JPH08142616A - タイヤ空気圧低下検出方法 - Google Patents

タイヤ空気圧低下検出方法

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JPH08142616A
JPH08142616A JP28545294A JP28545294A JPH08142616A JP H08142616 A JPH08142616 A JP H08142616A JP 28545294 A JP28545294 A JP 28545294A JP 28545294 A JP28545294 A JP 28545294A JP H08142616 A JPH08142616 A JP H08142616A
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wheel
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直樹 川島
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 空気圧低下検出の判定基準を自動設定して、
車輪速比に基づいてタイヤ空気圧低下を確実に検出す
る。 【構成】 車輪速比に基づく空気圧低下判定を阻害しな
いような車両安定運転状態がイグニッション信号IG入
力後に初めて達成されたことが推定条件判定部162で
判定されると、このときに算出部161で算出された車
輪速比が設定部163により基準車輪速比として設定さ
れる。車両走行中、車両安定運転状態が達成されている
間、空気圧低下判定部164は、基準車輪速比および同
判定部に相次いで供給される車輪速比のうちの最大値と
最小値との差を算出し、この差が判定値を上回るとタイ
ヤ空気圧低下を検出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、タイヤ空気圧低下検出
方法に関し、特に、四輪車両におけるタイヤ空気圧の減
少を車輪速から的確に検出して車両運転上の安全性およ
び操縦安定性の向上を図るようにしたタイヤ空気圧低下
検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】タイヤ空気圧が低下すると、タイヤが破
損したり、車両の操縦安定性が損なわれることがある。
そこで、特開平3−135806号等に開示されている
ように、車輪に組み込んだ圧力センサからの出力信号に
基づいてタイヤ空気圧を検出することが知られている。
また、車輪速の変動や車体と路面との間の距離の変動な
どの検出結果から、タイヤ空気圧を間接的に検出するこ
とも公知である。更に、特開昭63−305011号に
開示のように、各車輪の角速度を検出し、対角線上にあ
る一対の車輪の角速度の和と別の対角線上にある一対の
車輪の角速度の和との間の偏差ならびに平均角速度を求
め、上記偏差と平均角速度との比較結果および各車輪の
角速度と平均角速度との比較結果に基づいてタイヤ空気
圧低下を判定することが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、圧力セ
ンサ出力に基づくタイヤ空気圧の検出には、圧力センサ
を要すると共に同センサを車輪に組み込むための車輪側
の加工が必要で、コスト高になる。又、タイヤ空気圧を
車輪速などの変動に基づいて検出する場合、タイヤ空気
圧低下に対する車輪速などの変動が極めて僅かであると
共に車両が旋回または加減速運転されているときはその
影響を受けるので、タイヤ空気圧を的確に検出すること
は困難である。
【0004】また、特開昭63−305011号に示唆
があるように車輪速信号のキャリブレーションを行って
空気圧低下判定精度を向上させることが考えられるが、
このキャリブレーションに際してドライバ側で何らかの
手動操作を行うように判定系を構成した場合、ドライバ
側での手動操作に誤りがあると、正確な空気圧低下判定
をかえって阻害することになる。
【0005】そこで、本発明は、判定基準レベル設定
(キャリブレーション)を自動的に行うことにより、ド
ライバ側での手動操作を不要にしつつ、車輪速に基づい
てタイヤ空気圧低下を確実に検出して、タイヤの破損防
止および車両の操縦安定性向上を図れるタイヤ空気圧低
下検出方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明による請求項1の
タイヤ空気圧低下検出方法は、車両の前後左右車輪のう
ちの2つ以上の車輪速を検出する車輪速検出行程と、前
後左右車輪のうちの1つ以上の加減速状態を検出する車
輪加減速状態検出行程と、車両の操舵状態を検出する操
舵状態検出行程と、前後左右車輪のうちの2つ以上の車
輪速から車両の車体速を検出する車体速検出行程と、前
後左右車輪のうちの2つ以上の車輪速に基づき車輪速比
を演算する車輪速比演算行程と、車両の制動装置の作動
状態を検出する制動装置作動状態検出行程と、車体速と
車輪加減速状態と操舵状態と制動装置作動状態とに基づ
いて、車両の運動状態を判定する車両運動状態判定行程
と、エンジン始動を伴う車両の走行が行われる度に実行
されるタイヤ空気圧低下判定行程とを備え、タイヤ空気
圧低下判定行程は、車両運動状態判定行程で車両安定運
転状態を初めて判定したときに実行される車輪速比演算
行程で演算された車輪速比とその後車両安定運転状態が
判定されている間に繰り返し実行される車輪速比演算行
程で演算された複数の車輪速比のうちの少なくとも一つ
との差が第1の所定値よりも大きくなると、前後左右車
輪の少なくとも一つが空気圧低下状態にあると判定する
第1の判定行程を含むことを特徴とする。
【0007】請求項2の方法は、請求項1の方法におい
て、車輪速比演算行程が、車体速検出行程で検出された
車体速に基づき、前後左右車輪のうちの2つ以上の車輪
速から車輪速比を車両の速度域別に演算する行程を含
み、タイヤ空気圧低下判定行程が、車両安定運転状態が
判定されている間に繰り返し実行される車輪速比演算行
程で速度域別に演算された複数の車輪速比のうちの最大
値と最小値との差を演算すると共に、最大値と最小値と
の差が第2の所定値よりも大きくなると、前後左右車輪
の少なくとも1つが空気圧低下状態にあると判定する第
2の判定行程を含むことを特徴とする。
【0008】請求項3の方法は、請求項1または2の方
法において、タイヤ空気圧低下判定行程が、車両運動状
態判定行程で車両が安定運転状態にあることが判定され
ている間に繰り返し実行される車輪速比演算行程で演算
された車輪速比が、一定時間連続して第3の所定値を越
えると、前後左右車輪の少なくとも一つが空気圧低下状
態にあると判定する第3の判定行程を含むことを特徴と
する。
【0009】請求項4の方法は、請求項1の方法におい
て、車輪加減速状態検出行程が前後左右車輪の各々の加
速度を検出する行程を含み、操舵状態検出行程が操舵角
を検出する行程を含み、車両運転状態判定行程が、車体
速検出行程で検出された車体速が第4の所定値よりも大
きく、制動装置作動状態検出行程で制動装置の作動が検
出されず、操舵状態検出行程で検出された操舵角が第5
の所定値よりも小さく、車輪加減速状態検出行程で検出
された前後左右車輪の各々の加速度が第6の所定値より
も小さく、かつ車輪加減速状態検出行程で検出された前
後左右車輪の加速度の差が第7の所定値よりも小さい場
合に、車両が安定状態で運転されていると判定する行程
を含むことを特徴とする。
【0010】請求項5の方法は、請求項4の方法におい
て、車両運動状態判定行程が、第5および第6の所定値
を車体速検出行程で検出された車体速に応じて変化させ
る行程を含むことを特徴とする。請求項6の方法は、請
求項1の方法において、車輪速検出行程が前後左右輪の
各々の車輪速を検出する行程を含み、車輪速比演算行程
が、車両の一方の対角線上にある一対の車輪の車輪速の
和から他方の対角線上にある一対の車輪の車輪速の和を
減じて得た値を前後左右輪の車輪速の平均値で除すこと
により、対角和車輪速比を車輪速比として演算する行程
を含むことを特徴とする。
【0011】
【作用】請求項1の方法では、車両の走行中、前後左右
車輪のうちの2つ以上の車輪速と、前後左右車輪のうち
の1つ以上の加減速状態と、車両の操舵状態と、車両の
制動装置の作動状態とが検出される。また、車輪速から
車体速が検出され、車輪速に基づき車輪速比が演算され
る。更に、車体速、車輪加減速状態、操舵状態および制
動装置作動状態に基づいて車両の運転状態が判定され
る。
【0012】車両が安定運転状態にあれば、タイヤ空気
圧以外の要因が車輪速比に与える影響が少なく、従っ
て、タイヤ空気圧を良好に反映する車輪速比が求められ
る。このため、車両安定運転状態の達成中は、車輪速比
に基づく空気圧低下判定に対する誤差要因が除去され
る。また、請求項1の方法では、エンジン始動を伴う車
両走行が行われる度にタイヤ空気圧低下判定行程が実行
される。この判定行程では、車両安定運転状態が初めて
判定されときに演算された車輪速比と、その後、車両安
定運転状態が判定されている間に夫々演算された車輪速
比の各々との差が求められる。そして、いずれかの差が
第1の所定値よりも大きければ空気圧低下が判定され
る。これにより、車両安定運転状態が初めて達成された
ときの車輪速比が判定基準として自動的に設定され、従
って、ドライバ側で何らの操作を行うことなしに、車輪
速比に関して一種のキャリブレーションが行われること
になる。
【0013】そして、車両走行中、車両安定運転状態が
初めて達成されたときの車輪速比を判定基準として、時
間経過に伴う車輪速比の変動が検出される。従って、請
求項1の方法によれば、車両走行開始後に時間が経過す
る間に何らかの理由でタイヤ空気圧が一定度合以上低下
