JPH08119928A - 新規なアルギニン誘導体およびこれを用いるペプチドの製造方法 - Google Patents

新規なアルギニン誘導体およびこれを用いるペプチドの製造方法

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JPH08119928A
JPH08119928A JP24553395A JP24553395A JPH08119928A JP H08119928 A JPH08119928 A JP H08119928A JP 24553395 A JP24553395 A JP 24553395A JP 24553395 A JP24553395 A JP 24553395A JP H08119928 A JPH08119928 A JP H08119928A
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】Fmoc−アミノ−NW −5−(置換また
は非置換−ジベンゾスベリル)アルギニン、並びにアル
ギニンを含むペプチドの製造方法において、該アルギニ
ン誘導体を使用することを特徴とするアルギニン含有ペ
プチドの製造方法。 【効果】本発明の新規アルギニン誘導体は、アルギニン
含有ペプチド製造のための優れた原料化合物を提供す
る。また、本発明の新規アルギニン誘導体を使用するこ
とにより、アルギニン含有ペプチドおよびアルギニンと
トリプトファンを含有するペプチドを高収率かつ高純度
で製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なアルギニン
誘導体およびこれを用いるアルギニン含有ペプチドの新
規な製造方法に関する。さらに詳しくは、アルギニン残
基を含むペプチドの製造において有用な、アルギニンの
側鎖グアニジノ基を置換または非置換のジベンゾスベリ
ル基で保護したアルギニン誘導体およびこれを使用する
ことを特徴とするアルギニン残基を含むペプチドの製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ペプチドの化学的製造においては、アミ
ノ酸残基の不安定な官能基を保護してカップリング反応
を行わせ、全てのアミノ酸の導入が終了した後に、保護
基を除去しなければならない。かかる目的に適した保護
基が多くの官能基について開発されてきている。例え
ば、Nαアミノ基の保護基としてフルオレニルメチルオ
キシカルボニル(Fmoc)基を用い、その除去に温和
なピペリジンを用いるFmocストラテジーの場合、各
アミノ酸側鎖の官能基の保護には、トリフルオロ酢酸
(TFA)による除去の可能なトリフェニルメチル基
(Trt基)、ターシャリブチル基(tBu)またはタ
ーシャリブチルオキシカルボニル(BOC)基等が用い
られている。
【0003】しかし、アルギニン残基の側鎖グアニジノ
基の保護基としては、充分満足すべきものはいまだ開発
されていないのが現状である。アルギニンの側鎖グアニ
ジノ基は、求核性が強く極めてアシル化を受け易い。従
って、ペプチド製造においては、アルギニン側鎖のグア
ニジノ基の保護は不可欠である。しかしながら、アルギ
ニンの側鎖グアニジノ基の保護基としては、他の官能基
の場合のようにTFAにより容易に除去できるものはな
かった。
【0004】例えば、4−メトキシ−2,3,6−トリ
メチルベンゼンスルホニル(Mtr)基(M.Fujino et
al.,Chem.Pharm.Bull.,29 ,2825(1981))による保護は、
酸に耐性であるため、除去されにくい。また、トリプト
ファン含有ペプチドの製造時には、副生成物を生じ、収
率が低下する (P.Siber,Tetrahedron Lett.,28,1637(19
87))。また、近年開発された、2,3,4,5,6−ペ
ンタメチルベンゼンスルホニル(Pmc)基(R.Ramage
et al.,Tetrahedron Lett.,28, 2287(1987))による保
護であっても、アルギニンの側鎖グアニジノ基を保護し
た場合は、酸に耐性があり、80%以上の濃度のTFA
を使用して2〜4時間、さらに複数のアルギニン残基を
含むペプチドでは6〜8時間の処理が必要となる。そこ
で、アルギニン含有ペプチドの製造ではアルギニンの側
鎖の脱保護が律速となり、長時間のTFA処理を行った
り、トリメチルシリルブロマイドのような危険な副反応
の多い特殊な試薬を用いているのが現状である。従っ
て、アルギニンの側鎖グアニジノ基の保護基であって、
酸によって容易に切断されるものの開発が望まれてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、アルギニンの側鎖グアニジノ基の保護基であって、
他の側鎖保護基と少なくとも同程度の酸で除去される不
安定なものであって、しかも脱保護の際に生ずるカチオ
