JPH0811987B2 - 給水弁 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はパイロット弁により制御された制御圧力で作
動するダイヤフラム弁体を備えた給水弁に係り、特に水
撃作用を軽減するのに好適な給水弁に関する。

〔従来の技術〕

従来、電磁ソレノイドのプランジャに設けたパイロッ
ト弁で制御される圧力で作動するダイヤフラム弁体を備
えた給水弁は、特光昭50−19774号に記載のように、ダ
イヤフラム弁体は環状弁座に着座する部分と、外周のベ
ローズ部分とパイロット弁によって開閉されダイヤフラ
ム弁体の背圧室と下流側流路を連通するオリフィス部と
を有し、更に、ダイヤフラム弁体の一部に前記中心オリ
フィスより断面積の小さく、かつ背圧室と上流側流路を
連通する抽出孔が設けられている。また、変形，浸食等
によりオリフィスと抽出孔の断面積の変化を防止するた
め、オリフィスと半径方向に離れた抽出孔とを有するダ
イヤフラムの中心部に樹脂製の挿入子が使用され、か
つ、その下流部分には案内用のリブと弁開度縮小時に流
体の流路面積を急縮小する円柱部分を有して、作動中ダ
イヤフラム弁の動きを案内するとともに、全閉直前に流
速を低下させて水撃作用を軽減する構成が提案されてい
る。

〔発明が解決しようとする問題点〕

上記従来技術では、案内用リブと流路内周との間隙が
小さいための変形による影響、あるいは流路面積急縮小
のための円柱部分と流路内周間の間隙内への異物づまり
などの点について配慮されておらず、動作不良を起こし
たり、構造が複雑となる問題点を有していた。

本発明の目的は従来技術のような間隙の小さい部分を
設けず、ダイヤフラム弁体の閉動作時背圧室内の容積増
加分を補充する抽出孔からの補給水に大きな流動抵抗を
与えてダイヤフラム弁体の閉鎖時間を長くすることによ
り、水撃作用を軽減しようとしたものである。

〔問題点を解決するための手段〕

上記目的は、ダイヤフラム弁体によって形成される背
圧室と上流側流路を連通する抽出孔の入口に渦室を設け
て、水を同室の周方向から旋回させるように流入させ、
その中央部に抽出孔を開口させこの開口を背圧室に連通
させることによって達成される。

〔作用〕

すなわち、パイロット弁の開成時、上流側流路内の圧
力水の一部は背圧室と連通する抽出孔の入口に設けた渦
室の周方向から流入し、旋回して中央部に開口した抽出
孔より大きな流動抵抗を受けながら背圧室に入り、ダイ
ヤフラム弁の中心オリフィスより下流側に流出する。

この時、オリフィスの流路断面は抽出孔よりも十分大
きく設定されていて、水の流動抵抗はオリフィスの方が
抽出孔より極端に小さいため、背圧室内の圧力は上流側
流路より低い値を示す。このため、ダイヤフラム弁は上
方に押し上げられて給水弁の開状態を維持する。したが
って、流水はダイヤフラム弁体と弁座との間を通って下
流側流路へ流れる。

一方、パイロット弁を閉の状態にするとオリフィスか
らの流出が停止するため、渦室を設けた抽出孔からの圧
力水は直ちに背圧室内の圧力を高めるから、ダイヤフラ
ム弁体上下の圧力の差によって弁体は下方に押し下げら
れ、閉動作を開始する。このとき、ダイヤフラム弁体の
下降につれて背圧室の容積が拡大するため、流入孔，渦
室及び抽出孔を介して背圧室にその容積の拡大分に応じ
た水が補給されることになるが、流入孔から渦室内に流
入する水の旋回速度が大きいので、この部分の流動抵抗
は極端に大きなものとなる。この場合の抵抗係数は流入
口、渦室のない単なる抽出孔だけのものに比べて十数倍
にも達する。このため、背圧室への補給水の供給が遅れ
て、必然的にダイヤフラム弁体の閉鎖速度は低下し、急
激な弁閉鎖を防止して水撃作用を大幅に軽減することが
出来る。また、抽出孔の大きさも従来形に比較して大き
く設定することが可能であり、ゴミ詰りによる問題点も
解決出来る。

