JPH0812173B2 - 酸素センサ - Google Patents

酸素センサ

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JPH0812173B2
JPH0812173B2 JP63017415A JP1741588A JPH0812173B2 JP H0812173 B2 JPH0812173 B2 JP H0812173B2 JP 63017415 A JP63017415 A JP 63017415A JP 1741588 A JP1741588 A JP 1741588A JP H0812173 B2 JPH0812173 B2 JP H0812173B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は酸素センサ、特に体外循環系やフロー系等に
おいてドリフト(電流密度の安定度)が小さく、酸素濃
度の広い範囲に亙り測定できる膜被覆固体型の酸素セン
サに関するものである。
[従来の技術] 従来、銀/塩化銀を基準電極、白金又は白金黒を作用
電極に用いて、これを水酸化カリウム(KOH)の様なア
ルカリ溶液に浸し、その外側をシリコーン膜で被覆した
クラーク型酸素センサが上市されているが、このセンサ
に対しては、内部液の漏れによる汚染の防止、センサー
の小型化や耐久性の向上が、循環系中の連続モニタリン
グの点から要求される。
最近では、白金電極上に直接セルロース膜あるいはそ
の他ポリマー膜をコートした酸素センサ(coated wire
type)が、試験用センサとして上市されている。これら
のセンサは耐久性に問題があり、人口肺を付したような
Po2の高い領域(350mmHg以上)では使用時間が極めて短
くなる。
本発明者等は、以上の問題に対応する酸素センサとし
て、導電性基体上にポルフイリン誘導体化合物及びその
金属錯体化合物を直接被覆した酸素電極と、基準電極
と、前記酸素電極と基準電極とが含浸されたゲル状高分
子電解質と、これを被覆する酸素選択透過膜とを備えた
クラーク型酸素センサを先に出願している(特願昭62-7
1833号、特公平4−31545号公報)。ところが、このセ
ンサには循環系でドリフトを生起し、出力値が変動する
という問題があつた。
[発明が解決しようとする課題] 本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、フ
ロー系や体外循環系での使用に際して、液流動の影響や
ドリフトが小さく、広範囲の酸素濃度に対して測定でき
る酸素センサを提供することにある。
[課題を解決するための手段] この課題を解決する本発明の酸素センサは、導電性基
体と、該導電性基体を被覆するポルフイリン誘導体化合
物及び/またはその金属錯体化合物からなる酸素感応部
を備える酸素センサであつて、前記酸素感応部の表面積
が8.5×10-4cm2以下であることを特徴とする。
好ましくは、以下のように実施される。
1.ドリフトが5×10-5A/cm2以下である。
2.導電性基体は導電性炭素である。
3.炭素材料は、炭素繊維,炭素棒状物である。
4.炭素材料の断面積は、10-6cm2以下である。
5.電極構成が酸素電極,基準電極,対極がゲル状高分子
電解質に含浸され、その外側を酸素選択透過膜で被覆し
た酸素センサでは、該酸素電極の感応部面積を大きくと
も、8.5×10-4cm2とする。
6.ポルフイリン誘導体は、メソ型−フエニル誘導体であ
る。
7.ポルフイリン錯体の錯形成する金属が、Fe,Co,Niであ
る。
8.ポルフイリン錯体の錯形成する金属がチタン,バナジ
ウム,クロム,マンガン,銅,ルテニウム,ロジウム,
パラジウム,イリジウム,白金,銀,金等の遷移金属あ
るいは亜鉛,スズである。
9.ポルフイリン化合物は、メソ位にヒドロキシ芳香族誘
導体を置換したポルフイリン化合物及びメソ位にアミノ
芳香族誘導体を置換したポルフイリン化合物から選ばれ
る。
