JPH08140527A - Treb5遺伝子欠損動物、及びその作出方法 - Google Patents

Treb5遺伝子欠損動物、及びその作出方法

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JPH08140527A
JPH08140527A JP6286839A JP28683994A JPH08140527A JP H08140527 A JPH08140527 A JP H08140527A JP 6286839 A JP6286839 A JP 6286839A JP 28683994 A JP28683994 A JP 28683994A JP H08140527 A JPH08140527 A JP H08140527A
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Japan
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animal
treb5
cells
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JP6286839A
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Shigeru Noguchi
茂 野口
Mitsuaki Yoshida
光昭 吉田
Takeshi Masaki
全 正木
Tsunehiro Miyaki
常寛 宮木
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Kanagawa Academy of Science and Technology
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Kanagawa Academy of Science and Technology
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 TREB5遺伝子の一部の領域を外来の遺伝
子断片で置換することにより得られ、かつ、TREB5
を実質的にコードしない改変TREB5遺伝子を、有す
ることを特徴とするトランスジェニック非ヒト哺乳動
物、及び該動物の作出方法。 【効果】 免疫系の疾患及び骨大理石病をはじめとする
骨形成異常のモデル動物として有用なトランスジェニッ
ク動物を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、相同組み換えにより破
壊された改変TREB5遺伝子を有するトランスジェニ
ック動物、及びその作出方法に関する。該トランスジェ
ニック動物は、免疫系疾患、及び骨形成異常のモデル動
物として使用することができ、また、これらの疾患治療
のための化学物質のスクリーニング試験にも利用するこ
とができる。
【0002】
【従来の技術】成人T細胞白血病ウイルス1型(HTL
V−1)は、成人T細胞白血病の原因ウイルスとして知
られている。HTLV−1はウイルスの複製に必要なg
ag,pol,env遺伝子のほか、pXと呼ばれる配
列を持っている。このpX領域にはp40tax,p27
rex,p21X-IIIの3つのタンパク質がコードされ、こ
のうちp40taxはLTRに存在する21bpの反復配
列に作用してウイルス遺伝子の転写を活性化する。とこ
ろが、p40taxはそれ自身にはDNA結合能はなく、
何らかの細胞性因子の関与が示唆されていた。そこで2
1bpの反復配列に結合する細胞性因子のスクリーニン
グがサウスウエスタン法により行われ、TREB5,T
REB7,TREB36,CREBが単離された(EMBO
J.,9,2537-2542,1990)。これらのタンパク質にはいず
れも7アミノ酸ごとにロイシンが数回繰り返して存在す
るロイシンジッパー構造があり、ホモダイマーあるいは
ヘテロダイマーを形成してDNAに結合する転写調節因
子と考えられている。
【0003】このようにHTLV−1の転写に関与する
