JPH08140451A - 草刈機の上面カバー構造とそのカバー構造を有する草刈機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 草の刈り取り角度を一定に保って確実な刈り
取り作業が行える草刈機の上面カバー構造を提供する。 【構成】 略水平面内を回転する回転刃５を有する草刈
機Ｍの回転刃上面をカバーする上面カバー構造におい
て、前記上面カバー１５の先端縁１５ａを、前記回転刃
５の回転軸心Ｏとほぼ同心の円弧ｗで形成し、この先端
縁１５ａの円弧ｗと前記回転刃５の描く円弧ｖとの距離
ｈをほぼ一定に形成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この出願に係る発明は、農作地等
の草（雑草）を刈り取るための草刈機に関し、特に田畑
の畦上面等の草を刈り取るのに好適な草刈機とその草刈
機の上面カバー構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、農作地等において生息する草
を刈り取るために自走式の草刈機が用いられており、こ
の自走式の草刈機として特開平５−３０８３７号公報記
載の発明がある。この発明の草刈機は、図５の斜視図に
示すように、前輪５１と後輪５２との間に図示しない回
転刃をカバーする上面カバー５３と、この回転刃を駆動
するとともに後輪を駆動するエンジン５４とが設けられ
ており、後輪５２を駆動することによって草刈機ｍを自
走させ、上面カバー５３の前面の草をこのカバー５３の
直線状に形成された先端縁５３ａからカバー内へと進入
させて回転刃で刈り取るものである。

【０００３】また、他の従来技術として、特開昭６１−
８１７２１号公報記載の発明や、実開昭６２−４２７２
９号公報記載の考案もあるが、これらはいずれも上記発
明の草刈機と同様に上面カバーの先端縁が直線状に形成
されたものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、図６(b) の
側面図に示すように、草刈機により刈り取る草ｎは高さ
が３０〜５０cm程度まで成長した時期に刈り取る場合が
多く、この草ｎを５０cmとした場合、刈り取られる草ｎ
は草刈機の進行とともに上面カバー５３内に導かれて回
転刃５５によって刈り取られることとなる。

【０００５】この時、地上から約２０cm程度の高さに設
けられた上面カバー５３内に導かれる草ｎは、この上面
カバー５３の先端縁５３ａに当接して上部が倒されなが
ら上面カバー５３内へと進入し、地上から約８〜９cmの
位置で回転刃５５に接した時点で刈り取られることとな
る。

【０００６】この草ｎが上面カバー５３の先端縁５３ａ
に当接してから刈り取られるまでの回転刃５５との関係
を、１枚の回転刃５５に限定して図６(b) と図６(a) の
平面図に基づいて説明すると、回転刃５５は草刈機の所
定位置で回転しているため、その端部が描く円弧ｕに対
して上面カバー５３の先端縁５３ａは上述したように直
線状に形成されているため、上面カバー５３の幅方向に
おいて上面カバー先端縁５３ａに当接してから回転刃５
５で刈り取られるまでの距離が大きく異なってしまう。

【０００７】このことは、例えば、図６(a) における
ａ，ｂ，ｃ位置における草ｎは、回転刃５５が描く円弧
ｕまでの直線距離ｇが大幅に異なるため、図６(b) に示
すように、回転刃５５によって刈り取られる時の倒れ方
が大きく異なり、回転刃５５の中央部においては上面カ
バー５３の先端縁５３ａに当接してから比較的短い直線
距離ｇで刈り取られるが、中央部から離れた位置及び回
転刃５５の両端部においては上面カバー５３の先端縁５
３ａに当接してから長い直線距離ｇを経てから刈り取ら
れることとなるため、回転刃５５の両端部に行くに従っ
て刈り取られる草ｎは大きく倒れた状態で刈り取られる
こととなり、この場合には、回転刃５５による草ｎの刈
り取り角度が大きな鈍角となって確実な刈り取りができ
ない場合がある。このことは草ｎの高さと上面カバー５
３の先端縁５３ａから回転刃５５までの直線距離ｇによ
って異なるが、草ｎが高くなる程顕著に現れる。

