JPH0812941A - ポリエステルイミド絶縁塗料の製造方法 - Google Patents

ポリエステルイミド絶縁塗料の製造方法

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JPH0812941A
JPH0812941A JP6170455A JP17045594A JPH0812941A JP H0812941 A JPH0812941 A JP H0812941A JP 6170455 A JP6170455 A JP 6170455A JP 17045594 A JP17045594 A JP 17045594A JP H0812941 A JPH0812941 A JP H0812941A
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JP
Japan
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acid
polyesterimide
insulating coating
imide
diisocyanate
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JP6170455A
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English (en)
Inventor
Shigeru Yamada
滋 山田
Setsuo Terada
節夫 寺田
Masao Ikeda
正雄 池田
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Dainichiseika Color and Chemicals Mfg Co Ltd
Ukima Chemicals and Color Mfg Co Ltd
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Dainichiseika Color and Chemicals Mfg Co Ltd
Ukima Chemicals and Color Mfg Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポリエステルイミドのイミド形成成分として
芳香族ジアミンを使用しないポリエステルイミド絶縁塗
料の製造方法および芳香族ジアミンを使用しないポリエ
ステルイミドを使用する絶縁塗料の製造方法の提供。 【構成】 有機溶剤中で、(A)芳香族トリカルボン酸
無水物と、(B)芳香族ジイソシアネートあるいはマス
キングされた芳香族ジイソシアネートと、(C)二価ア
ルコールと、(D)三価アルコールおよび(E)多価カ
ルボン酸あるいはその誘導体を加熱下に反応させ、得ら
れるポリエステルイミド含有反応液を希釈する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリエステルイミド絶
縁塗料の新規な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電気絶縁塗料等の被膜形成物とし
て、多数のものが知られ、且つ広く使用されており、そ
の用途に従って各種のグレ−ドのものが使用されてい
る。近年、電気機器類の小型化、高性能化に伴い電気絶
縁塗料に要求される性能も厳しくなり、高度の耐熱性と
各種特性のバランスの良いポリエステルイミド絶縁塗料
の需要が増加している。
【0003】ポリエステルイミド絶縁塗料として、エチ
レングリコ−ル、グリセリン、テレフタル酸またはその
誘導体、無水トリメリット酸、ならびに4,4′−ジア
ミノジフェニルメタンを原料とするポリエステルイミド
が被膜形成物として長年に渡り使用されてきた。ポリエ
ステル樹脂の分子構造中にイミド基を含有させることの
有効性については、特公昭38−21500号公報に既
に記載されている。
