JP3207665B2 - 船速対応型船体防食防汚装置 - Google Patents

船速対応型船体防食防汚装置

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JP3207665B2
JP3207665B2 JP06560894A JP6560894A JP3207665B2 JP 3207665 B2 JP3207665 B2 JP 3207665B2 JP 06560894 A JP06560894 A JP 06560894A JP 6560894 A JP6560894 A JP 6560894A JP 3207665 B2 JP3207665 B2 JP 3207665B2
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正博 宇佐美
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、船舶の海水に接触する
金属外板の防食や防汚を行なうための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の導電塗膜を利用した電解方式の船
体防食防汚装置では、船体外面の没水面積と海水温度と
により防食防汚電流を設定することが行なわれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、海洋生物
は、船舶が停泊しているとき付着しやすく、航行時には
付着しにくくなることが知られている。したがって、従
来のように船舶の停泊状態に対応して防食防汚電流を設
定した場合、船舶の航行時には上記電流が必要以上に流
れることになり、導電塗膜の寿命を短くしてしまうとい
う問題点がある。本発明は、このような問題点の解決を
はかろうとするもので、船速の変化に対応して防食防汚
電流を流せるように制御手段を付加した、船速対応型船
体防食防汚装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、本発明の船速対応型船体防食防汚装置は、船体の海
水に接触する金属表面に、同表面を絶縁塗膜を介して被
覆する導電塗膜をそなえるとともに、同導電塗膜へ同導
電塗膜を陽極として直流電流を通じる直流電源をそなえ
た船体防食防汚装置において、上記船体の航行速度を計
測する船速計が設けられ、上記船体の速度変化に対応し
た電流を上記導電塗膜に通電すべく上記船速計の計測信
号を受けて同信号に基づき上記直流電源から上記導電塗
膜への電流を船速の増加に応じ減少させるように制御す
る電流制御装置が設けられたことを特徴としている。
【0005】
【作用】上述の本発明の船速対応型船体防食防汚装置で
は、船速計からの計測信号に対応した防食防汚電流を直
流電源から導電塗膜へ通電するように制御が行なわれ、
船速の増加に応じ上記電流を減少させるので、導電塗膜
には常に最適の電流量が維持されるようになり、これに
より導電塗膜の劣化が防止される。
【0006】
【実施例】以下、図面により本発明の実施例について説
明すると、図1は本発明の第1実施例としての船速対応
型船体防食防汚装置をそなえた船舶の模式的横断面図、
図2は上記装置における電源制御系の構成を示すブロッ
ク線図である。
【0007】図1に示すように、海洋鋼構造物としての
船体1における鋼板製外板1aの表面に絶縁塗膜2が施
工され、同絶縁塗膜2の上には導電顔料としてのカーボ
ンを用いた導電塗膜3が塗装されている。導電塗膜3は
船体1の船底中央部で左舷側導電塗膜3aと右舷側導電
塗膜3bとに2分割して施工されており、両塗膜3a,
3b間には照合電極5が外板1aに取付けられるように
して配設されている。
【0008】また本装置では、船体1の航行速度を計測
するための電磁ログ22が、船体1の底部に取付けられる
ようにして設けられており、同電磁ログ22は、これに接
続されて船速信号を発信するパネル22aと共に装備され
ている。さらに船体1には電源制御系4が搭載されてお
り、同制御系4には図2に示すように直流電源10,船体
電位制御装置11,極性反転スイッチ12,タイマー13およ
び電流制御装置16が装備されている。
【0009】電磁ログ22にはパネル22aおよびリード線
