JPH08132115A - 冷間圧延における薄鋼板の圧延方法 - Google Patents

冷間圧延における薄鋼板の圧延方法

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JPH08132115A
JPH08132115A JP6277763A JP27776394A JPH08132115A JP H08132115 A JPH08132115 A JP H08132115A JP 6277763 A JP6277763 A JP 6277763A JP 27776394 A JP27776394 A JP 27776394A JP H08132115 A JPH08132115 A JP H08132115A
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rolling
rolling oil
concentration
oil
roll
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JP6277763A
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English (en)
Inventor
Toshiki Hiruta
敏樹 蛭田
Masanori Kitahama
正法 北浜
Tomomutsu Ono
智睦 小野
Isao Akagi
功 赤木
Norihisa Okada
典久 岡田
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ワークロールの先細り部分近傍の摩耗を小さ
くすることによって幅方向のエッジ部に発生するエッジ
アップを防止し、幅方向板厚を高精度に制御する圧延方
法を提供する。 【構成】 上下ワークロール1a,1bの先細りの起点
を含む先細り部分に、該先細り部分以外の部分よりも圧
延油濃度を高めたエマルジョンを圧延油噴射ノズル14
a,14bによって噴射しながら圧延することにより、高
精度のエッジドロップ制御を行うことを可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、冷間圧延における薄鋼
板の圧延方法に係り、ワークロールの先細り部分近傍の
摩耗を小さくすることによって幅方向のエッジ部に発生
するエッジアップを防止し、幅方向板厚を高精度に制御
する圧延方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、冷間圧延において、板のエッジ部
はワークロール偏平の急激な回復および圧延材の幅方向
のメタルフローにより中央部よりも板厚が急激に薄くな
るいわゆるエッジドロップが発生するのが一般的であ
る。このエッジドロップが大きいと、板幅方向に均一な
板厚が得られず、品質の良好な製品を得るためには耳切
り代を大きくするなど、歩留りを低下させ、非効率な生
産を余儀なくされる。
【0003】このエッジドロップを軽減する従来方法と
しては、たとえばロールベンディングやワークロールに
イニシャルクラウンを付与する方法がある。また、単純
なテーパ状のクラウン(先細りのワークロール)をロー
ル端部に付与し、ワークロールをバレル方向にシフトさ
せ、このテーパでの板のエッジ部を圧延する方法(たと
えば特開昭55−77903 号公報参照)がある。
【0004】このテーパ圧延方法は、図17に示すよう
に、圧延ロール胴の片側端部に先細り研削域を含むクラ
ウンを有する上下一対のワークロール1a,1bを、そ
の片側端部の交互配置において上下重ね合わせかつロー
ル軸方向へ可動として、該上下ワークロール1a,1b
をストリップSの幅に応じて移動させてストリップSの
両縁部をそれぞれ上下ワークロール1a,1bの先細り
研削域に位置させることにより、ストリップSのプロフ
ィルを有利に制御しようとしたものである。
【0005】また、ワークロールの摩耗によりエッジド
ロップ制御が困難になることを解消するために、たとえ
ば熱間圧延では特開昭60−250806号公報に記載されてい
るように、摩耗分散を目的として先細りのワークロール
シフトを微少シフトする方法がある。さらに、冷間圧延
では、たとえば特開昭61−165205号公報に開示されてい
るように、ワークロールの両端部を先細りにし、ワーク
