JPH08133824A - 硬化アルミナ質材料およびその製法 - Google Patents

硬化アルミナ質材料およびその製法

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JPH08133824A
JPH08133824A JP7229851A JP22985195A JPH08133824A JP H08133824 A JPH08133824 A JP H08133824A JP 7229851 A JP7229851 A JP 7229851A JP 22985195 A JP22985195 A JP 22985195A JP H08133824 A JPH08133824 A JP H08133824A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】酸化アルミニウム(Al2 3 )を主成分とし
て含むアルミナ質研削材、アルミナ質セラミック、単結
晶酸化アルミニウム(サファイヤ)などのアルミナ質材
料ないしこれを用いた製品の硬度を著しく高める。 【解決手段】酸化アルミニウムを主成分とするアルミナ
材の一部または全部を、酸化アルミニウムに固溶する酸
化物または弗化物の添加によって、微小ビッカース硬さ
2600(×0.9807N/mm2 、試験荷重300
×9.807mN)以上に硬化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、酸化アルミニウム
(Al2 3 )を主成分として含むアルミナ質研削材、
アルミナ質セラミック、単結晶酸化アルミニウム(サフ
ァイヤ)などのアルミナ質材料ないしはこれを用いた製
品の硬度を著しく高める技術に関する。
【0002】
【発明の背景】たとえば、酸化アルミニウム(Al2
3 )の純度の高いアルミナ質研削材として、WA研削材
がある。その硬さは、図1に示されるように、ビッカー
ス硬さが約2000である(図1中、WA#24参
照)。図1は、各種砥粒の硬さを調べた結果を示すグラ
フである。なお、炭化ケイ素系の砥粒であっても、図1
中、GC#30(A社製)、GC#30(B社製)、C
#24(A社製)、C#24(B社製)に示されるよう
に、その硬度は3000前後である。
【0003】したがって、WA研削材の硬さを増大させ
ることができれば、炭化ケイ素系のC、GCあるいはC
BNなどのより硬い研削材を用いて行われていた研削加
工の分野に適用可能である。
【0004】純度の高い酸化アルミニウム(Al
2 3 )微粒を圧縮・焼結して製作されたアルミナ系セ
ラミック切削工具(いわゆる白セラミック工具)の硬さ
は、せいぜいビッカース硬さ約1800にすぎない(図
5のグラフ中、無処理工具(A)参照)。この場合につ
いても、この種のセラミック工具の硬さを増大させるこ
とができると、工具磨耗の進行を抑制して工具性能を向
上させることができる。
【0005】さらに、焼結酸化アルミニウム(Al2
3 )材を素材とする種々のセラミック製品は工業分野に
限らず各種の分野で用いられている。工業分野では、た
とえば軸受け素材などに使用されており、玉軸受けに一
般に用いられているアルミナ質のベアリングボールのビ
ッカース硬さは約1800である。これらのセラミック
製品についても、その硬さを増大させることができれ
ば、耐磨耗性および耐久性等の性能を向上させて、利用
分野を広げることができる。
【0006】また、ベルヌーイ法などによって作られる
酸化アルミニウム(Al2 3 )の単結晶は、添加物あ
るいは不純物を含む場合、サファイヤ、ルビー、アレキ
サンドライト、トパーズ、アクアマリン、スピネルなど
とよばれ、人造宝石として用いられるほか、たとえば、
レーザ素子あるいは精密機械や腕時計の軸受け、レコー
ド針などの耐磨耗部材に使用されている。不純物の少な
い人造サファイヤ単結晶は無色透明であることから(無
色の酸化アルミニウム(Al2 3 )単結晶もサファイ
ヤとよばれる)、腕時計の文字板を覆う透明板などに使
用されている。
【0007】図13のサファイヤ表面の硬さを調べた結
果を示すグラフ中「無処理面」に示されるように、上記
のような酸化アルミニウム単結晶のビッカース硬さは、
試験荷重1000gfではくぼみ周りに亀裂が生じ、約