【0004】また、ポリエステルイミド絶縁塗料に耐熱
性を付与する方法としては、分子構造中にイソシアヌル
結合を導入する方法が特公昭45−33146号公報に
より提案され、多価アルコ−ル成分としてトリス(2−
ヒドロキシエチル)イソシアヌレ−トを使用する方法が
20数年に渡り実施されてきた。
【0005】上記のポリエステルイミドのイミド形成成
分としては、芳香族トリカルボン酸あるいはその無水物
と芳香族ジアミンが用いられており、使用される芳香族
ジアミンとしては価格的に安価な4,4′−ジアミノジ
フェニルメタン(以下DAMと略称する)が用いられて
きた。
【0006】ところが、イミド形成成分の一つであるD
AMは、IARC(国際がん研究機関)、米国NTP
(国家毒性プログラム)、ACGIH(米国産業衛生専
門家会議)等の評価結果から、発がん性が疑われる物質
とされ、日本国内では平成元年に指定化学物質に指定さ
れた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ポリ
エステルイミド絶縁塗料の製造においてDAMを用いる
ことなく、DAMを用いたポリエステルイミドと同等の
絶縁塗料性能を有するポリエステルイミド絶縁塗料の製
造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、有機溶
剤中で、(A)芳香族トリカルボン酸無水物と、(B)
芳香族ジイソシアネ−トあるいはマスキングされた芳香
族ジイソシアネ−トと、(C)二価アルコ−ルと、
(D)トリアジン環を有する三価アルコ−ル、および
(E)多価カルボン酸あるいはその誘導体を加熱反応さ
せてポリエステルイミドを生成せしめ、得られたポリエ
ステルイミド含有反応液を希釈することを特徴とするポ
リエステルイミド絶縁塗料の製造方法が提供される。
【0009】
【好ましい実施態様】以下に好ましい実施態様を挙げて
本発明を詳しく説明する。本発明の方法は、上記の
(A)〜(E)成分を加熱反応させてポリエステルイミ
ドを製造するが、特徴はポリエステルイミドを構成する
イミド二塩基酸成分源として、芳香族トリカルボン酸無
水物と芳香族ジイソシアネ−トあるいはマスキングされ
た芳香族ジイソシアネ−トを使用することと、生成した
ポリエステルイミド含有反応液を単に希釈することにあ
る。(A)〜(E)各成分について以下に説明する。
【0010】(A)芳香族トリカルボン酸無水物として
は、例えば、トリメリット酸無水物、3,4,4′−ベ
ンゾフェノントリカルボン酸無水物、3,4,4′−ビ
フェニルトリカルボン酸無水物等が挙げられるが、トリ
メリット酸無水物が汎用性から特に好ましい。
【0011】(B)芳香族ジイソシアネ−トとしては、
例えば、トリレンジイソシアネ−ト、m−フェニレンジ
イソシアネ−ト、p−フェニレンジイソシアネ−ト、
4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、4,
4′−ジフェニルエ−テルジイソシアネ−ト、キシレン
ジイソシアネ−ト等が、またこれらのジイソシアネ−ト
のイソシアネ−ト基をフェノ−ル、クレゾ−ル、キシレ
ノ−ル、メタノ−ル、エタノ−ル等およびこれらの類似
物でマスキングされた芳香族ジイソシアネ−トが挙げら
れるが、特に好ましいのは4,4′−ジフェニルメタン
ジイソシアネ−トおよびそのマスキング物である。
【0012】(C)二価アルコ−ルとしては、例えば、
エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、トリエチ
レングリコ−ル、テトラエチレングリコ−ル、1,2−
プロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、1,
3−プロパンジオ−ル;各種ブタン−、ペンタン−、ま
たはヘキサンジオ−ル(例えば、1,3−または1,4
