JPH08127778A

JPH08127778A - コークス炉の装炭方法および装置

Info

Publication number: JPH08127778A
Application number: JP28901894A
Authority: JP
Inventors: Keizo Inoue; 恵三井上; Hideyuki Kunimasa; 秀行國政
Original assignee: Sumitomo Metal Industries Ltd
Current assignee: Nippon Steel Corp
Priority date: 1994-10-28
Filing date: 1994-10-28
Publication date: 1996-05-21
Anticipated expiration: 2014-06-28
Also published as: JP2914198B2

Abstract

(57)【要約】【目的】炭化室に原料炭を装入したのち、さらにその
上に補助原料をできるだけ均一な厚みで装入する。【構成】室炉式コークス炉の炭化室に水分を含む原料
炭を装入したのち、その上に軟化溶融性を有しない石炭
またはコークスを装入するコークス炉の装炭方法におい
て、各装炭口直下にレベラーに設置した分散板を位置せ
しめて原料炭を装入したのち、軟化溶融性を有しない石
炭またはコークスを装入する。【効果】補助原料の装入による乾留効率化効果と、コ
ークス品質の安定向上効果を十二分に発揮できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、室炉式コークス炉の
炭化室に水分を含む原料炭を装入したのち、その上に軟
化溶融性を有しない石炭またはコークスを装入するコー
クス炉の装炭方法および装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】室炉式コークス炉は、炉体の下部に蓄熱
室があり、その上部に燃焼室と炭化室とが交互に配置さ
れている。燃料ガスおよび空気（富ガスの場合は空気の
み）は、蓄熱室で予熱され、燃焼室で燃焼したのち隣接
する蓄熱室で熱回収されたのち、煙道を経て大気中に排
出される。炭化室に装入された原料炭は、両側の燃焼室
より炉壁を介して石炭層の両側から加熱、乾留されてコ
ークス化する。近年、室炉式コークス炉によるコークス
の製造に際しては、乾留効率の向上と炉体の延命化を実
現しつつ、製品コークスの品質向上を達成することが求
められており、そのため種々の技術開発が進められてい
る。しかしながら、コークス炉での乾留効率の向上と炉
体の延命化は、相反する要求でありこれらを両立するこ
とは難しい。

【０００３】例えば、予熱炭装入法では、乾留効率の向
上を図るため、装入炭を１７０〜２５０℃まで乾燥予熱
して通常８〜１０％含まれている全水分を２％以下に低
減することによって、乾留所要時間短縮によるコークス
炉生産性の増大、装入嵩密度の向上と乾留中の石炭の軟
化溶融層幅の拡大によるコークス化性の改善向上、効率
的な乾燥予熱機の採用による総乾留所要熱量の低減、安
水発生量の減少による安水処理費の低減を図ることがで
きる。しかし、一方では、装入嵩密度の向上により乾留
の際に炉壁へ大きな膨張圧がかかり、炉壁を損傷するお
それがあるばかりでなく、装入炭の乾燥予熱のために莫
大な設備投資を必要とする問題がある。このため、予熱
炭装入法は、一般に普及するに至らず、一部のコークス
工場に採用されるに止どまっているのが実状である。

【０００４】また、他の乾留効率化の対策としては、炉
壁煉瓦を薄くして伝熱性を改善する方法も一部実用化さ
れているが、これは炉体の堅牢性を損なうおそれがあっ
て、必ずしも採用できるとは限らない。さらに、炉体の
延命対策としては、近年補修技術が進歩して大きな効果
を上げているが、これは損傷した炉体の補修であって、
事後処理の技術である。また、炉体延命のためには、炉
温を下げて操業することも考えられるが、これは生産性
を下げてしまうため、乾留効率化とは相矛盾した方法で
ある。したがって、乾留効率化と炉体延命とを両立させ
ながら、コークス品質の安定向上を達成することは極め
て難しい課題であった。

