JPH08129163A - 高分子分散型液晶表示素子の製造方法 - Google Patents

高分子分散型液晶表示素子の製造方法

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JPH08129163A
JPH08129163A JP26712994A JP26712994A JPH08129163A JP H08129163 A JPH08129163 A JP H08129163A JP 26712994 A JP26712994 A JP 26712994A JP 26712994 A JP26712994 A JP 26712994A JP H08129163 A JPH08129163 A JP H08129163A
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light
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JP26712994A
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Hiroshi Kurosawa
比呂史 黒沢
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Casio Computer Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】カラーフィルタの厚さや駆動電圧を各色のカラ
ーフィルタが対応する部分ごとに変えることなく、各色
の表示の明るさを均一にして、高品質の多色カラー表示
を行なわせることができる、高分子分散型液晶表示素子
を製造する。 【構成】一対の基板1,2間に、液晶と光によって重合
反応する高分子材料との混合溶液Aを充填した後、各色
のカラーフィルタ3R,3G,3Bのうちの1つの色の
カラーフィルタが対応する領域の混合溶液Aに紫外線を
照射する工程を繰り返して、各色のカラーフィルタが対
応する領域ごとに順次混合溶液Aの高分子材料を光重合
させ、かつ、前記紫外線の照射量を、長波長域の光を透
過させるカラーフィルタが対応する領域の混合溶液に対
しては多くし、短波長域の光を透過させるカラーフィル
タが対応する領域の混合溶液に対しては少なくする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高分子分散型液晶表示素
子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高分子分散型液晶表示素子は、電極を設
けた一対の基板間に、高分子中に液晶を分散させた液晶
/高分子複合膜を設けたものであり、前記複合膜は、ス
ポンジのような断面をもつようにポリマー化した高分子
の各隙間部にそれぞれ液晶が閉じ込められた構造をなし
ている。
【0003】この高分子分散型液晶表示素子は、両基板
の電極間に電圧を印加して表示駆動されるもので、上記
高分子中に分散している各液晶溜まり(液晶が閉じ込め
られている部分)の液晶分子は、電圧が印加されていな
い状態ではランダムな方向を向いており、この状態で
は、複合膜を透過する光が、前記液晶溜まりと高分子層
との界面および液晶溜まりの液晶の光散乱作用によって
散乱される。
【0004】また、上記電極間に電圧を印加すると、上
記液晶溜まりの液晶の分子が基板面に対してほぼ垂直に
なるように一様に配列し、透過光が光散乱作用をほとん
ど受けずに複合膜を透過する。
【0005】すなわち、上記高分子分散型液晶表示素子
は、光の透過と散乱とを利用して表示するもので、この
高分子分散型液晶表示素子は、一般に用いられているT
N型の液晶表示素子のように偏光板を必要としないた
め、画面が明るいという長所をもっている。
【0006】上記高分子分散型液晶表示素子は、従来、
一対の基板を枠状のシール材を介して接合し、この両基
板間の前記シール材で囲まれた領域に、液晶と光によっ
て重合反応する高分子材料との混合溶液を充填した後、
一方の基板の外面側から前記混合溶液の全域に紫外線を
均等に照射して、前記混合溶液の高分子材料を一括して
光重合させる方法で製造されている。
【0007】このように、基板間に充填した混合溶液に
光を照射すると、モノマーあるいはオリゴマーの状態に
ある高分子材料の二重結合が解けてラジカル化し、隣り
合う分子のラジカルが互いに結合し合うラジカル重合反
応により高分子となり、この高分子のポリマー化により
液晶が相分離する。
【0008】そのため、高分子材料はスポンジのような
断面をもつようにポリマー化して高分子層を形成し、こ
の高分子層の各隙間部にそれぞれ液晶が閉じ込められ
て、上記複合膜が形成される。なお、この複合膜の形成
方法は、光重合相分離法と呼ばれている。
【0009】そして、従来の製造方法では、基板間に充
填した混合溶液の全域に紫外線を均等に照射しているた
め、形成された液晶/高分子複合膜は、高分子層の全域
にわたって液晶溜まりがほぼ均等に分散した均質膜とな
っている。
【0010】ところで、上記高分子分散型液晶表示素子
は、従来、一般に白黒表示と呼ばれる単色の濃淡表示に
用いられていたが、最近では、一方の基板に複数の色の
カラーフィルタを設けて多色カラー表示を行なわせるこ
とが考えられている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の製造方
法で製造された多色カラー表示を行なう高分子分散型液
晶表示素子は、その表示の明るさが色ごとに異なるとい
う問題をもっている。図7は、従来の製造方法で製造さ
れた多色カラー表示を行なう高分子分散型液晶表示素子
の電圧−透過率特性図であり、ここでは、赤、緑、青の
三色のカラーフィルタを備えた素子の特性を示してい
る。
【0012】この図7のように、従来の製造方法で製造
された高分子分散型液晶表示素子は、赤,緑,青の各色
の光の透過率がそれぞれ異なっている。これは、液晶/
高分子複合膜の光透過特性に波長依存性があり、可視光
帯域のの各波長光のうち、長波長域の光に対する透過率
は高いが、短波長域の光に対する透過率は低いためであ
り、これに対して、赤色フィルタを透過した赤色光は長
波長域光、緑色フィルタを透過した緑色光は中間波長域
光、青色フィルタを透過した青色光は短波長域光である