【０００８】しかも、草刈機ｍの形状によって草刈機ｍ
の幅方向における上面カバー先端縁５３ａと回転刃５５
との直線距離ｇが大幅に変化する場合があるため、草刈
機ｍの幅方向において刈り取り率が変化して両側部にお
いて確実な刈り取りが行えない場合がある。

【０００９】この出願に係る発明は上記課題に鑑みて、
草の刈り取り角度をほぼ一定に保って確実な刈り取り作
業が行える草刈機の上面カバー構造を提供することを一
つの目的とし、この上面カバー構造を設けて草刈機幅方
向の刈り取り率をほぼ一定にすることができる草刈機を
提供することをもう一つの目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項１に係る草刈機の上面カバー構造は、略水平
面内を回転する回転刃を有する草刈機の回転刃上面をカ
バーする上面カバー構造において、前記上面カバーの先
端縁を、前記回転刃の回転軸心とほぼ同心の円弧で形成
し、該先端縁の円弧と前記回転刃の描く円弧との距離を
ほぼ一定に形成したことを特徴とするものである。

【００１１】請求項２に係る草刈機は、機体幅方向のほ
ぼ中央部で略水平面内を回転する回転刃を有し、該回転
刃の上面をカバーする上面カバーを備えた草刈機におい
て、前記上面カバーの先端縁を、前記回転刃の回転軸心
とほぼ同心の円弧で形成し、該先端縁の円弧と前記回転
刃の描く円弧との距離をほぼ一定に形成したことを特徴
とするものである。

【００１２】請求項３に係る草刈機は、上記請求項２の
草刈機において、機体中心から一側方に車輪を変位させ
て配設したことを特徴とするものである。

【００１３】

【作用】請求項１に係る草刈機の上面カバー構造によれ
ば、上面カバーの先端縁の円弧を回転刃の回転軸心とほ
ぼ同心の円弧で形成することにより、上面カバーの先端
縁と回転刃との距離がほぼ一定に形成されるので、上面
カバーの先端縁に当接した草が回転刃で刈り取られる時
の刈り取り角度をほぼ一定にした刈り取り作業が行え
る。

【００１４】請求項２及び請求項３に係る草刈機によれ
ば、上面カバーの先端縁の円弧を回転刃の回転軸心とほ
ぼ同心の円弧で形成することにより、機体幅方向のほぼ
中央部に設けられた略水平面内を回転する回転刃と上面
カバーの先端縁との距離がほぼ一定に形成されるので、
上面カバーの先端縁に当接した草が回転刃で刈り取られ
る時の刈り取り角度を機体幅方向でほぼ一定にした刈り
取り作業が行える。

【００１５】特に、請求項３に係る草刈機によれば、車
輪を機体中心から一側方に変位させて配設したことによ
り、車輪から幅方向に離れた位置の草も一定の刈り取り
角度で刈り取ることができる。

【００１６】

【実施例】以下、この出願に係る発明の一実施例を図面
に基づいて説明する。図１はこの出願に係る草刈機の一
実施例を示す全体斜視図であり、図２は同草刈機全体を
示す平面図で、図３は同草刈機全体を示す側面図であ
る。

【００１７】図示するように、この実施例における草刈
機Ｍとしての主要な構成は、機体１の中心から片側（こ
の実施例では右側）に変位して前輪２と後輪３とが配設
されており、後輪３の側部には補助輪４が回動自在に設
けられている。また、機体１のほぼ中央部には１枚の回
転刃５が設けられ、この回転刃５は、その上部に設けら
れたベルト車６でベルト７を介して機体１上部に設けら
れた原動機９のベルト車８によって駆動されて所定の回
転数で回転させられる。

【００１８】更に、上記原動機９からは、その後方に設
けられた変速機１０に動力が伝達され、この変速機１０
の駆動スプロケット１１から駆動チェーン１２を介して
後輪３の車軸３ａに設けられた出力スプロケット１３へ
伝達されている。なお、１４は上記スプロケット１１，
１３とチェーン１２とをカバーするカバー部材である。

