JPH08133184A - 船舶の電気防食装置 - Google Patents
船舶の電気防食装置Info
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- JPH08133184A JPH08133184A JP6293783A JP29378394A JPH08133184A JP H08133184 A JPH08133184 A JP H08133184A JP 6293783 A JP6293783 A JP 6293783A JP 29378394 A JP29378394 A JP 29378394A JP H08133184 A JPH08133184 A JP H08133184A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 船体の電気化学腐食のみならず、従来不可能
と考えられていたプロペラの腐食をも効果的に抑制する
ことができる電気防食装置を提供する。 【構成】 この電気防食装置56は、船体44外に取り
付けられた陽極66と、この陽極66に相対的に陽電位
を付与し軸系45に相対的に陰電位を付与する出力可変
の直流電源装置58と、船体44外に取り付けられた照
合電極68と、この照合電極68に対する軸系45の電
位が予め設定した電位E1 に近づくように直流電源装置
58から出力する防食電流I1 を制御する制御回路60
と、陽極66に相対的に陽電位を付与し船体44に相対
的に陰電位を付与する出力可変の直流電源装置62と、
軸系45と船体44との間の電位差を計測して、船体4
4の電位が軸系45の電位よりも予め設定した電位差E
2 分だけプラス側になるように直流電源装置62から出
力する防食電流I2 を制御する制御回路64とを備えて
いる。
と考えられていたプロペラの腐食をも効果的に抑制する
ことができる電気防食装置を提供する。 【構成】 この電気防食装置56は、船体44外に取り
付けられた陽極66と、この陽極66に相対的に陽電位
を付与し軸系45に相対的に陰電位を付与する出力可変
の直流電源装置58と、船体44外に取り付けられた照
合電極68と、この照合電極68に対する軸系45の電
位が予め設定した電位E1 に近づくように直流電源装置
58から出力する防食電流I1 を制御する制御回路60
と、陽極66に相対的に陽電位を付与し船体44に相対
的に陰電位を付与する出力可変の直流電源装置62と、
軸系45と船体44との間の電位差を計測して、船体4
4の電位が軸系45の電位よりも予め設定した電位差E
2 分だけプラス側になるように直流電源装置62から出
力する防食電流I2 を制御する制御回路64とを備えて
いる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、船舶の船体、プロペ
ラおよびプロペラ軸等から成る被防食体の電食(電気化
学腐食)を防止する電気防食装置に関する。
ラおよびプロペラ軸等から成る被防食体の電食(電気化
学腐食)を防止する電気防食装置に関する。
【0002】
【従来の技術】船舶に対する電気防食手段の一つに、犠
牲陽極(これは流電陽極とも呼ばれる)方式がある。
牲陽極(これは流電陽極とも呼ばれる)方式がある。
【0003】これは、船体、プロペラ、プロペラ軸およ
び舵等から成る被防食体に対して、例えば亜鉛、アルミ
ニウム、マグネシウム等の金属から成る犠牲陽極を取り
付けることによって、強制的に所定の陰電位を付与する
ものである。
び舵等から成る被防食体に対して、例えば亜鉛、アルミ
ニウム、マグネシウム等の金属から成る犠牲陽極を取り
付けることによって、強制的に所定の陰電位を付与する
ものである。
【0004】この場合、被防食体の海水中での電位には
理想的な範囲があり、その電位が被防食体の防食電位
(これは防食が働く電位のことであり、例えば鉄の場合
で−780mV、アルミニウムの場合で−830mV)
より高く(即ちプラス側に)なると電食が生じ、逆にこ
れよりも大幅に低く(即ちマイナス側に)なると過防食
となってアルカリにより船体の塗膜が剥がれる等の問題
が生じる。なお、この明細書中における被防食体等の海
水中での電位の値は、全て塩化銀電極を基準にしたもの
である。
理想的な範囲があり、その電位が被防食体の防食電位
(これは防食が働く電位のことであり、例えば鉄の場合
で−780mV、アルミニウムの場合で−830mV)
より高く(即ちプラス側に)なると電食が生じ、逆にこ
れよりも大幅に低く(即ちマイナス側に)なると過防食
となってアルカリにより船体の塗膜が剥がれる等の問題
が生じる。なお、この明細書中における被防食体等の海
水中での電位の値は、全て塩化銀電極を基準にしたもの
である。
【0005】しかしながら、海水中での被防食体の電位
は、船舶の航行速度等の腐食環境等の変化によって大き
く変化するが、犠牲陽極は、その材質や大きさによって
エネルギーが決まっていて、防食電流を腐食環境の変化
に応じて臨機応変に変えることができないので、仮に停
船中の被防食体の電位が理想的なものになるようにして
おいても、航行中では電位がそれよりも高くなって防食
作用が失われてしまい、逆に航行中の電位が理想的なも
のになるように犠牲陽極を増やすと、重量が増えると共
に、停船中には被防食体の電位が低くなり過ぎて過防食
が起こるという問題がある。
は、船舶の航行速度等の腐食環境等の変化によって大き
く変化するが、犠牲陽極は、その材質や大きさによって
エネルギーが決まっていて、防食電流を腐食環境の変化
に応じて臨機応変に変えることができないので、仮に停
船中の被防食体の電位が理想的なものになるようにして
おいても、航行中では電位がそれよりも高くなって防食
作用が失われてしまい、逆に航行中の電位が理想的なも
のになるように犠牲陽極を増やすと、重量が増えると共
に、停船中には被防食体の電位が低くなり過ぎて過防食
が起こるという問題がある。
【0006】犠牲陽極方式のそのような問題点を解決す
るものとして、自動制御を採用した外部電源方式があ
る。
るものとして、自動制御を採用した外部電源方式があ
る。
【0007】この方式の電気防食装置の従来例を図12
を参照して説明する。この電気防食装置26は、出力可
変の直流電源装置28と、この直流電源装置28を制御
する制御回路30と、船舶12の船体14外の海水10
中に没する部分に船体14から電気的に絶縁して取り付
けられた陽極32および照合電極34とを備えており、
直流電源装置28から陽極32に相対的に陽電位を、船
体14、プロペラ軸16、プロペラ18、張出軸受20
および舵24等から成る被防食体に一括して相対的に陰
電位を付与して、陽極32から海水10を通してこれら
の被防食体に防食電流Iを供給するようにしている。プ
ロペラ軸16には、電位付与および電位検出を兼ねるブ
ラシ36が摺動的に接触されている。
を参照して説明する。この電気防食装置26は、出力可
変の直流電源装置28と、この直流電源装置28を制御
する制御回路30と、船舶12の船体14外の海水10
中に没する部分に船体14から電気的に絶縁して取り付
けられた陽極32および照合電極34とを備えており、
直流電源装置28から陽極32に相対的に陽電位を、船
体14、プロペラ軸16、プロペラ18、張出軸受20
および舵24等から成る被防食体に一括して相対的に陰
電位を付与して、陽極32から海水10を通してこれら
の被防食体に防食電流Iを供給するようにしている。プ
ロペラ軸16には、電位付与および電位検出を兼ねるブ
ラシ36が摺動的に接触されている。
【0008】しかも、照合電極(塩化銀電極)34を用
いて海水10中での被防食体の(より具体的にはその大
部分を占める船体14の)電位を検出して、それが所定
の設定電位E(例えば−900mV)に近づくように、
制御回路30によって直流電源装置28から出力する防
食電流Iを自動的に制御するようにしている。
いて海水10中での被防食体の(より具体的にはその大
部分を占める船体14の)電位を検出して、それが所定
の設定電位E(例えば−900mV)に近づくように、
制御回路30によって直流電源装置28から出力する防
食電流Iを自動的に制御するようにしている。
【0009】このような電気防食装置26によれば、腐
食環境が変化しても被防食体の電位を一定に近づけるこ
とができるので、犠牲陽極の場合よりも効果的に被防食
体の電食を防止することができる。
食環境が変化しても被防食体の電位を一定に近づけるこ
とができるので、犠牲陽極の場合よりも効果的に被防食
体の電食を防止することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
な外部電源方式の電気防食装置26を設けても、従来は
プロペラ18に、特にその翼根部付近に、腐食が起こる
という現象が生じていた。
な外部電源方式の電気防食装置26を設けても、従来は
プロペラ18に、特にその翼根部付近に、腐食が起こる
という現象が生じていた。
【0011】このような腐食は、従来は、電気化学腐食
とは別の主としてキャビテーションに起因する壊食腐食
によるものであり、電気防食装置でこれを抑制すること
はできないと考えられていた。
とは別の主としてキャビテーションに起因する壊食腐食
によるものであり、電気防食装置でこれを抑制すること
はできないと考えられていた。
【0012】このような腐食を防止するため、従来は例
えば、プロペラ18の翼根部にキャビテーションホール
と呼ばれる穴182を設け、これを通して、プロペラ1
8の羽根181の圧力面側から水の剥離現象を起こしや
すい背面側に海水10を供給するようにする場合もある
が、そのようにしてもあまり効果はなく、しかもプロ
ペラ18にキャビテーションホール182のための穴加
工が必要であり工数が増える、キャビテーションホー
ル182をあけると強度が低下するためプロペラ18の
翼根部を増厚する必要がありプロペラ効率が悪くなる、
等の別の問題が生じていた。
えば、プロペラ18の翼根部にキャビテーションホール
と呼ばれる穴182を設け、これを通して、プロペラ1
8の羽根181の圧力面側から水の剥離現象を起こしや
すい背面側に海水10を供給するようにする場合もある
が、そのようにしてもあまり効果はなく、しかもプロ
ペラ18にキャビテーションホール182のための穴加
工が必要であり工数が増える、キャビテーションホー
ル182をあけると強度が低下するためプロペラ18の
翼根部を増厚する必要がありプロペラ効率が悪くなる、
等の別の問題が生じていた。
【0013】しかもプロペラ18の腐食は、船舶12が
高速化するほど激しくなっており、例えば最高航行速度
が37ノットの船舶でありながら、高速航行時にプロペ
ラ18に激しい腐食が起こるため、日常航行速度が25
ノット以下に制限されている例もある。
高速化するほど激しくなっており、例えば最高航行速度
が37ノットの船舶でありながら、高速航行時にプロペ
ラ18に激しい腐食が起こるため、日常航行速度が25
ノット以下に制限されている例もある。
【0014】そこでこの発明は、上記のような電気防食
装置を改良し、これによって船体の電気化学腐食のみな
らず、従来不可能と考えられていたプロペラの上記のよ
うな腐食をも効果的に抑制することができるようにする
ことを主たる目的とする。
装置を改良し、これによって船体の電気化学腐食のみな
らず、従来不可能と考えられていたプロペラの上記のよ
うな腐食をも効果的に抑制することができるようにする
ことを主たる目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明の第1の電気防食装置は、船舶の船体外で
あって海水中に没する部分に船体から電気的に絶縁して
取り付けられた第1の陽極と、この第1の陽極に相対的
に陽電位を付与し、船舶のプロペラ軸およびそれに取り
付けられたプロペラを含む軸系に相対的に陰電位を付与
して、第1の陽極から海水を通して軸系に防食電流を供
給する出力可変の第1の直流電源装置と、船舶の船体外
であって海水中に没する部分に船体から電気的に絶縁し
て取り付けられた照合電極と、この照合電極に対する軸
系の電位が予め設定した電位に近づくように前記第1の
直流電源装置から出力する防食電流を制御する第1の制
御回路と、船舶の船体外であって海水中に没する部分に
船体から電気的に絶縁して取り付けられた第2の陽極
と、この第2の陽極に相対的に陽電位を付与し、船舶の
船体に相対的に陰電位を付与して、第2の陽極から海水