ため、これら各色の光の透過率が複合膜の波長依存性に
よって互いに異なってしまう。
【0013】このため、従来から、各色のカラーフィル
タの厚さを変えてこれらカラーフィルタの透過光量を調
整するか、あるいは、印加電圧を各色のカラーフィルタ
が対応する領域ごとに変えて電圧印加時の液晶分子の配
列状態を調整することにより、上記複合膜の波長依存性
を補償して、各色の表示の明るさを均一化させることが
考えられている。
【0014】しかしながら、上記のように各色のカラー
フィルタの厚さを変えるのでは、カラーフィルタの形成
が難しくなるだけでなく、カラーフィルタの色によって
はその厚さを極端に厚くしたり薄くしたりしなけらばな
らないために、カラーフィルタを透過した光がきれいな
色にならずに表示品質が低下してしまうし、また、印加
電圧を各色のカラーフィルタが対応する領域ごとに変え
るのでは、液晶表示素子の駆動方法が複雑になってしま
う。
【0015】本発明は、カラーフィルタの厚さや駆動電
圧を各色のカラーフィルタが対応する領域ごとに変える
ことなく、各色の表示の明るさを均一にして、高品質の
多色カラー表示を行なわせることができる、高分子分散
型液晶表示素子の製造方法を提供することを目的とした
ものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の高分子分散型液
晶表示素子の製造方法は、一対の基板間に、液晶と光に
よって重合反応する高分子材料との混合溶液を充填した
後、複数の色のカラーフィルタのうちの1つの色のカラ
ーフィルタが対応する領域の前記混合溶液に紫外線を照
射する工程を繰り返して、各色のカラーフィルタが対応
する領域ごとに順次前記混合溶液の高分子材料を光重合
させ、かつ、前記紫外線の照射量を、長波長域の光を透
過させるカラーフィルタが対応する領域の混合溶液に対
しては多くし、短波長域の光を透過させるカラーフィル
タが対応する領域の混合溶液に対しては少なくすること
を特徴とするものである。
【0017】なお、複数の色のカラーフィルタが、長波
長域の光を透過させる赤色フィルタと、中間波長域の光
を透過させる緑色フィルタと、短波長域の光を透過させ
る青色フィルタである場合は、紫外線の照射量を、赤色
フィルタが対応する領域、緑色フィルタが対応する領
域、青色フィルタが対応する領域の順で順次少なくすれ
ばよい。
【0018】また、前記混合溶液への紫外線の照射は、
次の2つの手段のいずれかによればよい。その第1の手
段は、各色のカラーフィルタが対応する領域の混合溶液
に対する紫外線の照射を、それぞれ、他の色のカラーフ
ィルタが対応する領域への照射光を遮光する遮光マスク
を介して行なう方法である。
【0019】また、第2の手段は、紫外線の照射を、第
1の色のカラーフィルタが対応する領域、第2の色のカ
ラーフィルタが対応する領域、第3の色のカラーフィル
タが対応する領域の順で行なうとしたとき、前記第1の
色のカラーフィルタが対応する領域の混合溶液に対する
紫外線の照射を、前記第2および第3の色のカラーフィ
ルタが対応する領域への照射光を遮光する遮光マスクを
介して行ない、前記第2の色のカラーフィルタが対応す
る領域の混合溶液に対する紫外線の照射は、前記第3の
色のカラーフィルタが対応する領域への照射光を遮光す
る遮光マスクを介して行ない、前記第3の色のカラーフ
ィルタが対応する領域の混合溶液に対する紫外線の照射
は、遮光マスクを用いずに行なう方法である。
【0020】この第2の手段による場合は、各色のカラ
ーフィルタが対応する領域の混合溶液に対する紫外線の
照射を、長波長域の光を透過させるカラーフィルタが対
応する領域、中間波長域の光を透過させるカラーフィル
タが対応する領域、短波長域の光を透過させるカラーフ
ィルタが対応する領域の順で行なうのが望ましい。
【0021】
【作用】すなわち、本発明の製造方法は、一対の基板間
に充填した混合溶液の高分子材料の光重合を、カラーフ
ィルタの色別に領域を分けて行なうとともに、前記混合
溶液への紫外線の照射量をカラーフィルタの透過波長域
に応じて異ならせることにより、前記混合溶液の高分子
材料を、各色のカラーフィルタが対応する領域ごとに異
なる紫外線量で光重合させるものであり、前記混合溶液
への紫外線の照射量を多くすると、高分子材料の重合反
応が速く進んで、高分子との相分離により形成される液
晶溜まりの平均的な大きさが小さくなるとともにその数
が多くなり、また、紫外線の照射量を少なくすると、高
分子材料の重合反応が遅くなって大きな液晶溜まりが形
成されるとともにその数が少なくなるため、各色のカラ
ーフィルタが対応する領域ごとに液晶溜まりの平均的な
大きさおよび数が異なる液晶/高分子複合膜が形成され
る。
【0022】ところで、液晶/高分子複合膜の透過率
は、その液晶溜まりの平均的な大きさおよび数によって
変化し、液晶溜まりが小さくその数が多いと透過率が低
くなり、液晶溜まりが大きくその数が少ないと透過率が
高くなる。
【0023】そして、本発明では、各色のカラーフィル
タが対応する領域の混合溶液への紫外線の照射量を、長
波長域の光を透過させるカラーフィルタが対応する領域
の混合溶液に対しては多くし、短波長域の光を透過させ
るカラーフィルタが対応する領域の混合溶液に対しては
少なくしているため、長波長域の光を透過させるカラー
フィルタが対向する領域の液晶溜まりの平均的な大きさ
を小さくするとともにその数を多くし、短波長域の光を
透過させるカラーフィルタが対向する領域の液晶溜まり
の平均的な大きさを大きくするとともにその数を少なく
した液晶/高分子複合膜が形成される。
【0024】このため、本発明の製造方法によって製造
した高分子分散型液晶表示素子では、各色のカラーフィ
ルタを透過した波長域の異なる光が、いずれも、ほぼ同
じ透過率で前記複合膜を透過するから、カラーフィルタ
の厚さや駆動電圧を各色のカラーフィルタが対応する領
域ごとに変えることなく、各色の表示の明るさを均一に
して、高品質の多色カラー表示を行なわせることができ
る。
【0025】また、本発明の製造方法において、紫外線
の照射に、その第1の手段である、各色のカラーフィル
タが対応する領域の混合溶液に対する紫外線の照射をそ
れぞれ他の色のカラーフィルタが対応する領域への照射
光を遮光する遮光マスクを介して行なう方法を採用すれ
ば、複数の色のカラーフィルタのうちの1つの色のカラ