【０００５】上記課題に対しては、炭化室に装入した原
料炭層の中心部から原料炭層の外側に通じる耐熱性の金
属やセラミックス製の通路を形成し、この通路を経由し
て未乾留部分から発生する水蒸気を排出しながら乾留す
る方法（特開平１−１９８６８６号公報）、炭化室に装
入された原料炭の上面をレベリングしたのち、炉上に設
けられた装炭口から開孔部材を原料炭層に差し込み、こ
れを引き抜くことによって予め原料炭層に炭化室上部の
空間部と通じる抽気孔を設け、次いで加熱を行う方法
（特開平２−１４５６８７号公報）等が提案されてい
る。上記特開平１−１９８６８６号公報、特開平２−１
４５６８７号公報に開示の方法は、水分を含有する原料
炭を乾留する際、乾留効率を低下させている乾留初期の
石炭層内で発生する水蒸気を、金属やセラミックス製の
通路を介して炉壁側あるいは抽気孔を介して上部空間に
導くことによって、乾留時間の短縮、コークス品質の向
上、バラツキの低減を図ると共に、石炭層内の水蒸気を
含むガス圧力が高まることがないので、炉壁に過度の負
担がかからず、炉体の延命も可能である。

【０００６】しかし、特開平１−１９８６８６号公報、
特開平２−１４５６８７号公報に開示の方法は、水蒸気
を排出するための通路を設けたり、あるいは抽気孔を形
成するための設備を新たに設置しなければならず、多大
の設備投資が必要となる。また、これらの方法は、装炭
口の数が４〜５箇所と限られているため、金属やセラミ
ックス製の通路の位置抽気孔の位置が装炭口の位置の近
傍に限定され、その効果にも限界がある。さらに、最近
では、原料炭の水分を６％程度に調整したのち、これを
炭化室に装入して乾留する調湿炭装入法が実用されてい
るが、この調湿炭装入法では、特開平２−１４５６８７
号公報に開示の方法におけるように、開孔部材を原料炭
層に差し込んで抽気孔を開孔しても、開孔部材を引き抜
く際に石炭層の一部が崩れ、安定して抽気孔を開孔する
ことが困難である。

【０００７】本発明者らは、室炉式コークス炉に水分を
含む原料炭を装入して行う石炭の乾留方法において、原
料炭を装入したのち、さらにその上に軟化溶融性を有し
ない石炭またはコークス（以下補助原料という）を装入
して乾留することによって、炭化室の側部ではコークス
層、軟化溶融層が形成されるが、炭化室の上方部では補
助原料が軟化溶融性を有しないため軟化溶融層が形成さ
れず、乾留初期に発生する水蒸気は、炉壁側に形成され
た軟化溶融層およびコークス層を通過して炉壁に沿って
上部空間に向かわず、補助原料層を通過して炭化室の上
部空間に流出し、その結果、高温のコークス層および炉
壁から熱が奪われることがないので乾留が促進され、ま
た、炉壁に膨張圧が作用することもなく、補助原料の装
入による乾留効率化効果と、コークス品質の安定向上効
果を十二分に発揮することができ、また、炉壁の損傷も
抑制できることを究明し、既に特願平６−３７９８５号
として特許出願している。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】上記特願平６−３７９
８５号の方法では、通常のコークス炉の装炭口は４〜５
箇所であり、炉内に装入された原料炭は炭化室内でその
安息角に従って装炭口直下を頂点とする山型を形成する
こととなる。一方、原料炭の上に装入する補助原料は、
できるだけ１０ｃｍに近く均一の厚みで装入することが
望ましいが、原料炭の水分が高いほどその安息角が大き
く装炭口直下と装炭口と装炭口の中間のレベル差が拡大
し、装炭口と装炭口の中間の補助原料の装入厚さも厚く
なる欠点があった。

