JPH08142077A - 熱成形性軽量材、その製造方法及び熱成形性軽量材からなる自動車用成形天井材 - Google Patents

熱成形性軽量材、その製造方法及び熱成形性軽量材からなる自動車用成形天井材

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JPH08142077A
JPH08142077A JP31403294A JP31403294A JPH08142077A JP H08142077 A JPH08142077 A JP H08142077A JP 31403294 A JP31403294 A JP 31403294A JP 31403294 A JP31403294 A JP 31403294A JP H08142077 A JPH08142077 A JP H08142077A
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JP
Japan
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thermoplastic resin
thermoformable
lightweight material
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JP31403294A
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English (en)
Inventor
Yoshio Sugaya
良雄 菅家
Masahiro Kojima
昌宏 小島
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Asahi Fiber Glass Co Ltd
Original Assignee
Asahi Fiber Glass Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来技術の難点を解消し、吸音性、断熱性に
優れ、高い強度を有しており、しかも熱成形性の良い軽
量成形材、その製造方法及び自動車用成形天井基材を提
供することを目的とする。 【構成】 本発明の熱成形性軽量材は、熱可塑性樹脂と
無機繊維からなる複合材であって、熱可塑性樹脂含有率
が熱可塑性樹脂平均含有率より小さい中央部と、該中央
部に一体に積層され、熱可塑性樹脂含有率が熱可塑性樹
脂平均含有率以上の表層部とよりなることを特徴とし、
又、本発明の熱成形性軽量材の製造方法は、熱可塑性樹
脂を含有する水分散液により、該熱可塑性樹脂を無機繊
維に付着させた後、湿潤状態の無機繊維を加熱圧縮する
ことを特徴とし、更に、本発明の自動車用成形天井基材
は、前記熱成形性軽量材を、加熱及び冷間プレスするこ
とにより、平均密度を100〜300kg/m3とした
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、断熱性及び/又は吸音
性が優れた無機繊維からなると共に熱成形性を有する軽
量材に関し、更に詳しくは、自動車の断熱及び吸音性内
装材、特には自動車用成形天井材に有用な熱成形性軽量
材、その製造方法及び熱成形性軽量材による自動車用成
形天井材に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来の無機短繊維からなる断熱性及び/又
は吸音性を有する軽量成形部材として、未硬化のフェノ
ール樹脂を2〜30重量%付着させたグラスウール集積
体やロックウール集積体を所望する形状に圧縮成形し、
加熱によりフェノール樹脂を硬化させることにより得ら
れる密度が10〜300kg/m3の無機繊維成形材が
ある。
【0003】これらフェノール樹脂をバインダーとした
無機繊維成形材は、断熱性、吸音性に加え、耐熱性、不
燃性が高く、住宅用断熱材、非住宅断熱材や吸音材、又
は、産業用断熱/吸音材として広く使用されていて、特
に自動車のエンジン周辺における耐熱性断熱/吸音材と
しては、軽量であるという点からグラスウールによる成
形材が使用されている。
【0004】しかしながら、グラスウール等の無機繊維
成形材のバインダーとして使用されるフェノール樹脂
は、成形時間が比較的長い他、硬化成形時にアンモニア
やホルマリンなどの有害で、悪臭源となる物質が副成す
るため、これら無機繊維の成形には硬化副成物の除去/
捕捉設備が必要となるという欠点がある。
【0005】一方、自動車用天井材では、耐熱性、不燃
性の要求が厳しくないので、かかる成形上の欠点が改善
された断熱性及び/又は吸音性を有する軽量成形材とし
て、熱可塑性樹脂と無機繊維からなり、密度が100〜
300kg/m3の軽量成形材が提案され、使用されて
いる。
【0006】例えば、自動車用天井材として、有機繊維