ーフィルタが対応する領域の混合溶液だけに紫外線を照
射して、この領域の混合溶液の高分子材料を光重合させ
ることができるし、また、すでに高分子材料を光重合さ
せた領域に再び紫外線が照射されて、この領域の高分子
層および液晶が紫外線により劣化してしまうこともな
い。
【0026】また、本発明の製造方法において、紫外線
の照射に、その第2の手段である、第1の色のカラーフ
ィルタが対応する領域の混合溶液に対する紫外線の照射
を第2および第3の色のカラーフィルタが対応する領域
への照射光を遮光する遮光マスクを介して行ない、第2
の色のカラーフィルタが対応する領域の混合溶液に対す
る紫外線の照射は第3の色のカラーフィルタが対応する
領域への照射光を遮光する遮光マスクを介して行ない、
第3の色のカラーフィルタが対応する領域の混合溶液に
対する紫外線の照射は遮光マスクを用いずに行なう方法
を採用すれば、遮光マスク数およびその使用回数を少な
くして液晶表示素子を能率良くかつ低コストに製造する
ことができる。
【0027】この第2の手段による場合は、第2の色の
カラーフィルタが対応する領域の混合溶液に紫外線を照
射する際に、第1の色のカラーフィルタが対応する領域
にも再び紫外線が照射され、また、第3の色のカラーフ
ィルタが対応する領域の混合溶液に紫外線を照射する際
に、第1および第2の色のカラーフィルタが対応する領
域にも再び紫外線が照射されるが、これらの領域は、高
分子材料の光重合が終了している領域であるため、再び
紫外線が照射されても高分子材料の重合状態が変化して
しまうことはない。
【0028】また、この第2の手段による場合、各色の
カラーフィルタが対応する領域の混合溶液に対する紫外
線の照射を、長波長域の光を透過させるカラーフィルタ
が対応する領域(多い紫外線量で高分子材料を光重合さ
せる領域)、中間波長域の光を透過させるカラーフィル
タが対応する領域(中程度の紫外線量で高分子材料を光
重合させる領域)、短波長域の光を透過させるカラーフ
ィルタが対応する領域(少ない紫外線量で高分子材料を
光重合させる領域)の順で行なえば、すでに高分子材料
を光重合させた領域に再び紫外線が照射されても、その
紫外線量は少ないため、この領域の高分子層および液晶
の紫外線による劣化を少なくすることができる。
【0029】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。まず、本発明の製造方法で製造された高分子分散
型液晶表示素子の構造を説明する。図5は高分子分散型
液晶表示素子の断面図、図6は液晶/高分子複合膜の一
部分の拡大断面図である。
【0030】この高分子分散型液晶表示素子は、図5に
示すように、ガラス等からなる一対の透明基板1,2を
枠状のシール材7を介して接合し、この両基板1,2間
の前記シール材7で囲まれた領域に、液晶/高分子複合
膜8を設けたものであり、その両基板1,2のうち、図
において下側の基板(以下、下基板という)1の内面に
は、赤,緑,青の三色のカラーフィルタ3R,3G,3
Bと透明電極4とが形成され、図において上側の基板
(以下、上基板という)2の内面には透明電極5だけが
形成されている。
【0031】なお、この実施例の液晶表示素子は単純マ
トリックス方式のものであり、下基板1に形成した透明
電極4は走査電極、上基板2に形成した透明電極5は信
号電極である。
【0032】また、上記カラーフィルタ3R,3G,3
Bは、赤色フィルタ3Rと緑色フィルタ3Gと青フィル
タ3Bとを交互に並べて形成されており、上記走査電極
4は、カラーフィルタ3R,3G,3Bを覆う透明な保
護絶縁膜6の上に形成されている。
【0033】なお、上記カラーフィルタ3R,3G,3
Bは、走査電極4と信号電極5とが互いに交差対向する
各画素部にそれぞれ対応する画素パターンに形成されて
モザイク状に配列(縦方向と横方向とに交互に配列)さ
れるか、あるいは各画素列にそれぞれ対応させてストラ
イプ状に形成されている。
【0034】また、上記液晶/高分子複合膜8は、図6
に示すように、高分子層9中に液晶LCを分散させたも
のであり、液晶LCは、スポンジのような断面をもつよ
うにポリマー化した高分子層9の各隙間部にそれぞれ閉
じ込められている。
【0035】そして、この液晶表示素子では、上記複合
膜8を、高分子層9の間に分散している液晶溜まり(液
晶LCが閉じ込められている部分)10R,10G,1
0Bの大きさ(主に、複合膜8の厚さ方向の寸法h)お
よび数を、赤,緑,青の三色のカラーフィルタ3R,3
G,3Bが対応する領域ごとに、これらカラーフィルタ
3R,3G,3Bの透過波長域に応じて異ならせた構造
としている。
【0036】すなわち、この液晶表示素子においては、
上記複合膜8の各液晶溜まり10R,10G,10Bの
大きさを、可視光帯域のうちの長波長域の光を透過させ
る赤色フィルタ3Rが対応する領域の液晶溜まり10
R、中間波長域の光を透過させる緑色フィルタ3Gが対
応する領域の液晶溜まり10G、短波長域の光を透過さ
せる青色フィルタ3Bが対応する領域の液晶溜まり10
Bの順で順次大きくし、かつ、これら液晶溜まり10
R,10G,10Bの数を、赤色フィルタ3Rが対応す
る領域、緑色フィルタ3Gが対応する領域、青色フィル
タ3Bが対応する領域の順に多くしている。
【0037】なお、図5では、複合膜8の各液晶溜まり
10R,10G,10Bを円形に示し、また同じ色のカ
ラーフィルタが対応する部分の液晶溜まりを全て同じ大
きさとしているが、実際の液晶溜まりは、図6に示した
ような不規則な形状をなしており、また同じ色のカラー
フィルタが対応する部分の液晶溜まりの大きさにもばら
つきがある。
【0038】したがって、上述した液晶溜まり10R,
10G,10Bの大きさは、同じ色のカラーフィルタが
対応する部分に存在する全ての液晶溜まりの大きさを平
均した値である。
【0039】上記液晶溜まり10R,10G,10Bの
外形は、断面が六角形等の多面体状をなしているのが望
ましく、液晶溜まりがこのような形状であれば、液晶溜
まりと高分子層9との界面での光散乱作用を大きくする
ことができる。
【0040】次に、本発明の製造方法について、その第
1の実施例を説明する。図1および図2は、本発明の第
1の実施例による製造方法を示す各製造工程での断面図
であり、図1の(a)は一対の基板間に混合溶液を充填