可能性のある因子の一つとして単離されたTREB5
は、またヒト組織適合抗原ClassII DRαの転写
調節領域に存在するXboxに結合するタンパク質とし
てクローニングされたhXBP−1と同一であることが
示されている(Nature,247,1581-1584,1990)。TRE
B5はロイシンジッパー構造を介してc−fosとヘテ
ロダイマーを形成してClassIIの発現を調節すると
考えられており、免疫反応において非常に重要な働きを
していることが示唆されている。
【0004】一方Claussら(Dev.DYN,197,146-156,199
3)によるとTREB5は11.5日齢以降のマウス胚の骨
芽細胞で高い発現をする。これとよく似た発現パターン
がc−fosでも見られることから、TREB5、c−
fosがヘテロダイマーを形成し、骨形成過程において
発現の増加が認められる骨基質成分(コラーゲン、オス
テオネクチン、オステオポンチン、オステオカルシンな
ど)あるいはサイトカインをコードする遺伝子の転写調
節にかかわっている可能性がある。
【0005】これを裏付ける事実として、c−fosの
ターゲティングによるマウスの異常があげられる。c−
fosターゲティングマウスは、歯、骨などに異常があ
り、骨大理石病の病態を示した。骨大理石病は遺伝性の
疾患で、悪性型と良性型の2型に大別される。悪性型は
常染色体劣性遺伝で、死産、あるいは出産しても1−2
年で死亡することが多い。良性型は常染色体優性遺伝で
ある。この病気は骨の硬化が異常に亢進し、もろくなっ
て骨折を起こしやすい。また、骨梁が厚く、破骨細胞が
減少しているのが特徴である。c−fosのターゲティ
ングマウスと同様に骨大理石病の様相を示す自然発生変
異マウス(op/op)はサイトカインの一種であるM
−CSF遺伝子の異常による変異であることがわかって
いる。また、がん遺伝子c−srcのターゲティングマ
ウスも骨大理石病を発症する。このように骨大理石病の
原因となる遺伝子は多数存在している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、TREB5遺
伝子を欠損したトランスジェニック動物は免疫系の疾患
及び骨大理石病をはじめとする骨形成異常のモデル動物
として有用である。本発明の目的は、上記トランスジェ
ニック動物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前期課題を
解決するために鋭意検討した結果、本発明に至った。す
なわち、本発明は、TREB5遺伝子の一部の領域を外
来の遺伝子断片で置換することにより得られ、かつ、T
REB5を実質的にコードしない改変TREB5遺伝子
を有することを特徴とするトランスジェニック非ヒト哺
乳動物である。
【0008】また、本発明は、1)TREB5遺伝子を
特異的に破壊するターゲティングベクターを構築し、
2)これを発生学的に全能性を持つ未分化細胞に導入
し、3)前記ベクターの導入によりTREB5遺伝子が
破壊された細胞のみを選抜し、4)選抜された細胞を動
物胚へ注入した後、仮親の子宮に移植してキメラ動物を
作出し、5)該キメラ動物の中から生殖系列のキメラ動
物のみを選抜して、正常な動物と交配し、6)得られた
交雑集団の中から改変TREB5遺伝子を有する動物の
みを選抜することを特徴とするトランスジェニック非ヒ
ト動物の作出方法である。
【0009】以下、本発明について詳細に説明する。本
明細書において、トランスジェニック動物とは、生殖系
に導入された外来遺伝子を含有する動物をいう。生殖系
列のキメラ動物とは、精子あるいは卵子においてキメラ
形成の認められる動物を意味する。又、本発明において
改変TREB5遺伝子とは、TREB5を実質的にコー
ドしないように改変された遺伝子をいい、TREB5遺
伝子の一部の領域を、外来の遺伝子断片で置換すること
により得られる。
【0010】本発明の対象となる動物の種類は、ヒト以
外の哺乳動物であれば、特に限定されず、例えば、マウ
ス、ラット等のげっ歯類の実験動物を好適な生物として
挙げることができ、その中でもマウスが最も好ましい。
