JPH08127961A - 保温性を有する布帛 - Google Patents

保温性を有する布帛

Info

Publication number
JPH08127961A
JPH08127961A JP6267192A JP26719294A JPH08127961A JP H08127961 A JPH08127961 A JP H08127961A JP 6267192 A JP6267192 A JP 6267192A JP 26719294 A JP26719294 A JP 26719294A JP H08127961 A JPH08127961 A JP H08127961A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fine particles
heat
weight
fabric
average particle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6267192A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenichi Kamemaru
賢一 亀丸
Yoshiaki Kijima
由明 來島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Ltd filed Critical Unitika Ltd
Priority to JP6267192A priority Critical patent/JPH08127961A/ja
Publication of JPH08127961A publication Critical patent/JPH08127961A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 太陽光の照射時はもとより,非照射時や日陰
においても優れた保温性を有する布帛を提供する。 【構成】 平均粒径が5μm以下の光吸収熱変換能を有
する微粒子並びに平均粒径が5μm以下,結晶型がα型
であり,かつ脂肪酸金属塩で表面処理されている酸化ア
ルミニウム微粒子を含有する繊維であって,該微粒子含
有率が0.2〜20重量%である繊維を主体として構成さ
れてなる布帛。 【効果】 本発明の布帛によれば,太陽光の照射下で
は,光吸収熱変換能を有する微粒子により良好な保温性
を発揮し,また,非照射時や日陰では,酸化アルミニウ
ム微粒子の断熱効果により優れた保温性を発揮する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,防寒衣料やスポーツ衣
料に適した保温性を有する布帛に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から,防寒衣料やスポーツ衣料にお
いては,透湿性と防水性を有する表地とその裏地との間
に中綿を挿入した3層構造により,中綿の空気層(デッ
ドエアー)を利用して保温性を得てきた。このような3
層構造の布帛は,特に動きやすさを要求されるスポーツ
衣料としては,重く嵩張り,自由な動きが阻害される欠
点を有していた。
【0003】近年,アルミニウム,ステンレス,チタン
等の金属を蒸着した布帛を裏地として用いることにより
体熱を反射する保温性布帛(特開昭59−156743
号)や,炭化ジルコニウムに代表される遷移金属炭化物
等を繊維中に含有せしめて太陽光エネルギーを吸収し,
吸収した光エネルギーを熱エネルギーに転換,放射する
保温性布帛(特公平2−9202号)が提案されてお
り,これらの保温性布帛により,用いる中綿の量を少な