して車輪速比が変動すると、この空気圧低下が確実に検
出される。
【0014】請求項2の方法では、車輪速比が車両の速
度域別に演算される。また、車両安定運転状態達成中に
速度域別に夫々演算された車輪速比の最大値と最小値と
の差が演算される。そして、この差が第2の所定値より
も大きければタイヤ空気圧低下が判定される。四輪のタ
イヤ空気圧が低下していなければ、車速変化につれて四
輪のタイヤ転がり半径ひいては車輪速が同様に変化する
ので車輪速比は車速変化があっても変動しない。その一
方で、タイヤ空気圧が低下するとタイヤ剛性が低下し、
また、車速が増大するとタイヤに加わる遠心力が増大す
るので、いずれかのタイヤ空気圧が低下してそのタイヤ
の剛性が低下している場合には、空気圧低下を来した車
輪の転がり半径ひいては車輪速が車速上昇につれてその
他の車輪の車輪速よりも大きく変化する。このため、車
輪速比は高車速域ほど大きく変動する。
【0015】請求項2の方法によれば、車速変化に伴う
車輪速比変動が確実に検出されるので、車速変化を伴う
車両走行が行われている間に一定度合以上のタイヤ空気
圧低下が生じると、この空気圧低下が確実に検出され
る。請求項3の方法では、車両安定運転状態が達成され
ている間に演算された車輪速比が一定時間連続して第3
の所定値を越えると、前後左右車輪の少なくとも一つが
空気圧低下状態にあると判定される。この様に、空気圧
低下を表す車輪速比変動が一定時間連続することを空気
圧低下判定要件とするので、判定系に加わるノイズの影
響が除去される。従って、請求項3の方法によれば、車
輪速比に対してキャリブレーションを施さなくとも、一
定度合以上のタイヤ空気圧低下が生じると、この空気圧
低下が確実に検出される。いわば車輪速比の絶対値に基
づく空気圧低下判定が可能になる。
【0016】請求項4の方法では、前後左右車輪の各々
の加速度が検出され、操舵角が検出される。そして、車
速が第4の所定値よりも大きく、制動装置が作動してお
らず、かつ、操舵角、各車輪の加速度および各車輪の加
速度の差が、第5〜第7の所定値の夫々よりも小さけれ
ば、車両安定運転状態が判定される。低車速時、制動
時、或いは、操舵角、車輪加速度または車輪加速度差が
大きいと、いずれの場合にも車輪速比が変動し、車輪速
比によってタイヤ空気圧を適正に表せなくなる。請求項
4の方法によれば、この様な場合には空気圧低下判定が
禁止されるので、誤判定が防止される。
【0017】請求項5の方法では、第5及び第6の所定
値が車体速に応じて変化される。このため、車両安定運
転状態ひいては空気圧低下の有無が適正に判定される。
請求項6の方法では、対角和車輪速比が演算される。対
角和車輪速比をとると、前後輪間および左右輪間での車
輪走行状態(例えば加減速状態、旋回状態)の差異があ
る程度相殺されて、車両運転状態が車輪速比に及ぼす影
響が緩和される。このため、空気圧低下判定が適正に行
われる。
【0018】
【実施例】図1を参照すると、車両にはアンチロックブ
レーキシステム(ABS)用のコントローラ5が搭載さ
れ、また、車両の右前輪FR、左前輪FL、右後輪RR
及び左後輪RLには、右前車輪速センサ1、左前車輪速
センサ2、右後車輪速センサ3及び左後車輪速センサ4
が夫々装着されている。ABSコントローラ5は、車輪
FR〜RLの回転に伴って車輪速センサ1〜4から送出
される車輪速パルス信号出力から図2に示す車輪速信号
FVFR、FVFL、FVRR、FVRLを得ると共に
車輪速信号から推定車体速信号VREFBを得て、各輪
に適正な制動力を加えるためのABS制御を車輪速信号
および推定車体速信号に基づいて実行する。このABS
制御の実行中、ABSコントローラ5からABS制御信
号ABSORが送出される。
【0019】参照符号6は、コンピュータ、メモリ、入
出力回路などを含む電子制御ユニット(ECU)を示
し、このECU6には、ABSコントローラ5と、車両
の操舵装置7に付設したステアリングセンサ8と、車両
のインストルメントパネル(図示略)などに設けたアラ
ームランプ9と、車両のブレーキペダル(図示略)に連
動するブレーキランプスイッチ10とが接続されてい
る。ECU6は、要素1〜5、8〜10と協働して、本
発明の一実施例のタイヤ空気圧低下検出方法を実施する
ための装置を構成している。
【0020】詳細な図示を省略するが、ステアリングセ
ンサ8は、例えば2組のフォトインタラプタと中立点検
出部とを備え、ドライバによるハンドル操作に応じて、
ハンドル回転方向及びハンドル回転量の判別に用いられ
る位相差のある2つのステアリングパルス信号ST1,
ST2を送出すると共に、ステアリングハンドルが中立
位置になる度に中立位置信号STNを送出する。
【0021】ECU6は、ABSコントローラ5からの
車輪速信号FVFR、FVFL、FVRR、FVRL、
推定車体速信号VREFBおよびABS制御信号ABS
ORと、ステアリングセンサ7からのステアリングパル
ス信号ST1、ST2、STNと、ブレーキランプスイ
ッチ10からのブレーキランプ信号BLSとを入力し
(図2を参照)、これらの信号に基づきタイヤ空気圧低
下を判定したときにアラームランプ9を点灯させる。
【0022】上述の空気圧低下検出を行うべく、ECU
6は、機能的には、図2にブロックで示す各種機能部を
有している。参照符号61は、ABSコントローラ5か
ら入力した車輪速信号FVFR、FVFL、FVRR、
FVRLに含まれる高周波成分(車輪速センサ1〜4の
車輪速ロータ(図示略)の歯間隔精度のばらつきによる
車輪速信号の変動分)を除去するためのフィルタ処理を
行うフィルタ部を示す。フィルタ部61からのフィルタ
処理済みの車輪速信号VFR、VFL、VRR及びVR
Lは、車輪速比演算部62および車輪加速度演算部63
に送出される。
【0023】車輪速比演算部62は、フィルタ処理済み
の車輪速信号VFR、VFL、VRR及びVRLに基づ
いて、例えば次式から対角和車輪速比VXPERF
(%)を算出する。 VXPERF={(VFR+VRL)-(VFL+VRR)}÷{(VFR+VFL+VRR+VR
L)/4} 即ち、右前輪の車輪速VFRと左後輪の車輪速VRLと
の和から左前輪の車輪速VFLと右後輪の車輪速VRR
との和を減じた値(より一般的には、車両を平面で見た
とき、車両の一方の対角線上にある一対の車輪の車輪速
の和から他方の対角線上にある一対の車輪の車輪速の和
を減じた値)を平均車輪速で除して対角和車輪速比VX
PERFを求める。
【0024】対角和車輪速比VXPERFは、ハンドル
角がほぼ中立でかつ車輪加速度がほぼゼロであれば一定
の値を示し、四輪のいずれかの空気圧が低下して当該車
輪の車輪速が増大するとその値が変動する。車輪速比V
XPERFは、右前輪または左後輪の空気圧が低下した
ときに正の値をとり、左前輪または右後輪の空気圧低下
時に負の値をとる。この対角和車輪速比VXPERF
は、基準車輪速比設定部66、速度域別車輪速比算出部
67及び空気圧低下判定部68へ送出される。
【0025】車輪加速度演算部63は、フィルタ部61
から相次いで入力した各輪の車輪速信号VFR、VF
L、VRR及びVRLに基づいて各輪の車輪加速度(加
減速状態)を演算する。図中、記号DVFR,DVF
L,DVRR及びDVRLは、右前輪加速度、左前輪加
速度、右後輪加速度及び左後輪加速度を夫々表す。ステ
アリング角度演算部64は、ステアリングセンサ8から
送出されるステアリングパルス信号ST1、ST2、S
TNに基づき、ステアリングハンドル中立位置からのス
テアリング角度(操舵状態)STRを求める。
【0026】空気圧低下推定条件判定部65は、タイヤ
空気圧低下以外の要因による車輪速比の変動が生じない
ような安定状態で車両が走行しているか否かを各種判定
パラメータに基づいて判定し、車両安定走行状態すなわ
ち空気圧低下推定条件成立を判定したときにフラグF_
Xを値「1」にセットし、これにより空気圧低下判定を
許容する。
【0027】本実施例では、推定条件判定パラメータと
して、ステアリング角度STR、車輪加速度DVFR〜
DVRL、ABS制御信号ABSOR、推定車体速VR
EFB及びブレーキランプ信号BLSが用いられてい
る。そして、(i)車速が大、(ii)ブレーキ操作オ
フ、(iii)ABS制御オフ、(iv)四輪の車輪加
速度がほぼゼロ、(v)四輪の車輪加速度差がほぼゼ
ロ、及び(vi)ステアリング角度がほぼゼロという6
つの条件が同時に成立したときに、車両安定走行状態
(空気圧低下推定条件成立)が判定される。
【0028】低車速では車輪速比の算出精度が低下し、
ブレーキ操作オン時またはABS制御時には車輪速が乱
れ、四輪の車輪加速度が大ならば四輪のスリップ率が不
同一であり、四輪の車輪加速度差が大であれば悪路走行
中であり、ステアリング角度が大であれば四輪の旋回半
径が不同一である。いずれの場合にも車輪速比へ影響が
及んで、車輪速比に基づく空気圧低下判定を適正に行う
ことが困難になる。一方、上記6つの条件が同時成立し
ている場合には、この様な誤判定要因の影響が除去され
て、車輪速比に基づく空気圧低下判定での判定精度が担
保される。
【0029】詳しくは、空気圧低下推定条件判定部65
としてのECU6は、図4に示す推定条件判定サブルー
チンを実行する。本サブルーチンおよび後述の各種サブ
ルーチンの各々は、各サブルーチンについて予め定めた
周期で実行される。図4のサブルーチンにおいて、車輪
加速度演算部63から入力される四輪の車輪加速度DV
FR、DVFL、DVRR、DVRLの最大値および最
小値が夫々求められてECU6のAレジスタ及びBレジ
スタ(共に図示略)に夫々格納される(ステップS1、
S2)。そして、ECU6のメモリに予め設定、記憶さ
れている車輪加速度初期値および所定の加速度絶対値X
X_DVがメモリから夫々読み出されて加算され、次い