〔実施例〕

以下、本発明の一実施例を図面によって説明する。図
において、１はゴム等の弾性体で作られたダイヤフラム
弁体で、弁座28に着座して水の流れを遮断する。ダイヤ
フラム弁体１は更に、可撓部３と樹脂部５を保持する挾
持部４及び７を有し、その外周端部23を弁カバー22と給
水弁本体24の一部とで挾み込んで固定される。樹脂部５
には背圧室25と上流側流路27を連通する抽出孔13とその
入口部に第４図に詳細を示すような蓋部6,流入孔35によ
って形成される渦室２を有し、更に、中心近くには下方
突部８及び上方突部９を形成し、これら突部にはそれぞ
れ連通孔11,中心オリフィス10を有するとともに、ダイ
ヤフラム弁体１の全開時にその移動量を制限するストッ
パ34を備える。14は電磁ソレノイド18のプランジャ15の
先端に設けたパイロット弁で、電磁ソレノイド18への通
電時にはプランジャ15はばね16に抗して上方に移動し、
中心オリフィス10を開くものである。一方、通電を断っ
た場合には、ばね16によってプランジャ15は下方に移動
した中心オリフィス10を閉鎖する。17はばね16のストッ
パ兼蓋部、19はリード線、20は押さえ金具、21は弁カバ
ー22と押さえ金具20を本体24に固定するねじで、26は給
水弁の上流側流路27と連通した共通の流路である。29は
給水弁の下流側流路であり、図示していない吐出口に通
ずる。30はストレーナでゴミ等に進入を阻止する。31は
水道管等への接続ねじ、32は給水弁をパネル等へ取付け
るためのツバ部で、33はその固定用のねじである。ま
た、12はストレーナ30を保持するスペーサである。

以上のような構成で、ソレノイド18が消勢された状態
では、第１図及び第２図に示すようにプランジャ15はば
ね16により下方に変位しており、パイロット弁14がオリ
フィス10を塞いでいる。背圧室25は、抽出孔13,渦室2,
流入孔35を介して、上流側流路27に連通しているため、
給水弁の上流側の水圧が作用し、ダイヤフラム弁体１を
弁座28に押し付けて、給水弁を閉止状態に保持してい
る。

給水弁を開動作する場合には、リード線を介してソレ
ノイド18を付勢する。するとプランジャ15は、ばね16に
抗して上方に移動し、その先端のパイロット弁14は、オ
リフィス10を開き、背圧室25をオリフィス10を介して下
流側流路29に連通する。

パイロット弁14が開いた状態では、背圧室25は、上流
側流路27,下流側流路29の両方に連通することになる
が、オリフィス10の流動抵抗が、流入孔35,渦室2,抽出
孔13の流動抵抗に比べて小さいために、背圧室25の圧力
は、下流側流路29の圧力に引かれて低下し、ダイヤフラ
ム弁体１に作用する圧力差によって弁体１を弁座28の上
方へ引き離し、給水弁が開かれる。

パイロット弁14がオリフィス10を開いている間は、連
通孔11を介して、弁座28の下流側の流速の大きい部分の
圧力が背圧室25に作用し続けるので、背圧室25の圧力
は、上流側流路27の圧力よりも常に低くなっており、弁
体１が上方へ変位している開弁状態を維持する。

次に、給水弁を閉動作する場合には、ソレノイド18を
消勢し、プランジャ15をばね16により下方に変位させ、
パイロット弁14によりオリフィス10を閉鎖することによ
り行われる。

オリフィス10が閉じられると、背圧室25には、下流側
流路29の圧力が作用しなくなる。このとき、ダイヤフラ
ム弁体１の下側中心部（弁座28の内側）は下流側流路29
の低圧部に面しているため、弁体１の上下面の圧力の差
によってダイヤフラム弁体１は急速に閉動作を開始す
る。しかし、弁体１の閉じ方向の移動速度は、背圧室25
に流入する水の流量に依存しているため、極めてゆっく
りとしたものになる。本実施例では、ダイヤフラム弁体
１の閉移動による背圧室25内の容積拡大分に応じて補給
水が流入孔35より渦室２内に周方向に沿って流入し、同
室内で激しく旋回した上中央部近傍の抽出孔13より流入
することになり、極めて大きな流動抵抗を受ける。この
ため、ダイヤフラム弁体１の閉動作の速度が小さくなっ
て給水弁の閉弁による水撃作用が軽減される。

