JPH08118201A - Nc旋盤の加工開始及び終了時の制御方法 - Google Patents

Nc旋盤の加工開始及び終了時の制御方法

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JPH08118201A
JPH08118201A JP26070694A JP26070694A JPH08118201A JP H08118201 A JPH08118201 A JP H08118201A JP 26070694 A JP26070694 A JP 26070694A JP 26070694 A JP26070694 A JP 26070694A JP H08118201 A JPH08118201 A JP H08118201A
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祐二 宮崎
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公生 濱田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 サイクル加工部分だけの加工プログラムによ
って、NC旋盤の互いに連携する複数系統のサイクル加
工動作を、タイミングをずらして開始及び終了させるこ
とができるようにする。 【構成】 加工開始時に、遅れてサイクル加工を開始す
る系統に対しては、サイクル加工中と同じ加工プログラ
ムを最初から実行させるが、その遅らせる期間だけは実
際の加工はさせないようにする。また加工終了時に、早
くサイクル加工を終了する系統に対しては、加工終了後
も遅れてサイクル加工を終了する系統の加工が終了する
までサイクル加工中と同じ加工プログラムを実行させる
が、その加工終了後は実際の加工はさせないようにす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明はNC旋盤の制御方法に
関し、特に複数の主軸と複数の刃物台を有し、複数系統
の加工プログラムによって同時に動作するサイクル加工
のサイクル開始タイミングをずらして同時加工するNC
旋盤の加工開始及び終了時の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】NC(数値制御)旋盤は、加工プログラ
ムにしたがって主軸の回転及びその主軸中心線方向(Z
方向)の移動と、刃物台のX,Y方向(Z方向に直交す
る面内で互いに直交する2方向)への移動を制御して、
刃物台に取り付けられた工具(刃物)によって、主軸に
保持された材料(ワーク)を加工する工作機械であり、
最近ではコンピュータを搭載したCNC旋盤が主流にな
りつつある。
【0003】そして、このようなNC旋盤の加工速度の
高速化,加工工程の高能率化,加工精度の高度化が進
み、且つ機能の拡大(汎用性),フレキシビリティ及び
安全性の向上等も計られ、広範な部品加工に使用されて
いる。このようなNC旋盤の主軸配置には、正面加工の
ための主軸が1本だけの単軸,2本備えた2軸,多数備
えた多軸等があり、この正面加工のための主軸に対向し
て背面加工に使用する背面主軸を備えたものもある。
【0004】さらに、複数の主軸と複数の刃物台を有
し、複数系統の加工プログラムによって同時に動作する
サイクル加工のサイクル開始タイミングをずらして、複
数の主軸で刃物台を共用したり、背面主軸側での加工を
交互に行なわせたりして、加工効率を高めることができ
るNC旋盤も提供されており、その加工方法も本発明者
等が先に提案している。このようなNC旋盤のサイクル
加工の制御を行なう場合に、従来の方法によれば、全系
統がサイクル加工に入る前と、一部の系統のサイクル加
工が終了した後に、不要な同期指令や動作指令を取り除
いた専用の加工プログラムを付加していた。
【0005】例えば、第1主軸,第2主軸,及び背面主
軸を有するNC旋盤において、図14に示すように、そ
れぞれ各主軸系統の加工プログラムA+B,B+A,及
びC+Cによって同時に動作するサイクル(繰り返し)
加工を、同図の左側に示すように各系統の開始タイミン
グをずらして開始する場合には、開始時の1サイクルの
制御のための、不要な同期指令や動作指令を取り除いた
専用の第1主軸系統のためのA′+B′の加工プログラ
ム、及び第2主軸系統のためのA″の加工プログラムを
付加する。そして、図中の第2主軸系統及び背面主軸系
統に破線で示す部分は加工プログラムを実行せず、加工
を行なわない。
【0006】また、各主軸系統の加工を図14の右側に
示すように終了タイミングをずらして終了する場合に
は、開始時の1サイクルの制御のための、不要な同期指
令や動作指令を取り除いた専用の第2主軸系統のための
B″の加工プログラム、及び背面主軸系統のためのC′
+C″の加工プログラムを付加する。そして、図中の第
1主軸系統及び第2主軸系統に破線で示す部分は加工プ
ログラムを実行せず、加工を行なわない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに加工開始時及び終了時にのみそれぞれ使用する専用
の加工プログラムを作成するのでは、余分な労力および
その作業コストがかかるばかりか、その加工プログラム
を格納するメモリの記憶容量も余分に必要になるという
問題がある。
【0008】この発明は、このような問題に鑑みてなさ
れたものであり、図15に示すようなサイクル加工部分
だけの加工プログラムによって、NC旋盤の互いに連携
する複数系統のサイクル加工動作を、タイミングをずら
して開始及び終了させることができるようにすることを
目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明は上記の目的を
達成するため、複数の主軸と複数の刃物台を有し、複数
系統の加工プログラムによって同時に動作するサイクル
加工のサイクル開始タイミングをずらして同時加工する
NC旋盤における加工開始時の制御方法として、遅れて
サイクル加工を開始する系統に対しては、サイクル加工
