JPH08125260A - 半導体発光装置及びその製造方法 - Google Patents

半導体発光装置及びその製造方法

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JPH08125260A
JPH08125260A JP26020794A JP26020794A JPH08125260A JP H08125260 A JPH08125260 A JP H08125260A JP 26020794 A JP26020794 A JP 26020794A JP 26020794 A JP26020794 A JP 26020794A JP H08125260 A JPH08125260 A JP H08125260A
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mesa
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Masahisa Okada
昌久 岡田
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Fujitsu Ltd
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Fujitsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電流狭窄層を備えた埋込み型メサストライプ
半導体発光装置に関し,一連の連続した半導体層の堆積
工程によりセルフアラインに製造する。 【構成】 半導体基板1上に平坦なメサ上面1Bを有す
るストライプ状メサ1Aを形成し,次いで,メサ上面1
B上の堆積面とメサ1Aの両側の基板1上の堆積面と
が,メサ1Aの側壁面により分離されて堆積する第一の
クラッド層2を形成し,次いで,活性層3をメサ上面1
B上とメサ1Aの両側の基板1上とに分離して堆積し,
次いで,メサを覆い,メサ1A直上に平坦な上面4Bが
形成されたメサストライプ状の表面形状を有する第二の
クラッド層4を堆積し,次いで,第二のクラッド層上面
4Bを除く領域に選択的に電流狭窄層5を堆積して,メ
サ上面1B直上に開口5Aを有する電流狭窄層5を形成
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,電流狭窄層を有する埋
込み型メサストライプ半導体発光装置及びその製造方法
に関し,とくに電流狭窄効果が優れ,かつ製造が容易な
半導体発光装置の構造に関する。
【0002】半導体発光装置,例えば埋込み型のメサス
トライプ半導体レーザでは通常,しきい値電流を小さく
するため電流狭窄層が設けられる。この電流狭窄層は,
メサの両側領域上,即ち活性層の両側領域上に設けら
れ,活性層の直上又は直下に電流路となる開口を有す
る。
【0003】しかし,この様に開口を有する電流狭窄層
を形成するためには,複雑な工程を必要とする。これで
は,半導体発光装置の製造コストは増加し,加入者系の
光ファイバ通信の光源として利用されるような安価なも
のとすることができない。
【0004】そこで,電流狭窄層を容易に製作できる半
導体発光装置が求められている。
【0005】
【従来の技術】従来,ストライプ状メサの両側に電流狭
窄層を形成するには,電流狭窄層とその上下の半導体層
とを別個に堆積していた。
【0006】即ち,先ず,半導体基板表面上に下側のn
型クラッド層,活性層及び上側のp型クラッド層を順次
堆積する。次いで,SiO2 膜をマスクとするエッチン
グにより半導体表面をメサに形成し,上面に下側のクラ
ッド層,活性層及び上側のクラッド層とを有するメサを
形成する。次いで,メサの両側に,メサを埋め込む埋込
み層と電流狭窄層とを順次堆積する。次いで,SiO2
膜マスクを除去した後,p型導電層及びp型コンタクト
層を堆積して,埋込み型のメサと電流狭窄層とを形成し
ていた。
【0007】上述した従来の半導体発光装置の製造方法
では,半導体層の堆積工程の間に,メサの形成工程とS
iO2 膜マスクの除去工程とが介在するため,少なくと
も3回の半導体層の堆積工程を必要とする。