ロールの摩耗が大きくなる前に、左右対称に反転させる
ことにより摩耗のないワークロールの先細り部でエッジ
ドロップ制御を行う方法がある。
【0006】さらにまた、たとえば特開昭57−124512号
公報には、圧延時の形状制御を目的としてワークロール
のバレル方向に複数個の潤滑油噴射ノズルを配置し目標
の板形状になるように、潤滑油量、濃度を設定する方法
が開示されている。その構成を簡単に説明すると、図18
(a) ,(b) に示すように、上下一対のワークロール1
a,1bのストリップSの噛み込み部に接近した位置
で、ストリップS表面に向くように、かつその上下両面
から挟むようにストリップSの幅方向すなわちワークロ
ール1a,1bのバレル方向に等間隔に2列の潤滑油噴
射ノズル2a,2bが並設される。
【0007】そして、それぞれの潤滑油噴射ノズル2a
-1, 2a-2…2a-n、2b-1, 2b-2…2b-nには、潤
滑油タンク3から潤滑油ポンプ4を介してあらかじめ定
められた潤滑剤パターンに基づいて供給される。なお、
可逆圧延する圧延機の場合は、ワークロール1a,1b
の反対側にも潤滑油噴射ノズル2a, 2bが並設され
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した従
来の先細りのワークロールを用いる圧延方法によって、
ある程度エッジドロップの制御は可能であったが、圧延
処理量が増大するとテーパ部の摩耗が増大し、特に、ロ
ール摩耗はテーパ部の起点近傍で大きくなるために、エ
ッジドロップの制御に最も重要な先細り部分では、圧延
の進行とともに大きな経時的変化を示す。とりわけ、エ
ッジ部の板の変形は板厚の厚い第1スタンドでは、ワー
クロールのプロフィルに沿う変形になるために、板端部
を圧延するワークロールのプロフィル変化に対応してエ
ッジ部の板プロフィルも変化することになる。
【0009】また、いわゆる難圧延材(たとえば珪素鋼
板やステンレス鋼板、高炭素鋼板など)を圧延すると、
圧延荷重が高く、板の摩耗粉の発生が多いのでさらに摩
耗量は大きくなる。このようにエッジ部の摩耗が大きく
なると、摩耗部で圧延された板にはエッジアップが発生
し、エッジ部が厚くなることから巻ずれが発生し、安定
な操業を妨げることになる。
【0010】この圧延進行に伴うロールプロフィルの経
時的変化を小さくする目的で摩耗量の小さいセミハイス
鍛鋼製のワークロールを適用する例があるが、ワークロ
ールの摩耗が従来の5%Crロール等に比較して1/3程
度になるものの圧延処理量が従来の2倍以上になると、
上述の理由からエッジ部の摩耗が大きくなって、エッジ
ドロップ制御を行うのが困難である。また、セミハイス
ロールは高価であること、硬度が高いために耐事故性
(クラック、折れなど)に劣り、ロールの研削が困難で
あるなどの欠点もある。
【0011】次に、従来の微少シフトによりロールの摩
耗を分散する方法では、目標のエッジドロップ量を達成
する最適なワークロールシフト量と異なる条件で圧延す
ることになるので、高精度のエッジドロップ制御を行う
のが困難である。さらに、従来のワークロールが摩耗し
た場合に反転して反対側のテーパ部で新たに圧延する方
法でも、従来の場合よりも2倍弱の圧延処理量の拡大を
図ることができるが、それ以上は不可能である。
【0012】また、前出特開昭57−124512号のロールバ
レル方向に複数の潤滑油噴射ノズルを設置する方法の場
合は、形状制御を目的としたものであって、ロール摩耗
を小さくする効果は期待できない。本発明は、上記のよ
うな従来技術の有する欠点を解消するためになされたも
のであって、ワークロールの先細り部分のロール摩耗を
小さくし、高精度のエッジドロップ制御を達成し、かつ
ロール組み替えまでの圧延処理量の増大を図ることを可
能にした冷間圧延における薄鋼板の圧延方法を提供する
ことを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の態様は、
バレル方向に各々シフト可能でかつバレル端部に点対称
になるように中央部からバレル端部に向かい先細りとな
るロールプロフィルを付与した上下ワークロールを組み
込んで構成される複数の多段スタンドからなる冷間タン
デム圧延機を用いて、水に圧延油を分散させたエマルジ
ョンを供給しながら薄鋼板を圧延する方法において、前