及び/又は無機繊維に低融点の熱可塑性繊維を配合し、
所定形状に成形した乾式ウエブを熱可塑性繊維の溶融温
度以上に加熱した後、溶融温度以下で圧縮成形する方法
(特開昭52ー31175号公報参照)や、ガラス繊維
マットの両面をポリエチレン又はポリスチレンシー卜で
積層し、天井基板として使用する方法(特開昭60‐8
3832号公報参照)が提案されている。
【0007】しかし、上記の2つの提案による自動車用
天井材は、曲げ強度が充分でなく、又、後者の提案によ
るものは吸音性も乏しいので、前記提案を組み合わせ且
つ改善した方法として、有機繊維と無機繊維との混紡マ
ットを熱可塑性フィルムとニードリングにより一体化
し、次いで有機繊維及び熱可塑フィルムを加熱溶融した
後、圧縮成形する方法が特開昭63−249752号公
報や特開平1−156562号公報において提案されて
いる。
【0008】しかしながら、上記公報において提案され
ている自動車用天井材は、ニードリングにより圧縮強度
は大幅に改善されるが、曲げ強度が低下するため、有機
繊維と無機繊維とのニードリングマットの少なくとも片
面に解繊した無機繊維マット層を設ける方法(特開平2
−80652号公報参照)、有機繊維と無機繊維との混
紡マットのニードリングに際しニードルを貫通させない
方法(特開平4−243984号公報参照)、又は、有
機繊維と無機繊維との混紡ニードリングマット表面をブ
ラシ等で擦ることにより、表面のニードルの穴を塞いで
曲げ強度の低下を防止する方法(特開平4−30826
4、特開平5−44148号公報参照)等の方法により
改善を施すことが提案されていて、結局は工程が複雑に
なり、品質安定性やコスト等の課題を有することにな
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述したよ
うな従来技術の問題点を解決するためになされたもので
あり、その目的は、吸音性、断熱性に優れ、高い強度を
有しており、しかも熱成形性の良い軽量成形材、その製
造方法及び自動車用成形天井基材を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明が採用した熱成形性軽量材の構成は、熱可塑性
樹脂と無機繊維からなる複合材であって、熱可塑性樹脂
含有率が熱可塑性樹脂平均含有率より小さい中央部と、
該中央部に一体に積層され、熱可塑性樹脂含有率が熱可
塑性樹脂平均含有率以上の表層部とよりなることを特徴
とするものであり、同様に本発明が採用した熱成形性軽
量材の製造方法の構成は、熱可塑性樹脂を含有する水分
散液により、該熱可塑性樹脂を無機繊維に付着させた
後、湿潤状態の無機繊維を加熱圧縮することを特徴とす
るものであり、同様に本発明が採用した自動車用成形天
井基材の構成は、前記本発明の熱成形性軽量材を、加熱
及び冷間プレスすることにより、平均密度を100〜3
00kg/m3としたことを特徴とするものである。
【0011】以下、本発明について好ましい態様を挙げ
て更に説明する。
【0012】本発明の熱成形性軽量材は、熱可塑性樹脂
と無機繊維からなる複合材であって、この熱可塑性樹脂
としては、ガラス転移温度が60℃以上、更には80℃
以上のものが好ましく、ガラス転移温度が60℃未満で
は、得られる成形体の断熱性、吸音性及び強度が優れて
いたとしても、寸法精度の良い製品が得られず、又、自
動車内装材等に使用した際、夏場の車内温度の上昇によ
り成形品が変形するおそれがある。
【0013】上記のような熱可塑性樹脂としては、例え
ば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ2塩化
ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、スチレン/ア
クリロニトリル共重合体、ABS樹脂、ポリアセター
ル、ポリメチルアクリレー卜、アクリル共重合体、ナイ
ロン、セルロース、ポリカーボネート、フェノキシ樹
脂、ポリフェニルエーテル、ポリスルホン等を挙げるこ
とができる。
【0014】又、本発明における無機繊維としては、ガ
ラス繊維、シリカ繊維、カーボン繊維、ロックウール、
セラミックス繊維等のいずれの素材も、何ら支障無く使
用することができるが、コスト及び入手の容易性からガ
ラス繊維が好ましい。
【0015】中でも、繊維の絡みが大きく、無機繊維単
体でマット状形態を取り得る、遠心法で作られた例えば
平均直径が2〜15μ、好ましくは4〜l0μのガラス
繊維(グラスウール)を、特に密度が低い場合でも得ら
れる成形体の機械的性質が優れることから、好ましく使
用することができる。
【0016】又、上記熱可塑性樹脂と無機繊維の混合比
率としては、熱可塑性樹脂の混合比率が0.1以下では
得られる成形体の強度が低く、又、0.7以上では耐熱
性が低下することから、0.l〜0.7:0.9〜0.