くしたり,あるいは全く用いないようにして,前述の重
く嵩張り,自由な動きが阻害される欠点を解消してき
た。
【0004】しかしながらアルミニウム,ステンレス,
チタン等の金属を蒸着した布帛は,蒸着加工に伴うコス
トアップ,蒸着加工前の準備工程における布帛の微妙な
取扱いによる蒸着斑の発生や,洗濯あるいは着用時の摩
擦に起因する蒸着金属の脱落による保温性能の低下等,
種々の問題があった。
【0005】また,炭化ジルコニウムに代表される遷移
金属炭化物等を繊維に含有せしめた保温性布帛は,太陽
光の照射の下では十分な保温性を有するものの,非照射
時や日陰では十分な保温性を得ることができないという
問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,このような
現状に鑑みて行われたもので,蒸着加工のような後加工
を行わずに,太陽光の照射時はもとより,非照射時や日
陰においても良好な保温性を有する布帛を得ることを目
的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は,上記目的を達
成するもので,次の構成よりなるものである。すなわ
ち,本発明は平均粒径が5μm以下で,下記A〜Cの光
吸収熱変換能を有する微粒子のうち少なくとも1種以上
を0.1重量%以上と,平均粒径が5μm以下で,結晶型
がα型であり,かつ脂肪酸金属塩で表面処理されている
酸化アルミニウム微粒子を0.1重量%以上,両微粒子合
わせて0.2〜20重量%含有する繊維より主として構成
されてなることを特徴とする保温性を有する布帛を要旨
とするものである。 A.周期律第IV族に属する遷移金属の炭化物微粒子 B.酸化アンチモンをドーピングした酸化第二錫微粒子 C.酸化アンチモンをドーピングした酸化第二錫を他の
無機物質にコーティングした微粒子 以下,本発明について詳細に説明を行う。
【0008】本発明では,優れた保温性を発揮させるた
めに,繊維中に光吸収熱変換能を有する微粒子と酸化ア
ルミニウム微粒子を含有せしめる。ここで用いる光吸収
熱変換能を有する微粒子とは,可視光線,近赤外線の光
エネルギーを吸収し,吸収した光エネルギーを熱エネル
ギーに転換,放射する物質で,炭化ジルコニウム,炭化
ハフニウム等に代表される周期律第IV族に属する遷移金
属の炭化物微粒子や酸化アンチモンをドーピングした酸
化第二錫(酸化アンチモン/酸化第二錫の重量%=0.5
/99.5〜15.0/85.0)の微粒子または酸化アンチ
モンをドーピングした酸化第二錫を他の無機物質(酸化
チタン,酸化亜鉛,酸化カルシウム,炭酸カルシウム,
炭酸亜鉛,硫酸カルシウム,硫酸バリウム,酸化アルミ
ニウム等)にコーティングした微粒子(酸化アンチモン
/酸化第二錫/他の無機物質の重量%=0.5/5.0/9
4.5〜2.0/18.0/80.0)が挙げられ,本発明では
これらの微粒子のうち少なくとも1種以上を用いる。ま
た,本発明で用いる酸化アルミニウムは,(1)その結
晶型がα型であること,(2)脂肪酸金属塩で表面処理
されていること,(3)平均粒径が5μm以下であるこ
と,の3条件を満たす必要がある。
【0009】一般に,酸化アルミニウムの結晶型は,α
型の他にκ型,θ型,δ型,η型,χ型,ρ型,γ型が
知られているが,α型以外の結晶型の酸化アルミニウム
に脂肪酸金属塩を表面処理したものを用いても,本発明
の目的とする保温性を得ることはできない。また,α型
の酸化アルミニウムであっても脂肪酸金属塩による表面
処理が施されていない場合には,良好な保温性を発揮す
ることができない。ここで,結晶型がα型の酸化アルミ
ニウムを得るには,例えば,天然に産するボーキサイト
やギブサイトを出発原料とし,これに水酸化ナトリウム
