JPH08128886A - 上皿式天びん - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡単な構成のもとに、皿の上からの過負荷の
みならず、横方向任意の向きからの衝撃荷重に対しても
有効に機能して受感部を保護することのできる安全機構
を備えた上皿式天びんを提供する。 【構成】 皿受け軸５を３本以上設け、その各皿受け軸
５を、圧縮コイルバネ６を介して皿受け３に対して弾性
的に上下動並びに傾斜自在に支承し、その各皿受け軸５
の上端に、横方向への位置決め機構４ａ，５ｃを介して
皿４を載置し、かつ、この皿４とケース１との上下並び
に横方向への間隙ＧｖおよびＧｈは、皿受け軸５の所定
量の上下動時並びに傾斜時に、皿４がケース１に当接す
る寸法とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は上皿式天びんに関する。
なお、本発明は、受感部として電磁力平衡型のメカニズ
ムを持ついわゆる天びんのほか、ロードセルを受感部と
するいわゆるはかりに対しても同様に適用することがで
きる。

【０００２】

【従来の技術】上皿式の天びんないしは上皿式のはかり
（以下、単に上皿式天びんと称する）においては、通
常、皿受けを有する受感部をケース内に収容し、かつ、
その皿受けには上方に伸びる１本の皿受け軸を固着して
これをケースの上面に穿たれた孔を介して外部に臨ま
せ、その皿受け軸の上端部に着脱自在に皿を支承した構
成を採る。

【０００３】このような構成において、皿上にひょう量
よりも相当に大きな荷重が載せられる等、皿に対して過
負荷が作用した場合には受感部が破損する恐れがあるこ
とから、従来、皿と受感部との間のいずれかの箇所に各
種の安全機構を設けて、皿への過負荷が直接受感部に伝
達されないように考慮されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、以上のよう
な従来の上皿式天びんにおける従来の安全機構は、皿に
対する鉛直下方への過負荷には有効であるものの、皿に
対する横方向への衝撃荷重に対しては殆ど機能しない。
ここで、従来の上皿式天びんないしははかりにおいて
は、皿の下面部に凹所を設け、その凹所を皿受け軸の上
端部を挿入した状態で皿を皿受け軸上に載置した構成を
採用することが多く、このような構成によって、皿に対
して横方向やや下方からの衝撃荷重に対しては皿が皿受
け軸から落下することにより受感部に直接衝撃が伝達さ
れることを防止できるものの、皿に対して真横ないしは
横方向やや上方からの衝撃荷重が作用した場合には受感
部にまで伝達されてしまうという問題がある。

【０００５】本発明の目的は、簡単な構成のもとに、皿
の上からの過負荷のみならず、横方向任意の向きからの
衝撃荷重に対しても有効に機能して受感部を保護するこ
とのできる安全機構を備えた上皿式天びんを提供するこ
とにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの構成を、実施例図面である図１を参照しつつ説明す
ると、本発明の上皿式天びんは、皿受け軸５を３本以上
設けるとともに、その各皿受け軸５を、それぞれ圧縮コ
イルバネ６を介して皿受け３に対して弾性的に上下動並
びに傾斜自在に支承し、その各皿受け軸５の上端に、横
方向への位置決め機構（揺れ止め用皿４ａおよび皿受け
キャップ５ｃ）を介して皿４を載置し、かつ、この皿４
とケース１との上下並びに横方向への間隙ＧｖおよびＧ
ｈは、皿受け軸５の所定量の上下動時並びに傾斜時に、
皿４がケース１に当接する寸法としていることによって
特徴づけられる。

【０００７】

【作用】それぞれが圧縮コイルバネ６を介して上下動自
在、傾斜自在に皿受けに支承された各皿受け軸５は、そ
の上端に載置された皿４に対する鉛直荷重の大きさに準
じた量だけ上下動するとともに、皿４に対する横方向か
らの荷重に対しては横方向位置決め機構（４ａ，５ｃ）
を介してその横荷重の大きさに準じた量だけ傾斜する。
その上下動量あるいは傾斜量が、皿４とケース１との隙
間寸法ＧｖあるいはＧｈを越える程度に達した場合に
は、皿４がケース１に当接するから、皿４に対してある
一定の大きさ以上の鉛直荷重および横荷重が作用したと
きには、これらの荷重はいずれも受感部には伝達されな
い。

【０００８】皿４が従来のように１本の皿受け軸に支承
されている場合には、その皿受け軸を皿受けに対して圧
縮コイルバネを介して上下動並びに傾斜自在に支承した
とき、皿の中心からの離れた箇所に鉛直荷重が作用す
る、いわゆる偏置荷重が作用したときに圧縮コイルバネ
の変形によって皿が傾く可能性があるが、３本以上の皿
受け軸５によって皿４を支承してその各皿受け軸５を圧
縮コイルバネ６を介して皿受け３に支承している本発明
の構成では、そのような不具合は生じない。

