの粘着面を埃や汚れから保護し、粘着性を良好に保
つ。片面のみに透視性シートを貼着してあるものでも、
ロール状に巻き取った状態や、カットシート状にして積
層した状態にしておけば、ネットの粘着面の両面に透視
性シートが貼着されており、粘着性が保たれる。
【0013】更に、この透視性シートをネットの片面に
保持したままで、他面にはネットを露出し、この露出し
た面を表面材に向けた状態では、透視性シートはネット
を覆って保護していて、この透視性シートの上からネッ
トを押圧しながら押圧している箇所を全面に滑らかに動
かしていけば、ネットは、その全面を均等に押圧され
て、表面材に精度よく貼着される。
【0014】更に、この透視性シートが、ネットと一体
になった状態で構造物表面に貼着されるので、透視性シ
ートに剛性があれば、ネットにも剛性が与えられ、ネッ
トのあらゆる方向への歪みや貼着面から離れる方向への
膨らみを防止し、ネットを表面材に対して均等に貼着
し、ネットの施工後に新たに剥離した表面材からの応力
が、その歪みや膨らみに集中してネットを破損するのを
予防する。従って、透視性シートをネットと一体に貼着
して扱えば、ネットの網穴の面積を大にしたままネット
の条線を細くしても、ネットは歪みや膨らみを防止さ
れ、更に、ネットを貼着したときに、ネットの条線の粘
着面積に対して表面材の露出面積が大きくなるために、
表面材への新しい仕上材の接着性が向上する。
【0015】更に、この透視性シートは裏面が透視でき
るので、剥落防止積層体を貼着した後に、ネットや表面
材の状態を確認しながら作業できる。また、アンカーピ
ンを打設する位置を透視性シートの上から適切に示すの
で、アンカーピンを透視性シートの上からネットの網穴
を通して前記表面材の適所に打設できる。構造物表面用
剥落防止工法及び構造物表面用剥落防止仕上工法では、
アンカーピンを構造物の躯体に達するまで打設した後
に、透視性シートを剥離除去するので、アンカーピンの
打設作業中に、ネット及び表面材は、透視性シートで覆
われてその表面が保護されており、切削粉や埃等が付着
しない。従って、ネット及び表面材の表面は、透視性シ
ートを剥離除去すれば、切削粉等の除去作業が不要にな
り、清浄な表面が得られる。この結果、構造物表面用剥
落防止仕上工法では、既存の表面材と新しい仕上材の接
着性が向上する。
【0016】これらの工法に用いる剥落防止積層体のネ
ットは、その条線の交差部を一体成形して、応力の集中
する交差部の剛性及び強度を高くしてあるので、ネット
を表面材上に貼着する際に、交差部にズレや変形が生じ
てネットに歪みや膨らみが生じたまま貼着されるのを防
止すると共に、ネットを施工した後に、新たに剥離した
表面材からの応力がネットの交差部に集中して、その交
差部でネットが切れてアンカーピンから外れるのを予防
する。また、このネットは、ネットの条線が、交差部に
近く応力集中により切断しやすい位置の断面積を、交差
部から遠い位置の断面積より大としているので、交差部
の剛性及び強度が一層高くなっている。更に、剛性の高
い材質でなるネットを用いたときには、ネットの全体で
剛性が高くなるので、表面材上に貼着する際に、ネット
の全面に歪みや膨らみが生じるのを防ぐ。
【0017】特に、薄板を打ち抜き加工したネットの場
合には、ネットの厚さがほぼ同一で表面に凹凸が少ない
ので、ネットと透視性シートや表面材との密着性が向上
して結合性も高まり、施工中の表面を粉塵や汚れから確
実に保護すると共に、施工中や施工後に、ネットの表面
材との粘着面に緩みが生じて離れるのを防ぐ。また、透
視性シートの側部に設けられたミシン目は隣合うネット
が重なり合う場合に下側の剥落防止積層体の透視性シー
トをアンカーピンで挟着する前に切り離すために設けら
れる。これにより、重なり合う部分においては2枚の重
なったネットの上に1枚の透視性シートが配置されこれ
らを貫いてアンカーピンで止める。
【0018】
【実施例】以下に、本発明の典型的な実施態様を図面に
基づいて説明する。すなわち、図1(a),図1(b)
中、符号1は剥落防止積層体を示しておりこれは、ネッ
ト2とその片面に粘着してある透視性シート3からな
り、図示はしていないが、通常はこれを幅90cm程度
に切断しロール状に巻いて収納する。
【0019】このネット2は、可撓性を有する合成樹脂
シートを打ち抜き加工等により形成して、縦条線部とこ
れに交差する横条線部とが一体の格子状ネットとしてい
る。また、このネット2の縦条線部と横条線部との間に
は網孔4が形成され、これは1辺が10〜20mm程度
の略正方形としてあり、図示しないが慣用のアンカーピ
