JPH08141576A - 特定アミン類を含む廃液の処理方法 - Google Patents

特定アミン類を含む廃液の処理方法

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JPH08141576A
JPH08141576A JP31123494A JP31123494A JPH08141576A JP H08141576 A JPH08141576 A JP H08141576A JP 31123494 A JP31123494 A JP 31123494A JP 31123494 A JP31123494 A JP 31123494A JP H08141576 A JPH08141576 A JP H08141576A
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JP
Japan
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waste liquid
insoluble matter
silicate
amines
carbon atoms
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JP31123494A
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Inventor
Hiroshige Oikawa
宏習 及川
Nobuo Aoki
延夫 青木
Hayao Kitayama
速夫 北山
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Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 特定アミン類を含む廃液、特に非イオン系界
面活性剤を含む廃液の中の特定アミン類および汚れ成分
を不溶解物として容易に除去することが可能であって、
放流可能な、あるいは循環再利用可能なレベルにまで浄
化することができる廃液の処理方法を提供する。 【構成】 特定アミン類を含む廃液中に珪酸塩が400
wtppm(SiO2 換算)以上の濃度で存在し、かつ
エチレンオキサイド付加物などの非イオン系界面活性剤
が共存する廃液のpHを10以下として不溶解物を形成
させ、この不溶解物を廃液から分離除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、下記化4(但し、式
中R1 ,R2 及びR3 は水素原子又は炭素数1〜20の
アルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基であり、
同一でも異なっていてもよい。)で示されるアミン類又
は/及び化5(但し、式中R4 は水素原子又は炭素数1
〜20のアルキル基である。)で示されるモルホリン類
(以下、「特定アミン類」と総称する。)の1種または
2種以上を含む各種廃液の処理方法、特に非イオン系界
面活性剤を含む廃液の処理方法に関するものである。
【0002】
【化4】
【0003】
【化5】
【0004】
【従来の技術】近年、たとえば、塩素系洗浄剤の代替物
質として、水系による洗浄剤が多数提案されている。か
ゝる水系洗浄剤には、洗浄補助、防錆、pH調整などの
目的で特定アミンを含有している。また、この特定アミ
ン類は防錆剤としても使用されている。
【0005】この特定のアミン類を含有する水系の洗浄
剤や防錆剤は、洗浄工程やリンス工程あるいは防錆工程
で界面活性剤や油分、防錆剤等を含有する多量の廃液が
発生するため、その除去処理に多大なエネルギーが消費
されている。
【0006】このような特定アミン類を含有する水系の
洗浄剤や防錆剤等の使用によって生成する廃液の処理に
際しては、たとえば、逆浸透濾過や限外濾過、塩化第二
鉄(以下「過鉄」という)等による凝集と共に、窒素成
分を除去するために塩素やオゾンによる酸化、生物酸化
池法など各種の処理方法が採用されている。さらに、燐
を含有する廃液に関しては、一般にカルシウム塩による
燐の除去手段が採用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】特定アミン類を含有す