10.ポルフイリン化合物の金属錯体は、メソ位にヒドロ
キシ芳香族誘導体を置換したポルフイリンの金属錯体及
びメソ位にアミノ芳香族誘導体を置換したポルフイリン
の金属錯体から選ばれる。
[実施例] 本発明者は、先にOH,NH2等の活性基をもつフエニル基
を置換基として有するポルフイリン化合物、あるいはこ
れを配位子とする錯体の酸化重合膜を、被覆膜として使
用すれば膜成分が溶出しにくく、かつ選択性にも優れた
酸素電極が得られることを見出した。
まずこの酸素電極について説明する。この酸素電極
は、導電性基体と、該導電性基体の表面を被覆する電解
酸化重合膜とを備える酸素センサであつて、前記電解酸
化重合膜は、ポルフイリン化合物及びその金属錯体から
選択された少なくとも1つの物質からなることを特徴と
する。
この酸素電極に使用される導電性基体としては、導電
性炭素が好適であり、導電性炭素としては、例えばベー
サル・プレーン・ピロリテイツク・グラフアイト(basa
l plane pyrolytic graphite;以下、BPGという)、グラ
ツシーカーボン等が挙げられる。
又、この酸素電極に使用される好適なポルフイリン化
合物としては、メソ位にヒドロキシ芳香族誘導体を置換
したポルフイリン化合物及びメソ位にアミノ芳香族誘導
体を置換したポルフイリン化合物が挙げられる。
又、この酸素電極に使用される好適なポルフイリン化
合物の金属錯体としては、メソ位にヒドロキシ芳香族誘
導体を置換したポルフイリンの金属錯体及びメソ位にア
ミノ芳香族誘導体を置換したポルフイリンの金属錯体が
挙げられる。
また、メソ位にヒドロキシ芳香族誘導体あるいはアミ
ノ芳香族誘導体を置換したポルフイリン化合物として
は、次式 (式中、Arは芳香族、R1は電解酸化重合時の置換基、R2
は電解酸化重合時に反応しない置換基、原則としてnは
1ないしArの有効原子価、mは0ないしArの有効原子価
−1を示す。) で表わされるテトラ,トリ,ジもしくはモノ(ヒドロキ
シフエニル)ポルフイリンや、テトラ,トリ,ジもしく
はモノ(アミノフエニル)ポルフイリン等が挙げられ
る。ヒドロキシル基,アミノ基の置換位置は、オルト
位,パラ位が好ましく、更に他の位置にヒドロキシル
基,アミノ基あるいは他の置換基を置換してもよい。
メソ位にヒドロキシ芳香族誘導体あるいはアミノ芳香
族誘導体を置換したポルフイリンの金属錯体としては次
式、 (式中、Arは芳香族、R1は電解酸化重合時の置換基、R2
は電解酸化重合時に反応しない置換基、Mは錯形成する
金属、原則としてnは1ないしArの有効原子価、mは0
ないしArの有効原子価−1を示す。) で表わされるテトラ,トリ,ジもしくはモノ(ヒドロキ
シフエニル)ポルフイリン錯体や、テトラ,トリ,ジも
しくはモノ(アミノフエニル)ポルフイリン錯体が好適
なものとして挙げられる。錯形成する金属としては、チ
タン,バナジウム,クロム,マンガン,鉄,コバルト,
ニツケル,銅,ルテニウム,ロジウム,パラジウム,オ
スミウム,イリジウム,白金,銀,金等の遷移金属、あ
るいは亜鉛、スズ等が挙げられ、中でもコバルト,ニツ
ケル,鉄,銅,マンガン,クロム,白金が特に好まし
い。
メソ位にヒドロキシ芳香族誘導体あるいはアミノ芳香
族誘導体を置換したポルフイリン化合物又はその金属錯
体の電解重合膜を導電性炭素基体表面上に被着するに
は、導電性炭素基体を上記ポルフイリン化合物又はその
金属錯体を少なくとも1つ含み、支持電解質を含有する
電解液に浸漬して電解酸化重合を行えばよい。電解液に
使用する溶媒としては、例えばアセトニトリル,メタノ
ール,ジメチルホルムアミド,ジメチルスルホキシド,
プロピレンカーボネート等が、また支持電解質として
は、過塩素酸塩,硫酸,リン酸,ホウ酸,テトラフルオ
ロリン酸カリウム,4級アンモニウム塩が好適なものとし
て挙げられる。該電解酸化重合膜は、膜厚を100Å〜100
μmとするのが好ましい。特に0.01〜50μmがよい。
斯くして被着された電解酸化重合膜は、緻密であり被