−ブタンジオ−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6
−ヘキサンジオ−ル等);1,4−ブテン−2−ジオ−
ル、2,2−ジメチルプロパンジオ−ル−1,3、2−
エチル−2−ブチル−プロパンジオ−ル−1,3、1,
4−ジメチロ−ルシクロヘキサン、1,4−ブテンジオ
−ル;水素添加ビスフェノ−ル類(例えば、水素添加
p,p′−ジヒドロキシジフェニ−ルプロパンまたはそ
の同族体);環状グリコ−ル、例えば、2,2,4,4
−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオ−ル、ヒド
ロキノン−ジ−β−ヒドロキシエチル−エ−テル、1,
4−シクロヘキサンジメタノ−ル、1、4−シクロヘキ
サンジエタノ−ル、トリメチレングリコ−ル、ヘキシレ
ングリコ−ル、オクチレングリコ−ル等が挙げられる
が、特に好ましのはエチレングリコ−ルである。
【0013】(D)三価アルコ−ルとしては、例えば、
グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン等の
脂肪族アルコール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イ
ソシアヌレ−ト等のトリス(ヒドロキシアルキル)イソ
シアヌレート等が挙げられるが、特に好ましいのはトリ
ス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレ−トである。
【0014】(E)多価カルボン酸あるいはその誘導体
としては、芳香族、脂環族及び脂肪族の多価カルボン酸
が使用でき、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、
1,2−ナフタリンジカルボン酸、1,4−ナフタリン
ジカルボン酸、1,5−ナフタリンジカルボン酸、1,
6−ナフタリンジカルボン酸、1,7−ナフタリンジカ
ルボン酸、1,8−ナフタリンジカルボン酸、ジフェニ
ル−2,2′−ジカルボン酸、ジフェニル−2,3′−
ジカルボン酸、ジフェニル−2,4′−ジカルボン酸、
ジフェニル−3,3′−ジカルボン酸、ジフェニル−
4,4′−ジカルボン酸、ジフェニルメタン−2,2′
−ジカルボン酸、ジフェニルメタン−4,4′−ジカル
ボン酸、ジフニルエタン−4,4′−ジカルボン酸、ジ
フェニルスルホン−4,4′−ジカルボン酸、ジフェニ
ルエ−テル−4,4′−ジカルボン酸、ベンゾフェノン
−4,4′−ジカルボン酸、フタル酸、ヘキサヒドロテ
レフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、アジピン酸、
コハク酸、マレイン酸、セバシン酸、ダイマ−酸、テト
ラクロルフタル酸、4,4′−ジカルボキシ−ジフェニ
−ルメタン、4,4′−ジカルボキシ−ジフェニ−ルプ
ロパン等のジカルボン酸およびその無水物、トリメリッ
ト酸、トリメリット酸無水物、ヘミメリット酸、ヘミメ
リット酸無水物、トリメシン酸、トリメシン酸無水物等
のトリカルボン酸等およびその無水物が挙げられ、また
多価カルボン酸の誘導体としては、例えば、上記酸の低
級ジアルキルエステル、例えば、テレフタル酸の場合、
ジメチルテレフタレ−ト、ジエチルテレフタレ−ト、プ
ロピルテレフタレ−ト、ブチルテレフタレ−ト、アミル
テレフタレ−ト、ヘキシルテレフタレ−ト、オクチルテ
レフタレ−ト等、あるいは、これらの半エステル、例え
ば、モノメチルテレフタレ−ト等が挙げられる。さら
に、アリ−ルエステル化物、例えば、テレフタレ酸ジフ
ェニル、トリメリット酸モノフェニルエステル等、酸ハ
ライド、例えば、テレフタル酸ジクロライド、イソフタ
ル酸ジクロライド、トリメリット酸モノクロライド等が
挙げられる。特に好ましいのはイソフタル酸、テレフタ
ル酸及びその誘導体、トリメリット酸及びその無水物で
あり、これらは単独もしくは混合して使用できる。
【0015】本発明方法では、上記の(A)〜(E)成