を作用させて原料中のアルミニウムをアルミン酸ナトリ
ウムとした後,これを加水分解してジブサイト,バイア
ライト,ベーマイト等の水酸化アルミニウムとし,さら
に,1200℃以上で加熱分解する公知の方法により得
ることができる。
【0010】本発明で用いられる酸化アルミニウム微粒
子の表面処理剤である脂肪酸金属塩は,脂肪酸と金属酸
化物あるいは金属水酸化物等とを加熱反応することによ
り得られるものであり,具体的にはステアリン酸ナトリ
ウム,ステアリン酸マグネシウム,ステアリン酸カルシ
ウム,オレイン酸ナトリウム,オレイン酸リチウム,オ
レイン酸マグネシウム,ラウリン酸ナトリウム,ラウリ
ン酸カルシウム,ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム
等を挙げることができる。
【0011】ここで,酸化アルミニウムを上記脂肪酸金
属塩で表面処理するには,例えば,脂肪酸金属塩を溶解
した水溶液あるいは有機溶剤溶液中に酸化アルミニウム
微粒子を添加し,攪拌分散後,噴霧乾燥する方法等の公
知の方法により表面処理を行うことができる。酸化アル
ミニウム微粒子の表面に脂肪酸金属塩を付着せしめる際
の付着量は,使用する酸化アルミニウムの粒径や脂肪酸
金属塩の種類によりそれぞれ異なるため,本発明では特
に限定しないが,一般には,酸化アルミニウムの重量に
対して5%以下であることが好ましい。
【0012】本発明で用いる光吸収熱変換能を有する微
粒子と酸化アルミニウム微粒子は,平均粒径5μm以下
であることが必要であり,好ましくは2μm以下,さら
に好ましくは1μm以下がよい。平均粒径が5μmを超
えると,紡糸工程で濾材への目塞がりや糸切れ等により
可紡性の低下等の問題が生じ,たとえ紡糸を行うことが
できても,延伸工程で糸切れ等の問題が発生するので,
不適当である。
【0013】本発明で用いられる繊維としては,ナイロ
ン6やナイロン66で代表されるポリアミド系合成繊
維,ポリエチレンテレフタレートで代表されるポリエス
テル系合成繊維,ポリエチレン,ポリプロピレン等で代
表されるポリオレフィン系合成繊維, またはこれらを主
成分とする繊維形成性の良好な熱可塑性重合体からなる
合成繊維や,ポリアクリロニトリル系合成繊維,ポリビ
ニルアルコール系合成繊維,ポリ塩化ビニル系合成繊
維,トリアセテート等の半合成繊維,レーヨン等の再生
繊維等を挙げることができる。
【0014】本発明では,上述の繊維に光吸収熱変換能
を有する微粒子と酸化アルミニウム微粒子を含有せしめ
る。ここで繊維への光吸収熱変換能を有する微粒子と酸
化アルミニウム微粒子の含有量は,繊維重量に対して各
々0.1重量%以上含有せしめることが必要である。各微
粒子の含有量が0.1重量%より少ない場合には,目的と
する保温性が得られない。同微粒子の配合割合は,目的
とする布帛の用途に応じて適宜調節すればよい。
【0015】また,繊維への光吸収熱変換能を有する微
粒子と酸化アルミニウム微粒子とを合わせた総含有量
は,繊維重量に対して0.2〜20重量%の範囲にあるこ
とが必要であり,1〜10重量%の範囲にあると,より
一層好ましい。微粒子の含有量が20重量%を超える場
合には,保温性の効果が飽和に達するばかりか,繊維の
生産性が悪くなり,しかも,糸質的に十分な強伸度が得
られなくなるので好ましくない。
【0016】微粒子を繊維に含有せしめる方法として
は,原料ポリマーに直接混合して紡糸する方法,予め原
料ポリマーの一部を用いて高濃度に含有せしめたマスタ
ーバッチを製造し,これを紡糸時に所定の濃度に希釈調
整してから紡糸する方法等がある。
【0017】ここで,繊維へ微粒子を含有せしめた状態