る廃液を処理する前記従前の方法は、一般に大規模な処
理装置を必要とすると共に、その操作が煩雑であって、
しかも処理能力が不充分であるなどの種々な問題を抱え
ている。また、廃液中に特に非イオン界面活性剤を含有
している場合には、これらを包含した各種汚染源を一括
して処理することが事実上困難であり、そのため汚染源
に対応した個々の処理が必要となるため処理装置が大規
模になるという問題があった。
【0008】この発明はかゝる特定アミン類を含有する
廃液の処理の現状に鑑み、各種汚染源の除去が一括して
短時間に行うことができ、その処理方法が簡単でかつ効
率的であって、しかも不溶解物を分離除去した後の残液
を必要に応じて簡単な処理を行うことによって放流が可
能なレベルにまで浄化することができ、あるいはそのま
ゝ循環再使用も可能であり、環境面でも、資源の有効利
用の面でも優れた処理方法を提供することを目的とした
ものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、この発明の廃液の処理方法は、下記化6(但し、式
中、R1 ,R2 およびR3 は水素原子又は炭素数1〜2
0のアルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基であ
り、同一でも異なっていてもよい。)で示されるアミン
類又は/及び化7(但し、式中、R4 は水素原子又は炭
素数1〜20のアルキル基である。)で示されるモルホ
リン類の1種又は2種以上からなる特定アミン類を含む
廃液であって、下記化8(但し、式中、Mはアルカリ金
属を表し、x は0.5≦x≦3.5である。)で示され
る珪酸塩が400wtppm(SiO2 換算)以上の濃
度で存在し、かつ非イオン系界面活性剤が共存する廃液
から、そのpHが10以下である条件とすることにより
不溶解物を形成させ、これを分離除去することを特徴と
するものである。
【0010】
【化6】
【0011】
【化7】
【0012】
【化8】(M2 O)・(SiO2x
【0013】前記化6におけるR1 ,R2 およびR
3 は、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基、シク
ロアルキル基又はフェニル基で、同一でも異なっていて
もよく、化7におけるR4 は水素原子又は炭素数1〜2
0のアルキル基である。廃液中に存在する特定アミン類
は、炭素数21以上になると水への溶解度がかなり小さ
くなり、ほとんど溶解していないため一般の水系洗浄剤
の成分として使用されることはない。
【0014】また、廃液中に存在するアミンは水に対す
る溶解度が小さくなれば、この発明の処理によりCOD
M nが低下し易く、特に化5で示されるアミン類のR1
〜R3 のうち少なくとも一つが炭素数5〜20の直鎖状
又は分岐状のアルキル基又はシクロアルキル基であるも
のは、COD M nが低下し易い。
【0015】また、モルホリン類については、前記化7
におけるR4 は入手が容易であることから水素原子又は
炭素数1〜4のアルキル基のものが好ましい。
【0016】この発明において、廃液中に存在しうる前
記化6および化7で示される特定アミン類の具体例とし
ては、アンモニア,メチルアミン,エチルアミン,イソ
プロピルアミン,イソブチルアミン,アミルアミン,イ
ソアミルアミン,ヘキシルアミン,オクチルアミン,2
−エチルヘキシルアミン,デシルアミン,ドデシルアミ
ン,ジエチルアミン,ジイソプロピルアミン,ジブチル
アミン,ジアミルアミン,トリメチルアミン,トリエチ
ルアミン,トリプロピルアミン,トリイソブチルアミ
ン,シクロヘキシルアミン,ジシクロヘキシルアミン,
アニリン,ベンジルアミン,ジフェニルアミン,トリフ
ェニルアミン,モルホリン,N−メチルモルホリン,N
−エチルモルホリンなどを挙げることができる。
【0017】好ましくは、前記化6に示されるR1 〜R
3 のすくなくともいずれか一つは炭素数5〜20の直鎖
状又は分岐状のアルキル基又はシクロアルキル基であ
り、具体的にはアミルアミン,イソアミルアミン,ヘキ
シルアミン,オクチルアミン,2−エチルヘキシルアミ
ン,デシルアミン,ドデシルアミン,シクロヘキシルア