【０００９】この発明の目的は、上記特願平６−３７９
８５号の方法欠点を解消し、炭化室に原料炭を装入した
のち、さらにその上に補助原料をできるだけ均一な厚み
で装入できる装炭方法および装置を提供することにあ
る。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意試験研究を重ねた。その結果、装炭車
の給炭ホッパーの側部に装入シュートを共用する補助原
料の補助ホッパーを設け、押出機のレベラーに分散板を
設置し、炭化室に原料炭を装入する際、押出機のレベラ
ーに設置した分散板を装炭口直下に位置せしめたのち装
入することによって、装炭口直下と装炭口と装炭口の中
間のレベル差が低減し、原料炭装入後ただちに、その上
部に補助原料を均一の厚みで装入することができること
を究明し、この発明に到達した。

【００１１】すなわちこの発明は、室炉式コークス炉の
炭化室に水分を含む原料炭を装入したのち、その上に補
助原料を装入するコークス炉の装炭方法において、各装
炭口直下にレベラーに配設した分散板を位置せしめて原
料炭を装入したのち、補助原料を装入することを特徴と
するコークス炉の装炭方法である。

【００１２】また、室炉式コークス炉の炭化室に水分を
含む原料炭を装入したのち、その上に補助原料を装入す
るコークス炉の装炭装置において、装炭車の原料炭の給
炭ホッパーの側部に装入シュートを共用する補助原料の
補助ホッパーを設け、押出機のレベラーに各装炭口に対
応する分散板を配設したことを特徴とするコークス炉の
装炭装置である。

【００１３】

【作用】この発明においては、各装炭口直下にレベラー
に配設した分散板を位置せしめて原料炭を装入したの
ち、補助原料を装入することによって、各装炭口から落
下する原料炭の一部は分散板に衝突し、その方向を変え
て炉長方向に飛散するから、原料炭は炉長方向にほぼ均
一に装入され、原料炭装入時の装炭口直下と装炭口と装
炭口の中間のレベル差が低減し、原料炭装入後にただち
に、その上部に補助原料を均一な厚みで装入することが
でき、補助原料装入による乾留の促進効率化とコークス
品質の安定向上化効果をより十分に発揮することができ
る。

【００１４】また、この発明においては、装炭車の原料
炭の給炭ホッパーの側部に装入シュートを共用する補助
原料の補助ホッパーを設け、押出機のレベラーに各装炭
口に対応する分散板を配設したことによって、移動スリ
ーブ・集塵フードの上昇動作、装入蓋の取付動作、装炭
車の移動動作、さらに補助原料装入車の移動・位置合わ
せ動作、装入蓋の取り外し動作、移動スリーブ・集塵フ
ードの下降動作等の一連の動作をすることなく、原料炭
装入後にただちに、その上部に補助原料を均一の厚みで
装入することができると共に、サイクルタイムを延長す
ることなしに、装入蓋開閉増加に伴う発塵による環境へ
の悪影響を抑えることができる

【００１５】この発明において、押出機のレベラーに配
設する各装炭口に対応する分散板は、図２（ｂ）に示す
とおり、２枚の分散板１９、２０が下方に向けて炉長方
向に末広がりの状態で、すなわち、２枚の分散板１９、
２０が鉛直方向に対してそれぞれθの傾斜をもって対向
し、かつ、両分散板１９、２０の間に間隔Ｌが設けられ
た状態で取付けられ、装入された原料炭は両分散板１
９、２０の間を通過して炭化室内に落下するが、その一
部は分散板１９、２０に衝突し、その方向を変えて炉長
方向へ飛散する。その結果、図３に示すように、原料炭
８の装入レベルは、図５に示す分散板のない場合に比
べ、炉長方向により均一に装入され、次に装入する補助
原料１４の装入厚みをより均一とすることが可能とな
り、補助原料１４装入による乾留の促進効率化とコーク
ス品質の安定向上化効果をより十分に発揮することがで
きるのである。