で、Aレジスタ値TMP_A(四輪の車輪加速度の最大
値)とこの加算値とが比較される(ステップS3)。
【0030】Aレジスタ値が加算値以下であるとステッ
プS3で判定されると、上述の車輪加速度初期値から上
述の加速度絶対値XX_DVを減じた値とBレジスタ値
TMP_B(四輪の車輪加速度の最小値)とが比較され
る(ステップS4)。Bレジスタ値が減算値以上である
とステップS4で判定され、従って、ステップS3、S
4での判定結果により、四輪の車輪加速度が所定範囲内
に入りほぼゼロであることが示された場合、メモリに予
め格納されたマップ(図5に例示)から推定車体速デー
タVREFに応じた加速バンド判定値YX_DVBが求
められ、Aレジスタ値からBレジスタ値を減じた値と加
速バンド判定値とが比較される(ステップS5)。
【0031】レジスタ値の差(TMP_A−TMP_
B)が加速バンド判定値YX_DVB以下であり、従っ
て、四輪の車輪加速度差が所定範囲内に入りほぼゼロで
あるとステップS5で判定されると、ECU6の加速度
タイマの値TX_DVがデクリメントされる(ステップ
S6)。この加速度タイマ値TX_DVは、ステップS
3、S4、S5のいずれか一つでの判別結果が上述の場
合と反対である場合に、ステップS7で所定の加速度タ
イマ値XX_DVTにセットされる。
【0032】ステップS6又はS7に続いて、図6に例
示したマップから推定車体速データVREFに応じたハ
ンドル角判定値YX_STRが求められ、ステアリング
角度STRから中立点角度を減じた値の絶対値|STR
−中立点角度|とハンドル角判定値YX_STRとが比
較される(ステップS8)。絶対値|STR−中立点角
度|が判定値YX_STR以下であり、従って、ステア
リング角度がほぼゼロであるとステップS8で判定され
ると、ECU6のハンドル角タイマの値TX_STRが
デクリメントされる(ステップS9)。このタイマ値T
X_STRは、絶対値が判定値を上回っている場合に、
ステップS10で所定のハンドル角タイマ値XX_ST
RTにセットされる。
【0033】ステップS9またはS10に続き、推定車
体速VREFBと所定の推定車体速判定値VREFBと
が比較される(ステップS11)。推定車体速VREF
Bが判定値VREFB以上であり、車速が大であるとス
テップS11で判定されると、加速度タイマの値TX_
DVが調べられる(ステップS12)。加速度タイマ値
が「0」であり、従って、四輪の車輪加速度および車輪
加速度差がほぼゼロの状態が上述した所定の加速度タイ
マ値XX_DVTに対応する所定時間にわたって継続し
たことがステップS12で判定されると、ハンドル角タ
イマTX_STRの値が判定される(ステップS1
3)。ハンドル角タイマ値が「0」であってステアリン
グ角度がほぼゼロの状態が上述した所定のハンドル角タ
イマ値XX_STRTに対応する所定時間にわたって継
続したことがステップS13で判定されると、ブレーキ
ランプ信号BLSの値が調べられる(ステップS1
4)。そして、ブレーキランプ信号値が「0」であって
ブレーキ操作オフ(ブレーキペダルが踏み込まれていな
い)であることがステップS14で判定されると、AB
S制御信号ABSORの値が更に判定される(ステップ
S15)。ABS制御信号値が「0」であってABS制
御オフ(ABSコントローラ5によるABS制御が実行
されていない)であることがステップS15で判定され
ると、フラグF_Xの値が車両安定走行状態(空気圧低
下推定条件成立)を表す「1」にセットされる(ステッ
プS16)。すなわち、高車速、四輪の車輪加速度およ
び車輪加速度差がほぼゼロ、ステアリング角度がほぼゼ
ロ、ブレーキ操作オフならびにABS制御オフがステッ
プS11〜S15で順次判別されると、空気圧低下推定
条件が成立したと判定される。
【0034】一方、ステップS11〜S15のいずれか
一つでの判別結果が上述の場合と反対であれば、フラグ
F_Xの値が「0」にリセットされる(ステップS1
7)。すなわち、低車速、四輪の車輪加速度および車輪
加速度差が大、ステアリング角度が大、ブレーキ操作オ
ンまたはABS制御オンのいずれか一つがステップS1
1〜S15で判別されると、空気圧低下推定条件が成立
していないと判定される。 空気圧低下推定条件成立判
定フラグF_Xの値は、基準車輪速比設定部66、速度
域別車輪速比算出部67および空気圧低下判定部68に
送出される。
【0035】基準車輪速比設定部66は、車輪速比演算
部62からの車輪速比VXPERFと、空気圧低下推定
条件判定部65からのフラグ値F_Xと、イグニッショ
ンキー(図示略)に連動するイグニッションスイッチ
(図示略)からの信号IGとを入力し、イグニッション
キーがエンジン始動のためにオン操作されてイグニッシ
ョンスイッチ信号IGが例えばハイレベル「1」になっ
た後でフラグF_Xの値が「0」から「1」へ最初に変
化した時点での車輪速比VXPERFを基準車輪速比V
X_IGONとして設定する。すなわち、基準車輪速比
VX_IGONは、エンジン始動を伴う車両走行開始の
後に車両安定走行状態が初めて達成されたときの車輪速
比を表す。なお、基準車輪速比の好適設定方法を後で説
明する。
【0036】速度域別車輪速比算出部67は、車輪速比
演算部62からの車輪速比VXPERFと、空気圧低下
推定条件判定部65からのフラグ値F_Xと、ABSコ
ントローラ5からの推定車体速VREFBとを入力し、
車両安定走行状態(F_X=1)であるとき、現在の車
速が、予め区分された複数の速度域のいずれに属するか
を推定車体速VREFBに基づいて判定する。速度域
は、例えば、30〜60km/hの第1速度域、60〜
70km/hの第2速度域、70〜80km/hの第3
速度域、80〜90km/hの第4速度域、90〜10
0km/hの第5速度域、100〜110km/hの第
6速度域、110〜120km/hの第7速度域、及び
120km/h以上の第8速度域に区分される。そし
て、速度域判定時点での車輪速比VXPERFが、判定
速度域の車輪速比として求められる。
【0037】上述のように、車輪速比を速度域別に求め
ることにより、車速による車輪速比の変動ひいては空気
圧低下を検出可能になる。この理由は、四輪の空気圧が
標準であれば全速度域において車輪速比がほぼ一定値に
なるが、いずれかの車輪の空気圧が低下すると車速変化
につれて車輪速比が変動し、従って、速度域別の車輪速
比を比較することにより車速変化に伴う車輪速比の変動
を検出可能で、空気圧低下が判別可能なことにある。
【0038】この点に関連して、タイヤ転がり半径を車
速及びタイヤ空気圧の関数で表した測定例を図18に例
示する。図18中、マーク○、×、□および●はタイヤ
空気圧を区別するために付したもので、タイヤ空気圧は
この順序で小さい値をとる。図18から明らかなよう
に、空気圧が低いほど車速変化に伴ってタイヤ転がり半
径ひいては車輪速が大きく変化する。この理由は、タイ
ヤ空気圧の低下によりタイヤ剛性が小さくなっているほ
ど、車速上昇に伴ってタイヤに加わる遠心力が増大した
ときに転がり半径の増大度合いが大きくなることにあ
る。
【0039】また、上述の速度域区分は、低速度域では
車速の影響を受けにくいことと、メモリ容量とを考慮し
て設定したもので、30〜60km/hの範囲を低速度
域(第1速度域)としてまとめ、その他の速度域を10
km/hきざみで区分してある。より好ましくは、最高
速度までの全車速域を好適なきざみで区分する。本実施
例の速度域別車輪速比算出部67は、図7及び図8に示
す速度域・算出条件判定サブルーチンならびに図9及び
図10に示す速度域別車輪速比算出サブルーチンを実行
する。
【0040】このサブルーチンにおいて、推定車体速V
REFBの値が調べられると共に推定車体速データVR
EFとしてメモリに一時記憶される(ステップS2
1)。推定車体速VREFBの値がゼロでなく、従って
車両走行中であればフラグF_Xの値が調べられる(ス
テップS22)。更に、フラグF_Xの値が「1」であ
れば推定車体速データVREFが調べられる(ステップ
S23)。そして、推定車体速データVREFが60k
m/h以下であれば、後述の処理で用いるフィルタステ
ータスS_Xとして値「6」が設定される(ステップS
24)。また、推定車体速データVREFが、60km
/h以上かつ70km/h未満、70km/h以上かつ
80km/h未満、80km/h以上かつ90km/h
未満、90km/h以上かつ100km/h未満、10
0km/h以上かつ110km/h未満、110km/
h以上かつ120km/h未満、または、120km/
h以上であれば、値「7」〜「13」の対応する一つが
フィルタステータスS_Xとして設定され(ステップS
25〜S31)、本サブルーチンが終了する。
【0041】一方、フラグF_Xの値が「0」であると
ステップS22で判別されると、フィルタステータスS
_Xに値「0」が設定されて(ステップS32)、本サ
ブルーチンが終了する。推定車体速データVREFが
「0」であって車両走行停止中であることがステップS
21で判定されると、以下の処理で用いる車速指標Vと
して値「60」が設定される(ステップS33)。次
に、値「0」又は初期値が、積算バッファV_vSU
M、積算カウンタC_vSUM、フィルタリング・ステ
ータスデータS_v及び速度域車輪速比VX_vFの各
々に設定される(ステップS34〜S37)。以上のよ
うにして、第1速度域についての積算バッファ、積算カ
ウンタ、フィルタリング・ステータスデータ及び速度域
車輪速比が初期化される。
【0042】なお、積算カウンタC_vSUMは速度域
車輪速比の積算に用いられ、この積算値が積算バッファ
V_vSUMに記憶される。フィルタリング・ステータ
スデータS_vは、フィルタ定数およびフィルタ値(速
