JPH0813715B2 - 土壌藻類による土壌改良法 - Google Patents

土壌藻類による土壌改良法

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JPH0813715B2
JPH0813715B2 JP3146613A JP14661391A JPH0813715B2 JP H0813715 B2 JPH0813715 B2 JP H0813715B2 JP 3146613 A JP3146613 A JP 3146613A JP 14661391 A JP14661391 A JP 14661391A JP H0813715 B2 JPH0813715 B2 JP H0813715B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、土壌の改良法に係り、
特に土壌藻類を用いた荒廃した土壌あるいは砂漠化した
土壌の改良法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、わが国では政府の減反政策、その
他により、休耕田、休耕畑などの所謂休耕地が多く、こ
れらは全く手が加えられないまま自然環境に長期間放置
されている過程で、生産力が著しく劣化した荒廃地と化
している。また、世界各地の乾燥地帯を中心に進行して
いる砂漠化は全世界的に起きており、毎年約600万ヘ
クタールの広大な面積が砂漠化しているといわれている
が、この面積は、わが国の全耕地面積(約540万ヘク
タール)をかなり上回っている。砂漠化の主たる原因
は、過剰な放牧、過剰な耕作、樹木の伐採など人
為的な要因が大きい。この砂漠化を防止するために、ま
た若干とも生産性を向上させるために灌漑が行われてい
るが、過度の灌漑、不適切な水管理によって塩害を招
き、かえって砂漠化を促進するという逆効果もでてい
る。
【0003】以上のように、砂漠化に対する抜本的な解
決策が未だ見出されていないため、発展途上国を中心と
した食糧不足、燃料用木材の不足が世界的に重要な問題
となっている。上記の理由により、各研究機関で荒廃地
及び砂漠の土壌を耕地に転換するための様々な試みが為
されているが、その中で最も多用されているのが前述の
灌漑や植林による緑化である。また、比較的新しい試み
としては、現在鳥取大学で研究、試行が行われている高
分子吸水剤を土壌中に混入し、土壌の保水力を高める方
法があるが、現段階では完成された技術とはいえない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上詳述したように、
従来の技術、方法は全て未完成のものであり、その方法
によっては、むしろ砂漠化を助長するという悪現象が認
められている。すなわち、過度の灌漑は土壌の塩類蓄積
を促進し、一層の塩害、これによる砂漠化を招く原因と
なる。また、一旦砂漠化した土壌への植林は、土壌の保
水力、生産力の減退のために、極めて困難が多い。さら
に、高分子吸水剤を混入すれば土壌の保水力を高める効
果は期待できるが、高分子吸水剤そのものが分解されな
いまま土壌中に長期間、実質的に半永久的に残留するた
めに、その処理、処分が極めて厄介であり、また多額の
費用を必要とする。本発明は、この従来技術の宿命的な
欠陥を根本的に改善したものであり、全く新規な発想に
よる革新的な土壌改良法を提供するものであり、すなわ
ち、本発明は、土壌藻類により健全な土壌生態系を作り
出すことにより、継続的効果を有する砂漠化対策を提供
することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明では、耐乾性を有する土壌藻類の単一種及び
/又は複数種を培養して、生物分解性を有する高吸水性
樹脂と一体化して、又は別個に、荒廃土壌及び/又は砂
漠化土壌に散布することを特徴とする土壌藻類による土
壌改良法としたものである。すなわち、本発明は、荒廃
した土壌あるいは砂漠化した土壌に耐乾性を有する土壌
藻類を散布することにより、植物及び/又は農作物が成
育可能な耕地に転換するための土壌改良法に係り、さら
に積極的に、土壌藻類を土壌に確実に定着、繁殖させる
ために、生物分解性を有する高吸水性樹脂を散布し、
壌の高塩類濃度に対する除害対策を講じ、また微量元素
などの添加により、土壌藻類の生育環境の調整をも考慮
した土壌改良法に関するものである。
【0006】次に、本発明を詳細に説明する。本発明