2000弱、試験荷重50gfではくぼみ周りに亀裂が
生じることなく、約2500弱程度である。したがって
これらの酸化アルミニウム単結晶についても、その硬さ
を増大させることができれば、それを素材としている製
品の耐磨耗性、耐損傷性、耐久性などの向上を図ること
ができるようになる。さらに、硬さを増大させたサファ
イヤを研磨成形して切削工具を形成することができれ
ば、単結晶ダイヤモンド切削工具では振動切削などの特
別の工夫をしない限り不可能とされる鉄系金属の鏡面切
削加工用の切削工具として用いることができる。
【0008】
【発明の要約】本願発明は、以上のような事情のもとで
上述したアルミナ質材料ないしこれを用いた製品の硬度
を著しく高めるべく種々検討した結果完成にいたったも
のであり、酸化アルミニウムを主成分とするアルミナ材
の一部または全部を、酸化アルミニウムに固溶する酸化
物または弗化物の添加によって、微小ビッカース硬さ2
600(×0.9807N/mm2 、試験荷重300×
9.807mN)以上に硬化させることを中心概念とす
る。
【0009】上記アルミナ材には、研削材(砥粒)の形
態をもつもの、焼結セラミックの形態をもつもの、アル
ミナ単結晶の形態をもつもののすべてが含まれる。
【0010】また、上記アルミナ材に添加物を加える方
法としては、次のような方法がある。
【0011】 原料の酸化アルミニウム(Al
2 3 )に適当な形の添加物、添加物の塩類、あるいは
添加物またはその塩類の溶液を加えて熱分解を行い、原
料粉末を作り、添加物を酸化アルミニウムに固溶させる
べくそれらを熱処理加工する。
【0012】 すでにできあがった高純度の酸化アル
ミニウム(Al2 3 )粉末に添加物の粉末を加えて原
料粉末として、添加物を酸化アルミニウムに固溶させる
べく熱処理加工する。
【0013】 すでにできあがっている上記のアルミ
ナ質を主成分とするアルミナ質研削材、アルミナ質セラ
ミック切削工具材、それらによるアルミナ質セラミック
製品、アルミナ質セラミック材料、アルミナ質単結晶な
どを、添加すべき物質の粉末中に埋め込み、あるいは接
触させて熱処理を行い、添加物質を固溶状態において内
部に拡散させる。
【0014】添加物としては、酸化アルミニウム(Al
2 3 )に固溶しうる酸化物あるいは弗化物が適当であ
ることが判っており、たとえば、Fe2 3 ,Fe2
3 ,SiO2 ,K2 O,MnO,Na2 O,Li2 O,
Ga2 3 ,Gd2 3 ,N 2 5 ,SO3 ,Ho2
3 ,In2 3 ,La2 3 ,Li2 O,TiO2 ,L
2 3 ,ZrO2 ,Y2 3 ,Nd2 3 ,P
2 5 ,SrO,PbO,Sc2 3 ,RF2 ,Zn
O,Sm2 3 ,SnO2 ,Ta2 5 ,Tm2 5
UO2 ,V2 5 ,Yb2 3 ,NaF,RbF,Al
3 ,CaF2 ,NaF,LiF,MgF2 ,B
2 3 ,BaO,BeO,ThO2 ,Bi2 3 ,CO
2 ,CaO,Cr2 3 ,K2 O,CeO2 ,Dy2
3 ,Er2 3 ,Eu23 などがある。これらの物質
の1種または複数種を、酸化アルミニウムに固溶させ
る。
【0015】実験の結果、この添加物が酸化アルミニウ
ムに固溶して硬さを増大させうる添加比率は、3重量%
以下、好ましくは2.5重量%以下であることが判明し
ている。その場合、アルミナ質材の硬度は、微小ビッカ
ース硬さで少なくとも2600(×0.9807N/m
2 、試験荷重300×9.807mN)以上、最大で
4000にも及び、驚異的な硬度増加が認められた。
【0016】本願発明のその他の側面および利点は、以
下に示す好ましい実施形態の説明より明らかとなろう。
【0017】
【好ましい実施形態】以下においては、アルミナ材に添
加物を加える方法として、上記「」の方法を採用し、
高純度WA砥粒、高純度酸化アルミニウム(Al
2 3 )微粒を加圧・焼結して得られたアルミナ系セラ
ミック切削工具(いわゆる白セラミック工具)、酸化ア
ルミニウム(Al2 3 )微粒に焼成助剤を添加の上、
適当な手段によって成形し、これを焼結するなどして得
られる一般的なアルミナ質セラミック材料、および、酸
化アルミナ単結晶(サファイヤ)につき、TiO2 等を
添加した場合について、順次説明する。なお、熱処理