度域車輪速比VX_vF)が安定したか否かの判定に用
いられるもので、例えば7ビットで構成されている。ス
テータデータの下位4ビットは符号判定カウンタを構成
し、また、第6ビットは符号フラグであって、後述のよ
うに現在の車輪速比から平均車輪速比を減じて得た値の
符号が正のときに値「0」にリセットされ、符号が負の
ときに値「1」にセットされる。また、第7ビットはフ
ィルタ値安定済みフラグで、フィルタ値が安定済みであ
れば値「1」にセットされ、安定未了であれば値「0」
にリセットされる。
【0043】次に、車速指標Vに値「10」が加算され
て車速指標Vが更新され(ステップS38)、更新後の
車速指標Vの値が「140」であるか否かが判定される
(ステップS39)。ステップS39での判別結果が否
定であれば、制御フローはステップS34へ進む。この
結果、第2速度域〜第8速度域についての積算バッフ
ァ、積算カウンタ、フィルタリング・ステータスデータ
及び速度域車輪速比が順次初期化される。第8速度域に
ついての初期化が終了すると、その直後のステップS3
8で車速指標Vの値が「140」に更新されて、次のス
テップS39での判別結果が肯定になるので、本サブル
ーチンが終了する。
【0044】次に、図9及び図10の速度域別車輪速比
算出サブルーチンにおいて、積算バッファの内容V_v
SUMに車輪速比VXPERFが加算されてバッファ内
容が更新され(ステップS41)、積算カウンタの値C
_vSUMがデクリメントされる(ステップS42)。
次に、ボロー(負の繰り上がり)が生じたか否かが、す
なわち積算が終了したか否かが判定される(ステップS
43)。積算が終了していなければ本サブルーチンが終
了する。
【0045】その後、ステップS43で積算終了が判定
されると、積算カウンタC_vSUMに初期値(例えば
128)がセットされ(ステップS44)、積算バッフ
ァ値を上記初期値に対応する値(例えば「128」)で
除して得た速度域車輪速比の平均値が積算バッファへセ
ットされる(ステップS45)。この様に車輪速比のサ
ンプリングが所定回数(例えば128回)行われると、
以下のフィルタリング処理が開始される。
【0046】すなわち、フィルタリング・ステータスデ
ータS_vが調べられ(ステップS46)、その値が
「0」であってフィルタリング初回であると判定される
と、積算バッファの値V_vSUMが速度域車輪速VX
_vFとして設定され(ステップS47)、値「01」
がフィルタリング・ステータスデータS_vとして設定
される(ステップS48)。次に、制御フローは図10
のステップS60に進んで積算バッファ値V_vSUM
を「0」にクリアして、本サブルーチンが終了する。
【0047】次のサブルーチン実行サイクルのステップ
S46ではフィルタリング・ステータスデータS_vが
値「0」でないと判定されるので、速度域車輪速比VX
_vFとその平均値(例えば128回平均値)を表す積
算バッファ値V_vSUMとが比較され(ステップS4
9)、これにより符号判定が行われる。車輪速比が積算
バッファ値よりも大きければ、正の符号を表す値「0」
がレジスタAにセットされる一方(ステップS50)、
車輪速比が積算バッファ値よりも小さければ、負の符号
を表す値「1」がレジスタAにセットされる。ステップ
S50またはS51に続いて、或いは、ステップS49
で車輪速比と積算バッファ値とが等しいと判定される
と、制御フローは図10のステップS52に進む。
【0048】ステップS52では、フィルタリング・ス
テータスデータS_vの第7ビットの値が調べられる。
この値が「0」であって、フィルタリングが未だ安定化
されていないと判定されると、前回の符号判定結果を表
す同ステータスデータS_vの第6ビットの値と今回の
符号判定結果を表すAレジスタの値とが比較される(ス
テップS53)。第6ビット値とAレジスタ値とが等し
くなく、従って符号反転したと判定されると、符号反転
カウンタとしてのステータスデータS_vの下位4ビッ
トがカウントアップされる(ステップS54)。このス
テップS54に続いて、或いは、ステップS53におい
て第6ビット値とAレジスタ値とが等しくて符号反転し
ていないと判定されると、制御フローはステップS55
へ進んで下位4ビットと値「4」とが比較される。
【0049】ステップS55においてステータスデータ
S_vの下位4ビットが値「4」よりも小さく、従っ
て、符号反転が3回行われていないと判定されると、制
御フローはステップS58へ進む。このステップS58
では、速度域車輪速比VX_vFに積算バッファ値V_
vSUMを加算したものを値「2」で除して得た値が、
速度域車輪速比VX_vFとして設定される。すなわ
ち、目標値への追従性向上のための1/2フィルタ処理
が行われる。次いで、次の符号判定のためにAレジスタ
値TMP_AがステータスデータS_vの第6ビットへ
セットされ(ステップS59)、また、次の車輪速比の
積算のために積算バッファ値V_vSUMがクリアされ
て(ステップS60)、本サブルーチンが終了する。
【0050】一方、ステップS55でステータスデータ
S_vの下位4ビットが値「4」以上であって符号反転
が3度行われたと判定されると、次の符号反転回数判定
のためにステータスデータS_vの下位4ビットが値
「0」にリセットされた後で(ステップS56)、フィ
ルタ値(速度域別車輪速比)が安定済みであることを表
す値「1」がステータスデータS_vの第7ビットに設
定される(ステップS58)。次に、上述のステップS
58〜S60が順次実行され、本サブルーチンが終了す
る。
【0051】以上のようにしてフィルタ値が安定してス
テータスデータS_vの第7ビットに値「1」がセット
されると、制御フローはステップS52からステップS
61に進んでステータスデータS_vの第6ビットとA
レジスタ値TMP_Aとが比較される。第6ビットとA
レジスタ値とが一致していなければ、ステータスデータ
S_vの下位4ビットが値「0」にリセットされ(ステ
ップS62)、上述のステップS59、S60が順次実
行されて本サブルーチンが終了する。
【0052】その後、ステップS61において、ステー
タスデータS_vの第6ビットとAレジスタ値TMP_
Aとが一致して同一符号が2回続いたと判定されると、
ステータスデータS_vの下位4ビットに値「1」がセ
ットされ(ステップS63)、ノイズの影響を低減する
ための±1フィルタ処理が開始される。すなわち、車輪
速比VX_vFとその平均値を表す積算バッファ値V_
vSUMとが比較され(ステップS64)、車輪速比が
積算バッファ値よりも大きければ、車輪速比から値
「1」を減じた値が車輪速比として設定される一方(ス
テップS65)、車輪速比が積算バッファよりも小さけ
れば車輪速比に値「1」を加えた値が車輪速比として設
定される(ステップS66)。そして、ステップS65
またはS66に続いて、上述のステップS59及びS6
0が順次実行され、本サブルーチンが終了する。
【0053】図11のグラフに、上述のフィルタリング
処理中での車輪速比、符号反転カウンタおよびフィルタ
値安定済みフラグの時間経過に伴う変化を例示する。図
11中、Vマークは符号反転を示す。図2及び図3を参
照すると、空気圧低下判定部68は、速度域別車輪速比
算出部67からの速度域車輪速比VX_vFおよびフィ
ルタリング・ステータスデータS_vに基づいて速度域
車輪速比の最大値VX_MAX及び最小値VX_MIN
を算出するための車輪速比変動値算出部681を有して
いる。又、判定部68は、ABSコントローラ5からの
推定車体速VXPERFと空気圧低下推定条件判定部6
5からのフラグF_Xとに基づいて空気圧低下の有無を
判定する第1空気圧低下判定部682と、車輪速比変動
値算出部681からの最大及び最小車輪速比VX_MA
X、VX_MINと基準車輪速比設定部66からの基準
車輪速比VX_IGONとに基づいて空気圧低下の有無
を判定する第2空気圧低下判定部683と、算出部68
1からの最大、最小車輪速比に基づいて空気圧低下の有
無を判定する第3空気低下判定部684と、第1〜第3
空気圧低下フラグに基づいて最終的な空気圧低下判定を
行う空気圧低下総合判定部685とを有している。
【0054】車輪速比変動値算出部681としてのEC
U6は、速度域別車輪速比算出部67で算出された速度
域車輪速比の最大値及び最小値を求めるため、本実施例
では図12に示す車輪速比変動値算出サブルーチンを実
行する。このサブルーチンにおいて、ECU6の最大値
レジスタ及び最小値レジスタ(共に図示略)の値が
「0」にリセットされ(ステップS71、S72)、車
速指標Vに第1速度域を表す値「60(km/h)」が
セットされ(ステップS73)、次に、この車速指標V
に対応するフィルタリング・ステータスデータS_vの
第7ビットが調べられる(ステップS74)。第7ビッ
トの値が「0」であって、車速指標Vに対応する速度域
車輪速比VX_vFが算出されていなければ、この車速
指標Vに対応する速度域での最大、最小車輪速値の算出
が行えないと判定され、制御フローは後述のステップS
82に進む。
【0055】一方、ステータスデータS_vの第7ビッ
トの値が「1」であって、車速指標Vに対応する速度域
車輪速比VX_vFが算出済みであることがステップS
74で判定されると、最小値レジスタの値TMP_MI
Nが調べられる(ステップS75)。同レジスタがリセ
ットされた直後はレジスタ値TMP_MINが「0」で
ある。この場合、車速指標V(=60km/h)に対応
する速度域車輪速比VX_vF(=VX_60F)が最
大値レジスタおよび最小値レジスタに順次格納され(ス
テップS76、S77)、次に、速度域車輪速比VX_
vFと最大値レジスタの値TMP_MAXとが比較され