ンの軸より大きく頭より小さい形状となっている。ま
た、このネット2の縦条線部と横条線部には補強部6が
形成され、これは、網孔4の各辺の中央からそれぞれが
交差する交差部5に向かって次第にその断面積を大きく
して、特に応力集中が発生する交差部5を補強する。さ
らに、ネット2には、図示しないがその両面に長時間放
置しても固化せず、なおかつ非水溶性の粘着剤を塗付し
てある。
【0020】透視性シート3は、可撓性があり且つ透
明,または裏側に粘着するネット2が見える程度に透き
通った合成樹脂フイルムでなり、幅方向の両端から30
mm程度内側の部位に縦方向全部にミシン目14が形成
してある。なお、打ち抜き加工により成形するネット2
は、合成樹脂シート以外に例えば薄板状のステンレス等
の金属で構成してもよく、透視性シート3は、耐水性の
ある紙等の材料で構成してもよい。
【0021】このように構成される剥落防止積層体1
は、図2に示すように、建物13のタイル,煉瓦及びモ
ルタル等の表面材7の一部にひび割れや浮きが見られる
場合の補修又は改修工事に用いられる。以下に、その工
法を詳細に説明する。図3(a)に示すように、建物1
3の表面材7の施工表面を清掃した後に必要によりプラ
イマー11を塗付するがプライマー11塗付は条件によ
り省略してもよい。その後に図3(b)に示すように、
剥落防止積層体1を、その透視性シート3が貼着してい
ない側を建物の表面材7側にして、その透視性シート3
を押圧しながら貼着し、その施工表面全体を被覆する。
【0022】次に、図3(c)に示すように、ドリル等
で剥落防止積層体1の網孔4から、透視性シート3を貫
通しつつ、建物13の躯体に達するまで、ここでは30
0〜500mm程度のピッチでアンカーピン用の孔8を
穿設し、その内部の切削粉等を除去する。なお、前記ピ
ッチは表面材7の種類,寸法等の条件及びネット2の剛
性や強度等の条件に応じて、これ以外のピッチも選択す
ることができる。
【0023】次に、図4(a)に示すように、アンカー
ピン用の孔8内に慣用の接着剤12を注入し、さらに図
4(b)に示すように、慣用のステンレスあるいは合成
樹脂製の頭部付のアンカーピン9を前記孔8内に挿入
し、さらに図4(c)に示すようにその頭部を打ち込ん
で固定する。これにより、アンカーピン9の頭部と表面
材7との間でネット2を挟着し、ネット2が表面材7を
押さえ込む。また、アンカーピン9の頭部座面にはゴム
等の弾性座金15を介挿しておけば前記座面の押圧力が
ネット2に均等に負荷されるためさらに挟着性がよい。
その後に図5に示すように、剥落防止積層体1の透視性
シート3のみを剥がすが、このとき透視性シート3は、
孔8の周りから亀裂が入るためアンカーピン9の頭部か
ら容易に外れる。また図6に示すように隣合う剥落防止
積層体1の継ぎ目部はミシン目14の位置まで上下に重
ね合わせる。この場合下側の剥落防止積層体1の透視性
シート3をミシン目14で切断除去した後に上側の剥落
防止積層体1を重ね合わせそこにアンカーピン9を挿入
固定することにより、ネット2の継ぎ目部を補強すると
ともに、アンカーピン9の使用量を節約することにもな
る。
【0024】なお、解体直前の建築構造物等の一時的な
表面材7の補修を行うときのように建物13の表面にネ
ット2が表れたままでよい場合は、この段階で作業を終
了しこれを構造物表面用剥落防止工法とする。さらに、
図7に示すように、構造物表面用剥落防止仕上工法は、
その上から新しい仕上材10として有機質系または無機
質系の塗材を、こて塗り,ローラ刷毛塗り,吹き付け等
のいずれかの方法によって塗布し、ネット2及び表面材
7を完全に被覆して終了する。
【0025】このように、剥落防止積層体1のネット2
は、可撓性を有する合成樹脂シートを打ち抜き加工する
ため、その貼着面は平坦になり複雑な形状の施工表面に
対しても密着性がよい。このため、格子状の条線部は従
来のネットより細くできるため、施工表面と新たな仕上
材10との接着面積は大きくなりそれぞれが強固に接着
することになる。
【0026】また、剥落防止積層体1のネット2にはあ
らかじめ粘着剤を塗付することにより、プライマー11
が塗付された施工表面に、接着剤をさらに塗付する工程
が不要となる。また、ネット2が表面材7の施工表面に
完全に密着するので、ネット2の剥離防止のために行わ
れていた従来のフィラーによる押さえ層を形成する工程
が不要となり、施工時間を大幅に短縮することになる。
【0027】また、剥落防止積層体1の透視性シート3
は、粘着剤が塗付されたネット2を保護するため、ネッ
ト2の取り扱いを容易にし、さらに、それを設置してか