22bを介して電源制御系4内の電流制御装置16に接続さ
れ、電流制御装置16は直流電源10に接続される。直流電
源10の陽極が極性反転用切換えスイッチ12の入力側の一
方の端子に接続される一方、直流電源10の陰極が船体電
位制御装置11を介して極性反転スイッチ12の入力側の他
方の端子に接続されている。そして、極性反転スイッチ
12の出力側の両端子に、それぞれ導電塗膜3a,3bが
リード線6,7を介して接続されている。なお、符号8
は外板1aを船体電位制御装置11に接続するリード線を
示し、符号9は照合電極5を船体電位制御装置11に接続
するリード線を示している。
【0010】船体電位制御装置11は、照合電極5で計測
された船体の外板1aの電位が防食電位となるように、
直流電源10から陽極として作動中の導電塗膜3aまたは
3bに流された電流量を、陰極として作動中の他方の導
電塗膜3bまたは3aに流れる電流量と外板1aに流れ
る電流量とに配分する。
【0011】さらに船体電位制御装置11の制御要領につ
いて説明すると、海中に船体が溶けないように、また過
防食とならないように、照合電極5を基準とし船体を−
800mv〜−1,200mvの電位に保つ必要がある。リード線
8,9を通じてもたらされる計測値をもとに、船体電位
を−800mv〜−1,200mvに保つように、導電塗膜3a,3
bからの戻り電流が制御される。なお、戻り電流が多い
と船体電位は(+)側となり、戻り電流が少ないと船体電
位は(-)側となる。
【0012】タイマー13は、一定時間毎に極性反転スイ
ッチ12を切換えて導電塗膜3a,3bの極性を切換える
機能をそなえている。電流制御装置16は、電磁ログ22か
らパネル22aおよびリード線22bを介し送られてくる船
速信号に対応した防食防汚電流を直流電源10より流すよ
うに制御する機能を有しており、船速が増すと防食防汚
電流を減少させる制御が行なわれるようになっている。
これにより船速が変動しても常に最適の電流量で防食防
汚が行なわれ、導電塗膜3a,3bの劣化も防止され
る。
【0013】なお、本装置を100トンの小型船に適用し
た場合の実験例を[表1]に示す。[表1]における通
電量は、船舶の停泊時の必要通電量を1として、それと
の相対比で示されている。この実験例から明らかなよう
に、停泊時の通電量に比べ航行時の通電量を本装置によ
り減少させても、十分な防汚性が得られている。
【0014】
【表1】
【0015】次に、本発明の第2実施例としての船速対
応型船体防食防汚装置について説明すると、図3は本装
置をそなえた船舶の模式的横断面図、図4は上記装置に
おける電源制御系の構成を示すブロック線図、図5は上
記装置におけるドラフトゲージの構成を示す模式図であ
る。
【0016】図3に示すように、この第2実施例の場合
も船体1における鋼板製外板1aの表面に絶縁塗膜2が
施工され、同絶縁塗膜2の上には導電顔料としてのカー
ボンを用いた導電塗膜3が塗装されている。導電塗膜3
は船体1の船底中央部で左舷側導電塗膜3aと右舷側導
電塗装3bとに2分割して施工されており、両塗膜3
a,3b間には照合電極5が外板1aに取付けられるよ
うにして配設されている。
【0017】また本装置では、船体1の喫水を計測する
ためのドラフトゲージ14が、船体1に取付けられるよう
にして設けられるとともに、船体1の航行速度を計測す
るための電磁ログ22が船底部に設けられており、同電磁
ログ22は、これに接続されて船速信号を発信するパネル
22aと共に装備されている。さらに船体1には電源制御
系4が搭載されていて、同制御系4には図4に示すよう
に直流電源10,船体電位制御装置11,極性反転スイッチ
12,タイマー13および電流制御装置16が装備されてい
る。
【0018】ドラフトゲージ14はリード線15を介して電
源制御系4内の電流制御装置16に接続され、また電磁ロ
グ22もパネル22aおよびリード線22bを介し電流制御装
置16に接続されていて、電流制御装置16は直流電源10に
接続される。直流電源10の陽極が極性反転用切換えスイ
ッチ12の入力側の一方の端子に接続される一方、直流電
源10の陰極が船体電位制御装置11を介して極性反転スイ
ッチ12の入力側の他方の端子に接続されている。そし
て、極性反転スイッチ12の出力側の両端子に、それぞれ