る。ここでは両者の値が等しいので、制御フローはステ
ップS80に進んで、速度域車輪速比VX_vFと最小
値レジスタの値TMP_MINとが比較される。ここで
は両者の値が等しいので、制御フローはステップS82
に進んで車速指標Vに値「10」が加算され、次のステ
ップS83では車速指標Vが値「140」であるか否か
が判定される。ここではステップS83での判定結果が
否定になり、制御フローはステップS74に戻る。
【0056】次に、第2速度域を表す車速指標V(=7
0km/h)に対応するステータスデータS_vの第7
ビットの値が「1」であって第2速度域に対応する速度
域車輪速比VX_70Fが算出済みであれば、制御フロ
ーはステップS75に進む。前回サイクルにおいて、第
1速度域に対応する速度域車輪速比VX_60が最大値
レジスタおよび最小値レジスタに格納された場合、最小
値レジスタの値TMP_MINの値が「0」ではないと
判定され、制御フローはステップS78に進んで第2速
度域の速度域車輪速比VX_70Fと最大値レジスタの
値TMP_MAX(第1速度域の速度域車輪速比VX_
60F)とが比較される。値VX_70Fが値TMP_
MAXよりも大きければ、最大値レジスタの値が値VX
_70Fに更新される(ステップS79)。一方、値V
X_70Fが値TMP_MAX以下であれば、値VX_
70Fと最小値レジスタの値TMP_MINとが比較さ
れる(ステップS80)。そして、値VX_70Fが値
TMP_MINよりも小さければ最小値レジスタの値が
値VX_70Fに更新される(ステップS81)。ステ
ップS79またはS81に続いて、或いは、ステップS
80で値VX_70Fが値TMP_MIN以上であると
判定されると、制御フローは上述のステップS82に進
む。
【0057】速度域車輪速比VX_70Fが算出済みで
あり、かつ、前回サイクルにおいて速度域車輪速比VX
_60Fが最大値レジスタおよび最小値レジスタに格納
されなかった場合には、値VX_70Fが両レジスタに
格納される。その後、車速指標Vを値「80」、「9
0」、・・・、「130」に更新しつつ、上述のステッ
プS74〜S81の対応するものが実行され、これによ
り最大値レジスタまたは最小値レジスタの値がステップ
S78、S80での比較結果に応じて更新あるいは維持
される。車速指標V(=130km/h)すなわち第8
速度域についてステップS74〜S81の対応するもの
が実行されると、次のステップS82で車速指標Vが値
「140」に更新されるので、ステップS83での判別
結果が肯定になる。この場合、制御フローはステップS
84に進んで最大値レジスタの値TMP_MAXが速度
域車輪速比の最大値VX_MAXとして設定され、次の
ステップS85では最小値レジスタの値TMP_MIN
が速度域車輪速比の最小値VX_MINとして設定さ
れ、これにより本サブルーチンが終了する。
【0058】第1空気圧低下判定部682は、車輪速比
VXPERFが所定時間連続して所定範囲から逸脱した
ときに空気圧低下を判定する。所定範囲は標準空気圧に
対して例えば±1%の範囲に設定される。これは、四輪
が標準空気圧であれば、磨耗率の違いなどに起因するタ
イヤの個体誤差があったとしても、通常、車輪速比は±
0.3%程度で、±1%を越えることがないからであ
る。
【0059】空気圧低下判定のため、本実施例の第1空
気圧低下判定部682は、図13に示す第1空気圧低下
判定サブルーチンを実行する。このサブルーチンにおい
て、空気圧低下推定条件判定部65からのフラグF_X
の値が調べられ(ステップS91)、フラグF_Xの値
が「0」であって空気圧低下推定条件が不成立であれ
ば、ステップS92で空気圧低下判定タイマに所定時間
XXPERがセットされて本サブルーチンが終了する。
一方、フラグF_Xの値が「1」であって推定条件成立
が判定されると、車輪速比VXPERFが第1所定値以
上でかつ第2所定値以下であるか否かが判別される(ス
テップS93)。両所定値の大きさは同一で良く、この
場合、ステップS93で車輪速比の絶対値が所定値以下
であるか否かが判別されることになる。ステップS93
での判別結果が肯定であれば、制御フローは上述のステ
ップS92に進む。即ち、空気圧低下判定は行われな
い。
【0060】一方、ステップS93での判別結果が否定
であれば、判定タイマの値TXPERがデクリメントさ
れ(ステップS94)、次に、タイマ値TXPERが調
べられる(ステップS95)。タイマ値TXPERが
「0」でなければ所定範囲からの車輪速比の逸脱が所定
時間にわたって継続していないので、空気圧低下の有無
の判定を保留して本サブルーチンが終了する。一方、タ
イマ値TXPERが「0」になり、従って、車輪速比V
XPERFが所定時間XXPERにわたって所定範囲か
ら逸脱し続けたと判定されると、空気圧低下があったと
判定されて、第1空気圧低下フラグFAIR_Pが空気
圧低下を表す値「1」にセットされる(ステップS9
6)。
【0061】図13の第1空気圧低下判定サブルーチン
は、車両走行中に車輪速比が所定範囲外へ逸脱したとき
に空気圧低下と判定するもので、同サブルーチンでは、
後述の第2空気圧低下判定サブルーチンの場合と相違し
て車輪速比の基準レベルの設定(車輪速比のキャリブレ
ーション)を行うことなしに車輪速比自体に基づいて空
気圧低下の有無が判定される。即ち、この空気圧低下判
定は、いわば車輪速比の絶対値に基づいて行われる。図
13のサブルーチンによれば、例えば、いずれかの車輪
のタイヤの完全パンク状態(より一般的には約70%以
上の空気圧低下)や、テンパータイヤなどの異サイズの
タイヤが左右輪に装着されている状態を検出可能であ
る。そして、以上のようにして本サブルーチンが終了す
ると、フラグ値FAIR_P(=1)が空気圧低下総合
判定部685へ送出される。
【0062】第2空気圧低下判定部683による空気圧
低下判定は、車輪速比変動値算出部681からの最大及
び最小車輪速比VX_MAX、VX_MINと基準車輪
速比設定部66からの基準車輪速比VX_IGONとに
基づいて行われる。基準車輪速比の設定については上述
したが、以下、その好適例を説明する。基準車輪速比V
X_IGONの設定にあたり、基準車輪速比設定部66
としてのECU6は、好ましくは、図14に示す基準車
輪速比設定サブルーチンを実行する。
【0063】このサブルーチンにおいて、IGオンエッ
ジフラグFIGONの値が調べられ(ステップS10
1)、フラグ値FIGONが「0」であってイグニッシ
ョンスイッチ信号IGのオンエッジが検出されなけれ
ば、本サブルーチンが終了する。その後、エンジン始動
のためにイグニッションスイッチがオン操作され、イグ
ニッションスイッチ信号IGが立ち上がってそのオンエ
ッジが検出されると、フラグ値FIGONが「1」にセ
ットされ、この結果、ステップS101での判別結果が
肯定になる。この場合、60km/h以下の車速すなわ
ち第1速度域に対応するフィルタリング・ステータスデ
ータS_60の第7ビットが調べられる(ステップS1
02)。第7ビットの値が「0」であり、従って、第1
速度域に対応する速度域車輪速比VX_60Fの算出が
未了であれば、本サブルーチンが終了する。
【0064】一方、第7ビットの値が「1」で、車輪速
比VX_60Fが算出済みであると判定されると、この
車輪速比VX_60Fが基準車輪速比VX_IGONと
して設定され(ステップS103)、次のステップS1
04でフラグ値FIGONが「0」にリセットされて、
本サブルーチンが終了する。なお、車輪速比VX_60
FはフラグF_X=1すなわち空気圧低下推定条件が成
立したときに算出されるものであるから、上述の基準車
輪速比VX_IGONは条件F_X=1が成立したとき
に設定されることになる。
【0065】本実施例では、第2空気圧低下判定部68
3としてのECU6は、図15に示す第2空気圧低下判
定サブルーチンを実行する。このサブルーチンにおい
て、基準車輪速比設定部66からの基準車輪速比VX_
IGONの値が調べられ(ステップS111)、この値
が「0」であって基準車輪速比の設定が未了であれば、
本サブルーチンが終了する。一方、基準車輪速比の値が
「0」でなくて基準車輪速比が設定済みであれば、車輪
速比変動値算出部681からの速度域車輪速比の最小値
VX_MINが調べられる(ステップS112)。最小
値が「0」であって速度域車輪速比の算出が未了であれ
ば本サブルーチンが終了する一方、最小値が「0」でな
くて速度域車輪速比が算出済みであれば、基準車輪速比
VX_IGONと速度域車輪速比の最大値VX_MAX
と速度域車輪速比の最小値VX_MINとが比較され
て、これら3つの値のうちの最大値および最小値が夫々
求められ、ECU6の最大値レジスタ及び最小値レジス
タに夫々格納される(ステップS113、S114)。
【0066】次に、最大値レジスタの値TMP_MAX
から最小値レジスタの値TMP_MINを減じて得た値
(TMP_MAX−TMP_MIN)と判定値XAIR
_T(例えば0.2%)とが比較され(ステップS11
5)、最大値レジスタ値と最小値レジスタ値との差が判
定値よりも小さければ、車輪速比が基準車輪速比から判
定値以上変動しなかったので空気圧低下なしと判定さ
れ、本サブルーチンが終了する。一方、最大値レジスタ
値と最小値レジスタ値との差(TMP_MAX−TMP
_MIN)が判定値XAIR_T以上であれば、車輪速
比が判定値以上変動したので空気圧が低下したと判定さ
れ、第2空気圧低下フラグFAIR_Tが空気圧低下を
表す値「1」にセットされる(ステップS116)。
【0067】この様に、図15の第2空気圧低下判定サ
ブルーチンでは、エンジン始動を伴って開始されエンジ
ン停止を伴って終了する車両走行中、時間が経過するに
つれて車輪速比が基準車輪速比から所定値(例えば0.