した状態、図1の(b)は第1の色のカラーフィルタが
対応する領域への紫外線照射状態を示し、図2の(a)
は第2の色のカラーフィルタが対応する領域への紫外線
照射状態、図2の(b)は第3の色のカラーフィルタが
対応する領域への紫外線照射状態を示している。
【0041】まず、図1の(a)に示すように、下基板
1と上基板2とをシール材7を介して接合し、この両基
板1,2間の前記シール材7で囲まれた領域に、液晶と
光によって重合反応する高分子材料との混合溶液Aを充
填する。なお、この混合溶液Aは、シール材7の一部に
形成しておいた注入口から真空注入法により注入し、そ
の後、前記注入口を封止する。
【0042】次に、図1の(b)に示すように、上記両
基板1,2のうちのカラーフィルタ3R,3G,3Bを
設けていない上基板2の外面に近接もしくは接面させ
て、各色のカラーフィルタ3R,3G,3Bのうちの第
1の色のカラーフィルタ、例えば長波長域の光を透過さ
せる赤色フィルタ3Rに対応する部分に開口11aを有
する遮光マスク11を配置し、前記上基板2の外面側か
ら前記遮光マスク11を介して、両基板1,2間の混合
溶液Aに紫外線UVを照射する。
【0043】上記遮光マスク11を介して紫外線UVを
照射すると、赤色フィルタ3R以外のカラーフィルタ
(緑色フィルタ3Gおよび青色フィルタ3B)が対応す
る領域への照射光が遮光マスク11で遮光され、赤色フ
ィルタ3Rが対応する領域だけに紫外線UVが照射され
るため、この赤色フィルタ3Rが対応する領域の混合溶
液Aの高分子材料が光により重合反応して高分子と液晶
とが相分離し、この領域に液晶/高分子複合膜8が形成
される。
【0044】この場合、前記赤色フィルタ3Rが対応す
る領域の高分子材料の光重合は、紫外線UVの照射量を
多く設定して行なう。この照射量は、赤色フィルタ3R
の透過波長域に応じて設定し、また紫外線UVの照射
は、赤色フィルタ3Rが対応する領域の高分子材料の光
重合反応が飽和するまで継続する。
【0045】このように紫外線UVの照射量を多く設定
すると、高分子材料の重合反応が速く進むため、長波長
域の光を透過させる赤色フィルタ3Rが対応する領域に
形成される液晶/高分子複合膜8が、液晶溜まり10R
の平均的な大きさが小さくその数が多い構造になる。
【0046】次に、図2の(a)に示すように、上記上
基板2の外面に近接もしくは接面させて、第2の色のカ
ラーフィルタ、例えば中間波長域の光を透過させる緑色
フィルタ3Gに対応する部分に開口12aを有する遮光
マスク12を配置し、前記上基板2の外面側から前記遮
光マスク12を介して、両基板1,2間の混合溶液Aに
紫外線UVを照射する。
【0047】上記遮光マスク12を介して紫外線UVを
照射すると、緑色フィルタ3G以外のカラーフィルタ
(赤色フィルタ3Rおよび青色フィルタ3B)が対応す
る領域への照射光が遮光マスク12で遮光され、緑色フ
ィルタ3Gが対応する領域だけに紫外線UVが照射され
るため、この緑色フィルタ3Gが対応する領域の混合溶
液Aの高分子材料が光により重合反応して高分子と液晶
とが相分離し、この領域に液晶/高分子複合膜8が形成
される。
【0048】この場合、前記緑色フィルタ3Gが対応す
る領域の高分子材料の光重合は、紫外線UVの照射量
を、上記赤色フィルタ3Rが対応する領域への照射量よ
りある程度少なく設定して行なう。この照射量は、緑色
フィルタ3Gの透過波長域に応じて設定し、また紫外線
UVの照射は、緑色フィルタ3Gが対応する領域の高分
子材料の光重合反応が飽和するまで継続する。
【0049】このように紫外線UVの照射量を設定する
と、高分子材料の重合反応が、上述した赤色フィルタ3
Rが対応する領域での重合反応に比べて遅く進むため、
中間波長域の光を透過させる緑色フィルタ3Gが対応す
る領域に形成される液晶/高分子複合膜8が、液晶溜ま
り10Rの平均的な大きさが前記赤色フィルタ3Rが対
応する領域の液晶溜まり10Rより大きく、その数が赤
色フィルタ3Rが対応する領域より少ない構造になる。
【0050】次に、図2の(b)に示すように、上記上
基板2の外面に近接もしくは接面させて、第3の色のカ
ラーフィルタ、例えば短波長域の光を透過させる青色フ
ィルタ3Bに対応する部分に開口13aを有する遮光マ
スク13を配置し、前記上基板2の外面側から前記遮光
マスク13を介して、両基板1,2間の混合溶液Aに紫
外線UVを照射する。
【0051】上記遮光マスク13を介して紫外線UVを
照射すると、青色フィルタ3B以外のカラーフィルタ
(赤色フィルタ3Rおよび緑色フィルタ3G)が対応す
る領域への照射光が遮光マスク13で遮光され、青色フ
ィルタ3Bが対応する領域だけに紫外線UVが照射され
るため、この青色フィルタ3Bが対応する領域の混合溶
液Aの高分子材料が光により重合反応して高分子と液晶
とが相分離し、この領域に液晶/高分子複合膜8が形成
される。
【0052】この場合、前記青色フィルタ3Bが対応す
る領域の高分子材料の光重合は、紫外線UVの照射量
を、上記緑色フィルタ3Gが対応する領域への照射量よ
りもさらにある程度少なく設定して行なう。この照射量
は、青色フィルタ3Bの透過波長域に応じて設定し、ま
た紫外線UVの照射は、高分子材料の光重合反応が飽和
するまで継続する。
【0053】このように紫外線UVの照射量を設定する
と、高分子材料の重合反応が、上述した緑色フィルタ3
Gが対応する領域での重合反応に比べてさらに遅く進む
ため、短波長域の光を透過させる青色フィルタ3Bが対
応する領域に形成される液晶/高分子複合膜8が、液晶
溜まり10Bの平均的な大きさが前記緑色フィルタ3G
が対応する領域の液晶溜まり10Gよりさらに大きく、
その数が緑色フィルタ3Gが対応する領域よりさらに少
ない構造になる。
【0054】なお、この実施例では、各色のカラーフィ
ルタ3R,3G,3Bが形成されている表示領域の外側
の領域(以下、表示外領域という)の混合溶液Aへの紫
外線照射を、前記表示外領域に隣接するカラーフィルタ
(この実施例では赤色フィルタ3Rと青色フィルタ3
B)が対応する領域への紫外線照射と同時に行なって、
前記表示外領域の混合溶液Aの高分子材料も光重合させ
ている。
【0055】すなわち、この実施例では、図1の(b)
および図2の(b)に示したように、赤色フィルタ3R
が対応する領域への紫外線照射に用いる遮光マスク11
と、青色フィルタ3Bが対応する領域への紫外線照射に
