JPH08119761A - 接合用ろう材及びその接合用ろう材により接合された接合体 - Google Patents

接合用ろう材及びその接合用ろう材により接合された接合体

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JPH08119761A JP6287290A JP28729094A JPH08119761A JP H08119761 A JPH08119761 A JP H08119761A JP 6287290 A JP6287290 A JP 6287290A JP 28729094 A JP28729094 A JP 28729094A JP H08119761 A JPH08119761 A JP H08119761A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本願発明の目的は、接合部に部材同士の熱膨
張差による熱応力が発生しても、金属部材と接合用ろう
材の間に剥離等生じないように接合することができる接
合用ろう材を提供することを目的とする。 【構成】 少なくとも一方の部材が金属部材である部材
同士を接合する接合用ろう材であって、Ag、Cu、I
n及びTiを含有し、Niが0.03〜1.2重量%含
有されている接合用ろう材である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、構造用部品である接合
体を得るための接合用ろう材であり、少なくとも一方を
金属部材とする部材同士を接合する接合用ろう材、詳し
くは一方の金属部材と他方のセラミックス部材とを接合
するろう材である。また本発明は、その接合用ろう材に
より接合された接合体であり、詳しくは、その接合体で
ある内燃機関の一部品のタペットについてである。
【0002】
【従来の技術】従来より、セラミック部材と金属部材を
接合する方法の一つとして、活性ろう材を用いた活性金
属法が採用されている。これを利用した接合体として、
セラミックターボチャージャロータ、セラミックタペッ
ト等が実用化されている。この活性金属法は、活性金属
(Ti、Zr等)を含む活性ろう材にてセラミック部材
と金属部材とを接合する方法である。この活性金属法
は、専ら、ろう材とセラミック部材との強度向上を目的
とした手段であり、ろう材とセラミック部材との間に反
応層を生成し、ろう材とセラミック部材とを強固に接着
することができ、その結果、セラミック部材と金属部材
とを強固に接合することができる。また、活性ろう材の
中でも特に低融点ろう材(固相点600℃〜750℃)
としてIn−Cu−Ag−Ti系合金の接合用ろう材
が、セラミック部材と金属部材との熱膨張差による収縮
差(熱歪)を最小限に抑える方法として、自動車の摺動
部品等の低温で使用される部材同士の接合に使用されて
いる。タペット、ロッカーアーム、バルブブリッヂ等
を、In−Cu−Ag−Ti系合金のろう材を用い、S
34とNi−Cr−Mo鋼(SNCM630)を直接
ろう付することにより製作する技術が開示されている
(特開平2−199073号公報)。一方、活性ろう材
の中の高融点ろう材(固相点900℃〜)も、実用化さ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の活性ろう材
の中でも低融点ろう材を用いて接合した接合体は、引っ
張り応力、圧縮応力、ねじり応力等に対しての初期強度
は十分有している。しかし、実際の製品(接合体)の使
用時には、上記単純応力の他に温度変化によって部材同
士の熱膨張差により生ずる熱応力、長期間の使用による
疲労等の過酷な条件を伴うため、従来の活性ろう材の中
でも低融点ろう材を用いて接合した接合体は、十分対応
できない場合があった。例えばカムとの摺動面をセラミ
ックス部材により構成する内燃機関のタペットの場合、
セラミックス部材と金属部材(エンジンタペット本体)
とのろう材をも含む接合部の温度は、カムとの摺動によ
る摺動熱、エンジンオイル等により200℃程度に上昇
する。その温度上昇が、セラミック部材(例えばSi3
4)と金属部材との熱膨張差による熱応力を生じさ
る。また、その温度上昇は、ろう材自体の耐力をも低下
させる。更に、長期間の使用により疲労も伴う。その結
果、使用時に金属部材とろう材との間で剥離等の劣化す
る場合があった。ここで、金属部材とろう材との接着強
度は、金属部材上の接合される面のぬれ性の程度に依存
したが、ぬれ性を向上させて金属部材とろう材との間で
の剥離を防止には限界があった。また活性ろう材高融点