本発明のトランスジェニック動物は、上記の改変TRE
B5遺伝子を有することを特徴とする。本発明のホモ接
合体トランスジェニック動物は、例えば、以下のような
ステップを経て作出される。
【0011】(1)まず、作出しようとする動物と同種
の動物からTREB5遺伝子をクローニングする。 (2)TREB5遺伝子の一部の領域を外来の遺伝子断
片で置換し、この遺伝子を特異的に破壊するターゲティ
ングベクターを構築する。ここで用いる外来の遺伝子と
しては、相同組換え体を容易に選抜できることから抗生
物質耐性を付与する遺伝子が好ましく、ネオマイシン耐
性遺伝子(以下「neo」という)が特に好ましい。 (3)このターゲティングベクターを発生学的に全能性
を持つ未分化な細胞に導入する。ここで用いる発生学的
に全能性を持つ未分化な細胞としては、ES細胞が好ま
しく、特にCCE細胞株が好ましいが、これらに限定さ
れるものではない。 (4)相同組み換えによりTREB5遺伝子が破壊され
た改変遺伝子を有する細胞を単離する。 (5)単離された細胞を動物胚へ注入し、仮親の子宮に
移植して生殖系列のキメラ動物を得る。このキメラ動物
を正常な動物と交配させてヘテロ接合体動物(+/−)
を作出し、さらにヘテロ接合体同士を交配させてホモ接
合体動物(−/−)、すなわち、遺伝子座の双方ともT
REB5を実質的にコードしない改変TREB5遺伝子
を有する目的のトランスジェニック動物を得ることがで
きる。以下、動物としてマウス、外来遺伝子としてne
o、発生学的に全能性を持つ未分化な細胞としてES細
胞を用いた場合について、各ステップごとに説明する。
【0012】まず第1のステップは、マウスゲノムDN
AライブラリーよりマウスTREB5cDNAをプロー
ブとして単離する。マウスゲノムDNAライブラリーの
作成は、例えば、ラボマニュアル遺伝子工学(丸善株式
会社発行, 村松正實編,1990)100-112 頁記載の方法に
従って行うことができ、マウスTREB5cDNAの作
成は、例えば、ラボマニュアル遺伝子工学(丸善株式会
社発行, 村松正實編,1990 )83-99 頁記載の方法に従っ
て行うことができる。
【0013】第2のステップであるターゲティングベク
ターの構築は、以下のように行うことができる。ターゲ
ティングベクターの目的は、相同組み換えにより標的遺
伝子たるTREB5遺伝子に遺伝子断片を導入して、T
REB5遺伝子を破壊して改変することにある。ここに
相同組み換えとは、導入した遺伝子断片と染色体上の対
応する遺伝子との間で塩基配列の相同性に基づいて起こ
る組み換えである。この相同組み換えにより、改変を加
えたい標的遺伝子の一部と同じ塩基配列の領域(相同領
域)を外来遺伝子に持たせることにより、その同じ塩基
配列の部分相互間で組み換えが生じて外来遺伝子が狙っ
た部位に挿入され標的遺伝子を破壊することが可能とな
る。ただし、現実には相同組み換えよりもランダム組み
換えの方が高頻度で生ずるため、目的の相同組み換えが
生じたものを容易に選別できるようにターゲティングベ
クターを構築する必要がある。そこで以下のような手法
が用いられる。
【0014】TREB5遺伝子のフラグメントをプラス
ミドベクターに組み込む。このTREB5遺伝子フラグ
メントにneoを挿入する。このようにして得られるタ
ーゲティングベクターはneoの両側にTREB5遺伝
子との相同部位を有するため、相同組み換えにより標的
TREB5遺伝子にneoが導入され標的遺伝子が破壊
される。組み換えが生じたことはネオマイシン(あるい
はそのホモローグであるG418)耐性の獲得により判
定が可能となる。さらにランダム組み換え体を除くた
め、ポジティブ−ネガティブ選別が可能となるように相
同部位の外側にジフテリアトキシンAフラグメント遺伝
子(以下「DT−A」という。)のような細胞に対して
致死性を有する遺伝子を導入する。こうして得られるタ
ーゲティングベクターはランダム組み換えにより致死性
遺伝子が導入され、このような細胞は致死となる。した
がって、ポジティブ−ネガティブ選別を行うことにより
相同組み換え体を効率的に取得することが可能となる。
相同組み換え体の確認はサザンハイブリダイゼーション
