JPH08134468A - 炭素繊維用等方性ピッチの製法 - Google Patents

炭素繊維用等方性ピッチの製法

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JPH08134468A
JPH08134468A JP29783394A JP29783394A JPH08134468A JP H08134468 A JPH08134468 A JP H08134468A JP 29783394 A JP29783394 A JP 29783394A JP 29783394 A JP29783394 A JP 29783394A JP H08134468 A JPH08134468 A JP H08134468A
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pressure
temperature
isotropic pitch
carbon fiber
pitch
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JP29783394A
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Takehiro Koizumi
岳弘 小泉
Bunsaku Otake
文作 大竹
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Showa Shell Sekiyu KK
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  • Vaporization, Distillation, Condensation, Sublimation, And Cold Traps (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 石油系原料から出発し、簡単にかつ処理段階
の少ない製造工程でトルエン不溶分を多く含み、キノリ
ン不溶分の少ない軟化点180℃以上の炭素繊維用等方
性ピッチを製造する点にある。 【構成】 接触分解残査油の触媒を除去後流下膜蒸留装
置における減圧蒸留により沸点400℃以下の留分を除
去して得られた残渣油に熱改質処理をほどこし、次い
で、遠心式分子蒸留装置で軽質分を除去し、炭素繊維強
度向上に望ましい成分(トルエン不溶分)を多く含み、
不溶性固形分(キノリン不溶分)の少ない軟化点180
℃以上の炭素繊維用等方性ピッチの製法において、前記
熱改質処理を圧力0.1Torr〜常圧、温度130〜
350℃の条件下で酸化性ガスを1時間当り、残渣油1
kgに対して0.3〜7リットルの通気量で1〜60時
間吹き込んで行うことを特徴とする炭素繊維用等方性ピ
ッチの製法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、石油系炭素繊維前駆体
である炭素繊維用等方性ピッチの製造法に関するもので
ある。
【0002】
【従来技術】従来から、炭素繊維は、一般にその機械的
強度の観点から高性能炭素繊維と汎用炭素繊維に大別さ
れており、高性能炭素繊維はメソフェーズピッチ、汎用
炭素繊維は等方性ピッチを原料としている。
【0003】高性能炭素繊維はロケットや航空機などの
特殊な材料、ゴルフクラブ、テニスラケット等の用途に
供され、汎用炭素繊維は断熱材、帯電防止材、摺動材、
フィルター類等の用途に供されている。近年、高性能炭
素繊維はより性能の高度化を要求され、汎用炭素繊維は
用途の広がりと共に、より一層低廉に製造することが望
まれている。
【0004】一方、汎用炭素繊維の原料である等方性ピ
ッチの製造には簡易な方法と安価な原料が求められてい
る。このような要求に対応するためには、例えば石油系
重質油(接触分解残査油等)から炭素繊維前駆体ピッチ
を製造するにあたっては、重質油を適切に改質調整する
必要がある。例えば、特開昭61−190587号に
は、熱処理後溶剤抽出し、さらに、分子量範囲を改良す
るために、2段目の熱処理する方法が提案されている。
また、特公昭60−57478号には、熱処理して得ら
れたピッチを熱濾過処理し、不融解成分を除去し、さら
に減圧処理する方法が開示されている。
【0005】不融解成分を除去するために溶剤を使用す
ることはピッチの溶解、溶剤の回収などの工程が複雑化
するだけでなく、あらゆる点で不経済である。また、熱
濾過法等は、不融解成分がフィルターの目詰まりを生じ