分を有機溶剤中で加熱反応させる。有機溶剤としては、
各成分及び生成するポリエステルイミドを溶解する溶剤
が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、
N,N−ジメチルアセトアミド等の極性溶媒やフェノー
ル性水酸基を有する溶剤等が挙げられる。特に好ましい
溶剤はフェノール性水酸基を有する溶剤であり、この溶
剤を用いることによって上記の(A)〜(E)成分の添
加順序を種々変更してポリエステルイミドを生成せしめ
ても、ポリエステルイミドはこの溶剤に溶解ないし微懸
濁した状態で反応液中に存在するので、反応液を希釈す
るだけで直接絶縁塗料を製造することができる。
【0016】フェノ−ル性水酸基を有する溶剤として
は、例えば、フェノ−ル、o−クレゾ−ル,m−クレゾ
−ル、p−クレゾ−ル、m−及びp−クレゾ−ル混合
物、o−エチルフェノ−ル、m−エチルフェノ−ル、p
−エチルフェノ−ル、2,3−キシレノ−ル、2,4−
キシレノ−ル、2,5−キシレノ−ル、2,6−キシレ
ノ−ル、3,4−キシレノ−ル、3,5−キシレノ−
ル、o−n−プロピルフェノ−ル、2,4,6−トリメ
チルフェノ−ル、2,3,5−トリメチルフェノ−ル、
2,4,5−トリメチルフェノ−ル、4−エチル−2−
メチルフェノ−ル、5−エチル−2−メチルフェノ−
ル、およびこれら混合物であるクレゾ−ル酸等が挙げら
れる。
【0017】上記の(A)〜(E)成分を、溶剤中で加
熱下に反応させるが、(A)芳香族トリカルボン酸無水
物と(B)芳香族ジイソシアネ−トあるいはマスキング
された芳香族ジイソシアネ−トとが反応し、ポリエステ
ルイミドを構成するイミド二塩基酸成分となるイミド結
合を含むカルボン酸を生成する。イミド二塩基酸は、化
学量論的には(A)2モルに対し(B)1モル使用する
ことにより生成するが、反応溶剤にフェノ−ル性水酸基
を有する溶剤を用いる場合には、溶剤と該ジイソシアネ
−トが一部反応するので、実質的な使用比率は(A)2
モルに対し(B)1〜1.2モルが好ましい。
【0018】本発明のポリエステルイミド絶縁塗料の製
造における水酸基と酸基の当量比率は、全水酸基の全酸
基に対する比率として、1.0〜3.0の範囲が好まし
い。1.0未満では反応系の粘度が高くなり、反応制御
に難があり、3.0を上回ると反応生成物であるポリエ
ステルイミドの分子量が小さくなりすぎ、絶縁塗料とし
たときの焼付けた際のスタックロスが多くなる上、良好
な硬化物が得られ難く、絶縁電線としての性能が不十分
となる。
【0019】また、ポリエステルイミド中のイミドの含
有率は、任意に変更できるが、イミド当量はエステル当
量とイミド当量の全当量の5〜50当量%であること
が、絶縁塗料の特性上好ましい。さらに好ましくは、イ
ミド当量は該当量の10〜40当量%である。
【0020】本発明の方法における上記(A)〜(E)
成分の好ましい使用割合は、(A)、(B)はこれらか
ら得られるイミド二塩基酸として10〜35当量%、
(C)は15〜50当量%、(D)は15〜50当量
%、(E)は10〜30当量%である。
【0021】(A)、(B)から得られるイミド二塩基
酸が10当量%未満では得られる絶縁被膜の耐熱性が不
十分となり、35当量%越えると反応系の粘度が高くな
り、反応のコントロールが困難於となると共に得られる
被膜の可撓性が低下し好ましない。 (C)が15当量%未満では得られる絶縁被膜の可撓性
が著しく低下し、50当量%を越えると熱軟化点が低下
し好ましくない。 (D)が15当量%未満では得られる絶縁被膜の軟化点
が低下し、50当量%を越えると得られる絶縁被膜の可
撓性が著しく低下し好ましくない。 (E)が10当量%未満では得られる絶縁被膜の可撓性
が不十分となり、30当量%を越えると絶縁被膜の耐熱
性が低下し好ましくない。
【0022】本発明におけるポリエステルイミド含有反
応液の製造方法の好ましい実施態様を以下に示す。ま