を通して船体に防食電流を供給する出力可変の第2の直
流電源装置と、軸系と船体との間の電位差を計測して、
船体の電位が軸系の電位よりも予め設定した電位差分だ
けプラス側になるように前記第2の直流電源装置から出
力する防食電流を制御する第2の制御回路とを備えてい
る。
め、この発明の第1の電気防食装置は、船舶の船体外で
あって海水中に没する部分に船体から電気的に絶縁して
取り付けられた第1の陽極と、この第1の陽極に相対的
に陽電位を付与し、船舶のプロペラ軸およびそれに取り
付けられたプロペラを含む軸系に相対的に陰電位を付与
して、第1の陽極から海水を通して軸系に防食電流を供
給する出力可変の第1の直流電源装置と、船舶の船体外
であって海水中に没する部分に船体から電気的に絶縁し
て取り付けられた照合電極と、この照合電極に対する軸
系の電位が予め設定した電位に近づくように前記第1の
直流電源装置から出力する防食電流を制御する第1の制
御回路と、船舶の船体外であって海水中に没する部分に
船体から電気的に絶縁して取り付けられた第2の陽極
と、この第2の陽極に相対的に陽電位を付与し、船舶の
船体に相対的に陰電位を付与して、第2の陽極から海水
を通して船体に防食電流を供給する出力可変の第2の直
流電源装置と、軸系と船体との間の電位差を計測して、
船体の電位が軸系の電位よりも予め設定した電位差分だ
けプラス側になるように前記第2の直流電源装置から出
力する防食電流を制御する第2の制御回路とを備えてい
る。
【0016】また、この発明の第2の電気防食装置は、
船舶の船体外であって海水中に没する部分に船体から電
気的に絶縁して取り付けられた第1の陽極と、この第1
の陽極に相対的に陽電位を付与し、船舶のプロペラ軸お
よびそれに取り付けられたプロペラを含む軸系に相対的
に陰電位を付与して、第1の陽極から海水を通して軸系
に防食電流を供給する出力可変の第1の直流電源装置
と、船舶の船体外であって海水中に没する部分に船体か
ら電気的に絶縁して取り付けられた第1の照合電極と、
この第1の照合電極に対する軸系の電位が予め設定した
電位に近づくように前記第1の直流電源装置から出力す
る防食電流を制御する第1の制御回路と、船舶の船体外
であって海水中に没する部分に船体から電気的に絶縁し
て取り付けられた第2の陽極と、この第2の陽極に相対
的に陽電位を付与し、船舶の船体に相対的に陰電位を付
与して、第2の陽極から海水を通して船体に防食電流を
供給する出力可変の第2の直流電源装置と、船舶の船体
外であって海水中に没する部分に船体から電気的に絶縁
して取り付けられた第2の照合電極と、この第2の照合
電極に対する船体の電位が、前記第1の制御回路におけ
る電位の設定値よりも予め設定した電位差分だけプラス
側になるように前記第2の直流電源装置から出力する防
食電流を制御する第2の制御回路とを備えている。
船舶の船体外であって海水中に没する部分に船体から電
気的に絶縁して取り付けられた第1の陽極と、この第1
の陽極に相対的に陽電位を付与し、船舶のプロペラ軸お
よびそれに取り付けられたプロペラを含む軸系に相対的
に陰電位を付与して、第1の陽極から海水を通して軸系
に防食電流を供給する出力可変の第1の直流電源装置
と、船舶の船体外であって海水中に没する部分に船体か
ら電気的に絶縁して取り付けられた第1の照合電極と、
この第1の照合電極に対する軸系の電位が予め設定した
電位に近づくように前記第1の直流電源装置から出力す
る防食電流を制御する第1の制御回路と、船舶の船体外
であって海水中に没する部分に船体から電気的に絶縁し
て取り付けられた第2の陽極と、この第2の陽極に相対
的に陽電位を付与し、船舶の船体に相対的に陰電位を付
与して、第2の陽極から海水を通して船体に防食電流を
供給する出力可変の第2の直流電源装置と、船舶の船体
外であって海水中に没する部分に船体から電気的に絶縁
して取り付けられた第2の照合電極と、この第2の照合
電極に対する船体の電位が、前記第1の制御回路におけ
る電位の設定値よりも予め設定した電位差分だけプラス
側になるように前記第2の直流電源装置から出力する防
食電流を制御する第2の制御回路とを備えている。
【0017】
【作用】実験を重ねた結果、電気防食装置を上記のよう
な構成にして、軸系と船体とに別の直流電源装置を用い
て防食電流を供給し、しかも軸系の電位を主体にして、
船体の電位が軸系の電位よりも予め設定した電位差分だ
けプラス側になるように制御することによって、船体の
電食のみならず、プロペラの腐食をも効果的に抑制する
ことができた。その理由は次のとおりである。
な構成にして、軸系と船体とに別の直流電源装置を用い
て防食電流を供給し、しかも軸系の電位を主体にして、
船体の電位が軸系の電位よりも予め設定した電位差分だ
けプラス側になるように制御することによって、船体の
電食のみならず、プロペラの腐食をも効果的に抑制する
ことができた。その理由は次のとおりである。
【0018】即ち、船舶においては、プロペラに対する
相対水流速度は他の部分に比べて極めて大きく、しかも
プロペラはその表面の酸化皮膜がキャビテーションによ
る水撃や水中のゴミ等で剥がされて裸金属になるため、
プロペラは他の部分に比べてイオン化傾向が活性化しや
すい(即ち動態化しやすい)状況にある。そのため、前
述したような従来の外部電源方式の電気防食装置を設け
ても、船体等の電位(例えば−900mV程度)に対し
てプロペラの電位が一番高く(例えば−750mV〜−
350mV程度に)なり、このプロペラから海水を通し
て電位の低い方へ、例えばプロペラ軸を回転自在に支え
ている張出軸受や船体等の方へ電流が流れる現象が生じ
る。これは、プロペラがあたかも前述した犠牲陽極とし
て働くことであり、これによってプロペラが電気化学腐
食を受ける。しかも、船舶の航行速度が大きくなるほど
プロペラの動態化は激しくなるので、プロペラの電気化
学腐食も激しくなる。
相対水流速度は他の部分に比べて極めて大きく、しかも
プロペラはその表面の酸化皮膜がキャビテーションによ
る水撃や水中のゴミ等で剥がされて裸金属になるため、
プロペラは他の部分に比べてイオン化傾向が活性化しや
すい(即ち動態化しやすい)状況にある。そのため、前
述したような従来の外部電源方式の電気防食装置を設け
ても、船体等の電位(例えば−900mV程度)に対し
てプロペラの電位が一番高く(例えば−750mV〜−
350mV程度に)なり、このプロペラから海水を通し
て電位の低い方へ、例えばプロペラ軸を回転自在に支え
ている張出軸受や船体等の方へ電流が流れる現象が生じ
る。これは、プロペラがあたかも前述した犠牲陽極とし
て働くことであり、これによってプロペラが電気化学腐
食を受ける。しかも、船舶の航行速度が大きくなるほど
プロペラの動態化は激しくなるので、プロペラの電気化
学腐食も激しくなる。
【0019】プロペラの腐食は、従来はキャビテーショ
ンの水撃による壊食が殆どの原因だと考えられていた
が、発明者は、種々実験した結果、プロペラの腐食は上
記のような電気化学腐食と水撃による壊食との合併であ
り、しかも電気化学腐食による方が大きいことを見出し
た。
ンの水撃による壊食が殆どの原因だと考えられていた
が、発明者は、種々実験した結果、プロペラの腐食は上
記のような電気化学腐食と水撃による壊食との合併であ
り、しかも電気化学腐食による方が大きいことを見出し
た。
【0020】プロペラの電気化学腐食を抑制するには、
この動態化しやすいプロペラに、陽極から海水を通して
防食電流を十分に供給して、プロペラを含む軸系の海水
中での電位を十分に下げれば良いことが分かった。この
電位は、例えば−980mV〜−1050mVの範囲内
が好ましい。
この動態化しやすいプロペラに、陽極から海水を通して
防食電流を十分に供給して、プロペラを含む軸系の海水
中での電位を十分に下げれば良いことが分かった。この
電位は、例えば−980mV〜−1050mVの範囲内
が好ましい。
【0021】その場合、従来の電気防食装置のように、
船体および軸系等を含む被防食体全体の電位を一括して
制御する方式のものでは、海水中での面積が軸系に比べ
て極めて大きい船体が制御対象の主体になるため、軸系
の電位だけを上記のように十分に下げることはできな
い。仮に、船体および軸系等を含む被防食体全体の電位
を上記のように十分に下げると、非常に大きな防食電流
を流す必要があるため電気防食装置の出力パワーを非常
に大きくしなければならなくなると共に、船体の電位が
下がり過ぎて過防食となり、船体の塗膜が剥がれたり、
船体を構成する金属に水素脆性が生じたりする等の問題
が生じる。
船体および軸系等を含む被防食体全体の電位を一括して
制御する方式のものでは、海水中での面積が軸系に比べ
て極めて大きい船体が制御対象の主体になるため、軸系
の電位だけを上記のように十分に下げることはできな
い。仮に、船体および軸系等を含む被防食体全体の電位
を上記のように十分に下げると、非常に大きな防食電流
を流す必要があるため電気防食装置の出力パワーを非常
に大きくしなければならなくなると共に、船体の電位が
下がり過ぎて過防食となり、船体の塗膜が剥がれたり、
船体を構成する金属に水素脆性が生じたりする等の問題
が生じる。
【0022】これに対してこの発明では、軸系用および
船体用にそれぞれ直流電源装置および制御回路を設けて
いるので、軸系に十分に防食電流を供給して軸系の電位
だけを上記のように十分に下げることができる。その結
果、船体の過防食を防止しつつ、プロペラの電気化学腐
食を効果的に抑制することができる。
船体用にそれぞれ直流電源装置および制御回路を設けて
いるので、軸系に十分に防食電流を供給して軸系の電位
だけを上記のように十分に下げることができる。その結
果、船体の過防食を防止しつつ、プロペラの電気化学腐
食を効果的に抑制することができる。
【0023】しかも、軸系と船体との間の電位差が大き
くなり過ぎると、相対的に電位の高い一方(具体的には
船体)から相対的に電位の低い他方(具体的には軸系)
へ海水を通して液絡的に流れる電流が無視できなくな
り、これが原因で、船体の電流が流出する部分に局部腐
食が起こる恐れがあるが、この発明では、第2の制御回
路によって、船体の電位が軸系の電位よりも予め設定し
た電位差分だけプラス側になるように制御されるので、
このような局部腐食の発生を抑制することができる。こ
の電位差は、例えば80mV〜120mVの範囲内が好
ましい。
くなり過ぎると、相対的に電位の高い一方(具体的には
船体)から相対的に電位の低い他方(具体的には軸系)
へ海水を通して液絡的に流れる電流が無視できなくな
り、これが原因で、船体の電流が流出する部分に局部腐
食が起こる恐れがあるが、この発明では、第2の制御回
路によって、船体の電位が軸系の電位よりも予め設定し
た電位差分だけプラス側になるように制御されるので、
このような局部腐食の発生を抑制することができる。こ
の電位差は、例えば80mV〜120mVの範囲内が好
ましい。
【0024】
【実施例】図1は、この発明の一実施例に係る船舶の電
気防食装置を示す概略図である。
気防食装置を示す概略図である。
【0025】船舶42は、この例では、船体44と、プ
ロペラ48と、このプロペラ48に結合されていてそれ
を回転させるプロペラ軸46と、プロペラ48の近傍で
プロペラ軸46を回転自在に支持する張出軸受50と、
この張出軸受50を船体44から支持するブラケット5
2と、舵54とを備えている。プロペラ軸46とプロペ
ラ48とは、例えば嵌め合いによって、互いに機械的の
みならず電気的にも結合されている。10は海水であ
る。
ロペラ48と、このプロペラ48に結合されていてそれ
を回転させるプロペラ軸46と、プロペラ48の近傍で
プロペラ軸46を回転自在に支持する張出軸受50と、
この張出軸受50を船体44から支持するブラケット5
2と、舵54とを備えている。プロペラ軸46とプロペ
ラ48とは、例えば嵌め合いによって、互いに機械的の
みならず電気的にも結合されている。10は海水であ
る。
【0026】船体44の材質は、例えば鉄、アルミニウ
ム、高張力鋼等である。プロペラ48の材質は、例えば
ブロンズ合金、アルミニウム青銅等である。プロペラ軸
46の材質は、例えばステンレス等である。
ム、高張力鋼等である。プロペラ48の材質は、例えば
ブロンズ合金、アルミニウム青銅等である。プロペラ軸
46の材質は、例えばステンレス等である。
【0027】この実施例の電気防食装置56は、外部電