中と同じ加工プログラムを最初から実行させるが、その
遅らせる期間だけは実際の加工はさせないようにするこ
とを特徴とする。そのため、遅れてサイクル加工を開始
する系統の主軸を、加工材料が工具と接触しない位置ま
で後退させた状態でマシンロックすることにより、上記
実際の加工をさせないようにするとよい。
【0010】また、加工終了時の制御方法として、早く
サイクル加工を終了する系統に対しては、加工終了後も
遅れてサイクル加工を終了する系統の加工が終了するま
でサイクル加工中と同じ加工プログラムを実行させる
が、その加工終了後は実際の加工はさせないようにする
ことを特徴とする。そのため、早くサイクル加工を終了
する系統の主軸を、加工材料が工具と接触しない位置ま
で後退させた状態でマシンロックすることにより、上記
実際の加工をさせないようにするとよい。
【0011】
【作用】この発明によるNC旋盤の加工開始及び終了時
の制御方法によれば、図15に示したようなサイクル加
工部分だけの加工プログラムによって、加工開始及び加
工終了時においても繰り返し加工時と同じ加工プログラ
ムを全ての系統で実行させるため、互いに同期を取った
り連携動作あるいは干渉防止動作をしたりすることがで
きる。そして、遅れてサイクル加工を開始する系統及び
早くサイクル加工を終了する系統に対しては、その遅ら
せる期間、あるいは最も遅れてサイクル加工を終了する
系統の加工が終了するまでの期間は、実際の加工動作は
させないようにすることにより、実際のサイクル加工の
開始及び終了タイミングは任意にずらすことができる。
【0012】そのサイクル加工のプログラム実行中に実
際の加工はさせないようにする方法としては、該当する
系統の主軸を、加工材料が工具と接触しない位置まで後
退させた状態でマシンロックするのが簡単であるが、他
の方法として若干の補助プログラムを用いて動作経路を
変更することもできる。
【0013】
【実施例】以下、この発明の実施例を具体的に説明す
る。図3はこの発明による制御方法を実施するNC旋盤
の一例を示す外観斜視図である。これは棒材加工用の主
軸台摺動型のNC旋盤であり、2主軸と1背面主軸及び
4つの刃物台を備えている。すなわち、図3に示すよう
にベッド10の上面後部に、第1主軸台11A及び第2
主軸台(図示せず)が、主軸中心線に平行なZ軸方向
(矢示Z1,Z2方向)に図示しないガイドレールに沿
って摺動可能に載置されており、この第1主軸台11A
と第2主軸台は、それぞれ図示しないZ1軸用サーボモ
ータ及びZ2軸用サーボモータによって、図示しない送
りねじ機構を介して相互に独立して矢示Z1,Z2方向
へ移動される。
【0014】この第1主軸台11A及び第2主軸台にそ
れぞれ回転自在に支承され、かつそれぞれ第1主軸用ス
ピンドルモータ12A及び図示しない第2主軸用スピン
ドルモータによって独立して回転される第1主軸(中心
線のみをAで示す)及び第2主軸(中心線のみをBで示
す)が所定の間隔だけ離れて相互に平行に設けられてい
る。
【0015】この第1主軸及び第2主軸の前方には、刃
物台ベース13がベッド10に固定されてその全幅に亘
って立設されている。その刃物台ベース13には、前述
の第1主軸及び第2主軸の各中心線と同心の位置に第1
ガイドブッシュ14A及び第2ガイドブッシュ14Bが
配設されており、第1主軸及び第2主軸にそれぞれ把持
されたワーク15A,15Bは、第1及び第2ガイドブ
ッシュ14A,14BによってZ軸方向に摺動可能にガ
イドされる。
【0016】刃物台ベース13にはさらに、第1主軸と
第2主軸の各中心線A,Bの双方に直交するように交わ
る線(以下「基準直線」という)Lの両側(図3では上
側と下側)にそれぞれ第1刃物台17A及び第2刃物台
17Bが配設されている。この第1,第2刃物台17
A,17Bは、刃物台ベース13の前面にその全幅に亘
って基準直線Lに平行に形成されたガイドレール16
A,16Bに嵌合して、基準直線Lに平行なY軸方向
(矢示Y1,Y2方向)に摺動するY軸テーブル18
A,18B上に設けられ、そのY軸及び前述したZ軸の
双方に直交するX軸方向(矢示X1,X2方向)に摺動
するX軸テーブル19A,19B上に装着されている。
【0017】そして、Y軸テーブル18Aは刃物台ベー
ス13に取り付けられたY1軸用サーボモータ20Aに
よって矢示Y1方向に、Y軸テーブル18Bは刃物台ベ
ース13に取り付けられたY2軸用サーボモータ20B
によって矢示Y2方向に、それぞれ送りねじ機構によっ
てガイドレール16A,16Bに沿って駆動され、略そ
の全長に亘って往復移動可能である。
【0018】X軸テーブル19AはY軸テーブル18A
に取り付けられたX1軸用サーボモータ21Aによって
Y軸テーブル18Aに対してX1方向に、X軸テーブル
19BはY軸テーブル18Bに取り付けられたX2軸用
サーボモータ21BによってY軸テーブル18Bに対し
てX2方向に、それぞれ送りねじ機構によって駆動さ
れ、所定ストローク往復移動可能である。
【0019】第1,第2刃物台17A,17Bには、そ
れぞれ複数(図示の例では4本)ずつの工具22A,
…,22B,…がY軸方向に所定の間隔で櫛歯状に取り
付けられている。なお、図示の例では、工具22A,
…,22B,…がいずれもバイトなどの外径切削工具で
ある場合を示している。
【0020】さらに、刃物台ベース13の図3で右端部
の基準線Lの延長位置に背面刃物台23を固設してお
り、この背面刃物台23に、複数(図示の例では3本)
の工具24,…をその各中心が基準線Lの延長線上に所
定の間隔で並ぶように配設している。この工具24,…
は背面加工用の工具であり、例えばドリル,エンドミル
などの相対回転工具で、必ずしも工具24,…が回転し
なくても、後述する背面主軸にチャックされたワークが
回転すれば加工可能である。
【0021】ベッド10の刃物台ベース13の手前側に
は、上記Y軸方向にその全幅に亘る溝10aが形成され
ており、その溝10aの手前側の段部上面に基準線Lに
平行な方向に延びるガイドレール25を形成しており、
このガイドレール25に背面主軸台ベース26を摺動自