【0008】かかる堆積工程の回数を減少し,製造工程
を簡略にする試みが,1990年春,応用物理学会28
a−SA−8に成井他により開示されている。次に,そ
の概略を説明する。
【0009】図2は従来例断面工程図であり,メサスト
ライプ型半導体レーザの製造工程をその断面で表してい
る。図2(a)を参照して,先ず,(100)を主面と
するn−GaAs基板21の表面にメサ21Aを形成す
る。次いで,MOVPE(有機金属気相成長)法により
順次,n−GaAsからなるバッフア層22,及びn−
Al0.40Ga0.60Asからなるn型クラッド層23を堆
積する。次いで,GaAsからなる活性層24を堆積す
る。
【0010】上記MOVPE法を用いたバッファ層22
から活性層24に至る半導体層の堆積では,(100)
面上に選択的に成長し,(111)B面上には堆積しな
い。従って,(100)面が表出するメサ21A上面
上,及びメサ21Aの両側に延在し(100)面を表出
する基板21表面上に,上記半導体層(22〜24)は
選択的に堆積され,メサ21Aの側面には堆積しない。
その結果,メサ21A上面に堆積する半導体層と,メサ
21A両側の基板21上に堆積する半導体層とは,図2
(a)を参照して,メサ21Aの側面により分離されて
堆積される。
【0011】なお,メサ21A上に堆積された半導体層
(22〜24)は,その断面形状がメサ21A上面を底
辺とし上辺が短い台形状に堆積する。これは,この台形
の斜面が,堆積速度が最小となる(111)B面となる
からである。
【0012】次いで,図2(b)を参照して,p−Al
0.40Ga0.60Asからなるp型クラッド層25,及びn
−Al0.45Ga0.55Asからなる電流狭窄層26を,M
OVPE法により上記半導体層(22〜24)と同様の
条件で堆積する。
【0013】このp型クラッド層25は,メサ21A両
側の基板21上に堆積するp型クラッド層25が,メサ
21A上面上に堆積された活性層24に僅かに届かない
程度の厚さに堆積する。他方,その上に堆積される電流
狭窄層26は,上記台形の斜面に表出する活性層24の
端面を完全に覆う厚さに堆積する。
【0014】次いで,図2(c)を参照して,p−Al
0.45Ga0.55Asからなるp型導電層27及びp−Ga
Asからなるコンタクト層28を堆積する。上述した従
来例では,堆積工程の途中で加工,エッチング等の工程
が介在しないため,1回の積層の堆積工程によりメサス
トライプ構造の活性領域24と,電流狭窄層26とを形
成することができる。
【0015】しかし,この構造では,図2(c)を参照
して,メサ21A上のn型クラッド層23の端面と,低
抵抗のn型の電流狭窄層26の端面とが接しているた
め,その接続面を通してリーク電流29が流れる。この
ため,活性層24を流れる電流29の他,活性層24を
迂回するリーク電流29が多くなり,半導体レーザのし
きい値電流が増加する。
【0016】さらに,上述した従来例の構造を形成する
には,メサ上面とその側面の基板上とに堆積する半導体
層とを完全に分離して堆積する必要がある。しかし,M
OVPE法においては,メサ上面の堆積速度と,メサの
両側に延在する基板表面上の堆積速度が異なる。この両
者の堆積速度及び堆積速度の比は,成長条件に鋭敏に依
存するため,電流狭窄層をメサ上面に形成された活性層
の両脇に正確に位置するように形成することは容易では
ない。
【0017】かかる半導体層の堆積の困難さを回避する
ため改良された構造の半導体レーザが,特願平4−33
0176号に開示されている。図3は従来の他の実施例
断面工程図であり,上記の改良された構造の半導体レー
ザの製造工程を断面により表している。
【0018】この半導体レーザの製造工程は,図3
(a)を参照して,先ず,(100)面を主面とする半
導体基板11表面に,上面が(100)面である断面凸
状のストライプ状メサ11Aを形成する。次いで,基板
11上全面にp−InPからなるp型導電層12を堆積
する。このp型導電層12は,メサ11Aの直上及びメ
サの両側の基板11上で(100)面を表出するストラ
イプメサを形成する。なお,ここで,メサ11A直上の
(100)面が,p型導電層12の表面がつくるストラ