源方式のものであり、船舶42の船体44外であって海
水10中に没する部分に船体44から電気的に絶縁して
取り付けられた陽極66と、この陽極66に相対的に陽
電位を付与し、船舶42のプロペラ軸46およびそれに
取り付けられたプロペラ48を含む軸系45に相対的に
陰電位を付与して、陽極66から海水10を通して軸系
45に防食電流を供給する出力可変の第1の直流電源装
置58と、船舶42の船体44外であって海水10中に
没する部分に船体44から電気的に絶縁して取り付けら
れた照合電極68と、この照合電極68に対する軸系4
5の電位が予め設定した電位E1 に近づくように直流電
源装置58から出力する防食電流I1 を制御する第1の
制御回路60と、上記陽極66に相対的に陽電位を付与
し、船舶42の船体44に相対的に陰電位を付与して、
陽極66から海水10を通して船体44に防食電流を供
給する出力可変の第2の直流電源装置62と、軸系45
と船体44との間の電位差を計測して、船体44の電位
が軸系45の電位よりも予め設定した電位差E2 分だけ
プラス側になるように直流電源装置62から出力する防
食電流I2 を制御する第2の制御回路64とを備えてい
る。
源方式のものであり、船舶42の船体44外であって海
水10中に没する部分に船体44から電気的に絶縁して
取り付けられた陽極66と、この陽極66に相対的に陽
電位を付与し、船舶42のプロペラ軸46およびそれに
取り付けられたプロペラ48を含む軸系45に相対的に
陰電位を付与して、陽極66から海水10を通して軸系
45に防食電流を供給する出力可変の第1の直流電源装
置58と、船舶42の船体44外であって海水10中に
没する部分に船体44から電気的に絶縁して取り付けら
れた照合電極68と、この照合電極68に対する軸系4
5の電位が予め設定した電位E1 に近づくように直流電
源装置58から出力する防食電流I1 を制御する第1の
制御回路60と、上記陽極66に相対的に陽電位を付与
し、船舶42の船体44に相対的に陰電位を付与して、
陽極66から海水10を通して船体44に防食電流を供
給する出力可変の第2の直流電源装置62と、軸系45
と船体44との間の電位差を計測して、船体44の電位
が軸系45の電位よりも予め設定した電位差E2 分だけ
プラス側になるように直流電源装置62から出力する防
食電流I2 を制御する第2の制御回路64とを備えてい
る。
【0028】陽極は、直流電源装置58に接続されるも
の(第1の陽極)と直流電源装置62に接続されるもの
(第2の陽極)とを別個に設けても良いけれども、この
実施例のように一つの陽極66で兼用しても良く、その
ようにすれば経済的となる。
の(第1の陽極)と直流電源装置62に接続されるもの
(第2の陽極)とを別個に設けても良いけれども、この
実施例のように一つの陽極66で兼用しても良く、その
ようにすれば経済的となる。
【0029】陽極66は、この実施例のように、プロペ
ラ48の近くに設けるのが好ましい。そのようにすれ
ば、動態化しやすいプロペラ48にその近くから海水1
0を通して防食電流を十分に供給することができるの
で、プロペラ48の電気化学腐食を抑制する上で有利に
なるからである。
ラ48の近くに設けるのが好ましい。そのようにすれ
ば、動態化しやすいプロペラ48にその近くから海水1
0を通して防食電流を十分に供給することができるの
で、プロペラ48の電気化学腐食を抑制する上で有利に
なるからである。
【0030】陽極66は、例えばチタンの表面に白金を
メッキしたものである。照合電極68は、基準電極とも
呼ばれ、海水10中での電位が一定した電極であり、例
えば塩化銀電極である。
メッキしたものである。照合電極68は、基準電極とも
呼ばれ、海水10中での電位が一定した電極であり、例
えば塩化銀電極である。
【0031】プロペラ軸46には、船体44内におい
て、直流電源装置58から軸系45に相対的に陰電位を
付与するための付与用ブラシ70と、軸系45の電位を
検出するための検出用ブラシ72とが、摺動的に接触さ
れている。付与用ブラシ70の材質は、例えば銅50
%、カーボン50%の混合物である。検出用ブラシ72
の材質は、例えば銀50%、カーボン50%の混合物で
ある。
て、直流電源装置58から軸系45に相対的に陰電位を
付与するための付与用ブラシ70と、軸系45の電位を
検出するための検出用ブラシ72とが、摺動的に接触さ
れている。付与用ブラシ70の材質は、例えば銅50
%、カーボン50%の混合物である。検出用ブラシ72
の材質は、例えば銀50%、カーボン50%の混合物で
ある。
【0032】電位付与用のブラシと、電位検出用のブラ
シとは、互いに共用せずに、この実施例のように別に設
けるのが好ましい。その理由は、電位付与用のブラシと
プロペラ軸46との間には大きな(例えば数A〜数十A
の)防食電流が流れるのでそこでの電圧降下が大きく、
両者を共用するとこの電圧降下分が軸系45の電位検出
に影響して検出誤差が生じるからである。この実施例の
ように別にすると、検出用ブラシ72とプロペラ軸46
との間には殆ど電流が流れないので、そこでの接触抵抗
による検出誤差を無視することができる。
シとは、互いに共用せずに、この実施例のように別に設
けるのが好ましい。その理由は、電位付与用のブラシと
プロペラ軸46との間には大きな(例えば数A〜数十A
の)防食電流が流れるのでそこでの電圧降下が大きく、
両者を共用するとこの電圧降下分が軸系45の電位検出
に影響して検出誤差が生じるからである。この実施例の
ように別にすると、検出用ブラシ72とプロペラ軸46
との間には殆ど電流が流れないので、そこでの接触抵抗
による検出誤差を無視することができる。
【0033】制御回路60は、例えば図2に示すよう
に、海水10中での軸系45の電位と照合電極68の電
位との間の差を求めて、照合電極68に対する軸系45
の電位ES を検出する減算回路78と、この減算回路7
8で検出した電位ES と予め設定した電位E1 との差
(即ちES −E1 )を求めて、その差に比例した信号S
1を出力する減算回路80と、この信号S1 をそれが正
の場合にのみ出力するダイオード81とを備えている。
に、海水10中での軸系45の電位と照合電極68の電
位との間の差を求めて、照合電極68に対する軸系45
の電位ES を検出する減算回路78と、この減算回路7
8で検出した電位ES と予め設定した電位E1 との差
(即ちES −E1 )を求めて、その差に比例した信号S
1を出力する減算回路80と、この信号S1 をそれが正
の場合にのみ出力するダイオード81とを備えている。
【0034】直流電源装置58は、制御回路60から供
給される信号S1 に応答して、その値に比例した防食電
流I1 を出力する。防食電流I1 の加減は、例えば出力
電圧の昇降(例えば0〜12V)によって行われる。例
えば、電位ES の方が電位E1 よりも高くかつ両者の差
が大きい場合、減算回路80から出力される信号S1は
正の大きな値になり直流電源装置58から出力する防食
電流I1 も大きくなるので、陽極66から海水10を通
して軸系45に流れる防食電流が大きくなり、それによ
って軸系45の電位が下がり、その結果上記差が小さく
なる。軸系45の電位が設定電位E1 よりも下がると、
減算回路80から出力される信号S1 は負になり、これ
はダイオード81で阻止されて出力されない。その結
果、直流電源装置58から出力する防食電流I1 は零に
され、その結果軸系45の海水10中での電位は上昇す
る。直流電源装置58は、言ってみれば、制御回路60
から供給される信号S1 の電力増幅回路のようなもので
ある。
給される信号S1 に応答して、その値に比例した防食電
流I1 を出力する。防食電流I1 の加減は、例えば出力
電圧の昇降(例えば0〜12V)によって行われる。例
えば、電位ES の方が電位E1 よりも高くかつ両者の差
が大きい場合、減算回路80から出力される信号S1は
正の大きな値になり直流電源装置58から出力する防食
電流I1 も大きくなるので、陽極66から海水10を通
して軸系45に流れる防食電流が大きくなり、それによ
って軸系45の電位が下がり、その結果上記差が小さく
なる。軸系45の電位が設定電位E1 よりも下がると、
減算回路80から出力される信号S1 は負になり、これ
はダイオード81で阻止されて出力されない。その結
果、直流電源装置58から出力する防食電流I1 は零に
され、その結果軸系45の海水10中での電位は上昇す
る。直流電源装置58は、言ってみれば、制御回路60
から供給される信号S1 の電力増幅回路のようなもので
ある。
【0035】このような構成によって、海水10中での
軸系45の電位が、設定電位E1 になるように自動的に
制御される。
軸系45の電位が、設定電位E1 になるように自動的に
制御される。
【0036】制御回路64は、例えば図3に示すよう
に、海水10中での船体44と軸系45との間の電位差
ED を検出する減算回路82と、この減算回路82で検
出した電位差ED と予め設定した電位差E2 との差(即
ちED −E2 )を求めて、その差に比例した信号S2 を
出力する減算回路84と、この信号S2 をそれが正の場
合にのみ出力するダイオード85とを備えている。
に、海水10中での船体44と軸系45との間の電位差
ED を検出する減算回路82と、この減算回路82で検
出した電位差ED と予め設定した電位差E2 との差(即
ちED −E2 )を求めて、その差に比例した信号S2 を
出力する減算回路84と、この信号S2 をそれが正の場
合にのみ出力するダイオード85とを備えている。
【0037】直流電源装置62は、制御回路64から供
給される信号S2 に応答して、その値に比例した防食電
流I2 を出力する。防食電流I2 の加減は、例えば出力
電圧の昇降(例えば0〜12V)によって行われる。例
えば、電位差ED の方が電位差E2 のよりも大きくかつ
両者の差が大きい場合、減算回路84から出力される信
号S2 は正の大きな値になり直流電源装置62から出力
する防食電流I2 も大きくなるので、陽極66から海水
10を通して船体44に流れる防食電流が大きくなり、
それによって船体44の電位が下がり、その結果上記差
が小さくなる。電位差ED が設定電位E2 よりも小さく
なると(即ち船体44の電位が下がり過ぎると)、減算
回路84から出力される信号S2 は負になり、これはダ
イオード85で阻止されて出力されない。その結果、直
流電源装置62から出力する防食電流I2 は零にされ、
その結果船体44の海水10中での電位は上昇する。直
流電源装置62は、言ってみれば、制御回路64から供
給される信号S2 の電力増幅回路のようなものである。
給される信号S2 に応答して、その値に比例した防食電
流I2 を出力する。防食電流I2 の加減は、例えば出力
電圧の昇降(例えば0〜12V)によって行われる。例
えば、電位差ED の方が電位差E2 のよりも大きくかつ
両者の差が大きい場合、減算回路84から出力される信
号S2 は正の大きな値になり直流電源装置62から出力
する防食電流I2 も大きくなるので、陽極66から海水
10を通して船体44に流れる防食電流が大きくなり、
それによって船体44の電位が下がり、その結果上記差
が小さくなる。電位差ED が設定電位E2 よりも小さく
なると(即ち船体44の電位が下がり過ぎると)、減算
回路84から出力される信号S2 は負になり、これはダ
イオード85で阻止されて出力されない。その結果、直
流電源装置62から出力する防食電流I2 は零にされ、
その結果船体44の海水10中での電位は上昇する。直
流電源装置62は、言ってみれば、制御回路64から供
給される信号S2 の電力増幅回路のようなものである。
【0038】このような構成によって、海水10中での
船体44の電位が、軸系45の電位よりも設定電位差E
2 分だけプラス側になるように自動的に制御される。
船体44の電位が、軸系45の電位よりも設定電位差E
2 分だけプラス側になるように自動的に制御される。
【0039】前述した制御回路60における設定電位E
1 は、例えば−980mV〜−1050mVの範囲内に
設定するのが好ましい。これは、−980mVよりもプ
ラス側では電位が高過ぎてプロペラ48の防食効果が劣
り、逆に−1050mVよりもマイナス側にしてもプロ
ペラ48の防食効果は殆ど増大しないのに直流電源装置
58の出力パワーだけを増大させなければならないから
である。