【００１６】分散板の材質は、炭化室の上部空間温度８
００℃までの高温に耐える耐摩耗性の材質であれば種類
を問わないが、例えば、ステンレス等の耐熱・耐摩耗性
鋼板が好適である。分散板の大きさ、取付角度θ、左右
の分散板の間隔１は、炉の形状（装炭口間距離等）、装
炭条件（分散板までの落下距離等）に応じて適宜決定す
ればよい。図４は分散板に衝突した石炭の炉長方向飛散
距離と鉛直線と分散板のなす角度θとの関係を示す図で
ある。なお、使用した石炭は、粒度−３ｍｍが８０％、
水分が８％の通常配合炭であり、分散板までの落下距離
は２ｍである。図４に示すとおり、例えば分散板の角度
θを６０°に設定すると、落下する原料炭を装炭口直下
から炉長方向に２．５ｍ離れた位置まで分散させること
ができる。

【００１７】

【実施例】

実施例１以下にこの発明の装炭方法について、装炭装置の一例を
示す図１ないし図３に基づいて詳細に説明する。図１は
この発明の装炭装置の装炭車の原料炭供給ホッパーの装
入シュートを共用する補助原料の補助ホッパーを示すも
ので、（ａ）図は原料炭装入中の状況を示す概略断面
図、（ｂ）図は補助原料装入後の状況を示す概略断面
図、図２は押出機のレベラーに配設した分散板を示すも
ので、（ａ）図は分散板の配置位置を示す概略側断面
図、（ｂ）図は分散板の設置状況を示す拡大概略側断面
図、図３はこの発明の装炭方法により装炭した後の状況
を示す炉長方向縦断面図である。図１ないし図３におい
て、１はコークス炉、２は炭化室、３はコークス炉１の
炉上に炉団方向に敷設したレール４上に走行自在に載置
した装炭車で、炭化室２の各装炭口５に対応する給炭ホ
ッパー６を装備している。７は給炭ホッパー６から原料
炭８を切出すテーブルフィーダーで、テーブルフィーダ
ー７で切出された原料炭８は上部シュート９、下部シュ
ート１０および装入フード１１を介して装炭口５から炭
化室２内に装入されるよう構成されている。

【００１８】１２は装入フード１１と共に昇降する集塵
フード、１３は給炭ホッパー６の側面に設けた補助原料
１４を収容する補助原料ホッパー、１５は補助原料ホッ
パー１３と上部シュート９との間に設けた駆動モーター
１６により開閉するダンパーで、ダンパー１５を開放す
れば補助原料ホッパー１３から補助原料１４が上部シュ
ート９、下部シュート１０および装入フード１１を介し
て装炭口５から炭化室２内に装入されるよう構成されて
いる。なお、１７はダンパー１５のストッパーである。
１８は図示しない押出機に装備されたレベラー、１９、
２０はレベラー１８に配設した各装炭口５に対応する分
散板で、下方に向けて炉長方向に末広がりの状態、すな
わち、２枚の分散板１９、２０が鉛直方向に対してそれ
ぞれθの傾斜を持って対向し、かつ両分散板１９、２０
の間には所定の間隔Ｌが設けられた状態でレベラー１８
に取付けられており、分散板１９、２０を装炭口５の直
下に位置せしめたのち、原料炭８や補助原料１４を装入
すれば、装炭口５から落下する原料炭８や補助原料１４
は、両分散板１９、２０の間を通過して炭化室２内に落
下するが、その一部は両分散板１９、２０に衝突してそ
の方向を変えて炉長方向に飛散するよう構成されてい
る。

【００１９】上記のとおり構成したことによって、原料
炭８を炭化室２に装入する場合は、装炭車３が図示しな
い石炭塔で水分を含んだ原料炭８を給炭ホッパー６に、
軟化溶融性を有しない石炭またはコークスからなる補助
原料１４を補助原料ホッパー１３にそれぞれ積載し、コ
ークスを押出したのち炉蓋を装着した所定の炭化室２の
装炭位置まで走行してきて停止し、図示しない蓋取装置
により装入蓋を取り外したのち、各給炭ホッパー６の装
入フード１１および集塵フード１２を各装炭口５上に降
下せしめる。しかるのち、テーブルフィーダー７を起動
して給炭ホッパー６から原料炭８を切出し、上部シュー
ト９、下部シュート１０および装入フード１１を介して
装炭口５から炭化室２内に原料炭８の装入を開始する。