の一例を繊維の断面図によって説明する。図1は,いず
れも本発明の保温性を有する繊維の断面を示すものであ
り,(1)は繊維1に微粒子を均一に含有せしめた状態
を示し,(2)〜(3)はいずれも芯鞘構造糸で,
(2)は芯部2に, (3)は鞘部4にそれぞれ微粒子を
均一に含有せしめた状態,(4)は断面の3箇所6に含
有せしめた状態,(5)は分割糸で,16分割のうち8
分割部8に含有せしめた状態,(6)は3層構造糸で,
中層部10に含有せしめた状態,(7)はサイド・バイ
・サイド糸の中央部12に含有せしめた状態,(8)は
海島構造糸の島部14に含有せしめた状態を示す。
【0018】これらの各断面構造の繊維のうち,(1)
に示す繊維は,その断面の全面に微粒子を含有している
ので,ある程度強力的に低い水準の繊維となるのは止む
を得ないが,この点(2)〜(8)に示す繊維は,それ
ぞれ微粒子を含有していない部分3,5,7,9,1
1,13,15を有しているので,その程度に応じて微
粒子を含有することによる強度低下が軽減される利点を
有している。また(2)(6)(8)に示す繊維は,微
粒子を含有している部分2,10,14がそれぞれ繊維
の内部にあって表面に露出していないので,繊維の製造
時や織編物の製造時に,繊維中の微粒子が紡糸機や織
機,編機のローラーやガイド等を摩擦によって損傷した
りすることがないという利点も有している。(4)
(5)(7)の繊維は,微粒子を含有している部分6,
8,12がそれぞれ繊維の表面に露出しているとはい
え,露出の程度が(1)に示す繊維よりはるかに少ない
ので,その程度に応じて上記摩擦損傷の問題も低減され
る。
【0019】(2)〜(8)に示す繊維では,微粒子を
含有している部分とそうでない部分が異種のポリマーで
あっても一向に差し支えない。繊維への微粒子の含有
は,(1)〜(8)の形状の他にも種々の形状で可能で
あり,また,光吸収熱変換能を有する微粒子と酸化アル
ミニウム微粒子を各々繊維の別の箇所に含有せしめても
よく,例えば,光吸収熱変換能を有する微粒子を繊維の
芯部に含有せしめ,酸化アルミニウム微粒子を繊維の鞘
部に含有せしめても一向に差し支えない。
【0020】本発明の布帛は,上記微粒子を含有する繊
維を主体として構成された織物,編物,不織布をいい,
該微粒子含有の異種繊維または微粒子を含有しない繊維
との混繊,混紡,交織,交編等によるものでもよい。本
発明の布帛は,そのまま,あるいは染色,樹脂加工して
用いられる。本発明は,以上の構成よりなるものであ
る。
【0021】
【作用】本発明で用いる光吸収熱変換能を有する微粒子
は,波長0.3〜2μmの光エネルギーを吸収する能力
と,吸収後,波長2〜20μmの熱エネルギーに転換,
放射する能力を有しており,このような効果を有する微
粒子を含有する繊維は,一旦吸収したエネルギーを内部
で放射するので,良好な保温性を示す。一方,酸化アル
ミニウム微粒子については,本発明者らの測定による
と,α型の酸化アルミニウム微粒子は低熱伝導率を有す
る物質であるが,これを繊維中にそのまま含有せしめて
も,酸化アルミニウムの2次凝集が起こり,微分散でき
ないので,繊維全体の熱伝導率を低下させることができ
ず,目的とする保温性を得ることはできないが,本発明
のごとく,このα型の酸化アルミニウムを脂肪酸金属塩
で表面処理して用いると,繊維形成性ポリマーとの相溶
性が改善され,繊維中に均一にミクロ分散することが可
能となり,その結果,繊維全体の熱伝導率が低下し,優
れた保温性を発揮せしめることができるようになる。こ
のような性能を有する繊維を用いた本発明の布帛は,太
陽光の照射の下では前述の光吸収熱変換能を有する微粒
子により良好な保温性を発揮し,また,非照射時や日陰