記上下ワークロールの先細りの起点を含む先細り部分
に、該先細り部分以外の部分よりも圧延油濃度を高めた
エマルジョンを供給しながら圧延することを特徴とする
冷間圧延における薄鋼板の圧延方法であり、具体的に
は、上下ワークロールの先細りの起点を含む先細り部分
のバレル方向に複数個の圧延油噴射ノズルを設置し、圧
延材の鋼種、圧延速度、圧下率および圧延荷重等に基づ
いて定められた濃度の圧延油を前記圧延油噴射ノズルか
らスプレーするようにしたものである。
【0014】また、本発明の第2の態様は、冷間タンデ
ム圧延機の第1スタンド入側において、圧延材の上下面
の板端部に圧延油を付着する圧延油付着装置を設置し、
かつ圧延材の鋼種、圧延速度、圧下率および圧延荷重等
に基づいて定められた濃度の圧延油を付着させるように
したものである。以下に、本発明の構成について具体的
に説明する。
【0015】図1は第1の発明の圧延方法の構成を示す
概要図であり、図2はその上部からみた概要図である。
図に示すように、冷間タンデム圧延機10は多段のスタン
ドから構成されており、第1スタンド11の上下一対のワ
ークロール1a,1bは前出図17に示したようにバレル
端部に点対称になるように中央部からバレル端部に向か
い先細りとなるロールプロフィルを付与されており、上
下一対の中間ロール12a,12bと上下一対のバックアッ
プロール13a,13bとによって支持される。
【0016】そこで、上下ワークロール1a,1bのバ
レル方向の先細りの起点を含まないフラット部には従来
の潤滑油噴射ノズル2a,2bが等間隔で配列されてお
り、潤滑油タンク3から潤滑油ポンプ4によって従来と
同じ所定濃度(通常3%濃度)のクーラントが供給され
る。一方、上下ワークロール1a,1bのバレル方向の
先細りの起点を含む先細り部分のバレル方向に、その濃
度が可変とされる圧延油エマルジョンを噴射する複数個
の圧延油噴射ノズル14a,14bが前記した従来の潤滑油
噴射ノズル2a,2bの間隔よりも狭い間隔で配列され
る。なお、図2には、下ワークロール1bに対応する圧
延油噴射ノズル14bが省略されている。
【0017】圧延油噴射ノズル14a,14bに圧延油エマ
ルジョンを供給する給油システムは、圧延油原液タンク
15と温水タンク16と補助タンク17と圧延油ポンプ18で構
成され、圧延油原液タンク15および温水タンク16の出側
には圧延油原液バルブ19と温水バルブ20がそれぞれ取付
けられ、また圧延油噴射ノズル14a,14bには圧延油バ
ルブ21a,21bが取付けられる。そして、圧延油原液バ
ルブ19と温水バルブ20は、圧延油制御装置22からの指令
によってバルブ制御装置23を介して制御され、圧延油バ
ルブ21a,21bは圧延油制御装置22によって直接制御調
節される。なお、24は第1スタンド11の圧延荷重を検出
するロードセルである。
【0018】そこで、まず、ロードセル24によって検出
された圧延荷重および圧延関連のプロセス情報(圧下
率、ワークロールシフト量、鋼種、圧延速度)が圧延油
制御装置22に入力され、スリップを防止可能な圧延油濃
度を決定する。この決定された濃度信号をバルブ制御装
置23に入力して目標の濃度になるように圧延油原液バル
ブ19と温水バルブ20を制御して、圧延油原液タンク15お
よび温水タンク16から送り出される圧延油原液および温
水の流量を調節する。補助タンク17ではこれらが攪拌さ
れてエマルジョンが作られ、圧延油ポンプ18を通して圧
延油噴射ノズル14a, 14bから上下のワークロール1
a,1bの面にスプレーされる。なお、ここで用いられ
る圧延油原液としては、エステルをベースとした圧延
油、もしくは動物性、植物性などの圧延油のいずれで
も、得られる作用効果は同じである。
【0019】ここで、スリップ防止可能な濃度を決定す
る方法としては、先細りのワークロール1a,1bの端
部にスプレーする圧延油濃度を種々変化させ、そのとき
の圧延荷重、先進率を測定し、その結果を用いてたとえ
ば Bland&Fordの荷重式から摩擦係数式を作成してお
く。摩擦係数μは圧延速度、圧延油濃度、圧下率、母板
厚等の関数となり、下記(1) 式のようになる。
【0020】 μ=f(V,C,γ,H…)+A ……………(1) ここで、V;圧延速度、C;圧延油濃度、γ;圧下率、
H;母板厚、A;補正項である。 ついで、圧延条件が決まれば上記(1) 式からワークロー