ンが安定であって、さらに併用するスカベンジャーによ
って除去され易く、トリプトファン残基等を攻撃しない
ものを開発し、かかる保護基で側鎖グアニジノ基を保護
したアルギニン誘導体を提供することである。本発明の
他の目的は、かかる誘導体を使用する効率的なアルギニ
ン含有ペプチドの製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の状
況に鑑み、アルギニンの側鎖グアニジノ基の保護基を鋭
意検討したところ、ジベンゾスベリル基がアルギニンの
側鎖グアニジノ基の保護基として優れているのみでな
く、この保護基が適度に酸に不安定であり、しかも酸に
よる保護基の切断に際して生ずるカチオンが比較的安定
であるため、トリプトファン残基をも含むペプチドの製
造にも有利に使用できることを発見した。さらに、本発
明者らは、ジベンゾスベリル基で保護されたアルギニン
誘導体を塩酸塩型にすると、グアニジノ基の親電子攻撃
を受け易いローンペアエレクトロンがプロトン化される
ため安定となり、一層有利にペプチド製造に使用するこ
とができることを見いだした。
【0007】しかしながら、側鎖グアニジノ基が酸によ
って容易に切断される保護基は、従来用いられてきたア
リルベンゼンスルホン酸誘導体保護基の場合に比べグア
ニジノ基の求核性が増大することとなり、その結果アル
ギニンをペプチドと結合させる場合に、生成するアルギ
ニンの活性エステル中間体が分子内閉環し、即ちグアニ
ジノ基の窒素とカルボキシル基のカルボニル炭素との間
でラクタム結合が形成され、ペプチドと反応できなくな
る可能性がある(Organic Preparations and Procedure
s Int. 2(5), 427-463 (1988))。そこで、ジベンゾスベ
リル基を保護基に持つアルギニン誘導体をさらに鋭意検
討し、ペプチド結合に関与するアミノ基(ペプチドの遊
離アミノ基)の存在下にアルギニンを活性エステル形成
試薬と反応させることにより、分子内ラクタム形成とい
う副反応を抑え、目的とするペプチドが高純度で生成す
ることを見出した。本発明は、かかる発見に基づき、さ
らに研究を進めて完成するに至ったものである。
【0008】即ち、本発明の要旨は、(1) 一般式
(1)で表されるアルギニン誘導体、
【0009】
【化2】
【0010】(式中、R1 〜R8 は、おのおの別個に水
素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4の
アルコキシ基を表し、R9 又はR10は、ともに水素原
子、一方が水素原子で他方がフルオレニルメチルオキシ
カルボニル(Fmoc)基、一方が水素原子で他方が炭
素数1〜4のアルキル基、又は一方がFmoc基で他方
が炭素数1〜4のアルキル基を表す。) (2) R1 〜R8 のうち、4〜7個が水素原子である
前記(1)記載のアルギニン誘導体、(3) R1 〜R
8 がすべて水素原子である前記(1)記載のアルギニン
誘導体、(4) R1 〜R8 のうち、1個がメトキシ基
で残りが水素原子である前記(1)記載のアルギニン誘
導体、(5) R3 がメトキシ基で残りが水素原子であ
る前記(1)記載のアルギニン誘導体、(6) 前記
(1)〜(5)いずれかに記載のアルギニン誘導体の塩
酸塩、(7) アルギニンを含むペプチドの製造方法に
おいて、前記(1)〜(5)いずれかに記載のアルギニ
ン誘導体または前記(6)に記載のアルギニン誘導体の
塩酸塩を使用することを特徴とするアルギニン含有ペプ
チドの製造方法、に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明の新規なアルギニン誘導体は、一般式
(1)で表される。
【0012】
【化3】
【0013】(式中、R1 〜R8 は、おのおの別個に水
素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4の
アルコキシ基を表し、R9 又はR10は、ともに水素原
子、一方が水素原子で他方がフルオレニルメチルオキシ
カルボニル(Fmoc)基、一方が水素原子で他方が炭
素数1〜4のアルキル基、又は一方がFmoc基で他方
が炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
【0014】この化合物は、アルギニンの側鎖グアニジ
ノ基を置換または非置換のジベンゾスベリル基で保護し
て得られる新規なアルギニン誘導体であり、そのαアミ
ノ基はフリーでもFmoc基で保護されたものでもよ
い。式中、R1 〜R8 は、ジベンゾスベリル基の置換基
を表し、非置換の場合は水素原子を、置換されている場
合は、おのおの別個に炭素数1〜4のアルキル基又は炭
素数1〜4のアルコキシ基を表す。炭素数1〜4のアル
キル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イ
ソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert
−ブチル基を挙げることができる。炭素数1〜4のアル
コキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキ
シ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキ
シ基、tert−ブトキシ基を挙げることができる。中
でもメトキシ基が好ましい。上記の中でも、R1 〜R8
が全て水素原子の場合、R1 〜R8 の1個がメトキシ基
で残りが全て水素原子の場合、特にR3 がメトキシ基で
残りが全て水素原子の場合が本発明に特に有利に使用さ
れる。
【0015】一般式(1)中、R9 またはR10はいずれ
も水素原子であるか、一方が水素原子で他方がFmoc
基、一方が水素原子で他方が炭素数1〜4のアルキル
基、または一方がFmoc基で他方が炭素数1〜4のア
ルキル基を表す。ここに、炭素数1〜4のアルキル基と
しては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピ
ル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル
基を挙げることができる。
【0016】Fmoc基は、ペプチド合成においてαア
ミノ基の保護基として汎用されている極めて温和な条件
下で除去可能な保護基である。本発明のアルギニン誘導
体は、アルギニンの側鎖グアニジノ基を置換または非置
換のジベンゾスベリル基で保護することに特徴があり、
ペプチド合成反応に使用するに際して必要なαアミノ基
の保護基としてはFmoc基が好適ではあるが、これに
限定されるものではない。Fmoc基と同様にその除去
にTFAのような酸を必要とせずピペリジンその他の塩
基で除去可能な保護基であれば、すべてFmoc基に代
えて本発明に使用することができる。より一般的にいえ
ば、アルギニンの側鎖グアニジノ基を保護している置換
または非置換のジベンゾスベリル基が脱離しない条件下
で除去できるαアミノ基の保護基であればすべて一般式
(1)におけるFmoc基に代えて、本発明に使用する
ことができる。
【0017】一般式(1)で表される本発明のアルギニ
ン誘導体は、塩酸塩型としてペプチド合成に使用するの
が好ましい。これはグアニジノ基の強い塩基性をプロト
ン化により保護し、親電子攻撃から守るためである。本
発明のアルギニン誘導体塩酸塩をペプチド合成に使用す
る場合は、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOB
t)を2〜5倍当量併用するのが好ましい。
【0018】一般式(1)で表される本発明のアルギニ
ン誘導体は、以下のようにして製造することができる。
例えば、一般式(1)においてR9 又はR10の一方が水
素原子で他方がFmoc基の場合は、ジメチルホルムア
ミド(DMF)中、ジイソプロピルジエチルアミンを塩
基触媒として、Fmoc−アルギニン(2)と置換また
は非置換のジベンゾスベリルクロライドとを室温で反応
させ、グアニジノ基とカルボキシル基とに置換または非
置換のジベンゾスベリル基が導入された化合物(3)を
得る。次いで、極めて弱い酸性条件下でカルボン酸エス
テルのみを加水分解して、目的の一般式(4)で表され
る本発明のアルギニン誘導体、Fmoc−Arg(Su
b')−OHを得ることができる。以上の反応を以下の化
学反応式に示す。
【0019】
【化4】
【0020】反応液から生成物を単離するには、常法に
よる。即ち、反応溶媒を留去し、残留物をクロロホルム
−メタノールを溶出液とするシリカゲルカラムクロマト
グラフィー等で精製することにより目的物が得られる。
【0021】また、本発明のアルギニン誘導体の塩酸塩
は、上記のようにして得られたアルギニン誘導体を0.
01N HCl−アセトニトリル(約1:1)の混合液
に溶解しまたは懸濁して凍結乾燥することにより容易に
製造することができる。
【0022】ここに、Fmoc−アルギニンは、市販の
もの(例えば、スイス Senn Chemicals AG社製)をその
まま用いることができる。また、非置換又は置換のジベ
ンゾスベリルクロライドは、市販のジベンゾスベリルア
ルコール(Aldrich 社製)をチオニルクロライドと反応
させることにより製造することができる。例えば、3−
メトキシ−5−ジベンゾスベリルクロライドは、3−メ
トキシ−5−ジベンゾスベレノン(J. Org. Chem. 59,
7969 (1994))をNaBH4 で還元してアルコールとな
し、ついでチオニルクロライドと反応させることにより
容易に製造することができる。
【0023】また、一般式(1)で表されるアルギニン
誘導体のうちで、Nα−位がフリ−のものは、上記のよ
うにして得られた一般式(4)で表されるFmoc−A