検液に溶出しにくいものであるため、通常その上に更に
膜を被着することなく使用できる。しかしながら、体液
(血液,尿など)中で測定する場合には、タンパク質の
付着および還元物質の透過を防ぐ理由から更にその上に
再生セルロース膜,アセチルセルロース,ポリスチロー
ル,ポリヒドロキシエチルメタアクリレート等を被着し
て使用するのが特に好ましい。膜厚は、0.5〜50μmと
するのが好ましい。
この電解酸化重合膜は、酸素と接触して酸化されるの
で、この酸素センサを作用極として一定電位を印加すれ
ば、該電解酸化重合膜上での酸素の還元反応に基く電流
が観測される。従つて、予め標準溶液中の酸素濃度と観
測される電流値との相関を求めておけば、被検液での観
測電流値から酸素濃度を知ることができる。
作用極に印加する電位は、被覆膜に用いるポルフイル
ン化合物又はその錯体の種類や、成膜方法によつて異な
る。
この酸素電極は、叙上の如き構成を有するものである
ので、以下に示す利点を有する。
(1)内部液を用いない固体型の膜被覆電極であるた
め、従来の内部液室型電極(クラーク型電極)のような
内部液汚染、その交換といつた煩瑣な操作が不要であ
り、また小型化が可能である。
(2)電極基材が導電性炭素であるため、従来の貴金属
を用いたものと比較し安価である。従つて、デイスポー
ザブル使用に適している。
(3)電解重合法による酸素還元反応種(ポルフイリ
ン)の重合膜を直接電極基体(導電性炭素)に被覆した
ものであるため、従来の高分子膜中に酸素還元反応種を
担持した膜を被覆した電極と比較して次の特長がある。
膜中の酸素還元反応種の濃度を高くすることがで
き、かつ緻密な膜を形成できるので、薄膜でよく、酸素
に対する応答時間を短縮することができる。
妨害物質の取り込みが少ないので酸素に対する選択
性が優れている。
膜自体が耐溶媒性を有しているので、金属錯体が被
検液中に溶出しないため一般に他の溶出防止膜等の膜を
更に被着する必要がなく、構造が単純である。
乾燥状態で保管することができ、また保管後も直ち
に使用に供することができ、速やかに酸素濃度の測定が
できる。
〈実施例1〉 本実施例では、導電性基体上にポルフイリン誘導体化
合物及びその金属錯体化合物を直接被覆した前述の酸素
電極と、基準電極と、前記酸素電極と基準電極とが含侵
されたイオン導電体としての電解質と、該電解質を被覆
する酸素選択透過膜とを備える酸素センサを説明する。
本実施例に使用される酸素選択透過膜はシリコーン、
ポリプロピレン、ポリエチレン、テフロン(登録商標
名)等の疎水性高分子膜からなるものである。
本実施例に使用される好適なイオン導電体としての電
解質は、ゲル状高分子から成るものが良く、リン酸塩緩
衝液と塩化ナトリウムとを含むポリビニルアルコール水
溶液が特に好適である。
又、本実施例に使用される好適な導電性基体は、導電
性炭素が挙げられる。本実施例に使用される好適なポル
フイリン誘導体は、メソ型−フエニル誘導体が挙げら
れ、好適なポルフイリン錯体としては、Fe,Co,Niが挙げ
られる。
(酸素電極の作製) 下記方法により第1図(b)に示す酸素電極を作製し
た。以下、第1図(b)と共に説明する。
1本の断面が直径6μmの円形を有し(断面積2.826
×10-9cm2)、長さ2.0cmのカーボンフアイバをたばねた
もの1を導電性基体とし、それに導電性接着剤2(サイ
コロンB:厚木研究所株式会社製)でリード線3を接着し
た。そのまわりをエポキシ系接着剤4及び内径1mmのテ
フロンチユーブ5で被覆して絶縁し、カーボンフアイバ
1の断面のみが電極面となるようにした。この電極表面
に、酸素感応部として、メソーテトラ(O−アミノフエ
ニル)コバルトポルフイリン電解重合膜6を以下に示す
電解条件によつて被覆した。
電解液組成: メソーテトラ(O−アミノフエニル)コバルトポルフイ
リン …1 mmol/l 過塩素酸ナトリウム …0.1mol/l 溶液:アセトニトル 電解条件: 上記電解液中で、カーボンフアイバ電極を作用電極、