では,酸化アルミニウム微粒子の断熱効果により優れた
保温性を発揮するようになる。
【0022】
【実施例】次に,本発明を実施例によってさらに具体的
に説明するが,実施例における布帛の性能の測定,評価
は,下記の方法で行った。 (1)光吸収熱変換性 温度20℃,湿度65%の恒温恒湿の室内において,エ
ネルギー源として写真用100W白色光源を用い,布帛
の表面温度をサーモビュア JTG−4200(日本電
子株式会社製,赤外線センサー)にて測定した。 (2)熱伝導率 温度20℃,湿度65%の恒温恒湿の室内に,図2に側
断面図で示すごとき精密迅速熱物性測定装置KES−F
7(カトーテック株式会社製)を設置し,温度22℃に
保ったWater Box 21上に試料22を載せ,さらにその
上に温度32℃に保った恒温ボックス(以下,B. T. Bo
x という。)23の熱板部24が試料22と接触するよ
うに載せ,5分後に消費熱量検出器25により消費熱量
を読み取り,下記式〔1〕を用いて熱伝導率H(W/cm
・℃)を算出した。 H=(W/S×D)/ΔT 〔1〕 W : 消費熱量(W) S : B. T. Box の熱板部24の面積(cm2) D : 試料の厚さ(cm) ΔT : B. T. Box とWater Box との温度差(℃)
【0023】実施例1 まず, 平均粒径1.0μm,結晶型がα型の酸化アルミニ
ウム微粒子 A−50N(昭和電工株式会社製品)25
00gを,ラウリン酸カルシウム(脂肪酸金属塩)0.5
%エタノール溶液10リットル中に添加し,攪拌分散
後,噴霧乾燥して本発明で用いる脂肪酸金属塩による表
面処理酸化アルミニウム微粒子を得た。
【0024】次に,フェノールとテトラクロロエタンの
等重量混合溶媒中で,濃度0.5g/デシリットル,温度
25℃にて測定した相対粘度1.38のポリエチレンテレ
フタレート90重量部と,平均粒径0.6μmの炭化ジル
コニウム微粒子(光吸収熱変換能を有する微粒子)4重
量部と,上記酸化アルミニウム微粒子6重量部とを均一
に溶融混合したものを芯成分とし,微粒子を添加しない
同じポリエチレンテレフタレートを鞘成分として,芯/
鞘の重量比が60/40の同心円型芯鞘複合繊維を溶融
紡糸した。この際に,紡糸温度を280℃とし,速度3
000m/分にて引き取り,続いて,延伸温度120
℃,延伸倍率1.5倍,熱処理温度160℃にて延伸,熱
処理し,微粒子を芯部に含有するポリエステル芯鞘複合
マルチフィラメント70d/24fを得た。
【0025】ここで,経糸,緯糸の双方に上述のポリエ
ステル芯鞘複合マルチフィラメント70d/24fを用
いて経糸密度115本/吋,緯糸密度90本/吋の平織
物を製織し,その生機を用いて常法により精練,プレセ
ット後,Kayalon PolyesterBlue 2R−SL(日本化
薬株式会社製,分散染料)2%owf にて染色し,本発明
の保温性を有する布帛を得た。
【0026】本発明との比較のため,下記比較例1〜7
により, 比較用の布帛7点を製造した。
【0027】比較例1 本実施例1において,鞘成分として用いたポリエチレン
テレフタレートを芯成分および鞘成分の両方に用いる他
は,本実施例とまったく同一の方法により比較用の保温
性布帛を得た。
【0028】比較例2 本実施例1において,芯成分をポリエチレンテレフタレ
ート96重量部と平均粒径0.6μmの炭化ジルコニウム
微粒子4重量部との溶融混合物に代える他は,本実施例
とまったく同一の方法により比較用の保温性布帛を得
た。
【0029】比較例3 本実施例1において,芯成分をポリエチレンテレフタレ
ート94重量部と上記酸化アルミニウム微粒子6重量部
との溶融混合物に代える他は,本実施例とまったく同一