は、耐乾性を有する土壌藻類の単一種及び/又は複数種
の培養体を、生物分解性を有する高吸水性樹脂と一体化
して、又は別個に、生産力が完全に劣化した土壌に散布
することにより、健全な根圏微生物の生態系を創出し、
所謂砂漠化した土壌を植物が生育可能な土壌に転換する
新規な発想法による土壌改良法である。土壌藻類とは、
土壌表面あるいは土壌中という特殊環境に生育すること
が可能な藻類の総称であり、藍藻類、緑藻類、黄緑藻
類、珪藻類及び紅藻類などの、ほとんど全ての種類に分
布している。これらの藻類は極めて乾燥に強く、火山の
噴火後の熔岩地帯のような不毛地帯に最初に生育できる
先駆種であるが、通常の藻類と同様に水中でも生育する
ことができる。
【0007】本発明は、これらの土壌藻類を通常の方法
で液体培養し、その培養液もしくは固液分離後のスラリ
ー、もしくは乾燥菌体を生物分解性を有する高吸水性樹
脂と共に砂漠化土壌に散布するものである。本発明に用
いる藻類は、土壌藻類としての特徴を有しているもので
あれば、土壌の液性などの特性に応じて、いづれの種類
を選択してもよく、例えば、藍藻であればミクロシステ
ィス(Microcystis)、ノストック(Nos
toc)、オッシラトリア(Oscillatori
a)、緑藻類ではクロロコッカム(Chlorococ
cum)、クロレラ(Chlorella)、クラミド
モナス(Chlamydomonas)、黄緑藻類では
モノヅス(Monodus)、プロイロクロリス(Pl
urochloris)、ヘテロスリックス(Hete
rothrix)、珪藻類ではナビクラ(Navicu
la)、ピヌラリア(Pinnularia)、ニッチ
ア(Nitzschia)及び紅藻類ではポルフィリジ
ウム(Porphyridium)などが対象となる。
【0008】これらの土壌藻類は、COを炭素源とし
て光合成を行うことにより生育するため、その培養方法
としては、水深の浅い表面積の広い池のような開放系
や、太陽光を効率的に導入できるソーラーバイオリアク
ターのような閉鎖系で光合成を行わせる方法があるが、
地条件によって、そのいづれの方法でも選択すること
ができる。本発明は、また砂漠化とともに地球規模の環
境問題として大きな関心を集めている地球の温暖化問題
にも著しく貢献することができる。地球温暖化の原因物
質中、最大の寄与率を示すCOは発電所、製鉄所を始
めとする化石燃料を多量に使用する産業施設から大量に
排出されるが、これらのCOを炭素源として、前述の
密閉系でのソーラーバイオリアクターにより土壌藻類を
大量培養することにより、藻類の生産だけでなく、地球
温暖化の解消にも必然的に寄与することは論を俟たな
い。
【0009】また、本発明は過度の灌漑によって及び/
又は不適確な水管理によって、通常高濃度の塩類が蓄積
している砂漠化土壌の植物に対する塩害を、生物分解性
の高吸水性樹脂を利用することにより、未然に防止でき
るだけでなく、砂漠化土壌の保水力も著しく高める効果
も同時に期待できる。具体的な方法を例示すると、土壌
藻類のうち、いづれかの種類を前記した通常の培養方法
で大量培養し、これらを液体、スラリー状あるいは固体
状とする。一方、生物分解性の高吸水性樹脂をフィルム
状、球形状などの特定の形状に成型するか、あるいは液
体ゲル状とし、これらに対して、前記した土壌藻類を添
着、包括固定するか、あるいはゲルで混合することによ
り、土壌藻類と生物分解性の高吸水性樹脂を一体化す
る。
【0010】このように加工された成型物を砂漠化土壌
中に散布して吸水(灌漑)するか、あるいはあらかじめ
十分に吸水せしめた成型物を砂漠化土壌中に散布するこ
とにより、土壌の健全な生態系を構築する基盤が創造さ
れる。生物分解性・高吸水性樹脂に添着された土壌藻
類、包括固定化された土壌藻類又は流体ゲルと混合され
た土壌藻類は、高塩類濃度の砂漠化土壌中に散布されて
も、吸水性樹脂重量の500倍〜1,000倍の、正常
な組成を有する健全な水によって高塩類濃度から保護さ
れ、藻類に対する水の供給も長期間に渡って継続的に行
われるので、土壌藻類は砂漠化土壌に確実に定着する。
【0011】また、土壌藻類と生物分解性の高吸水性樹
脂は必ずしも一体化しなくても、両者が至近距離で砂漠
化土壌に散布される場合には、当然ながら同様の効果を
発揮する。さらに、高吸水性樹脂は生物分解性であるた
めに、土壌中に長期間存在する過程で、水を徐放しなが