Ag/AgCl電極を基準電極、白金巻線を対極として、室
温,窒素気流下で+1.8V(vs.Ag/AgCl)で60分間定電位
電解した。
(基準電極の作製) カーボンフアイバ電極のテフロンチユーブ5のまわり
に、電解によつて表面にAgClを析出させた銀線7を巻き
付け、酸素センサにおける基準電極及び対極とした。
(酸素センサの作製) 酸素センサの構成模式図を第1図(a)に示す。カー
ボンフアイバ電極及びAg/AgCl電極を、電解液として10
%ポリビニルアルコール水溶液8(50mmol/lのpH7.38リ
ン酸塩緩衝液,0.154mol/lのNaClを含む)で満たしたシ
リコーンチユーブ9(内径2mm,厚さ0.5mm,電極表面の厚
さ0.1mm)で被覆し、まわりをサーモプラグ10,ウレタン
系接着剤19で固定絶縁し、酸素センサ20を完成した。
尚、導電性基体としては、導電性炭素が好適であり、
ベーサル・プレーン・ピロリテイツクグラフアイト,グ
ラツシーカーボン等があげられ、この中でもとくにグラ
フアイト結晶構造をもつものが好ましい。
〈実験例1〉 実施例で作製した酸素電極及び基準電極による酸素分
圧の測定回路の例を第2図に示す。ここで、21は電解セ
ル、22は被検液、20は電極、24はガス注入チユーブ、25
は0.6V直流電源、16は直流電流計である。
この測定回路を使用してカーボンフアイバの本数(電
極面積)を変化させたときの電流密度を測定した。被検
液として0.154MNaClを含む50mMリン酸塩緩衝液を用い、
この溶液をガス注入チユーブにより既知の混合比(例え
ば、37℃でO2濃度18%,約140mmHg相当)で飽和させ、
その時流れる電流値を直流電流計で測定した。その結果
を表1に示す。ここで、面積比1はカーボンフアイバ50
0本、2は1000本、4は2000本、6は3000本、10は5000
本、20は10000本であることを示す。
尚、本実施例ではカーボンフアイバの断面積を変化さ
せているが、これは被検液と接触する酸素感応部の表面
積を変化させるためであつて、本実施例の構成の酸素セ
ンサではカーボンフアイバの断面積と酸素感応部の表面
積とがほぼ対応している。これはポルフイリン化合物の
膜厚が100Å〜100μmという薄さのためである。酸素セ
ンサの構成が変つても酸素感応部の表面積とドリフト電
流密度の安定度とが対応しているのは明らかである。
表1から、カーボンフアイバの断面積が1.413×10-4c
m2から2.826×10-3cm2範囲内で、3.30×10-5A/cm2から
5.1×10-4A/cm2の電流密度が得られた。
次に、第3図に示す人口肺を使用した対外循環回路系
で、酸素濃度140mmHg一定,37℃±0.05℃に調節しながら
流量と電流密度との関係を測定した。ここで、170は人
口肺、171は恒温槽、172は熱交換器、173はローラポン
プ、174はリザーバ、175は酸素センサ20をセットするフ
ロースルーセル、176はポーラログラフイツク(POLAROG
RAPHIC)電流計、177は酸素濃度測定装置、178は演算処
理装置であり、ポーラログラフイツク電流計176と酸素
濃度測定装置177は光フアイバ179で結ばれている。
この実験結果は第4図に示すように、流量変化と共に
多少電流密度は増加するものの、流量250ml/分と1200ml
/分との比較では、その差異は0.1×10-4A/cm2の微小電
流変化である。流量1000ml/分一定の条件下での電極面
積と電流密度との関係は、表1の断面積1.413×10-4cm2
を1とした時、次の表2のようにもとめられる。
この結果、電極面積すなわち酸素感応部の表面積の大
きさ6倍程度では電流密度はほとんど変化がないことが
明らかとなつた。
〈実験例2〉 第2図に示した酸素分圧濃度測定回路を使用し、攪拌
子を用いて攪拌速度300rpmで攪拌しながら、本酸素セン
サの電流密度の安定度(ドリフト)を30分間に亙り連続
測定した結果を第5図に示す。
この結果、電極面積すなわち酸素感応部の表面積が5.