用いる遮光マスク13の各開口11a,13aのうち、
表示領域の最端のフィルタ3R,3Bに対応する開口
を、前記表示外領域にわたって広く形成し、赤色フィル
タ3Rおよび緑色フィルタ3Bが対応する領域への紫外
線照射時に、前記表示外領域の混合溶液Aにも紫外線U
Vを照射して、この表示外領域の混合溶液Aの高分子材
料を光重合させている。
【0056】上述したように、この実施例の製造方法
は、一対の基板1,2間に充填した混合溶液Aの高分子
材料の光重合を、カラーフィルタ3R,3G,3Bの色
別に領域を分けて行なうとともに、前記混合溶液Aへの
紫外線UVの照射量をカラーフィルタ3R,3G,3B
の透過波長域に応じて異ならせることにより、前記混合
溶液Aの高分子材料を、各色のカラーフィルタ3R,3
G,3Bが対応する領域ごとに異なる紫外線量で光重合
させるものであり、混合溶液Aへの紫外線UVの照射量
を多くすると、高分子材料の重合反応が速く進んで、高
分子との相分離により形成される液晶溜まりの平均的な
大きさが小さくなるとともにその数が多くなり、紫外線
UVの照射量を少なくすると、高分子材料の重合反応が
遅くなって大きな液晶溜まりが形成されるとともにその
数が少なくなるため、各色のカラーフィルタ3R,3
G,3Bが対応する領域ごとに液晶溜まり10R,10
G,10Bの平均的な大きさおよび数が異なる液晶/高
分子複合膜8が形成される。
【0057】ところで、液晶/高分子複合膜8の透過率
は、その液晶溜まり10R,10G,10Bの平均的な
大きさおよび数によって変化し、液晶溜まりが小さくそ
の数が多いと透過率が低くなり、液晶溜まりが大きくそ
の数が少ないと透過率が高くなる。
【0058】そして、上記製造方法では、各色のカラー
フィルタ3R,3G,3Bが対応する領域の混合溶液A
への紫外線UVの照射量を、上述したように、赤色フィ
ルタ3Rが対向する領域に対しては多く、青色フィルタ
3Bが対向する領域に対しては少なくし、緑色フィルタ
3Gが対向する領域に対しては、前記赤色フィルタ3R
が対向する領域への照射量より少なく、前記青色フィル
タ3Bが対向する領域への照射量よりは多い中程度の量
にしているため、長波長域の光を透過させる赤色フィル
タ3Rが対向する領域の液晶溜まり10Rの平均的な大
きさを小さくするとともにその数を多くし、短波長域の
光を透過させる青色フィルタ3Bが対向する領域の液晶
溜まり10Bの平均的な大きさを大きくするとともにそ
の数を少なくし、中間波長域の光を透過させる緑色フィ
ルタ3Gが対向する領域の液晶溜まり10Bの平均的な
大きさおよび数を中程度にした液晶/高分子複合膜8が
形成される。
【0059】このため、上記製造方法によって製造した
高分子分散型液晶表示素子では、各色のカラーフィルタ
3R,3G,3Bを透過した波長域の異なる光が、いず
れもほぼ同じ透過率で前記複合膜8を透過するから、カ
ラーフィルタ3R,3G,3Bの厚さや駆動電圧を各色
のカラーフィルタ3R,3G,3Bが対応する領域ごと
に変えることなく、各色の表示の明るさを均一にして、
高品質の多色カラー表示を行なわせることができる。
【0060】また、上記実施例では、各色のカラーフィ
ルタ3R,3G,3Bが対応する領域の混合溶液Aに対
する紫外線UVの照射を、それぞれ、他の色のカラーフ
ィルタが対応する領域への照射光を遮光する遮光マスク
11,12,13を介して行なっているため、各色のカ
ラーフィルタ3R,3G,3Bのうちの1つの色のカラ
ーフィルタが対応する領域の混合溶液Aだけに紫外線を
照射して、この領域の混合溶液Aの高分子材料を光重合
させることができるし、また、すでに高分子材料を光重
合させた領域に再び紫外線が照射されることがないた
め、この領域の高分子層9および液晶LC(図6参照)
が、他の色のカラーフィルタが対応する領域への紫外線
照射時に、その紫外線によって劣化してしまうこともな
い。
【0061】なお、上記実施例では、紫外線UVの照射
を、赤色フィルタ3Rが対応する領域、緑色フィルタ3
Gが対応する領域、青色フィルタ3Bが対応する領域の
順で行なったが、これらの領域への紫外線の照射順は任
意でよい。
【0062】また、上記実施例では、各色のカラーフィ
ルタ3R,3G,3Bが対応する領域の混合溶液に対す
る紫外線照射を、それぞれ、他の色のカラーフィルタが
対応する領域への照射光を遮光する遮光マスク11,1
2,13を介して行なっているが、この紫外線照射は、
次のような手段で行ってもよい。
【0063】図3および図4は、本発明の第2の実施例
による製造方法を示す各製造工程での断面図であり、図
3の(a)は一対の基板間に混合溶液を充填した状態、
図3の(b)は第1の色のカラーフィルタが対応する領
域への紫外線照射状態を示し、図4の(a)は第2の色
のカラーフィルタが対応する領域への紫外線照射状態、
図4の(b)は第3の色のカラーフィルタが対応する領
域への紫外線照射状態を示している。
【0064】この実施例は、紫外線の照射を、第1の色
のカラーフィルタが対応する領域、第2の色のカラーフ
ィルタが対応する領域、第3の色のカラーフィルタが対
応する領域の順で行なうとしたとき、前記第1の色のカ
ラーフィルタが対応する領域の混合溶液に対する紫外線
の照射を、前記第2および第3の色のカラーフィルタが
対応する領域への照射光を遮光する遮光マスクを介して
行ない、前記第2の色のカラーフィルタが対応する領域
の混合溶液に対する紫外線の照射は、前記第3の色のカ
ラーフィルタが対応する領域への照射光を遮光する遮光
マスクを介して行ない、前記第3の色のカラーフィルタ
が対応する領域の混合溶液に対する紫外線の照射は、遮
光マスクを用いずに行なうものである。
【0065】この実施例の製造方法を説明すると、ま
ず、図3の(a)に示すように、下基板1と上基板2と
をシール材7を介して接合し、この両基板1,2間の前
記シール材7で囲まれた領域に、液晶と光によって重合
反応する高分子材料との混合溶液Aを充填する。
【0066】次に、図3の(b)に示すように、上記両
基板1,2のうちのカラーフィルタ3R,3G,3Bを
設けていない上基板2の外面に近接もしくは接面させ
て、各色のカラーフィルタ3R,3G,3Bのうちの長
波長域の光を透過させる赤色フィルタ3Rに対応する部
分に開口21aを有する遮光マスク21を配置し、前記
上基板2の外面側から前記遮光マスク21を介して、両