1 は、例えば−980mV〜−1050mVの範囲内に
設定するのが好ましい。これは、−980mVよりもプ
ラス側では電位が高過ぎてプロペラ48の防食効果が劣
り、逆に−1050mVよりもマイナス側にしてもプロ
ペラ48の防食効果は殆ど増大しないのに直流電源装置
58の出力パワーだけを増大させなければならないから
である。
【0040】また、前述した制御回路64における設定
電位差E2 は、例えば80mV〜120mVの範囲内に
設定するのが好ましい。これは、80mV未満では船体
44の電位が軸系45の電位に近づき過ぎて船体44の
過防食が起こる恐れがあり、逆に120mVを超えると
船体44の電位が上がり過ぎて船体44に対する防食効
果が悪化するだけでなく、船体44から海水10を通し
て軸系45へと液絡的に流れる電流が無視できなくなる
からである。例えば、図4に示すように、プロペラ軸4
6は船底に設けられた船尾管92を通して船体44を貫
通しており、この船尾管92とプロペラ軸46との間の
隙間93には海水10が浸入して来ており、この隙間9
3の部分で海水10を通して船体44からプロペラ軸4
6へと液絡的に電流が流れる。このような電流が流れる
と、船尾管92が犠牲陽極化して腐食を起こしやすくな
ると共に、この電流は結局は直流電源装置58から供給
されるのでその出力パワーを大きくしなければならなく
なる。設定電位差E2 を上記範囲内にすることによっ
て、このような問題が起こるのを防止することができ
る。なお、図4中の94は、封水部分である。
電位差E2 は、例えば80mV〜120mVの範囲内に
設定するのが好ましい。これは、80mV未満では船体
44の電位が軸系45の電位に近づき過ぎて船体44の
過防食が起こる恐れがあり、逆に120mVを超えると
船体44の電位が上がり過ぎて船体44に対する防食効
果が悪化するだけでなく、船体44から海水10を通し
て軸系45へと液絡的に流れる電流が無視できなくなる
からである。例えば、図4に示すように、プロペラ軸4
6は船底に設けられた船尾管92を通して船体44を貫
通しており、この船尾管92とプロペラ軸46との間の
隙間93には海水10が浸入して来ており、この隙間9
3の部分で海水10を通して船体44からプロペラ軸4
6へと液絡的に電流が流れる。このような電流が流れる
と、船尾管92が犠牲陽極化して腐食を起こしやすくな
ると共に、この電流は結局は直流電源装置58から供給
されるのでその出力パワーを大きくしなければならなく
なる。設定電位差E2 を上記範囲内にすることによっ
て、このような問題が起こるのを防止することができ
る。なお、図4中の94は、封水部分である。
【0041】特に、船体44の材質がアルミニウムの場
合は、上記設定電位E1 を約−1000mVにし、上記
設定電位差E2 を約100mVにするのが非常に好まし
いことが実験によって確かめられた。
合は、上記設定電位E1 を約−1000mVにし、上記
設定電位差E2 を約100mVにするのが非常に好まし
いことが実験によって確かめられた。
【0042】張出軸受50、ブラケット52および舵5
4は、この例では、船体44に電気的に並列接続されて
いるので、それらは船体44と一括して電気防食され
る。但し、舵54用の直流電源装置およびその制御回路
を別に設けて、海水10中での舵54の電位を船体44
の電位とは別に制御するようにしても良い。
4は、この例では、船体44に電気的に並列接続されて
いるので、それらは船体44と一括して電気防食され
る。但し、舵54用の直流電源装置およびその制御回路
を別に設けて、海水10中での舵54の電位を船体44
の電位とは別に制御するようにしても良い。
【0043】張出軸受50内に設けられていてプロペラ
軸46を回転自在に支える支面材(ブッシュ)には、一
般的に、金属製のものではなくゴムまたはフッ素樹脂製
のものが使用されているので、プロペラ軸46はこの支
面材によって張出軸受50から電気的に絶縁されてい
る。
軸46を回転自在に支える支面材(ブッシュ)には、一
般的に、金属製のものではなくゴムまたはフッ素樹脂製
のものが使用されているので、プロペラ軸46はこの支
面材によって張出軸受50から電気的に絶縁されてい
る。
【0044】一方、プロペラ軸46は、船体44内にお
いて主機関の出力軸に結合されており、上記のようにし
て船体44と軸系45との間に電位差E2 を付けた場
合、この主機関を経由して船体44と軸系45との間に
漏れ電流が流れる恐れがないとは言えない。そこで、図
4に示すように、プロペラ軸46と主機関96の出力軸
98とを結合するカップリング100の部分に絶縁物1
02を設け、この絶縁物102でプロペラ軸46と出力
軸98との間を完全に電気的に絶縁するのが好ましい。
このようにすれば、主機関96を経由して船体44と軸
系45との間に漏れ電流が流れる恐れが全く無くなるの
で、船体44と軸系45との間に電位差E2 を付けるに
際して、軸系45に余分なエネルギーを付与しなくて済
み、直流電源装置58の出力パワーを節約することがで
きる。絶縁物102には、機械的強度および電気絶縁性
の高い材料、例えばガラスエポキシ樹脂等を用いるのが
好ましい。
いて主機関の出力軸に結合されており、上記のようにし
て船体44と軸系45との間に電位差E2 を付けた場
合、この主機関を経由して船体44と軸系45との間に
漏れ電流が流れる恐れがないとは言えない。そこで、図
4に示すように、プロペラ軸46と主機関96の出力軸
98とを結合するカップリング100の部分に絶縁物1
02を設け、この絶縁物102でプロペラ軸46と出力
軸98との間を完全に電気的に絶縁するのが好ましい。
このようにすれば、主機関96を経由して船体44と軸
系45との間に漏れ電流が流れる恐れが全く無くなるの
で、船体44と軸系45との間に電位差E2 を付けるに
際して、軸系45に余分なエネルギーを付与しなくて済
み、直流電源装置58の出力パワーを節約することがで
きる。絶縁物102には、機械的強度および電気絶縁性
の高い材料、例えばガラスエポキシ樹脂等を用いるのが
好ましい。
【0045】前述した付与用ブラシ70は、図5に示す
ように、プロペラ軸46を挟んで対向するように配置さ
れていて互いに電気的に並列接続された一組の(この例
では2個の)ブラシ701および702で構成するのが
好ましい。そのようにすれば、プロペラ軸46に芯振れ
等が生じても、少なくとも一方のブラシ701または7
02はプロペラ軸46に確実に接触するので、直流電源
装置58から軸系45に安定して陰電位を付与して、防
食電流I1 を安定して流すことができる。同様に、前述
した検出用ブラシ72も、図5に示すように、プロペラ
軸46を挟んで対向するように配置されていて互いに電
気的に並列接続された一組の(この例では2個の)ブラ
シ721および722で構成するのが好ましい。そのよ
うにすれば、プロペラ軸46に芯振れ等が生じても、少
なくとも一方のブラシ721または722はプロペラ軸
46に確実に接触するので、軸系45の電位を安定して
検出することができる。
ように、プロペラ軸46を挟んで対向するように配置さ
れていて互いに電気的に並列接続された一組の(この例
では2個の)ブラシ701および702で構成するのが
好ましい。そのようにすれば、プロペラ軸46に芯振れ
等が生じても、少なくとも一方のブラシ701または7
02はプロペラ軸46に確実に接触するので、直流電源
装置58から軸系45に安定して陰電位を付与して、防
食電流I1 を安定して流すことができる。同様に、前述
した検出用ブラシ72も、図5に示すように、プロペラ
軸46を挟んで対向するように配置されていて互いに電
気的に並列接続された一組の(この例では2個の)ブラ
シ721および722で構成するのが好ましい。そのよ
うにすれば、プロペラ軸46に芯振れ等が生じても、少
なくとも一方のブラシ721または722はプロペラ軸
46に確実に接触するので、軸系45の電位を安定して
検出することができる。
【0046】上記のような電気防食装置56によれば、
軸系45に十分に防食電流I1 を供給して軸系45の電
位を十分に下げることができるので、プロペラ48の電
気化学腐食を効果的に抑制することができる。しかも、
船体44の電位は軸系45の電位よりも予め設定した電
位差E2 分だけプラス側に保つことができるので、船体
44の過防食を防止することができると共に、船体44
から海水10を通して軸系45へと液絡的に電流が流れ
るのを防止することができる。
軸系45に十分に防食電流I1 を供給して軸系45の電
位を十分に下げることができるので、プロペラ48の電
気化学腐食を効果的に抑制することができる。しかも、
船体44の電位は軸系45の電位よりも予め設定した電
位差E2 分だけプラス側に保つことができるので、船体
44の過防食を防止することができると共に、船体44
から海水10を通して軸系45へと液絡的に電流が流れ
るのを防止することができる。
【0047】その結果、従来不可能と考えられていたプ
ロペラ48の、特にその翼根部付近の腐食を電気防食装
置56によって効果的に抑制することができる。その結
果、従来のようにキャビテーションホールを設けなくて
も、プロペラ48の寿命を大幅に延ばすことができる。
しかも、キャビテーションホールを設けない場合は、プ
ロペラ48の加工が楽になると共に、プロペラ48の羽
根481の根元部の肉厚を薄くできるのでプロペラ効率
が低下する心配もない。
ロペラ48の、特にその翼根部付近の腐食を電気防食装
置56によって効果的に抑制することができる。その結
果、従来のようにキャビテーションホールを設けなくて
も、プロペラ48の寿命を大幅に延ばすことができる。
しかも、キャビテーションホールを設けない場合は、プ
ロペラ48の加工が楽になると共に、プロペラ48の羽
根481の根元部の肉厚を薄くできるのでプロペラ効率
が低下する心配もない。
【0048】ところで、上記のような外部電源方式の電
気防食装置56に加えて、例えば図1に示す実施例のよ
うに、プロペラ48の後端部付近においてプロペラ軸4
6の後端部に、犠牲陽極(第1の犠牲陽極)76を取り
付けておくのが好ましい。この犠牲陽極76のプロペラ
軸46への取り付け方等の詳細例は後で図8を参照して
説明する。
気防食装置56に加えて、例えば図1に示す実施例のよ
うに、プロペラ48の後端部付近においてプロペラ軸4
6の後端部に、犠牲陽極(第1の犠牲陽極)76を取り
付けておくのが好ましい。この犠牲陽極76のプロペラ
軸46への取り付け方等の詳細例は後で図8を参照して
説明する。
【0049】この犠牲陽極76は、例えばアルミニウ
ム、亜鉛またはマグネシウムを主成分とする合金である
が、その材質、大きさ等は、環境条件や防食仕様、更に
は制御回路60における設定電位E1 の値等に応じて適
宜選定すれば良い。
ム、亜鉛またはマグネシウムを主成分とする合金である
が、その材質、大きさ等は、環境条件や防食仕様、更に
は制御回路60における設定電位E1 の値等に応じて適
宜選定すれば良い。
【0050】上記のように犠牲陽極76をプロペラ軸4
6の後端部に取り付けることによって、この犠牲陽極7
6から海水10を通してプロペラ48に安定した防食電
流を供給することができるので、前述した外部電源方式
の電気防食装置56から、より具体的にはその直流電源
装置58から、海水10を通して軸系45に供給する防
食電流に脈動等の乱れが生じても、この乱れを犠牲陽極
76からの防食電流によって平滑化して、プロペラ48
に防食電流を安定して供給することができる。その結
果、プロペラ48の電気化学腐食をより確実に抑制する
ことができる。
6の後端部に取り付けることによって、この犠牲陽極7
6から海水10を通してプロペラ48に安定した防食電
流を供給することができるので、前述した外部電源方式
の電気防食装置56から、より具体的にはその直流電源
装置58から、海水10を通して軸系45に供給する防
食電流に脈動等の乱れが生じても、この乱れを犠牲陽極
76からの防食電流によって平滑化して、プロペラ48
に防食電流を安定して供給することができる。その結
果、プロペラ48の電気化学腐食をより確実に抑制する
ことができる。
【0051】ちなみに、直流電源装置58から軸系45
に供給する防食電流の上記のような脈動等の乱れは、例
えば付与用ブラシ70におけるチャタリング等によって
生じる可能性がある。この付与用ブラシにおけるチャタ