ル1a,1bの先細り部分にスプレーする濃度を仮定し
た場合の摩擦係数μが求まる。求められた摩擦係数μを
用いて上述の荷重式から先進率を予測することができ
る。この先進率が設定された限界値(たとえば 0.5%以
下) にならない範囲で、濃度が最も高くなるように圧延
油の濃度を決定する。また摩擦係数μが求まれば圧延荷
重も予測できるので、ロードセル24で測定された実測圧
延荷重を用いて補正項Aの修正を行う。図3に、第1の
発明による制御方法の手順の概要をまとめて示した。
【0021】次に、第2の発明の圧延方法の構成を図4
および図5を用いて説明する。この第2の発明では冷間
タンデム圧延機10の第1スタンド11の入側のストリップ
Sの両エッジ部付近に上下ワークロール1a,1bの先
細り部分に対向する位置に圧延油を塗油する圧延油塗油
ロール25,26が設置される。そして、ワークロール1
a,1bのシフト位置およびストリップSの板幅の変化
に伴って、板幅方向にシフトできるようにロールシフト
装置27, 28が設置される。この圧延油塗油ロール25およ
び26の入側にはその上側あるいは下側に噴射ノズル14
a,14bが所定の間隔で配列される(図5で圧延油噴射
ノズル14bを省略)。この圧延油塗油ロール25a,25b
には、第1の発明と同様に構成された給油システムによ
って所定のエマルジョン濃度の圧延油が供給される。第
2の発明による制御方法の手順の概要をまとめて示した
のが図6である。
【0022】一方、第1スタンド11のワークロール1
a,1bには通常の濃度が3%程度のクーラント用の噴
射ノズル2a,2bが設けられ、その後続するスタンド
の各ワークロールについても同様である。なお、この第
2の発明においてストリップS面の圧延油塗油に用いる
装置としては、圧延油塗油ロール25a,25b以外に、た
とえばブラシロール、静電塗油装置などを用いても同様
の作用効果が得られる。
【0023】
【作用】先細りのワークロールを用いてエッジドロップ
が制御できるのは、ストリップのエッジ部の変形を先細
り形状で補償できるためで、先細りとなったワークロー
ルのプロフィルにストリップのエッジが沿うように変形
するためであり、この度合いは板厚の厚い前段スタンド
にストリップのエッジが沿うように変形するためであ
り、この度合いは板厚の厚い前段スタンドほど大きい。
ところでストリップはこのように変形するが、ワークロ
ール1本分に作用する応力は以下のようになる。
【0024】すなわち、端部が先細りとなるワークロー
ルを用いてエッジドロップ制御を行う場合には、その先
細り端部(テーパ起点よりも外側)で圧延される部分で
は圧下率が小さく(エッジが厚くなる)なるので、板端
部でのワークロールとストリップ間での線圧は小さくな
る。一方、ワークロールはバレル内でモーメントの釣り
合いを満たすために、テーパの起点近傍の線圧が高くな
り、その近傍では応力集中が発生する。またストリップ
のエッジ部は熱間圧延時に急冷されるので、硬度が高い
場合が多く、さらに、板端を圧延するロールの先細り部
分の摩耗は大きくなる。
【0025】一般的にはロール摩耗は圧延長さ、応力等
と比例関係があることが知られており、応力集中により
摩耗が大きくなる。通常の潤滑条件においてワークロー
ルの摩耗状態を調査した結果を図7に示した。この図は
難圧延材の圧延処理量250tonの場合のロールの摩耗(テ
ーパ形状を付与)を測定した結果であるが、テーパ開始
位置近傍での摩耗が大きくなっているのが明らかであ
る。このロールの摩耗は摩擦係数に比例し増大するの
で、その摩擦係数は小さい方が摩耗も小さくなる。ま
た、摩擦係数が小さくなると、先細り部分の圧延荷重も
小さくなることから、さらに摩耗も小さくなる。
【0026】図8はワークロールの先細り部分の圧延油
濃度を3%,5%,7%,10%の4段階に変化させた場
合のロールの摩耗プロフィルを測定した結果を示したも
のである。この図からロール摩耗は圧延油濃度が高くな
るに従い、小さくなることがわかる。また、この図の中
には圧延処理量250tonまでのそれぞれの平均摩擦係数μ
を示しているが、濃度3%で0.065 μm 、5%で0.056
μm 、7%で0.046 μm 、10%で0.042 μm と濃度が高
くなるに従って摩擦係数も小さくなっている。それゆ
え、圧延油濃度を高めることによってワークロールの摩