在に嵌合させ、その上に背面主軸台27をその内部に設
けられている背面主軸の中心線に平行な矢示Z3方向に
摺動可能に設けている。この矢示Z3の方向は、前述し
た第1,第2主軸台の移動方向である矢示Z1,Z2の
方向と平行である。
【0022】背面主軸台ベース26は、ベッド10に取
り付けられたY3軸用サーボモータ28によって、図示
しない送りねじ機構を介して矢示Y3方向(水平面内で
矢示Z3方向に直交する方向)に駆動され、ベッド10
の略全幅に亘って往復移動可能である。背面主軸台27
は、背面主軸台ベース26に取り付けられたZ3軸用サ
ーボモータ29によって図示しない送りねじ機構を介し
て駆動され、背面主軸台ベース26に対して矢示Z3方
向に所定ストローク往復移動可能である。
【0023】背面主軸台27の内部に設けられた背面主
軸は、その中心線が基準線Lの高さにあり、先端部には
ワークをつかむチャックを備えており、背面主軸用のス
ピンドルモータ30によって回転される。その背面主軸
に保持されたワークは、主として前述した背面刃物台2
3に取り付けられた工具24,…によって加工される
が、第1刃物台17A又は第2刃物台17Bに背面加工
用の工具を取り付けた場合には、それらによって加工す
ることも可能である。
【0024】さらに、この背面主軸台27の図3で左側
の側面には、対向刃物台31が固設されており、そこに
複数(図示の例では3本)の工具32,…が背面主軸と
同じ高さで矢示Y3方向に所定の間隔で並ぶように取り
付けられている。この工具32,…も例えばドリル,エ
ンドミルなどの相対回転工具であり、第1又は第2主軸
に保持された回転するワークの前端面に対して、孔あけ
やねじ切り等の加工をすることが可能である。
【0025】このNC旋盤は、第1主軸及び第2主軸
(刃物台ベース13の後ろ側に設けられ、その中心線
A,B)と、それぞれこの第1主軸及び第2主軸と組み
合わせて加工可能な第1刃物台17A及び第2刃物台1
7Bと対向刃物台31、第1主軸及び第2主軸に対向し
て配設され、その両主軸の軸心を結ぶ方向(矢示Y3方
向)と両主軸に対して接近・離間する方向(矢示Z3方
向)へ相対移動可能な背面主軸(背面主軸台27内に設
けられている)と、その背面主軸と組み合わせて加工可
能な背面刃物台23とを備えている。
【0026】このNC旋盤を使用して、丸棒の材料から
図4に示す形状のワーク(部品)を加工する際の工程を
説明する。この場合の、第1,第2刃物台17A,17
B、背面刃物台23、及び対向刃物台31の工具レイア
ウトの一例を図5に示す。図4に示したワークW(図3
に示したワーク15A,15Bに相当する)の加工に使
用する工具には斜線を施してあり、その各工具に1〜1
2(図中では丸付きの数字)を付している。
【0027】各工具名は次のとおりである。 1:センタドリル,2:ドリル,3:前挽きバイト,
4:ネジ切りバイト,5:前挽きバイト,6:溝入れバ
イト,7:エンドミル,8:後挽きバイト,9:突っ切
りバイト,10:背面センタドリル,11:背面ドリ
ル,12:背面タップ
【0028】予め丸棒材料を、図3に示したNC旋盤の
第1,第2主軸に通して第1ガイドブッシュ14A及び
第2ガイドブッシュ14Bにガイドさせて若干突出させ
る。そして、第1ガイドブッシュ14Aのある第1主軸
側と、第2ガイドブッシュ14Bとで、加工工程を半サ
イクルずらして同時加工を行なう。
【0029】その加工工程を第1主軸側のワークについ
て説明すると、先ず第1主軸にチャックされて第1ガイ
ドブッシュ14Aから突出する丸棒(ワークW)の前端
面の中心に対向刃物台31のセンタドリル1が対向する
ように背面主軸台27を移動させ、第1主軸用スピンド
ルモータ12Aによって第1主軸を回転させてワークW
を回転させながら、第1主軸台11A又は背面主軸台2
7をZ軸方向へ移動させて、ワークWの前端面に中心孔
をあける。次いで、対向刃物台31のドリル2を使用し
て上述と同様な動作を行なって、ワークWの前端に所定
の内径及び深さの孔をあける。
【0030】その後、第1刃物台17Aを前挽きバイト
3が第1主軸の中心線A上に位置するように移動させ、
矢示X1方向に下降させてワークWのねじ部の外周を所
定の径及び長さに加工する。そして、第1刃物台17A
のネジ切りバイト4を使用してその外周にネジをきる。
【0031】次いで、第1刃物台17Aの前挽きバイト
5(3と同じ)を使用してワークWの大径部を所定の径
に加工した後、第1刃物台17Aを第2主軸側へ、第2
刃物台17Bを第1主軸側へ移動させて主軸と刃物台の
組み合わせを切り替える。そして、第2刃物台17Bの
溝入れバイト6を使用してワークWの大径部の後部に所
定深さの溝を切り、次いでワークWを固定してエンドミ
ル7を使用し、第1刃物台を矢示X1方向へ往復移動さ
せてワークWの溝より後方の大径部の外周の対向する位
置に平行な平面部を形成する。そしてワークWを再び回
転させ、第2刃物台17Bの後挽きバイト8を使用し
て、後方の小径部を所定の径に加工する。
【0032】その後、背面主軸台27を矢示Z3方向に
移動させて背面主軸のチャックでワークWの前端部を掴
んで保持し、突っ切りバイト9を使用して第2刃物台1
7Bを矢示X1方向に往復移動させて突っ切り加工を行
ない、ワークWを丸棒から切り離す。このワークWの受
渡しをピックオフという。
【0033】そして、背面主軸台27を背面刃物台23
と対向する位置へ移動させると共に背面主軸を回転さ
せ、その背面センタドリル10を使用して、ワークWの
背面(後端面)に中心孔をあける。さらに、背面ドリル
11を使用して所定の内径及び深さの孔をあけ、背面タ
ップ12を使用してその内周にタツプを切って、ワーク
Wに対する全加工工程を終了する。
【0034】この第1主軸側と同じワークの加工を第2
主軸側でも、半サイクル遅れて開始し、背面主軸側での
加工は第1主軸側の1個目の全工程が終わってから開始
する。それ以後は、第1主軸側と第2主軸側でワークの
加工が終わる度に、背面主軸側でそのワークを受け取っ
てその背面加工を主軸側の全工程の半サイクル以内で交