らアンカーピン9を挿入固定するまで、ネット2及び施
工表面を被覆保護して、切削粉や埃等の汚れが付着する
のを防止する。このため、仕上材10を施工表面に塗付
する前の段階で、切削粉等の除去作業が不要となり、結
果として施工時間の短縮となる。
【0028】なお、前述の各工法を、建築構造物以外の
土木構造物の躯体表面を含めた表面材7の剥落防止のた
めに実施することもできる。また、橋げた,トンネル等
の巨大構造物に使用する仕上材10には、比較的安価な
セメント等の無機質系塗材を使用することが特に望まし
い。また、高強度のチタン合金の条線を溶着して形成さ
れるネット2を使用すれば大荷重の表面材7を支持して
大規模な落下事故を防止することができる。
【0029】さらに、本実施例においてはネット2が格
子状となっているが、図8に示すように、六角形の網穴
4を有する形状のネット2やその他のあらゆる形状で構
成されるネット2を用いた剥落防止積層体1を、前述の
各工法に用いることができることは勿論可能である。
【0030】
【発明の効果】以上の説明より、構造物表面用剥落防止
工法及び構造物表面用剥落防止仕上工法では、表面材へ
の接着剤の塗布作業が不要になり作業が効率化される。
また、アンカーピン打設時の表面材やネットの表面は、
透視性シートによって切削粉や埃等が付着するのを防止
されているので、アンカーピン打設後の表面の清掃作業
が不要になり作業が一層効率化される。また、透視性シ
ートを剥がすことにより清浄な表面が得られるので、表
面材と仕上材との接着性が向上し、新しい仕上面が頑強
になると共に、構造物の外観も綺麗に仕上がる。
【0031】また、ネットを透視性シートの上から押圧
するので、貼着箇所以外には粘着剤が付着して汚れるこ
とがなく、ネットの状態を確認しながら作業でき、透視
性シートは表面が滑らかなので、透視性シート上を滑ら
すように全面均等に押圧していくことにより、ネットを
表面材に均等且つ確実に貼着できる。また、表面材やネ
ットの状態を確認しながら剥落防止積層体を貼着してい
くので、隣り合って貼着するネットの継ぎ目を精度よく
接続できる。アンカーピン打設時には、ネットの網穴の
位置を確認して、そこに打設できる。
【0032】また、ネットと透視性シートとを一体に貼
着した剥落防止積層体は、表面材に貼着する際にネット
に歪みや膨らみが生じるのを防止できる。更に、このネ
ットは、その条線部の交差部が一体に成形され且つ交差
部近傍の条線部の断面積を大にして、ネットの交差部の
剛性及び強度を高めてあるので、ネットを貼着する際に
交差部に生じるズレや変形を防止する。特に、このネッ
トが薄板の打ち抜き加工でその貼着面に凹凸が少ないと
きは、ネットと表面材は、高い密着性のために強固に結
合する。
【0033】このようにして、ネットが表面材に歪みや
膨らみがない状態で密着して貼着されることにより、ネ
ットを抑えるためのフィラーの塗布作業が不要になり作
業効率が更に上がると共に、仕上面が頑強になるため
に、仕上面に新たな剥落が起こり難くなる。更に、この
剥落防止積層体では、ネットの条線部の面積を網穴の面
積に対して細くすることができるために、ネットを挟む
表面材と仕上材との接着面積が広くなることも、表面材
と仕上材との接着性を向上させて、仕上面に新たな剥落
が起こるのを防ぐ。また、この剥落防止積層体では、運
搬保管時には透視性シートがネットの粘着面を保護する
ので、ネットの粘着性が長期間保たれ、大量生産も可能
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の剥落防止積層体の典型的な実施例を示
す図であり、同図(a)は部分平面図,同図(b)は同
図(a)のA−A線断面図である。
【図2】本発明の構造物表面用剥落防止工法及び構造物
表面用剥落防止仕上工法の典型的な実施例を示してお
り、これは、建物の補修工事等における使用態様を示す
部分拡大図である。
【図3】本発明の構造物表面用剥落防止工法及び構造物
表面用剥落防止仕上工法の典型的な実施例を示してお
り、同図(a)、同図(b)及び同図(c)は、プライ
マーの塗布、剥落防止積層体の貼着及び孔の穿設をした
状態を示す要部側断面概略図である。
【図4】本発明の構造物表面用剥落防止工法及び構造物
表面用剥落防止仕上工法の典型的な実施例を示してお
り、同図(a),同図(b)及び同図(c)は、接着剤
の注入及びアンカーピンの打設した状態を示す要部側断
面概略図である。
【図5】本発明の構造物表面用剥落防止工法及び構造物
表面用剥落防止仕上工法の典型的な実施例を示してお
り、これは、透視性シートを剥離除去する工程を示す要