3(熱可塑性樹脂:無機繊維)、好ましくは0.2〜
0.5:0.8〜0.5という範囲を例示することがで
きる。
【0017】而して、本発明においては、複合材の厚み
方向における熱可塑性樹脂の分布が、得られる熱成形性
軽量材の機械的強度及び熱変形耐性の点から重要であ
る。
【0018】即ち、本発明者は、上記熱可塑性樹脂の分
布が、得られる複合材の特性に及ぼす現象に着目し、機
械的強度が優れかつ熱変形耐性の良い構成について鋭意
検討した結果、熱成形性軽量材を、熱可塑性樹脂含有率
が熱可塑性樹脂平均含有率より小さい中央部と、該中央
部に一体に積層され、熱可塑性樹脂含有率が熱可塑性樹
脂平均含有率以上の表層部とより構成することにより、
目的とする熱成形性軽量材を提供できることを見い出
し、本発明を完成させたものである。
【0019】更に具体的には、本発明の熱成形性軽量材
においては、例えば図1に示すように、中央部における
熱可塑性樹脂含有率が、該中央部の中心から表層部へか
けて一定乃至略一定であるようなものが含まれる。尚、
図1の縦軸の単位は、(実測樹脂含有率/平均樹脂含有
率)×100で表される樹脂分布率(%)である。
【0020】又、本発明の熱成形性軽量材においては、
例えば図2に示すように、中央部における熱可塑性樹脂
含有率が、該中央部の中心から表層部へかけて次第に増
加するようなものも含まれる。
【0021】尚、本発明の熱成形性軽量材を厚み方向に
11等分した場合に、中央部における熱可塑性樹脂含有
率が最も低い部分の熱可塑性樹脂含有率が、例えば図3
に示すように、熱可塑性樹脂平均含有率の60%以下で
は、表層部の熱可塑性樹脂含有率が平均含有率より高く
なっていても機械的強度の低下を招き、好ましくない。
又、中央部における熱可塑性樹脂含有率が最も低い部分
の熱可塑性樹脂含有率が、例えば熱可塑性樹脂平均含有
率の95%以上では、機械的強度の改善効果が少ないこ
とから、やはり好ましくない。
【0022】尚、中央部の厚みは、全厚みの50から9
5%とすることが、機械的強度の改善の点から好まし
く、このような本発明の熱成形性軽量材の密度として
は、30〜600kg/m3という範囲を例示すること
ができる。
【0023】而して、中央部の熱可塑性樹脂含有率が平
均含有率より低く、表層部の熱可塑性樹脂含有率が平均
含有率より大きくなるようにする方法としては、例えば
無機繊維と熱可塑性樹脂とを均ーに混合したマットを作
製した後、混合マットの両面を熱可塑性樹脂の粉体、不
織布又はフィルムで被覆し、加熱圧縮して表面層の熱可
塑性樹脂分布を高くする方法が例示される。
【0024】しかし、かかる方法は、熱可塑性樹脂含有
率が平均含有率より低い中央部の厚みが減少したり、表
層部に無機繊維と混合しない熱可塑性樹脂の単独層が残
留することを防止する観点からは、好ましくは、熱可塑
性樹脂の分散液を無機繊維集合体に噴霧又は含浸等で付
着させ、該分散液中の熱可塑性樹脂が付着された湿澗状
態の無機繊維集合体を加熱圧縮することにより、中央部
の熱可塑性樹脂の分布が均一で、表層部の熱可塑性樹脂
量が中央部より大きい複合体を得る方法が採用される。
【0025】上記方法において、加熱圧縮する前の無機
繊維は、(熱可塑性樹脂)/(熱可塑性樹脂+水)の比
率で30〜75%に湿潤しているものであり、この範囲
より小さい場合は、中央部の厚み比率の過度の低下及び
中央部の樹脂含有率の過度の低下を起こし、強度の高い
成形体を得ることができず、且つ、成形コストが高くな
り、逆に前記範囲より多い場合は、表層部の熱可塑性樹
脂含有率が中央部より大きい成形体を得ることができ
ず、いずれも好ましくない。
【0026】分散液中の熱可塑性樹脂としては、すでに
説明したように、ガラス転移温度が60℃以上、更には
80℃以上のものが好ましく、例えば、前記ポリ塩化ビ
ニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ2塩化ビニル、ポリ酢
酸ビニル、ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリル
共重合体、ABS樹脂、ホリアセタール、ポリメチルア
