JPH08134497A

JPH08134497A - 洗浄剤

Info

Publication number: JPH08134497A
Application number: JP29195994A
Authority: JP
Inventors: Hideo Otomo; 英生大友; Haruo Negishi; 晴夫根岸; Toshihiro Otsu; 俊広大津; Tamotsu Kuwata; 有桑田
Original assignee: Meiji Milk Products Co Ltd
Current assignee: Meiji Dairies Corp
Priority date: 1994-11-02
Filing date: 1994-11-02
Publication date: 1996-05-28

Abstract

(57)【要約】【構成】ホエーをイオン交換樹脂処理して得られる非
吸着画分を主成分とする乳清ミネラル及び／又はその処
理物を含有してなる洗浄剤。【効果】洗浄剤の洗浄力を低下させることなく、皮膚
に潤いを与え、肌荒れを抑制することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、洗浄剤に関するもので
あり、更に詳細には、ホエーをイオン交換樹脂処理して
得られる非吸着画分を主成分とする乳清ミネラル及び／
又はその処理物を含有してなる洗顔料、シャンプー、台
所洗剤等の洗浄剤に関するものである。

【０００２】本発明の目的は、牛乳に含まれる天然の保
湿成分を有効に利用してなる、すぐれた洗浄力を有しし
かも肌の乾燥や荒れ防止等の効果の大きい洗浄剤を提供
することである。

【０００３】

【従来の技術】従来より洗浄剤には、肌と接触した場
合、本来の機能である洗浄力の他に、使用後の肌の乾
燥、荒れを抑制する機能が求められる。したがって、従
来より、流動パラフィン等の炭化水素類、動植物油、グ
リセリン等の保湿剤が洗浄基材と共に配合されている。
また、スフィンゴ糖脂質やリン脂質を配合した例も開示
されている（特開平２−４８５２０）。しかしながら、
これらは少量の配合では肌の乾燥防止抑制効果が充分で
はないし、これとは逆に、多量に配合すると、洗浄機能
の低下、使用後のべたつきといった弊害が認められる。
また、スフィンゴ糖脂質やリン脂質は高価である。

【０００４】一方、牛乳中には、皮膚の天然保湿成分で
あるＮＭＦ（ＮａｔｕｒａｌＭｏｉｓｔｕｒｉｚｉｎ
ｇＦａｃｔｏｒ）の構成成分類似物が多量に含まれて
おり、そのような意味で牛乳は洗浄剤の素材として有望
と考えられるが、牛乳中にはアレルギーの原因物質と考
えられるカゼイン、β−ラクトグロブリン、α−ラクト
アルブミン等の高分子蛋白質が含有されており、洗浄効
果の低下と合わせて、そのまま使用することは皮膚に対
する安全性の面からも好ましくない。

【０００５】こうした観点から、生乳、脱脂乳、ホエー
等を限外濾過することによって、上記有害物質を除去
し、低分子画分のみを含む濾液を洗浄剤として利用する
ことが考えられるが、限外濾過で除去される画分の中に
は、糖たんぱく質や、核酸誘導体等皮膚の保湿に有用な
成分が含まれていること、並びに低分子画分の中にも加
熱やｐＨの変化等で可逆的な重合を起こす成分が含まれ
ていることから、限外濾過法だけで精製した乳清ミネラ
ルは保湿及び皮膚の保護成分として十分とは言えない。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
した欠点のないすぐれた洗浄剤を開発することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するためになされたものであって、牛乳より安全かつ
生理的活性の高い複数成分を効率良く分離し、それを洗
浄剤に配合する目的で鋭意研究した結果、遂に完成した
ものである。その特徴は、ホエーをイオン交換樹脂処理
した非吸着画分から更に乳糖を除去して既知の乳清ミネ
ラルに比べて生理活性物質の含有量が高い、新しいタイ
プの乳清ミネラルを得て、それを洗浄剤に配合すること
にある。

【０００８】上記した新しいタイプの乳清ミネラルに
は、生理活性成分として、グリコマクロペプチド（ＧＭ
Ｐ）が固形分換算でホエーの約２倍量含まれており、シ
アル酸及びその誘導体はホエーの約４倍量含まれてい
る。

【０００９】一方乳清ミネラルを利用した化粧料等につ
いては、既に特許が出願され、特開昭６３−１７９８１
８号及び特開平１−２５４６１０号として出願公開され
ている。これらのうち、前者は、限外濾過法によって得
られた乳清ミネラルを浴剤に配合するもので、前述の生
理活性物質は非常に少ないことが確認されている。後者
は、牛乳より分子量１３，０００以上の高分子物質を除
去した組成物を配合することを特徴とする化粧料に関す
るものである。

【００１０】しかしながら、生理活性物質及び生理活性
物質の誘導体には分子量１３，０００以上の高分子物質
が多いことが知られている。例えば静菌作用等の効果が
報告されているラクトフェリンは分子量約８０，０００
であり、紫外線防御効果が期待されているＤＮＡには分
子量１００万以上のものもある。したがって、洗浄剤と
してまた、それへの配合成分として、保湿、肌荒れ抑制
以外の効果、効能等までも期待できる該乳清ミネラルと
しては、本発明のように生理活性成分の含有量が高く、
かつα−ラクトアルブミンや、β−ラクトグロブリン等
アレルギー原因成分を除去したものであるといえる。