イプメサの上面となっている。
【0019】次いで,高濃度のSeをドープしたn−I
nPからなる電流狭窄層13を堆積する。近藤等によ
り,1992年春,応用物理学会30a−SF−28に
おいて明らかにされたように,かかる高濃度のSeドー
プInPは,MOVPE法により堆積するとき化合物半
導体の狭い幅の(100)面には堆積されない。このた
め,SeドープInPは,メサ11A直上の幅の狭い
(100)面には堆積せず,その両側の基板11上に堆
積する。その結果,図3(a)を参照して,メサ11直
上にストライプ状の開口13Aを有し,メサ11の両側
を埋め込む電流狭窄層13が形成される。
【0020】次いで,電流狭窄層13及びその開口13
A底面に表出するp型導電層12の上にp−InPから
なるp型クラッド層14を堆積する。次いで,図3
(c)を参照して,基板11上全面に,InGaAsP
からなる活性層15,及びn−InPからなるn型クラ
ッド層16を順次堆積し,さらにn−InGaAsPか
らなるコンタクト層17を堆積する。
【0021】次いで,コンタクト層17上にストライプ
状の窓を有する絶縁層18を形成し,さらにその窓を埋
め込む導電体を堆積してn側電極19Aとする。他方,
基板11裏面には導電体を被着してp側電極を形成す
る。
【0022】上述の改良された構造の半導体レーザの製
造は,上述の堆積工程の途中に加工,エッチング等の表
面加工工程を必要としないため,一連の半導体層の堆積
を連続して行う,1回の堆積工程で製造することができ
る。
【0023】しかし,図3(c)を参照して,この構造
の半導体レーザは,活性層15がメサ11Aの上方に離
れて薄層状に基板11全面に堆積されるため,キャリア
非閉じ込め型となる。このため,p型導電層12から電
流狭窄層13の開口13Aを通り活性層15に流入する
電流20は,開口13Aから広がる経路を流れ,実効的
な活性領域の幅が拡幅する。その結果,この構造の半導
体レーザのしきい値電流を小さくすることは難しい。さ
らに,光閉じ込めもキャリア密度によるため,メサスト
ライプの如き光導波路を利用する半導体レーザと比較
し,発振光の横モードを安定することが難しい。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】上述したように,従来
の電流狭窄層を有する埋込み型メサストライプ構造の半
導体発光装置の構造では,半導体層の堆積を連続する堆
積工程により形成することができず,製造工程が複雑で
あるという問題がある。
【0025】また,従来の,連続する堆積工程からなる
一回の堆積工程により半導体層を堆積する構造の半導体
発光装置では,リーク電流が多いため又は実効的な活性
領域が拡幅するため,発光の効率が劣るという欠点があ
る。さらに,メサ上面とメサの両側に延在する基板上に
分離して選択的に半導体層を堆積する製造方法を必要と
する構造では,堆積条件を精密に制御しなければならず
製造が困難であるという欠点がある。さらにまた,スト
ライプ状の光導波路を形成しない構造では,発振光のモ
ードが安定しないという欠点がある。
【0026】本発明は,ストライプ状メサの上面に選択
的に堆積された活性層を光導波路とする活性領域として
用い,活性層及びメサを覆うクラッド層を挟んでメサの
両側に選択的に堆積された電流狭窄層を設けることで,
発光効率が高く,発振光のモードが安定でかつ連続した
一連の半導体層の堆積により製造される埋込み型メサス
トライプ構造の半導体発光装置を提供すること,及びそ
の製造方法を提供することをを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】図1は本発明の実施例断
面工程図であり,半導体発光装置の製造工程を断面図に
より表したものである。なお,図1(d)は本発明の第
一実施例に係る半導体発光装置のメサストライプに垂直
な断面を表している。
【0028】上記課題を解決するための本発明の第一の
構成は,図1(d)を参照して,電流狭窄層5を有する
埋込み型メサストライプ半導体発光装置において,第一
導電型の半導体基板1表面に形成された,平坦なメサ上
面1Bを有するストライプ状のメサ1Aと,少なくとも