2%)以上変動したか否かが判定され、この判定結果に
基づいて空気圧低下の有無が判定される。従って、この
サブルーチンによれば、車両走行中、例えば0.2%の
車輪速比変動に対応する例えば約20%以上の空気圧低
下が発生したときに空気圧低下を検出可能である。そし
て、この様な空気圧低下が検出されると、本サブルーチ
ンを終了する。フラグ値FAIR_T(=1)は空気圧
低下総合判定部685へ送出される。
【0068】第3空気圧低下判定部684としてのEC
U6は、図16に示す第3空気圧低下判定サブルーチン
を実行する。このサブルーチンにおいて、車輪速比変動
値算出部681から送出される速度域車輪速比の最小値
VX_MINが調べられ(ステップS121)、最小値
の値が「0」であって最小値の算出が未了であると判定
されると、本サブルーチンが終了する。一方、最小値V
X_MINの値が「0」でなくて最小値が算出済みであ
ると判定されると、制御フローはステップS122に進
んで速度域車輪速比の最大値VX_MAXから最小値V
X_MINを減じて得た値と判定値XAIR_Vとが比
較される。この判定値XAIR_Vは、例えば、値VX
_MAX、VX_MINの夫々が属する速度域に応じて
設定されるもので、例えば0.15%付近の値に設定さ
れている。
【0069】そして、最大値と最小値との差(VX_M
AX−VX_MIN)が判定値XAIR_Vよりも小さ
ければ、車速変化に伴って車輪速比が判定値以上変動し
なかったので空気圧低下なしと判定され、本サブルーチ
ンが終了する。一方、この差が判定値以上であれば、車
速変化に伴い車輪速比が変動したので空気圧低下があっ
たと判定されて、第3空気圧低下フラグFAIR_Vが
空気圧低下を表す値「1」にセットされる(ステップS
123)。
【0070】図16の第3空気圧低下判定サブルーチン
は、タイヤに加わる遠心力がタイヤ剛性に打ち勝ってタ
イヤの転がり半径が増大する度合いが、高車速域ほど、
又、タイヤ空気圧低下度合いが大きいほど、大きくなる
という物理現象に基づくもので、このサブルーチンで
は、上述のように、車速変化に伴って所定以上の車輪速
比変動があったか否かが判定され、この判定結果に基づ
いて空気圧低下が判定される。このサブルーチンにより
検出可能なタイヤ空気圧低下の度合いは、高車速域では
例えば20%以上、また、低車速域では例えば60%以
上というように、車速に応じて変わる。空気圧低下が検
出されると本サブルーチンが終了する。フラグ値FAI
R_V(=1)は空気圧低下総合判定部685へ送出さ
れる。
【0071】空気圧低下総合判定部685としてのEC
U6は、図17に示す空気圧低下総合判定サブルーチン
を実行する。このサブルーチンにおいて、第1空気圧低
下判定部682から送出される第1空気圧低下フラグF
AIR_Pが調べられ(ステップS131)、第1空気
圧低下フラグの値が「0」であれば、第2空気圧低下フ
ラグFAIR_Tが調べられる(ステップS132)。
第2空気圧低下フラグの値も「0」であれば第3空気圧
低下フラグFAIR_Vが調べられる(ステップS13
3)。そして、第3空気圧低下フラグの値も「0」であ
れば、空気圧低下なしと判定されて本サブルーチンが終
了する。
【0072】一方、第1空気圧低下フラグFAIR_P
の値が「1」であることがステップS131で判定さ
れ、或いは、第2空気圧低下フラグFAIR_Tの値が
「1」であることがステップS132で判定され、或い
は、第3空気圧低下フラグFAIR_Vの値が「1」で
あることがステップS133で判定されると、空気圧低
下があったと判定され、制御フローはステップS134
へ進んで空気圧低下フラグFAIRが空気圧低下を表す
値「1」にセットされ、本サブルーチンが終了する。空
気圧低下フラグ値FAIR(=1)は、アラームランプ
駆動部69(図2)へ送出される。
【0073】アラームランプ駆動部69としてのECU
6は、図示しないアラームランプ出力サブルーチンにお
いて空気圧低下フラグFAIRの値を監視し、同フラグ
値が「0」であればアラームランプ駆動フラグFAIR
OUTの値を「0」にリセットする一方、空気圧低下フ
ラグFAIRの値が「1」であればフラグFAIROU
Tの値を「1」にセットする。アラームランプ駆動フラ
グFAIROUTはアラームランプ9(図1)へ送出さ
れ、同フラグが値「1」にセットされて駆動電力が供給
されるとアラームランプ9が点灯して、ドライバなどに
空気圧低下発生を知らせる。
【0074】以下、上記構成のタイヤ空気圧低下検出装
置の作動を説明する。車両のイグニッションキーがオン
操作されると、イグニッション信号IGが立ち上がって
フラグFIGON(図14)が「1」にセットされると
共に、エンジンが始動して車両走行が開始される。車両
走行中、ABSコントローラ5は、前後左右輪FR〜R
Lの回転に伴って車輪速センサ1〜4から供給される車
輪速パルス信号に基づき、車輪速信号FVFR〜FVR
Lおよび推定車体速信号VREFBを得る。車輪速信号
はフィルタ部61においてフィルタ処理され、フィルタ
処理済みの車輪速信号VFR〜VRLは車輪速比演算部
62および車輪加速度演算部63に出力される。また、
車両走行中のステアリングハンドル操作に伴ってステア
リングセンサ8から送出されるステアリングパルス信号
ST1、ST2、STNに基づき、ステアリング角度演
算部64においてステアリング角度STRが求められ
る。
【0075】車輪速比演算部62では、フィルタ処理済
みの車輪速信号に基づいて対角和車輪速比VXPERF
が算出され、基準車輪速比設定部66、速度域別車輪速
比算出部67および空気圧低下判定部68へ出力され
る。対角和車輪速比は、各輪間での車輪走行状態の差異
を相殺できるので、空気圧低下判定に好適である。そし
て、車輪加速度演算部63では車輪速信号VFR〜VR
Lに基づき車輪加速度DVFR〜DVRLが算出され、
車輪加速度DVFR〜DVRLは空気圧低下推定条件判
定部65へ供給される。
【0076】判定部65では、車輪加速度DVFR〜D
VRL、ステアリング角度演算部からのステアリング角
度STR、ブレーキランプスイッチ10からのブレーキ
ランプ信号BLSならびにABSコントローラ5からの
ABS制御信号ABSORおよび推定車体速VREFB
に基づき、(i)高車速、(ii)ブレーキ操作オフ、
(Iii)ABS制御オフ、(iv)車輪加速度がほぼ
ゼロ、(v)車輪加速度差がほぼゼロおよび(vi)ス
テアリング角度がほぼゼロという6つの条件が同時成立
しているか否かが、すなわち空気圧低下推定条件の成
立、不成立が判定される。そして、条件成立時、すなわ
ち、車輪速比に基づく空気圧低下判定を適正に行えるよ
うな車両安定走行状態が達成されると、空気圧低下推定
条件成立判定フラグF_Xが値「1」にセットされる。
このフラグ値は、基準車輪速比設定部66、速度域別車
輪速比算出部67及び空気圧低下判定部68へ出力され
る。
【0077】空気圧低下判定部68の第1空気圧低下判
定部682は、空気圧低下推定条件成立中、車輪速比演
算部62からの車輪速比VXPERFを監視し(図1
3)、車輪速比が所定時間XXPERにわたって所定範
囲から逸脱した場合に空気圧低下と判定する。以上のよ
うにして、判定部682では、車輪速比の絶対値に基づ
く空気圧低下判定が行われる。これにより、車両走行開
始直後から、完全パンク状態のような相当程度の空気圧
低下を検出可能になる。
【0078】速度域別車輪速比算出部67では、推定条
件成立中、ABSコントローラ5からの推定車体速VR
EFBに基づいて現在の車速が第1〜第8速度域のいず
れに属するのかが判定され、速度域判定時点で車輪速比
演算部62から相次いで入力した車輪速比VXPERF
にフィルタリング処理(図9及び図10)が施され、こ
の結果得たフィルタ値が判定速度域の車輪速比VX_v
Fとして求められる。また、フィルタ値が安定すると、
フィルタリング・ステータスデータS_vの第7ビット
が値「1」にセットされる。
【0079】基準車輪速比設定部66では、イグニッシ
ョンキーがオン操作されてIGオンエッジフラグFIG
ONの値が「1」になると、第1速度域(車速≦60k
m/h)の車輪速比VX_60Fが算出済みであるか否
かを判定し、算出済みの車輪速比VX_60Fが基準車
輪速比VX_IGONとして設定される(図14を参
照)。基準車輪速比は空気圧低下判定部68の第2空気
圧低下判定部683へ出力される。
【0080】空気圧低下判定部68の車輪速比変動値算
出部681は、速度域別車輪速比算出部67からの速度
域車輪速比VX_vFおよびステータスデータS_vを
入力して、第1〜第8速度域に関して算出済みの速度域
車輪速比のうちの最大値および最小値VX_MAX、V
X_MINを判定する。最大値および最小値は第2及び
第3空気圧低下判定部683、684に出力される。
【0081】第2空気圧低下判定部683では、空気圧
低下推定条件成立中(F_X=1)、基準車輪速比VX
_IGON、最大車輪速比VX_MAXおよび最小車輪
速比VX_MINのうちの最大値と最小値との差と判定
値XAIR_Tとが比較され(図15)、この差が判定
値以上であって時間経過につれて車輪速比が基準車輪速
比から一定以上変動すると、空気圧低下が判定される。
これにより、比較的軽度の空気圧低下も検出可能であ
る。
【0082】第3空気圧低下判定部684では、空気圧
低下推定条件成立中、速度域車輪速VX_vFの最大値