た、反応を促進するために触媒を使用することができる
が、触媒の使用も好ましい実施態様である。触媒として
は、例えば、テトラプロピルチタネ−ト、テトラブチル
チタネ−ト、テトラクレジルチタネ−ト、トリエタノ−
ルアミンチタネ−ト等のチタン酸エステル及びジブチル
チンオキサイド、スタナスオキサイド等のスズ化合物、
さらに酢酸亜鉛、酢酸鉛、プロピオン酸亜鉛等の有機酸
金属塩があり、これらは単独であるいは2種以上混合し
て使用することができる。通常、反応成分の合計重量に
対して2重量%以下の量で使用される。
【0023】(1)触媒の存在下または非存在下に、フ
ェノ−ル性水酸基を有する溶剤中で、(A)芳香族トリ
カルボン酸無水物と(B)芳香族ジイソシアネ−トある
いはマスキングされた芳香族ジイソシアネ−トを反応容
器に仕込み、150〜230℃で加熱反応せしめてイミ
ド二塩基酸が溶解した溶液を得、次いでその溶液を10
0℃以下に冷却し、これに(C)二価アルコ−ル、
(D)三価アルコ−ルおよび(E)多価カルボン酸ある
いはその誘導体を加え、180〜270℃で加熱反応せ
しめて所定の重合したポリエステルイミドの溶液を得
る。
【0024】(2)(C)二価アルコ−ル、(D)三価
アルコ−ルおよび(E)多価カルボン酸あるいはその誘
導体ならびに触媒を反応容器に仕込み、150〜270
℃で加熱反応せしめてポリエステルを得、必要により希
釈用溶剤を加える。これとは別の反応容器にフェノ−ル
性水酸基を有する溶剤、(A)芳香族トリカルボン酸無
水物および(B)芳香族ジイソシアネ−トあるいはマス
キングされた芳香族ジイソシアネ−トを仕込み、150
〜250℃で加熱反応せしめてイミド二塩基酸が溶解し
た溶液を得、次いでこの反応混合物を100℃以下に冷
却し、上記のポリエステルを加え、180〜270℃で
加熱反応せしめて所定の重合したポリエステルイミドの
溶液を得る。
【0025】上記のポリエステルイミド含有反応液の製
造態様は一例であり、反応成分の添加順序は反応中の反
応温度と同様に上記の例に限定されることなく種々変更
できることはいうまでもない。本発明方法では、得られ
るポリエステルイミドの分子量は特に制限されないが
ず、絶縁塗料としての好ましい分子量は40重量%クレ
ゾール溶液の30℃における粘度が2.0〜4.0Pa
・sである。
【0026】本発明のポリエステルイミド絶縁塗料は、
上記の方法により得られるポリエステルイミド含有反応
液を、通常、絶縁塗料で使用される溶剤で塗料に適した
濃度に希釈することによって簡単に調製することができ
る。
【0027】絶縁塗料として使用できる希釈溶剤として
は、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジ
メチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、
ジメチルスルホキシド、N−メチルカプロラクタム、ク
レゾ−ル酸、m−及びp−クレゾ−ル混合物、アセトフ
ェノン、メチルベンゾエ−ト、γ−ブチロラクトン、グ
リコ−ルエ−テル類、アジピン酸ジメチル等の脂肪族ジ
カルボン酸低級アルキルエステル等が使用できるが、汎
用的には市販のクレゾ−ル酸類が好ましい。また、脂肪
族及び芳香族ナフサ及びキシレンの如き芳香族の炭化水
素を希釈剤として使用することができる。
【0028】こうして調製されたポリエステルイミド絶
縁塗料は、そのままでもエナメル線製造に供することが
できるが、より良い特性を得るために従来のポリエステ
ルイミド絶縁塗料に使用されている硬化触媒及び変性剤
を添加することができる。硬化触媒としては、例えば、
ナフテン酸亜鉛、オクチル酸亜鉛等の有機酸金属塩やテ
トライソプロピルチタネ−ト、テトラブチルチタネ−
ト、テトラクレジルチタネ−ト、トリエタノ−ルアミン
チタネ−ト等のチタン酸エステル等が使用でき、その添
加量はポリエステルイミドに対し0.5〜15重量%で
あり、特に1〜10重量%の範囲が好ましい。