rg(Sub')−OHを常法によりピペリジンで処理す
ることにより得ることができる。
【0024】一般式(1)で表される本発明のアルギニ
ン誘導体の酸安定性は高速液体クロマトグラフィー(H
PLC)で調べることができる。本発明のアルギニン誘
導体であるFmoc−Arg(Sub)OHは、25%
トリフルオロ酢酸(TFA)−ジクロロメタン溶液中で
約30分間で、Fmoc−Arg(Sub−OMe)O
Hは5%TFA−ジクロロメタン溶液中で約30分間
で、ほぼ100%の保護基の切断が起こるのが認められ
る。従って、一般式(1)で表される本発明のアルギニ
ン誘導体またはその塩酸塩は、従来用いられている保護
基で保護されたアルギニン誘導体と比較して、より温和
な酸条件下で脱保護が可能であり、アルギニン含有ペプ
チド製造においても温和な酸条件下でクリーベイジを行
って、目的の生成物を得ることができる。このことか
ら、酸に不安定なトリプトファン含有ペプチドの製造に
も有用であることが分かる。本発明のアルギニン誘導体
を使用すると、アルギニン残基を含むペプチドを高効率
に製造することができる。
【0025】本発明のアルギニン誘導体またはその塩酸
塩型を使用するアルギニン含有ペプチドの製造は、常法
により行うことができる。固相法、液相法のいずれにも
使用することができる。固相法でアルギニン含有ペプチ
ドの製造を行うには、、島津製作所製のペプチド自動合
成機モデルPSSM−8を使用するのが便宜であるが、
マニュアル操作で行うこともできる。以下にPSSM−
8自動合成機を用いるアルギニン含有ペプチドの製造お
よびマニュアル操作によるアルギニン含有ペプチドの製
造を例示する。
【0026】アミノ酸のNα−アミノ基の保護は、Fm
oc基で行うのが効率的である。この場合の側鎖官能基
の保護は、例えば、グルタミン酸残基やアスパラギン酸
残基のカルボキシル基の保護の場合はtert−ブチル
エステル(OtBU)として、グルタミン残基やアスパ
ラギン残基の酸アミド基の保護の場合はトリフェニルメ
チル(Trt)基で、セリン残基、トレオニン残基やチ
ロジン残基の水酸基の保護の場合はtert−ブチル
(tBu)基で、ヒスチジン残基のイミタゾリル基の保
護の場合はトリフェニルメチル(Trt)基で、Lys
残基の側鎖アミノ基やTrp残基のインドール基の保護
の場合はtert−ブチルオキシカルボニル(Boc)
基で、そしてアルギニン残基のグアニジノ基の保護の場
合は本発明の置換又は非置換のジベンゾスベリル(Su
b')基で行う。これらのアミノ酸誘導体は、アルギニン
誘導体を除きすべて市販されている(例えば、SynP
roPep試薬)。なお、アルギニン残基以外のアミノ
酸残基の保護は上記以外の保護基を使用することも可能
である。
【0027】ペプチド合成反応は、PSSM−8のプロ
トコール(市販品)に従って行うのが便宜である。固相
として使用する樹脂は、市販品、例えばSynProP
ep社製のTentaGelR S−RAM、Tenta
GelR S−CHA、または目的ペプチドのC末端アミ
ノ酸が既に結合した樹脂、例えばFmoc−Tyr(t
Bu)−Wang(SynProPep社製)を使用す
るのが便宜である。
【0028】PSSM−8自動合成機により、必要なア
ミノ酸をすべて導入するまで合成サイクルを繰り返す。
各工程ごとにDMF洗浄、Fmoc基の除去(DMF中
の30%ピペリジンによる洗浄)、DMF洗浄、アミノ
酸の活性化(ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−
トリス(ピロリジノ)ホスホニウム ヘキサフルオロフ
ォスフェート(PyBop)(SynProPep試
薬)を用いるのが便宜である。)、カップリング、そし
てDMF洗浄を繰り返す。最終アミノ酸の導入が終わっ
た後、DMF洗浄、ピペリジン洗浄によるFmoc基の
除去、DMF洗浄、メタノール洗浄、ターシャリブチル
メチルエーテル洗浄を行い、次いで窒素ガスを吹きこみ
乾燥させる。こうして、N−末端がフリーで側鎖の保護
されたペプチドレジンを得る。
【0029】得られたレジンを充分乾燥した後、クリー
ベイジの工程を行う。この工程は、TFAスカベンジャ
ーカクテルにより、側鎖保護基を除去すると同時にペプ
チド鎖を支持体レジンより切り離す工程である。この工
程は、従来の保護基では強酸の使用や長時間の処理が必
要であったため、副反応等により目的物の収率低下の原
因となり、また処理に熟練を要した困難な工程であっ
た。しかし、本発明の保護基を使用することにより、こ
のクリーベイジ工程は、下記クリーベイジカクテル中に
室温で60分間放置するだけで完了する。なお、クリー
ベイジ時間はペプチドのアミノ酸配列に依存するもの
の、従来最も優れた保護基とされているPmcを用いた
場合でも、複数のアルギニン残基を含むペプチドの場合
は、クリーベイジに4〜8時間を要する。クリーベイジ