VX_MAXと最小値VX_MINとの差が判定値XA
IR_Vと比較され(図16)、この差が判定値以上で
あって車速変化に伴って車輪速比が一定以上変動する
と、空気圧低下が判定される。これにより、車両走行が
広い車速域にわたって行われると、空気圧低下が確実に
検出される。
【0083】空気圧低下総合判定部685では、第1〜
第3空気圧低下判定部682〜684のいずれかで空気
圧低下が判定されたときに空気圧低下が判定される。こ
の様に、本実施例では、車輪速比の絶対値と、基準車輪
速比設定後での時間経過に伴う車輪速比の基準車輪速比
からの変動の有無と、車速変化に伴う車輪速比の変動の
有無との夫々に基づく3種類の判定が行われ、いずれか
の判定で空気圧低下が判定されたときにアラームランプ
9が点灯されて空気圧低下発生が告知される。
【0084】本発明のタイヤ空気圧低下検出方法は、上
記実施例に限定されず、種々に変形可能である。上記実
施例では、四輪のいずれか一つにタイヤ空気圧低下をき
たしたときに、この空気圧低下をより正確に検出可能に
するため、エンジン始動を伴う車両走行開始後に車両安
定運転状態が初めて達成されたときに検出される基準車
輪速比VX_IGONから、車輪速比が、時間経過につ
れて変動したときにこの車輪速比変動を空気圧低下とし
て第2空気圧低下判定部683により検出するばかりで
はなく、車輪速比の絶対値(キャリブレーションを施さ
ない車輪速比)が比較的大きく変動した場合に、この車
輪速比変動を空気圧低下として第1空気圧低下判定部6
82により検出し、更に、車速変化に伴う車輪速比の変
動の有無を第3空気圧低下判定部684により検出し
て、車速変化に伴う車輪速比変動を空気圧低下として検
出するようにした。しかしながら、本発明の方法におい
て、車輪速比の絶対値に基づく空気圧低下判定または車
速変化に伴う車輪速比変動に基づく空気圧低下判定を行
うことは必須ではない。
【0085】すなわち、本発明の方法では、時間経過に
伴う車輪速比変動に基づく空気圧低下判定のみを行えば
良く、これは、図19に例示する装置を用いて実施可能
である。図19の装置は、図2の車輪速比演算部62に
対応する車輪速比算出部161と、図2の空気圧低下推
定条件判定部65に対応する推定条件判定部162と、
図2の基準車輪速比設定部66に対応する基準車輪速比
設定部163と、図3の第2空気圧低下判定部683に
対応する空気圧低下判定部164とを含む。
【0086】エンジン始動に伴ってイグニッション信号
IGが立ち上がった後において、車両安定運転状態が達
成されて空気圧低下推定条件が成立したことが推定条件
判定部162により判定されると、推定条件フラグが立
てられる。これに応じて、基準車輪速比設定部163で
は、このときに車輪速比算出部161で算出された車輪
速比が基準車輪速比として設定される。空気圧低下判定
部164には、この基準車輪速比が供給され、また、推
定条件成立中に相次いで算出された複数の車輪速比が供
給される。判定部164では、基準車輪速比および複数
の車輪速比のうちの最大値とその最小値との差が演算さ
れる。そして、この差が所定値を越え、従って、車両走
行開始後、時間経過に伴って車輪速比が基準車輪速比か
ら一定以上変動すると、車両の前後左右車輪の少なくと
も一つが空気圧低下状態にあると判別される。
【0087】なお、基準車輪速比は、エンジン停止に伴
ってイグニッション信号IGが立ち下がると、リセット
される。すなわち、空気圧低下判定のための判定基準と
しての基準車輪速比は、エンジン始動を伴う車両走行が
開始される度に設定される。上記実施例の好適例(図1
4)では、車速上昇が車輪速比に及ぼす影響を緩和する
観点から第1速度域(30〜60km/h)での車輪速
比VX_60Fを基準車輪速比VX_IGONとして設
定したが、その他の速度域の車輪速比を基準車輪速比と
して設定しても良い。
【0088】また、上記実施例では対角和車輪速比を空
気圧低下判別に用いる車輪速比として算出したが、これ
は必須ではない。例えば、対角和車輪速比に代わる前輪
車輪速比を次式に従って算出し、この算出値に基づいて
左右前輪のいずれか一方の空気圧低下の有無を判別して
も良い。 前輪車輪速比=(VFR−VFL)/{(VFR+VF
L)/2} 或いは、次式に従って後輪車輪速比を算出し、この算出
値に基づいて左右後輪のいずれか一方の空気圧低下を判
別しても良い。
【0089】後輪車輪速比=(VRR−VRL)/
{(VRR+VRL)/2} また、上記実施例では、高車速、車輪加速度、加速度差
およびステアリング角度が小、ならびに、ABS制御お
よびブレーキ操作オフを空気圧低下推定条件としたが、
判定精度向上のため、その他の要件を推定条件に含めて
も良い。例えば、車両横加速度が一定値以下および/ま
たは車両前後加速度が一定値以下であるという要件を含
めることが可能である。
【0090】更に、上記実施例では、タイヤ空気圧低下
検出装置をABS搭載車に装備してABS制御に用いる
要素を共用するようにしたが、これも必須ではなく、従
って、本発明の方法はABS非搭載車にも適用可能であ
る。この場合に用いる装置構成は上述の説明から明らか
であるので、その説明を省略する。
【0091】
【発明の効果】上述のように、本発明の請求項1のタイ
ヤ空気圧低下検出方法は、車両の前後左右車輪のうちの
2つ以上の車輪速を検出する車輪速検出行程と、前後左
右車輪のうちの1つ以上の加減速状態を検出する車輪加
減速状態検出行程と、車両の操舵状態を検出する操舵状
態検出行程と、前後左右車輪のうちの2つ以上の車輪速
から車両の車体速を検出する車体速検出行程と、前後左
右車輪のうちの2つ以上の車輪速に基づき車輪速比を演
算する車輪速比演算行程と、車両の制動装置の作動状態
を検出する制動装置作動状態検出行程と、車体速と車輪
加減速状態と操舵状態と制動装置作動状態とに基づい
て、車両の運動状態を判定する車両運動状態判定行程
と、エンジン始動を伴う車両の走行が行われる度に実行
されるタイヤ空気圧低下判定行程とを備え、タイヤ空気
圧低下判定行程は、車両運動状態判定行程で車両安定運
転状態を初めて判定したときに実行される車輪速比演算
行程で演算された車輪速比とその後車両安定運転状態が
判定されている間に繰り返し実行される車輪速比演算行
程で演算された複数の車輪速比のうちの少なくとも一つ
との差が第1の所定値よりも大きくなると、前後左右車
輪の少なくとも一つが空気圧低下状態にあると判定する
第1の判定行程を含む。従って、車輪速比に基づく空気
圧低下判定に対する誤差要因が除去される。また、車両
安定運転状態が初めて達成されたときの車輪速比を判定
基準として、時間経過に伴う車輪速比の変動が検出され
るため、車輪速比を一定以上変動させるような空気圧低
下を確実に検出できる。また、空気圧低下判定上、高速
走行時の車輪速比データは特に必要ではなく、車両走行
が低速域のみで行われる場合にも空気圧低下を検出可能
である。
【0092】請求項2の方法は、車輪速比演算行程が、
車体速検出行程で検出された車体速に基づき、前後左右
車輪のうちの2つ以上の車輪速から車輪速比を車両の速
度域別に演算する行程を含み、タイヤ空気圧低下判定行
程が、車両安定運転状態が判定されている間に繰り返し
実行される車輪速比演算行程で速度域別に演算された複
数の車輪速比のうちの最大値と最小値との差を演算する
と共に、最大値と最小値との差が第2の所定値よりも大
きくなると、前後左右車輪の少なくとも1つが空気圧低
下状態にあると判定する第2の判定行程を含む。このた
め、空気圧低下を来した車輪の車輪速が車速上昇につれ
てその他の車輪の車輪速よりも大きく変化するという物
理現象に基づいて空気圧低下が検出され、車速変化に伴
う車輪速比変動を生じるような空気圧低下を確実に検出
できる。また、車輪速比に係る判定基準の設定(キャリ
ブレーション)を行わなくとも空気圧低下を検出でき
る。
【0093】請求項3の方法は、タイヤ空気圧低下判定
行程が、車両運動状態判定行程で車両が安定運転状態に
あることが判定されている間に繰り返し実行される車輪
速比演算行程で演算された車輪速比が、一定時間連続し
て第3の所定値を越えると、前後左右車輪の少なくとも
一つが空気圧低下状態にあると判定する第3の判定行程
を含む。従って、車輪速比が一時的に変動しただけでは
空気圧低下と判定されず、判定系としてのタイヤ空気圧
低下検出装置にノイズが加わる場合にもその影響が除去
される。このため、タイヤの個体誤差などを勘案して第
3の所定値を設定すれば、車輪速比に対して特段のキャ
リブレーションを施さなくとも、即ち車輪速比の絶対値
に基づき、タイヤ空気圧の低下を確実に検出できる。従
って、空気圧低下判定ロジックを簡易化できる。また、
車両走行直後に空気圧低下が生じた場合にも、空気圧低
下判定を行える。
【0094】請求項4の方法は、車輪加減速状態検出行
程が前後左右車輪の各々の加速度を検出する行程を含
み、操舵状態検出行程が操舵角を検出する行程を含み、
車両運転状態判定行程が、車体速検出行程で検出された
車体速が第4の所定値よりも大きく、制動装置作動状態
検出行程で制動装置の作動が検出されず、操舵状態検出
行程で検出された操舵角が第5の所定値よりも小さく、
車輪加減速状態検出行程で検出された前後左右車輪の各
々の加速度が第6の所定値よりも小さく、かつ車輪加減
速状態検出行程で検出された前後左右車輪の加速度の差
が第7の所定値よりも小さい場合に、車両が安定状態で