のろう材を用いて接合すれば、温度上昇に対してもある
程度ろう材自体の耐力を低下させないことはできるかも
しれないが、使用時に発生する金属部材とセラミックス
部材との熱膨張の差に起因する応力による金属部材とろ
う材との剥離は、防止することできなかった。
【0004】本願発明の目的は、接合部に部材同士の熱
膨張差による熱応力が発生しても、金属部材と接合用ろ
う材の間に剥離等生じないように接合することができる
接合用ろう材を提供することを目的とする。また本願発
明の他の目的は、接合部に部材同士の熱膨張差による熱
応力が発生しても、金属部材と接合用ろう材の間に剥離
等生じない接合体を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】その第1の手段は、少な
くとも一方の部材が金属部材である部材同士を接合する
接合用ろう材であって、Ag、Cu、In及びTiを含
有し、Niが0.03〜1.2重量%含有されている接
合用ろう材である。その接合用ろう材は、Agが50〜
80重量%、Inが5〜20重量%、Tiが0.5〜3
重量%、Cuが15〜50重量%の範囲が望ましい。
【0006】その第2の手段は、セラミック部材と金属
部材との接合用ろう材であって、Ag、Cu、In及び
Tiを含有し、Niが0.03〜1.2重量%含有され
ているセラミック部材と金属部材との接合用ろう材であ
る。その接合用ろう材は、Agが50〜80重量%、I
nが5〜20重量%、Tiが0.5〜3重量%、Cuが
15〜50重量%の範囲が望ましい。更に、そのセラミ
ック部材が窒化珪素焼結体であることが望ましい。
【0007】その第3の手段は、金属部材とセラミック
部材とが、Ag、Cu、In及びTiを含有し、Niが
0.03〜1.2重量%含有されている接合用ろう材に
て接合された接合体である。その接合用ろう材は、Ag
が50〜80重量%、Inが5〜20重量%、Tiが
0.5〜3重量%、Cuが15〜50重量%の範囲が望
ましい。更に、そのセラミック部材が窒化珪素焼結体で
あることが望ましい。
【0008】その第4の手段は、本体を構成する金属部
材とカムとの摺動面を構成するセラミック部材とが、A
g、Cu、In及びTiを含有し、Niが0.03〜
1.2重量%含有されている接合用ろう材にて接合され
たタペットである。その接合用ろう材は、Agが50〜
80重量%、Inが5〜20重量%、Tiが0.5〜3
重量%、Cuが15〜50重量%の範囲であることが望
ましい。そのセラミック部材が窒化珪素焼結体であるこ
とが望ましい。
【0009】また接合対象の金属部材としては、熱膨張
係数の比較的大きい(平均12×10ー6/℃、500℃
まで)、例えばJIS SNCM630、SNCM61
6、SKC24、SNCM815等の炭素鋼、鉄等の金
属部材である。一方、接合対象の金属部材としては、熱
膨張係数の比較的小さい(平均5×10ー6/℃、500
℃まで)、例えばインコロイ、W、42アロイ、Mo、
コバール等である。接合対象のセラミック部材(平均3
×10ー6/℃、500℃まで)としては、窒化珪素(熱
膨張係数約:2×10ー6/℃)をはじめとしてサイアロ
ン(2×10ー6/℃)、窒化アルミニウム(4.5×1
ー6/℃)、炭化珪素(4.5×10ー6/℃)等が挙げ
られる。
【0010】Agの含有量としては、50〜80重量%
が好ましく、55〜75重量%が特に好ましい。Agの
含有量が、50重量%未満または80重量%を越える
と、接合層となるろう材の構成合金の溶融状態での流動
性が低下するうえ、接合層の機械的強度が低下するので
好ましくない。Cuの含有量としては、15〜50重量
%が好ましく、25〜40重量%が特に好ましい。Cu
の含有量が、25重量%未満または40重量%を越える
と、接合層となるろう材の構成合金の溶融状態での流動
性が低下し、部材間の接合部の隙間へ溶融合金が流れ込
みにくくなるうえ接合層となるろう材のの機械的強度も
低下するので好ましくない。Inの含有量としては、5
〜20重量%が好ましく、10〜15重量%が特に好ま
しい。Inの含有量が、5重量%未満または20重量%
を越えると、融点が上昇し、ろう材自体の粘性が低下す
るので好ましくない。Tiの含有量は、0.5〜3重量
%が好ましく、1〜2重量%が特に好ましい。、Tiの
含有量が、0.5重量%未満または3重量%を越える
と、接合強度が極端に低下するので好ましくない。本願
発明のNiの含有量は、0.03重量%より少ないとC
uの偏析が大きく生じ、1.2重量%を越えるとろう材