【0029】変性剤としては、例えば、フェノ−ル、ク
レゾ−ル、キシレノ−ル、レゾルシン等のフェノ−ル類
とホルムアルデヒドから得られるフェノール系ホルムア
ルデヒド樹脂及びそれらの変性樹脂等が使用でき、その
添加量は、通常、ポリエステルイミドに対し0.3〜2
0重量%である。
【0030】さらに、硬化(架橋)剤として、ポリイソ
シアネートおよびそのイソシアネ−ト基をフェノ−ル、
クレゾ−ル等でマスキングした安定化ポリイソシアネ−
トを使用することができる。安定化ポリイソシアネート
としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネ−ト
のキシレノ−ルマスキング、ジフェニルメタンジイソシ
アネ−ト/トリメチロ−ルプロパンのキシレノ−ルマス
キング、トリレンジイソシアネ−トの三量体のフェノ−
ルマスキング等を挙げることができる。その添加量は、
ポリエステルイミドに対し1〜15重量%である。
【0031】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。 実施例1 攪拌機、温度計および冷却管を備えた2000ccのフ
ラスコに、クレゾ−ル酸492g、トリメリット酸無水
物144g、ジフェニルメタンジイソシアネ−ト103
gならびに触媒としてテトラブチルチタネ−ト0.7g
を仕込み、150℃で4時間反応させて五員環のジイミ
ドジカルボン酸210gを得た。この溶液を100℃以
下に冷却した後、エチレングリコ−ル74g、トリス−
2−ヒドロキシエチルイソシアヌレ−ト313gおよび
ジメチルテレフタレ−ト218gを仕込み、200℃ま
で6時間かけて昇温し、この温度でさらに5時間反応さ
せた。前段の反応で得られた5員環ジイミドジカルボン
酸は、後段の反応で生成したポリエステル成分と反応し
てポリエステルイミドの透明な溶液が生成した。
【0032】反応の度合いは、粘度上昇で測定すること
とし経時的に試料採取を行なった。ポリエステルイミド
の40重量%クレゾ−ル溶液の30℃の粘度がZ2 (ガ
−ドナ−粘度計)となった時に反応を停止し、得られた
ポリエステルイミド(以下では樹脂と称する)が溶解し
た反応液にクレゾ−ル酸410gと日石化学社製ハイゾ
−ル#100を117gを加えて希釈し、不揮発分42
%の樹脂溶液とした。さらに、樹脂分に対して3重量%
のテトラブチルチタネ−トと2重量%のフェノ−ルホル
ムアルデヒド樹脂を加え、不揮発分42重量%、30℃
における粘度40dPa・sのポリエステルイミド絶縁
塗料を得た。
【0033】実施例2 攪拌機、温度計および冷却管を備えた2000ccのフ
ラスコに、クレゾ−ル酸398g、トリメリット酸無水
物144g、キシレノ−ルでマスキングされたジフェニ
ルメタンジイソシアネ−ト185gならびに触媒として
テトラブチルチタネ−ト0.7gを仕込み、150℃で
4時間反応させて五員環のジイミドジカルボン酸205
gを得た。この溶液を100℃以下に冷却した後、エチ
レングリコ−ル74g、トリス−2−ヒドロキシエチル
イソシアヌレ−ト313gおよびジメチルテレフタレ−
ト218gを仕込み、200℃まで6時間かけて昇温
し、この温度でさらに5時間反応させ、実施例1と同様
ガ−ドナ−粘度がZ2 となった時に、ポリエステルイミ
ドが溶解した反応液にクレゾ−ル酸410gと日石化学
社製ハイゾ−ル#100を117g加えて希釈し、不揮
発分42%の樹脂溶液とした。さらに、樹脂分に対して
3重量%のテトラブチルチタネ−トと2重量%のフェノ
−ルホルムアルデヒド樹脂を、不揮発分42重量%、3
0℃における粘度43dPa・sのポリエステルイミド
絶縁塗料を得た。
【0034】実施例3 攪拌機、温度計および冷却管を備えた2000ccのフ
ラスコに、クレゾ−ル酸492g、トリメリット酸無水
物144g、エタノ−ルでマスキングされたジフェニル
メタンジイソシアネ−ト128gならびに触媒としてテ
トラブチルチタネ−ト0.7gを仕込み、150℃で4