カクテル:TFA 75%、エチルメチルスルフィド
5%、水5%、チオアニソール 5%、チオフェノール
5%、およびエタンジオール5%。
【0030】クリーベイジ工程の終了後、カクテルを窒
素圧で遠心分離用チューブに移し、これにドライエーテ
ルを加え、遠心分離により沈澱を得、これを酢酸に溶解
し更にドライエーテルを加えて沈澱させ、窒素通気で乾
燥させた後希塩酸に溶解し、凍結乾燥して粗ペプチドを
得る。
【0031】マニュアル操作でアルギニン含有ペプチド
を製造するには、以下のようなプロセスが便利である
が、これに限定されるものではない。使用するアミノ酸
誘導体、固相として使用する樹脂等は、上記のとおりで
ある。カルボキシル基の活性化法としては、PyBop
およびHOBT(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)
による方法が便宜である。
【0032】具体的な操作の1例は以下のとおりであ
る。反応容器に固相として使用する樹脂例えばTent
aGelR S−CHAを入れ、これに適当な溶媒例えば
DMFを加え、洗浄とともに膨潤させ、ついで20%ピ
ペリジン/DMFを加え振盪を繰り返し、さらにDMF
で繰り返し洗浄する。これにアミノ酸誘導体を加え、P
yBopおよびHOBTをDMFに溶解して添加し、さ
らに塩基触媒として例えばN−メチルモルホリンを加え
充分振盪してカップリング反応を行う。この操作をペプ
チドに結合させるアミノ酸残基の数だけ繰り返す。この
方法ではアミノ酸の活性化時に常に遊離のアミノ基が存
在するため、活性化アミノ酸がFmoc−Arg(Su
b)OH、またはFmoc−Arg(Sub−OMe)
OHであっても、分子内ラクタム形成は起こらず、反応
収率は極めて高い。得られたレジンは五酸化リン上で減
圧乾燥する。クリーベイジは50%TFA、32%メチ
レンクロライド、5%チオアニソール、5%H2 O、3
%エチルメチルスルフィド、3%エタンジチオール、2
%チオフェノールからなる混合カクテルを合成後のレジ
ンに加え室温で1時間放置して行う。クリーベイジ後、
レジンを濾過して除き、濾液にエーテルを加えることに
よりペプチドを沈殿させ、遠心分離する。得られた沈殿
を減圧乾燥し、粗ペプチドを得る。
【0033】得られたペプチドは、必要があれば逆相H
PLCで精製し、逆相HPLCで単一成分であることを
確認した上、液体二次イオン質量分析法、エドマン
分解によるアミノ酸配列分析、アミノ酸組成分析等に
より、目的物であることを確認できる。
【0034】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定さ
れるものではない。
【0035】実施例1(Fmoc−アミノ−NW −5−
ジベンゾスベリルアルギニンの製造) Fmocアルギニン3.0g(7.6mMol)をDM
F(20ml)に溶解し、さらにジベンゾスベリルクロ
ライド(Sub−Cl)5.2g(3当量)を加えた。
攪拌下にジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)
1.32ml(1当量)を滴下し、室温で4時間攪拌し
た。反応液にさらにDIPEAを1.32ml(1当
量)滴下し、攪拌しつつ一夜放置した。溶媒を減圧下に
留去し、残留物をジクロロメタンに溶解し、さらに水を
加えた。水層を飽和炭酸水素ナトリウム水で中和したの
ちジクロロメタン層を分取し、飽和食塩水で洗浄、乾燥
し、溶媒を留去した。残留物にジエチルエーテルを加え
不溶物を濾取し、ジエチルエーテルで洗浄後、乾燥して
中間生成物(エステル体)を得た。
【0036】得られた中間生成物をジオキサン(200
ml)及び水(100ml)に溶解し、pHを約5とな
し4時間攪拌した。中和後、溶媒留去し、残留物をシリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒はCHCl
3 −MeOH(8:1→5:1))で精製して、Fmo
c−アミノ−NW −5−ジベンゾスベリルアルギニン
2.756g(収率:62%)を得た。CHCl3 −M
eOHから再結晶して無色結晶(mp143〜146
℃)を得た。 元素分析値:C36344 4 ・CHCl3 理論値:C=61.06、H=5.28、N=7.91 分析値:C=60.59、H=5.02、N=7.571 H−NMR(DMSO−d6) δ(ppm):1.4〜
1.8(6H、m、アルギニンCβ〜Cγメチレン−
(CH2 3 −)、2.9〜3.3(4H、m、ジベン
ゾスベリルメチレンC10、C11)、3.65〜3.
72(1H、m、アルギニンCαメチン)、4.25
(3H、br.s、Fmocメチレン、メチン)、6.
32(1H、br.s、ジベンゾスベリルメチンCH−
NH)、6.7(1H、br.s、グアニジノNH
=)、7.0〜7.9(16H、m、芳香環H)、8.