導電塗膜3a,3bがリード線6,7を介して接続され
ている。なお、符号8は外板1aを船体電位制御装置11
に接続するリード線を示し、符号9は照合電極5を船体
電位制御装置11に接続するリード線を示している。
【0019】船体電位制御装置11は、照合電極5で計測
された船体の外板1aの電位が防食電位となるように、
直流電源10から陽極として作動中の導電塗膜3aまたは
3bに流された電流量を、陰極として作動中の他方の導
電塗膜3bまたは3aに流れる電流量と外板1aに流れ
る電流量とに配分する。タイマー13は、一定時間毎に極
性反転スイッチ12を切換えて導電塗膜3a,3bの極性
を切換える機能をそなえている。
【0020】電流制御装置16は、ドラフトゲージ14で計
測した喫水に基づいて防食防汚面積を算出し、それに対
応した防食防汚電流を直流電源10が流すように制御する
働きを持つほか、電磁ログ22からパネル22aを介し送ら
れてくる船速信号にも対応して防食防汚電流を直流電源
10より流すように制御する働きを持っている。これによ
り喫水や船速が変動しても常に最適の電流量で防食防汚
が行なわれ、導電塗膜3a,3bの劣化も防止される。
【0021】次にドラフトゲージ14について説明する
と、図5に示すようにガイドパイプ21の中に一定電圧を
かけた抵抗18が設けられ、フロート17は抵抗18の任意点
の電位を計測するようになっている。このためフロート
17がガイドパイプ21をガイドとして上下に移動すると、
端子19の電位が変化する構造となっている。端子19の電
位変化は変換器20およびリード線15を介して電源装置4
内の電流制御装置16へ伝えられる。
【0022】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の船速対応
型船体防食防汚装置によれば船速の変化に応じて常に最
適の電流量で防食防汚が行なわれるようになり、導電塗
膜の劣化を抑制できるようになって、ライフコストの低
減をはかれる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例としての船速対応型船体防
食防汚装置をそなえた船舶を模式的に示す船体横断面図
である。
【図2】図1の装置における電源制御系の構成を示すブ
ロック線図である。
【図3】本発明の第2実施例としての船速対応型船体防
食防汚装置をそなえた船舶を模式的に示す船体横断面図
である。
【図4】図3の装置における電源制御系の構成を示すブ
ロック線図である。
【図5】図3の装置におけるドラフトゲージの構成を示
す模式図である。
【符号の説明】
1 船体 1a 外板 2 絶縁塗膜 3 導電塗膜 3a 左舷側導電塗膜 3b 右舷側導電塗膜 4 電源制御系 5 照合電極 6〜9,15 リード線 10 直流電源 11 船体電位制御装置 12 極性反転用切換スイッチ 13 タイマー 14 ドラフトゲージ 16 電流制御装置 17 フロート 18 抵抗 19 端子 20 変換器 21 ガイドパイプ 22 電磁ログ 22a パネル 22b リード線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B63B 59/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 船体の海水に接触する金属表面に、同表
    面を絶縁塗膜を介して被覆する導電塗膜をそなえるとと
    もに、同導電塗膜へ同導電塗膜を陽極として直流電流を
    通じる直流電源をそなえた船体防食防汚装置において、
    上記船体の航行速度を計測する船速計が設けられ、上記
    船体の速度変化に対応した電流を上記導電塗膜に通電す
    べく上記船速計の計測信号を受けて同信号に基づき上記
    直流電源から上記導電塗膜への電流を船速の増加に応じ
    減少させるように制御する電流制御装置が設けられたこ
    とを特徴とする、船速対応型船体防食防汚装置。
JP06560894A 1994-03-09 1994-03-09 船速対応型船体防食防汚装置 Expired - Fee Related JP3207665B2 (ja)

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