時間反応させて五員環のジイミドジカルボン酸205g
を得た。この溶液を100℃以下に冷却した後、エチレ
ングリコ−ル74g、トリス−2−ヒドロキシエチルイ
ソシアヌレ−ト313gおよびジメチルテレフタレ−ト
218gを仕込み、200℃まで6時間かけて昇温し、
この温度でさらに5時間反応させ、実施例1と同様ガ−
ドナ−粘度がZ2 となった時に、ポリエステルイミドが
溶解した反応液にクレゾ−ル酸410gと日石化学社製
ハイゾ−ル#100を117g加えて希釈し、不揮発分
42%の樹脂溶液とした。さらに、樹脂分に対して3重
量%のテトラブチルチタネ−トと2重量%のフェノ−ル
ホルムアルデヒド樹脂を加え、不揮発分42重量%、3
0℃における粘度41dPa・sのポリエステルイミド
絶縁塗料を得た。
【0035】実施例4 攪拌機、温度計および冷却管を備えた2000ccのフ
ラスコに、クレゾ−ル酸357g、トリメリット酸無水
物144g、ジフェニルメタンジイソシアネ−ト103
gならびに触媒としてテトラブチルチタネ−ト0.5g
を仕込み150℃で4時間反応させて五員環のジイミド
ジカルボン酸210gを得た。この溶液を100℃以下
に冷却した後、エチレングリコ−ル74g、グリセリン
112gおよびジメチルテレフタレ−ト218gを仕込
み、200℃まで6時間かけて昇温し、さらにこの温度
で5時間反応させ、実施例1と同様ガ−ドナ−粘度がZ
2となった時に、ポリエステルイミドが溶解した反応液
にクレゾ−ル酸300gと日石化学社製ハイゾ−ル#1
00を85g加えて希釈し、不揮発分42%の樹脂溶液
とした。さらに、樹脂分に対して3重量%のテトラブチ
ルチタネ−トと2重量%のフェノ−ルホルムアルデヒド
樹脂を加え、不揮発分42重量%、30℃における粘度
37dPa・sのポリエステルイミド絶縁塗料を得た。
【0036】実施例5 攪拌機、温度計および冷却管を備えた2000ccのフ
ラスコに、クレゾ−ル酸357g、トリメリット酸無水
物144g、ジフェニルメタンジイソシアネ−ト103
gならびに触媒としてテトラブチルチタネ−ト0.5g
を仕込み、150℃で4時間反応させて五員環のジイミ
ドジカルボン酸210gを得た。この溶液を100℃以
下に冷却した後、予めエチレングリコ−ル74g、グリ
セリン112gおよびジメチルテレフタレ−ト218g
から調製したポリエステル332gを仕込み、200℃
まで6時間かけて昇温し、さらにこの温度で5時間反応
させ、実施例1と同様ガ−ドナ−粘度がZ2 となった時
に、反応液にクレゾ−ル酸300gと日石化学社製ハイ
ゾ−ル#100を85g加えて希釈し、不揮発分42%
の樹脂溶液とした。さらに、樹脂分に対して3重量%の
テトラブチルチタネ−トと2重量%のフェノ−ルホルム
アルデヒド樹脂を加え、不揮発分42重量%、30℃に
おける粘度35dPa・sのポリエステルイミド絶縁塗
料を得た。
【0037】参考例1 攪拌機、温度計および冷却管を備えた2000ccのフ
ラスコに、クレゾ−ル酸398g、トリメリット酸無水
物144g、ジアミノジフェニルメタン74g、エチレ
ングリコ−ル74g、トリス−2−ヒドロキシイソシア
ヌレ−トW313g、ジメチルテレフタレ−ト218g
ならびに触媒としてテトラブチルチタネ−ト0.7gを
仕込み、200℃まで6時間かけて昇温し、さらにこの
温度で5時間反応させ、実施例1と同様ガ−ドナ−粘度
がZ2 となった時に、クレゾ−ル酸410gと日石化学
社製ハイゾ−ル#100を117g加え、不揮発分42
%の樹脂溶液とした。さらに、樹脂分に対して3重量%
のテトラブチルチタネ−トと2重量%のフェノ−ルホル
ムアルデヒド樹脂を加え、不揮発分42重量%、30℃
における粘度45dPa・sのポリエステルイミド絶縁
塗料を得た。
【0038】参考例2 攪拌機、温度計および冷却管を備えた2000ccのフ
ラスコに、エチレングリコ−ル74g、グリセリン11
2g、ジメチルテレフタレ−ト218g、リサ−ジ0.