易く生産性が悪い点などの問題点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の石油系炭素繊維
は、原料が安価である一方、前述のように複雑な工程を
経なければならないため、必ずしも経済的ではなかっ
た。本発明の目的は、石油系原料から出発し、簡単にか
つ処理段階の少ない製造工程でトルエン不溶分を多く含
み、キノリン不溶分の少ない軟化点180℃以上の炭素
繊維用等方性ピッチを製造する点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、接触分解残査
油の触媒を除去後流下膜蒸留装置における減圧蒸留によ
り沸点400℃以下の留分を除去して得られた残渣油に
熱改質処理をほどこし、次いで、遠心式分子蒸留装置で
軽質分を除去し、炭素繊維強度向上に望ましい成分(ト
ルエン不溶分)を多く含み、不溶性固形分(キノリン不
溶分)の少ない軟化点180℃以上の炭素繊維用等方性
ピッチの製法において、前記熱改質処理を圧力0.1T
orr〜常圧、温度130〜350℃の条件下で酸化性
ガスを1時間当り、残渣油1kgに対して0.3〜7リ
ットルの通気量で1〜60時間吹き込んで行うことを特
徴とする炭素繊維用等方性ピッチの製法に関する。
【0008】本発明の方法に用いる原料油は高芳香族の
ものが好ましい。流動接触分解油は芳香族化合物を多く
含んでいるが、好ましくは芳香族指数50以上のものが
望ましい。芳香族化合物の多い点ではコールタールピッ
チの方が優っているが、コールタールピッチは不溶性固
形分を多く含み、その除去のため溶剤抽出工程が必要で
あり、工程が複雑化する。そこで重質油を接触分解した
際に生ずる接触分解油を蒸留などにより処理した後に得
られる残査油を用いるのが好適である。
【0009】接触分解の具体的な条件は重質油などの種
類によって異なるが、通常は反応温度400〜650
℃、反応圧力は減圧乃至数百気圧である。また、この接
触分解の際に用いる触媒はシリカ−アルミナあるいはシ
リカ−アルミナにゼオライトを混合したものなどがあ
る。そのため、本発明の原料となる重質油接触分解残査
中には触媒が灰分として通常0.01〜2重量%程度含
まれているので、これを0.005重量%以下になるよ
う脱灰処理してから使用することが好ましい。
【0010】炭素繊維用ピッチが軽質留分を含むと溶融
紡糸時にノズル汚れを来し、紡糸時に糸切れが多く安定
した紡糸ができない。また、多量の軽質分の存在はピッ
チ系の不融化処理が困難となり処理に長時間を要する。
本発明で接触分解残査油より軽質留分を除去する方法と
して流下膜蒸留装置を用いているが、一般的な減圧蒸留
装置より蒸留時の加熱工程の温度を低くすることができ
る。すなわち、流下膜蒸留装置は蒸発面に内部回転ロー
ラーにより残査油が塗布されて均一で極薄な液膜となる
ため、加熱が迅速で平均化され、しかも一般的な蒸留温
度より低い温度で連続的に軽質分を除去することができ
る。さらに、流下膜蒸留装置を使用しているので接触分
解残査油の性状変動にも対応できるのである。とくに流
下膜蒸留装置を多段で通常は二段で使用すれば、一層接
触分解残査油の性状変動に充分対応でき、均一な蒸留残
査が得られる。その結果蒸留残査留分は前記低温で酸化
性ガスを吹き込む熱処理でトルエン不溶分を十分高める
まで反応を行っても、メソフェーズや不溶固形分の生成
がほとんどなく、メソフェーズや不溶固形分の溶媒によ
る分離除去操作やフィルター濾過処理を必要としないの
である。
【0011】接触分解によって得られる接触分解油を蒸
留などにより分解ガス、ガソリン、軽油、残査油等に分
けられるが、本発明に用いる残査油は一般的に接触分解
全体の約4〜20重量%程度である。この接触分解残査
油を減圧蒸留で400℃以下の留分を除去し、遠心式分
子蒸留装置により減圧下で蒸留し、沸点500℃以下の
留分を除去して軟化点180℃以上のピッチを得るので
あるが、それでも原油の種類や接触分解の条件の変化に
より残査油の性状が変化し、紡糸性や炭素繊維強度など
に望ましい成分を多く含んだピッチを安定して得ること
は分子蒸留だけでは難しい。そこで、本発明において
は、分子蒸留の前に熱改質処理を行うことにより残査油
を改質した後、遠心式分子蒸留装置により蒸留し、望ま
しい性状の軟化点180℃以上のピッチを得るものであ
る。
【0012】本発明者等の研究により高芳香族重質油等
を熱処理すると熱分解や熱重合の反応により、芳香族分
子が広がりを持った縮合芳香族環平面分子となり、それ
が、更に進行、積層したものが光学的に異方性を示すメ
ソフェーズを生成することになり、更に進行すると不溶