30(1H、br.s、アルギニンNαH)、9.8〜
10.8(1H、br.s、アルギニンCOOH)
【0037】実施例2(Fmoc−アミノ−NW −3−
メトキシ−5−ジベンゾスベリルアルギニンの製造) 3−メトキシ−5−ジベンゾスベレノン(5)5.0g
(mMol)をイソプロピルアルコール(50ml)に
溶解し、さらにNaBH4 の0.795g(1当量)を
加え、5.5時間加熱攪拌した。溶媒を減圧下に留去
し、残留物を水と少量の酢酸エチルに溶解し、氷冷下希
塩酸で中和し、酢酸エチルで抽出、飽和食塩水で洗浄、
乾燥し、溶媒を減圧下に留去した。残留物をシリカゲル
カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン
(1:5))により精製し、3−メトキシ−5−ジベン
ゾスベレノ−ル(6)4.272g(収率85%)を得
た。得られたアルコール体をメチレンクロライド(50
ml)に溶媒し、氷冷下SOCl2 を滴下、0℃で20
分、さらに室温で2時間攪拌した。溶媒を減圧下に留去
し、残留物を石油エーテルで洗浄、乾燥し粗3−メトキ
シ−5−ジベンゾスベリルクロライド(7)4.036
gを得た。
【0038】
【化5】
【0039】Fmocアルギニン3.0g(7.6mM
ol)をDMF(20ml)に溶解し、さらに3−メト
キシ−5−ジベンゾスベリルクロライド(Sub(OM
e)−Cl)(7)4.9g(2.5当量)を加えた。
攪拌下にジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)
0.662ml(1当量)を滴下し、室温で4時間攪拌
した。反応液にさらにDIPEA、0.662ml(1
当量)を滴下し、攪拌下に一夜放置した。溶媒を減圧下
に留去し、残留物をジクロロメタンに溶解し、さらに水
を加えた。水層を飽和炭酸水素ナトリウム水で中和した
後、ジクロルメタン層を分取した。ジクロルメタン不溶
性結晶を濾取し、Fmoc−アミノ−NW−3−メトキ
シ−5−ジベンゾスベリルアルギニン3.0gを得た。
濾液は飽和食塩水で洗浄、乾燥し、溶媒を留去した。残
留物にジエチルエーテルを加え、不溶物を濾取し、ジエ
チルエーテルで洗浄後、得られた粗結晶をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(展開溶媒はCHCl3 −Me
OH(8:1→5:1))で精製し、生成物0.97g
を得た。全量3.97gのFmoc−アミノ−NW −5
−ジベンゾスベリルアルギニンを得た(収率:85
%)。CHCl3 −MeOHから再結晶し、無色結晶
(mp150〜152℃)を得た。 元素分析値:C37385 4 理論値:C=71.82、H=6.19、N=9.06 分析値:C=71.64、H=6.16、N=8.761 H−NMR(CD3 OD)δ(ppm):1.4〜1.9
(6H、m、アルギニンCβ〜Cγメチレン−(C
2 3 −)、2.9〜3.4(4H、m、ジベンゾス
ベリルメチレンC10、C11、及び1H、m、アルギ
ニンCαメチン)、3.7(1H、s、メトキシ、OC
3 )、4.0〜4.4(3H、m、Fmocメチレ
ン、メチン)、5.86(1H、s、ジベンゾスベリル
メチン、CH−NH)、6.73(1H、br.s、グ
アニジノNH=)、7.1〜7.8(16H、m、芳香
環H)
【0040】実施例3(5−ジベンゾスベリルアルギニ
ンの製造) 実施例1で得られたFmoc−アミノ−NW −5−ジベ
ンゾスベリルアルギニン1.0gを30%ピペリジンを
含むDMF溶液10ml中に溶解し、室温にて2時間放
置する。溶媒を減圧下に留去し、残留物にジエチルエー
テルを加え、不溶物を濾取し、固形物をジエチルエーテ
ルで洗浄して粗生成物を得た。クロロホルム−メタノー
ルから再結晶して無色の結晶5−ジベンゾスベリルアル
ギニン0.5g(収率:80%)を得た。 元素分析値:C21262 4 理論値:C=68.83、H=7.15、N=15.2
9 分析値:C=68.50、H=7.01、N=14.9
1 H−NMR(DMSO−d6) δ(ppm):1.2〜
1.7(6H、m、アルギニンCβ〜Cγメチレン−
(CH2 3 −)、2.6〜2.8(1H、m、アルギ
ニンCαメチン)、3.0〜3.2(4H、m、ジベン
ゾスベリルメチレンC10、C11)、6.35(1
H、br.s、ジベンゾスベリルメチンCH−NH)、
7.0〜7.25(6H、m、芳香環H)、7.5〜
7.7(2H、m、芳香環H)、および9.8〜10.
7(1H、br.s、アルギニンCOOH)
【0041】実施例4(ArgとTrpを含むデカペプ
チドの製造) Fmoc−Arg(Pmc)−OHを用いるArgおよ
びTrp残基の両方を含有するペプチドの製造において
は、クリーベイジ時に脱離したPmc基によるカチオン
がTrp残基を攻撃して副生成物を生じることは広く認
められている(Tetrahedron Letters Vol.34, No.42, 6
661-6664(1993)、Int. J. Peptide Protein Res. 43, 3
1-38 (1994))。そこで、本発明方法によりArgとTr
pの両残基を含む下記に示すペプチドの製造を行った。 H−His−Pro−Ala−Lys−Asp−Asn
−Arg−Trp−Pro−Tyr−OH
【0042】製造には、一般式(2)で表される本発明
のFmoc−Arg(Sub)−OH(Sub:非置換