【０００９】

【実施例】図１は本発明実施例の要部メカニズムを抽出
して示す構成図であり、（Ａ）は平面図で、（Ｂ）はそ
のＡ−Ａ断面図である。

【００１０】天びんケース１内に、例えば電磁力平衡型
メカニズムである受感部２が収容されている。この受感
部２は、上方に突出する平板状の皿受け３を備えてお
り、その皿受け３に作用する荷重に応じた信号を出力し
て、計量表示値を算出するためのデータ処理回路（図示
せず）に供給する。

【００１１】被測定試料を載せるための皿４は、天びん
ケース１の外部上方に配設されており、この皿４は上記
した受感部２の皿受け３に対して４本の皿受け軸５を介
して支承されている。そして、その４本の各皿受け軸５
は、それぞれ皿受け３に対して弾性的に上下動並びに傾
斜自在に支承されている。

【００１２】すなわち、皿受け３にはその四隅部近傍の
４箇所にそれぞれ貫通孔３ａが穿たれており、その各貫
通孔３ａ内に所定の隙間を介して各皿受け軸５が挿入さ
れている。各皿受け軸５は、それぞれ下端に貫通孔３ａ
よりも大径の鍔部５ａを備えているとともに、その鍔部
５ａよりも所定距離上方にはＥ形止め輪５ｂが装着され
ている。そして、その各皿受け軸５のＥ形止め輪５ｂと
皿受け３の上面とのと間に、それぞれ皿受け軸５と同軸
に圧縮コイルバネ６が挿入されている。各圧縮コイルバ
ネ６は、図示のような組み立て状態において一定の予荷
重ｆが付与されており、従って各皿受け軸５は、それぞ
れ圧縮コイルバネ６によって上方に付勢されて鍔部５ａ
の上面が皿受け３の下面に押しつけられた状態で、皿受
け３に対して垂直に支承されることになる。

【００１３】各皿受け軸５は、天びんケース１の天井に
穿たれた４個の貫通孔１ａを介してケース１外に突出し
ており、その上端にそれぞれ上方に向けて凸形の皿受け
キャップ５ｃが固着されている。皿４はその下面の四隅
部近傍にそれぞれ下方に向けて凹形の揺れ止め用皿４ａ
が固着されており、この各揺れ止め用皿４ａがそれぞれ
皿受けキャップ５ｃに嵌まり込んだ状態で、皿４が４本
の皿受け軸５によって水平に支承される。

【００１４】皿４はこの例において四角形であり、その
周囲は略鉛直下方に折り曲げられて折り曲げ部４ｂを構
成しており、その折り曲げ部４ｂの下端と天びんケース
１の天井の上面１ｂとは、鉛直方向に一様な間隙Ｇｖが
設けられている。また、天びんケース１の天井の上面１
ｂには、皿４の折り曲げ部４ｂよりも内側に、その折り
曲げ部４ｂの内周面に対して水平方向に一様な間隙Ｇｈ
を開けて略鉛直上方に突出する周壁１ｃが形成されてい
る。天びんケース１の天井に穿たれた４個の貫通孔１ａ
は周壁１ｃの内側に位置し、また、この各貫通孔１ａは
各皿受け軸５の後述する傾斜を妨げないように、皿受け
軸５の外径寸法に対してある程度以上に大きな直径を有
している。

【００１５】次に、以上の本発明実施例の作用を述べ
る。皿受け３と各皿受け軸５との間に介在する圧縮コイ
ルバネ６は、前記したように一定の予荷重ｆが付与され
た状態となっているから、皿４に対して鉛直方向に作用
する荷重により各皿受け軸５に及ぶ力がｆを越えない状
態では、それぞれの圧縮コイルバネ６は撓まない。すな
わち、図２に各皿受け軸５への鉛直荷重と圧縮コイルバ
ネ６の変位との関係をグラフで示すように、皿受け軸５
にｆを越える鉛直方向荷重が作用したときに、圧縮コイ
ルバネ６が変形し、皿４の全体が沈みはじめる。

【００１６】例えば、この天びんのひょう量よりも大き
な鉛直荷重が皿４に対して作用したとき、各皿受け軸５
の圧縮コイルバネ６が撓みはじめるように、予荷重ｆの
大きさを設定する。そのような設定を越える鉛直荷重が
各皿受け軸５に作用した場合には、その荷重の大きさに
比例して圧縮コイルバネ６の撓み量が大となる。例えば
ひょう量が３ｋｇであったときに、５ｋｇの鉛直荷重が
皿４に作用したときの圧縮コイルバネ６の撓み量、従っ
て皿４の沈み量が、皿４の折り曲げ部４ｂの下端と天び
んケース１の天井上面１ｂとの間隙寸法Ｇｖ達するよ
う、バネ６のバネ定数と間隙Ｇｖとの関係を設定してお
く。これにより、５ｋｇの試料が皿４上に載せられたと
き、図３に要部を示すように、皿４の折り曲げ部４の下
端が天びんケース１の天井上面１ｃに当接することにな
り、それ以上の鉛直荷重は受感部２には伝達されない。