【００１９】上記回転刃５は、２枚のブレードが直線状
に形成された直刃が用いられており、回転軸心Ｏを中心
にして二点鎖線で示す円弧ｖを描いて回転するため、こ
の回転刃５の上面には、上面と両側部の３面を覆うよう
に形成された上面カバー１５が設けられ、この上面カバ
ー１５によって刈り取り時に石等が上方や側方に飛び散
らないように構成されている。

【００２０】そして、この上面カバー１５上部の先端縁
１５ａが、上記回転刃５の描く円弧ｖとほぼ同心円を描
くように、回転刃５の回転軸心Ｏと同心の円弧ｗで形成
されている。この先端縁１５ａの円弧ｗは、機体１の幅
方向両端部にガイド部１５ｂを残して回転刃５のほぼ全
幅にわたって形成されており、回転刃５の前部半円にお
いては上面カバー１５の先端縁１５ａとの距離ｈがほぼ
一定となるように形成されている。

【００２１】また、上記先端縁１５ａの円弧ｗと回転刃
５の円弧ｖとの距離ｈの差は、刈り取る草に応じて適宜
設定すればよいが、この実施例では３０〜５０cmの高さ
の草ｎを刈り取る場合に、刈り取る草ｎが大きく倒れ
ず、刈り取った草ｎが上面カバー１５から飛び出さない
好ましい距離ｈとして約４０mmに設定されている。この
距離ｈは３０〜５０mm程度が好ましい。

【００２２】なお、１５ｃは運搬用の把手であり、上面
カバー１５の全幅にわたって設けられ、上面カバー１５
下端の補強も兼ねている。

【００２３】以上のように構成されたこの実施例の草刈
機Ｍによれば、図４(a) の平面図と(b) の側面図に示す
ように作用して草刈機幅方向の刈り取り率をほぼ一定に
刈り取ることができる。

【００２４】すなわち、刈り取られる草ｎは、上面カバ
ー１５の先端縁１５ａに当接した位置から倒されるが、
この実施例の草刈機Ｍでは先端縁１５ａの円弧ｗと回転
刃５の円弧ｖとの間の距離ｈがほぼ一定に形成されてい
るため、図４(a) に示すａ，ｂ，ｃ位置における草ｎ
は、図４(b) に示すように、回転刃５との刈り取り角度
が好ましいほぼ一定の角度に保った状態で刈り取られる
こととなり、確実な刈り取り作業を行うことができる。

【００２５】また、この実施例では機体１幅方向のほぼ
中央部に回転刃５が設けられているため、上面カバー１
５の先端縁１５ａに当接した草ｎを機体幅方向でほぼ一
定した刈り取り率で刈り取ることができる。

【００２６】しかも、この実施例では先端縁１５ａの円
弧ｗと回転刃５の円弧ｖとの隙間を約４０mmに設定して
いるため、刈り取られた草ｎが上面カバー１５から飛び
散ることなく刈り取ることができる。

【００２７】ところで、上記実施例では先端縁１５ａの
円弧ｗと回転刃５の円弧ｖとを回転軸心Ｏから同心の円
弧で形成しているが、回転刃５の前面から草刈機Ｍの進
行方向と平行に刈り取られる草ｎとの関係においては、
その直線距離ｇが回転刃５の中心部に比べて両端部が長
くなる。そこで、上面カバー１５の先端縁１５ａから回
転刃５の描く円弧ｖまでの距離ｈがほぼ一定となるよう
な円弧で上面カバー１５の先端縁１５ａを形成すれば、
草刈機Ｍの進行方向と平行に刈り取られる草ｎとの距離
関係においてほぼ同一にすることができる。このように
形成すれば、回転刃５の幅方向において先端縁１５ａと
回転刃５との関係を一定にした確実な刈り取り作業が行
える。従って、この明細書において回転軸心とほぼ同心
の円弧ｗとは、回転刃５の描く円弧ｖまでの直線距離ｇ
がほぼ一定となるような円弧も含まれる。