の方法により比較用の保温性布帛を得た。
【0030】比較例4 本実施例1において,酸化アルミニウム微粒子をラウリ
ン酸カルシウム(脂肪酸金属塩)で表面処理する工程を
省く他は,本実施例とまったく同一の方法により比較用
の保温性布帛を得た。
【0031】比較例5 本実施例1において,平均粒径1.0μm,結晶型α型の
酸化アルミニウム微粒子A−50N(昭和電工株式会社
製)に代えて平均粒径が0.1μm,結晶型がθ型の酸化
アルミニウム微粒子HIT−80G(住友化学工業株式
会社製品)を用いる他は,本実施例とまったく同一の方
法により比較用の保温性布帛を得た。
【0032】比較例6 本実施例1において,平均粒径が1.0μm,結晶型がα
型の酸化アルミニウム微粒子A−50N(昭和電工株式
会社製)に代えて平均粒径が0.1μm,結晶型がθ型の
酸化アルミニウム微粒子HIT−80G(住友化学工業
株式会社製品)を用い,かつ,ラウリン酸カルシウムで
表面処理する工程を省く他は,本実施例とまったく同一
の方法により比較用の保温性布帛を得た。
【0033】比較例7 本実施例1において,芯成分に用いるポリエチレンテレ
フタレートを90重量部から99.7重量部に変え,炭化
ジルコニウム微粒子を4重量部から0.1重量部に変え,
酸化アルミニウム微粒子を6重量部から0.1重量部に変
える他は,本実施例とまったく同一の方法により比較用
の保温性布帛を得た。
【0034】上記比較例の他に,さらに,本実施例1に
おいて用いた平均粒径0.6μmの炭化ジルコニウム微粒
子を平均粒径5.6μmの炭化ジルコニウム微粒子に代
え,また, 平均粒径1.0μm,結晶型がα型の酸化アル
ミニウム微粒子A−50N(昭和電工株式会社製)を平
均粒径6.3μm,結晶型がα型の酸化アルミニウム微粒
子AM−315(住友化学工業株式会社製)に代える他
は,本実施例とまったく同一の方法によりポリエステル
マルチフィラメントの紡糸を試みたが,糸切れが多発
し,まともなマルチフィラメント糸が得られなかった。
【0035】さらに,本実施例1において,芯成分に用
いるポリエチレンテレフタレートを90重量部から65
重量部に変え,炭化ジルコニウム微粒子を4重量部から
12重量部に変え,酸化アルミニウム微粒子を6重量部
から23重量部に変えるほかは,本実施例と全く同一の
方法によりポリエステルマルチフィラメントの紡糸を試
みたが,糸切れが多発し,まともなマルチフィラメント
糸が得られなかった。
【0036】上述のごとくして得られた本発明および比
較用の保温性布帛の性能を測定し,その結果を合わせて
表1に示した。
【表1】
【0037】表1より明らかなごとく,本発明の保温性
布帛は,比較例1および7の布帛と比較して光吸収熱変
換性に優れ,かつ熱伝導率が低く,太陽光の照射下,非
照射下いずれの場合においても良好な保温性を発揮でき
ることが分かる。比較例2および4〜6の布帛は,本発
明とほぼ同等の光吸収熱変換性を有してはいるが,熱伝
導率は本発明より高く,太陽光の照射下では良好な保温
性を発揮できるが,非照射下では保温性が得られない。
また,比較例3の布帛は,本発明とほぼ同等の熱伝導率
を有してはいるが,光吸収熱変換性は本発明より低い。
【0038】実施例2 まず,平均粒径が0.4μm,結晶型がα型の酸化アルミ
ニウム微粒子AKP−30(住友化学工業株式会社製)
1000gをステアリン酸ナトリウム(脂肪酸金属塩)
0.3%水溶液10リットル中に添加し,攪拌分散後,噴
霧乾燥して本発明で用いる脂肪酸金属塩による表面処理
酸化アルミニウム微粒子を得た。
【0039】次に,m−クレゾール溶媒中で,濃度0.5
g/デシリットル,温度20℃にて測定した相対粘度2.