互に行なう。
【0035】図7は、この実施例による2サイクル目以
降の各軸側での前述した各工具の使用順序とその各加工
工程に要する時間の関係を示す。この図において、$1
は第1主軸側,$2は第2主軸側,$3は背面主軸側の
加工を示し、丸付きの数字は図4,図5と同じく使用す
る工具の符号であり、$3における「ピックオフ」は第
1主軸側又は第2主軸側で突っ切り加工されるワークを
背面主軸側で把持して受け取る工程である。縦軸は時間
(秒)であり、斜線を施した各枠の縦方向の長さは各工
具(枠内の丸付き数字で示す)による加工時間に比例し
ている。
【0036】このように、この実施例では背面主軸側の
加工工程(ピックオフ工程も含む)に要する時間が、第
1,第2主軸側の加工工程に要する時間の半分以下にな
っているが、半分に近い方が待ち時間が少なくなるので
効率がよい。半分を超えると主軸側で待ち時間が生じる
ことになるが、若干長い程度であれば実用上差し支えな
い。第1主軸側と第2主軸側の加工工程を半サイクルず
らすために、その全工程をこの実施例のように前半と後
半とが丁度1/2(1:1)になるように分けられれば
理想的であるが、略半分ずつに分けられれば、多少の違
いがあっても少し待ち時間が生じるだけで問題はない。
【0037】図6は、図4に示したワークの加工を行な
うための他の工具レイアウトの例を示す。背面刃物台2
3には、図5の例と同じく背面加工用の工具10〜12
が取り付けられているが図示を省略している。この例で
は、対向刃物台31は使用せず、第1刃物台17Aと第
2刃物台17Bにそれぞれ第1,第2主軸側での加工に
必要な全ての工具1〜9を取り付けており、センタドリ
ル1とドリル2は工具ホルダ33を介して紙面と直交す
る方向でワークWの前端面に対向する向きに取り付けら
れている。したがって、この工具レイアウトによれば、
第1主軸側及び第2主軸側の加工工程の途中で第1刃物
台17Aと第2刃物台17Bを交替させる必要はなくな
るので、その分だけ加工時間を短縮することが可能であ
る。
【0038】次に、図3に示したNC旋盤の制御ユニッ
トの構成を図8のブロック図によって説明する。この制
御ユニットは、CPUを含むシステム制御部40,プロ
グラム入力部41,キーボード42a及びスイッチ42
bとディスプレイ43を備えた操作盤44,その入出力
制御部45,システム制御用プログラムメモリ(RO
M)46,自動プログラミング部47,加工プログラム
メモリ48,表示データ記憶部49,その他のデータを
記憶するRAM50,加工プログラム処理部51,通信
制御部52,加工動作制御部53とからなり、その加工
動作制御部53を介して図3に示した機構部を直接駆動
制御する駆動部60を制御する。例えば、各主軸の回転
/停止、回転数指示、チャック開/閉、刃物台の工具補
正等を行なう。
【0039】駆動部60は、図3に示した各軸用サーボ
モータ(20A,20B,21A,21B,28,29
等)の各軸モータのサーボ機構61を駆動制御する各軸
の制御駆動部62、各主軸のスピンドルモータ(12
A,30等)63を駆動制御するスピンドルモータ制御
駆動部64、及び各センサ(各スピンドルモータの回転
速度センサ,各テーブルの位置センサ等)65の検出信
号を入力するセンサ入力部66等からなる。
【0040】システム制御部40は、この制御ユニット
全体ひいてはNC旋盤全体を統括制御する部分で、自動
プログラミング部47と共に加工プログラムの作成処
理、加工プログラム処理部51と共に作成された加工プ
ログラムの系統判別,変換,分割,編集等の処理、入出力
制御部45を介して操作盤44のキーボード42a又は
スイッチ42bからのデータや指令の入力及びディスプ
レイ43への加工プログラムその他の表示に関する処
理、加工動作制御部53と共に加工プログラムメモリ4
8に格納されている加工プログラムに基づいて駆動部6
0を動作させてNC加工を行なうための処理などを行な
う。
【0041】プログラム入力部41は、外部のプログラ
ム作成装置(パソコン等)によって作成された加工プロ
グラムを、紙テープやフロッピディスクから入力する紙
テープリーダ,フロッピディスク装置(FDD)などで
ある。操作盤44は、NC加工を行なう際にキーボード
42aあるいはスイッチ42bから動作指令を行ない、
ディスプレイ43の表示によって動作を確認したりする
運転操作手段となる。また、自動プログラミング部47
の機能を使用してこのNC旋盤自体で必要な加工プログ
ラムを作成する際には、対話形自動プログラミングを行
なうための対話入力手段となる。
【0042】入出力制御部45は、この操作盤44のキ
ーボード42aあるいはスイッチ42bからの指令や入
力の判別、表示データ記憶部49に記憶された表示デー
タをディスプレイ43に表示するための制御等を行な
う。システム制御用プログラムメモリ46は、この制御
ユニットの動作を制御するためにシステム制御部40の
CPUが使用するプログラム及び固定データを格納した
ROMである。
【0043】自動プログラミング部47は、操作盤44
と共に加工プログラムの作成を行なう機能部であり、実
際にはシステム制御部40が持つ機能であるが、判り易
くするために別のブロックとして図示している。加工プ
ログラムメモリ48は、後述するパートプログラム及び
工程サブプログラムを格納する加工プログラム格納部4
8a、自動プログラミング部47で作成した工程編集プ
ログラムを系統別に格納する工程編集プログラム格納部
48b、及びトラブル発生時に使用するバックアッププ
ログラムを格納するバックアッププログラム格納部48
c等を有するRAMである。
【0044】表示データ記憶部49は、操作盤44のデ
ィスプレイ43に表示させる各種のデータを格納するメ
モリ(RAM)であり、各軸系統に対応する工程サブプ
ログラム表示データ及び工程編集プログラム表示データ
もここに記憶する。RAM50は、加工に使用する各工
具(ツール)のデータや各種の初期セットデータ等を記
憶するメモリである。加工プログラムメモリ48と表示
データ記憶部49も、このRAM50の記憶容量が充分