耗を小さくし、高精度のエッジドロップ制御を行うこと
が可能であることがわかる。
【0027】
【実施例】6段の圧延ロールを組み込んた4スタンドの
冷間タンデム圧延機によって、板幅1000mm、入側厚(母
板厚)2.4mm のストリップのコイルを0.5mm まで仕上げ
た。ワークロール直径は400mm 、ワークロールバレル長
は1500mm、最終スタンドの最高速度は1200m/min とし
た。また各スタンドの圧下率は等分配として、本発明法
と従来法とでそれぞれ圧延を行った。
【0028】ここで、従来の潤滑方法は圧延油の濃度3
%、温度50℃、1スタンド当たり3000l/min のクーラン
ト(圧延油を水で希釈した濃度3%のエマルジョン)を
圧力5kgf/cm2 で各スタンド入側において板幅方向に均
一にスプレーした。圧延油原液としてはエステルをベー
スとしたノニオン系の乳化剤を5%添加したものを用い
た。本発明法および従来法ともに5%Cr鍛鋼のワークロ
ールを使用した。
【0029】このとき、ワークロール端部に付与する形
状は、図9に模式的に示すように、本発明法および従来
法ともにテーパの角度 tanθ=1/350 (ワークロール
の半径当たり)とし、そのシフト量の範囲はテーパの起
点からストリップの最縁部までの距離ELで示してい
る。 〔実施例1〕 まず、第1の発明が適用される冷間タン
デム圧延機10を図10に示す。この第1の発明では、第1
スタンド11の入側においてワークロール1a,1bの先
細りとなった部分に、前出図3で示した制御手順を用い
て濃度を決定した圧延油を圧延油噴射ノズル14a, 14b
を介してスプレーした。また、第1スタンド11のワーク
ロール1a,1bのバレル方向のフラット部およびその
後段の第2〜4スタンドには従来法と同様に圧延機の入
側において温度50℃、圧力5kgf/cm2 、濃度3%のクー
ラント(圧延油を水で希釈した濃度3%のエマルジョ
ン)を図示しない潤滑油噴射ノズル(前出図2の潤滑油
噴射ノズル2a,2b)で板幅方向に均一にスプレーし
た。
【0030】ここで、この実施例における高濃度の圧延
油をスプレーする圧延油噴射ノズル14a, 14bは、ワー
クロール1a,1bの先細り側に、ミル中心から 700mm
より450mm の範囲において25mmピッチで10本配置し、そ
れぞれに圧延油を圧力が12kgf/cm2 でノズル1本当たり
5l/min の流量で供給した。なお、高濃度の圧延油をス
プレーする圧延油噴射ノズル14a, 14bのオン・オフは
ワークロールシフト量ELと板幅の関係を用いて制御し
た。
【0031】図11は上記仕様のストリップSのコイルを
この第1の発明法で300ton圧延した後の先細り部分のワ
ークロールの摩耗プロフィルを示したものである。な
お、比較のために従来法での摩耗プロフィルを併せて示
した。この第1の発明法では、ワークロールの先細り部
分にスリップを発生しない条件で高濃度の圧延油をスプ
レーしているので、ワークロールの摩耗の低減がなされ
ていることがわかる。なお、このときの圧延ではワーク
ロールシフト量ELは本発明法および従来法ともに20〜
50mm程度で操業した。
【0032】第1の発明法が適用された最終コイル(30
0ton目)の第1スタンドでの圧延油濃度変化と最終スタ
ンド出側の板速の時間的推移を図12に示した。この図か
ら明らかなように、圧延速度が高くなると濃度は低下し
ており、第1の発明法の濃度制御が機能していることが
わかる。また、本発明法が適用された300tonの圧延では
最高速度1200m/min の高速圧延においてもスリップは発
生しなかったが、従来法での圧延では、第1スタンドを
含め、全スタンドにわたり濃度3%の圧延油をスプレー
しているのみなので、摩耗量の最大値は20μm 程度まで
達していた。
【0033】つぎに、圧延処理量300ton目のコイルにお
いて、最終スタンドの出側プロフィル(エッジ部100mm
との板厚差)を測定した結果を母板プロフィルとともに
図13に示した。なお、母板プロフィルは第1の発明法お
よび従来法ともに同じプロフィルのものを用いた。ま
た、各方法ともに第1スタンドのELは25mmとした。こ
の図13から明らかなように、従来法ではワークロールの
先細り部分の摩耗が大きくなったので、板端20mm程度が
エッジアップし、不適切な板プロフィルであるのに対