6の6ナイロン94重量部と酸化アンチモンをドーピン
グした酸化第二錫を酸化チタンにコーティング(重量
%:酸化アンチモン/酸化第二錫/酸化チタン=1.5/
13.5/85.0)した平均粒径0.2μmの光吸収熱変換
能を有する微粒子3重量部と上記酸化アルミニウム微粒
子3重量部とを均一に溶融混合後,紡糸した。この際に
紡糸温度を250℃とし,速度1500m/分にて引き
取り,続いて,延伸温度85℃,延伸倍率2.6倍,熱処
理温度165℃にて延伸,熱処理し,上記微粒子を含有
するナイロンマルチフィラメント70d/24fを得
た。
【0040】ここで,経糸,緯糸の双方に上述のナイロ
ンマルチフィラメント70d/24fを用いて,経糸密
度120本/吋,緯糸密度90本/吋の平織物を製織
し,その生機を用いて,常法により精練,プレセット
後,Suminol Fast Yellow 2GP(住友化学株式会社
製,酸性染料)2%owf にて染色し,本発明の保温性を
有する布帛を得た。
【0041】本発明との比較のため,下記比較例8〜1
4により比較用の布帛7点を製造した。
【0042】比較例8 本実施例2において,上記光吸収熱変換能を有する微粒
子と酸化アルミニウム微粒子を省く他は,本実施例とま
ったく同一の方法により比較用の保温性布帛を得た。
【0043】比較例9 本実施例2において,酸化アルミニウム微粒子を省き,
6ナイロンの使用量を94重量部から97重量部に変え
る他は,本実施例とまったく同一の方法により比較用の
保温性布帛を得た。
【0044】比較例10 本実施例2において,光吸収熱変換能を有する微粒子を
省き,6ナイロンの使用量を94重量部から97重量部
に変える他は,本実施例とまったく同一の方法により比
較用の保温性布帛を得た。
【0045】比較例11 本実施例2において,酸化アルミニウム微粒子をステア
リン酸ナトリウム(脂肪酸金属塩)で表面処理する工程
を省く他は,本実施例とまったく同一の方法により比較
用の保温性布帛を得た。
【0046】比較例12 本実施例2において,平均粒径が0.4μm,結晶型がα
型の酸化アルミニウム微粒子AKP−30(住友化学工
業株式会社製)に代えて,平均粒径が0.2μm結晶型が
γ型の酸化アルミニウム微粒子AKP−G(住友化学工
業株式会社製)を用いるほかは,本実施例とまったく同
一の方法により比較用の保温性布帛を得た。
【0047】比較例13 本実施例2において,平均粒径が0.4μm,結晶型がα
型の酸化アルミニウム微粒子 AKP−30(住友化学
工業株式会社製品)に代えて,平均粒径が0.2μm,結
晶型がγ型の酸化アルミニウム微粒子AKP−G(住友
化学工業株式会社製)を用い,かつステアリン酸ナトリ
ウムで表面処理する工程を省く他は,本実施例とまった
く同一の方法により比較用の保温性布帛を得た。
【0048】比較例14 本実施例2において,6ナイロンを94重量部から99.
85重量部に変え,光吸収熱変換能を有する微粒子を3
重量部から0.05重量部に変え,酸化アルミニウム微粒
子を3重量部から0.05重量部に変える他は,本実施例
とまったく同一の方法により比較用の保温性布帛を得
た。
【0049】上記比較例の他に,さらに,本実施例2に
おいて用いた平均粒径0.2μmの光吸収熱変換能を有す
る微粒子を平均粒径6.3μmの光吸収熱変換能を有する
微粒子に代え,平均粒径0.2μm,結晶型がα型の酸化
アルミニウム微粒子AKP−30(住友化学工業株式会
社製)を平均粒径7.2μm,結晶型がα型の酸化アルミ
ニウム微粒子AM−28(住友化学工業株式会社製)に
代える他は,本実施例と全く同一の方法によりナイロン
マルチフィラメントの紡糸を試みたが,糸切れが多発
し,まともなマルチフィラメント糸が得られなかった。
【0050】さらに本実施例2において,6ナイロンを
94重量部から75重量部に変え,光吸収熱変換能を有
する微粒子を3重量部から10重量部に変え,酸化アル
ミニウム微粒子を3重量部から15重量部に変える他
は,本実施例とまったく同一の方法によりナイロンマル
チフィラメントの紡糸を試みたが,糸切れが多発し,ま
ともなマルチフィラメント糸が得られなかった。
【0051】上述のごとくして得られた本発明および比
較用の保温性布帛の性能を測定し,その結果を合わせて
表2に示した。
【表2】
【0052】表2より明らかなごとく,本発明の保温性
布帛は,比較例8〜14の布帛と比較して光吸収熱変換
性に優れ,かつ熱伝導率が低く,太陽光の照射下,非照
射下いずれの場合においても良好な保温性を発揮できる
ことが分かる。比較例9および11の布帛は,本発明と
ほぼ同等の光吸収熱変換性を有してはいるが,熱伝導率
は本発明より高く,太陽光の照射下では良好な保温性を
発揮できるが,非照射下では保温性が得られない。ま
た,比較例10の布帛は,本発明とほぼ同等の熱伝導率
を有してはいるが,光吸収熱変換性は本発明より低い。