65×10-4cm2以下である時、ドリフトはほとんど無い。
しかし、8.478×10-4cm2以上の場合にドリフトが見られ
る。この傾向は電極面積が増加するにつれて増す傾向が
あることが確認出来た。したがつて、電極面積すなわち
酸素感応部の表面積が5.65×10-4cm2〜8.478×10-4cm2
(1本の直径が6μmのカーボンフアイバの2000本〜30
00本に相当)の間で、ドリフトが生起することが明らか
となつた。
〈実験例3〉 本実施例のカーボンフアイバ電極の電極感応部面積す
なわち酸素感応部の表面積を、1.413×10-3cm2〜1.413
×10-4cm2で変化させた場合の酸素分圧濃度と電流密度
の関係を、第2図に示す測定回路系でO2ガスとN2ガスの
比率を変えながら(Po2分圧を40mmHg,85mmHg,128mmHgと
変えて)、電流密度を測定した。その結果が表3であ
る。
酸素ガス分圧濃度対電流密度との関係をプロツトする
と第6図のようになる。Po2対密度の関係は良い直線関
係を示す。特に、電極感応部(電極面積)が2.826×10
-3cm2では1.43×10-3cm2に比べ電流密度は3倍〜5倍程
度上昇し、電流密度の大きさが10-5から10-4オーダにア
ツプする。
以上説明したように、カーボンフアイバ電極の表面積
(すなわち、酸素感応部の表面積)が5.65×10-4cm2
8.478×10-4cm2の間で、ドリフトが生起することが明ら
かとなり、フロー系又は体外循環系での酸素測定におい
て、ドリフトが小さく広範囲の酸素濃度で精度よく測定
できる酸素センサが提供できるようになつた。
尚、本実施例では基準電極と一体化した酸素センサに
ついて説明したが、本実施例の作用効果は酸素電極の構
成によるものであり、本実施例に限定されない。更に、
実施例の項の最初に説明した他の導電性基体とポルフイ
リン化合物との酸素電極においても、その酸素感応部の
表面積によりドリフトが規制されることは明らかであ
り、本発明の技術思想を基にその最大値を定めればよ
い。
〈実施例2〉 本実施例の酸素センサは、炭素繊維材料を含む炭素材
料の棒状断面を10-6cm2以下に、さらに、酸素ガス応答
還元膜を直接被覆した微小の酸素センサである。本実施
例では、感応部断面積が1×10-6cm2以下(炭素繊維1
本の径を6μmとして3〜4本の間に相当)、好ましく
は2.83×10-7cm2(炭素繊維1本相当)である。
(カーボンフアイバ電極の作製法) 外径3mm、長さ5cmのガラス管を微小電極作製装置を用
いて延伸し、第7図(a)に示す形状のキヤピラリ71を
2本作製した。該キヤピラリ71の内の1本の毛細管部分
(延伸部)にカービンフアイバ72(ベスフアイト:東邦
レーヨン社製)を挿入し、毛細管とのすき間に絶縁性接
着剤としてエレクトロンワツクス73(宗電子工業社製)
を充填して絶縁した。他端から導電性接着剤として水銀
74を注入し、さらにリード線75を挿入して導通を取り、
水銀74が漏れないように絶縁性接着剤76で端を封じ固定
した。さらに、毛細管先端部を研磨(0.5μm研磨紙PR1
−24:3M社製)してカーボンフアイバ電極70を完成し
た。当該カーボンフアイバ電極70の模式図を第7図
(b)に示す。
(微小酸素センサの作製) 以下に示す方法で、上記のカーボンフアイバ電極70の