性炭素固形分(キノリン不溶分)になる。
【0013】等方性ピッチは、光学的に異方性のものを
全く含んでいないが、炭素繊維強度の面からトルエン不
溶分を多く含むことが望ましい。しかし、光学的異方性
成分(メソフェーズ)やキノリン不溶分が存在しないよ
うな熱処理は必要である。すなわち、トルエン不溶分は
増加させるがメソフェーズやキノリン不溶分は生成して
はならないことが等方性ピッチにおける熱処理条件の重
要な点である。
【0014】これは、熱処理原料油の熱履歴が重要で、
350℃以上の高温の影響を回数多く部分的に受けない
ことが望ましい。すなわち、熱処理によりトルエン不溶
分が多く生成し、メソフェーズやキノリン不溶分の生成
しない条件で処理しても、部分的に高温度に影響された
部分はメソフェーズや不溶固形分にまで反応が進行し、
等方性ピッチにメソフェーズ(異方性ピッチ)が少量混
合したピッチが生成する。
【0015】例えば、この異方性部分は等方性部分とは
粘度、比重等の性質が異なっている場合が多く、等方性
ピッチに少量の異方性部分が混在している場合、等方性
部分が紡糸に適した粘度となる温度でも異方性部分の粘
度が高いままであるため安定した紡糸が困難となるた
め、メソフェーズやキノリン不溶分を溶剤処理、濾過処
理等の工程により除去することが必要になり工程の複雑
化、経済面で、不利となる。この様に等方性ピッチを製
造する場合は、メソフェーズ(異方性部分)をいかに生
成させないようにするかということが重要となる。
【0016】一般的に高温度の影響を受けるのは熱処
理、水素化処理等で、他に接触分解残査油の濃縮におけ
る減圧蒸留の加熱工程で400℃近くに加熱される場合
が多い。本工程の流下膜蒸留装置の加熱温度は250℃
以下であるため高温度の影響を受けない熱処理原料油が
得られるので望ましい性状を持ち軟化点180℃以上の
等方性ピッチが得られるのである。
【0017】本発明の熱改質処理は圧力0.1Torr
〜常圧、好ましくは0.2Torr〜常圧、温度130
〜350℃、好ましくは150〜330℃の条件下で酸
化性ガス例えば、空気、酸素、オゾン、二酸化窒素等を
含むガス、あるいはこれらを二種以上を混合したガスを
1時間当り、残渣油1kgに対して0.3〜7リットル
の通気量、好ましくは1時間当り、残渣油1kgに対し
て0.5〜6リットルの通気量で吹き込み処理時間1〜
60時間、好ましくは3〜48時間で行う。温度が高
く、処理時間を長くすると分解縮重合が進行しすぎメソ
フェーズやキノリン不溶分が生成し好ましくない。しか
し、炭素繊維強度に望ましい成分のトルエン不溶分を多
く含むように分解縮重合を適当に調整することが重要で
ある。
【0018】さらに、本発明においては、ひきつづき遠
心式分子蒸留装置を用いることにより改質熱処理と相ま
って、軽質分の除去は基より炭素繊維強度に望ましい成
分を多く含んだ、紡糸性の良い軟化点180℃以上のピ
ッチを得ることを見いだしたものである。
【0019】前記遠心式分子蒸留装置における処理は、
圧力0.01〜1.0Torr、好ましくは0.02〜
0.8Torr、温度250〜370℃、好ましくは2
80〜360℃で行うことが好ましい。圧力が高すぎる
と軽質分の除去が不十分となって炭素繊維用ピッチの品
質の低下を招く。また、温度が高すぎるとコーキングや
不溶性固形分の生成が多く、圧力が低すぎるとピッチの
収率低下となり真空装置を大型化する必要がある。
【0020】前記流下膜蒸留装置は、2つを直列にして
使用することが好ましく、流下膜蒸留装置の1段目は圧
力0.3〜5Torr、好ましくは0.4〜4Tor
r、温度180〜230℃、好ましくは190〜220
℃の条件下で減圧蒸留し、さらに、2段目は圧力0.0
2〜0.2Torr、好ましくは0.03〜0.1To
rr、温度190〜250℃、好ましくは200〜24
0℃の条件下で減圧蒸留することが望ましい。
【0021】以下に本発明の一具体例を図1を参照して
詳細に説明する。原料の接触分解残査油はライン1を経
て触媒除去装置2に送入され、触媒を除去した後、ライ
ン3から触媒除去残査油槽4に貯えられる。触媒除去残
査油はライン5から第一脱気槽6に送入され、残査油中
の水分、軽質分の一部が除かれてライン7を経て第一流
下膜蒸留装置8で圧力0.3〜5Torr、温度180
〜230℃の条件で減圧蒸留され軽質分はライン9を経
て第一軽質留分槽10に貯えられ、一部はライン11を
経て系外に抜き出される。
【0022】第一流下膜蒸留装置8の残査留分はライン
12を経て第二流下膜蒸留装置13に送入され圧力0.