ミン,ジシクロヘキシルアミンなどが挙げられる。ま
た、化7で示される炭素数1〜4のアルキル基を有する
モルホリン類としては,N−メチルモルホリン,N−エ
チルモルホリンなどが好ましい。
【0018】処理せんとする廃液中の特定アミン類の濃
度には特に限定はないが、500,000wtppm以
下が好ましい。より好ましくは100,000wtpp
m以下であり、特に好ましくは12,500wtppm
以下である。この濃度が過度に高くなると、珪酸塩及び
非イオン界面活性剤の存在量を多くするか、多段階での
凝集処理が必要となり、経済的とはいえなくなる。
【0019】処理の対象となる廃液の種類は、特定アミ
ン類を含んでいる以外に特に限定されるものではない
が、具体的には、水系洗浄剤やアルカリ系洗浄剤など各
種洗浄剤を使用した後に生ずる廃液などを挙げることが
できる。
【0020】また、廃液中に含まれる汚れ成分も特に限
定されないが、たとえば、焼き入れ油、油性切削油また
は引き抜き油等の鉱油、防錆油、水性油等の複合油、灯
油などの石油系溶剤、塩素系溶剤、フラックス、インク
などを汚れ成分として含む廃液、特に鉱油を含む廃液の
処理に適している。
【0021】また、燐を含有している廃液や金属を含有
している廃液、脂肪酸を含有している廃液についても、
廃液中に含まれる燐や金属、脂肪酸を共に除去すること
ができる。
【0022】廃液中に存在すべき珪酸塩は、前記化8で
示される珪酸塩(以下、単に「珪酸塩」という)であっ
て、式中Mで示されるアルカリ金属はナリウム、カリウ
ムが好ましい。また、式中xは0.5≦x≦3.5であ
るが、好ましくは1≦x≦3である。
【0023】処理せんとする廃液中の珪酸塩の濃度は4
00wtppm以上であるが、好ましくは500〜4
0,000wtppmであり、さらに好ましくは1,0
00〜5,000wtppmである。珪酸塩の濃度が4
00wtppm未満では不溶解物の形成が充分でなく、
廃液の浄化度が低下する。また、濃度が40,000w
tppmを超えるような高濃度では、珪酸塩が均一に溶
解しなくなるおそれがあり、また経済的とはいえない。
【0024】この発明において、処理対象となる廃液が
既に上記濃度の珪酸塩を含んでいる場合は、これをその
まゝ利用することができる。廃液中に含まれる珪酸塩が
量的に不足している場合、あるいは全く含んでいない場
合には、廃液中に所要量の珪酸塩を添加することによっ
てその濃度を制御するものである。
【0025】廃液に珪酸塩を存在させる手段としては、
珪酸塩またはその水和物を廃液に添加すればよい。この
珪酸塩またはその水和物の具体的な例としては、メタ珪
酸カリウム,メタ珪酸ナトリウム・9水和物,二珪酸カ
リウム・1水和物,水ガラスなどを挙げることができる
が、溶解速度が速いという点からは珪酸塩の水和物が特
に好適である。珪酸塩またはその水和物は水溶液として
添加するのが好適であるが、粉末状で添加してもよい。
【0026】この発明の廃液の処理方法に適した具体的
な非イオン界面活性剤としては、下記化9(但し、式
中、R5 は炭素数6〜30のアルキル基、アルキルフェ
ニル基又はアルケニル基、Aはアルキレン基であって、
繰り返し単位として存在する複数のAは、すべてがエチ
レン基であるか、少なくとも一つがエチレン基であり、
残りは炭素数3〜4のアルキレン基である。nはアルキ
レンオキサイド付加物に8〜18のHLBを与える平均
付加モル数である。)で示されるHLBが8〜18のア
ルキレンオキサイド付加物である。
【0027】
【化9】R5 −O−(AO)n−R6
【0028】廃液中に珪酸塩と共存する非イオン界面活
性は、特に限定されるものではないが、好ましくは前記
化9で示されるHLBが8〜18、さらに好ましくは
9.5〜16、特に好ましくは10〜15のアルキレン
オキサイド付加物である。このアルキレンオキサイド付
加物のHLBが8未満では不溶解物のを形成が十分でな
く、また、HLBが18を超える場合は不溶解物の形成
時間が長くなり、処理に長時間を要することになる。
【0029】前記化9の式中、R5 の炭素数6〜30の
アルキル基、アルキルフェニル基またはアルケニル基の
うち、炭素数は10〜22のものが特にが好ましい。ま
た、化9の式中R6 の水素原子、炭素数8以下のアルキ