あればこれを兼用することができる。
【0045】加工プログラム処理部51は、作成された
加工プログラムの系統判別,変換,分割,編集等の処理を
行なう機能部であり、これも実際にはシステム制御部4
0が持つ機能である。通信制御部52は、DNC装置等
の外部システムとの通信を制御する回路であり、作成し
た加工プログラムを外部システムに転送してその記憶媒
体に格納させたり、外部システムから加工プログラムを
取り込んだりする際に使用する。
【0046】ここで、この実施例による加工プログラム
作成方法について説明する。加工プログラムの作成は、
前述のように図8に示した制御ユニットのシステム制御
部40及び自動プログラミング部47と操作盤44によ
って、オペレータとの対話形式で作成される。その際の
作成手順を図9のフローチャートに示す。また、作成さ
れるパートプログラムとその工程サブプログラムの例を
図10に、工程編集プログラムの例を図11に示す。
【0047】この図9のフローチャートにしたがって、
加工プログラム作成手順を説明すると、まず、NC加工
の通常のプログラムであるパートプログラムを作成し、
図8に示した加工プログラムメモリ48の加工プログラ
ム格納部48aに格納する。このパートプログラムを外
部の装置で作成して、プログラム入力部41あるいは通
信制御部52から取り込んで、加工プログラム格納部4
8aに格納することもできる。
【0048】このパートプログラムは、例えば図10
(A)に示すように、目的とする部品1個を加工するた
めに必要な各工程のプログラムを、主軸及び刃物台に関
する指令に使用する主軸又は刃物台を特定しない間接指
令を用いて作業順に記述した一連のプログラムである。
ここで、N0010,N0020等のNと4桁の数字に
よるコードは工程毎のプログラム番号である。G00,
G50のようにGの後に数字を付したコードは準備機能
(G機能)の指令内容を示し、G00は早送り、G50
はオフセット位置を示す。
【0049】M03,M06のようにMの後に数字を付
したコードは補助機能(G機能)、すなわちサーボモー
タ以外のモータなどのON/OFFを行なうなど、実際
に何らかの動作を行なう機能の指令内容で、M03は主
軸時計方向回転を、M06は工具交換を指令する。S5
200のようにSと4桁の数字によるコードは、主軸の
回転数を選択するS機能のコードで、S5200は主軸
の回転速度を5200rpmにする指令である。
【0050】X,Y,Zの後の小数点付きの数値は、
X,Y,Zの各方向への移動距離を示し、その数値の正
負は移動方向を示す。Fの後の数値は送り速度を指令す
る。Tとその後の数字によるコードは工具選択指令を示
す。このパートプログラムを、図10の(B)に示すよう
に各加工工程毎(N0010,N0020等のプログラ
ム番号毎)に工程サブプログラムとしてまとめる。
【0051】そして、その各工程サブプログラム毎の加
工時間を算出する。その加工時間は工程サブプログラム
に記述されているワークあるいは工具の送り速度と送り
距離及び予め記憶した初期データ等によって算出するこ
とができるが、この各工程サブプログラム毎の加工時間
を算出する前に、第1刃物台17Aと第2刃物台17B
に取り付ける工具の種類を決める工具レイアウトを行な
っておけば、実際の工具交換に要する時間も考慮した加
工時間を算出することができる。
【0052】その算出した各工程サブプログラム毎の加
工時間、及びその累積加工時間を操作盤44のディスプ
レイ43に表示することもできる。その後、その全工程
サブプログラムを主軸側と背面主軸側の加工時間が約
2:1に分けられるかどうかを判断する。これはシステ
ム制御部40が自動的に判断してもよいが、オペレータ
がディスプレイ43に表示される累積加工時間を見て判
断した結果を入力することもできる。
【0053】そして、分けられる場合には、全工程サブ
プログラムを主軸側と背面主軸側の加工時間が約2:1
になるように、主軸系統と背面主軸系統に分割して、工
程編集プログラムを作成する。さらに、その主軸系統の
工程編集プログラムをその合計加工時間の略半分の所で
工程サブプログラム単位で分けられるかどうかを判断す
る。この判断も前述の判断と同様に自動あるいは対話入
力によってなされる。
【0054】そして、分けられる場合には、主軸系統の
工程編集プログラムを前半と後半にその加工時間が略
1:1になるように分け、その後半・前半の順にコピー
してもう一つの主軸系統の工程編集プログラムを作成
し、これらの3系統の工程編集プログラムを各軸側での
加工プログラムとして加工プログラムメモリ48の工程
編集プログラム格納部48bに格納する。
【0055】その工程編集プログラムの作成結果の例を
図11に示す。ここで、主軸系統1,2,3は、それぞ
れ第1主軸系統,第2主軸系統,及び背面主軸系統であ
る。各系統の破線で示すところが前半と後半の分割ライ
ンであり、主軸系統1と主軸系統2では、前半と後半の
工程サブプログラムが入れ替わっている。また、主軸系
統3(背面主軸系統)では前半と後半が同じ工程サブプ
ログラムによって構成されてる。この工程編集プログラ
ムは、図8に示した加工プログラムメモリ48の工程編
集プログラム格納部48aに系統別に格納される。
【0056】この例では、工程編集プログラムを構成す
る各工程サブプログラムはプログラム番号(N001
0,N0020等)で配列し、そのプログラム番号とそ
の工程で使用する工具コード(T1200,T1300
等)とを対にして記憶している。なお、M02は加工プ
ログラムの終わりを示す指令である。この工程編集プロ
グラムをディスプレイ43に表示させて、確認すること
ができる。
【0057】このようにして、第1主軸,第2主軸,背
面主軸のそれぞれにプログラム系統を設け、その第1主
軸のプログラム系統には上記主軸側工程の工程サブプロ
グラムを前半・後半の順に、第2主軸のプログラム系統
には主軸側工程の工程サブプログラムを後半・前半の順
に、背面主軸側のプログラム系統には上記背面主軸側工
程の工程サブプログラムを、各々工程順に配列して加工
プログラムとする。