クリレー卜、アクリル共重合体、ナイロン、セルロー
ス、ポリカーボネート、フェノキシ樹脂、ポリフェニル
エーテル、ポリスルホンが例示される。
【0027】又、分散液中の熱可塑性樹脂の直径が10
μ以上では、厚み方向の熱可塑性樹脂分布変化が起きに
くく、又、無機繊維との結合点が減少し、得られる複合
材の特性が悪いので、直径が10μ以下のものが好まし
く、逆に0.01μ以下では、水分散液の粘度が上昇す
る結果、均一な付着が阻害されるばかりでなく、厚み方
向の熱可塑性樹脂の分布変化が激しすぎ、中央部の厚み
比率の過度の低下及び中央部の熱可塑性樹脂の含有率の
過度の低下を起こすので、直径が0.01μ以上のもの
が好ましい。
【0028】かかる熱可塑性樹脂は、乾燥時の排気処理
の点では水系に分散した乳化液として、又、材料の人手
の容易性からは乳化重合水分散液として使用されること
が好ましく、中でも無機繊維との接着性に優れ、且つ、
機械的特性の点から、ポリスチレン又はアクリルニトリ
ル/スチレン共重合体の乳化重合水分散液が特に好まし
いものとして例示される。
【0029】上記のような水系分散液における熱可塑性
樹脂の含有率は、加熱圧縮する前の無機繊維を、(熱可
塑性樹脂)/(熱可塑性樹脂+水)の比率で30〜75
%に湿潤することができれば、特に限定されないが、好
ましくは15〜75%であり、この範囲より少ない場合
は、加熱圧縮する前の無機繊維の湿潤状態を別途制御す
ることが必要となり、逆に多い場合は、水分散液の粘度
が高くなり、均一な付着が困難となっていずれも好まし
くない。
【0030】更に、具体的に熱可塑性樹脂の水系分散液
を無機繊維に付着させる方法を説明すれば、例えば繊維
化された直後のガラス繊維に熱可塑性樹脂の乳化液を噴
霧し、樹脂液が付着したガラス繊維をマット状に集積す
る方法の他、例えばガラス繊維からなるマットに樹脂液
を塗布し含浸する方法が例示される。尚、このようなガ
ラス繊維からなるマットにおいて、本発明で使用する樹
脂以外、例えば2からl0%のフェノール樹脂で結合さ
れたマット製品、例えばグラスウール断熱材を使用し、
これに熱可塑性樹脂の乳化液を塗布することもできる。
【0031】又、上記熱可塑性樹脂の乳化液が付着した
ガラス繊維或いはそのマットを製品形状又は平板状に圧
縮成形する場合、ガラス繊維或いはそのマットに付着し
た樹脂液の濃度が薄いと、圧縮成形時に樹脂液がマイグ
レーションを起こし、特に中央部の樹脂含有率が前記の
範囲以下に低下し、得られる成形品の強度が低下するの
で、ガラス繊維或いはそのマットに付着した樹脂液の濃
度は、好ましくは30%以上、特に35%以上として圧
縮成形することが好ましい。
【0032】更に、ガラス繊維或いはそのマットに付着
した樹脂液の濃度は、好ましくは75%以下、特に65
%以下として圧縮成形することが、熱可塑性樹脂の均一
な付着を可能とする点と、特に中央部の熱可塑性樹脂の
含有率を前記の範囲とする点から好ましい。
【0033】樹脂液が付着したガラス繊維或いはそのマ
ットにおける樹脂液濃度が上記より低い場合、圧縮成形
に先立ち予め乾燥することができる。乾燥方法として
は、熱風乾燥、赤外線乾燥、高周波乾燥又はマイクロ波
乾燥等既存の乾燥方法が何ら支障なく使用できるが、乾
燥時、樹脂液がマイグレーションを起こし、特にマット
厚みの中央部の樹脂含有率が本発明の範囲外に低下する
ことを防いで樹脂液濃度を高めることが好ましく、この
点で、高周波乾燥やマイクロ波乾燥が有効になる場合が
ある。
【0034】このようにして得られたガラス繊維或いは
そのマットは、製品形状に直接圧縮成形するか、平板状
に圧縮成形した後、得られた複合材を別工程で製品形状
に成形でき、得られる複合材の密度としては、30〜6
00kg/m3という範囲を例示することができる。
【0035】平板状に圧縮成形した複合材を製品形状に
成形する方法としては、複合材を予め120〜200℃
に加熱した後、製品形状の金型を有するプレスで冷間プ
レス成形する所謂スタンピング成形法が好ましく使用さ
れる。
【0036】このようにして得られる本発明の熱成形性
軽量材において、例えば単位面積当たりの重量が、30