該メサ上面1Bを覆う第一導電型の第一のクラッド層2
と,該第一のクラッド層2上に設けられ,該メサ上面1
Bにより画定されるストライプ状の活性層3と,該活性
層3,該第一のクラッド層2及び該メサ1Aを覆い,該
活性層3直上に平坦な上面4Bを有し該活性層3の両側
に延在する該基板1上に裾を引くメサストライプ状の表
面形状を有する,第二導電型の第二のクラッド層4と,
該第二のクラッド層4の該活性層3両側の裾を引く領域
上に形成され,該第二のクラッド層4の該上面4Bを表
出する開口5Aを有する第一導電型の該電流狭窄層5
と,該開口5A内に表出する第二クラッド層4の該上面
4Bを覆い該電流狭窄層5上に形成された第二導電型の
導電層6とを有することを特徴として構成し,及び,第
二の構成は,第一の構成の半導体発光装置において,該
電流狭窄層5は,Seをドープしたn型InP層からな
り,該第二のクラッド層4は,III-V 化合物半導体から
なり,該第二のクラッド層4の該上面4Bを(100)
面とすることを特徴として構成し,及び,第三の構成に
係る半導体発光装置の製造方法は,電流狭窄層5を有す
る埋込み型メサストライプ半導体発光装置の製造方法に
おいて,第一導電型の半導体基板1上に平坦なメサ上面
1Bを有するストライプ状のメサ1Aを形成する工程
と,次いで,該メサ上面1B上及び該メサ1Aの両側に
延在する該基板1上に第一導電型の第一のクラッド層2
を堆積し,該メサ上面1B上に堆積する該第一のクラッ
ド層2の堆積面と該メサ1Aの両側に延在する該基板1
上に堆積する該第一のクラッド層2の堆積面とが,該メ
サ上面1Bに堆積する該第一のクラッド層2の側壁面又
は該メサ1Aの側壁面により分離されて堆積された該第
一のクラッド層2を形成する工程と,次いで,活性層3
を該第一のクラッド層2の分離された該堆積面上に選択
的に堆積し,該メサ上面1B上に堆積された該活性層3
と該メサ1Aの両側に延在する該基板1上に堆積された
該活性層3とをそれぞれ分離して形成する工程と,次い
で,該メサ1Aを覆う第二導電型の半導体層を堆積し,
該メサ1A直上に平坦な上面4Bが形成されたメサスト
ライプ状の表面形状を有する第二のクラッド層4を形成
する工程と,次いで,該第二のクラッド層4の該上面4
Bを除く領域に選択的に第一導電型の半導体層を堆積し
て,該メサ上面1B直上に開口5Aを有する該電流狭窄
層5を形成する工程と,次いで,該開口5A内に表出す
る第二クラッド層4の該上面4Bを覆い該電流狭窄層5
上に延在する第二導電型の導電層6を堆積する工程とを
有することを特徴として構成し,及び,第四の構成は,
第三の構成の半導体発光装置の製造方法において,該電
流狭窄層5は,Seをドープしたn型InP層からな
り,該第二のクラッド層4の該上面4Bを,III-V 化合
物半導体の(100)面とすることを特徴として構成す
る。
【0029】
【作用】本発明の第一の構成に係る半導体発光装置で
は,図1(d)を参照して,ストライプ状のメサ1Aの
上面に,メサ上面1Bで画定される活性層3が設けられ
る。後述するように,かかる活性層3は,例えば,メサ
上面1Bへ選択的に半導体層を堆積することにより形成
することができる。
【0030】従って,活性領域はその幅がメサ上面1B
の形状により画定されたストライプ状に形成されるか
ら,活性領域は光を閉じ込める導波路として構成するこ
とができる。このため,活性層3内で発振する光の横モ
ードが安定する。
【0031】さらに,本構成では,活性層3及びメサを
覆う第二のクラッド層4を設けて,その上に電流狭窄層
5が設けられる。この電流狭窄層5には,メサ上面1B
の直上に位置して開口5Aが設けられる。かかる電流狭
窄層5は,後述するように,例えば,開口5Aに表出さ
れた第二クラッド層4の平坦な上面4B上には堆積せ
ず,その平坦な上面4Bの両側に延在するメサ1A斜面
上にのみ堆積させる,選択的な堆積により実現すること
ができる。この選択的堆積は,例えば,III-V 族半導体
層を第二クラッド層4とし,その(100)面上にSe
ドープInPを電流狭窄層5として堆積することで実現
される。
【0032】上記構成の半導体発光装置では,電流狭窄
