JP4716590B2 - 水中回転機械の回転時における主軸の電食防止法および装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の技術分野】
本発明は、水中電動ポンプや曝気・攪拌装置など、水中回転機械の回転時における主軸の電食防止法および装置に関するものである。
【０００２】
【従来技術とその問題点】
従来より、水中電動ポンプなど水中回転機械の回転時における主軸の電食防止に関しては、主軸の負荷側導出部に流電陽極を取付け、或いは外部の電源を用いて防食電流を流すという手法が採られている。しかし主軸の負荷側導出部に流電陽極を取付けるという手法では、流電陽極の経時的消耗に伴い回転バランスが崩れて振動が発生し、過大な偏心荷重が主軸に加わって軸破断に至るおそれがあり、且つ流電陽極の寿命予測も困難で、水中回転機械を海水中より引き上げてのメンテナンス、取替え作業を頻繁に実施しなければならないという煩わしさがあった。また、外部電源を用いて電食電流を流すためには、外部電源設備を設置する陸上施設が必要となり、敷地の確保や電源の維持管理、電力エネルギー消費の増大等々クリヤーしなければならない多くの難問題を有しており、更には、水中回転機械の使用現場を次の使用現場へ移動する場合には電源施設全体を移動しなければならず、多大の移動コストが必要となる。
【０００３】
【発明の目的】
本発明の目的は、外部電源設備を必要とせず電力エネルギー消費を増大することなく且つ使用現場の移動にも即応でき、防食効果が半永久的でメンテナンス性に優れた水中回転機械の回転時における主軸の電食防止法および装置を提供することにある。
【０００４】
【発明の構成】
本発明に係る水中回転機械の回転時における主軸の電食防止装置では、水中回転機械の主軸周辺の静止体に付設した永久磁石と主軸の反負荷側軸端部に付設された誘導用コイルとによって主軸の回転運動を利用する交流発電機構を構成し、該交流発電機構によって発生された交流電流を整流平滑処理して直流電流に交換する直流変換回路および整流変換部を前記誘導用コイルと共に主軸の反負荷側軸端部に装着し、直流電流のマイナス側を主軸へ流入させると共にプラス側を静止体に装着されて接液する不溶性対極へ流入させるよう構成する。
【０００５】
【実施例】
以下水中電動ポンプを実施対象とした事例について説明をする。
【０００６】
実施例の図面中、１は水中電動ポンプの主軸であり、例えばステンレスなどの鋼材で作られ、その負荷側導出下端部には羽根車（図示せず）が装着されている。２は主軸１の反負荷側軸端部を支承する上部ベアリングブラケット、３は主軸１の反負荷側軸端部に付設された誘導用コイル、４は該誘導用コイル３と対抗して主軸１の周辺の静止体（例えば上部ベアリングブラケット２など）上に配設された永久磁石であり、該永久磁石４と前記誘導用コイル３とによって主軸１の回転運動を利用する交流発電機構５が構成される。そして該交流発電機構５によって発生された交流電流を整流平滑処理して直流電流に変換する直流変換回路６および整流変換部７を前記誘導用コイル３と共に主軸１の反負荷側軸端部に装着し、直流電流のマイナス側を主軸１へ流入させると共にプラス側を後期不溶性対極８へ流入させるよう構成する。具体的構造としては例えば、直流変換回路６および整流変換部７を誘導用コイル３と共にプリント基板としてフイルム一体化構造により主軸１の反負荷側軸端部に貼着させ、また、カセット構造とし、図示はしないが主軸１の反負荷側軸端に穿設された竪穴と逆ねじ構造で螺合する栓体によって着脱自在に装着されるよう構成してもよい。９は上部ベアリングブラケット２上を蓋装するヘッドカバー、８は該ヘッドカバー９など静止体に装着されて接液する不溶性対極であり、材質としては黒鉛やその化合物、磁性酸化物、セラミック化合物、或いは白金や被覆したチタン等が好適である。１０は導電性の摺動接触子であり、主軸１の反負荷側軸端面と摺接して直流電流のプラス側を不溶性対極８へ流入させる役割を司どる。なお、１１は亜鉛やアルミニウム合金など電位の低い金属で作られた流電陽極であり、例えばヘッドカバー９など静止体の接液部に装着されているが、これは本発明の要点となるものではない。
【０００７】
【作用】
水中電導ポンプを駆動させれば主軸１の回転に伴い交流発電機構５によって発生する交流電流が、直流変換回路６および整流変換部７により直流電流に変換され、そのマイナス側が主軸１へ流電すると共にプラス側が不溶性対極８へ流電し、防食電流回路が形成されてポンプの運転中は防食効果が持続される。なお、ポンプの停止中は流電陽極１１が防食作用を司どることになる。
【０００８】
【発明の効果】
本発明によれば、外部電源設備を必要としないため電力エネルギー消費を増大させることがなく且つ使用現場の移動にも即応でき、また、防食効果が半永久的に持続されるため取替え作業の必要もなくメンテナンス性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明法の原理を略示した配線図である。
【図２】 本発明装置の原理を略示した構造図である。
【符号の説明】
１ 主軸
３ 誘導用コイル
４ 永久磁石
５ 交流発電機構
６ 直流変換回路
７ 整流変換部
８ 不溶性対極

Claims (3)

1. 水中回転機械の主軸周辺の静止体に付設した永久磁石と主軸の反負荷側軸端部に付設された誘導用コイルとによって主軸の回転運動を利用する交流発電機構を構成し、該交流発電機構によって発生された交流電流を整流平滑処理して直流電流に変換する直流変換回路および整流変換部を前記誘導用コイルと共に主軸の反負荷側軸端部に装着し、直流電流のマイナス側を主軸へ流入させると共にプラス側を静止体に装着されて接液する不溶性対極へ流入させるよう構成したことを特徴とする、水中回転機械の回転時における主軸の電食防止装置
2. 直流変換回路および整流変換部を誘導用コイルと共にプリント基板としてフイルム一体化構造により主軸の反負荷軸端部に装着させたことを特徴とする、請求項１記載の水中回転機械の回転時における主軸の電食防止装置。
3. 直流変換回路および整流変換部を誘導用コイルと共にカセット構造として主軸の反負荷側軸端部へ着脱自在に装着されるよう構成したことを特徴とする、請求項１記載の水中回転機械の回転時における主軸の電食防止装置。

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