のジベンゾスベリル基)を用いた。合成はベンゾトリア
ゾール−1−イル−オキシ−トリス(ピロリジノ)ホス
ホニウム ヘキサフルオロフォスフェート(PyBo
p)(SynProPep試薬)を用いる活性化法でP
SSM−8の市販の通常のプロトコール(表1および表
2)を用いた。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】ペプチド合成反応の各工程で使用したアミ
ノ酸誘導体は、表3に示すとおりである。
【0046】
【表3】
【0047】上記の工程で10アミノ酸残基をすべて導
入し、N末端がフリーのアミノ基、側鎖官能基は保護さ
れた状態のペプチドレジンを得た。レジンを減圧下P2
5上で充分乾燥したのち、クリーベイジの工程を行っ
た。すなわち、TFAスカベンジャーカクテルにより側
鎖保護基を除去すると同時にペプチド鎖を支持体(レジ
ン)より切り離す工程である。
【0048】合成機より得られた約50mgのペプチド
レジンは合成機の反応バイアルに入れたまま乾燥した。
ここにクリーベイジカクテルを0.6ml加え、室温で
60分放置した。カクテルの組成は、TFA75%、エ
チルメチルスルフィド5%、H2 O5%、チオアニソー
ル5%、チオフェノール5%、エタンジチオール5%で
ある。尚、ペプチドレジンにはあらかじめ5mgの2−
メチルインドールを加えておいてからカクテルを加え
た。次いで、島津モデルPSSM−C8の窒素加圧ピス
トルを用いてカクテルを窒素圧で遠心分離チューブに数
10秒で移し、得られたカクテルに無水ジエチルエーテ
ルを加えて遠心し(3000rpm5分)沈殿を得た。
上清を除き、沈殿を再び0.2mlの酢酸に溶解し、無
水ジエチルエーテルを加えて再び沈殿させ、遠心で沈殿
を集め窒素パージ3分で乾燥させたのち0.01NのH
Cl(1ml)に溶解して凍結乾燥し、粗ペプチド21
mgを得た。
【0049】粗ペプチドについて、分析用HPLCで純
度の分析を行った。HPLCはLC10Aシステムを用
い、カラムはSynProPepRPC18(逆相OD
Sシリカゲル5μ120Å)(4.6φ×150mm)
を用いた。溶出液はA=10mM HCl、B=CH3
CNでリニアグラジエントA=95%〜55%、40分
間で行い、210nm(UV)で検出した。流速は1.
0ml/minである。その結果を図1に示す。この図
から明らかなように、粗ペプチドの純度は極めて高いこ
とが分かる。約15分に溶出する主ピークを分取し、分
析検定を行った。質量分析(液体二次イオン質量分析
法)を島津−Kratosモデル Concept2H
により測定した。 理論値:M=1283.4 実験値:(M+1)+ =1283.6 エドマン法によるアミノ酸配列分析により、目的の配列
であることを確認した。
【0050】実施例5(ArgとTrpとを含むヘキサ
ペプチドの製造) Fmoc−Arg(Pmc)−OHを用いて行うArg
およびTrp残基の両方を含有するペプチドの製造にお
いては、上記のようにクリーベイジ時に脱離したPmc
基によるカチオンがTrp残基を攻撃して副生成物を生
じることは広く認められており、さらに生成物であるペ
プチド中のTrp残基とArg残基の間の距離がPmc
カチオンによる攻撃に影響し、Trp残基とArg残基
の間にアミノ酸残基が1個存在する場合には特に副生成
物の生成が顕著であり、目的のペプチドはほとんど得ら
れないことが知られている(Int. J. Peptide Protein
Res. 43, 1994 31-38)。そこで、本発明の方法を用い、
従来法で合成が至難とされたH−Gly−Ala−Gl
y−Trp−Ala−Arg−NH2 の製造を行った。
【0051】製造はPyBOP(ベンゾトリアゾール−
1−イル−オキシ−トリス(ピロリジノ)ホスホニウム
ヘキサフルオロフォスフェート及びHOBT(1−ヒ
ドロキシベンゾトリアゾール)を用いる活性化法でマニ
ュアル操作で行った。使用した固相レジンはテンタゲル
S−CHA(J. Org. Chem. 59 (26), 7969 (1994))、
アミノ酸誘導体は下記の通りである。 分子量 使用量 1)テンタゲルS−CHA(0.26mMol/g) 28.8mg 2)Fmoc−Arg(Sub)−OH 588.68 43.8mg 3)Fmoc−Ala−OH 311.34 25.6mg 4)Fmoc−Trp(Boc)−OH 526.57 43.0mg 5)Fmoc−Gly−OH 297.31 24.5mg
【0052】反応容器にテンタゲルS−CHAレジンを
入れ、これにDMF(0.5ml)を加え、振盪して樹
脂を洗うとともに膨潤させ、次いで20%ピペリジン/
DMF(0.5ml)を加え、4分間振盪した。この操
作を再度繰り返し、さらにDMF(0.5ml)を加
え、5回洗浄した。これにFmoc−Arg(Sub)
−OHを加え、さらにDMF1ml中にPyBOPを
0.5mMol、HOBTを0.5mMol含む溶液の
0.15mlを加えて、5分間振盪した。N−メチルモ
ルホリン(0.012ml)を加え、さらに25分間振
盪し、カップリング反応を行った。DMF(0.5m
l)で洗浄(5回)後、表4に示す反応操作のステップ
1〜ステップ6の操作を繰り返した(5回)。最終工程
は表5に示すように行った。得られたレジンはP2 5
存在下、減圧乾燥した。
【0053】クリーベイジは50%TFA、32%メチ
レンクロライド、5%チオアニソール、5%H2 O、3