基板1,2間の混合溶液Aに紫外線UVを照射する。
【0067】上記遮光マスク21を介して紫外線UVを
照射すると、赤色フィルタ3R以外のカラーフィルタ
(緑色フィルタ3Gおよび青色フィルタ3B)が対応す
る領域への照射光が遮光マスク21で遮光され、赤色フ
ィルタ3Rが対応する領域だけに紫外線UVが照射され
るため、この赤色フィルタ3Rが対応する領域の混合溶
液Aの高分子材料が光により重合反応して高分子と液晶
とが相分離し、この領域に液晶/高分子複合膜8が形成
される。
【0068】この場合、前記赤色フィルタ3Rが対応す
る領域の高分子材料の光重合は、紫外線UVの照射量を
多く設定して行なう。この照射量は、赤色フィルタ3R
の透過波長域に応じて設定し、また紫外線UVの照射
は、高分子材料の光重合反応が飽和するまで継続する。
【0069】このように紫外線UVの照射量を多く設定
すると、高分子材料の重合反応が速く進むため、長波長
域の光を透過させる赤色フィルタ3Rが対応する領域に
形成される液晶/高分子複合膜8が、液晶溜まり10R
の平均的な大きさが小さくその数が多い構造になる。
【0070】次に、図4の(a)に示すように、上記第
2の基板2の外面に近接もしくは接面させて、中間波長
域の光を透過させる緑色フィルタ3Gと上記赤色フィル
タ3Rとの両方にまたがって対応する開口22aを有す
る遮光マスク22を配置し、前記第2の基板2の外面側
から前記遮光マスク22を介して、両基板1,2間の混
合溶液Aに紫外線UVを照射する。
【0071】上記遮光マスク22を介して紫外線UVを
照射すると、もう1つの色のカラーフィルタである青色
フィルタ3Bが対応する領域への照射光が遮光マスク2
2で遮光され、緑色フィルタ3Gが対応する領域と、す
でに高分子材料の光重合が終了している赤色フィルタ3
Gが対応する領域とに紫外線UVが照射される。
【0072】そして、前記緑色フィルタ3Gが対応する
領域に紫外線UVが照射されると、この領域の混合溶液
Aの高分子材料が光により重合反応して高分子と液晶と
が相分離し、この領域に液晶/高分子複合膜8が形成さ
れる。なお、前記赤色フィルタ3Gが対応する領域で
は、すでに高分子材料の光重合が終了しているため、こ
の領域に再び紫外線UVが照射されても、その領域の高
分子材料の重合状態は変化しない。
【0073】この場合、前記緑色フィルタ3Gが対応す
る領域の高分子材料の光重合は、紫外線UVの照射量
を、上記赤色フィルタ3Rが対応する領域への照射量よ
りある程度少なく設定して行なう。この照射量は、緑色
フィルタ3Gの透過波長域に応じて設定し、また紫外線
UVの照射は、高分子材料の光重合反応が飽和するまで
継続する。
【0074】このように紫外線UVの照射量を設定する
と、高分子材料の重合反応が、上述した赤色フィルタ3
Rが対応する領域での重合反応に比べて遅く進むため、
中間波長域の光を透過させる緑色フィルタ3Gが対応す
る領域に形成される液晶/高分子複合膜8は、液晶溜ま
り10Gの平均的な大きさが前記赤色フィルタ3Rが対
応する領域の液晶溜まり10Rより大きく、その数が赤
色フィルタ3Rが対応する領域より少ない構造になる。
【0075】次に、図4の(b)に示すように、遮光マ
スクを用いずに、前記第2の基板2の外面側から紫外線
UVを照射する。このように、遮光マスクを用いずに紫
外線UVを照射すると、高分子材料の光重合が行われて
いない領域、つまり、短波長域の光を透過させる青色フ
ィルタ3Gが対応する領域と、すでに高分子材料の光重
合が終了している赤色フィルタ3Gおよび緑色フィルタ
3Gが対応する領域とに紫外線UVが照射され、前記青
色フィルタ3Gが対応する領域の混合溶液Aの高分子材
料が光により重合反応して高分子と液晶とが相分離し、
この領域に液晶/高分子複合膜8が形成される。なお、
前記赤色フィルタ3Gおよび緑色フィルタ3Gが対応す
る領域では、すでに高分子材料の光重合が終了している
ため、この領域に紫外線UVが照射されても、その領域
の高分子材料の重合状態は変化しない。
【0076】この場合、前記青色フィルタ3Bが対応す
る領域の高分子材料の光重合は、紫外線UVの照射量
を、上記緑色フィルタ3Gが対応する領域への照射量よ
りもさらにある程度少なく設定して行なう。この照射量
は、青色フィルタ3Bの透過波長域に応じて設定し、ま
た紫外線UVの照射は、高分子材料の光重合反応が飽和
するまで継続する。
【0077】このように紫外線UVの照射量を設定する
と、高分子材料の重合反応が、上述した緑色フィルタ3
Gが対応する領域での重合反応に比べてさらに遅く進む
ため、短波長域の光を透過させる青色フィルタ3Bが対
応する領域に形成される液晶/高分子複合膜8は、液晶
溜まり10Bの平均的な大きさが前記緑色フィルタ3G
が対応する領域の液晶溜まり10Gよりさらに大きく、
その数が緑色フィルタ3Gが対応する領域よりさらに少
ない構造になる。
【0078】なお、上記のように遮光マスクを用いずに
紫外線UVを照射すると、表示には関与しない表示外領
域(各色のカラーフィルタ3R,3G,3Bが形成され
ている表示領域の外側の領域)の混合溶液Aにも紫外線
UVが照射されるため、この表示外領域の混合溶液Aの
高分子材料も、上記青色フィルタ3Bが対応する領域の
高分子材料の光重合と同時に光重合し、この表示外領域
にも、青色フィルタ3Bが対応する領域に形成された複
合膜8とほぼ同じ構造の液晶/高分子複合膜8が形成さ
れる。
【0079】すなわち、この第2の実施例の製造方法
も、一対の基板1,2間に充填した混合溶液Aの高分子
材料の光重合を、カラーフィルタ3R,3G,3Bの色
別に領域を分けて行なうとともに、前記混合溶液Aへの
紫外線UVの照射量をカラーフィルタ3R,3G,3B
の透過波長域に応じて異ならせることにより、前記混合
溶液Aの高分子材料を、各色のカラーフィルタ3R,3
G,3Bが対応する領域ごとに異なる紫外線量で光重合
させるものであり、この実施例でも、各色のカラーフィ
ルタ3R,3G,3Bが対応する領域の混合溶液Aへの
紫外線UVの照射量を、赤色フィルタ3Rが対向する領
域に対しては多く、青色フィルタ3Bが対向する領域に
対しては少なくし、緑色フィルタ3Gが対向する領域に
対しては、前記赤色フィルタ3Rが対向する領域への照
射量より少なく、前記青色フィルタ3Bが対向する領域