は、図2に示される電気炉を用いた。
【0018】実施形態例1〈高純度WA砥粒の場合〉
【0019】表1は、各種砥粒の成分および性状を示
し、本実施形態では、このうち、酸化アルミニウムの純
度が99.5%以上であるWA砥粒を用いた。
【0020】
【表1】
【0021】図3は、WA砥粒にTiO2 を添加した結
果、その硬さが増大したことを示すグラフである。この
図は、WA砥粒をTiO2 の粉末であるアナターゼ型、
ルチル型、アモルファス型の各々と個別に混合し、図2
の炉中で1573Kで50時間加熱した後取り出し、W
A砥粒のみを選んで樹脂に埋め込み、WA砥粒断面を研
磨してそのビッカース硬さを測定した結果を示す。この
ようにTiO2 を添加処理したWA#24砥粒の他に、
無処理のWA#24砥粒、単に1573Kで20時間加
熱処理のみを行ったWA#24砥粒、TiO2 を添加処
理したA#24砥粒、無処理の同じくA#24砥粒の場
合の硬さを比較できるように同図中に併せ示した。
【0022】これらのビッカース硬さの測定は、JIS
R1610−1991「ファインセラミックスのビッ
カース硬さ試験方法」に従って行った。試験荷重を変化
させて測定しているが、試験荷重が300gfより大き
いとビッカースくぼみの角から亀裂が生じる場合が多
い。亀裂が生じた場合は図中の点を黒く塗りつぶして示
している。
【0023】図3に示されるように、「無処理のWA#
24砥粒」はビッカース硬さが約2000前後である
が、「TiO2 添加処理したWA#24砥粒」はTiO
2 粉末の型がいずれであっても、そのビッカース硬さは
3000から4000に増大した。図3中の「WA#2
4、加熱処理のみ」は、WA砥粒をTiO2 粉末に埋め
込まないで、単に加熱処理のみを行った場合を示し、こ
の場合の砥粒の硬さは増大せず、「無処理、WA#2
4」とほとんど同じ硬さである。これにより、加熱処理
のみでこの砥粒の硬さは増大しないことが確認された。
【0024】また、図3中、「A#24、TiO2 添加
処理」は、A砥粒をTiO2 粉末に埋め込んで加熱処理
した場合を示し、「無処理、A#24」の場合の値とほ
ぼ等しい。このように、A#24砥粒にTiO2 を添加
処理しても硬さが増大しないことが確認された。
【0025】表2は、JIS R6123−1987
「アルミナ質研削材の化学分析法解説」による8社の各
々の実験結果による平均とレンジの各種砥粒の不純物成
分を示す。この表によるとWA砥粒中のTiO2 は検出
できない程度の量である。A砥粒中のTiO2 は約3%
である。上記の「A#24、TiO2 添加処理」のA砥
粒はTiO2 が約3%以上添加されているはずであるか
ら、約3%以上TiO2を添加しても硬さは増大しな
い。したがって、WA砥粒の硬さを増大させるTiO2
の添加量は、3%以下となる。
【0026】
【表2】
【0027】図4は、WA砥粒のTiO2 添加の処理条
件を変えて硬さの増大を調べた結果を示す。高温で処理
時間が長くなるとかえって硬さの増大効果が低下するこ
とが判る。高温でかつ処理時間が長いことはWA砥粒へ
のTiO2 の添加量が増えることを意味する。したがっ
て、所望の硬さを得るべくWAを添加するべきTiO 2
の量には適当な値があることが判り、その値は、表2を
参照して前述したことから、約3%以下であると推定で
きる。
【0028】実施形態例2〈白セラミック工具の場合〉
【0029】図5に、純度の高い酸化アルミニウム(A
2 3 )微粒を加圧・焼結して作製されたアルミナ系
セラミック切削工具(いわゆる白セラミック工具)にT
iO 2 を添加処理することによりその硬さが増大した例
を示す。図5には、白セラミック工具をTiO2 の粉末
中に埋め込み、図2の炉中で1573Kで20時間加熱
保持した後取り出し、図5上に示す断面を研磨して、そ
の面のビッカース硬さを測定した結果が、無処理工具の
場合と併せて示されている。ビッカース硬さの測定は前
述のJISによる方法で行い、試験荷重は500gfの
一定値としてある。同図から判るように、無処理工具の
断面のビッカース硬さは一様に約1800前後である
が、TiO2 添加処理工具の断面では、表面から約1m
mの深さのところで、硬さは最大値約3000に増大し
ている。