の溶融状態での流動性が悪化し、接合が正常に行われな
い。
【0011】
【作用】Ag、Cu、In及びTiを含有するろう材に
所定量のNiを含有させると、Agのマトリックス中の
Cuの偏析が抑制され、接合後に極めて分散の良いろう
材の組織が得られる。その結果、そのろう材によって接
合された接合体においては、接合体の接合部のろう材自
身の熱間強度が向上する。また、Niの添加によりろう
材の粘性が増す。その結果、接合時の加熱及び加重(部
材の接合面に垂直な方向)に対して、Niを所定量添加
しないろう材で接合した場合に比べ、接合後の接合体の
ろう材の厚みが若干厚くなる。そのため、Niを所定量
添加しないろう材を用いて接合した場合に比べ、その若
干厚くなったろう材の層が、接合される部材同士の熱膨
張差による熱応力を緩和する緩衝層の役割を果たす。よ
って、金属部材とセラミックス部材とをろう材を介して
接合した場合でも、金属部材とろう材との間に剥離等生
じない。また、熱膨張差の異なる金属部材同士を接合し
ても両金属部材とろう材との間に剥離等生じない。
【0012】
【実施例】この接合用ろう材(合金)は、所定の原料を
溶解し、脱脂、焼鈍等した後、所望の形状へ圧延、引き
抜き等の加工をして板状、棒状、ワイヤー状等に成形さ
れる。その接合用ろう材を、両部材間に配置し、それぞ
れの接合される面にほぼ垂直に荷重をかけることにより
接合用ろう材を両部材に密着させながら、両部部材を接
合する。一方、片方の部材の自重を利用すれば、重り等
による荷重はなくてもよい。
【0013】ー実験例1ー (基礎評価 温度)セラミック部材(Si34)である
円板3(直径35mm,厚さ1.5mm)は、窒化珪素
粉末90%にアルミナイットリア系焼結助材及び成形バ
インダを加え、金型プレスにより円板状の成形体をに成
形し、窒素雰囲気で焼成し端面をラップ仕上げし得た。
金属部材として、表1に示す金属部材2(直径35m
m,厚さ50mm)を用意した。接合用ろう材として、
表1に示す組成の接合用ろう材1を準備した。そして、
セラミック部材3の上に接合用ろう材1を置き、そのう
えに金属部材2を置き、更に、金属部材の上に重りを乗
せて真空中で795℃を30分保持し、N2ガス置換炉
冷し両部材者を接合し、接合体4を得た(図1)。
【表1】実施例、比較例のそれぞれの試料を各10ヶ製
作し、300℃の炉中に放置する評価を実施した。この
評価は、セラミックス部材であるSi34(熱膨張係
数:約2×10ー6/℃)と表1に示す金属部材との熱膨
張率の差に起因する金属部材と接合用ろう材との界面か
らの剥離に至るまでの時間を評価する。セラミックス部
材と金属部材のそれぞれの接合面には、接合面にそって
作用するせん断力を生ずる。ここで、接合用ろう材によ
るセラミック部材と金属部材との熱膨張係数の差による
剥離は、セラミックス部材と接合用ろう材との間より、
金属部材と接合用ろう材との間で起こりやすい。それは
セラミックス部材と接合用ろう材との間には、反応生成
物が生成されているため強固に接着しているからであ
る。よって、金属部材と接合用ろう材との剥離が、接合
面の全面積の50%に至る時間を表1に整理した。剥離
が、接合面の全面積の何%かは、超音波により測定し
た。結果を表1に示す。本願発明のろう材を用いて接合
した本願発明の接合体は、比較例のものに比べて剥離に
至るまでの時間が長かった。それは、所定量のNiがろ
う材に含まれているため、ろう材と金属部材が強固に接
合され、両部材の熱膨張差に起因する熱応力に対しても
十分対応できるものであった。また、実施例No.1
(図2)と比較例No.11(図3)の接合体の接合用
ろう材の断面組織を観察した。本願実施例では、所定量
のNi含有により、Cuの偏析が抑制され結晶微細化作
用が認められた。また、接合後の本願実施例のろう材の
厚みは、粘性が高いため、比較例に比べ厚かった。
【0014】ー実験例2ー (実体評価 温度+負荷)セラミックス部材としてSi
34焼成体3(直径40mm、厚さ2mm)の両端面を
研摩したものを、金属部材として鍛造で製作した本体を
構成する金属部材2を表2の接合用ろう材1を介し、真
空炉の中で800℃を30分保持することにより接合
し、カム6との摺動面を構成するセラミック部材3で形
成したセラミックタペット4を得た(図4)。
【表2】そのタペットを図5に示すカムモータリング装
置8にセットし、図6に示す下記モードで運転した。図
6の「ON」、「OFF」は、カムとタペットの間への
オイルの供給の有無を示す。このモードでは、カムとタ
ペットの間へのオイルの供給をしない「OFF」の場