への照射量よりは多い中程度の量にしているため、長波
長域の光を透過させる赤色フィルタ3Rが対向する領域
の液晶溜まり10Rの平均的な大きさを小さくするとと
もにその数を多くし、短波長域の光を透過させる青色フ
ィルタ3Bが対向する領域の液晶溜まり10Bの平均的
な大きさを大きくするとともにその数を少なくし、中間
波長域の光を透過させる緑色フィルタ3Gが対向する領
域の液晶溜まり10Bの平均的な大きさおよび数を中程
度にした液晶/高分子複合膜8が形成される。
【0080】このため、この実施例の製造方法によって
製造した高分子分散型液晶表示素子も、各色のカラーフ
ィルタ3R,3G,3Bを透過した波長域の異なる光
が、いずれもほぼ同じ透過率で前記複合膜8を透過する
から、カラーフィルタ3R,3G,3Bの厚さや駆動電
圧を各色のカラーフィルタ3R,3G,3Bが対応する
領域ごとに変えることなく、各色の表示の明るさを均一
にして、高品質の多色カラー表示を行なわせることがで
きる。
【0081】また、上記第2の実施例では、第1の色の
カラーフィルタである赤色フィルタ3Rが対応する領域
の混合溶液Aに対する紫外線UVの照射を緑色および青
色フィルタ3G,3Bが対応する領域への照射光を遮光
する遮光マスク21を介して行ない、第2の色のカラー
フィルタである緑色フィルタ3Gが対応する領域の混合
溶液Aに対する紫外線UVの照射は、第3の色のカラー
フィルタである青色フィルタ3Bが対応する領域への照
射光を遮光する遮光マスク22を介して行ない、前記青
色フィルタ3Bが対応する領域の混合溶液Aに対する紫
外線UVの照射は遮光マスクを用いずに行なっているた
め、遮光マスク数およびその使用回数を少なくして液晶
表示素子を能率良くかつ低コストに製造することができ
る。
【0082】なお、この第2の実施例においては、緑色
フィルタ3Gが対応する領域の混合溶液Aに紫外線UV
を照射する際に、赤色フィルタ3Rが対応する領域にも
再び紫外線が照射され、また、青色フィルタ3Bが対応
する領域の混合溶液Aに紫外線UVを照射する際に、赤
色および緑色フィルタ3R,3Gが対応する領域にも再
び紫外線が照射されるが、これらの領域は、高分子材料
の光重合が終了している領域であるため、再び紫外線が
照射されても高分子材料の重合状態が変化してしまうこ
とはない。
【0083】また、この第2の実施例においては、各色
のカラーフィルタ3R,3G,3Bが対応する領域の混
合溶液Aに対する紫外線UVの照射を、長波長域の光を
透過させる赤色フィルタ3Rが対応する領域(多い紫外
線量で高分子材料を光重合させる領域)、中間波長域の
光を透過させる緑色フィルタ3Gが対応する領域(中程
度の紫外線量で高分子材料を光重合させる領域)、短波
長域の光を透過させる青色フィルタ3Bが対応する領域
(少ない紫外線量で高分子材料を光重合させる領域)の
順で行なっているため、すでに高分子材料を光重合させ
た領域に再び紫外線が照射されても、その紫外線量は少
なく、したがって、この領域の高分子層および液晶の紫
外線による劣化を少なくすることができる。
【0084】なお、上記第1および第2の実施例では、
赤,緑,青のカラーフィルタ3R,3G,3Bを設けた
高分子分散型液晶表示素子の製造について説明したが、
本発明は、他の色のカラーフィルタを設けた高分子分散
型液晶表示素子の製造にも適用できるものであり、例え
ば、赤と緑の合成色である黄色と、赤と青の合成色であ
るマゼンタ色と、緑と青の合成色であるシアン色との三
色のカラーフィルタを設けた高分子分散型液晶表示素子
を製造する場合は、紫外線の照射量を、長波長域の光を
透過させる黄色フィルタが対応する領域、中間波長域の
光を透過させるマゼンタ色フィルタが対応する領域、短
波長域の光を透過させるシアン色フィルタが対応する領
域の順で順次少なくすればよい。
【0085】また、本発明は、図5に示した単純マトリ
ックス方式のものに限らず、TFT(薄膜トランジス
タ)等を能動素子とするアクティブマトリックス方式
や、セグメント表示方式の高分子分散型液晶表示素子の
製造にも適用することができる。
【0086】
【発明の効果】本発明の製造方法は、一対の基板間に充
填した混合溶液の高分子材料の光重合を、カラーフィル
タの色別に領域を分けて行なうとともに、前記混合溶液
への紫外線の照射量を、長波長域の光を透過させるカラ
ーフィルタが対応する領域の混合溶液に対しては多く
し、短波長域の光を透過させるカラーフィルタが対応す
る領域の混合溶液に対しては少なくするものであるか
ら、長波長域の光を透過させるカラーフィルタが対向す
る領域の液晶溜まりの平均的な大きさを小さくするとと
もにその数を多くし、短波長域の光を透過させるカラー
フィルタが対向する領域の液晶溜まりの平均的な大きさ
を大きくするとともにその数を少なくした液晶/高分子
複合膜を形成することができる。
【0087】このため、本発明の製造方法によって製造
した高分子分散型液晶表示素子では、各色のカラーフィ
ルタを透過した波長域の異なる光が、いずれも、ほぼ同
じ透過率で前記複合膜を透過するから、カラーフィルタ
の厚さや駆動電圧を各色のカラーフィルタが対応する領
域ごとに変えることなく、各色の表示の明るさを均一に
して、高品質の多色カラー表示を行なわせることができ
る。
【0088】また、本発明の製造方法において、紫外線
の照射に、その第1の手段である、各色のカラーフィル
タが対応する領域の混合溶液に対する紫外線の照射をそ
れぞれ他の色のカラーフィルタが対応する領域への照射
光を遮光する遮光マスクを介して行なう方法を採用すれ
ば、複数の色のカラーフィルタのうちの1つの色のカラ
ーフィルタが対応する領域の混合溶液だけに紫外線を照
射して、この領域の混合溶液の高分子材料を光重合させ
ることができるし、また、すでに高分子材料を光重合さ
せた領域に再び紫外線が照射されて、この領域の高分子
層および液晶が紫外線により劣化してしまうこともな
い。
【0089】また、本発明の製造方法において、紫外線
の照射に、その第2の手段である、第1の色のカラーフ
ィルタが対応する領域の混合溶液に対する紫外線の照射
を第2および第3の色のカラーフィルタが対応する領域
への照射光を遮光する遮光マスクを介して行ない、第2
の色のカラーフィルタが対応する領域の混合溶液に対す
る紫外線の照射は第3の色のカラーフィルタが対応する
領域への照射光を遮光する遮光マスクを介して行ない、