リングは、先に図5を参照して説明したような一組のブ
ラシ701および702を用いればかなり軽減すること
ができるが、その場合でも犠牲陽極76を設けておけ
ば、このチャタリングの影響を極めて少なくすることが
できる。
に供給する防食電流の上記のような脈動等の乱れは、例
えば付与用ブラシ70におけるチャタリング等によって
生じる可能性がある。この付与用ブラシにおけるチャタ
リングは、先に図5を参照して説明したような一組のブ
ラシ701および702を用いればかなり軽減すること
ができるが、その場合でも犠牲陽極76を設けておけ
ば、このチャタリングの影響を極めて少なくすることが
できる。
【0052】また、船舶42の船体44外であって船舶
42が停船中は海水10中に没し航行中は海面上に出る
位置に、第2の犠牲陽極116を更に取り付け、かつ前
記第1の犠牲陽極76の内部に、後方部が外に通じてい
る空洞部を設けておくのが好ましい。
42が停船中は海水10中に没し航行中は海面上に出る
位置に、第2の犠牲陽極116を更に取り付け、かつ前
記第1の犠牲陽極76の内部に、後方部が外に通じてい
る空洞部を設けておくのが好ましい。
【0053】犠牲陽極116を設ける上記のような位置
の好ましい例として、図6に示すように、船舶42の船
尾外板441の外部であって停船時の海水10の水位線
10aよりも下側の位置があり、そこに幾つかの(図示
例のような五つに限られるものではない)犠牲陽極11
6を取り付けている。
の好ましい例として、図6に示すように、船舶42の船
尾外板441の外部であって停船時の海水10の水位線
10aよりも下側の位置があり、そこに幾つかの(図示
例のような五つに限られるものではない)犠牲陽極11
6を取り付けている。
【0054】この犠牲陽極116も、例えばアルミニウ
ム、亜鉛またはマグネシウムを主成分とする合金である
が、その材質、大きさ、数等は、環境条件や防食仕様等
に応じて適宜選定すれば良い。
ム、亜鉛またはマグネシウムを主成分とする合金である
が、その材質、大きさ、数等は、環境条件や防食仕様等
に応じて適宜選定すれば良い。
【0055】犠牲陽極76のプロペラ軸46への取り付
け方等の詳細例を図8を参照して説明する。前記プロペ
ラ48はボス482を有しており、このボス482は前
方に広がるテーパ状の貫通穴483を有しており、前記
プロペラ軸46はその後端部付近461がこのボス48
2の貫通穴483に対応したテーパ状をしておりかつ後
端部に雄ねじ部462を有しており、このプロペラ軸4
6の後端部付近461をボス482の貫通穴483に嵌
め込んで嵌め合いによってプロペラ48をプロペラ軸4
6に結合している。更に、雄ねじ部462をボス482
の後端面から外に突き出し、この突き出した雄ねじ部4
62にプロペラナット74を螺合させてプロペラ48の
抜け止めを施している。そして、このプロペラナット7
4の後端部に上記犠牲陽極76を配置している。犠牲陽
極76は、この例では有底円筒状をしていて、その内部
に、後方部が外に通じている空洞部762を有してお
り、前面部761は閉じている。
け方等の詳細例を図8を参照して説明する。前記プロペ
ラ48はボス482を有しており、このボス482は前
方に広がるテーパ状の貫通穴483を有しており、前記
プロペラ軸46はその後端部付近461がこのボス48
2の貫通穴483に対応したテーパ状をしておりかつ後
端部に雄ねじ部462を有しており、このプロペラ軸4
6の後端部付近461をボス482の貫通穴483に嵌
め込んで嵌め合いによってプロペラ48をプロペラ軸4
6に結合している。更に、雄ねじ部462をボス482
の後端面から外に突き出し、この突き出した雄ねじ部4
62にプロペラナット74を螺合させてプロペラ48の
抜け止めを施している。そして、このプロペラナット7
4の後端部に上記犠牲陽極76を配置している。犠牲陽
極76は、この例では有底円筒状をしていて、その内部
に、後方部が外に通じている空洞部762を有してお
り、前面部761は閉じている。
【0056】そしてこの例では、先端部861が雄ねじ
部で中間部862が頭部863に向かって広がるテーパ
状になっているボルト86を用い、プロペラ軸46の後
端部の雄ねじ部462内にこのボルト86に螺合する雌
ねじ部463を設け、犠牲陽極76の前面部761にこ
のボルト86の中間部862に対応してテーパ状になっ
ている貫通穴763を設け、この貫通穴763に当該ボ
ルト86を通して同ボルト86で犠牲陽極76をプロペ
ラ軸46の後端部に固定している。更にこの例では、犠
牲陽極76とプロペラ軸46の後端面464との間に、
ボルト86を取り囲むリング状の第1のパッキン88を
設け、更に犠牲陽極76とボルト86の頭部付近との間
に、同ボルト86を取り囲むリング状の第2のパッキン
90を設けている。
部で中間部862が頭部863に向かって広がるテーパ
状になっているボルト86を用い、プロペラ軸46の後
端部の雄ねじ部462内にこのボルト86に螺合する雌
ねじ部463を設け、犠牲陽極76の前面部761にこ
のボルト86の中間部862に対応してテーパ状になっ
ている貫通穴763を設け、この貫通穴763に当該ボ
ルト86を通して同ボルト86で犠牲陽極76をプロペ
ラ軸46の後端部に固定している。更にこの例では、犠
牲陽極76とプロペラ軸46の後端面464との間に、
ボルト86を取り囲むリング状の第1のパッキン88を
設け、更に犠牲陽極76とボルト86の頭部付近との間
に、同ボルト86を取り囲むリング状の第2のパッキン
90を設けている。
【0057】ボルト86は、例えばチタン64、6アル
ミおよび4バナジウムの合金から成る。パッキン88お
よび90は、例えばゴム、フッ素樹脂等から成るOリン
グである。
ミおよび4バナジウムの合金から成る。パッキン88お
よび90は、例えばゴム、フッ素樹脂等から成るOリン
グである。
【0058】上記のような第1の犠牲陽極76および第
2の犠牲陽極116を設けると、船舶42の停船中は外
部電源方式の電気防食装置56を働かせる必要がなくな
り、その保守管理等が非常に楽になる等の効果が得られ
る。
2の犠牲陽極116を設けると、船舶42の停船中は外
部電源方式の電気防食装置56を働かせる必要がなくな
り、その保守管理等が非常に楽になる等の効果が得られ
る。
【0059】これを詳述すると、外部電源方式の電気防
食装置は、一般的に、船舶が長期停泊中の場合もずっと
働かせていなければならないので、その保守管理等に手
間がかかるという問題がある。
食装置は、一般的に、船舶が長期停泊中の場合もずっと
働かせていなければならないので、その保守管理等に手
間がかかるという問題がある。
【0060】例えば、全長が20m程度の小型船舶用の
電気防食装置の場合でも、停泊中でも例えばDC24V
で少なくとも3〜4A程度の入力が必要になる(ちなみ
に航行中は大きな防食電流が必要なため10Aを超える
入力が必要になる)。停泊中は船舶のエンジンおよびそ
れに連結された発電機が回っていないので、通常はこの
電力をバッテリーから供給することになるが、上記のよ
うに大きい入力を必要とするため、時々エンジンを回し
てこのバッテリーの充電を行わなければならず、非常に
手間がかかる。船員が長期不在になる場合は、これは不
可能である。
電気防食装置の場合でも、停泊中でも例えばDC24V
で少なくとも3〜4A程度の入力が必要になる(ちなみ
に航行中は大きな防食電流が必要なため10Aを超える
入力が必要になる)。停泊中は船舶のエンジンおよびそ
れに連結された発電機が回っていないので、通常はこの
電力をバッテリーから供給することになるが、上記のよ
うに大きい入力を必要とするため、時々エンジンを回し
てこのバッテリーの充電を行わなければならず、非常に
手間がかかる。船員が長期不在になる場合は、これは不
可能である。
【0061】また、陸上から商用電源を供給してもらう
方法もあるが、その配線等が面倒であり、しかも停泊地
によってはそれが不可能な場合もある。
方法もあるが、その配線等が面倒であり、しかも停泊地
によってはそれが不可能な場合もある。
【0062】万一、バッテリーが消耗する等して電気防
食装置が働かなくなれば、船舶の船体や軸系等を腐食さ
せてしまう危険がある。
食装置が働かなくなれば、船舶の船体や軸系等を腐食さ
せてしまう危険がある。
【0063】これに対して、上記のような犠牲陽極76
を設けておくと、この犠牲陽極76は常に海水10中に
没しており、しかも船舶42の停船中にはその空洞部7
62内にも海水10が入って来て犠牲陽極76は大きな
面積で海水10と接触しているので、この犠牲陽極76
から海水10を通してプロペラ48を含む軸系45に防
食電流を十分に供給して、それらの電食を防止すること
ができる。また、上記のような犠牲陽極116を設けて
おくと、船舶42の停船中にはこの犠牲陽極116は海
水10中に没するので、この犠牲陽極116から海水1
0を通して船体44に、更にはそれに並列接続された張
出軸受50および舵54等にも、防食電流を十分に供給
してそれらの電食を防止することができる。しかも停船
中の場合は、航行中と違って腐食環境が殆ど変化しない
ので、犠牲陽極76および116を用いる場合でも、軸
系45および船体44等の電食を効果的に防止すること
ができる。
を設けておくと、この犠牲陽極76は常に海水10中に
没しており、しかも船舶42の停船中にはその空洞部7
62内にも海水10が入って来て犠牲陽極76は大きな
面積で海水10と接触しているので、この犠牲陽極76
から海水10を通してプロペラ48を含む軸系45に防
食電流を十分に供給して、それらの電食を防止すること
ができる。また、上記のような犠牲陽極116を設けて
おくと、船舶42の停船中にはこの犠牲陽極116は海
水10中に没するので、この犠牲陽極116から海水1
0を通して船体44に、更にはそれに並列接続された張
出軸受50および舵54等にも、防食電流を十分に供給
してそれらの電食を防止することができる。しかも停船
中の場合は、航行中と違って腐食環境が殆ど変化しない
ので、犠牲陽極76および116を用いる場合でも、軸
系45および船体44等の電食を効果的に防止すること
ができる。
【0064】従って、船舶42の停船中は外部電源方式
の電気防食装置56を働かせる必要がなくなり、その保
守管理等が非常に楽になる。例えば、船舶42が長期停
泊中の場合は電気防食装置56のスイッチを切る等して
おけば、バッテリー等から電力を供給する必要はなくな
る。従って、船員が長期不在になる場合や陸上から商用
電源の供給が受けられない場合にも問題なく対処するこ
とができる。なお、制御回路60および64の消費電力
は極めて小さいので、それらを働かせておいて船体44
および軸受45の電位の監視だけは続けるようにしても
良い。
の電気防食装置56を働かせる必要がなくなり、その保
守管理等が非常に楽になる。例えば、船舶42が長期停
泊中の場合は電気防食装置56のスイッチを切る等して
おけば、バッテリー等から電力を供給する必要はなくな
る。従って、船員が長期不在になる場合や陸上から商用
電源の供給が受けられない場合にも問題なく対処するこ
とができる。なお、制御回路60および64の消費電力
は極めて小さいので、それらを働かせておいて船体44
および軸受45の電位の監視だけは続けるようにしても
良い。
【0065】一方、船舶42が航行中の場合は、電気防
食装置56を働かせれば、それの前述したような作用に
よって、腐食環境の変化に対応して、プロペラ48を含
む軸系45および船体44等の電食を効果的に防止する
ことができる。従ってこの場合は、犠牲陽極116を働
かせる必要はない。また、犠牲陽極76も、前述した直
流電源装置58から海水10を通して軸系45に供給す
る防食電流の乱れを平滑化することができる程度に働か
せれば良い。
食装置56を働かせれば、それの前述したような作用に
よって、腐食環境の変化に対応して、プロペラ48を含
む軸系45および船体44等の電食を効果的に防止する
ことができる。従ってこの場合は、犠牲陽極116を働
かせる必要はない。また、犠牲陽極76も、前述した直
流電源装置58から海水10を通して軸系45に供給す
る防食電流の乱れを平滑化することができる程度に働か
せれば良い。
【0066】そこでこの実施例では、前述したように犠
牲陽極76の内部に、後方部が外に通じている空洞部7
62を設けており、そのようにすれば、船舶42の航行
中は空洞部762内は海水10が吸い出されて真空状態