により行う。
【0015】第3のステップである動物のES細胞への
ターゲティングベクターの導入は、エレクトロポレーシ
ョン法などを用いて常法にしたがって行うことができ
る。ES細胞とは動物胚盤胞の内部細胞塊より樹立され
た発生学的全能性を持つ未分化な細胞であり、初期胚に
戻してやると宿主胚の細胞と渾然一体となり発生を続け
るという性質を有する。
【0016】ES細胞にターゲティングベクターを導入
するには、ES細胞を生殖細胞への分化能を保つように
未分化の状態で培養維持する必要がある。そのために
は、培地に適当な栄養細胞をフィーダー細胞として加
え、また、ヒトLIF(LeukemiaInhibitory Factor)
を添加し、さらに牛胎児血清、ヌクレオシド、非必須ア
ミノ酸、2−メルカプトエタノールなどを添加して培養
することを要する。栄養細胞としては、STO細胞かマ
ウス胎児繊維芽細胞が適当である。栄養細胞の添加濃度
は、約4×105細胞/35mm培養皿が好ましい。ヒトLI
Fの添加濃度は、103ユニット/mlが好ましいがそれ以
上でもよい。牛胎児血清の添加濃度は、20%、ヌクレオ
シドの添加濃度は10−30nMが好ましい。非必須アミノ酸
としては、Gibco社製の非必須アミノ酸溶液が好ま
しく、その濃度は各0.05mMが好ましい。2−メルカプト
エタノールの濃度は0.1mMが好ましい。エレクトロポレ
ーション法でES細胞にターゲティングベクターを挿入
するには、ES細胞を一定の濃度になるように緩衝液に
浮遊させ、適当な制限酵素で処理して線状化したターゲ
ティングベクターを添加し、Bio Radジーンパルサー等
の適当なエレクトロポレーション装置を用い250V/0.4c
m、500μFDでエレクトロポレーションを行うことが好
ましい。緩衝液としては、PBS等を用いてpHを7.0
に調整するのが好ましい。制限酵素はターゲティングベ
クターの制限酵素部位を考慮して選択する。
【0017】ターゲティングベクターを導入した後、E
S細胞を、上記の培地で24時間培養し、その後150−200
μg/mlのG418を含む培地と交換する。1日ごとに
新しいG418添加培地と交換し、約1週間培養を続け
る。
【0018】第4のステップでは、ターゲティングベク
ターを導入して得られたG418抵抗性のクローンを拾
い上げ、相同組み換え体を単離し、確認を行う。まず、
上記の薬剤耐性ES細胞を増殖させ、その一部からDN
Aを抽出する。相同組み換え体の検出は、サザンハイブ
リダイゼーション法により確認する。ゲノムDNAを抽
出後、制限酵素処理を行い、アガロース電気泳動を行っ
た後、TREB5遺伝子DNAをプローブにサザンハイ
ブリダイゼーションを行う。こうして、ターゲティング
ベクターの断片を検出できれば、そのES細胞は標的T
REB5遺伝子の一方の対立遺伝子がターゲティングベ
クターと相同組み換えを起こしたクローンであることが
証明されたことになる。
【0019】第5のステップである生殖系列のキメラ動
物およびTREB5遺伝子の破壊された改変遺伝子を有
するトランスジェニック動物の作出は、以下のように行
う。まず、動物の胚に、ヘテロ接合体ES細胞を注入
し、仮親の子宮に移植する。ここで、動物の胚は、胚盤
胞が用いられる。キメラの形成に好適だからである。E
S細胞は通常10−15個注入する。こうして、ES細胞を
注入された胚は、in vitroで培養した後、仮親の子宮に
移植する。上記の方法によって妊娠した仮親から生まれ
た子のうちキメラ動物を選ぶ。キメラの寄与率の高いキ
メラ動物は生殖系列のキメラ動物である可能性が高い
が、キメラ動物を正常動物と交配することにより、生殖
系列のキメラ動物であることの確認が可能である。生殖
系列のキメラ動物と正常動物との交配によりヘテロ接合
体動物が得られ、ヘテロ接合体同士の交配によりTRE
B5対立遺伝子の両方がターゲティングベクターにより
破壊されたホモ接合体動物を得ることができる。
【0020】このようにして得られたホモ接合体動物で
あるトランスジェニック動物は、骨形成、免疫系に重要
な役割を持つTREB5を欠損しており、骨形成、免疫