カーボンフアイバ72の表面をメソーテトラ(o−アミノ
フエニル)コバルトポルフイリン(Co−TAPPと略す)の
電解重合膜77で被覆した。
電解重合膜77は、該カーボンフアイバ電極70を作用
極、市販のAg/AgCl電極を参照極、白金巻線を対極とす
る3電極セルを用い、次の組成の電解液中で+1.8V(v
s.Ag/AgCl)の定電位で60秒間電解して被着を完成し
た。
電解液組成 1mM Co−TAPP 0.1M NaClO4 溶媒 アセトニトリル この時の定電位電解の電流変化は第8図で示され、一
定電流に収束する時間は凡そ60秒、比較としてカービン
繊維2本(断面積5.652×10-7cm2)では40秒、5本(断
面積1.413×10-6cm2)では20秒で電流値が一定となり、
この順に薄膜が形成され、膜制御時間も短くなる。
このように製造された酸素センサの模式図を第7図
(c)に示す。
〈実験例4〉 実施例2の第7図(b)に示す微小カーボンフアイバ
電極を作用極、基準極に飽和塩化ナトリウムカロメル電
極、対極に白金網を使用した電極セルを用い、 次の電解液中で 20mM Fe(CN)6 3- 0.1M NaClO4 酸素電極表面上のFe(CN)6 3-とFe(CN)6 4-の酸化還元反
応のサイクリツクボルタングラムの測定をおこなつた。
結果を第9図(a)に示す。同時に、カーボンフアイ
バの断面積が1.413×10-6cm2(5本束),2.826×10-5cm
2(100本束)の時のサイクリツクボルタングラムを比較
例として第9図(b),(c)に示す。
この結果、酸素還元電流値は第9図(a)ではほぼ一
定になるが、カーボンフアイバの断面積が1.413×10-6c
m2(カーボンフアイバ5束以上)では、電位値変化と共
に酸素還元電流値が変化することが確認された。
したがつて、一定電流値を得ようとする場合には、カ
ーボン電極の面積は凡そ10-6cm2以下、好ましくは2.83
×10-7cm2(カーボンフアイバ1本相当)が好適であ
る。
〈実験例5〉 実施例2で作成した酸素センサを使用して、電極感応
部面積を2.826×10-7cm2〜2.826×10-5cm2と変化させた
場合の、電流密度(A/cm2)と酸素分圧(mmHg)の関係
は、表4及びこの関係をプロツトした第10図に示され
る。尚、不活性ガスのN2ガス使用して、酸素分圧を20,6
0,85,128mmHgと変えて測定した。この電流密度とpO2
圧の関係より残余電流を求めると表4の残余電流の欄の
ようになる。
この結果、電極感応部の面積が8.478×10-6cm2(5
束)以下である場合、残余電流は1.484×10-4A/cm2〜1.
770×10-4A/cm2の間に収束する。
〈実験例6〉 実験例5と同様に実施例2の酸素センサを使用して、
電解質溶液(リン酸緩衝溶液pH7.4)で、温度を37℃±
0、05℃に調節した酸素濃度140mmHg一定条件下で、流
動の影響による電極上のドリフト(電流密度のバラツ
キ)を検討した。被検溶液を攪拌する攪拌子の攪拌速度
を変化させて、流量を250ml/分並びに1200ml/分に変化
させた場合の結果を第11図に示す。
電極面積が2.826×10-7cm2,2.826×10-6cm2,8.478×1
0-6cm2,2.826×10-5cm2と大きくなるに従つて、ドリフ
トが大きくなる傾向を示す。したがつて、電極面積が2.