【００１１】本発明において使用する乳清ミネラルとし
ては、ホエーをイオン交換樹脂処理して得られる非吸着
画分それ自体、及び／又は、その処理物である。その処
理物としては、該非吸着画分から乳糖を一部ないし全部
除去したもの、あるいは、分子量１００，０００以上の
高分子物質を除去してなるもの、その他該非吸着画分の
処理物がすべて包含される。

【００１２】本発明において使用する上記した乳清ミネ
ラルは、例えば次のようにして調製する。

【００１３】チーズホエーおよびその他ホエーを、必要
あればｐＨ調整した後に、イオン交換樹脂で処理する。
イオン交換樹脂としては、陽イオン交換樹脂、陰イオン
交換樹脂がいずれも使用可能であるが、蛋白質選択吸着
性を有するタイプのものは特に有効である。具体的には
スルホン酸基、スルフォプロピル基、カルボキシル基、
カルボキシメチル基を有するタイプのもの、４級アンモ
ニウム基、１〜３級アミン、同アミドを有するタイプの
ものがセルロース系、シリカ系を問わず使用できる。通
常市販品が適宜使用可能であるが、カルボキシメチルセ
ルロース系、スルフォプロピルセルロース系が良好であ
る。

【００１４】本発明において使用する非吸着画分の処理
物は、例えば次のようにして調製する。

【００１５】上記によりイオン交換樹脂処理して得られ
た非吸着画分を濃縮、冷却することにより、乳糖を結晶
化せしめてこれを除去し、あるいはその他既知の乳糖除
去手段によって、乳糖を一部あるいは全部除去して、乳
清ミネラルを得る。得られた乳清ミネラルは、上記のよ
うに液状のままとしてもよいが、保存や取扱いのうえか
ら、これを噴霧乾燥や、凍結乾燥等常用される乾燥手段
によって乾燥しても良い。

【００１６】また、必要に応じて殺菌するが、作業性、
経済性、殺菌効果等を勘案するとプレート式殺菌機を使
って瞬間殺菌することが望ましい。もちろん公知のどの
手段も採用可能である。また熱変性を可能なかぎり避け
たいときは、孔径０．２μ程度の精密濾過膜を使って細
菌を濾過すれば良い。また透明溶液が必要なときは、清
浄化後精密濾過膜若しくは限外濾過膜を使って加圧濾過
し、透明度を上げることができる。膜の形態、材質は、
公知のものが使用できる。精密濾過により透明度を上げ
るときは、孔径が０．２μ以下のものが望ましい。また
限外濾過法を利用するときは、生理活性物質を透過液側
に移行させる必要があることにより、分画分子量１０
０，０００以上の膜を利用し、濾過圧１０ｋｇ／ｃｍ²
に耐えられる膜が要求される。

【００１７】このようにして得られた本発明に係る乳清
ミネラルに含まれる成分は、次のとおりである。

【００１８】（１）一般分析（分析例）本乳清ミネラルに含まれる成分の一般分析を下記表１に
示す。

【００１９】

【表１】

【００２０】（２）主として含まれるミネラル（灰分）ナトリウム、カリウム、塩素、リン、カルシウム、マグ
ネシウム。

【００２１】（３）微量に含まれるミネラル（灰分）ヨウ素、亜鉛、鉄、銅、マンガン。

【００２２】（４）主として含まれるアミノ酸セリン、アスパラギン酸、スレオニン、グルタミン酸、
プロリン、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシ
ン、ロイシン、フェニルアラニン、リジン、ヒスチジ
ン、アルギニン、メチオニン。

【００２３】（５）微量に含まれるアミノ酸トリプトファン、シスチン、チロシン。

【００２４】（６）主として含まれる核酸関連物質ＤＮＡ、ＲＮＡ、ウリジン、５′−ウリジル酸、５′−
シチジル酸、オロチン酸、アデニン誘導体。

【００２５】（７）主として含まれる上記以外の非蛋白
態窒素化合物尿素、アンモニア、ホスホセリン、オルチニン、シトル
リン、グルコサミン、クレアチン、クレアチニン。

【００２６】（８）主として含まれる生理活性物質シアル酸及びその誘導体、グリコマクロペプチド、各種
ホルモン類、各種ビタミン類。

【００２７】含窒素成分含量は、水溶液の透明化レベル
で異なるが、生理活性物質の含量を勘案すると、粗蛋白
質（Ｎ×６．３８）として３〜１５％の範囲にする必要
がある。

【００２８】本発明に係る洗浄剤は、洗顔料、シャンプ
ー、台所洗剤その他すべての洗浄剤であって、常法にし
たがって洗浄剤に常用される基剤、助剤等に有効成分
（既述した乳清ミネラル）を適量、例えば０．００１〜
１５％、好ましくは０．０１〜１０％配合して製造すれ
ばよい。該有効成分は、食品由来のものであるゆえ、本
来、毒性に問題はなく、安全性は高い。