0〜1500g/m2で、熱可塑性樹脂と無機繊維とが
0.2〜0.5:0.8〜0.5からなるものを、平均
密度が100〜300kg/m3とした成形体は、軽
量、高強度、耐熱性が良好で、特に自動車用の成形天井
用基材として好ましく使用される。
【0037】
【実施例】本発明の実施例に先だち、実施例で述ぺる、
曲げ強度、曲げ弾性率、及び、熱変形性について説明す
る。
【0038】曲げ強度及び曲げ弾性率は、JIS K7
211に準じ、スパン60mmの支点問に置いた、幅5
0mm、長さ100mm、厚さ3.8mmの試料を、圧
縮ロードセルに取り付けた曲げ強度測定用治具で50m
m/分で押し曲げ、得られた最大荷重から曲げ強度kg
/cm2を、又、歪み−応力の直線部から曲げ弾性率k
g/cm2を求めた。
【0039】又、熱変形性は、JIS K7207に準
じ、スパン60mmの支点間に置いた、幅50mm、長
さ100mm、厚さ3.8mmの試料の中央部に0.1
4kgの荷重を架け、80℃、l時間経過後の撓み変形
量をmm単位で求めた。
【0040】以下、本発明を実施例により説明するが、
実施例により本発明が限定されるものではないことは言
うまでもない。
【0041】実施例1 遠心法により平均直径7μのグラスウールを1m2当り
800gに集綿したマットを得た。該マットをガラス転
移温度Tgが60℃のアクリルニトリル/スチレン共重
合体を20重量%含有するラッテクスに浸漬し、次いで
マイクロ波加熱で水分を蒸発し、水分43重量部、共重
合体30重量部とグラスウール70重量部からなる厚さ
11mmの湿潤複合マットを得た。かくして得た湿潤複
合マットを3.8mm厚みに160℃で圧縮成形し密度
300kg/m3の平板を作製し、曲げ強度、曲げ弾性
率及び熱変形性を測定した。又、圧縮成形板を厚み方向
に11分割にスライスし各層の熱可塑性樹脂含浸量を測
定し、平均樹脂含有量で割り算し分布比を求めた。表1
に強度測定結果及び表層部と中央部の樹脂分布比を示
す。
【0042】実施例2 実施例1における湿潤複合マットが水分24重量部、共
重合体30重量部、ガラスウール70重量部とした以
外、全く同様にし密度300kg/m3の平板の曲げ強
度、曲げ弾性率、熱変形性及び表層部と中央部の樹脂分
布比を求めた。結果を表1に示す。
【0043】実施例3 実施例1における湿潤複合マットが水分70重量部、共
重合体30重量部、ガラスウール70重量部とした以
外、全く同様にし密度300kg/m3の平板の曲げ強
度、曲げ弾性率、熱変形性及び表層部と中央部の樹脂分
布比を求めた。結果を表1に示す。
【0044】比較例1 実施例1において、マイクロ波加熱乾燥を行わず、水分
120重量部、共重合体30重量部、ガラスウール70
重量部の湿潤マットを使用した以外、全く同様にし密度
300kg/m3の平板の曲げ強度、曲げ弾性率、熱変
形性及び表層部と中央部の樹脂分布比を求めた。結果を
表1に示す。
【0045】比較例2 実施例1において、マイクロ波加熱により水分を乾燥
し、共重合体30重量部、ガラスウール70重量部の乾
燥複合マットとした以外、同様にし密度300kg/m
3の平板の曲げ強度、曲げ弾性率、熱変形性及び表層部
と中央部の樹脂分布比を求めた。結果を表1に示す。
【0046】比較例3 実施例1において、80℃の熱風乾燥により水分を乾燥
し共重合体30重量部、ガラスウール70重量部の乾燥
複合マットとした以外、同様にし密度300kg/m3
の平板の曲げ強度、曲げ弾性率、熱変形性及び表層部と
中央部の樹脂分布比を求めた。結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】実施例4 溶融紡糸法で製造された直径13μのガラスストランド
を、長さ13mmにカット、開繊し、1m2当り800
gに集積し、次いで1cm2当り20個ニードリングし
た厚み13mmのガラス繊維マットを使用した以外、実
施例1と同様にして、水分43重量部、共重合体30重
量部とチョップドストランド70重量部からなる厚さ1
0mmの複合マットを得、次いで160℃で3.8mm
厚みに圧縮成形し密度300kg/m3の平板を作製し