ら完全に分解されるので、土壌に対して種々の障害など
の禍根を残すことはない。本発明で使用する生物分解性
の高吸水性樹脂は、既に公知のもののいづれを選択して
もよく、特定のものに限定されるものではない。例え
ば、カルボキシルメチルセルロース(CMC)とポリア
クリル酸ソーダの重合体、酢酸ビニールと酢酸メチルの
共重合体、ポリ−βハイドロキシブチレートと他のカル
ボン酸との共重合体、ポリビニールアルコールなどは生
物分解性であると同時に、自重の500倍〜1,000
倍の水を吸収する。また特定の微生物(細菌、藻類な
ど)が菌体外に生産する多糖類のバイオポリマー、例え
ばグルコース、グルクロン酸などを構成糖とするバイオ
ポリマーなども前記の目的のために十分に使用すること
ができる。
【0012】荒廃土壌の改善あるいは砂漠化の防止、多
少なりとも生産性を維持するために、通常灌漑が行われ
るが、前記したように過度の灌漑、不適切な水管理によ
って灌漑用水に基因する塩害を招く事例が多い。例え
ば、1ヘクタール(10,000m)の土壌に対して
塩類濃度200〜500mg/lの用水を10,000
/年散水するものと仮定すれば、その全量が土壌に
蓄積するとして土壌表面に対して0.5kg/m
年、10年間では5kg/mの塩類が供給されること
になる。この計算例のように、溶脱する塩類を見込んで
も、本発明で利用する土壌藻類及び植物も生育できない
ほどに高濃度の塩類が蓄積される。しかし、その反面、
土壌藻類が健全に発育するため、及び/又は大気中の窒
素を固定するために必要な微量元素、例えば、リン、モ
リブデン、マグネシウム、コバルト、銅、亜鉛、鉄など
が欠乏し、土壌藻類が正常に発育できない事例が多々認
められる。従って、本発明ではこの種の障害を解消する
ために、土壌藻類の単一種及び/又は複数種の混合培養
体あるいは生物分解性の高吸水性樹脂にこれらの必須微
量元素を混合及び/又は包括し、砂漠化土壌に散布する
手段を講ずるのがよい。
【0013】
【作用】ここ10年来、世界各地の乾帯地帯で進行しつ
つある耕地の砂漠化は、地球環境問題の一環として深刻
に受けとめられ、砂漠化防止法及び/又は技術が全世界
的に研究されているが、現時点で完成された方法/技術
はなく、抜本的な対応策、解決策の確立が強く要望され
ている。このような現実に対して、本発明は従来技術に
はない、全く新しい発想に基づく革新的な砂漠化土壌の
改良法を提供するものである。即ち、本発明は、極めて
乾燥に強い、所謂土壌藻類の単一種及び/又は複数種を
各種の培養形態で生物分解性を有する高吸水性樹脂と共
土壌に散布し、最低限の灌漑によって土壌藻類を増殖
せしめ、植物が正常に生育するに必要な根圏微生物の生
態系を構築するための、初期段階の先駆種としての役割
を演じさせる。
【0014】また、砂漠化土壌は、通常過度のあるいは
長期的な灌漑により高濃度の塩類が蓄積されており、土
壌藻類の増殖が阻害される。この種の障害を排除するた
めに、本発明では前記した各種の生物分解性の高吸水性
樹脂に土壌藻類を添着あるいは包括固定あるいは流体ゲ
ル混合物として砂漠化土壌に散布し、高度に吸水した樹
脂によって土壌藻類が直接高濃度の塩類と接触し、生育
阻害をうけることを防止するとともに、土壌の保水力を
著しく高める作用効果がある。さらに、砂漠化土壌に土
壌藻類と一体化して、あるいは個別に散布した高吸水性
樹脂は、それ自身、分子内の水を徐放しながら生物学的
に分解されるために、土壌に残留することはなく、植物
が生育するに必要な根圏微生物に対して有機炭素源を提
供する作用も確実に期待できる。
【0015】また、砂漠化土壌は通常、土壌藻類が増殖
するに必要な、前記した各種の微量元素のうち、そのい
づれかが欠乏していることが多いが、これらの必須元素
のいづれかを極く微量土壌藻類とともに、あるいは土壌
に添加することにより藻類の発育を促進することが可能
である。以上より、本発明は荒廃土壌及び/又は砂漠化
土壌を、完全に植物が生育できる耕地に転換できる画期
的な土壌改良法である。また、本発明において、直接的
な役割を演じているのは藻類であり、これらは光合成機
能により大気中のCOを大量に固定できるので、当然
ながら、地球の温暖化の解消に著しく貢献する優れた土
壌改良法である。
【0016】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。参考 例1 微細藻類の土壌改良作用および作物への生育促進作用に