【0030】図6および図7は、工具断面での深さ方向
への硬さ分布を示し、これにより硬さ増大に対するTi
2 添加処理条件の影響が判る。この図6および図7か
ら、工具表面へのTiO2 添加量が増加するような処理
条件になるほど、硬さ最大値が工具内部に移動する。こ
のことから、この白セラミック工具の場合も前述の研削
材の場合のように酸化アルミニウム焼結切削工具の硬さ
を最大にするTiO2の添加量には適量があることが判
り、約3%以下であると推定できる。
【0031】図8は、純度の高い酸化アルミニウム(A
2 3 )を焼結して製作されたアルミナ系セラミック
切削工具(いわゆる白セラミック工具)にTiO2 添加
処理して硬さを増大させ、それを用いて構造用炭素綱S
55Cを4種類の切削速度で切削して、工具磨耗の進行
を調べた結果を無処理の工具の場合と比較して示してい
る。TiO2 添加処理工具と無処理工具とでは、逃げ面
磨耗はほとんど差はないが、すくい面磨耗は処理工具の
ほうが磨耗進行が少なく、したがって、この種のセラミ
ック工具にTiO2 を添加処理することにより、工具磨
耗の進行を抑制することができることが判る。
【0032】実施形態例3〈アルミニウム質セラミック
材料の場合〉
【0033】図9に、酸化アルミニウム(Al2 3
微粒に焼結助剤を添加した上で適当な手法によって成形
し、これを加熱焼結するなどして得られる一般的なアル
ミナ質セラミック材料にTiO2 を添加処理することに
よりその硬さが増大する様子を示す。TiO2 の添加処
理の手法は、加熱温度と加熱時間を除き、上記白セラミ
ック工具の場合と同様である。図9から判るように、無
処理の場合に比較して、TiO2 の添加処理をすると、
このセラミック材料の表面近くのビッカース硬さが最大
2800にも及ぶ。そして、この場合においても、硬さ
のピークは、加熱処理の合計時間が長くなるほど、表面
から内部に移動している。これは、処理時間が長くなる
ほど、TiO2 が材料の表面から内部に浸透し、最大硬
度を実現できる濃度(約3%)を示す部位が次第に表面
から内部へ移動するからである。
【0034】図10は、図9の場合に対してTiO2
添加処理条件を変更した場合を示し、加熱処理のみを行
った場合をあわせ示している。1273KでのTiO2
添加処理を5時間ずつ3回行った場合に対し、1273
KでのTiO2 添加処理を5時間ずつ3回行った後、さ
らに1273Kでの加熱のみを5時間行った場合の比較
が表れている。同図から判るように、TiO2 の添加処
理を行った後、加熱処理のみを行うと、硬さ分布がなだ
らかになる。これは、加熱により、TiO2 が内部に浸
透し、TiO2 の濃度分布がなだらかになるためである
と推定される。このような2段階の処理を行うことによ
り、表面からの硬化層厚みを増大させることができる。
【0035】図11は、上記と同様の一般的なアルミナ
質セラミック材料にY2 3 を添加したときにも、硬さ
が増大する様子を示す。同図から判るように、無処理の
場合に比較して、Y2 3 の添加処理をすると、このセ
ラミック材料の表面近くのビッカース硬さが最大280
0にも及ぶ。そして、この場合においても、硬さのピー
クは、処理時間の合計時間が長くなるほど、表面から内
部に移動している。これも、処理時間が長くなるほど、
2 3 が材料の内部へ浸透し、最大硬度を実現できる
濃度(約3%)を示す部位が次第に表面から内部へ移動
するからである。
【0036】図12は、上記と同様の一般的なアルミナ
質セラミック材料について、1273KでのTiO2
添加処理を5時間行った場合、1273KでのY2
3 添加処理を5時間行った場合、1273KでのTi
2 添加処理を5時間行った後、同一の試料に対し、1
273KでのY2 3 添加処理を5時間行った場合につ
いて、材料の硬度分布を示している。同図から判るよう
に、セラミック材料に固溶して硬化させうる添加物であ
れば、これを複合添加しても、このセラミック材料の表
面近くを適度に硬化させることができる。
【0037】実施形態例4〈酸化アルミナ単結晶(サフ
ァイヤ)の場合〉
【0038】図13は、酸化アルミニウム(Al
2 3 )の単結晶(サファイヤ)の場合を示し、TiO
2 添加処理したものと無処理のものとの結晶の表面硬さ