流入孔35から抽出孔13に至る流体通路の流動抵抗は、
孔35、及び13の流路断面積と、渦室２内での旋回流速に
依存している。流入孔35を第４図に示す如く渦室２の接
線方向に設け、渦室２内で流体が旋回するに十分な容積
をとっておけば、単なるオリフィスに比べて十数倍の流
動抵抗を与えることができる。

換言すれば、流入孔35,抽出孔13の流路断面積を、従
来技術における抽出孔と同じにしておけば、弁体の閉弁
速度を十数分の一に小さくでき、孔35,13の流路断面積
を従来の抽出孔の流路断面積の２〜３倍にしてもなお、
閉弁速度を従来の数分の一にすることができる。

流入孔35,抽出孔13の流路断面積を大きく設定すれ
ば、ゴミ等が詰る確率が小さくなり、給水弁の信頼性が
それだけ向上する。

第６図及び第７図は、他の実施例を示すもので、抽出
孔13の下端に有底筒状の渦室ピース36を嵌着し、抽出孔
13の下方端部に渦室２を構成し、ピース36に流入孔35を
設けたものである。この実施例では、渦室２を少ない部
品で構成できる利点があり、組立ての作業性も良くな
る。

第８図及び第９図の実施例は、抽出孔13の下端に渦室
２内に突出した突起37を設け、この突起37の外周を、流
入孔35から流入する流体の旋回のガイドにしたものであ
り、このようにすれば、渦室２内で旋回流が発生しやす
くなり、流入孔35からの流体の流速が小さい場合であっ
ても安定して旋回流が形成される。

なお、いずれの実施例のものにおいても、流入孔35の
流路断面積形状は丸形以外、例えば角形，だ円にしても
よいものである。

〔発明の効果〕

本発明によれば、背圧室と上流側流路とを連通する抽
出孔の入口に渦室を設けて水を旋回させる簡単な構成
で、ダイヤフラム弁体の確実な閉動作と閉鎖速度の低減
が可能であり、これにより急閉鎖による水撃作用の大幅
な軽減が可能である。また、渦室と抽出孔の組合せによ
る構成は水の抵抗係数が極端に大きくなるため、抽出孔
等の孔径を拡大することも可能であり、ゴミ詰りによる
問題点も解決することが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の全体構成を示す縦断面図、
第２図は第１図の一部を拡大した断面図、第３図はダイ
ヤフラム弁体のＡ方向視図、第４図は本発明の要部を示
す図面で、第５図のＡ−Ａ線に沿う断面図、第５図は渦
室の断面図、第６図は他の実施例を示すもので、ダイヤ
フラム弁体部の断面図、第７図は第６図のＢ−Ｂ線に沿
う断面図、第８図は他の実施例を示すもので、ダイヤフ
ラム弁体を示す断面図、第９図は第８図のＣ−Ｃ線に沿
う断面図である。 １……ダイヤフラム弁体、２……渦室、３……可撓部、
５……樹脂部、10……オリフィス、13……抽出孔、14…
…パイロット弁、15……プランジャ、25……背圧室、2
6,27……上流側流路、28……弁座、29……下流側流路、
35……流入孔。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】上流側流路と下流側流路とを画成し、前記
   両流路間に弁座を有する弁本体と、前記弁座に対向し、
   その外周を前記弁本体に保持されて、背面に前記上流側
   流路及び下流側流路から隔離された背圧室を形成するダ
   イヤフラム弁体と、前記上流側流路と背圧室を連通する
   抽出孔と、前記下流側流路と背圧室とを連通し、パイロ
   ット弁により開閉され、かつ、前記抽出孔よりも流路断
   面積の大きなオリフィスとを有し、前記パイロット弁に
   より前記オリフィスを開閉することにより背圧室内の圧
   力を制御して、ダイヤフラム弁体を上下動させて、弁座
   を開閉するようにした給水弁において、 前記抽出孔の流体の入口側に渦室を設けこの渦室に周方
   向から流体を流入させる流入孔設けるとともに渦室の中
   央部から流体を流出させるように前記抽出孔を連通した
   ことを特徴とする給水弁。
2. 【請求項２】特許請求の範囲第１項記載の給水弁におい
   て、前記ダイヤフラム弁体の一部を樹脂より成る別部材
   で構成し、この別部材に渦室と流入孔と抽出孔とを設け
   るようにしたことを特徴とする給水弁。