層5はメサ1Aを覆う第二のクラッド層4上に形成され
る。この第二のクラッド層4は,電流狭窄層5が,活性
層3,第一のクラッド層2及び基板1(メサ1Aを含
む。)と接触することを防止する。従って,図2(c)
に示す従来の構成の如く,第一のクラッド層と電流狭窄
層との接触に起因するリーク電流を回避することができ
る。
【0033】また,通常その厚さは薄いので,表面形状
はメサ状になる。従って,電流狭窄層5と第二のクラッ
ド層4との界面に形成される電流狭窄面は,メサ1Aに
沿った「八の字」型の断面形状となる。又,電流の通路
となる開口5Aは,「八の字」の上部に,薄い第二のク
ラッド層を挟み活性層3と対向して設けられる。従っ
て,開口5Aを通過する電流は,両側を「八の字」に狭
められた電流路を通るから,開口5Aに近接して対向す
る活性層3に集中する。従って,本構成の半導体発光装
置は電流の利用効率が高い。なお,「八の字」型の電流
路と活性層3との間隙を埋める第二のクラッド層を通し
て,活性層3を迂回するリーク電流が流れるが,第二の
クラッド層が薄いためこのリーク電流は通常問題とされ
ない程度の大きさに過ぎない。
【0034】次に,本発明の第三の構成は,メサストラ
イプ型の活性層及び電流狭窄層を,連続してなされる一
連の堆積工程により形成する半導体発光装置の製造方法
に関する。なお,かかる半導体発光装置には,本発明の
第一又は第二の構成に係るものが含まれる。
【0035】本構成では,図1(a)を参照して,スト
ライプ状メサ1Aが形成された半導体基板1表面に,第
一のクラッド層2に続けて活性層3を堆積する。この第
一のクラッド層2は,平坦なメサ上面1B上及びそのメ
サ1Aの両側の基板1表面上にそれぞれ格別に分離され
て堆積される。メサ1Aの側壁面には,基板1表面上に
堆積した第一のクラッド層の一部が延在して堆積する。
しかし,メサ1Aの両側に延在する基板1表面上に堆積
した第一のクラッド層2の堆積面,即ち堆積中の第一の
クラッド層2の表面は,メサ上面1B上に堆積する第一
のクラッド層2の堆積面と分離して堆積する。かかる堆
積面の分離は,メサ上面に堆積した第一のクラッド層2
の端面と,その両側の基板1上に堆積した第一のクラッ
ド層のメサ1A側壁面上に延在する部分とが接続し,両
者が一体の層となる場合にも維持される。なお,本構成
において,両者が一体の層となることは必須ではない。
【0036】活性層3は,上述した第一のクラッド層2
の堆積と同様,堆積面が分離される条件で,第一のクラ
ッド層2の分離したそれぞれの堆積面上に選択的に堆積
される。なお,かかる堆積条件は,通常のMOVPE法
で容易に実現されている。活性層3は,通常極めて薄い
ので,かかる条件で堆積した場合,メサ上面1Bに堆積
した部分は,メサ1Aの側壁面及びメサ1Aの両側に延
在する基板1上に堆積した部分から完全に分離して形成
される。このため,メサ上面1Bに形成される活性層
は,メサ上面1Bの形状,例えば幅により画定される。
従って,活性層を精密な形状に形成することができる。
また,他の領域上に堆積した部分かち分離して,ストラ
イプ状の活性層を形成することができるから,光閉じ込
めに適した光導波路型の構造を構成することができる。
【0037】次いで,図1(b)を参照して,メサ1A
を覆う第二のクラッド層4を堆積する。この第二のクラ
ッド層は,第一のクラッド層2の堆積条件と同様の条件
で堆積する場合には,分離して堆積する領域が接続して
一体となりメサ1Aを覆うように堆積する。又は,堆積
面を分離することなく非選択的にメサ1A側壁面をも含
めて全面に一様に堆積することで,メサ1Aを覆う第二
のクラッド層4を形成することもできる。何れの場合
も,メサ上面に位置する第二クラッド層4の上面4B
は,メサ上面1Bに平行な平面領域として形成される。
【0038】この第二のクラッド層4の厚さは,メサ1
Aの高さに較べて薄いので,その表面形状は,上面4B
が平坦なストライプ状のメサとなる。次いで,図1
(c)を参照して,電流狭窄層5を堆積する。この電流
狭窄層5は,第二のクラッド層4の上面4Bには堆積せ
ず,その両側,即ちメサ1Aの側面及びメサ1Aの両側
に延在する基板1上に選択的に堆積する条件でなされ