た。得られた成形板の曲げ強度は60kg/cm2、曲
げ弾性率は6500kg/cm2及び熱変形性は0.5
mmであった。
【0049】比較例4 溶融紡糸法で製造された直径13μ、長さ13mmのチ
ョップドストランドと直径13μ、長さ50mmのポリ
エチ繊維(Tg:45℃)を44:56でカーデングマ
シンにより混合し、1cm2当り20個ニードリングし
た厚み10mm、600g/m2の複合マット得た。得
られた複合マットを160℃で密度300kg/m3
圧縮成形した。得られた平板の曲げ強度は6.5kg/
cm2、曲げ弾性率は1000kg/cm2及び熱変形性
は5.0mmであった。
【0050】実施例5 溶融紡糸法で製造された直径13μのガラス長繊維を環
状に集積し、1m2当り800gのコンティニアススト
ランドマットを得た。該マットを使用した以外実施例1
と同様にして密度300kg/m3の平板を作製した。
得られた成形板の曲げ強度は43kg/cm2、曲げ弾
性率は4000kg/cm2及び熱変形性は0.62m
mであった。
【0051】実施例6 遠心法で繊維化した平均直径7μのグラスウールが集綿
される前に、ガラス転移温度が90℃のアクリルニトリ
ル/スチレン共重合体を20重量%含有するラッテクス
をスプレーで噴霧し、水分40重量部、共重合体30重
量部とガラスウール70重量部からなるマットを集綿し
た。集綿したマットを180℃で加熱圧縮し、厚みが4
mm、密度が150kg/m3の成形平板を作製した。
成形平板を赤外線加熱機で160℃に加熱し、密度が異
なる箇所を有する高さ40mm、立ち上がり角度45℃
のコルゲート状(波形状)にスタンピング成形した。ス
タンピング成形品の密度が150kg/m3の部分の曲
げ強度は32kg/cm2、曲げ弾性率は2600kg
/cm2で、密度が300kg/m3の部分の曲げ強度
は、52kg/cm2、曲げ弾性率は6200kg/c
2であった。
【0052】比較例5 実施例6においてアクリルニトリル/スチレン共重合体
の替わりにレゾール型フェノール樹脂水溶液を使用した
以外実施例6と同様にして、成形平板作製とコルゲート
状スタンピング成形を実施した。成形品の曲げ強度は1
5kg/cm2、曲げ弾性率は1200kg/cm2であ
った。一方、コルゲート状成形は、立ち上がり部で引き
裂かれ、成形品ができなかった。
【0053】
【発明の効果】本発明の熱成形性軽量材は、熱可塑性樹
脂と無機繊維からなる複合材であって、熱可塑性樹脂含
有率が熱可塑性樹脂平均含有率より小さい中央部と、該
中央部に一体に積層され、熱可塑性樹脂含有率が熱可塑
性樹脂平均含有率以上の表層部とよりなり、その結果、
密度が30から600kg/m3と軽量にもかかわら
ず、機械的強度、耐熱性が優れており、又、表層部の熱
可塑性樹脂含有量が高い結果、他の表皮材との接着性に
優れ、自動車内装材や天井成形板等として好ましく使用
できる。
【0054】特に無機繊維としてグラスウールを使用す
ることにより、より低密度でも高い強度を保持できるこ
とから、従来品より軽量で断熱性の優れた成形材を提供
できると共に成形作業環境が向上する利点があり、又、
本発明の成形品は、再度加熱し成形できることから、製
品歩留まりの向上や廃材を再利用できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱成形性軽量材の中央部における熱可
塑性樹脂含有率の一例を示すグラフである。
【図2】本発明の熱成形性軽量材の中央部における熱可
塑性樹脂含有率の別例を示すグラフである。
【図3】熱成形性軽量材の中央部における熱可塑性樹脂
含有率の好ましくない一例を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29K 105:08 B29L 31:58

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂と無機繊維からなる複合材
    であって、熱可塑性樹脂含有率が熱可塑性樹脂平均含有
    率より小さい中央部と、該中央部に一体に積層され、熱