4gならびにキシレン35gを仕込み、180℃まで昇
温し、この温度で5時間反応させた。この系を100℃
以下に冷却した後、トリメリット酸無水物144g、ジ
アミノジフェニルメタン74gおよび触媒としてテトラ
ブチルチタネ−0.5gを仕込み、200℃まで6時間
かけて昇温し、さらにこの温度で5時間反応させ、実施
例1と同様ガ−ドナ−粘度がZ2 となった時に、クレゾ
−ル酸300gと日石化学社製ハイゾ−ル#100を8
5g加え、不揮発分42%の樹脂溶液とした。さらに樹
脂分に対して3重量%のテトラブチルチタネ−トと2重
量%のフェノ−ルホルムアルデヒド樹脂を加え、不揮発
分42重量%、30℃における粘度39dPa・sのポ
リエステルイミド絶縁塗料を得た。
【0039】絶縁塗料の評価 以上の実施例および参考例のポリエステルイミド絶縁塗
料を、有効炉長7mの熱風炉、焼付温度(入口300
℃、中央330℃、出口400℃)、ダイス6回塗布、
線引速度17m/分の条件で直径1mm径の軟銅線に塗
布及び焼付を行い、得られた絶縁電線の特性をJIS
C3003に準じて試験した。結果を表1に示す。
【0040】
【表1】 1) 20%伸長後巻き付け 2) 荷重600g 3) 荷重700g,2℃up/分 4) JIS 200℃1時間 5) 240℃168時間
【0041】
【発明の効果】本発明方法により、反応液を単に希釈す
るだけで容易に絶縁塗料を製造することができる。ま
た、本発明方法で得られるポリエステルイミド絶縁塗料
は、従来のジアミノジフェニルメタンを用いたポリエス
テルイミド絶縁塗料と同等の性能を有している。従っ
て、本発明方法による絶縁塗料は、従来のポリエステル
イミド絶縁塗料と品質的に匹敵するポリエステルイミド
絶縁塗料として使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 池田 正雄 東京都中央区日本橋馬喰町1丁目7番6号 大日精化工業株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機溶剤中で、(A)芳香族トリカルボ
    ン酸無水物と、(B)芳香族ジイソシアネ−トあるいは
    マスキングされた芳香族ジイソシアネ−トと、(C)二
    価アルコ−ルと、(D)三価アルコ−ル、および(E)
    多価カルボン酸あるいはその誘導体を加熱反応させてポ
    リエステルイミドを生成せしめ、得られたポリエテルイ
    ミド含有反応液を希釈することを特徴とするポリエステ
    ルイミド絶縁塗料の製造方法。
  2. 【請求項2】 予め芳香族トリカルボン酸無水物と芳香
    族ジイソシアネ−トあるいはマスキングされた芳香族ジ
    イソシアネ−トを反応させて得られるイミド二塩基酸
    と、二価アルコ−ル、三価アルコ−ルおよび多価カルボ
    ン酸或いはその誘導体とを加熱反応させる請求項1記載
    のポリエステルイミド絶縁塗料の製造方法。
  3. 【請求項3】 予め芳香族トリカルボン酸無水物と芳香
    族ジイソシアネ−トあるいはマスキングされた芳香族ジ
    イソシアネ−トを反応させて得られるイミド二塩基酸
    と、予め二価アルコ−ル、三価アルコ−ルおよび多価カ
    ルボン酸あるいはその誘導体を反応させて得られるポリ
    エステルとを加熱反応させる請求項1記載のポリエステ
    ルイミド絶縁塗料の製造方法。
  4. 【請求項4】 有機溶剤がフェノ−ル性水酸基を有する
    溶剤である請求項1記載のポリエステルイミド絶縁塗料
    の製造方法。
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