JPH08118527A - 耐炎化性を有する繊維強化プラスチック材料 - Google Patents

耐炎化性を有する繊維強化プラスチック材料

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JPH08118527A
JPH08118527A JP26283594A JP26283594A JPH08118527A JP H08118527 A JPH08118527 A JP H08118527A JP 26283594 A JP26283594 A JP 26283594A JP 26283594 A JP26283594 A JP 26283594A JP H08118527 A JPH08118527 A JP H08118527A
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JP
Japan
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carbon fiber
fiber
reinforced plastic
fiber reinforced
heat
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JP26283594A
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English (en)
Inventor
Akira Nakakoshi
明 中越
Yoshihiro Sakamoto
吉弘 阪本
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐熱性、耐炎性に優れた繊維強化プラスチッ
ク材料を提供する。 【構成】 繊維強化プラスチックの表面に、繊維軸方向
の熱伝導率が100W/m・K以上であるピッチ系炭素
繊維を強化繊維とする炭素繊維強化プラスチック(CF
RP)の層を有することを特徴とする繊維強化プラスチ
ック材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐炎化性、または耐熱
性を大幅に向上させることが出来る繊維強化プラスチッ
ク材料に係り、特に軽量化ニーズがあり、かつ耐炎化性
能が要求される輸送機関、搬送装置用の複合材料に関す
る。
【0002】
【従来の技術】繊維強化プラスチック材料は、比強度及
び比弾性率に優れた材料であり、そのなかでも炭素繊維
強化プラスチック(CFRP)はその特徴を活かして航
空機や人工衛星など、軽量化メリットの大きい分野で広
く使われている。一方、軽量化ニーズはあるものの、耐
炎化性能が要求される分野、例えば、高速鉄道車輛、高
速船舶、高速エレベーター等の分野では、不燃、難燃性
の基準に達せず、未だアルミ合金、チタン合金等の金属
材料に置換えることが出来ない現状にある。鉄道車輛の
分野では、この点を改善すべく例えば、特開平2−33
1693号公報では、エポキシ樹脂系繊維強化プラスチ
ックのプリプレグ積層材からなる内側層の外側を、フェ
ノール樹脂系繊維強化プラスチックのプリプレグ積層材
からなる層で覆って耐火性を高めた鉄道車輛用台車枠が
提案されている。
【0003】しかし、フェノール樹脂は成形性に劣り加
工コストが高くなるばかりでなく、長時間炎にさらされ
ると蓄熱して内側のエポキシ樹脂が分解する難点があ
る。また、特開平6−144223号公報では、エポキ
シ樹脂系繊維強化プラスチックのプリプレグ積層材から
なる構造基体の外側面に、アルミニウムを溶射してなる
層を形成し、かつこの層の外側を、フェノール系やシリ
コン系の耐熱性樹脂材からなる層で覆って耐火性を高め
た鉄道車輛用構造体が提案されている。しかし、この方
法では、加工工程が複雑になりコストが高くなるばかり
でなく、ある程度の厚みのアルミニウム層が必要とな
り、繊維強化プラスチックを適用する軽量化メリットが
損なわれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、繊維強化プ
ラスチックの軽量化メリットを最大限に活かし、かつ従
来弱点とされていた耐火性能を十分に高めた複合材料を
安価な加工コストで提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明では、前記課題を
解決する手段として、繊維強化プラスチックの中で、
炎、または熱が作用する可能性がある表面に、繊維軸方
向の熱伝導率(以下単に「熱伝導率」という。)が10
0W/m・K以上であるピッチ系炭素繊維を強化繊維と
するCFRPの層を有することを特徴とする。このCF
RP層の形態としては、一方向プリプレグ、クロス、マ
ット等の積層物や、プルトルージョン成形品、フィラメ
ントワインディング成形品等、後述する熱拡散性を損な
わない範囲で、様々な形態のものを用いることが出来
る。
【0006】現在市販されている炭素繊維の中には、ポ
リアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維とピッチ系炭
素繊維がある。これらは、その原料の違いから生じる極
めて異なる性質を有している。PAN系炭素繊維は、ポ
リアクリロニトリルを出発原料としており、高分子鎖が
絡み合った内部構造を有していることから、高強度のも
のが得られる反面、黒鉛結晶化性に劣るため、高弾性、
高熱伝導については、難点がある。一方、ピッチ系炭素
繊維は、コールタールピッチ等を精製したものを出発原
料としており、比較的大きな分子集団からなる内部構造
を有していることから、強度面ではPAN系炭素繊維に
くらべてやや劣る反面、黒鉛結晶化性に優れ、高弾性、
高熱伝導の性質を容易に達成することが出来るため、比
較的安価に本発明に適用する材料を入手することが出来
る。
【0007】本発明に係る炭素繊維複合材料において、
熱伝導率100W/m・K以上、より好ましくは150
W/m・K以上のピッチ系炭素繊維を強化繊維とするC
FRPの層は、その高い熱伝導性から、熱拡散性に優
れ、熱拡散、放熱により、局部的な温度上昇を低減させ
る働きを有し、これにより複合材料の温度上昇に伴う発
火が防止されるか、または発火に至る時間を著しく長く
させる作用をする。この作用により、鉄道車輛等の業界
が要求する不燃、難燃性の基準を満たすことが出来る。
具体的用途として例えば、鉄道車輛用材料の場合、構
体、台車枠、内装材、パンタグラフ等の材料があげられ
る。
【0008】本発明では、このような作用をCFRPの