になるので、海水10は主として犠牲陽極76の外周部
のみに接触するようになり、犠牲陽極76の海水10に
対する接触面積は、停船中に比べて大幅に(例えば60
〜70%程度に)小さくなる。その結果、船舶42の航
行中における犠牲陽極76の消耗が減るので、当該犠牲
陽極76の長寿命化を図ることができる。
牲陽極76の内部に、後方部が外に通じている空洞部7
62を設けており、そのようにすれば、船舶42の航行
中は空洞部762内は海水10が吸い出されて真空状態
になるので、海水10は主として犠牲陽極76の外周部
のみに接触するようになり、犠牲陽極76の海水10に
対する接触面積は、停船中に比べて大幅に(例えば60
〜70%程度に)小さくなる。その結果、船舶42の航
行中における犠牲陽極76の消耗が減るので、当該犠牲
陽極76の長寿命化を図ることができる。
【0067】またこの実施例では、前述したような取り
付け位置によって、船舶42の航行中に犠牲陽極116
が自然に海面上に出るようにしている。これを図6およ
び図7を参照して説明する。図7中の矢印Aの方向に船
舶42が航行している場合、船尾外板441の後方の海
水10は船体44によって排除されるが、そこに海水1
0が入り込む速度よりも船舶42が航行する速度の方が
速いため、船尾外板441の後方には、図7に示すよう
に、海水10が三角状に窪んだ領域10cができる。そ
のため、図6中に太い実線で示すように、航行中の船尾
外板441の部分の水位線10bは、船底近くまで下が
って、犠牲陽極116が自然に海面上に出る。その結
果、船舶42の航行中は犠牲陽極116の消耗を防ぐこ
とができるので、犠牲陽極116の大幅な長寿命化を図
ることができる。
付け位置によって、船舶42の航行中に犠牲陽極116
が自然に海面上に出るようにしている。これを図6およ
び図7を参照して説明する。図7中の矢印Aの方向に船
舶42が航行している場合、船尾外板441の後方の海
水10は船体44によって排除されるが、そこに海水1
0が入り込む速度よりも船舶42が航行する速度の方が
速いため、船尾外板441の後方には、図7に示すよう
に、海水10が三角状に窪んだ領域10cができる。そ
のため、図6中に太い実線で示すように、航行中の船尾
外板441の部分の水位線10bは、船底近くまで下が
って、犠牲陽極116が自然に海面上に出る。その結
果、船舶42の航行中は犠牲陽極116の消耗を防ぐこ
とができるので、犠牲陽極116の大幅な長寿命化を図
ることができる。
【0068】上記のようにして、犠牲陽極76および1
16の長寿命化を図ることができるので、船舶42の犠
牲陽極76または116の交換等のためのドック入りの
周期を大幅に延ばすことができる。このことは、例えば
船舶42が遠洋航海に出る場合や、大きな船舶42を上
架する設備のない地域に航海に出る場合等において非常
に利点がある。
16の長寿命化を図ることができるので、船舶42の犠
牲陽極76または116の交換等のためのドック入りの
周期を大幅に延ばすことができる。このことは、例えば
船舶42が遠洋航海に出る場合や、大きな船舶42を上
架する設備のない地域に航海に出る場合等において非常
に利点がある。
【0069】ところで、プロペラ48のボス482は、
その外径をその軸方向(長手方向)において一様にする
のが好ましい。かつ、犠牲陽極76は、その外径をその
軸方向(長手方向)において一様でしかもボス482の
外径にほぼ等しくするのが好ましい。そのようにすれ
ば、プロペラ48で押し出した海水10が犠牲陽極76
の外周面にうまく沿って流れて、犠牲陽極76の外周面
付近で水流剥離が生じにくくなるので、船舶42の航行
中における犠牲陽極76の作用を安定化することができ
ると共に、乱流防止によってプロペラ48の効率も改善
される。
その外径をその軸方向(長手方向)において一様にする
のが好ましい。かつ、犠牲陽極76は、その外径をその
軸方向(長手方向)において一様でしかもボス482の
外径にほぼ等しくするのが好ましい。そのようにすれ
ば、プロペラ48で押し出した海水10が犠牲陽極76
の外周面にうまく沿って流れて、犠牲陽極76の外周面
付近で水流剥離が生じにくくなるので、船舶42の航行
中における犠牲陽極76の作用を安定化することができ
ると共に、乱流防止によってプロペラ48の効率も改善
される。
【0070】また、プロペラ48のボス482と犠牲陽
極76との間にプロペラナット74を設ける場合は、こ
のプロペラナット74は、図8および図9に示すよう
に、外形を円形にすると共に、その外径をボス482お
よび犠牲陽極76の外径とほぼ等しくするのが好まし
い。そのようにすれば、このプロペラナット74の表面
を海水10が乱れることなく流れるので、プロペラナッ
ト74の外周面付近での水流剥離を防止することができ
る。ちなみに、図9に示したプロペラナット74は、ス
パナで回すための二つの平坦部741および742を相
対向する部分に有しており、当該プロペラナット74を
相手のプロペラ軸46に締め付けた後、この平坦部74
1および742に円弧部743および744をそれぞれ
被せてそれらを皿ビス745および746でそれぞれ固
定する構造をしている。
極76との間にプロペラナット74を設ける場合は、こ
のプロペラナット74は、図8および図9に示すよう
に、外形を円形にすると共に、その外径をボス482お
よび犠牲陽極76の外径とほぼ等しくするのが好まし
い。そのようにすれば、このプロペラナット74の表面
を海水10が乱れることなく流れるので、プロペラナッ
ト74の外周面付近での水流剥離を防止することができ
る。ちなみに、図9に示したプロペラナット74は、ス
パナで回すための二つの平坦部741および742を相
対向する部分に有しており、当該プロペラナット74を
相手のプロペラ軸46に締め付けた後、この平坦部74
1および742に円弧部743および744をそれぞれ
被せてそれらを皿ビス745および746でそれぞれ固
定する構造をしている。
【0071】また、プロペラ軸46の後端部への犠牲陽
極76の取り付けを、図8に示したような構造で行う
と、ボルト86の中間部862および犠牲陽極76の貫
通穴763が互いに対応するテーパ状になっているの
で、ボルト86を締め付けることによってこのテーパ状
の部分で、ボルト86と犠牲陽極76との金属接触を確
実に確保することができる。しかも、その金属接触の部
分に海水10が浸入するのを二つのパッキン88および
90によって防止することができる。また、ボルト86
とプロペラ軸46の雌ねじ部463との螺合部に海水1
0が浸入するのをパッキン88によって防止することが
できる。これらの結果、ボルト86を介しての犠牲陽極
76とプロペラ軸46との電気的導通を長期間に亘って
確実に確保することができる。ちなみに犠牲陽極76と
プロペラ軸46との電気的導通が断たれると、犠牲陽極
76から海水10を通してプロペラ48を含む軸系45
に防食電流が流れることができなくなり、犠牲陽極76
によるそれらの防食作用は失われる。
極76の取り付けを、図8に示したような構造で行う
と、ボルト86の中間部862および犠牲陽極76の貫
通穴763が互いに対応するテーパ状になっているの
で、ボルト86を締め付けることによってこのテーパ状
の部分で、ボルト86と犠牲陽極76との金属接触を確
実に確保することができる。しかも、その金属接触の部
分に海水10が浸入するのを二つのパッキン88および
90によって防止することができる。また、ボルト86
とプロペラ軸46の雌ねじ部463との螺合部に海水1
0が浸入するのをパッキン88によって防止することが
できる。これらの結果、ボルト86を介しての犠牲陽極
76とプロペラ軸46との電気的導通を長期間に亘って
確実に確保することができる。ちなみに犠牲陽極76と
プロペラ軸46との電気的導通が断たれると、犠牲陽極
76から海水10を通してプロペラ48を含む軸系45
に防食電流が流れることができなくなり、犠牲陽極76
によるそれらの防食作用は失われる。
【0072】図10は、この発明の他の実施例に係る船
舶の電気防食装置を示す概略図である。図1に示した電
気防食装置56との相違点を主体に説明すると、この実
施例の電気防食装置57は、図1に示した制御回路64
の代わりに、照合電極68に対する船体44の電位が、
制御回路60における電位の設定値E1 よりも予め設定
した電位差分E2 だけプラス側になるように直流電源装
置62から出力する防食電流I2 を制御する第2の制御
回路108を備えている。その他は、先の電気防食装置
56の場合と同様である。
舶の電気防食装置を示す概略図である。図1に示した電
気防食装置56との相違点を主体に説明すると、この実
施例の電気防食装置57は、図1に示した制御回路64
の代わりに、照合電極68に対する船体44の電位が、
制御回路60における電位の設定値E1 よりも予め設定
した電位差分E2 だけプラス側になるように直流電源装
置62から出力する防食電流I2 を制御する第2の制御
回路108を備えている。その他は、先の電気防食装置
56の場合と同様である。
【0073】この場合、船体44の海水10中での電位
検出用の照合電極(第2の照合電極)を、前述した照合
電極(第1の照合電極)68とは別に設けても良いけれ
ども、この実施例のように一つの照合電極68で兼用し
ても良く、そのようにすれば経済的となる。
検出用の照合電極(第2の照合電極)を、前述した照合
電極(第1の照合電極)68とは別に設けても良いけれ
ども、この実施例のように一つの照合電極68で兼用し
ても良く、そのようにすれば経済的となる。
【0074】制御回路108は、例えば図11に示すよ
うに、海水10中での船体44の電位と照合電極68の
電位との間の差を求めて、照合電極68に対する船体4
4の電位EB を検出する減算回路110と、制御回路6
0に対する設定電位E1 に設定電位差E2 を加算した電
位E3 (即ちE1 +E2 )を求める加算回路112と、
上記電位EB と電位E3 との差(即ちEB −E3 )を求
めてその差に比例した信号S3 を出力する減算回路11
4と、この信号S3 をそれが正の場合にのみ出力するダ
イオード115とを備えている。
うに、海水10中での船体44の電位と照合電極68の
電位との間の差を求めて、照合電極68に対する船体4
4の電位EB を検出する減算回路110と、制御回路6
0に対する設定電位E1 に設定電位差E2 を加算した電
位E3 (即ちE1 +E2 )を求める加算回路112と、
上記電位EB と電位E3 との差(即ちEB −E3 )を求
めてその差に比例した信号S3 を出力する減算回路11
4と、この信号S3 をそれが正の場合にのみ出力するダ
イオード115とを備えている。
【0075】直流電源装置62は、この例では、制御回
路108から供給される信号S3 に応答して、その値に
比例した防食電流I2 を出力する。例えば、電位EB の
方が電位E3 よりも高くかつ両者の差が大きい場合、減
算回路114から出力される信号S3 は正の大きな値に
なり直流電源装置62から出力する防食電流I2 も大き
くなるので、陽極66から海水10を通して船体44に
流れる防食電流が大きくなり、それによって船体44の
電位が下がり、その結果上記差が小さくなる。電位EB
が電位E3 よりも下がると(即ち船体44の電位が下が
り過ぎると)、減算回路114から出力される信号S3
は負になり、これはダイオード115で阻止されて出力
されない。その結果、直流電源装置62から出力される
防食電流I2 は零にされ、その結果船体44の電位は上
昇する。
路108から供給される信号S3 に応答して、その値に
比例した防食電流I2 を出力する。例えば、電位EB の
方が電位E3 よりも高くかつ両者の差が大きい場合、減
算回路114から出力される信号S3 は正の大きな値に
なり直流電源装置62から出力する防食電流I2 も大き
くなるので、陽極66から海水10を通して船体44に
流れる防食電流が大きくなり、それによって船体44の
電位が下がり、その結果上記差が小さくなる。電位EB
が電位E3 よりも下がると(即ち船体44の電位が下が
り過ぎると)、減算回路114から出力される信号S3
は負になり、これはダイオード115で阻止されて出力
されない。その結果、直流電源装置62から出力される
防食電流I2 は零にされ、その結果船体44の電位は上
昇する。
【0076】このような構成によって、海水10中での