【００２８】一方、上記実施例のように機体１の中心か
ら一側方に変位して前輪２と後輪３とが設けられている
ため、例えば、畦の縁の草を刈り取る場合、変位した両
車輪２，３の反対側を畦の縁から突出させて刈り取り作
業を行えば、畦の縁の草も確実に刈り取ることができ
る。

【００２９】なお、上記実施例では、機体１の中央部に
回転刃５を有する構成の草刈機Ｍを例に説明したが、機
体１の幅方向に複数の回転刃５を有する構成の草刈機で
あっても、各回転刃と上面カバー先端縁との距離ｈをほ
ぼ一定に形成することにより上述した実施例と同様の作
用効果を奏することができ、この出願に係る発明は、上
述した実施例に限定されるものではない。

【００３０】また、上記回転刃５も直刃以外の形状であ
っても同様の作用効果を奏することができ、刈り取る草
に応じた最適な回転刃を用いればよい。

【００３１】

【発明の効果】この出願に係る発明は、以上説明したよ
うに構成しているので、以下に記載するような効果を奏
する。

【００３２】請求項１に係る草刈機の上面カバー構造に
よれば、上面カバーの先端縁と回転刃との距離がほぼ一
定に形成されて、上面カバーの先端縁に当接した草が回
転刃で刈り取られる時の刈り取り角度をほぼ一定にした
刈り取り作業が行えるため、回転刃の幅方向で一定した
確実な刈り取り作業を行うことが可能となる。

【００３３】請求項２及び請求項３に係る草刈機によれ
ば、機体幅方向のほぼ中央部に設けられた略水平面内を
回転する回転刃と上面カバーの先端縁との距離がほぼ一
定に形成されて、上面カバーの先端縁に当接した草が回
転刃で刈り取られる時の刈り取り角度を機体幅方向で一
定にした刈り取り作業が行えるため、草刈機幅方向の刈
り取り率をほぼ一定にした刈り取り作業を行うことが可
能となる。

【００３４】特に、請求項３に係る草刈機によれば、車
輪を機体中心から一側方にずらせて配設したことによ
り、車輪から幅方向に離れた位置の草も一定の刈り取り
角度で安定した刈り取り作業を行うことが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この出願に係る草刈機の一実施例を示す全体斜
視図である。

【図２】図１の草刈機全体を示す平面図である。

【図３】図１の草刈機全体を示す側面図である。

【図４】図１の草刈機による刈り取り時の草と草刈機と
の関係を示す図面であり、(a)は平面図，(b) は側面図
である。

【図５】従来の草刈機全体を示す斜視図である。

【図６】刈り取り時の草と草刈機との関係を示す図面で
あり、(a) は側面図，(b) は平面図である。

【符号の説明】

１…機体 ２…前輪 ３…後輪 ４…補助輪 ５…回転刃 ９…原動機 １０…変速機 １５…上面カバー １５ａ…先端縁 １５ｂ…ガイド部 ｖ…円弧（回転刃） ｗ…円弧（先端縁） Ｏ…回転軸心 Ｍ…草刈機 ｎ…草 ｇ…直線距離 ｈ…距離

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 略水平面内を回転する回転刃を有する草
   刈機の回転刃上面をカバーする上面カバー構造におい
   て、 前記上面カバーの先端縁を、前記回転刃の回転軸心とほ
   ぼ同心の円弧で形成し、該先端縁の円弧と前記回転刃の
   描く円弧との距離をほぼ一定に形成したことを特徴とす
   る草刈機の上面カバー構造。
2. 【請求項２】 機体幅方向のほぼ中央部で略水平面内を
   回転する回転刃を有し、該回転刃の上面をカバーする上
   面カバーを備えた草刈機において、 前記上面カバーの先端縁を、前記回転刃の回転軸心とほ
   ぼ同心の円弧で形成し、該先端縁の円弧と前記回転刃の
   描く円弧との距離をほぼ一定に形成したことを特徴とす
   る草刈機。
3. 【請求項３】 機体中心から一側方に車輪を変位させて
   配設したことを特徴とする請求項２記載の草刈機。