運転されていると判定する行程を含む。従って、車輪速
比に基づく空気圧低下判定が困難になるような車両運転
状態における空気圧低下判定が自動的に禁止され、この
ため誤判定を防止できる。
【0095】請求項5の方法は、車両運動状態判定行程
が、第5および第6の所定値を車体速検出行程で検出さ
れた車体速に応じて変化させる行程を含むので、車両安
定運転状態をより適正に設定でき、車両安定運転状態達
成中に行われる空気圧低下検出での検出精度をより向上
できる。請求項6の方法は、車輪速検出行程が前後左右
輪の各々の車輪速を検出する行程を含み、車輪速比演算
行程が、車両の一方の対角線上にある一対の車輪の車輪
速の和から他方の対角線上にある一対の車輪の車輪速の
和を減じて得た値を前後左右輪の車輪速の平均値で除す
ことにより、対角和車輪速比を車輪速比として演算する
行程を含むので、前後輪間および左右輪間での車輪走行
状態の差異が相殺され、空気圧低下検出精度が向上す
る。また、前後左右輪のいずれかに空気圧低下が生じた
場合、斯かる空気圧低下を確実に検出可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるタイヤ空気圧低下検出
方法を実施するための装置をABSコントローラと共に
示す概略図である。
【図2】図1に示した電子制御ユニット(ECU)の機
能を詳細に示す機能ブロック図である。
【図3】図2に示した空気圧低下判定部を詳細に示す機
能ブロック図である。
【図4】図2に示した空気圧低下推定条件判定部として
のECUにより実行される推定条件判定サブルーチンを
示すフローチャートである。
【図5】図4に示したサブルーチンの実行中に用いられ
る推定車体速・加速バンド判定値マップを例示するグラ
フである。
【図6】図4に示したサブルーチンの実行中に用いられ
る推定車体速・ハンドル角判定値マップを例示するグラ
フである。
【図7】図2に示した速度域別車輪速比算出部としての
ECUにより実行される速度域・算出条件判定サブルー
チンの一部を示すフローチャートである。
【図8】図7に一部を示したサブルーチンの残部を示す
フローチャートである。
【図9】速度域別車輪速比算出部としてのECUにより
実行される速度域別車輪速比算出サブルーチンの一部を
示すフローチャートである。
【図10】図9に一部を示したサブルーチンの残部を示
すフローチャートである。
【図11】図9及び図10に示した速度域別車輪速比算
出サブルーチンで実行されるフィルタリング処理中での
車輪速比、符号反転カウンタおよびフィルタ値安定済み
フラグの時間経過に伴う変化を例示するグラフである。
【図12】図3に示した車輪速比変動値算出部としての
ECUにより実行される車輪速比変動値算出サブルーチ
ンを示すフローチャートである。
【図13】図3に示した第1空気圧低下判定部としての
ECUにより実行される第1空気圧低下判定サブルーチ
ンを示すフローチャートである。
【図14】図2に示した基準車輪速比設定部としてのE
CUにより実行される基準車輪速比設定サブルーチンを
示すフローチャートである。
【図15】図3に示した第2空気圧低下判定部としての
ECUにより実行される第2空気圧低下判定サブルーチ
ンを示すフローチャートである。
【図16】図3に示した第3空気圧低下判定部としての
ECUにより実行される第3空気圧低下判定サブルーチ
ンを示すフローチャートである。
【図17】図3に示した空気圧低下総合判定部としての
ECUにより実行される空気圧低下総合判定サブルーチ
ンを示すフローチャートである。
【図18】タイヤ転がり判定・車速・タイヤ空気圧特性
を例示するグラフである。
【図19】変形例に係るタイヤ空気圧低下検出装置の要
部を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
1、2、3、4 車輪速センサ 5 ABSコントローラ 6 電子制御ユニット(ECU) 8 ステアリングセンサ 9 アラームランプ 10 ブレーキランプスイッチ 61 フィルタ部 62 車輪速比演算部 63 車輪加速度演算部 64 ステアリング角度演算部 65 空気圧低下推定条件判定部 66 基準車輪速比設定部 67 速度域別車輪速比算出部 68 空気圧低下判定部 69 アラームランプ駆動部 161 車輪速比算出部 162 推定条件判定部 163 空気圧低下判定部 681 車輪速比変動値算出部 682 第1空気圧低下判定部 683 第2空気圧低下判定部 684 第3空気圧低下判定部 685 空気圧低下総合判定部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の前後左右車輪のうちの2つ以上の
    車輪速を検出する車輪速検出行程と、 上記前後左右車輪のうちの1つ以上の加減速状態を検出
    する車輪加減速状態検出行程と、 上記車両の操舵状態を検出する操舵状態検出行程と、 上記前後左右車輪のうちの2つ以上の車輪速から上記車
    両の車体速を検出する車体速検出行程と、 上記前後左右車輪のうちの2つ以上の車輪速に基づき車
    輪速比を演算する車輪速比演算行程と、 上記車両の制動装置の作動状態を検出する制動装置作動
    状態検出行程と、 上記車体速と上記車輪加減速状態と上記操舵状態と上記
    制動装置作動状態とに基づいて、上記車両の運動状態を
    判定する車両運動状態判定行程と、 エンジン始動を伴う上記車両の走行が行われる度に実行
    されるタイヤ空気圧低下判定行程とを備え、 上記タイヤ空気圧低下判定行程は、上記車両運動状態判
    定行程で上記車両安定運転状態を初めて判定したときに
    実行される上記車輪速比演算行程で演算された車輪速比
    とその後上記車両安定運転状態が判定されている間に繰
    り返し実行される上記車輪速比演算行程で演算された複
    数の車輪速比のうちの少なくとも一つとの差が第1の所
    定値よりも大きくなると、上記前後左右車輪の少なくと
    も一つが空気圧低下状態にあると判定する第1の判定行
    程を含むことを特徴とするタイヤ空気圧低下検出方法。
  2. 【請求項2】 上記車輪速比演算行程は、上記車体速検
    出行程で検出された車体速に基づき、上記前後左右車輪
    のうちの2つ以上の車輪速から上記車輪速比を上記車両
    の速度域別に演算する行程を含み、 上記タイヤ空気圧低下判定行程は、上記車両安定運転状
    態が判定されている間に繰り返し実行される上記車輪速
    比演算行程で速度域別に演算された複数の車輪速比のう
    ちの最大値と最小値との差を演算すると共に、上記最大
    値と上記最小値との差が第2の所定値よりも大きくなる
    と、上記前後左右車輪の少なくとも1つが空気圧低下状
    態にあると判定する第2の判定行程を含むことを特徴と
    する請求項1に記載のタイヤ空気圧低下検出方法。
  3. 【請求項3】 上記タイヤ空気圧低下判定行程は、上記
    車両運動状態判定行程で上記車両が安定運転状態にある
    ことが判定されている間に繰り返し実行される上記車輪
    速比演算行程で演算された車輪速比が、一定時間連続し
    て第3の所定値を越えると、上記前後左右車輪の少なく
    とも一つが空気圧低下状態にあると判定する第3の判定
    行程を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の
    タイヤ空気圧低下検出方法。
  4. 【請求項4】 上記車輪加減速状態検出行程は上記前後
    左右車輪の各々の加速度を検出する行程を含み、 上記操舵状態検出行程は操舵角を検出する行程を含み、 上記車両運転状態判定行程は、上記車体速検出行程で検
    出された車体速が第4の所定値よりも大きく、上記制動
    装置作動状態検出行程で上記制動装置の作動が検出され
    ず、上記操舵状態検出行程で検出された操舵角が第5の
    所定値よりも小さく、上記車輪加減速状態検出行程で検
    出された上記前後左右車輪の各々の加速度が第6の所定
    値よりも小さく、かつ上記車輪加減速状態検出行程で検
    出された上記前後左右車輪の加速度の差が第7の所定値
    よりも小さい場合に、上記車両が上記安定状態で運転さ
    れていると判定する行程を含むことを特徴とする請求項
    1に記載のタイヤ空気圧低下検出方法。
  5. 【請求項5】 上記車両運動状態判定行程は、上記第5
    および第6の所定値を上記車体速検出行程で検出された
    車体速に応じて変化させる行程を含むことを特徴とする
    請求項4に記載のタイヤ空気圧低下検出方法。
  6. 【請求項6】 上記車輪速検出行程は上記前後左右輪の
    各々の車輪速を検出する行程を含み、 上記車輪速比演算行程は、上記車両の一方の対角線上に
    ある一対の車輪の車輪速の和から他方の対角線上にある
    一対の車輪の車輪速の和を減じて得た値を上記前後左右
    輪の車輪速の平均値で除すことにより、対角和車輪速比
    を上記車輪速比として演算する行程を含むことを特徴と
    する請求項1に記載のタイヤ空気圧低下検出方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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