船体44の電位が、制御回路60における設定電位E1
よりも、即ち軸系45の電位よりも設定電位差E2 分だ
けプラス側になるように自動的に制御される。この場合
の設定電位E1 および設定電位差E2 の好ましい範囲
は、先の電気防食装置56の場合と同様である。
船体44の電位が、制御回路60における設定電位E1
よりも、即ち軸系45の電位よりも設定電位差E2 分だ
けプラス側になるように自動的に制御される。この場合
の設定電位E1 および設定電位差E2 の好ましい範囲
は、先の電気防食装置56の場合と同様である。
【0077】この実施例の電気防食装置57によって
も、先の電気防食装置56の場合と同様に、軸系45に
十分に防食電流I1 を供給して軸系の電位を十分に下げ
ることができるので、プロペラ48の電気化学腐食を効
果的に抑制することができる。しかも、船体44の電位
は軸系45の電位よりも予め設定した電位差E2 分だけ
プラス側に保つことができるので、船体44の過防食を
防止することができると共に、船体44から海水10を
通して軸系45へと液絡的に電流が流れるのを防止する
ことができる。
も、先の電気防食装置56の場合と同様に、軸系45に
十分に防食電流I1 を供給して軸系の電位を十分に下げ
ることができるので、プロペラ48の電気化学腐食を効
果的に抑制することができる。しかも、船体44の電位
は軸系45の電位よりも予め設定した電位差E2 分だけ
プラス側に保つことができるので、船体44の過防食を
防止することができると共に、船体44から海水10を
通して軸系45へと液絡的に電流が流れるのを防止する
ことができる。
【0078】また、この電気防食装置57を用いる場合
も、先の電気防食装置56の場合と同様の理由から、前
述したような第1の犠牲陽極76および第2の犠牲陽極
116を設けても良い。
も、先の電気防食装置56の場合と同様の理由から、前
述したような第1の犠牲陽極76および第2の犠牲陽極
116を設けても良い。
【0079】なお、以上はいずれも、軸系45が一つの
1軸の船舶を例に説明したが、この発明はそのようなも
のに限定されるものではなく、軸系45が二つある2軸
の船舶にも適用することができる。その場合は、軸系用
の直流電源装置58、制御回路60、付与用ブラシ70
および検出用ブラシ72を、更に必要に応じて犠牲陽極
76を、各軸系にそれぞれ設ければ良い。
1軸の船舶を例に説明したが、この発明はそのようなも
のに限定されるものではなく、軸系45が二つある2軸
の船舶にも適用することができる。その場合は、軸系用
の直流電源装置58、制御回路60、付与用ブラシ70
および検出用ブラシ72を、更に必要に応じて犠牲陽極
76を、各軸系にそれぞれ設ければ良い。
【0080】
【発明の効果】この発明は、上記のとおり構成されてい
るので、次のような効果を奏する。
るので、次のような効果を奏する。
【0081】請求項1の電気防食装置によれば、海水中
での軸系の電位を制御する第1の直流電源装置および第
1の制御回路と、海水中での船体の電位を制御する第2
の直流電源装置および第2の制御回路とを備えているの
で、軸系に十分に防食電流を供給して軸系の電位だけを
十分に下げることができ、それによって船体の過防食を
防止しつつ、プロペラの電気化学腐食を効果的に抑制す
ることができる。その結果、従来不可能と考えられてい
たプロペラの、特にその翼根部付近の腐食を電気防食装
置によって効果的に抑制することができる。その結果、
従来のようにキャビテーションホールを設けなくても、
プロペラの寿命を大幅に延ばすことができる。しかもキ
ャビテーションホールを設けない場合は、プロペラの加
工が楽になると共に、プロペラの翼根部の肉厚を薄くで
きるのでプロペラ効率が低下する心配もない。
での軸系の電位を制御する第1の直流電源装置および第
1の制御回路と、海水中での船体の電位を制御する第2
の直流電源装置および第2の制御回路とを備えているの
で、軸系に十分に防食電流を供給して軸系の電位だけを
十分に下げることができ、それによって船体の過防食を
防止しつつ、プロペラの電気化学腐食を効果的に抑制す
ることができる。その結果、従来不可能と考えられてい
たプロペラの、特にその翼根部付近の腐食を電気防食装
置によって効果的に抑制することができる。その結果、
従来のようにキャビテーションホールを設けなくても、
プロペラの寿命を大幅に延ばすことができる。しかもキ
ャビテーションホールを設けない場合は、プロペラの加
工が楽になると共に、プロペラの翼根部の肉厚を薄くで
きるのでプロペラ効率が低下する心配もない。
【0082】また、船体の電位を軸系の電位と同様に下
げなくて済むので、第2の直流電源装置から海水を通し
て船体に多大な防食電流を供給しなくて済み、その分、
電気防食装置の出力パワーを節約することができ、それ
に伴って消費電力も少なくて済む。
げなくて済むので、第2の直流電源装置から海水を通し
て船体に多大な防食電流を供給しなくて済み、その分、
電気防食装置の出力パワーを節約することができ、それ
に伴って消費電力も少なくて済む。
【0083】しかも、船体の電位は、第2の制御回路に
よって、軸系の電位よりも予め設定した電位差分だけプ
ラス側になるように制御されるので、船体の電位が下が
り過ぎて船体が過防食に陥るのを防止することができる
だけでなく、船体と軸系の電位差が大きくなり過ぎて船
体から海水を通して軸系へと液絡的に電流が流れるのを
抑制することができる。その結果、船体からの電流流出
部分に局部腐食が発生するのを抑制することができると
共に、この液絡的な電流は第1の直流電源装置から供給
されるので、これを防止することができる分、第1の直
流電源装置の出力パワーを節約することができる。
よって、軸系の電位よりも予め設定した電位差分だけプ
ラス側になるように制御されるので、船体の電位が下が
り過ぎて船体が過防食に陥るのを防止することができる
だけでなく、船体と軸系の電位差が大きくなり過ぎて船
体から海水を通して軸系へと液絡的に電流が流れるのを
抑制することができる。その結果、船体からの電流流出
部分に局部腐食が発生するのを抑制することができると
共に、この液絡的な電流は第1の直流電源装置から供給
されるので、これを防止することができる分、第1の直
流電源装置の出力パワーを節約することができる。
【0084】請求項2の電気防食装置によれば、海水中
での軸系の電位を制御する第1の直流電源装置および第
1の制御回路と、海水中での船体の電位を制御する第2
の直流電源装置および第2の制御回路とを備えているの
で、請求項1の電気防食装置の場合と同様の効果を奏す
ることができる。
での軸系の電位を制御する第1の直流電源装置および第
1の制御回路と、海水中での船体の電位を制御する第2
の直流電源装置および第2の制御回路とを備えているの
で、請求項1の電気防食装置の場合と同様の効果を奏す
ることができる。
【0085】請求項3の電気防食装置によれば、第1の
照合電極と第2の照合電極とが同一の照合電極であるの
で、両者を別個に設ける場合に比べて経済的になる、と
いう更なる効果を奏することができる。
照合電極と第2の照合電極とが同一の照合電極であるの
で、両者を別個に設ける場合に比べて経済的になる、と
いう更なる効果を奏することができる。
【0086】請求項4の電気防食装置によれば、第1の
陽極と第2の陽極とが同一の陽極であるので、両者を別
個に設ける場合に比べて経済的になる、という更なる効
果を奏することができる。
陽極と第2の陽極とが同一の陽極であるので、両者を別
個に設ける場合に比べて経済的になる、という更なる効
果を奏することができる。
【0087】請求項5の電気防食装置によれば、第1の
制御回路における設定電位を−980mV〜−1050
mVの範囲内に設定しているので、第1の直流電源装置
の出力パワーをむやみに増大させることなく、プロペラ
に対する良好な防食効果を得ることができる、という更
なる効果を奏することができる。
制御回路における設定電位を−980mV〜−1050
mVの範囲内に設定しているので、第1の直流電源装置
の出力パワーをむやみに増大させることなく、プロペラ
に対する良好な防食効果を得ることができる、という更
なる効果を奏することができる。
【0088】請求項6の電気防食装置によれば、第2の
制御回路における設定電位差を80mV〜120mVの
範囲内に設定しているので、船体の過防食および防食不
足を防止して船体に対する良好な防食効果を得ることが
できると共に、船体から海水を通して軸系へと電流が流
れるのを抑制することができる、という更なる効果を奏
することができる。
制御回路における設定電位差を80mV〜120mVの
範囲内に設定しているので、船体の過防食および防食不
足を防止して船体に対する良好な防食効果を得ることが
できると共に、船体から海水を通して軸系へと電流が流
れるのを抑制することができる、という更なる効果を奏
することができる。
【0089】請求項7の電気防食装置によれば、カップ
リングの部分で絶縁物によってプロペラ軸と主機関の出
力軸とを互いに電気的に絶縁しているので、主機関を経
由して船体と軸系との間に漏れ電流が流れるのを完全に
防止することができ、それによって、船体と軸系との間
に電位差を付けるに際して、軸系に余分なエネルギーを
付与しなくて済み、第1の直流電源装置の出力電流パワ
ーを節約することができる、という更なる効果を奏する
ことができる。
リングの部分で絶縁物によってプロペラ軸と主機関の出
力軸とを互いに電気的に絶縁しているので、主機関を経
由して船体と軸系との間に漏れ電流が流れるのを完全に
防止することができ、それによって、船体と軸系との間
に電位差を付けるに際して、軸系に余分なエネルギーを
付与しなくて済み、第1の直流電源装置の出力電流パワ
ーを節約することができる、という更なる効果を奏する
ことができる。
【0090】請求項8の電気防食装置によれば、付与用
ブラシはプロペラ軸を挟んで対向するように配置されて
いて互いに電気的に並列接続された一組のブラシを有し
ており、検出用ブラシもこれと同様の一組のブラシを有
しているので、プロペラ軸に芯振れ等が生じても、軸系
に安定して陰電位を付与することができると共に、軸系
の電位を安定して検出することができる、という更なる
効果を奏することができる。
ブラシはプロペラ軸を挟んで対向するように配置されて
いて互いに電気的に並列接続された一組のブラシを有し
ており、検出用ブラシもこれと同様の一組のブラシを有
しているので、プロペラ軸に芯振れ等が生じても、軸系
に安定して陰電位を付与することができると共に、軸系
の電位を安定して検出することができる、という更なる
効果を奏することができる。
【0091】請求項9の電気防食装置によれば、プロペ
ラ軸の後端部に第1の犠牲陽極を取り付けており、これ
から海水を通してプロペラに安定して防食電流を供給す
ることができるので、外部電源方式の電気防食装置から
海水を通してプロペラに供給する防食電流に脈動等の乱
れが生じても、この乱れを犠牲陽極からの防食電流によ
って平滑化して、プロペラに防食電流を安定して供給す
ることができ、それによってプロペラの電気化学腐食を
より確実に抑制することができる、という更なる効果を
奏することができる。
ラ軸の後端部に第1の犠牲陽極を取り付けており、これ
から海水を通してプロペラに安定して防食電流を供給す
ることができるので、外部電源方式の電気防食装置から
海水を通してプロペラに供給する防食電流に脈動等の乱
れが生じても、この乱れを犠牲陽極からの防食電流によ
って平滑化して、プロペラに防食電流を安定して供給す
ることができ、それによってプロペラの電気化学腐食を
より確実に抑制することができる、という更なる効果を
奏することができる。
【0092】請求項10の電気防食装置によれば、第1
の犠牲陽極の内部に空洞部を設けており、かつ船舶の船
体外であって船舶が停船中は海水中に没し航行中は海面
上に出る位置に第2の犠牲陽極を設けており、停船中は
この第1および第2の犠牲陽極から軸系および船体に防
食電流をそれぞれ供給してそれらを防食することができ
るので、停船中は外部電源方式の電気防食装置を働かせ
る必要がなくなり、その保守管理等が非常に楽になる。
の犠牲陽極の内部に空洞部を設けており、かつ船舶の船
体外であって船舶が停船中は海水中に没し航行中は海面
上に出る位置に第2の犠牲陽極を設けており、停船中は
この第1および第2の犠牲陽極から軸系および船体に防