ル基、アルキルフェニル基またはアルケニル基のうち、
水素原子が最も好適であり、アルキル基とアルキルフェ
ニル基がこれに続く。なお、R5 とR6 のアルキル基、
アルキルフェニル基におけるアルキル基およびアルケニ
ル基は、直鎖状または分岐状のいずれでもよい。
【0030】前記アルキレンオキサイド付加物として
は、たとえば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテ
ル,ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル,ポリオ
キシアルキレンアルキルフェニルエーテル,ポリアルキ
レングリコールアルキルエーテルのアルキルエーテル,
ポリアルキレングリコールアルキルエーテルのアルキル
フェニルエーテル,ポリアルキレングリコールアルキル
フェニルエーテルのアルキルエーテル,ポリアルキレン
グリコールアルキルフェニルエーテルのアルキルフェニ
ルエーテル等を挙げることができる。
【0031】より具体的には、ポリオキシエチレンラウ
リルエーテル,ポリオキシエチレンオレイルエーテル,
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル,ポリオキ
シ(プロピレン/エチレン)ラウリルエーテル,ポリエ
チレングリコールラウリルエーテルのベンジルエーテ
ル,ポリエチレンオクチルフェニルエーテルのベンジル
エーテルなどを挙げることができる。なかでも、ポリオ
キシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノ
ニルフェニルエーテルが好ましい。
【0032】また、その他の非イオン界面活性剤として
は、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート等のポ
リオキシアルキレンソルビタンステアレートなどを挙げ
ることができる。
【0033】前記アルキレンオキサイド付加物を包含す
る非イオン系界面活性剤の廃液中の好適な濃度は、5〜
50,000wtppmである。より好ましくは20〜
12,000wtppmであり、特に好ましくは50〜
2,500wtppmである。この濃度があまり高い
と、珪酸塩類の存在量を多くする必要があり、経済的と
はいえなくなる。処理対象となる廃液がアルキレンオキ
サイド付加物などの非イオン系界面活性剤を既に含んで
いる場合は、そのまゝ利用すればよく、含有していない
廃液については別途添加する。
【0034】廃液処理に際し、形成された不溶解物を分
離・除去した後の廃液を放流可能なレベルまで浄化する
には、特定アミン類の1重量部に対して非イオン系界面
活性剤が0.1重量部以上、好ましくは0.5重量部以
上、より好ましくは1重量部以上共存し、また、前記ア
ルキレンオキサイド付加物に対して珪酸塩を1〜10重
量倍程度存在させることが好ましい。
【0035】また、廃液中に汚れ成分があるときは、汚
れ成分の1重量部に対して、アルキレンオキサイド付加
物を0.1〜10重量部存在させることが望ましい。特
に、共存するアルキレンオキサイド付加物の濃度が50
〜2,500wtppmで、このアルキレンオキサイド
付加物の濃度に対してほぼ2倍量以下の特定アミン類を
含む廃液については、汚れ成分の含有量にかかわらず廃
液中の珪酸塩の濃度が1,200〜2,500wtpp
mとなるように珪酸塩を添加することによって廃液の濃
度管理を必要とせず、優れた結果をもって処理を行うこ
とができる。
【0036】処理対象の廃液は、アルキレンオキサイド
付加物その他の非イオン界面活性剤と珪酸塩との共在
下、水素イオン濃度をpH10以下、好ましくはpH1
〜9、より好ましくはpH4〜8.6とすることによっ
て不溶解物を効果的に形成させることができる。なお、
廃液のpHが10を超えると効果的に不溶解物を形成す
ることができない。また、廃液中のアルキレンオキサイ
ド付加物の濃度が50〜2,500wtppm以下であ
る場合には、pHを4〜8.6とすることにより不溶解
物形成反応の速度が格段に早くなる。
【0037】廃液のpH調整に際しては、廃液を酸によ
って一旦pH4.5以下、特にpH2〜4としたのち、
アルカリを加えてpH5〜7.5とすることによって、