を比較して示している。同図から判るように、TiO2
添加処理した場合、ビッカース硬さが3000〜400
0へと増大した。このTiO2 添加処理した酸化アルミ
ニウム単結晶を切削工具に研磨成形して鉄系金属の切削
試験を行ったところ、無処理の工具よりも工具磨耗が著
しく減少した。
【0039】図14は、TiO2 添加処理条件を変化さ
せた場合の結晶表面の硬さを測定した結果を表してお
り、この実験範囲内では、処理温度が高く、処理時間が
長いほど表面硬さが増大した。
【0040】図15は、結晶の内部への硬さ分布を調べ
た結果を示しており、2つの結晶面について、2処理条
件で添加処理した場合を示す。結晶面による差はほとん
どなく、この実験範囲内では表面ほど硬さが増大してい
た。
【0041】本願発明の範囲は、形態を問わず、酸化ア
ルミニウムを主成分とするすべてのアルミナ質材料ない
しこれを用いた工具等の製品に及ぶことはもちろんのこ
とである。そして、TiO2 等のアルミナに固溶しうる
添加物は、すでにできあがったアルミナ質固形材料に対
して、上述した各実施例のように、上記「」の方法に
よって添加すれば、比較的簡便に上記材料等の表面硬化
を行うことができる。また、上記「」または「」の
方法により、工具等に成形するに際して添加してもよ
い。ただし、いずれにしても、添加物をアルミナ質中に
適正に固溶させるために、所定時間、所定温度での加熱
処理が必要である。前者の方法による場合、上記実施例
から明らかなように、白セラミック工具またはサファイ
ヤ等の表面近くの領域を硬化させることになるが、後者
の方法をとる場合は、材料または製品の内部を一様に硬
化させることができる。後者の場合において、適正な硬
度増加を達成させるためには、添加物の濃度を3%もし
くはそれ以下とすることが肝要である。
【0042】なお、微小ビッカース硬さの測定結果は、
試験荷重によって多少変化するが、同一の試料に対し
て、より小さな試験荷重によって測定した硬度値は、通
常、それより大きな試験荷重によって測定した硬度値よ
りも大となる。したがって、たとえば、試験荷重500
×9.807mNでの測定によって2600を示した試
料の試験荷重300×9.807mNでの測定結果は、
2600ないしそれ以上となり、図14に表れる傾向か
ら、おそらく、3000を超えるものと推定される。
【0043】
【発明の効果】以上のように、本願発明によれば、従
来、たかだかビッカース硬さが2000程度であったア
ルミナ質材料ないしこれを用いた製品の硬さが、260
0ないし4000に増大させられる。その結果、本願発
明によって硬化させられたアルミナ質材料を研削材、切
削工具あるいはセラミック製品に適用すれば、その寿命
の著しい延長さらにはアルミナ質セラミック製品の高品
質化が可能となり、産業上の意義はきわめて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の処理をしない場合の各種研削材のビ
ッカース硬さを表すグラフ。
【図2】本願発明の各実施例において、TiO2 の添加
処理に用いた電気加熱炉の構成図。
【図3】実施形態例1において、本願発明によりTiO
2 の添加処理をしたWA研削材のビッカース硬さを無処
理の各種研削材のビッカース硬さと比較して示したグラ
フ。
【図4】実施形態例1において、WA研削材のTiO2
添加処理各種条件でのビッカース硬さを示したグラフ。
【図5】実施形態例2において、本願発明によりTiO
2 の添加処理をした白セラミック切削工具断面の硬さ分
布を無処理工具の硬さ分布と比較して示したグラフ。
【図6】実施形態例2において、TiO2 の添加処理温
度による白セラミック切削工具断面の硬さ分布を示した
グラフ。
【図7】実施形態例2において、TiO2 の添加処理時
間による白セラミック切削工具断面の硬さ分布を示した
グラフ。
【図8】実施形態例2において、本願発明によりTiO
2 添加処理をした白セラミック切削工具および無処理白
セラミック切削工具の磨耗進行曲線をそれぞれ示すグラ
フ。
【図9】実施形態例3において、本願発明によりTiO
2 添加処理をしたアルミナ系セラミック材料の硬さ分布
を無処理の場合の硬さ分布と比較して示したグラフ。
【図10】実施形態例3において、本願発明によりTi