【0058】図9に示す実施例ではさらに、主軸側工程
の工程サブプログラムを主軸側と背面側の加工時間が
2:1になるように工程サブプログラム単位で分けられ
ない場合、及び主軸系統の工程編集プログラムを加工時
間の約半分で分けられない場合には、工程サブプログラ
ム再編集を行ない、その分けたい所の前後にまたがる工
程サブプログラムを2分割して別個の工程サブプログラ
ムとし、その後再び工程サブプログラム単位の加工時間
の算出以降の処理を実行して、工程編集プログラムの作
成を行なう。
【0059】このようにすることによって、理想的に近
い工程サブプログラムの各系統への振り分けを行なうこ
とができ、加工効率を最大限に高めることが可能にな
る。図11の工程編集プログラムを親プログラムとし、
図10のパートプログラムあるいは工程サブプログラム
を子プログラムとして見ることができる。それによっ
て、工具のパスの詳細と工程の並べ方の全体との2つの
思考を分解して、操作を整理することができる。
【0060】基本的に平面上のXとZで動作を決める単
系統のプログラムとして子プログラムを考え、工程の順
番や工程間の待ち合わせ関係などを多系統に展開したプ
ログラムとして親プログラムを考える。編集時や実行時
には親プログラムだけを見ても、全体の様子は理解でき
るが個別の動作は理解しにくい。そこで、親プログラム
が表示されている状態で、必要によりそのプログラム番
号(N0010,N0020等)を指示することによ
り、その子プログラム(工程サブプログラム)をウイン
ドウ表示させることもできる。
【0061】図12は、この実施例による各主軸系統別
の一層構造の加工プログラム表示例を示し、各主軸系統
別に表形式でパートプログラム(子プログラム)を表示
し、上下方向にスクロールすることによってその各子プ
ログラムの全体を表示することができる。これによっ
て、各主軸系統のパートプログラムの詳細を確認するこ
とが可能である。
【0062】図13は、図12の各主軸系統の加工プロ
グラムを実行したときの累積加工時間を、各工程サブプ
ログラム(N****)による加工時間の比率を示すグ
ラフで表示した例を示す図である。各工程サブプログラ
ムの番号が表示されている斜線を施した領域の縦方向の
長さがその工程の加工時間に比例している。
【0063】主軸系統1では工程サブプログラムN00
10〜N0030が前半で、N0040〜N0070が
後半であり、主軸系統2ではその前半と後半が入れ替わ
っているだけである。主軸系統3(背面主軸系統)の全
工程サブプログラムの加工時間は、主軸系統1及び2の
全工程サブプログラムの加工時間の半分より若干短くな
っており、主軸系統1及び2でそれぞれ1回の加工を行
なう間に2回同じ加工を行なうことが判る。
【0064】ここで、この発明に係わるサイクル加工の
開始時及び終了時の制御方法について、詳細に説明す
る。まず、新規開始時の動作について、主軸と刃物台の
組み合わせを固定した場合とその組み合わせが入れ替わ
る場合について説明する。
【0065】図16は、主軸と刃物台の組み合わせを固
定した場合の新規開始時のワークと突っ切りバイトとの
関係を、第1主軸側と第2主軸側の正面及び側面から見
た図を並べて示している。図17はその第1主軸側と第
2主軸側のサイクル加工開始タイミングを1/2サイク
ルずらしたときの新規開始工程の説明図である。
【0066】図16の(A),(B),(C)は図17におけ
るA,B,Cのタイミングに相当する。この場合は、第
1,第2刃物台にそれぞれ突っ切りバイト91,92が
装着されて、第1主軸と第2主軸に対してそれぞれ用意
されている。図16の(A)では両軸とも開始の状態にセ
ットされ、突っ切りバイト91,92がワークW1,W
2の突出を抑えている。図17のタイミングAで起動が
かかると、第1主軸側直ちに第1刃物台の突っ切りバイ
ト91によるワークW1の突っ切り加工を開始するが、
第2主軸側はそのまま開始の状態にとどまる。
【0067】第1主軸側の加工が図16の(B)に示す
ように半分程度まで進むと、図17のタイミングBで第
2主軸側の第2刃物台の突っ切りバイト92による加工
が開始される。その後、第2主軸側の加工が同図(C)
に示すように半分程度進むと、図17のタイミングCで
第1主軸側の加工が終了し、(A)の開始時と同じ状態に
戻り、2回目の加工動作を開始する。第2主軸側の加工
はさらに半サイクル継続する。タイミングAからBまで
の間、第2主軸側でもサイクル加工のプログラムを実行
する場合には、第2主軸側の材料(ワークW2)を後退
させて第2主軸をマシンロックすることによって、実際
の加工は行なわないようにすることができる。
【0068】第1主軸側の加工が図16の(B)に示す
ように半分程度まで進むと、図17のタイミングBで第
2主軸側の第2刃物台の突っ切りバイト92による加工
が開始される。その後、第2主軸側の加工が同図(C)
に示すように半分程度進むと、図17のタイミングCで
第1主軸側の加工が終了し、(A)の開始時と同じ状態に
戻り、2回目の加工動作を開始する。第2主軸側の加工
はさらに半サイクル継続する。
【0069】図18は、主軸と刃物台の組み合わせが入
れ替わる場合における新規開始時の図16と同様な図で
あり、図19はその場合の図17と同様な新規開始工程
の説明図である。この場合には、突っ切りバイトが一方
の刃物台にしか装着されておらず(例えば第1は刃物台
にのみ突っ切りバイト91が装着されているものとす
る)、且つその刃物台が両主軸台間を往復しなければな
らないので、起動後のタイミングAからBの間で、第2
主軸側でもサイクル加工のプログラムを実行して継続開
始のときと同様にバイトを使用する。
【0070】但し、第2主軸側では材料(ワークW2)
を図18の(A)に示すように、工具である突っ切りバ
イト91と接触させない位置まで後退させた状態でマシ
ンロックし、実際の加工は行なわないようにする。ある
いは、刃物台及び主軸台の動作経路を変更して、実切削
に到らしめないようにして事実上の加工を逃げる方法も
ある。
【0071】第1主軸側の加工が図18の(B)に示す