関する実験は、条件設定および得られたデータの解折が
容易であることから、1リッター容量のポット試験で行
った。微細藻類の作物への生育促進作用に関する実験系
を設定するにあたって、使用する土壌は得られたデータ
の一般性を考慮し、市販のビートに窒素、リン酸、カ
リ、カルシウム、マグネシュームおよび植物の成長に必
要な微量元素を加えたのち滅菌した人工のものを用い
た。このポットに土壌藻類であるアナベナ(Anaba
ena)とノストック(Nostoc)をそれぞれ1ポ
ット当たり500mg添加した試験区と、無添加の対照
区をつくり、ラディシュを植えてその成長の違いを観察
した。表1に植えてから4週間後の試験区および対照区
のラディシュの根および地上部(葉、茎)の重量と成長
率の違いについて示した。
【表1】 表1に明らかなように、土壌藻類の添加により顕著な作
物の生育促進がみられた。
【0017】参考例2 微細藻類の土壌改良作用に関する実験は、現在土壌環境
を考えるうえで最も問題となっている。塩類集積土壌に
対する土壌微細藻類の影響をみるためにおこなった。土
壌試料として、化学肥料の過剰施肥により塩類が過剰に
集積した土壌を採取し、滅菌後実験に使用した。この土
壌を入れたポットに、土壌藻類であるアナベナ(Ana
baena)とノストック(Nostoc)をそれぞれ
1ポット当たり1.5g添加した試験区と無添加の対照
区をつくり、定期的に水を散布しつつ4週間放置した。
表2に4週間後の試験区と対照区の変化について示し
た。
【表2】 藻類を添加した試験区では、作物に対する塩類障害の原
因となる交換性ナトリウム量が顕著に減少している。ま
た、優良な耕地の指標である団粒構造や透水性が、対照
区と比較して数倍に増加している。このように、土壌藻
類の添加によって顕著な土壌改良作用が認められた。
【0018】実施例 本実施例は、研究の対象として、砂漠化土壌の耕作地へ
の転換を目的としたものである。供試土壌として、有効
径0.6mmの上水用のろ過砂を選定した。このろ過砂
を水道水で十分に洗浄し、不純物を完全に溶脱(水道水
に含まれる無機成分は含まれる)したのち、土壌藻類が
必須元素として要求するモリブデン、マグネシウム、
銅、亜鉛、コバルト、鉄、リン、加里及び窒素などを塩
類として微量添加し、常法により滅菌した。この滅菌ろ
過砂(以下土壌と表現する)を、30cm×15cm×
20cm(有効深)(底部には通水用の孔を有する)の
プランター4基に、容積としてそれぞれ9リットルづつ
を充填し、4系列での各種の比較実験を行った。このう
ち、実験(4)が本発明の実施例である。
【0019】各実験系の実験条件を表3に示す。
【表3】 *1:通常の水道水で、表土が乾燥状態となった時点
で、プランター底部の孔から水がもれる程度に適宜散水
した。 *2:CMC(カルボキシルメチルセルロース)とポリ
アクリル酸ソーダを適度に重合させた生物分解性の高吸
水性樹脂。この樹脂に十分に吸水(約500倍の水を吸
収する)させて流動状態としたものに土壌藻類各々7g
づつを添加して混合し、球状弾性体となった流体ゲル
を、実験(4)の表土に約2cm深さの土壌にほぼ均一
となるように散布する。
【0020】比較実験の手順としては、実験(2)〜
(3)に関しては、予め液体培地でそれぞれ別個に大量
培養した土壌藻類のアナベナ(Anabaena)とノ
ストック(Nostoc)を濃縮乾燥し、土壌9リット
ルに対してそれぞれ7gづつを表土からの深さ0〜2c
mの範囲に散布、混合した。実験(4)は、表−3 *
2の方法に準拠し、土壌藻類を生物分解性の高吸水性樹
脂により、高塩類環境から保護し、土壌藻類を散布して
から約3ケ月間、表土が目視的に乾燥してきた時点で、
土壌藻類の生育の良、不良に関係なく、実験(1),
(2)に関しては水道水、実験(3),(4)に関して
は食塩15,000mg/lを添加した水道水を散布し
た。このような手法により適度に土壌藻類が増殖し、熟
成土壌が形成されたことを確認したのちに、実験(1)
〜(4)の土壌に対して予め約20時間水に浸漬した大
根の種子(水から取りあげたのち、乾燥する)を正確に
200粒づつ、表土から約1cmの深さにほぼ均等な間
隔になるように播種した。
【0021】表−4に、1ケ月後の対照区〔実験区
(1)〕と試験区〔実験区(2)〜(4)〕の実験結果
を、土壌藻類の生育状態と大根種子の発芽率を示した。
【表4】
【0022】以上、表4の実験結果は、次の事実を証明