【００２０】そして、原料炭８の装入後半に２枚の分散
板１９、２０を配設したレベラー１８を炭化室２内に装
入し、各分散板１９、２０を各装炭口５の直下に位置せ
しめ、図１（ａ）に示すとおり、原料炭８を両分散板１
９、２０の間を通過して炭化室２内に落下させると共
に、原料炭８の一部を両分散板１９、２０に衝突させて
炉長方向に方向を変え分散装入させる。レベラー１８の
装入タイミングは、炉の形状、装炭条件、炉温等により
適宜決定すればよいが、炉高７．１２５ｍ、上部炉壁温
度８００℃、装入時間１００秒の場合で、装炭高さが炉
高の１／２〜２／３に達したところでレベラー１８を入
れるのがよい。装炭高さ１／２以前ではレベラー１８の
炉内滞在時間が長くなり、レベラー１８の温度上昇が大
きくて熱変形を惹起し、サイクルタイム内に自然冷却さ
れない。装炭高さ２／３以後では原料炭装炭終了時の原
料炭レベル面の均一性が十分でない。なお、強制冷却等
によりレベラー１８の温度上昇が防止できれば、装炭高
さ１／２以前からの装入でも問題は無い。

【００２１】給炭ホッパー６内の原料炭８の装入が完了
すれば、テーブルフィーダー７を停止したのち、ストッ
パー１７を解除して駆動モーター１６を操作し、ダンパ
ー１５を所定速度で開放する。すると補助原料ホッパー
１３から補助原料１４が、上部シュート９、下部シュー
ト１０および装入フード１１を介して各装炭口５から炭
化室２内に装入され、両分散板１９、２０の間を通過し
て炭化室２内に落下すると共に、補助原料１４の一部が
両分散板１９、２０に衝突して炉長方向に方向を変え、
原料炭８の上に分散装入される。同時に図１（ｂ）に示
すとおり、レベラー１８により上面をレベリングする。

【００２２】これら一連の作業によって、図３に示すと
おり、炭化室２には、水分を含んだ原料炭８の上部に補
助原料１４がより均一な厚みで装入され、これを乾留す
ることによって、炭化室２の側部ではコークス層、軟化
溶融層が形成されるが、炭化室２の上方部では補助原料
１４が軟化溶融性を有しないため軟化溶融層が形成され
ず、乾留初期に発生する水蒸気は、炉壁側に形成された
軟化溶融層およびコークス層を通過して炉壁に沿って上
部空間に向かわず、補助原料１４層を通過して炭化室２
の上部空間に流出し、その結果、高温のコークス層およ
び炉壁から熱が奪われることがないので乾留が促進さ
れ、また、炉壁に膨張圧が作用することもなく、補助原
料１４の装入による乾留効率化効果と、コークス品質の
安定向上効果を十二分に発揮することができ、また、炉
壁の損傷も抑制できる。なお、ストッパー１７、駆動モ
ーター１６、ダンパー１５からなる開閉装置は、補助原
料１４の装入をコントロールできるものであればよく、
実施例のものに限定されないことは言うまでもない。

【００２３】実施例２炉高７１２５ｍｍ、炉幅４６０ｍｍ、炉長８２５０ｍｍ
の鋼性膜型炉（炉長のみ実炉の１／２で装炭口は２ヶ
所）を用い、原料炭の装入実験を実施した。使用した原
料炭は、全水分８．４％、粒度−３ｍｍが８３％の実操
業通常配合炭を用い、補助原料として粒度−３ｍｍが１
００％の粉コークスを用いた。レベラーに設置した分散
板は、長さが２４０ｍｍの鋼性分散板で、左右の分散板
の間隔（図２（ｂ）のＬ）を８０ｍｍ、角度（図２
（ｂ）のθ）を３０°に設定し、レベラー装入時、分散
板が装炭口直下に位置するように２ヶ所設置した。