    可塑性樹脂含有率が熱可塑性樹脂平均含有率以上の表層
    部とよりなることを特徴とする熱成形性軽量材。
  2. 【請求項2】 中央部における熱可塑性樹脂含有率が、
    該中央部の中心から表層部へかけて一定乃至略一定であ
    る請求項1に記載の熱成形性軽量材。
  3. 【請求項3】 中央部における熱可塑性樹脂含有率が、
    該中央部の中心から表層部へかけて増加する請求項1に
    記載の熱成形性軽量材。
  4. 【請求項4】 中央部の厚みが全体の厚みの50から9
    5%である請求項1乃至3のいずれかに記載の熱成形性
    軽量材。
  5. 【請求項5】 厚み方向に11等分した場合に、熱可塑
    性樹脂含有率の最も低い部分の熱可塑性樹脂含有率が、
    熱可塑性樹脂平均含有率の60〜95%である請求項1
    乃至4のいずれかに記載の熱成形性軽量材。
  6. 【請求項6】 熱可塑性樹脂が、そのガラス転移温度が
    60℃以上のものである請求項1乃至5のいずれかに記
    載の熱成形性軽量材
  7. 【請求項7】 無機繊維が、遠心法で製造される平均直
    径2〜15μのガラス繊維である請求項1乃至6のいず
    れかに記載の熱成形性軽量材。
  8. 【請求項8】 熱可塑性樹脂と無機繊維との比率が0.
    1〜0.7:0.9〜0.3である請求項1乃至7のい
    ずれかに記載の熱成形性軽量材。
  9. 【請求項9】 密度が30〜600kg/m3である請
    求項1乃至8のいずれかに記載の熱成形性軽量材。
  10. 【請求項10】 熱可塑性樹脂を含有する水分散液によ
    り、該熱可塑性樹脂を無機繊維に付着させた後、湿潤状
    態の無機繊維を加熱圧縮することを特徴とする熱成形性
    軽量材の製造方法。
  11. 【請求項11】 加熱圧縮する前の無機繊維を、(熱可
    塑性樹脂)/(熱可塑性樹脂+水)の比率で30〜75
    %に湿潤させる請求項10に記載の熱成形性軽量材の製
    造方法。
  12. 【請求項12】 熱可塑性樹脂が、そのガラス転移温度
    が60℃以上のものである請求項10又は11に記載の
    熱成形性軽量材の製造方法。
  13. 【請求項13】 熱可塑性樹脂が、その直径が0.01
    〜l0μのものである請求項10乃至12に記載の熱成
    形性軽量材の製造方法。
  14. 【請求項14】 水分散液が、熱可塑性樹脂を15〜7
    5%含有するものである請求項10乃至13のいずれか
    に記載の熱成形性軽量材の製造方法。
  15. 【請求項15】 無機繊維の集合体に熱可塑性樹脂を付
    着させる請求項10乃至14のいずれかに記載の熱成形
    性軽量材の製造方法。
  16. 【請求項16】 無機繊維の繊維化工程とマット状に集
    綿する工程の間に熱可塑性樹脂を付着させる請求項10
    乃至15のいずれかに記載の熱成形性軽量材の製造方
    法。
  17. 【請求項17】 請求項1乃至8のいずれかに記載の熱
    成形性軽量材を、加熱及び冷間プレスすることにより、
    平均密度を100〜300kg/m3としたことを特徴
    とする熱成形性軽量材からなる自動車用成形天井材。
  18. 【請求項18】 熱成形性軽量材が、単位面積当たりの
    重量が300〜1500g/m2で、熱可塑性樹脂と無
    機繊維との比率が0.2〜0.5:0.8〜0.5であ
    る請求項17に記載の自動車用成形天井材。
JP31403294A 1994-11-22 1994-11-22 熱成形性軽量材、その製造方法及び熱成形性軽量材からなる自動車用成形天井材 Pending JPH08142077A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115107301A (zh) * 2022-06-15 2022-09-27 江苏莘翔机电股份有限公司 一种低成本玻碳混合重卡卧铺的生产工艺

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