る。かかる条件は,例えば既述のように,第二のクラッ
ド層4をIII-V 族化合物半導体とし,その上面4Bを
(100)面とし,電流狭窄層5をInPとすることで
実現することができる。この結果,電流狭窄層5は,メ
サ上面の活性層3直上に開口5Aを有し,薄い第二のク
ラッド層4を挟む形でメサ1Aの両側を埋め込むように
形成される。従って,電流阻止面である第二のクラッド
層4と電流狭窄層5との界面は,断面が「八の字」状に
形成される。
【0039】かかる構成では,活性層の位置及び形状,
電流狭窄層の形状はセルフアラインに決定されるため,
これらの位置関係は精密に製作される。従って,従来例
のように堆積層の厚さの精密な制御を必要としない。ま
た,半導体発光装置のリーク電流を小さくすることが容
易である。さらに,メサ1A上に堆積する層の側壁面,
即ちストライプの端面に該当する面を,特定の結晶面,
例えば(111)B面を表出する条件で堆積することに
より,活性層3又は電流狭窄層5の開口5Aを結晶面で
画定される精密な形状に形成することもできる。
【0040】次いで,基板1全面上に導電層6を堆積
し,開口5Aで第二のクラッド層4とコンタクトする導
電層6を形成する。以下,通常の工程を経て半導体発光
装置を完成する。
【0041】本構成では,メサ1Aの形成以後は,必要
な半導体層を全てセルフアラインに堆積することができ
るから,一連の連続した堆積工程により必要な形状の半
導体層を形成することができる。従って,1回の堆積工
程で半導体発光装置を製造することができる。
【0042】また,活性層3を分離するために,堆積面
のみが分離されていれば足りるから,従来例のようにメ
サ上面の堆積速度及びメサ両側に延在する基板上の堆積
速度を制御するために,堆積条件の精密な制御を行うこ
とを必要としない。従って,製造が容易である。
【0043】
【実施例】本発明をメサストライプ型半導体レーザに適
用した実施例を参照して,説明する。
【0044】図1(a)を参照して,先ず,(100)
面を主面とするn−InP基板1の主面に,例えば,断
面台形のストライプ状メサ1Aを形成する。ストライプ
の延在する方向は<011>,台形状のメサ1Aの斜
面,即ち側壁面は(111)B面から構成され,メサ1
Aの高さは例えば略1μmとする。メサ1Aの上面1B
は(100)面からなり,上面1Bの幅は,活性層3の
幅に対応して,例えば略1.7μmとする。
【0045】次いで,Sを1×1018cm-3ドープしたI
nPを厚さ0.5μm堆積して,第一のクラッド層2と
する。この第一のクラッド層2の堆積は,例えばMOV
PE法によりなされ,TMIn(トリメチルインジウ
ム)及びPH3 を原料ガスとし,圧力50Torr,堆積温
度620℃,堆積速度略1μm/時の堆積条件の下で行
われた。
【0046】この第一のクラッド層2のうちメサ上面1
Bに堆積した部分は,上表面を(100)とし,側壁面
に(111)B面を表出して堆積する。従って,堆積後
の第一のクラッド層2の上面の幅は,メサ上面1Bの幅
と(111)B面,及び第一のクラッド層2の厚さによ
り完全に画定する。この第一のクラッド層2の厚さは,
メサ上面1Bの幅に較べて通常極めて精密に制御するこ
とができるから,第一のクラッド層2の上面の幅はセル
フアラインにより精密に決定される。
【0047】さらに,上述した第一のクラッド層2の堆
積では,メサ1Aの両側に表出する基板1表面上に堆積
する第一のクラッド層2の一部は,メサ1Aの側壁面を
なす斜面上を這い上がるように堆積する。その結果,メ
サ上面1Bに堆積した第一のクラッド層2の側壁面と接
触し,これと一体となった第一のクラッド層2を形成す
る。しかし,メサ1A側壁面を這い上がる第一のクラッ
ド層2の先端部分は,メサ上面1Bに堆積している第一
のクラッド層2の上面に届かず,その間に堆積が進行し
ない斜面が存在する。言い換えれば,第一のクラッド層
2の斜面上端に形成されるこの堆積が進行しない斜面に
より,メサ上面1B上に堆積する第一のクラッド層2の
堆積面と,メサ1Aの両側の基板1上に堆積する第一の
クラッド層2の堆積面とが分離される。
【0048】次いで,同様の堆積条件により,厚さ0.