合、カムとタペットとの間のオイル切れが発生するので
摺動温度により接合部は200℃以上となる。結果を表
2に示す。本願発明のろう材を用いたタペットは、熱応
力、疲労等に対しても十分対応できるものであった。
【0015】実施例では、金属部材とセラミックス部材
と接合し評価したが、金属部材同士、金属部材と他の材
料の部材でもよい。この金属部材同士接合する場合、特
に熱膨張率が異なる部材同士のときに効果的である。ま
た、両部材間に応力を緩和する中間層を介しても良い。
この場合、両部材間にろう材、中間層、ろう材という順
に配置されることとなる。中間層は、Cu、Ni等の軟
質金属がよい。
【発明の効果】本願発明の接合用ろう材により、接合部
に部材同士の熱膨張差による熱応力が発生しても、金属
部材と接合用ろう材の間に剥離等生じないように接合す
ることができる。本願発明の接合体は、接合部に部材同
士の熱膨張差による熱応力が発生しても、金属部材と接
合用ろう材の間に剥離等生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の接合用ろう材で接合した本願発明の
接合体を示す斜視図。
【図2】(A)本願発明の接合用ろう材の断面をEPM
A(電子プローブマイクロアナライザ)にて測定した金
属組織の写真と(B)その金属組織の説明図。
【図3】(A)比較例の接合用ろう材の断面をEPMA
(電子プローブマイクロアナライザ)にて測定した金属
組織の写真と(B)その金属組織の説明図。
【図4】本願発明の接合用ろう材で接合した本願発明の
接合体(タペット)を示す軸方向の断面図。
【図5】カムモータリング装置を表す正面図。
【図6】カムモータリング装置にセットし、運転する際
のモードを示す図。
【符号の説明】
1 接合用ろう材 2 金属部材(本体を構成する金属部材) 3 セラミックス部材 4 接合体(タペット) 5 プシュロッド 6 カム 7 スプリング 8 カムモータリング装置
【表1】
【表1】

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一方の部材が金属部材である
    部材同士を接合する接合用ろう材であって、Ag、C
    u、In及びTiを含有し、Niが0.03〜1.2重
    量%含有されていることを特徴とする接合用ろう材。
  2. 【請求項2】 Agが50〜80重量%、Inが5〜2
    0重量%、Tiが0.5〜3重量%、Cuが15〜50
    重量%である請求項1記載の接合用ろう材。
  3. 【請求項3】 セラミック部材と金属部材との接合用ろ
    う材であって、Ag、Cu、In及びTiを含有し、N
    iが0.03〜1.2重量%含有されていることを特徴
    とするセラミック部材と金属部材との接合用ろう材。
  4. 【請求項4】 Agが50〜80重量%、Inが5〜2
    0重量%、Tiが0.5〜3重量%、Cuが15〜50
    重量%である請求項3記載の接合用ろう材。
  5. 【請求項5】 セラミック部材が窒化珪素焼結体である
    ことを特徴とする請求項4または5記載の接合用ろう
    材。
  6. 【請求項6】 金属部材とセラミック部材とが、Ag、
    Cu、In及びTiを含有し、Niが0.03〜1.2
    重量%含有されている接合用ろう材にて接合されたこと
    を特徴とする接合体。
  7. 【請求項7】 接合用ろう材のAgが50〜80重量
    %、Inが5〜20重量%、Tiが0.5〜3重量%、
    Cuが15〜50重量%であることを特徴とする請求項
    6記載の接合体。
  8. 【請求項8】 セラミック部材が窒化珪素焼結体である
    ことを特徴とする請求項6または7記載の接合体。
  9. 【請求項9】 本体を構成する金属部材とカムとの摺動
    面を構成するセラミック部材とが、Ag、Cu、In及
    びTiを含有し、Niが0.03〜1.2重量%含有さ
    れている接合用ろう材にて接合されたことを特徴とする
    タペット。
  10. 【請求項10】 接合用ろう材のAgが50〜80重量
    %、Inが5〜20重量%、Tiが0.5〜3重量%、
    Cuが15〜50重量%であることを特徴とする請求項
    9記載のタペット。
  11. 【請求項11】 セラミック部材が窒化珪素焼結体であ
    ることを特徴とする請求項9または10記載のタペッ
    ト。
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