し、第1の発明法ではエッジアップが防止でき良好な板
プロフィルが得られたことがわかる。
【0034】〔実施例2〕 つぎに、第2の発明が適用
される冷間タンデム圧延機10を図14に示す。この第2の
発明では、第1スタンド11の入側に設置された圧延油塗
油ロール25,26の入側に所定の間隔で配列された圧延油
噴射ノズル14a,14bを用いて、前出図6で示した制御
方法によって決定された高濃度の圧延油をスプレーし
た。
【0035】圧延油塗油ロール25, 26に高濃度の圧延油
をスプレーする圧延油噴射ノズル14a, 14bは、それぞ
れワークロール1a,1bの先細りの側に、40mmピッチ
で片面で6本配置され、それぞれのノズル1本当たり5
l/min の流量が供給されるようにした。なお、この圧延
油塗油ロール25, 26は鋼製であり、それぞれ直径 200mm
でバレル長さ 250mmとした。
【0036】また、圧延油塗油ロール25, 26は、ワーク
ロール1a,1bのシフトに対応して板幅方向へワーク
ロールシフト量ELと板幅の関係に応じて、図示しない
ロールシフト装置(前出図5に示したロールシフト装置
27, 28)を用いて制御するようにした。これによって、
ワークロール1a,1bの先細り部で圧延されるストリ
ップSのエッジ部のみに、潤滑するための高濃度の圧延
油を供給することができる。
【0037】一方、第1スタンド11とそれに後続する第
2〜4スタンドには実施例1と同じ条件の従来のクーラ
ント(圧延油を水で希釈した濃度3%のエマルジョン)
を板幅方向に均一にスプレーした。なお、この図の中に
は潤滑油噴射ノズルについては示していないが、前出図
4,5に示した潤滑油噴射ノズル2a,2bと同じ構成
とした。
【0038】図15は上記仕様のストリップSのコイルを
この第2の発明法で300ton圧延した後の先細り部分のワ
ークロールの摩耗プロフィルを示したもので、比較のた
めに従来法による摩耗プロフィルを併せて示した。この
第2の発明法では、圧延油塗油ロール25, 26によりスト
リップ表面に圧延油を効率的に付着させることができ、
これによってワークロールの摩耗が低減できることがわ
かる。このときの圧延では、ワークロールシフト量EL
は本発明法および従来法ともに20〜50mm程度で操業を行
った。一方、従来法では実施例1の場合と同じように、
摩耗量の最大値は20μm 程度にまで達している。
【0039】図16は、圧延処理量300ton目のコイルで、
最終スタンドでの出側プロフィル(エッジ部100mm との
板厚差)を測定した結果を母板プロフィルとともに示し
たものである。なお、この第2の発明法および従来法と
もに、圧延処理量が300ton目になるコイルは同様のプロ
フィルを有する母板を用いた。また、各方法ともに第1
スタンドのELは25mm一定とした。この図16から明らか
なように、従来法ではワークロールの先細り部分の摩耗
が大きくなって板端20mm程度がエッジアップして不適切
な板プロフィルであったのに対し、本発明法ではエッジ
アップが防止でき良好な板プロフィルが得られたことが
わかる。
【0040】下記の表1は、エッジドロップ量がコイル
全長にわたってエッジアップ量+5μm 以下(幅方向の
板厚偏差が+5μm 以下)を達成可能な圧延処理量を比
較して示したものである。
【0041】
【表1】
【0042】この表からわかるように、本発明法のいず
れの場合も従来法に比較して2〜3倍の圧延処理量が可
能であり、したがって使用されるワークロールのロール
組み替えまでの圧延処理量を増大させることが可能であ
る。ここで、上限値を+5μm に設定したのは、それ以
上のエッジアップの場合では巻きずれが発生し、安定な
操業を維持することが困難であるからである。また、エ
ッジアップが5μm を超えると、幅方向の板厚精度を補
償するために耳切り代を大きくする必要があり、そのた
め歩留りの低下が避けられないことになる。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ロール摩耗を低減するとができ、これによって高精度の
エッジドロップ制御が可能である。また、従来法よりも
ロール組み替えまでの圧延処理量が大きくでき、ロール
替え時間の削減およびロール組み替え時のオフゲージを