1μmのInGaAsPからなる活性層3を堆積する。
反応ガスには,Gaの供給源としてTEGa(トリエチ
ルガリウム)を,Asの供給源としてAsH3 を,上述
した第一のクラッド層の堆積時の成分に加えた。
【0049】この活性層3の第一のクラッド層2上面に
堆積した部分は,(111)Bからなる側壁面を有す
る。その結果,活性層3の幅は,第一のクラッド層2上
面の幅,さらにはメサ上面1Bの幅により画定される。
【0050】なお,この活性層3の堆積においても,メ
サ上面1B上とその両側の基板1上にそれぞれ堆積する
部分は,堆積面が分離された状態で堆積する。このと
き,活性層3は薄いため,それぞれの部分は完全に分離
する。これにより,ストライプ形状の活性層3がメサ上
面1B上に形成される。
【0051】次いで,図1(b)を参照して,Znを1
×1018cm-3ドープしたp−InPからなる厚さ0.5
μmの第二のクラッド層4を堆積する。この第二のクラ
ッド層4は,それ以前に堆積した活性層3及び第一のク
ラッド層を完全に覆うように,またメサ1Aの側壁面に
基板1が表出する場合はその表出面をも覆い堆積する。
かかる堆積は,分離して堆積する各部分が接続して一体
となる厚さまで堆積することでなされる。
【0052】かかる第二のクラッド層4は,メサ1Aを
覆い堆積するため,その表面形状は,上面4Bが(10
0)面からなる平坦面を有するストライプ状のメサとな
る。次いで,Seを1×1019cm-3ドープしたn−In
Pを堆積して,厚さ0.6μmの電流狭窄層5を形成す
る。堆積条件は上述した第一のクラッド層2の堆積と同
様とする。かかる堆積条件の下では,従来例の説明にお
いて既述したように,図1(c)を参照して,Seドー
ブのInPは,狭い幅の(100)面からなる第二クラ
ッド層4の上面4Bには堆積せず,その両側のメサの裾
を引く領域上にのみ選択的に堆積する。その結果,メサ
1Aの両側を埋め込み,かつメサ上面1B直上に第二ク
ラッド層4の上面4Bを表出する開口5Aを有する電流
狭窄層5が形成される。
【0053】次いで,Znを1×1018cm-3ドープした
p−InPを厚さ1.0μm堆積して導電層6とする。
この導電層6は,開口5Aに表出する第二クラッド層4
の上面4Bに接触してコンタクトを形成し,メサ1Aを
埋込み電流狭窄層5を覆うように形成される。
【0054】次いで,Znを1×1018cm-3ドープした
p−InGaAsPを厚さ0.4μm堆積し,コンタク
ト層7とする。次いで,SiO2 からなる厚さ0.4μ
mの絶縁層8を堆積し,メサ1A上に窓8Aを開設す
る。さらに,厚さ0.3μmのAuZn層及び,続いて
厚さ3μmのAu層を堆積し,p側電極9Aとする。ま
た,基板1を裏面から100μmの厚さに研磨した後,
基板1の裏面に厚さ0.3μmのAuGe層及び,続い
て厚さ3μmのAu層を堆積し,n側電極9Bとする。
【0055】以上の工程により,電流狭窄層を有し,埋
込み型のメサストライプ半導体レーザが製造される。
【0056】
【発明の効果】上述したように,本発明によれば,メサ
の上面にそのメサ上面により画定される活性層と,又そ
の活性層上に開口を有し活性層を「八の字」型に覆う電
流狭窄層とを,連続した堆積工程によりかつセルフアラ
インに精密な寸法で形成することができるので,リーク
電流が少なくかつ発振モードが安定した半導体発光装置
を容易に提供することができ,半導体発光装置の性能向
上及びその製造方法の改善に寄与するところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例断面工程図
【図2】 従来例断面工程図
【図3】 従来の他の実施例断面工程図