ように半分程度まで進むと、図19のタイミングBで第
2主軸側に突っ切りバイト91が選択され、その段階で
マシンロックを解除して材料Wを供給し、加工を開始さ
せる。図19のタイミングCでは、図18の(C)に示す
ように第1主軸側で再び加工開始状態を迎え、第2主軸
側では継続開始のときと同様に加工の半分を通過する。
【0072】上述の例は2主軸による加工を行なう場合
の例であるが、2主軸と背面主軸とを使用して開始タイ
ミングをずらしたサイクル加工を行なう場合の各種開始
工程の説明図を図20に、その異なる終了工程の説明図
を図21に示す。図20の(A)は主軸と刃物台の組み
合わせを固定した場合の新規開始工程を、(B)は主軸
と刃物台の組み合わせを入れ替える場合の新規開始工程
を、(C)は同じくその継続開始工程をそれぞれ示す。
主軸と刃物台の組み合わせを固定した場合の継続開始工
程も、1/2サイクルの時点刃物台が入れ替わらないだ
けで、(C)と同様の工程になる。図21の(A)は奇
数個のワークを加工する場合の第1主軸系の終了工程、
(B)は偶数個のワークを加工する場合の第2主軸系の
終了工程を示す。
【0073】上述のような、この発明による加工開始及
び終了時の制御方法を実施するための加工プログラムの
例を図22に示す。この加工プログラムは、図12に示
したのと同様に主軸系統別の工程編集プログラムであ
り、M2はプログラムの終わりを示す指令であるが、さ
らに加工開始時及び終了時にも共通に使用できるように
するため、主軸系統1のプログラムの終わり前にM10
1、主軸系統2のプログラムの始めにG101、中ほど
にG102とM102、主軸系統3(背面主軸系統)の
プログラムの中ほどと終わり前にM101とM102の
特殊コードを挿入している。これを判り易く示すと図2
3のようになる。
【0074】図22において、G101とG102で囲
んだプログラムを〔ア〕とすると、新規開始のときはこ
の〔ア〕では実際の加工はしない。継続開始のときはこ
の〔ア〕で実際の加工を行なう。主軸系統1の終了命令
があると、主軸系統1に関してはM101で終了し、そ
れ以降は加工しない。主軸系統3では主軸系統1で加工
したワークの背面加工を行なって、そのプログラムのM
101で終了し、それ以降は加工しない。第2主軸の終
了命令がない限り第2主軸系統は加工を継続する。
【0075】主軸系統2の終了命令があると、主軸系統
2に関してはM102で終了し、それ以降は加工しな
い。主軸系統3では主軸系統2で加工したワークの背面
加工を行なって、そのプログラムのM102で終了し、
それ以降は加工しない。第1主軸の終了命令がない限り
第1主軸系統は加工を継続する。
【0076】図1はNC旋盤におけるこの発明の実施例
による加工開始時の制御処理例を示すフロー図であ、図
2はその加工終了時の制御処理例を示すフロー図であ
る。図1の加工開始時の制御処理において、起動すると
新規開始か否かを判断する。その結果、新規開始でなけ
れば連続運転を行なう。新規開始であれば、主軸系統
1,3では図22に示した各プログラムを先頭から実行
する。主軸系統2ではG101,G102をを有効に
し、G101を検出したらチャックを閉じ、Z軸をLm
m後退させて材料を工具に接触させない状態にしてZ軸
をマシンロックする。
【0077】その後G102を検出したらマシンロック
を解除し、Z軸をLmm前進させた後、G101,G1
02を無効にして、連続運転に進む。これによって、図
20の(A)又は(B)に示した新規開始を行なうこと
ができる。
【0078】図2の加工終了時の制御処理において、終
了信号が主軸系統1($1)か主軸系統2($2)かを
判断する。奇数個の加工の場合は主軸系統1であり、そ
の場合は主軸系統1で最後の1個を加工する。同時に主
軸系統2,3では、$2でM102を検出すると第2主
軸のチャックを閉じ、Z軸をLmm後退させてマシンロ
ックする。その後、$3でM101を検出すると、$3
のプログラムを終了して処理を終了する。これによって
図21の(A)に示した第1主軸系の終了を行なうこと
ができる。
【0079】偶数個の加工の場合は終了信号が主軸系統
2($2)であり、その場合は主軸系統2で最後の1個
を加工する。同時に主軸系統1,3では、$1でM10
1を検出すると第1主軸のチャックを閉じ、Z軸をLm
m後退させてマシンロックする。その後、$3でM10
2を検出すると、$3のプログラムエンド(M2)を検
出して処理を終了する。これによって図21の(B)に
示した第2主軸系の終了を行なうことができる。
【0080】
【発明の効果】以上説明してきたように、この発明のN
C旋盤の加工開始時及び終了時の制御方法によれば、サ
イクル加工部分だけの加工プログラムによって、NC旋
盤の互いに連携する複数系統のサイクル加工動作を、タ
イミングをずらして開始及び終了させることができる。
したがって、加工開始時及び終了時にのみ使用する特別
なプログラムを四作成する必要がなくなり、加工プログ
ラムの作成が容易になり、その作業コストも節減でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】NC旋盤におけるこの発明による加工開始時の
制御処理例を示すフロー図である。
【図2】NC旋盤におけるこの発明による加工終了時の
制御処理例を示すフロー図である。
【図3】この発明による制御方法を実施するNC旋盤の
一例を示す外観斜視図である。
【図4】図3に示したNC旋盤を使用して加工するワー
ク(部品)の一例とその加工工程の説明図である。
【図5】図4に示した加工を行なうための各刃物台に対
する工具レイアウトの一例を示す図である。
【図6】図4に示した加工を第1,第2刃物台のみを使
用して行なう場合の工具レイアウトの一例を示す図であ
る。
【図7】図4に示した加工をこの発明の加工方法によっ
て行なったときの各軸側での各工具による加工時間の関
係を示す図である。
【図8】図3に示したNC旋盤の制御ユニットの構成を
示すブロック図である。
【図9】図8の制御ユニットによる加工プログラム作成
手順を示すフローチャートである。