02〜0.2Torr、温度190〜250℃で減圧蒸
留され、軽質留分はライン14を経て第二軽質留分槽1
5に貯えられ、一部がライン16より系外に抜き出され
る。第二流下膜蒸留装置13での残査留分は残査留分槽
17に貯えられる。残査留分はライン18を経て熱処理
槽19に送入され、圧力0.1Torr〜常圧、温度1
30〜350℃の条件下で酸化性ガスを1時間当り、残
渣油1kgに対して0.3〜7リットルの通気量で1〜
60時間熱処理した後、ライン20を経て脱気槽21で
軽質分の一部を除去した後、ライン22を経て遠心式分
子蒸留装置23に送入され圧力0.01〜1.0Tor
r、温度250〜370℃で処理し、沸点500℃以下
の留分はライン24を経て第三軽質留分槽25に貯えら
れ、ライン26より系外に抜き出される。
【0023】遠心式分子蒸留装置23により軽質留分を
除去した残査ピッチはライン27を経てピッチ貯槽28
に貯えられ、必要に応じてライン29を経てピッチが抜
き出される。
【0024】つぎに遠心式分子蒸留装置の詳細を図2の
具体例を挙げて説明する。凝縮ドーム30と本体プレー
ト31はOリングを介してフランジ結合されており、本
体内部は排気孔32を通じて真空ポンプにより高真空に
維持されている。試料はフィードポンプによりプレヒー
ター、フィードパイプ等を介して回転皿34中央に供給
され遠心力の作用によってミスト飛散の生じない均一な
薄膜を形成する。続いて、蒸発皿の下部に設けられたシ
ースヒーター35により主に蒸発潜熱を与えられて蒸発
し、蒸発分は対向の凝縮面36に凝縮され留分グッター
37に集められる。また、留分残査液は残査グッター3
8に集められて、それぞれ装置外へ流出される。
【0025】
【実施例】以下、実施例、比較例により本発明を具体的
に説明するが、本発明はこれにより限定されるものでな
い。
【0026】実施例1 接触分解残査油をフィルター濾過装置2で触媒除去した
後の性状を表1に示す。
【表1】 接触分解残査油の性状 比重 1.08 粘度 193.7 cSt/50℃ H/C原子比 H−NMR Ha 1.00 Hα 0.86 Hβ 0.66 Hγ 0.36 芳香族指数 67.3 蒸留性状 初留 237℃ 5% 325℃ 10% 353℃ 30% 398℃ 50% 429℃ 70% 462℃ 90% 519℃ 95% 563℃ 終点 654℃
【0027】触媒除去された接触分解残査油を第一段目
の流下膜蒸留装置8において圧力0.8Torr、温度
215℃の条件下で130リットル/Hの流速で連続蒸
留処理を行い接触分解残査に対して第一軽質留分54.