系の疾患モデル動物として利用できる。
【0021】
【実施例】以下、実施例により本発明をより具体的に説
明するが、本発明はこれらによって制限されるものでは
ない。 (1)マウスTREB5遺伝子の単離 ターゲティングベクターの構築に用いるTREB5遺伝
子をクローニングするため、マウスTREB5cDNA
をプローブとしてC57BL/6マウス遺伝子ライブラ
リーをスクリーニングした。マウスTREB5cDNA
は、以下のように作成した。ICR系マウス(日本エス
エルシー株式会社より入手)精巣より常法に従い(ラボ
マニュアル遺伝子工学,丸善株式会社発行, 村松正實
編, 1990,76-78 )、RNAを抽出し、polyA + RNA
を調整した。polyA+ RNA5μg を用いて、 Oligo
(dT)primer(GIBCO BRL より入手)によりcDNA
を合成し、λZAPIIベクター(STRATAGENE社より入
手)にクローニングし、ヒトTREB5cDNA(EMBO
J.,9,2537-2542, 1990)をプローブとしてスクリーニン
グし、マウスTREB5cDNAを得た。
【0022】また、C57BL/6マウス遺伝子ライブ
ラリーは、STRATAGENE社のMouse Genomic Library を用
いた。得られたポジティブクローンはインサートが約19
kbあり、cDNAのコーディング領域の全てと3′ノン
コーディング領域の一部を含んでいた。
【0023】(2)ターゲティングベクターの構築 ターゲティングベクターの構築を図1を用いて以下に説
明する。5′側の相同領域としてXhoI断片の約8kb
(エクソン2の前半までを含む)を用いた。5′側相同
領域の下流にはPGK−1プロモーター及びneoをつ
なぎ、ポジティブセレクションマーカーとした。3′側
の相同領域は、約3kbのXhoI−EcoRI断片(エ
クソン2の後半から3′ノンコーディング領域前半を含
む)をneo(STRATAGENE社より入手)の下流に挿入し
た。3′側相同領域の下流にはネガティブセレクション
マーカーとして、MC1プロモーター(STRATAGENE社よ
り入手)及びDT−A(理科学研究所 相澤慎一博士よ
り入手)をつなぎ、このターゲティングベクターをpN
B−1とした。
【0024】(3)CCE細胞へのターゲティングベク
ターのエレクトロポレーション CCE細胞は129系マウス胚盤胞から樹立された胚性
幹細胞(ES細胞)である(ハーバード大学 E.J.Robe
rtson 教授より入手)。CCE細胞はneoで形質転換
したSTO細胞(ハーバード大学 E.J.Robertson 教授
より入手)をフィーダーにし(4×105細胞/35mm培養
皿)、ヒトLIFを添加(103ユニット/ml)し、20%
牛胎児血清、ヌクレオシド、非必須アミノ酸、2−メル
カプトエタノールを含むダルベッコ改変培地(実験医学
vol7, 293-298)で培養した。CCE細胞を800μlの
PBS(pH7.0)に浮遊させ、NruIで線状化した
pNB−1を添加(50μl)し、Bio Rad ジーンパルサ
ーを用い、250V/0.4cm、500μFDでエレクトロポレー
ションした。エレクトロポレーション後、24時間上記の
条件で培養し、その後、200μg/mlのG418(GIBCO
BRL より入手)を含む培地と交換した。1日ごとにフ
レッシュなG418添加培地と交換し、7−9日間培養
を続けた。
【0025】(4)相同組み換え体の同定 G418抵抗性のクローンをピックアップし、増殖させ
た。一部を液体窒素中で凍結保存し、残りよりDNAを
抽出した。相同組み換え体の検出はサザンハイブリダイ
ゼーション法で行った。DNAをHind IIIで消化
し、アガロース電気泳動を行い、3′側相同領域の外側
にあるEcoRI断片(約800bp)をプローブにサザン
ハイブリダイゼーションを行った。野性型の対立遺伝子
では、6.0kbのフラグメントが認められ、相同組み換え
体のクローンでは、6.0kbの他に、7.3kbのフラグメント
も認められた。このことからこのクローンが一方の対立
遺伝子でターゲティングベクターと相同組み換えを起こ