特に不溶解物の凝集性が向上し、分離効率が一層よくな
る。この方法によるpH調整は廃液の種類を問わずに有
効であるが、特に燐イオンや金属を含む廃液の処理に優
れた能力を発揮する。
【0038】廃液のpHを調整するための調整剤にはな
んらの限定もないが、酸としては塩酸、硫酸、硝酸、燐
酸、酢酸、安息香酸、蟻酸、炭酸水、炭酸ガス、塩化カ
ルシウムなどを挙げることができる。また、アルカリと
しては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ソー
ダ、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、モノエタ
ノールアミン、トリエタノールアミン、アンモニア、さ
らには特定アミン類などがあり、好ましくは無機アルカ
リ剤や特定アミン類がよい。これらの酸またはアルカリ
は、1種または2種以上を用いてもよい。なお、不溶解
物を分離除去した後の残液を処理して放流する場合、調
整剤として塩酸、硫酸、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナ
トリウムを適宜使用することによって水質の汚濁を防止
することができる。
【0039】また、廃液が金属洗浄した後の廃液等であ
って、処理後再利用する場合は、腐食要因となりにくい
硫酸や、防食効果のある燐酸、安息香酸を用いることが
望ましい。さらに、珪酸塩を廃液中に均一に存在させる
ために、廃液のpHを10を超えるよう調整して珪酸塩
を均一に溶解させたのち、改めて廃液のpHを10以下
に調整することも望ましい方法である。
【0040】処理しようとする廃液中に金属が含まれて
いる場合、廃液中の金属は珪酸塩と反応して不溶解物を
形成するので、汚れ成分と共にこの金属を同時に除去す
ることが可能である。処理可能な金属としては、鉄,
銅,クロム,亜鉛,アルミニウム,ニッケル,マンガン
などがあるが、これら金属の除去に際して市販の金属イ
オン捕捉剤を併用することもできる。
【0041】また、廃液中に脂肪酸が含まれている場
合、特に炭素数10以上の脂肪酸、たとえば、ラウリン
酸,ミリスチン酸,オレイン酸,リノール酸,リノレン
酸などについては容易に不溶解物を形成し、その除去率
が高い。
【0042】さらに、廃液中にトリポリ燐酸、ピロ燐
酸、燐酸、亜燐酸などの燐化合物が含有されている場合
には、廃液中にカルシウムイオンを共存させることによ
り燐イオンとカルシウムイオンが反応して不溶解物を形
成するので、他の汚れ成分と同時に燐も除去が可能とな
る。この場合、廃液中に共存させるカルシウムイオンの
量は、燐イオンに対してモル比で2倍以上とするのがよ
く、好ましくは5〜100倍、より好ましく10〜50
倍である。このカルシウムイオンが少なすぎると燐イオ
ンの除去が充分でなく、過剰量では経済的に不利となる
ばかりでなく、不溶解物の除去が困難となる。
【0043】廃液中にカルシウムイオンを共存させるに
は、カルシウム塩として供給すればよい。かゝるカルシ
ウム塩は水溶性であればよく、塩化カルシウム,塩化カ
ルシウム・2水塩,水酸化カルシウム,硝酸カルシウム
などを挙げることができる。このカルシウムイオンは廃
液中に初めから含まれていてもよいが、処理せんとする
廃液のpH調整中にカルシウム塩を添加することもでき
る。カルシウム塩は粉末で添加してもよいが、水溶液で
添加するのがより好ましい。
【0044】かくて処理した廃液は不溶解物を除去した
後、所望により二次処理を必要とする場合にはさらにp
H調整することが好ましい。たとえば、処理水を放流し
たり、廃液をより浄化するため活性汚泥等により処理す
る場合は、残液をpH5.8〜8.6とすることが好ま
しい。また、活性炭、オゾン分解等による処理において
はその性質により、pH2.0〜11に再調整し、二次
処理を行うことが好ましい。
【0045】前記二次処理においては、廃液中に必要に
応じて高分子凝集剤等を存在させることができ、廃液中
に陰イオン系界面活性剤や、ビルダーが存在していても
差支えない。不溶解物の形成には、前記の廃液を必要に
応じて攪拌させるなどの手段によって、5〜30分程度
の短い時間できわめて脱水性のよい不溶解物を形成させ