2 添加処理をしたアルミナ系セラミック材料の硬さ分
布を、TiO2 の添加処理の後、加熱処理を付加した場
合との比較において示したグラフ。
【図11】実施形態例3において、本願発明によりY2
3 添加処理をしたアルミナ系セラミック材料の硬さ分
布を無処理の場合の硬さ分布と比較して示したグラフ。
【図12】実施形態例3において、本願発明によりTi
2 とY2 3 の複合添加処理をしたアルミナ系セラミ
ック材料の硬さ分布を示すグラフ。
【図13】実施形態例4において、単結晶酸化アルミニ
ウムに本願発明によるTiO2 添加処理をした場合の表
面硬さを無処理面の表面硬さの比較して示したグラフ。
【図14】実施形態例4において、単結晶酸化アルミニ
ウムのTiO2 添加処理条件による表面硬さの増大の様
子を示すグラフ。
【図15】実施形態例4において、単結晶酸化アルミニ
ウムのTiO2 添加処理による内部硬さ分布を示すグラ
フ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B23B 27/14 B C09K 3/14 550 D

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化アルミニウムを主成分とするアルミ
    ナ材の一部または全部が、酸化アルミニウムに固溶する
    酸化物または弗化物の添加によって、微小ビッカース硬
    さ2600(×0.9807N/mm2 、試験荷重30
    0×9.807mN)以上に硬化されていることを特徴
    とする、硬化アルミナ質材料。
  2. 【請求項2】 硬化部分の上記添加物の含有量は、3%
    以下、好ましくは2.5%以下である、請求項1の硬化
    アルミナ質材料。
  3. 【請求項3】 純度99.5%以上の白色アルミナ質砥
    粒を硬化したものである、請求項1または2の硬化アル
    ミナ質材料。
  4. 【請求項4】 純度99.5%以上の酸化アルミニウム
    を焼結して作製されるアルミニウム系セラミック材を硬
    化したものである、請求項1または2の硬化アルミナ質
    材料。
  5. 【請求項5】 酸化アルミニウムの単結晶を硬化したも
    のである、請求項1または2の硬化アルミナ質材料。
  6. 【請求項6】 上記添加物は、TiO2 および/または
    2 3 を含む、請求項1ないし5のいずれかの硬化ア
    ルミナ質材料。
  7. 【請求項7】 原料の高純度酸化アルミニウムに、酸化
    アルミニウムに固溶しうる添加物、添加物の塩類、ある
    いは添加物またはその塩類の溶液を加えて熱分解を行っ
    て原料粉末を作り、添加物を酸化アルミニウムに固溶さ
    せるべくそれらを熱処理加工することを特徴とする、硬
    化アルミナ質材料の製造方法。
  8. 【請求項8】 高純度の酸化アルミニウム粉末に、酸化
    アルミニウムに固溶しうる添加物の粉末を加えて原料粉
    末として、添加物を酸化アルミニウムに固溶させるべく
    熱処理加工することを特徴とする、硬化アルミナ質材料
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 アルミナ質を主成分とするアルミナ質研
    削材、アルミナ質セラミック切削工具材、アルミナ質セ
    ラミック材料、それらによるアルミナ質セラミック製
    品、またはアルミナ質単結晶を、酸化アルミニウムに固
    溶しうる添加物の粉末中に埋め込み、あるいは接触させ
    て熱処理を行い、添加物質を固溶状態において内部に拡
    散することを特徴とする、硬化アルミナ質材料または硬
    化アルミナ質製品の製造方法。
  10. 【請求項10】請求項9の方法によって得られた硬化ア
    ルミナ質材料を、さらに加熱処理して上記添加物質をさ
    らに拡散させることを特徴とする、硬化アルミナ質材料
    または硬化アルミナ質製品の製造方法。
  11. 【請求項11】上記添加物は、TiO2 および/または
    2 3 を含む、請求項9または10に記載の硬化アル
    ミナ質製品の製造方法。
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