%エチルメチルスルフィド、3%エタンジチオール、2
%チオフェノールからなる混合カクテル(0.5ml)
を合成後のレジンに加え、室温で1時間放置して行っ
た。クリーベイジ後、樹脂を濾去、得られた濾液にエー
テルを加えることによりペプチドを沈澱させ遠心分離し
た。
【0054】得られた残留物を減圧乾燥させ粗ペプチド
4.6mgを得た。得られた粗ペプチドについて、HP
LCによる純度分析を行った。HPLCは島津LC−1
0AS、SynProPepRPC18(逆相ODSシ
リカゲル5μ120Å、4.6φ×150mm)カラム
を用いた。溶出液はA:0.01N HCl、B:CH
3 CNでリニアグラジエント、A:100〜60%、4
0分間、流速1ml/mmで行い、210nm(UV)
で検出した。得られた結果を図2に示す。図2から明ら
かなように、得られた粗ペプチドの純度は極めて高く、
副生成物は認められなかった。HPLCにより主ピーク
を分取し、質量分析(LSIMS)を行った。 島津−Kvatos Concept 2H 測定結
果: 理論値:615.69 実験値:616.3 エドマン法によるアミノ酸配列分析により、目的の配列
であることを確認した。
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
【0057】実施例6(Fmoc−Arg(Sub−O
Me)−OHの使用によるH−Gly−Ala−Gly
−Trp−Ala−Arg−NH2 の製造) Fmoc−Arg(Sub−OMe)−OHを用いるH
−Gly−Ala−Gly−Trp−Ala−Arg−
NH2 の製造も行った。製造はPyBOP(ベンゾトリ
アゾール−1−イル−オキシ−トリス(ピロリジノ)ホ
スホニウム ヘキサフルオロフォスフェート及びHOB
T(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)を用いる活性
化法でマニュアル操作で行った。使用した固相レジンは
テンタゲルS−CHA(J. Org. Chem. 59 (26), 7969
(1994))、アミノ酸誘導体は下記の通りである。 分子量 使用量 1)テンタゲルS−CHA(0.26mMol/g) 28.8mg 2)Fmoc−Arg(Sub−OMe)−OH 618.70 46.4mg 3)Fmoc−Ala−OH 311.34 25.6mg 4)Fmoc−Trp(Boc)−OH 526.57 43.0mg 5)Fmoc−Gly−OH 297.31 24.5mg Fmoc−Arg(Sub)−OH43.8mgの代わ
りにFmoc−Arg(Sub−OMe)−OH46.
4mgを用いた他は全く同様な操作を行い、目的とする
ArgとTrpを含むヘキサペプチドを製造することが
できた。HPLCによる結果を図3に示す。図3から明
らかなように、得られた粗ペプチドの純度は極めて高
く、副生成物は認められなかった。
【0058】
【発明の効果】本発明の新規アルギニン誘導体は、アル
ギニン含有ペプチド製造のための優れた原料化合物を提
供する。また、本発明の新規アルギニン誘導体を使用す
ることにより、アルギニン含有ペプチドおよびアルギニ
ンとトリプトファンを含有するペプチドを高収率かつ高
純度で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例4で得られたデカペプチド(粗
ペプチド)の分析HPLCのデータを示す図である。
【図2】図2は、実施例5で得られたヘキサペプチド
(粗ペプチド)の分析HPLCのデータを示す図であ
る。
【図3】図3は、実施例6で得られたヘキサペプチド
(粗ペプチド)の分析HPLCのデータを示す図であ
る。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1)で表されるアルギニン誘導
    体。 【化1】 (式中、R1 〜R8 は、おのおの別個に水素原子、炭素
    数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基
    を表し、R9 又はR10は、ともに水素原子、一方が水素
    原子で他方がフルオレニルメチルオキシカルボニル(F
    moc)基、一方が水素原子で他方が炭素数1〜4のア
    ルキル基、又は一方がFmoc基で他方が炭素数1〜4
    のアルキル基を表す。)
  2. 【請求項2】 R1 〜R8 のうち、4〜7個が水素原子
    である請求項1記載のアルギニン誘導体。
  3. 【請求項3】 R1 〜R8 がすべて水素原子である請求
    項1記載のアルギニン誘導体。
  4. 【請求項4】 R1 〜R8 のうち、1個がメトキシ基で
    残りが水素原子である請求項1記載のアルギニン誘導
    体。
  5. 【請求項5】 R3 がメトキシ基で残りが水素原子であ
    る請求項1記載のアルギニン誘導体。
  6. 【請求項6】 請求項1〜請求項5いずれか1項に記載
    のアルギニン誘導体の塩酸塩。
  7. 【請求項7】 アルギニンを含むペプチドの製造方法に
    おいて、請求項1〜請求項5いずれか1項に記載のアル
    ギニン誘導体または請求項6に記載のアルギニン誘導体
    の塩酸塩を使用することを特徴とするアルギニン含有ペ
    プチドの製造方法。
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