ることができる。また、攪拌操作においても一定速度の
攪拌で充分な処理が行えるため、処理装置を簡素化する
ことができる。さらに、廃液中に生成した不溶解物の分
離除去方法は、たとえば、静置分離、濾過、加圧浮上分
離等、通常公知の分離手段、たとえばフィルターバッグ
等による濾過あるいは静置分離等による不溶解物の凝集
分離が可能であり、大規模な処理装置を必要としないの
で最適である。
【0046】
【作用】この発明の特定アミン類を含有する廃液の処理
方法は、400wtppm以上の珪酸塩と、非イオン界
面活性剤、好ましくは前記化9で表されるアルキレンオ
キサイド付加物が共存する廃液のpHを10以下とする
ことによって、SiO2成分と非イオン界面活性剤とが
反応して、廃液中に含まれる油分、金属、燐などの汚れ
成分を包含する不溶解物を形成する。これによって廃液
が油分、炭素数10以上のカルボン酸等の比較的疎水性
の強い成分を含有している場合においても容易に不溶解
物が形成する。また、カルシウムイオンを廃液中に共存
させることにより廃液中に混在する燐成分も同時に除去
することができる。
【0047】また、この発明の特定アミン類を含有する
廃液の処理方法は、従来公知のたとえば過鉄や硫酸バン
ドあるいは活性白土を存在させた処理方法に比較して、
きわめて少量の珪酸塩の存在下で短時間に不溶解物が形
成されるので、処理廃液から分別された不溶解物の量は
それだけ少量であり、不溶解物の処分が非常に簡単であ
る。
【0048】この発明の処理方法で処理した廃液は、不
溶解物が分離除去された後の残液には特定アミン類およ
び非イオン系界面活性剤、あるいは汚れの成分を殆ど含
まない。したがって、残液を必要に応じて希釈、砂濾
過、活性炭吸着、活性汚泥処理等の簡単な方法を併用す
ることにより、放流することが可能である。さらに、上
記残液は、直接、洗浄液やリンス液として再利用するこ
とができ、廃液量を大幅に削減することができる。
【0049】従来公知の凝集方法、例えば過鉄あるいは
活性白土を用いた場合に、残液に過鉄に由来する塩素イ
オンあるいは活性白土に由来するAlイオンが混入し、
洗浄液やリンス液として再利用が困難となる。しかしな
がら、この発明の廃液の処理方法によれば、たとえば処
理廃液がアルカリ性洗浄剤の使用により生じたものであ
る場合、不溶解物を分離除去した残液に珪酸塩が存在し
ても、珪酸塩を含有したアルカリ洗浄剤として再利用す
ることが可能である。処理廃液から分別された不溶解物
は、回収するか、必要に応じて塩化メチレンや酢酸エチ
ル等の有機溶剤に溶解させ適宜処理すればよい。
【0050】
【実施例】以下、実施例および比較例によって、この発
明の廃液の処理方法をより具体的に説明する。
【0051】〔モデル廃液の調製〕油性の汚れ成分、そ
の他の配合成分を水に加えて、温度50℃に加温し、超
音波(65KHz,150W)で、オーバーヘットスタ
ーラーによって、30分間攪拌混合し、それぞれ表1に
示した組成の所定のモデル廃液を調製した。これらのモ
デル廃液を原液のまゝで、あるいは希釈して使用した。
【0052】〔廃液処理試験方法〕 1)表1記載の各種モデル廃液に、表2に記載した各種
珪酸塩またはその他の添加剤を加えて攪拌混合した。 2)実施例1〜5および比較例1,2のモデル廃液につ
いては、約300rpmの攪拌速度で攪拌しながら30
%硫酸または3%硫酸を用いてpH3に調整し、つい
で、1分後に約300rpmの攪拌速度で攪拌しながら
4%水酸化ナトリウム水溶液または1%水酸化ナトリウ
ム水溶液でpH6.5に再調整し、さらに300rpm
の攪拌速度で7分間攪拌しながら不溶解物を形成させ
た。 3)燐化合物を含有した実施例6および比較例3のモデ
ル廃液については、約300rpmの攪拌速度で攪拌し
ながら、30%硫酸または3%硫酸を用いてpH3に調
整した。ついで、1分後に表2の添加剤(塩化カルシウ
ム)を添加し、さらに1分間約300rpmの攪拌速度
で攪拌した。さらに、4%水酸化ナトリウム水溶液でp
H6.5に再調整し、ついで300rpmの攪拌速度で
7分間攪拌しながら不溶解物を形成した。 4)添加剤として硫酸バンドを使用した比較例4のモデ
ル廃液については、約300rpmの攪拌速度で攪拌し
なから30%硫酸または3%硫酸を用いてpH7に中和