しているものと理解することができる。 (1)砂漠化土壌には、適宜散水(灌漑)しても作物は
生育できない。 (2)砂漠化土壌でも、塩類の蓄積がなければ土壌藻類
は繁殖が可能であり、根圏微生物群が正常に構築され、
作物の栽培にまったく支障をきたさない。 (3)塩類が高濃度に蓄積した砂漠化土壌では、散水を
行っても土壌藻類の生育は阻害され、作物は健全な発育
ができない。 (4)塩類が高濃度に蓄積された砂漠化土壌でも、生物
分解性の高吸水性樹脂により土壌藻類及び作物の種子は
苛酷な環境から保護され、作物は正常に発育することが
できる。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、次のような効果を奏す
ることができる。 (1)土壌藻類を砂漠化土壌に散布することにより、極
めて効果的にこれを植物生育が可能な耕地に転換するこ
とができる。 (2)さらに土壌藻類を生物分解性の高吸水性樹脂に添
着、包括固定などにより一体化あるいは個別に土壌に散
布することにより、土壌藻類を塩害から保護できるだけ
でなく、樹脂は水を徐放しながら分解し、さらに樹脂自
身は根圏微生物増殖のための有機物質として利用され
る。 (3)また、砂漠化土壌及び/又は土壌藻類を添着、包
括固定化した高吸水性樹脂に、土壌藻類が要求する各種
の微量元素を混合して土壌に散布することにより、
(1),(2)の効果を格段に助長することができる。
【0024】(4)土壌藻類は衆知の通り、太陽光エネ
ルギーが供給される条件下において、大気中のCO
大量に固定して有機物に変換し、また大気中の窒素を固
定する菌種も多いので、土壌藻類を散布して、適度な灌
漑を行うだけで土壌の有機化が達成される。また、大量
のCOの固定により、地球の温暖化の軽減あるいは解
消に著しく貢献することができる。 (5)土壌藻類の多くは、固定したCOの20〜30
%を菌体外に有機酸、アミノ酸、脂質、ビタミン類ある
いは核酸など植物に対して成長効果のある物質を分泌す
る。従って、これらの土壌藻類を散布した土壌を耕作地
として利用する場合、より多くの収穫を期待することが
できる。
【0025】(6)土壌藻類の多くは、主として多糖類
などの粘質物を分泌するので、土壌の水分保持能力の増
大、および土壌の団粒構造の形成による物理的性状の改
善、土壌(表土)粒子の流出防止などの2次的効果も生
ずる。 (7)散布された土壌藻類は、(3)の効果も付加され
て若干の水分の供給下で自己増殖するために、継続的な
土壌改良効果が期待できるだけでなく、改良範囲が経年
的に周辺にまで拡大していくことが期待できる。今後は
土壌藻類及び/又は土壌藻類と生物分解性の高吸水性樹
脂を組み合せた本発明の思想に基づく荒廃土壌、及び砂
漠化土壌の改良法がこの種の技術の主流になるであろう
ことは疑がう余地がない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C09K 101:00 (72)発明者 足立 正 神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株 式会社 荏原総合研究所内 (72)発明者 滝沢 悦子 神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株 式会社 荏原総合研究所内 (56)参考文献 米国特許3969844(US,A) 〜NITROGEN CYCLING SOUTHーEAST ASIAN WE T MONSOONAL ECOSYS T.,PROC.REG.WORKSHO P」1981,P.44−50 「PLANT AND SOIL],88 (2),P.159−169

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐乾性を有する土壌藻類の単一種及び/
    又は複数種を培養して、生物分解性を有する高吸水性樹
    脂と一体化して、又は別個に、荒廃土壌及び/又は砂漠
    化土壌に散布することを特徴とする土壌藻類による土壌
    改良法。
  2. 【請求項2】 前記土壌藻類の培養は、土壌藻類が増殖
    及び機能を発現するのに不可欠な微量元素を添加して行
    うことを特徴とする請求項1記載の土壌藻類による土壌
    改良法。
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