7%、第一残査留分45.3%を得た。この第一残査留
分を第二段目の流下膜蒸留装置13において圧力0.0
2Torr、温度220℃の条件下で連続蒸留を行い第
一残査留分に対して第二軽質留分64.4%、第二残査
留分35.6%を得た。この第二残査留分の性状を表2
に示す。
【0028】
【表2】
【0029】第二残査留分槽17に貯えた第二残査留分
を熱処理槽19において圧力0.2Torr、温度16
0℃の条件下で酸素を1時間当り、残渣油1kgに対し
て2リットルの通気量で6時間吹き込んで処理した後、
遠心式分子蒸留装置23によって圧力0.10Tor
r、温度300℃で蒸留することにより目的とする炭素
繊維用等方性ピッチを第二残査留分に対して27.0%
の高収率で得た。熱処理条件、分子蒸留条件、及び、得
られた等方性ピッチの性状を表3に示した。
【0030】得られた等方性ピッチを紡糸温度280℃
で溶融紡糸したところ糸切れがなく、きわめて良好であ
った。この紡糸ピッチを空気中において300℃で不融
化処理したが融着などは見られなかったので、さらに、
窒素雰囲気下1000℃で炭化処理を行い炭素繊維を得
た。炭素繊維の性状を表5に示した。
【0031】実施例2 実施例1と同じ接触分解残査油をフィルター濾過装置2
で触媒を除去した後、流下膜蒸留装置8、13の二段で
軽質留分を減圧蒸留除去して得られた表2に示す性状を
有する第二残査留分を原料に用いた。図1に示した熱処
理槽19において圧力0.2Torr、温度160℃の
条件で酸素を1時間当り、残渣油1kgに対して0.5
リットルの通気量で24時間吹き込んで処理した後、遠
心式分子蒸留装置23において圧力0.10Torr、
温度300℃で蒸留することにより目的とする炭素繊維
用等方性ピッチを第二残査留分に対して29.3%の高
収率で得た。熱処理条件、分子蒸留条件、及び、得られ
た等方性ピッチの性状を表3に示した。得られた等方性
ピッチを紡糸温度280℃で溶融紡糸したところ糸切れ
がなく、きわめて良好であった。この紡糸ピッチを空気
中において300℃で不融化処理をしたが融着はみられ
なかったので、さらに、窒素雰囲気下1000℃で炭化
処理を行い炭素繊維を得た。炭素繊維の性状を表5に示
した。
【0032】実施例3 実施例1と同じ接触分解残査油をフィルター濾過装置2
で触媒を除去した後、流下膜蒸留装置8、13の二段で
軽質留分を減圧蒸留除去して得られた表2に示す性状を
有する第二残査留分を原料に用いた。図1に示した熱処
理槽19において常圧、温度280℃の条件下で酸素を
1時間当り、残渣油1kgに対して0.5リットルの通
気量で6時間吹き込んで処理した後、遠心式分子蒸留装
置23によって圧力0.1Torr、温度300℃で蒸
留することにより目的とする炭素繊維用等方性ピッチを
第二残査留分に対して30.2%の高収率で得た。熱処
理条件、分子蒸留条件、及び、得られた等方性ピッチの
性状を表3に示した。得られた等方性ピッチを紡糸温度
280℃で溶融紡糸したところ糸切れがなくきわめて良
好であった。この紡糸ピッチを空気中において300℃
で不融化処理をしたが融着はみられなかったので、さら
に、窒素雰囲気下1000℃で炭化処理を行い炭素繊維
を得た。炭素繊維の性状も併せて表5に示した。
【0033】実施例4 実施例1と同じ接触分解残査油をフィルター濾過装置2
で触媒を除去した後、流下膜蒸留装置8、13の二段で
軽質留分を減圧蒸留除去して得られた表2に示す性状を
有する第二残査留分を原料に用いた。図1に示した熱処
理槽19において圧力1.0Torr、温度160℃の
条件でNO25%含有空気を1時間当り、残渣油1kg
に対して2リットルの通気量で6時間吹き込んで処理し
た後、遠心式分子蒸留装置23において圧力0.10T
orr、温度300℃で蒸留することにより目的とする
炭素繊維用等方性ピッチを第二残査留分に対して25.