したのち、20分間約30rpmの攪拌速度で攪拌しな
がら不溶解物を形成させた。 5)これら(2)(3)および(4)の各不溶解物形成
液について、No.5A濾紙(東洋濾紙製)を用いて常
圧で濾過し、濾過速度を観察した。 6)濾過後の濾液について、CODM n 試験(JIS
K0102)および燐の定量を行った。なお、燐の定量
はICP発光分析によって行った。
【0053】なお、珪酸塩を含まない廃液については同
様の操作を行った結果をブランクとして示し、特定アミ
ン類を含まない廃液および他の沈降手段による場合を比
較例として併せて示した。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【発明の効果】この発明の化4および化5で表される特
定アミン類を含有する廃液の処理方法は、400wtp
pm以上の珪酸塩と、非イオン界面活性剤、好ましくは
前記化9で表されるアルキレンオキサイド付加物が共存
する廃液のpHを10以下とすることによって、SiO
2 成分と非イオン界面活性剤とが反応して廃液中に含ま
れる油分、金属、燐などの汚れ成分が不溶解物を形成す
るので、この不溶解物を分離除去するだけで廃液を簡単
かつ容易に処理することができる。
【0057】特に、廃液が油分や炭素数10以上のカル
ボン酸等の、比較的疎水性の強い成分を含有している場
合においても容易に不溶解物が形成し、また、廃液中に
カルシウム塩を共存させることにより燐成分も同時に除
去することができる。
【0058】また、この発明の特定アミン類を含有する
廃液の処理方法は、少量の珪酸塩の存在下で短時間に不
溶解物が形成されるので、処理廃液から分別された不溶
解物の量が少なく、不溶解物の処分が非常に簡単であ
る。また、この発明の処理方法で処理された後の廃液
は、特定アミン類および非イオン系界面活性剤あるいは
汚れの成分を殆ど含まないので、これを必要に応じて希
釈、砂濾過、活性炭吸着、活性汚泥処理等の簡単な方法
で処理することによって放流することが可能である。さ
らに、処理された廃液は、直接、洗浄液やリンス液とし
て再利用することができ、廃液量を大幅に削減すること
ができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記化1(但し、式中、R1 ,R2 およ
    びR3 は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基、シ
    クロアルキル基又はフェニル基であり、同一でも異なっ
    ていてもよい。)で示されるアミン類又は/及び化2
    (但し、式中、R4 は水素原子又は炭素数1〜20のア
    ルキル基である。)で示されるモルホリン類の1種又は
    2種以上からなる特定アミン類を含む廃液であって、下
    記化3(但し、式中、Mはアルカリ金属を表し、x は
    0.5≦x≦3.5である。)で示される珪酸塩が40
    0wtppm(SiO2 換算)以上の濃度で存在し、か
    つ非イオン系界面活性剤が共存する廃液から、そのpH
    が10以下である条件とすることにより不溶解物を形成
    させ、これを分離除去することを特徴とする特定アミン
    類を含む廃液の処理方法。 【化1】 【化2】 【化3】(M2 O)・(SiO2x
  2. 【請求項2】 前記化1で示されるアミン類のR1 ,R
    2 およびR3 は、少なくともいずれか1つは炭素数5〜
    20のアルキル基又はシクロアルキル基であることを特
    徴とする請求項1記載の特定アミン類を含む廃液の処理
    方法。
  3. 【請求項3】 前記化1で示されるアミン類のR4 は、
    水素原子又は炭素数4以下のアルキル基であることを特
    徴とする請求項1記載の特定アミン類を含む廃液の処理
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002514505A (ja) * 1998-05-14 2002-05-21 ヴィルバイト トーマス 水類、土壌、沈降物および/またはシルトを処理するための方法

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