【００１７】ここで、皿４は４本の皿受け軸５によって
その四隅部近傍において支承されているため、意図的に
極端な偏置荷重を負荷しない限り、各圧縮コイルバネ６
にはほぼ均等な力が加わり、試料の載置によって皿４が
傾くことはない。

【００１８】次に、例えば皿４上に被測定試料を載せよ
うとして誤って皿４の側面に衝突させてしまった場合の
ように、皿４に横方向から衝撃荷重が加わったとき、図
４に要部を示すように、皿４への横荷重は、揺れ止め用
皿４ａおよび皿受けキャップ５ｃを介して各皿受け軸５
の上端を横方向に押すように作用して、各皿受け軸５を
傾斜させる。この傾斜量は横方向荷重の大きさに依存
し、この皿受け軸５の傾斜量に応じた量だけ皿４は横方
向に移動し、ある程度以上の横方向荷重が作用した場合
には、皿４は折り曲げ部４ｂと天びんケース１の天井の
周壁１ｃとの間隙Ｇｈ以上に横方向に移動しようとする
が、折り曲げ部４ｂの内面が天びんケース１の周壁１ｃ
に当接し、それ以上の移動は阻止される結果、一定の大
きさ以上の横荷重は受感部２には伝達されない。

【００１９】なお、以上の実施例では、皿受け軸５を４
本とした例を示したが、本発明はこれに限定されること
なく、３本以上の任意本数としても、前記した作用効果
と殆ど同等の効果を奏することができる。

【００２０】また、皿４と皿受け軸５との位置決め機構
については、以上の実施例のように揺れ止め用皿４ａと
皿受けキャップ５ｃを用いる機構に限定されることな
く、要はこれら両者の水平方向への位置決めを行うべ
く、互いに水平方向に係合するよう、いずれか一方に凹
所を、他方に凸部を形成する等で足りる。

【００２１】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
皿を３本以上の皿受け軸によって支承するとともに、そ
の各皿受け軸を、受感部の皿受けに対して圧縮コイルバ
ネを介して上下動並びに傾斜自在に支承し、また、皿と
天びんケースとの上下並びに横方向への間隙を、皿受け
軸の所定量の上下動時並びに傾斜時に、皿がケースに当
接する寸法としているから、皿に対して鉛直方向の過荷
重が作用したときのみならず、皿に対して一定の大きさ
以上の横荷重が作用したときでも、皿受け軸の沈み込み
もしくは傾斜によって皿が天びんケースに当接し、ある
限度を越えた荷重が受感部に伝達されない。これによ
り、誤ってひょう量を越える重量の試料を皿上に載せた
り、あるいは、試料を皿上に載せようとして皿の側面に
衝突させたときでも、天びんの受感部を損傷させる恐れ
がなくなった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明実施例の要部メカニズムを示す構成図
で、（Ａ）は平面図、（Ｂ）はそのＡ−Ａ断面図

【図２】その各圧縮コイルバネ６に対する鉛直荷重と変
形量との関係を示すグラフ

【図３】本発明実施例の皿４に鉛直方向への過負荷が作
用したときの状態を示す要部の断面図

【図４】本発明実施例の皿に横方向荷重が作用したとき
の状態を示す要部の断面図

【符号の説明】

１ 天びんケース １ａ 貫通孔 １ｂ 天井上面 １ｃ 周壁 ２ 受感部 ３ 皿受け ３ａ 貫通孔 ４ 皿 ４ａ 揺れ止め用皿 ４ｂ 折り曲げ部 ５ 皿受け軸 ５ａ 鍔部 ５ｂ Ｅ形止め輪 ５ｃ 皿受けキャップ ６ 圧縮コイルバネ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上方に皿受けを備えた受感部がケース内
   に収容されているとともに、その皿受けには、上記ケー
   スの上面に穿たれた貫通孔を介してケース外部に臨む皿
   受け軸が配設され、その皿受け軸の上端部に皿が配置さ
   れてなる天びんにおいて、上記皿受け軸が３本以上設け
   られているとともに、その各皿受け軸は、それぞれ圧縮
   コイルバネを介して上記皿受けに対して弾性的に上下動
   並びに傾斜自在に支承され、その各皿受け軸の上端に、
   横方向への位置決め機構を介して皿が載置され、かつ、
   この皿と上記ケースとの上下並びに横方向への間隙は、
   上記皿受け軸の所定量の上下動時並びに傾斜時に、当該
   皿がケースに当接する寸法となっていることを特徴とす
   る上皿式天びん。