1%の高収率で得た。熱処理条件、分子蒸留条件、及
び、得られた等方性ピッチの性状を表3に示した。得ら
れた等方性ピッチを紡糸温度280℃で溶融紡糸したと
ころ糸切れがなくきわめて良好であった。この紡糸ピッ
チを空気中において300℃で不融化処理をしたところ
融着は見られなかったので、さらに、窒素雰囲気下10
00℃で炭化処理を行い炭素繊維を得た。炭素繊維の性
状を表5に示した。
【0034】比較例1 実施例1と同じ接触分解残査油をフィルター濾過装置2
で触媒を除去した後、流下膜蒸留装置8、13の二段で
軽質留分を減圧蒸留除去して得られた表2に示す性状を
有する第二残査留分を原料に用いた。図1に示した熱処
理槽19において圧力0.2Torr、温度160℃の
条件で窒素を1時間当り、残渣油1kgに対して2リッ
トルの通気量で6時間吹き込んで処理した後、遠心式分
子蒸留装置23において圧力0.10Torr、温度3
00℃で蒸留することにより目的とする炭素繊維用等方
性ピッチを第二残査留分に対して16.5%の高収率で
得た。熱処理条件、分子蒸留条件、及び、得られた等方
性ピッチの性状を表4に示した。得られた等方性ピッチ
を紡糸温度280℃で溶融紡糸したところ糸切れがなく
きわめて良好であった。この紡糸ピッチを空気中におい
て300℃で不融化処理をしたところ融着が多く見られ
たが、さらに、窒素雰囲気下1000℃で炭化処理を行
い炭素繊維を得た。しかし炭素繊維の性状を測定するに
当たり、炭素繊維の強度が弱く測定不能であった。
【0035】比較例2 実施例1と同じ接触分解残査油をフィルター濾過装置2
で触媒を除去した後、流下膜蒸留装置8、13の二段で
軽質留分を減圧蒸留除去して得られた表2に示す性状を
有する第二残査留分を原料に用いた。図1に示した熱処
理槽19において圧力0.2Torr、温度160℃の
条件、吹き込み気体無し24時間処理した後、遠心式分
子蒸留装置23によって圧力0.1Torr、温度30
0℃で蒸留することにより目的とする炭素繊維用等方性
ピッチを第二残査留分に対して15.8%の収率で得
た。熱処理条件、分子蒸留条件、及び、得られた等方性
ピッチの性状を表4に示した。得られた等方性ピッチを
紡糸温度280℃で溶融紡糸したところ糸切れがなくき
わめて良好であった。この紡糸ピッチを空気中において
300℃で不融化処理をしたところ融着が多く見られた
が、さらに、窒素雰囲気下1000℃で炭化処理を行い
炭素繊維を得た。しかし、炭素繊維の性状を測定するに
当たり炭素繊維の強度が弱く測定不能であった。
【0036】比較例3 実施例1と同じ接触分解残査油をフィルター濾過装置2
で触媒を除去した後、流下膜蒸留装置8、13の二段で
軽質留分を減圧蒸留除去して得られた表2に示す性状を
有する第二残査留分を原料に用いた。図1に示した熱処
理槽19において圧力0.2Torr、温度380℃の
条件で酸素を1時間当り、残渣油1kgに対して2リッ
トルの通気量で6時間吹き込み処理した後、遠心式分子
蒸留装置23によって圧力0.1Torr、温度300
℃で蒸留することにより目的とする炭素繊維用等方性ピ
ッチを第二残査留分に対して32.1%の収率で得た。
熱処理条件、分子蒸留条件、及び、得られた等方性ピッ
チの性状を表4に示した。得られた炭素繊維用ピッチを
紡糸温度280℃で溶融紡糸したところノズル詰まりが
起こり連続紡糸ができなかった。そこで、ピッチを偏光
顕微鏡で観察したところ数ミクロンのメソフェーズ球が
観察された。
【0037】比較例4 実施例1と同じ接触分解残査油をフィルター濾過装置2
で触媒を除去した後、流下膜蒸留装置8、13の二段で
軽質留分を減圧蒸留除去して得られた表2に示す性状を
有する第二残査留分を原料に用いた。図1に示した熱処
理槽19において圧力0.2Torr、温度280℃の
条件で酸素を1時間当り、残渣油1kgに対して2リッ
トルの通気量で6時間吹き込み処理した後、遠心式分子
蒸留装置23によって圧力2.0Torr、温度400
℃で蒸留運転を開始したところ、蒸留状態が不安定とな
り図2に示した遠心式分子蒸留装置のドーム凝縮面38
の上部より落下する留分が蒸発皿34の回転により飛沫
となりドーム内部のフィードノズル33等に付着固形化
して運転が不能になりピッチが得られなかった。熱処理
条件、分子蒸留条件等を表4に示す。
【0038】比較例5 実施例1と同じ接触分解残査油をフィルター濾過装置2
で触媒を除去した後、流下膜蒸留装置8、13の二段で
軽質留分を減圧蒸留除去して得られた表2に示す性状を
有する第二残査留分を原料に用いた。図1に示した熱処
理槽19において圧力0.2Torr、温度160℃の
条件で酸素を1時間当り、残渣油1kgに対して0.5
リットルの通気量で24時間処理した後、遠心式分子蒸
留装置23において圧力0.005Torr、温度25