みで達成できることに大きな特徴がある。つまり、金属
材料との組合せで問題となる界面剥離等を全く心配する
ことなく、単純な加工ですむことから比較的安価に軽量
かつ、耐火性を有する複合材料を提供することができ
る。本発明における熱伝導率100W/m・K以上のピ
ッチ系炭素繊維を強化繊維とするCFRPの層の厚み
は、要求される耐火性能に応じて決めれば良く、適用部
位によっては、また強度面、軽量化、あるいはコストの
面で厳しい設計の場合には、この層の内側にPAN系炭
素繊維、低弾性ピッチ系炭素繊維、ガラス繊維、ケブラ
ー繊維等を強化繊維とする層及び、又はアルミハニカム
材、ウレタン樹脂等の層を設けることが出来る。マトリ
ックス樹脂としては通常、汎用のエポキシ樹脂を用いる
ことが出来る。汎用エポキシ樹脂としては例えば、ビス
フェノールA型エポキシ樹脂があり、その他グリシジル
エステル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ
樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂等も用いるこ
とが出来る。
【0009】そして該CFRPの層の繊維含有体積率
(Vf)は、実際にさらされる熱の条件に応じて変更す
ることができるため、特に限定されないが、通常40〜
65%、成形性等を考えると50〜60%がより好まし
い。又、該CFRP層の厚さも必要に応じて変更すれば
よく、通常1〜2mmでも十分に効果を発揮する。
【0010】本特許の効果を最大限に活用し、コストを
低く押さえるためには、耐火作用を有する高弾性ピッチ
系炭素繊維の層と他の強化繊維の層を全て同じエポキシ
樹脂にして、一体成形することが望ましい。ただし必要
に応じて、ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポ
リイミド樹脂、フェノール樹脂、コプナ樹脂等の熱硬化
樹脂及び又は、ポリプロピレン樹脂、ナイロン樹脂、P
EEK等の熱可塑性樹脂を使用することも出来る。
【0011】
【実施例】以下本特許の内容を実施例に従って、より具
体的に説明するが、本特許はこれにより限定されるもの
ではない。
【0012】(実施例1)ピッチ系高弾性糸として三菱
化学社製「ダイアリード」K137(引張弾性率65t
/mm2 、熱伝導率150W/m・K)を用い、ビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂をマトリックスとした一方向
プリプレグを積層し、120℃で2時間硬化させること
により一方向材CFRP板を得た。板の厚みは2mm
で、炭素繊維含有体積率(Vf)は58%であった。こ
の板を炭素繊維軸方向を長辺とする182mm×257
mmの長方形に切断し、試験片を得た。この試験片につ
いて、燃焼性試験を行なった。以下試験方法を説明す
る。乾燥させた試験片を図1に示すように45°に傾斜
させ保持する。次に試験片の中央の垂直下方25.4m
mの位置に純エチルアルコール0.5ccを入れた燃料
容器を支持する。アルコールに着火し、燃料が燃え尽き
るまで放置する。アルコールの燃焼中は、試験片への着
火の有無、発煙状態、炎の状況を観察し、燃焼後は、残
炎の有無、残塵、炭化、変形状態を調べ、鉄道車輛用材
料の燃焼性規格試験に準じて判定する。以上の方法で試
験、評価した結果、表1に示す通り不燃性の評価であっ
た。
【0013】(実施例2)「ダイアリード」K137の
層の厚みを1mm、PAN系炭素繊維である東邦レイヨ
ン社製「HTA」(引張弾性率24t/mm2 、熱伝導
率17W/m・K)の層の厚みを1mmの2層構造一方
向材CFRP板を実施例1と同じ方法で成形し、試験し
た。試験する際には、「ダイアリード」K137の層を
炎があたる下面とした。その結果、表1に示す通り、極
難燃性の評価であった。
【0014】(実施例3)「ダイアリード」K137の
代わりに「ダイアリード」K13B(引張弾性率85t
/mm2 、熱伝導率270W/m・K)とした以外は実
施例2と同じとした。試験の結果、表1に示す通り不燃
性の評価であった。
【0015】(比較例1)「ダイアリード」K137の
代わりに「HTA」とした以外は、実施例1と同じとし
た。試験の結果、表1に示すとおり、難燃基準に達しな
かった。
【0016】(比較例2)試験片を厚み3mmのフェノ
ール樹脂をマトリックスとしたガラス繊維強化プラスチ
ック板として実施例1と同じ方法で試験した。その結
果、表1に示す通り、難燃性の評価であった。
【0017】(比較例3)試験片を厚み3mmのアルミ
ハニカム板として実施例1と同じ方法で試験した。その
結果、表1に示す通り、難燃性の評価であった。
【0018】
【表1】
【0019】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、高熱伝導
性を有するピッチ系高弾性繊維を補強繊維とする炭素繊
維強化プラスチックの層を炎、熱があたる可能性がある
表面に有することにより、繊維強化プラスチックの軽量
化メリットを最大限に活かし、かつ従来弱点とされてい
た耐火性能を十分に高めた複合材料を安価な加工コスト
で提供するものである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年3月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】追加
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における試験片の燃焼性試験装置を示
す図

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維強化プラスチックの表面に、繊維軸
    方向の熱伝導率が100W/m・K以上であるピッチ系
    炭素繊維を強化繊維とする炭素繊維強化プラスチックの
    層を有することを特徴とする繊維強化プラスチック材
    料。
  2. 【請求項2】 プラスチックが汎用エポキシ樹脂である
    ことを特徴とする請求項1記載の材料。
  3. 【請求項3】 請求項1の材料を用いた鉄道車輛用材
    料。
JP26283594A 1994-10-26 1994-10-26 耐炎化性を有する繊維強化プラスチック材料 Pending JPH08118527A (ja)

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