第3の色のカラーフィルタが対応する領域の混合溶液に
対する紫外線の照射は遮光マスクを用いずに行なう方法
を採用すれば、遮光マスク数およびその使用回数を少な
くして液晶表示素子を能率良くかつ低コストに製造する
ことができる。
【0090】この第2の手段による場合は、第2の色の
カラーフィルタが対応する領域の混合溶液に紫外線を照
射する際に、第1の色のカラーフィルタが対応する領域
にも再び紫外線が照射され、また、第3の色のカラーフ
ィルタが対応する領域の混合溶液に紫外線を照射する際
に、第1および第2の色のカラーフィルタが対応する領
域にも再び紫外線が照射されるが、これらの領域は、高
分子材料の光重合が終了している領域であるため、再び
紫外線が照射されても高分子材料の重合状態が変化して
しまうことはない。
【0091】また、この第2の手段による場合、各色の
カラーフィルタが対応する領域の混合溶液に対する紫外
線の照射を、長波長域の光を透過させるカラーフィルタ
が対応する領域(多い紫外線量で高分子材料を光重合さ
せる領域)、中間波長域の光を透過させるカラーフィル
タが対応する領域(中程度の紫外線量で高分子材料を光
重合させる領域)、短波長域の光を透過させるカラーフ
ィルタが対応する領域(少ない紫外線量で高分子材料を
光重合させる領域)の順で行なえば、すでに高分子材料
を光重合させた領域に再び紫外線が照射されても、その
紫外線量は少ないため、この領域の高分子層および液晶
の紫外線による劣化を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による製造方法を示す、
一対の基板間に混合溶液を充填した状態と、第1の色の
カラーフィルタが対応する領域への紫外線照射状態を示
す断面図。
【図2】同じく、第2の色のカラーフィルタが対応する
領域への紫外線照射状態と、第3の色のカラーフィルタ
が対応する領域への紫外線照射状態を示す断面図。
【図3】本発明の第2の実施例による製造方法を示す、
一対の基板間に混合溶液を充填した状態と、第1の色の
カラーフィルタが対応する領域への紫外線照射状態を示
す断面図。
【図4】同じく、第2の色のカラーフィルタが対応する
領域への紫外線照射状態と、第3の色のカラーフィルタ
が対応する領域への紫外線照射状態を示す断面図。
【図5】本発明の製造方法で製造された高分子分散型液
晶表示素子の断面図。
【図6】同液晶表示素子の液晶/高分子複合膜の一部分
の拡大断面図。
【図7】従来の製造方法で製造された多色カラー表示を
行なう高分子分散型液晶表示素子の電圧−透過率特性
図。
【符号の説明】
1,2…基板 3R,3G,3B…カラーフィルタ 4,5…電極 6…保護絶縁膜 7…シール材 8…液晶/高分子複合膜 9…高分子層 10R,10G,10B…液晶溜まり LC…液晶 11,12,13,21,22…遮光マスク UV…紫外線

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一対の基板間に、高分子層中に液晶を分散
    させた液晶/高分子複合膜を設けるとともに、一方の基
    板の内面に、複数の色のカラーフィルタを形成した高分
    子分散型液晶表示素子の製造方法であって、 前記一対の基板間に、液晶と光によって重合反応する高
    分子材料との混合溶液を充填した後、 前記複数の色のカラーフィルタのうちの1つの色のカラ
    ーフィルタが対応する領域の前記混合溶液に紫外線を照
    射する工程を繰り返して、各色のカラーフィルタが対応
    する領域ごとに順次前記混合溶液の高分子材料を光重合
    させ、 かつ、前記紫外線の照射量を、長波長域の光を透過させ
    るカラーフィルタが対応する領域の混合溶液に対しては
    多くし、短波長域の光を透過させるカラーフィルタが対
    応する領域の混合溶液に対しては少なくすることを特徴
    とする高分子分散型液晶表示素子の製造方法。
  2. 【請求項2】複数の色のカラーフィルタは、長波長域の
    光を透過させる赤色フィルタと、中間波長域の光を透過
    させる緑色フィルタと、短波長域の光を透過させる青色
    フィルタであり、紫外線の照射量は、赤色フィルタが対
    応する領域、緑色フィルタが対応する領域、青色フィル
    タが対応する領域の順で順次少なくすることを特徴とす
    る請求項1に記載の高分子分散型液晶表示素子の製造方
    法。
  3. 【請求項3】各色のカラーフィルタが対応する領域の混
    合溶液に対する紫外線の照射は、それぞれ、他の色のカ
    ラーフィルタが対応する領域への照射光を遮光する遮光
    マスクを介して行なうことを特徴とする請求項1または
    請求項2に記載の高分子分散型液晶表示素子の製造方
    法。
  4. 【請求項4】各色のカラーフィルタが対応する領域の混
    合溶液に対する紫外線の照射は、第1の色のカラーフィ
    ルタが対応する領域、第2の色のカラーフィルタが対応
    する領域、第3の色のカラーフィルタが対応する領域の
    順で行ない、 前記第1の色のカラーフィルタが対応する領域の混合溶
    液に対する紫外線の照射は、前記第2および第3の色の
    カラーフィルタが対応する領域への照射光を遮光する遮
    光マスクを介して行ない、前記第2の色のカラーフィル
    タが対応する領域の混合溶液に対する紫外線の照射は、
    前記第3の色のカラーフィルタが対応する領域への照射
    光を遮光する遮光マスクを介して行ない、前記第3の色
    のカラーフィルタが対応する領域の混合溶液に対する紫
    外線の照射は、遮光マスクを用いずに行なうことを特徴
    とする請求項1または請求項2に記載の高分子分散型液
    晶表示素子の製造方法。
  5. 【請求項5】各色のカラーフィルタが対応する領域の混
    合溶液に対する紫外線の照射は、長波長域の光を透過さ
    せるカラーフィルタが対応する領域、中間波長域の光を
    透過させるカラーフィルタが対応する領域、短波長域の
    光を透過させるカラーフィルタが対応する領域の順で行
    なうことを特徴とする請求項4に記載の高分子分散型液
    晶表示素子の製造方法。
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