【００２９】洗顔クリームを調製するには、例えば、精
製水に親水性成分例えばグリセリン、ソルビットなどの
保湿剤を添加して水相部とし、各種脂肪酸とアルカリを
加えて加温ケン化し、更に脂肪アルコールを添加、混合
し、有効成分は０．０１〜１．０％になるように加えて
クリームとする。

【００３０】以下、本発明を、製造例及び実施例につい
て更に説明する。

【００３１】

【製造例１】チーズホエーをｐＨ３〜４、好ましくは
３．５程度に調整した後、イオン交換樹脂を充填したカ
ラムを通し、非吸着画分を得た。イオン交換樹脂として
はインデイオンＳタイプ陽イオン交換樹脂（ライフ・テ
クノロジー社（ニュージーランド）商品名）を用いた。
樹脂カラムを通過した非吸着画分は、クラリファイヤー
を使って清浄化後、孔径０．２μの精密濾過膜を使って
濾過した後、減圧濃縮、冷却して乳糖を結晶させ、これ
を除去した後、残液を噴霧乾燥して本発明に係わる乳清
ミネラルを製造した（このサンプルを乳清ミネラルＩと
する）。

【００３２】一方、対照品として、本発明に係わる乳清
ミネラルの出発原料と同一のチーズホエーを限外濾過
し、この透過液を減圧濃縮し、以下同様に本発明に係わ
る乳清ミネラルの製造法に基づき製造した（このサンプ
ルを乳清ミネラルIIとする）。調製した各々の組成比較
は下記の表２の通りである。

【００３３】

【表２】

【００３４】

【実施例１】下記表３の処方に基づき、製造例１で得た
本発明に係る乳清ミネラルＩ及び乳清ミネラルII配合
（配合割合：０％、０．３％、０．５％、１．０％）の
洗顔クリームを７種類調製した。

【００３５】

【表３】

【００３６】本発明に係る洗顔クリームの効果を次のよ
うにして確認した。

【００３７】皮膚に異常が認められない健常者７０人を
１群１０人に分け、入浴前に表３に示した洗顔クリーム
で洗顔させた。試験期間は７日間とした。効果は、洗顔
後の肌のつっぱり感、かさつきの有無、程度、及び、７
日間使用した後の肌の状態観察から評価した。

【００３８】結果を下記表４に示した。その結果から明
らかなように、乳清ミネラルＩは、その添加量が高い程
洗顔後のつっぱり感やかさつきが小さく、肌の保湿効果
の大きいことが明らかとなった。また、連続使用によっ
ても肌荒れが生じないことも確認された。なお、表中、
＊において、数字は該当人数を示し、＊＊において、各
符号はそれぞれ次のことを意味する。＋＋：非常にあ
る、＋：ある、±：わずかにある、−：ない。

【００３９】

【表４】

【００４０】

【実施例２】大豆油に浸漬した木綿布を濾紙にはさみ、
過剰な油分を除いた後、１片３ｃｍの布片を作成した。
一方、実施例１で調製した洗顔クリームを４０℃の温水
に２％（ｗ／ｗ）で溶解しておき、これに布片を投入し
て５分間攪拌した。布片を１００ｍｌの水で５回すすい
だ後、クロロホルム：メタノール（２：１）混液５０ｍ
ｌに１時間浸漬し、油分の抽出を行った。

【００４１】油分の抽出結果を下記表５に示した。その
結果から明らかなように、いずれの試料も抽出量に差が
なく、乳清ミネラルは洗浄力を劣化させないことが明ら
かとなった。

【００４２】

【表５】

【００４３】

【実施例３】製造例１で得た乳清ミネラルＩを用いて、
下記表６により台所用洗剤を製造した。

【００４４】

【表６】

【００４５】

【発明の効果】本発明に係る洗浄剤は、本来の機能であ
る洗浄力には劣化がなく、しかも皮膚に安全であり、ま
た、保湿、肌荒れ抑制に対してすぐれた効果を有する。
なお、これらを洗浄剤に配合するに当っては、特に制限
はなく、通常の洗浄基剤に任意に配合することができ
る。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者桑田有東京都東村山市栄町１−21−３明治乳業株式会社栄養科学研究所内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ホエーをイオン交換樹脂処理して得られ
る非吸着画分を主成分とする乳清ミネラル及び／又はそ
の処理物を含有してなることを特徴とする洗浄剤。
【請求項２】（Ａ）ホエーをイオン交換樹脂処理して
得られる非吸着画分を主成分とする乳清ミネラル、
（Ｂ）当該乳清ミネラルより部分脱乳糖して得らる乳清
ミネラル、及び（Ｃ）当該乳清ミネラルより分子量１０
０，０００以上の高分子物質を除去して得られる乳清ミ
ネラル、からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有
してなることを特徴とする洗浄剤。