【００２４】原料炭の装炭時間は、１００秒となるよう
装炭車のテーブルフィーダー速度を調節し、レベラーの
装入タイミングは、装炭高さが炉高の１／２、２／３、
３／４に到達した時点とした。また、比較のために分散
板を有しない場合の試験を実施した。この場合は分散板
を装備しないレベラーを装炭高さが１／２に達した時点
で装入した。原料炭装入終了後に炉長方向の装炭面レベ
ルを計測し、次に補助ホッパー上に設けた補助原料ホッ
パーから粉コークス１．５トン（装入口当たり７５０ｋ
ｇ）を装入しレベリングを行った。レベリング後に装炭
面のレベルを計測し、原料装入終了時の計測レベルとの
差をもって補助原料層厚とした。その結果を表１に示
す。

【００２５】

【表１】

【００２６】表１に示すとおり、分散板を有しないレベ
ラーを装炭高さが１／２に達した時点で装入した比較例
の炉長方向最大層厚差５１ｃｍに比較し、本発明法の場
合はいずれも炉長方向最大層厚差が１２〜２８ｃｍと、
１／２〜１／４と大幅に激減しており、補助原料の層厚
が均一化されていることは明らかである。

【００２７】

【発明の効果】以上述べたとおり、この発明方法および
装置によれば、装炭作業のサイクルタイムの延長や、装
炭口開閉増加に伴う発塵による環境への悪影響を抑制し
ながら、水分を含んだ原料炭を装入した後、その上に、
補助原料をほぼ均一な厚みで装入することができ、補助
原料の装入による乾留効率化効果と、コークス品質の安
定向上効果を十二分に発揮することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の装炭装置の装炭車の原料炭供給ホッ
パーの装入シュートを共用する補助原料の補助ホッパー
を示すもので、（ａ）図は原料炭装入中の状況を示す概
略断面図、（ｂ）図は補助原料装入後の状況を示す概略
断面図である。

【図２】押出機のレベラーに配設した分散板を示すもの
で、（ａ）図は分散板の配置位置を示す概略側断面図、
（ｂ）図は分散板の設置状況を示す拡大概略側断面図で
ある。

【図３】この発明の装炭方法により装炭した後の状況を
示す炉長方向縦断面図である。

【図４】分散板に衝突した石炭の炉長方向飛散距離と鉛
直線と分散板のなす角度θとの関係を示すグラフであ
る。

【図５】従来法における原料炭および補助原料を装入し
た状態の炉長方向縦断面図である。

【符号の説明】

１コークス炉２炭化室３装炭車４レール５装炭口６給炭ホッパー７テーブルフィーダー８原料炭９上部シュート１０下部シュート１１装入フード１２集塵フード１３補助原料ホッパー１４補助原料１５ダンパー１６駆動モーター１７ストッパー１８レベラー１９、２０分散板

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】室炉式コークス炉の炭化室に水分を含む
原料炭を装入したのち、その上に軟化溶融性を有しない
石炭またはコークスを装入するコークス炉の装炭方法に
おいて、各装炭口直下にレベラーに設置した分散板を位
置せしめて原料炭を装入したのち、軟化溶融性を有しな
い石炭またはコークスを装入することを特徴とするコー
クス炉の装炭方法。
【請求項２】室炉式コークス炉の炭化室に水分を含む
原料炭を装入したのち、その上に軟化溶融性を有しない
石炭またはコークスを装入するコークス炉の装炭装置に
おいて、装炭車の原料炭供給ホッパーの側部に原料炭供
給ホッパーの装入シュートを共用する軟化溶融性を有し
ない石炭またはコークスの補助ホッパーを設け、押出機
のレベラーに各装炭口に対応する分散板を配設したこと
を特徴とするコークス炉の装炭装置。