部側断面概略図である。
【図6】本発明の構造物表面用剥落防止仕上工法の典型
的な実施例を示しており、剥落防止積層体の継ぎ目部を
示す要部側断面概略図である。
【図7】本発明の構造物表面用剥落防止仕上工法の典型
的な実施例を示しており、これは、新たな仕上材を施工
した状態を示す要部側断面概略図である。
【図8】本発明の剥落防止積層体の典型的な実施例を示
す部分平面図である。
【符号の説明】
1 剥落防止積層体 2 ネット 3 透視性シート 4 網孔 5 交差部 6 補強部 7 表面材 8 孔 9 アンカーピン 10 仕上材 11 プライマー 12 接着剤 13 建物 14 ミシン目 15 弾性座金

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造物の表面材をネットで覆い、このネ
    ットの上からアンカーピンを前記構造物の躯体に固定す
    ることによって、前記表面材の剥落を抑える構造物表面
    用剥落防止工法において、前記ネットの両面に粘着剤を
    付着し且つ前記ネットの少なくとも片面に透視性シート
    を貼着してなる剥落防止積層体を予め準備し、その剥落
    防止積層体の片面に透視性シートを保持したまま他面に
    前記ネットを露出し、この露出したネットの面で、前記
    剥落防止積層体を前記表面材に仮固着し、前記透視性シ
    ートの上から前記アンカーピンを前記構造物の躯体に打
    ち込んでネットを前記躯体に固定し、然る後、前記透視
    性シートを剥離することにより、前記ネットで、表面材
    を支持することを特徴とする構造物表面用剥落防止工
    法。
  2. 【請求項2】 構造物の表面材をネットで覆い、このネ
    ットの上からアンカーピンを前記構造物の躯体に固定す
    ることによって、前記表面材の剥落を抑える構造物表面
    用剥落防止仕上工法において、前記ネットの両面に粘着
    剤を付着し且つ前記ネットの少なくとも片面に透視性シ
    ートを貼着してなる剥落防止積層体を予め準備し、その
    剥落防止積層体の片面に透視性シートを保持したまま他
    面に前記ネットを露出し、この露出したネットの面で、
    前記剥落防止積層体を前記表面材に仮固定し、前記透視
    性シートの上から前記アンカーピンを前記構造物の躯体
    に打ち込んでネットを前記躯体に固定し、然る後、前記
    透視性シートを剥離することにより、前記ネットで表面
    材を支持し、更に前記表面材に前記ネットの上から塗り
    又は吹き付け等の手段により仕上材を施工することを特
    徴とする構造物表面用剥落防止仕上工法。
  3. 【請求項3】 ネットの両面に粘着剤を付着し、前記ネ
    ットの少なくとも片面に透視性シートを貼着したことを
    特徴とする剥落防止積層体。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の剥落防止積層体におい
    て、前記ネットは、条線の交差部が溶着等により固定さ
    れ又は一体成形するとともに、前記条線の前記交差部に
    近い位置の断面積を、前記交差部から遠い位置の断面積
    より大となったものを用いることを特徴とする剥落防止
    積層体。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載の剥落防止積層体におい
    て、前記透視性シートの側縁に沿って、当該透視性シー
    トの側部を所定間隔で切り離すためのミシン目を入れる
    ことを特徴とする剥落防止積層体。
JP28377494A 1994-11-17 1994-11-17 構造物表面用剥落防止工法、構造物表面用剥落防止仕上工法及びそれらに用いる剥落防止積層体 Pending JPH08144540A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007120231A (ja) * 2005-10-31 2007-05-17 East Japan Railway Co 剥落防止ネット
JP2014029097A (ja) * 2012-07-31 2014-02-13 Maeda Kosen Co Ltd コンクリート面の補強方法
JP2016113810A (ja) * 2014-12-15 2016-06-23 真和建装株式会社 ピンネット工法用建材と、それを用いるピンネット工法

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