【符号の説明】 1,11,21 基板 1A,11A,21A メサ 1B メサ上面 2 第一のクラッド層 3,15,24 活性層 4 第二のクラッド層 4B 上面 5,13,26 電流狭窄層 5A 開口 6 導電層 7 コンタクト層 8,18 絶縁層 8A 窓 9A p側電極 9B n側電極 12 p型導電層 14 p型クラッド層 16 n型クラッド層 17 コンタクト層 19A n側電極 19B p側電極 20 電流 22 バッファ層 23 n型クラッド層 25 p型クラッド層 27 p型導電層 28 コンタクト層 29 電流

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電流狭窄層を有する埋込み型メサストラ
    イプ半導体発光装置において,第一導電型の半導体基板
    表面に形成された,平坦なメサ上面を有するストライプ
    状のメサと,少なくとも該メサ上面を覆う第一導電型の
    第一のクラッド層と,該第一のクラッド層上に設けら
    れ,該メサ上面により画定されるストライプ状の活性層
    と,該活性層,該第一のクラッド層及び該メサを覆い,
    該活性層直上に平坦な上面を有し該活性層の両側に延在
    する該基板上に裾を引くメサストライプ状の表面形状を
    有する,第二導電型の第二のクラッド層と,該第二のク
    ラッド層の該活性層両側の裾を引く領域上に形成され,
    該第二のクラッド層の該上面を表出する開口を有する第
    一導電型の該電流狭窄層と,該開口内に表出する第二ク
    ラッド層の該上面を覆い該電流狭窄層上に形成された第
    二導電型の導電層とを有することを特徴とする半導体発
    光装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の半導体発光装置におい
    て,該電流狭窄層は,Seをドープしたn型InP層か
    らなり,該第二のクラッド層は,III-V 化合物半導体か
    らなり,該第二のクラッド層の該上面を(100)面と
    することを特徴とする半導体発光装置。
  3. 【請求項3】 電流狭窄層を有する埋込み型メサストラ
    イプ半導体発光装置の製造方法において,第一導電型の
    半導体基板上に平坦なメサ上面を有するストライプ状の
    メサを形成する工程と,次いで,該メサ上面上及び該メ
    サの両側に延在する該基板上に第一導電型の第一のクラ
    ッド層を堆積し,該メサ上面上に堆積する該第一のクラ
    ッド層の堆積面と該メサの両側に延在する該基板上に堆
    積する該第一のクラッド層の堆積面とが,該メサ上面に
    堆積する該第一のクラッド層の側壁面又は該メサの側壁
    面により分離されて堆積された該第一のクラッド層を形
    成する工程と,次いで,活性層を該第一のクラッド層の
    分離された該堆積面上に選択的に堆積し,該メサ上面上
    に堆積された該活性層と該メサの両側に延在する該基板
    上に堆積された該活性層とをそれぞれ分離して形成する
    工程と,次いで,該メサを覆う第二導電型の半導体層を
    堆積し,該メサ直上に平坦な上面が形成されたメサスト
    ライプ状の表面形状を有する第二のクラッド層を形成す
    る工程と,次いで,該第二のクラッド層の該上面を除く
    領域に選択的に第一導電型の半導体層を堆積して,該メ
    サ上面直上に開口を有する該電流狭窄層を形成する工程
    と,次いで,該開口内に表出する第二クラッド層の該上
    面を覆い該電流狭窄層上に延在する第二導電型の導電層
    を堆積する工程とを有することを特徴とする半導体発光
    装置の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の半導体発光装置の製造方
    法において,該電流狭窄層は,Seをドープしたn型I
    nP層からなり,該第二のクラッド層の該上面を,III-
    V 化合物半導体の(100)面とすることを特徴とする
    半導体発光装置の製造方法。
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