【図10】この実施例によって作成されるパートプログ
ラムとその工程サブプログラムの例を示す図である。
【図11】この実施例によって作成される工程編集プロ
グラムの例を示す図である。
【図12】この実施例による各主軸系統別の一層構造の
加工プログラム表示例を示す図である。
【図13】図12の各主軸系統の加工プログラムを実行
したときの累積加工時間を各工程サブプログラムによる
加工時間の比率を示すグラフで表示した例を示す図であ
る。
【図14】NC旋盤において複数系統の加工プログラム
によって同時に動作するサイクル加工の開始タイミング
をずらして同時加工する場合の従来技術による加工プロ
グラムの例を示す説明である。
【図15】同じくこの発明を適用した場合の加工プログ
ラムの例を示す説明図である。
【図16】主軸と刃物台の組み合わせを固定した場合に
おける新規開始時の第1,第2主軸側のワークと突っ切
りバイトとの関係を示す図である。
【図17】同じくその第1主軸側と第2主軸側のサイク
ル加工開始タイミングを1/2サイクルずらしたときの
新規開始工程の説明図である。
【図18】主軸と刃物台の組み合わせが入れ替わる場合
における新規開始時の図16と同様な図である。
【図19】同じくその場合の図17と同様な新規開始工
程の説明図である。
【図20】2主軸と背面主軸を使用して開始タイミング
をずらしたサイクル加工を行なう場合の各種開始工程の
説明図である。
【図21】同じくその異なる終了工程の説明図である。
【図22】この発明による加工開始及び終了時の制御方
法を実施するための加工プログラムの例を示す図であ
る。
【図23】同じくその特殊コードの挿入位置を判り易く
示す図である。
【符号の説明】
W:ワーク(加工される部品) 10:ベッド 1
0a:溝 11A:第1主軸台 12A:第1主軸用スピンドル
モータ 13:刃物台ベース 14A:第1ガイドブッシュ 14B:第2ガイドブッシュ 15A,15B:ワー
ク 16A,16B,25:ガイドレール 17A:第1
刃物台 17B:第2刃物台 18A,18B:Y軸テーブル 19A,19B:X軸テーブル 20A:Y1軸用サ
ーボモータ 20B:Y2軸用サーボモータ 21A:X1軸用サ
ーボモータ 21B:X2軸用サーボモータ 22A,22B,2
4,32:工具 23:背面刃物台 26:背面主軸台ベース 2
7:背面主軸台 28:Y3軸用サーボモータ 29:Z3軸用サーボ
モータ 30:背面主軸用のスピンドルモータ 31:対向刃
物台 33:工具ホルダ 40:システム制御部 41:
プログラム入力部 42a:キーボード 42b:スイッチ 43:デ
ィスプレイ 44:操作盤 45:入出力制御部 46:システム制御用プログラムメモリ(ROM) 47:自動プログラミング部 48:加工プログラム
メモリ 49:表示データ記憶部 50:RAM 51:加
工プログラム処理部 52:通信制御部 53:加工動作制御部 60:駆動部 61:各軸モータのサーボ機構 62:各軸の制御駆動部 63:各主軸のスピンドル
モータ 64:スピンドルモータ制御駆動部 65:各センサ
66:センサ入力部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮崎 祐二 埼玉県所沢市下富840 シチズン時計株式 会社所沢事業所内 (72)発明者 濱田 公生 埼玉県所沢市下富840 シチズン時計株式 会社所沢事業所内 (72)発明者 和田 達明 埼玉県所沢市下富840 シチズン時計株式 会社所沢事業所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の主軸と複数の刃物台を有し、複数
    系統の加工プログラムによって同時に動作するサイクル
    加工のサイクル開始タイミングをずらして同時加工する
    NC旋盤において、 加工開始時に、遅れてサイクル加工を開始する系統に対
    しては、サイクル加工中と同じ加工プログラムを最初か
    ら実行させるが、その遅らせる期間だけは実際の加工は
    させないようにすることを特徴とするNC旋盤の加工開
    始時の制御方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のNC旋盤の加工開始時の
    制御方法において、遅れてサイクル加工を開始する系統
    の主軸を加工材料を工具と接触させない位置まで後退さ
    せた状態でマシンロックすることにより、前記実際の加
    工はさせないようにすることを特徴とするNC旋盤の加
    工開始時の制御方法。
  3. 【請求項3】 複数の主軸と複数の刃物台を有し、複数
    系統の加工プログラムによって同時に動作するサイクル
    加工のサイクル開始タイミングをずらして同時加工する
    NC旋盤において、 加工終了時に、早くサイクル加工を終了する系統に対し
    ては、加工終了後も遅れてサイクル加工を終了する系統
    の加工が終了するまでサイクル加工中と同じ加工プログ
    ラムを実行させるが、その加工終了後は実際の加工はさ
    せないようにすることを特徴とするNC旋盤の加工終了
    時の制御方法。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のNC旋盤の加工終了時の
    制御方法において、早くサイクル加工を終了する系統の
    主軸を加工材料を工具と接触させない位置まで後退させ
    た状態でマシンロックすることにより、前記実際の加工
    はさせないようにすることを特徴とするNC旋盤の加工
    終了時の制御方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017134618A (ja) * 2016-01-27 2017-08-03 ファナック株式会社 単系統用のプログラムで複数系統の軸を制御する数値制御装置およびそのシミュレーション装置
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