減少することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明の構成を示す概要図である。
【図2】第1の発明の構成を平面的に示す概要図であ
る。
【図3】第1の発明による制御方法の手順の概要を示す
流れ図である。
【図4】第2の発明の構成を示す概要図である。
【図5】第2の発明の構成を平面的に示す概要図であ
る。
【図6】第2の発明による制御方法の手順の概要を示す
流れ図である。
【図7】従来法で250ton圧延後のワークロールプロフィ
ルを示す特性図である。
【図8】圧延油の濃度を変化させた場合のロール摩耗分
布を示す特性図である。
【図9】ワークロールの先細り部分のプロフィルを示す
模式図である。
【図10】第1の発明法を適用した圧延機列を示す斜視図
である。
【図11】第1の発明法によって300ton圧延後のワークロ
ールプロフィルを示す特性図である。
【図12】第1の発明法で圧延油濃度の制御結果と最終ス
タンド出側板速度の推移を示す特性図である。
【図13】第1の発明法で圧延したときの最終スタンド出
側プロフィルと母板プロフィルを示す特性図である。
【図14】第2の発明法を適用した圧延機列を示す斜視図
である。
【図15】第2の発明法によって300ton圧延後のワークロ
ールプロフィルを示す特性図である。
【図16】第2の発明法で圧延したときの最終スタンド出
側プロフィルと母板プロフィルを示す特性図である。
【図17】先細りワークロールの従来例を示す正面図であ
る。
【図18】圧延油噴射法の従来例を示す(a) 側面図、(b)
平面図である。
【符号の説明】
1a,1b ワークロール 2a,2b 潤滑油噴射ノズル 3 潤滑油タンク 4 潤滑油ポンプ 10 冷間タンデム圧延機 11 第1スタンド 12 中間ロール 13 バックアップロール 14a,14b 圧延油噴射ノズル 15 圧延油原液タンク 16 温水タンク 17 補助タンク 18 圧延油ポンプ 19 圧延油原液バルブ 20 温水バルブ 21 圧延油バルブ 22 圧延油制御装置 23 バルブ制御装置 24 ロードセル 25, 26 圧延油塗油ロール(圧延油付着装置) 27, 28 ロールシフト装置 S ストリップ(圧延材)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B21B 27/10 B C 37/00 BBP (72)発明者 小野 智睦 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 赤木 功 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 岡田 典久 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バレル方向に各々シフト可能でかつバレ
    ル端部に点対称になるように中央部からバレル端部に向
    かい先細りとなるロールプロフィルを付与した上下ワー
    クロールを組み込んで構成される複数の多段スタンドか
    らなる冷間タンデム圧延機を用いて、水に圧延油を分散
    させたエマルジョンを供給しながら薄鋼板を圧延する方
    法において、 前記上下ワークロールの先細りの起点を含む先細り部分
    に、該先細り部分以外の部分よりも圧延油濃度を高めた
    エマルジョンを供給しながら圧延することを特徴とする
    冷間圧延における薄鋼板の圧延方法。
  2. 【請求項2】 上下ワークロールの先細りの起点を含む
    先細り部分のバレル方向に複数個の圧延油噴射ノズルを
    設置し、圧延材の鋼種、圧延速度、圧下率および圧延荷
    重等に基づいて定められた濃度の圧延油を前記圧延油噴
    射ノズルからスプレーすることを特徴とする請求項1記
    載の冷間圧延における薄鋼板の圧延方法。
  3. 【請求項3】 冷間タンデム圧延機の第1スタンド入側
    において、圧延材の上下面の板端部に圧延油を付着する
    圧延油付着装置を設置し、かつ圧延材の鋼種、圧延速
    度、圧下率および圧延荷重等に基づいて定められた濃度
    の圧延油を付着させることを特徴とする請求項1または
    2記載の冷間圧延における薄鋼板の圧延方法。
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