826×10-7cm2(カーボンフアイバ1本)〜2.826×10-6c
m2(カボンフアイバ10本)の間、好ましくは、2.826×1
0-7cm2(カーボンフアイバ1本)がドリフトが小さく本
目的には良いと思われる。
このように、本実施例の酸素センサは、 (i)炭素電極のFe(CN)6 3-/4-の電気化学的挙動(酸化
還元反応応答)は該電極感応部断面積10-6cm2以下、好
ましくは2.83×10-7cm2である時、酸化還元波がピーク
波形とならずS字形となり限界電流値が電位掃引速度に
よらずほぼ一定である。
(ii)そして、この炭素電極ベース上に酸素ガス応答還
元膜を直接被覆した膜被覆酸素電極を使用した結果、ド
リフトはほとんど見られない。
(iii)酸素分圧対電流密度から算出される残余電流値
は炭素電極ベース面積が小さくなるに従つて大きくなる
が、断面積×10-5cm2以下では残余電流1×10-4(A/c
m2)のオーダーで一定である。
(iv)炭素電極上に酸素ガス応答還元膜を被覆する時の
膜被覆電解条件、例として電解反応時間制御が、電極感
応部断面積10-6cm2以上の場合は、10秒以内と著しく短
時間の制御に限定されるが、10-6cm2以下であれば60秒
以上の長時間(1分以上)にわたつて電解膜被覆制御が
可能である。
[発明の効果] 本発明により、フロー系や対外循環系での使用に際し
て、液流動の影響やドリフトが小さく、広範囲の酸素濃
度に対して測定可能な酸素センサを提供できる。
又、表面が均一で膜被覆が制御し易く、ドリフトの少
ない微小の酸素センサを提供できる。
更に詳細には、 (i)炭素電極のFe(CN)6 3-/4-の電気化学的挙動(酸化
還元反応応答)は該電極感応部断面積10-6cm2以下、好
ましくは2.83×10-7cm2である時、酸化還元波がピーク
波形とならずS字形となり限界電流値が電位掃引速度に
よらずほぼ一定である。
(ii)そして、この炭素電極ベース上に酸素ガス応答還
元膜を直接被覆した膜被覆酸素電極を使用した結果、ド
リフトはほとんど見られない。
(iii)酸素分圧対電流密度から算出される残余電流値
は炭素電柱ベース面積が小さくなるに従つて大きくなる
が、断面積×10-5cm2以下では残余電流1×10-4(A/c
m2)のオーダーで一定である。
(iv)炭素電極上に酸素ガス応答還元膜を被覆する時の
膜被覆電解条件、例として電解反応時間制御が、電極感
応部断面積10-6cm2以上の場合は、10秒以内と著しく短
時間の制御に限定されるが、10-6cm2以下であれば60秒
以上の長時間(1分以上)にわたつて電解膜被覆制御が
可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)は本実施例で作製した酸素センサの構成模
式図、 第1図(b)は本実施例の酸素電極を示す拡大断面図、 第2図は本実施例で作製した酸素センサの測定回路を示
す図、 第3図は人口肺装置の循環系の酸素測定システム図、 第4図は流量に対する電流密度を示す図、 第5図は経過時間に対する電流密度を示す図、 第6図は酸素分圧に対する電流密度を示す図で第7図
(a)は本実施例のガラスキヤピラリを示す図、 第7図(b)は本実施例のカーボンフアイバ電極の構造
を示す図、 第7図(c)は本実施例の酸素センサの構造を示す図、 第8図は電解重合膜作成中の定電位電解の電流変化を示
す図、 第9図(a)〜(c)は本実施例の微小カーボンフアイ
バ電極の酸化還元反応のサイクリツクボルタモグラムを
示す図、 第10図は本実施例の酸素センサの、電極感応部面積を変
化させた場合の、電流密度と酸素分圧との関係をプロツ
トした図、 第11図は本実施例の酸素センサの、流動の影響による電
極上のドリフトを示す図である。 図中、1…BPG、2…導電性接着剤、3…リード線、4
…エポキシ系接着剤4、5…テフロンチユーブ、6…メ
ソーテトラ(O−アミノフエニル)コバルトポルフイリ
ン電解重合膜、7…銀線、8…ポリビニルアルコール水
溶液、9…シリコーンチユーブ、10…サーモプラグ、19
…ウレタン系接着剤、20…酸素センサ、70…カーボンフ
アイバ電極、71…ガラスキヤピラリ、72…カーボンフア
イバ、73…絶縁性接着剤、74…導電性接着剤、75…リー
ド線、76…絶縁性接着剤、77…電解重合膜である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 331 Y (56)参考文献 特開 昭60−52759(JP,A) 特開 昭57−46154(JP,A) 特公 平4−31545(JP,B2)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性基体と、 該導電性基体を被覆するポルフイリン誘導体化合物及び
    /またはその金属錯体化合物からなる酸素感応部を備え
    る酸素センサであつて、 前記酸素感応部の表面積が8.5×10-4cm2以下であること
    を特徴とする酸素センサ。
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