【0053】
【発明の効果】本発明の保温性布帛は,太陽の照射時は
もとより,非照射時や日陰においても優れた保温性を有
している。
【図面の簡単な説明】
【図1】(1)〜(8)は,いずれも本発明で用いる微
粒子を含有する繊維の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の布帛の保温性を測定する装置の要部の
概略側断面図である。
【符号の説明】
1,2,4,6,8,10,12,14 微粒子を含
有している部分 3,5,7,9,11,13,15 微粒子を含
有していない部分 21 Water Box 22 試 料(布
帛) 23 B. T. Box 24 熱 板 25 消費熱量検
出器

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径が5μm以下で,下記A〜Cの
    光吸収熱変換能を有する微粒子のうち少なくとも1種以
    上を0.1重量%以上と,平均粒径が5μm以下で,結晶
    型がα型であり,かつ脂肪酸金属塩で表面処理されてい
    る酸化アルミニウム微粒子を0.1重量%以上,両微粒子
    合わせて0.2〜20重量%含有する繊維より主として構
    成されてなることを特徴とする保温性を有する布帛。 A.周期律第IV族に属する遷移金属の炭化物微粒子 B.酸化アンチモンをドーピングした酸化第二錫微粒子 C.酸化アンチモンをドーピングした酸化第二錫を他の
    無機物質にコーティングした微粒子
JP6267192A 1994-10-31 1994-10-31 保温性を有する布帛 Pending JPH08127961A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6267192A JPH08127961A (ja) 1994-10-31 1994-10-31 保温性を有する布帛

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6267192A JPH08127961A (ja) 1994-10-31 1994-10-31 保温性を有する布帛

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08127961A true JPH08127961A (ja) 1996-05-21

Family

ID=17441401

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6267192A Pending JPH08127961A (ja) 1994-10-31 1994-10-31 保温性を有する布帛

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08127961A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPS63152413A (ja) 遠赤外線放射性複合繊維
US4371485A (en) Process for making hydrophilic polyester fiber
EP2940202B1 (en) Heat-resistant fabric
JP2013147785A (ja) 光熱変換性再生セルロース繊維、その製造方法及び繊維構造物
JPH0440456B2 (ja)
JPH01314715A (ja) 保温性を有する繊維および布帛
JPH039202B2 (ja)
JPH04209824A (ja) 可染性ポリオレフィン繊維及びその製造方法
NO325854B1 (no) Støvtett plagg
JPH08127961A (ja) 保温性を有する布帛
JPH0860486A (ja) 軽量保温性繊維布帛
JP2007046181A (ja) 遠赤外線遮蔽性布帛およびその製造方法
JP3753486B2 (ja) 軽量性に優れた太陽光選択吸収性保温繊維
JPH07300741A (ja) 保温性を有する布帛
JP3021116B2 (ja) 涼感性を有する繊維および布帛
JPH06200404A (ja) 速乾性水着
CN114657654A (zh) 芯鞘复合纤维及其应用、异形纤维
JPH0813330A (ja) 保温性を有する布帛の製造方法
JP2007254909A (ja) 蓄熱保温繊維
JPH04257308A (ja) 白色系軽量保温性中空繊維
JPH03124841A (ja) 合繊織物及びその製造方法
JPH08170218A (ja) 蓄熱・保温繊維
KR101613533B1 (ko) 냉감지속능이 우수한 냉감지
JPH0491238A (ja) 保温性多層構造糸
JPH10195712A (ja) 耐摩耗性に優れた太陽光選択吸収性保温繊維