食電流をそれぞれ供給してそれらを防食することができ
るので、停船中は外部電源方式の電気防食装置を働かせ
る必要がなくなり、その保守管理等が非常に楽になる。
【0093】しかも、船舶の航行中は第1の犠牲陽極の
空洞部内が真空状態になって当該犠牲陽極の海水に対す
る接触面積が減るので、当該犠牲陽極の長寿命化を図る
ことができる。また、第2の犠牲陽極は自然に海面上に
出てその消耗を防ぐことができるので、当該犠牲陽極の
大幅な長寿命化を図ることができる。
空洞部内が真空状態になって当該犠牲陽極の海水に対す
る接触面積が減るので、当該犠牲陽極の長寿命化を図る
ことができる。また、第2の犠牲陽極は自然に海面上に
出てその消耗を防ぐことができるので、当該犠牲陽極の
大幅な長寿命化を図ることができる。
【0094】この電気防食装置によれば、このような更
なる効果を奏することができる。
なる効果を奏することができる。
【0095】請求項11の電気防食装置によれば、プロ
ペラのボスの外径をその軸方向において一様にし、かつ
第1の犠牲陽極の外径をその軸方向において一様かつこ
のボスの外径にほぼ等しくしているので、プロペラで押
し出した海水が当該犠牲陽極の外周面にうまく沿って流
れて当該犠牲陽極の外周面付近での水流剥離が生じにく
くなり、それによって船舶の航行中における当該犠牲陽
極の作用を安定化することができると共に、乱流防止に
よってプロペラ効率も改善される、という更なる効果を
奏することができる。
ペラのボスの外径をその軸方向において一様にし、かつ
第1の犠牲陽極の外径をその軸方向において一様かつこ
のボスの外径にほぼ等しくしているので、プロペラで押
し出した海水が当該犠牲陽極の外周面にうまく沿って流
れて当該犠牲陽極の外周面付近での水流剥離が生じにく
くなり、それによって船舶の航行中における当該犠牲陽
極の作用を安定化することができると共に、乱流防止に
よってプロペラ効率も改善される、という更なる効果を
奏することができる。
【0096】請求項12の電気防食装置によれば、ボル
トの中間部および第1の犠牲陽極の貫通穴が互いに対応
するテーパ状になっているので、このテーパ状の部分で
当該ボルトと犠牲陽極との金属接触を確実に確保するこ
とができ、しかも第1および第2のパッキンによってこ
の金属接触部分に海水が浸入することを、更には第1の
パッキンによってボルトとプロペラ軸との螺合部に海水
が浸入することを防止することができる。その結果、第
1の犠牲陽極とプロペラ軸との電気的導通を長期間に亘
って確実に確保することができるので、当該犠牲陽極に
よる防食作用を長期間に亘って安定して確保することが
できる、という更なる効果を奏することができる。
トの中間部および第1の犠牲陽極の貫通穴が互いに対応
するテーパ状になっているので、このテーパ状の部分で
当該ボルトと犠牲陽極との金属接触を確実に確保するこ
とができ、しかも第1および第2のパッキンによってこ
の金属接触部分に海水が浸入することを、更には第1の
パッキンによってボルトとプロペラ軸との螺合部に海水
が浸入することを防止することができる。その結果、第
1の犠牲陽極とプロペラ軸との電気的導通を長期間に亘
って確実に確保することができるので、当該犠牲陽極に
よる防食作用を長期間に亘って安定して確保することが
できる、という更なる効果を奏することができる。
【図1】この発明の一実施例に係る船舶の電気防食装置
を示す概略図である。
を示す概略図である。
【図2】図1中の第1の制御回路の構成の一例を示すブ
ロック図である。
ロック図である。
【図3】図1中の第2の制御回路の構成の一例を示すブ
ロック図である。
ロック図である。
【図4】プロペラ軸のカップリング付近の一例を示す概
略図である。
略図である。
【図5】付与用ブラシおよび検出用ブラシの構成の一例
を示す図である。
を示す図である。
【図6】図1の船舶を船尾側から見た一例を示す概略図
である。
である。
【図7】図1の船舶の航行中の船尾付近の一例を示す概
略平面図である。
略平面図である。
【図8】プロペラ軸の後端部付近の一例を示す断面図で
ある。
ある。
【図9】プロペラナットの一例を示す正面図である。
【図10】この発明の他の実施例に係る船舶の電気防食
装置を示す概略図である。
装置を示す概略図である。
【図11】図10中の第2の制御回路の構成の一例を示
すブロック図である。
すブロック図である。
【図12】従来の船舶の電気防食装置の一例を示す概略
図である。
図である。
10 海水 42 船舶 44 船体 45 軸系 46 プロペラ軸 48 プロペラ 56,57 電気防食装置 58 第1の直流電源装置 60 第1の制御回路 62 第2の直流電源装置 64 第2の制御回路 66 陽極 68 照合電極 70 付与用ブラシ 72 検出用ブラシ 74 プロペラナット 76 第1の犠牲陽極 108 制御回路 116 第2の犠牲陽極
Claims (12)
- 【請求項1】 船舶の船体外であって海水中に没する部
分に船体から電気的に絶縁して取り付けられた第1の陽
極と、この第1の陽極に相対的に陽電位を付与し、船舶
のプロペラ軸およびそれに取り付けられたプロペラを含
む軸系に相対的に陰電位を付与して、第1の陽極から海
水を通して軸系に防食電流を供給する出力可変の第1の
直流電源装置と、船舶の船体外であって海水中に没する
部分に船体から電気的に絶縁して取り付けられた照合電
極と、この照合電極に対する軸系の電位が予め設定した
電位に近づくように前記第1の直流電源装置から出力す
る防食電流を制御する第1の制御回路と、船舶の船体外
であって海水中に没する部分に船体から電気的に絶縁し
て取り付けられた第2の陽極と、この第2の陽極に相対
的に陽電位を付与し、船舶の船体に相対的に陰電位を付
与して、第2の陽極から海水を通して船体に防食電流を
供給する出力可変の第2の直流電源装置と、軸系と船体
との間の電位差を計測して、船体の電位が軸系の電位よ
りも予め設定した電位差分だけプラス側になるように前
記第2の直流電源装置から出力する防食電流を制御する
第2の制御回路とを備える船舶の電気防食装置。 - 【請求項2】 船舶の船体外であって海水中に没する部
分に船体から電気的に絶縁して取り付けられた第1の陽
極と、この第1の陽極に相対的に陽電位を付与し、船舶
のプロペラ軸およびそれに取り付けられたプロペラを含
む軸系に相対的に陰電位を付与して、第1の陽極から海
水を通して軸系に防食電流を供給する出力可変の第1の
直流電源装置と、船舶の船体外であって海水中に没する
部分に船体から電気的に絶縁して取り付けられた第1の
照合電極と、この第1の照合電極に対する軸系の電位が
予め設定した電位に近づくように前記第1の直流電源装
置から出力する防食電流を制御する第1の制御回路と、
船舶の船体外であって海水中に没する部分に船体から電
気的に絶縁して取り付けられた第2の陽極と、この第2
の陽極に相対的に陽電位を付与し、船舶の船体に相対的
に陰電位を付与して、第2の陽極から海水を通して船体
に防食電流を供給する出力可変の第2の直流電源装置
と、船舶の船体外であって海水中に没する部分に船体か
ら電気的に絶縁して取り付けられた第2の照合電極と、
この第2の照合電極に対する船体の電位が、前記第1の
制御回路における電位の設定値よりも予め設定した電位
差分だけプラス側になるように前記第2の直流電源装置
から出力する防食電流を制御する第2の制御回路とを備
える船舶の電気防食装置。 - 【請求項3】 前記第1の照合電極と第2の照合電極と
が同一の照合電極である請求項2記載の船舶の電気防食
装置。 - 【請求項4】 前記第1の陽極と第2の陽極とが同一の
陽極である請求項1、2または3記載の船舶の電気防食
装置。 - 【請求項5】 前記第1の制御回路における設定電位を
−980mV〜−1050mVの範囲内に設定している
請求項1、2、3または4記載の船舶の電気防食装置。 - 【請求項6】 前記第2の制御回路における設定電位差
を80mV〜120mVの範囲内に設定している請求項
1、2、3、4または5記載の船舶の電気防食装置。 - 【請求項7】 前記プロペラ軸は、それを回転させる主
機関の出力軸にカップリングを介して結合されており、
かつこのカップリングの部分に絶縁物を設けて、この絶
縁物でプロペラ軸と出力軸とを互いに電気的に絶縁して
いる請求項1、2、3、4、5または6記載の船舶の電
気防食装置。 - 【請求項8】 船体内において前記プロペラ軸に、前記
第1の直流電源装置から軸系に相対的に陰電位を付与す
るための付与用ブラシと、軸系の電位を検出するための
検出用ブラシとが摺動的に接触されており、かつ付与用
ブラシは、プロペラ軸を挟んで対向するように配置され
ていて互いに電気的に並列接続された一組のブラシを有
しており、検出用ブラシは、プロペラ軸を挟んで対向す
るように配置されていて互いに電気的に並列接続された
一組のブラシを有している請求項1、2、3、4、5、
6または7記載の船舶の電気防食装置。 - 【請求項9】 前記プロペラ軸の後端部に第1の犠牲陽
極を取り付けている請求項1、2、3、4、5、6、7
または8記載の船舶の電気防食装置。 - 【請求項10】 船舶の船体外であって船舶が停船中は
海水中に没し航行中は海面上に出る位置に取り付けられ
た第2の犠牲陽極を更に備えており、かつ前記第1の犠
牲陽極は、その内部に、後方部が外に通じる空洞部を有
している請求項9記載の船舶の電気防食装置。 - 【請求項11】 前記プロペラは外径が軸方向において
一様なボスを有しており、前記第1の犠牲陽極はその外
径が軸方向において一様でしかもこのボスの外径にほぼ
等しい請求項9または10記載の船舶の電気防食装置。 - 【請求項12】 先端部が雄ねじで中間部が頭部に向か
って広がるテーパ状になっているボルトを用い、前記プ
ロペラ軸の後端部内にこのボルトに螺合する雌ねじ部を
設け、前記第1の犠牲陽極にこのボルトの中間部に対応
してテーパ状になっている貫通穴を設け、この貫通穴に
当該ボルトを通して同ボルトで第1の犠牲陽極を前記プ
ロペラ軸の後端部に固定しており、かつ第1の犠牲陽極
と前記プロペラ軸の後端面との間に当該ボルトを取り囲
むリング状の第1のパッキンを設け、更に第1の犠牲陽
極と当該ボルトの頭部付近との間に同ボルトを取り囲む
リング状の第2のパッキンを設けている請求項9、10
または11記載の船舶の電気防食装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29378394A JP3321772B2 (ja) | 1994-11-02 | 1994-11-02 | 船舶の電気防食装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29378394A JP3321772B2 (ja) | 1994-11-02 | 1994-11-02 | 船舶の電気防食装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08133184A true JPH08133184A (ja) | 1996-05-28 |
JP3321772B2 JP3321772B2 (ja) | 2002-09-09 |
Family
ID=17799122
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29378394A Expired - Fee Related JP3321772B2 (ja) | 1994-11-02 | 1994-11-02 | 船舶の電気防食装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3321772B2 (ja) |
Cited By (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2002295392A (ja) * | 2001-03-30 | 2002-10-09 | Tsurumi Mfg Co Ltd | 水中回転機械の回転時における主軸の電食防止法および装置 |
WO2009116901A1 (en) * | 2008-03-19 | 2009-09-24 | Ab Volvo Penta | Control of a corrosion protection system |
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