0℃で蒸留することにより目的とする炭素繊維用等方性
ピッチを第二残査留分に対して29.7%の収率で得
た。熱処理条件、分子蒸留条件、及び、得られた等方性
ピッチの性状を表4に示した。得られた等方性ピッチを
紡糸温度250℃で溶融紡糸したところ糸切れがなくき
わめて良好であった。この紡糸ピッチを空気中において
300℃で不融化処理をしたところ融着が非常に多く見
られたが、さらに、窒素雰囲気下1000℃で炭化処理
を行い炭素繊維を得た。しかし、この炭素繊維は融着が
多く性状を測定できなかった。
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
【表5】
【0042】
【効果】本発明によれば、従来価値のない副生物として
取り扱われていた接触分解残査油を用いて、簡単な操作
で、等方性炭素繊維用ピッチを製造することができる。
また、従来の製造方法の工程にあるメソフェーズや不溶
固形分の溶剤添加による分離除去処理やフィルター濾過
処理による除去などの複雑な操作を必要とせず、さら
に、流下膜蒸留装置の採用や酸化性ガスの使用による高
温を必要としない熱改質処理の採用により加熱コストの
面からも大幅に製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に当たり使用した連続式炭素繊維
用等方性ピッチ製造装置の概略図を示す。
【図2】本発明に用いた遠心式分子蒸留装置を示す。
【符号の説明】
1 ライン(接触分解残査油ライン) 2 フィルター濾過装置 3 ライン(触媒除去油ライン) 4 触媒除去残査油槽 5 ライン(触媒除去油フィードライン) 6 第一脱気槽 7 ライン(第一脱気油フィードライン) 8 第一流下膜蒸留装置 9 ライン(第一軽質留分ライン) 10 第一軽質留分槽 11 ライン(第一軽質留分抜き出しライン) 12 ライン(第一残査留分ライン) 13 第二流下膜蒸留装置 14 ライン(第二軽質留分ライン) 15 第二軽質留分槽 16 ライン(第二軽質留分抜き出しライン) 17 第二残査留分槽 18 ライン(第二残査留分フィードライン) 19 熱処理槽 20 ライン(熱処理フィードライン) 21 第二脱気槽 22 ライン(第二脱気油フィードライン) 23 遠心式分子蒸留装置 24 ライン(第三軽質留分ライン) 25 第三軽質留分槽 26 ライン(第三軽質留分抜き出しライン) 27 ライン(残査ピッチライン) 28 残査ピッチ槽 29 ライン(残査ピッチ抜き出しライン) 30 凝縮ドーム 31 本体プレート 32 排気口 33 フィードノズル 34 蒸発皿 35 シースヒーター 36 凝縮面 37 留分グッター 38 残査グッター 39 留分抜出口 40 残査抜出口 41 本体駆動モーター 42 モートルシリンダー 43 軸封装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D01F 9/15

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 接触分解残査油の触媒を除去後流下膜蒸
    留装置における減圧蒸留により沸点400℃以下の留分
    を除去して得られた残渣油に熱改質処理をほどこし、次
    いで、遠心式分子蒸留装置で軽質分を除去し、炭素繊維
    強度向上に望ましい成分(トルエン不溶分)を多く含
    み、不溶性固形分(キノリン不溶分)の少ない軟化点1
    80℃以上の炭素繊維用等方性ピッチの製法において、
    前記熱改質処理を圧力0.1Torr〜常圧、温度13
    0〜350℃の条件下で酸化性ガスを1時間当り、残渣
    油1kgに対して0.3〜7リットルの通気量で1〜6
    0時間吹き込んで行うことを特徴とする炭素繊維用等方
    性ピッチの製法。
  2. 【請求項2】 前記流下膜蒸留装置は、2つを直列にし
    て使用するものである請求項1記載の炭素繊維用等方性
    ピッチの製法。
  3. 【請求項3】 前記遠心式分子蒸留装置における処理
    が、圧力0.01〜1.0Torr、温度250〜37
    0℃の条件下で減圧蒸留し軽質留分を除去するものであ
    る請求項1または2記載の炭素繊維用等方性ピッチの製
    法。
  4. 【請求項4】 流下膜蒸留装置の1段目は、圧力0.3
    〜5Torr、温度180〜230℃の条件下で減圧蒸
    留し、さらに、2段目は圧力0.02〜0.2Tor
    r、温度190〜250℃の条件下で減圧蒸留するもの
    である請求項2または3記載の炭素繊維用等方性ピッチ
    の製法。
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