していることが証明された。
【0026】(5)キメラマウス及びTREB5遺伝子
破壊マウスの作製 上記のようなターゲティングにより一方のTREB5遺
伝子が破壊されたCCE細胞をC57BL/6系マウス
(日本エスエルシー株式会社より入手)胚盤胞に注入
し、仮親の子宮に移植した。ここでCCE細胞は、10−
15個注入した。その結果、61個の胚を4匹の仮親に移植
し、10匹の子を得た。毛色から、そのうち3匹がキメラ
マウスであった(雄2匹、雌1匹)。キメラマウスの雄
とA/J系マウス(日本エスエルシー株式会社より入
手)の雌あるいは、キメラマウスの雌とA/J系マウス
の雄を交配したところ、雌キメラマウスで生殖系列のキ
メラが確認され、一方のTREB5対立遺伝子がターゲ
ティングにより破壊されたヘテロ接合体マウスを得た。
ヘテロ接合体マウスの雄と雌を交配し、両方の対立遺伝
子が破壊されたホモ接合体マウスを得た。
【0027】
【発明の効果】本発明の方法によって得られるトランス
ジェニック動物は、遺伝子異常に起因する実際の病気を
反映した骨疾患の病態モデル動物として有用である。ま
た、本発明の動物またはその動物由来の体細胞を用い
て、骨疾患治療のための化学物質のスクリーニング研究
をすることが可能であり、さらに、TREB5遺伝子の
欠損に基づく疾患の治療の実験モデル動物としても有用
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】マウスTREB5遺伝子とターゲティングベク
ターの制限酵素地図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 正木 全 神奈川県小田原市栢山1123 第一清流荘 111 (72)発明者 宮木 常寛 東京都多摩市豊ヶ丘6−3−1−702

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 TREB5遺伝子の一部の領域を外来の
    遺伝子断片で置換することにより得られ、かつ、TRE
    B5を実質的にコードしない改変TREB5遺伝子を有
    することを特徴とするトランスジェニック非ヒト哺乳動
    物。
  2. 【請求項2】 哺乳動物が、前記改変TREB5遺伝子
    に関するホモ接合体であることを特徴とする請求項1記
    載のトランスジェニック非ヒト哺乳動物。
  3. 【請求項3】 1)TREB5遺伝子を特異的に破壊す
    るターゲティングベクターを構築し、2)これを発生学
    的に全能性を持つ未分化細胞に導入し、3)前記ベクタ
    ーの導入によりTREB5遺伝子が破壊された細胞のみ
    を選抜し、4)選抜された細胞を動物胚へ注入した後、
    仮親の子宮に移植してキメラ動物を作出し、5)該キメ
    ラ動物の中から生殖系列のキメラ動物のみを選抜して、
    正常な動物と交配し、6)得られた交雑集団の中から改
    変TREB5遺伝子を有する動物のみを選抜することを
    特徴とするトランスジェニック非ヒト動物の作出方法。
JP6286839A 1994-11-21 1994-11-21 Treb5遺伝子欠損動物、及びその作出方法 Pending JPH08140527A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009118852A (ja) * 1997-10-16 2009-06-04 Univ Of Georgia Research Foundation Inc 鳥の導入遺伝子についてのマグナム特異的プロモーターを含むベクター

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009118852A (ja) * 1997-10-16 2009-06-04 Univ Of Georgia Research Foundation Inc 鳥の導入遺伝子についてのマグナム特異的プロモーターを含むベクター

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